緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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ようやく新スマートフォンでの作成環境が整ったので書いていきますよ!


第221弾 再会

戦闘狂モードの発動条件は怒りと数十秒の黙とうだ。

悪いがヒルダ、俺はお前に対しては瞬時に発動させるだけの怒りを感じてるんだよ!

理子のことでな!

 

「へっ!」

 

戦闘狂モードのせいで気分が高揚してきた状態で背後を振りかえった瞬間のヒルダに向けて左右に1発ずつ、更に正面に向け発の計4発をヒルダに向け放つ。

 

「!?」

 

ヒルダがこちらを見ようとする前にガガンと跳弾が突起物にぶち当たり正面の弾と同時にヒルダの左膝をほぼ同時に打ち抜き足をちぎり飛ばした。

ガクンとヒルダの体制が崩れかけるが既に再生は始まっている。

魔臓を破壊しないと再生するのは止まらないのは想定済み。

ちぎれ飛んでも再生するとかもう、トカゲだな。

速さは段違いだが・・・

だが、休む暇は与えない!

銀弾入りのガバメントをしまい、デザートイーグルと通常弾入りのガバメント。

ちぎれ飛んだ左足に見つけたぞ1つ目の魔臓!太ももだ!ゴスロリのスカートが少し破けて露出している。

ちぎれ飛んだ足が黒い影の中に消え、ちぎれた部分から新しい足が構成されている。

 

「・・・」

 

感覚を保ちながら俺は発砲しつつ周りの空間を把握する。

よし!

跳弾、正面から左のふとももの魔臓に弾が命中していくがその傷はすぐに治っていく。

だが、俺はそこに執拗に銃撃を続けつつヒルダと距離を詰めない。

 

「何のつもりかしら?痛くもかゆくもないわよ?ゴキブリ」

 

「強がんなよ蝙蝠女」

 

挑発に挑発で返しながらブラド戦後に土方さんに相談したことを思い出していた。

 

                 †

                 †

                 †

 

「吸血鬼って奴はな、魔臓を潰す以外にも攻略法はあるんだよ」

 

土方家の居間で煙草を口から離しながら土方さんが言う。

 

「それはどうすればいいんですか?」

 

ブラド戦で再生能力の厄介さは身にしみている。

今後の事も考えて聞いてみたんだが・・・

 

「1つは2度と再生できないぐらいに全身を粉々に消し飛ばすことだ」

 

殺しちまうがなと土方さんが付け加える。

 

「いやいや、姉さんじゃないんですから」

 

あの人ならできるだろうけど

 

「簡単にできることじゃねえよ。というより、出来る奴は公安0の中でも数人だろう。2つ目は相手を疲れさせてやればいい」

 

「走らせたり、体力を使わせるってことですか?」

 

「違う。魔臓ってのは4つのうち1つでも残ってれば再生する。同時に破壊できない、不利な状況なら魔臓の1つを執拗に狙い続けろ。そうすれば・・・」

 

                   †

                   †

                   †

 

「次!」

 

マガジンを入れ替えて再び発砲。

跳弾射撃が再び魔臓を含めた左足をちぎり飛ばす、

 

「ホホホ、何度やっても・・・!?」

 

その瞬間、ヒルダに僅かな動揺を俺は感じ取った。

気付いたな。

再生速度が少しだが落ちてきてる。

とはいえ、回復はしてるんだが・・・

 

「くっ!」

 

ヒルダが蝙蝠のような翼を展開し護送車から空に飛び上がる。

待ってたぜこの瞬間をな!

 

「全員伏せてろ!」

 

怒鳴ってからデザートイーグルを引き抜くとヒルダに向けて発砲。

跳弾を織り交ぜた弾どう予測しづらい弾がヒルダの正面、腹に吸い込まれてった瞬間。大爆発がヒルダを中心として巻き起こった。

武偵弾の炸裂弾だ。

地上じゃかなえさんを乗せた護送車を巻き込んじまうがここなら問題はない。

近くの建物のガラスがひび割れたがこの際無視しよう。

さて・・・

 

炎の固まりとなって何かが落ちてくるがそれは炎を振り払うようにして立ちあがった。

よしよし、キンジ達と距離を取れたな。

 

「ハハハ、ぼろぼろだな蝙蝠女」

 

「この・・・豚!お前だけは八つ裂きにしてもしたりない!絶対に・・・絶対に殺してやるわ」

 

ずたずたになりながら恐ろしい形相で俺を睨んでくるヒルダ。

怖い怖い。

再生はしてきているがそれは明らかに遅く、ゴスロリの服はぼろぼろで穴だらけだ。

魔臓は両ももに2つとへその下。

後一つは隠れてる胸の当たりか?

とはいえ、少しやりすぎたかもしれんな・・・

正直な所、吸血鬼とやりあう準備はすんでいない。

奇襲でキンジ達はしばらく動けないし、理子は戦意喪失中。

ここは、逃げるか相手を撤退させるかが勝利条件になるわけだが必要以上に怒らせてしまったらしい。

ここで、痛み分けとかの話しても聞いてもらえないだろうし・・・

どうすっかな・・・炸裂弾はもうないしあるのはカノン1発のみ・・・

通常弾はマガジン2つ。

銀弾は後1発。

刀はあるが・・・

仕方ねえな・・・時間稼ぎ戦法だな。

これだけの騒ぎ。東京での出来事で警察車両への攻撃。

時間さえ稼げば公安0が動く。

普通の警察でも大挙してくれば状況打破には繋がるはずだがこないだろうな・・・

後は、師団の誰かだがこの状況で援軍がどれほどで来るか・・・

 

「さてと、続きなるか蝙蝠女」

 

地面を蹴りだそうとしたその瞬間、ヒルダが口元を歪めた瞬間

 

「優!下だ!」

 

キンジの声と同時に飛び上がろうとした瞬間、一瞬目の前が光一色になり、気付いたら地面に這いつくばっていた。

っ・・しまった。

体が動かんがヒルダの影が多分、後ろから忍び寄っていたんだろう。

ミスった。

 

「ホホホ、どうしたのゴキブリ?飛ばないのかしら?」

 

首だけはなんとか動くのでヒルダを見上げるが・・・

くそ、這いつくばった状態で指一つ動かん。

電撃のせいで筋肉が麻痺してるのか・・・

 

「ちょっと疲れてな」

 

負け惜しみで言うとヒルダは楽しそうに足を上げるとわき腹に蹴りを入れてきた。

 

「ぐふ」

 

「何てざまかしら?反撃してみなさいな」

 

俺が動けないのを知ってヒルダが執拗に俺に蹴りを入れてくる。

動けない俺はなすがままに蹴られ続け、痛みに耐えるしかない。

がっと、脱げてしまったのか素足でヒルダが俺を頭を踏みつけ、力を少し込めてくる。

 

「このまま、スイカのように潰してやろうかしら?」

 

ミシミシと力が込められていく。

くそ・・・いたたこのままじゃ本当に・・・

意識が遠くなっていく・・・

俺はまだ・・・

 

 

「ヒルダ!」

 

その声にヒルダは足をどける。

 

「よせ、ヒルダ!優希を離せ!」

 

目だけでそちらを見るとワルサ―2丁を構え、髪で2つのナイフを装備した理子。

その声は明らかに震えている。

 

「くそ・・・ったれが」

 

動こうと必死にあがく。

動けよ馬鹿体!今動けないでいつ動くんだよ!

そう思った瞬間、再び、ヒルダが電撃を流してきた。

ぐっ・・・

動く気配はあったものの再び体が動かなくなる。

 

「ヒルダ!」

 

理子の声にヒルダはそちらを見ると

 

「ああん、4世なんて凶暴な目。かわいい。だから好きよ4世。私が高貴なバルキー犬ならあなたは狂犬病にかかった野良犬。でも、分かってるんでしょ。あなたと私はお友達。お父様が不在の今は私がドラキュラ家の主。望むものはなんでも与えてあげるわ」

 

「近づくな!甘く見るな!そんな嘘にだまされるかよ!」

 

「私の目を見なさい理子。嘘をついてる目じゃないでしょう?」

 

「駄目だり・・・ぐっ」

 

再びわき腹を蹴られ声が中断される。

その間に理子はヒルダの目を見てしまったようだ。

そう、催眠が使えるその目を・・・

 

「ほら、銃と剣を下ろしなさい。私との友情のために私の目を見ながらそう、よく見ながらゆっくりゆっくり」

 

理子は完全にヒルダの催眠にかかってしまったようで銃も剣を下ろしてしまう。

ヒルダはコツコツと理子の元に行き自分の耳から蝙蝠の形をしたイヤリングを外し

 

「友情の証にあげる」

 

と理子の耳にそれをつける。

理子はヒルダを睨んでいるがヒルダはそれをにこにこして見ている。

されるがままじゃねえか・・・くそ、頼む緋刀さえ発動できれば回復能力が使える。

スサノオ!スサノオ!どうにかなんねえのかよ!

だが、声は聞こえない。

あいつは緋刀を使用しないと出てこない。

 

「さ、ゴキブリ。あんただけは殺しておこうかしら?」

 

ヒルダがこちらに歩いていく。

止めを刺す気か・・・

だが、体が動かねえ・・・

だが、その時ヒルダは日傘を傾け空を見上げた。

音?何かが近づいてきてるのか?

あれは・・・シャーロックが脱出の時に使ったICBM?

それが、地面に突き刺さると直前、ヒルダが後ろに後退する。

同時に誰かが俺の前に立つ。

ICBMが地面に激突し、ハッチの中から出てきたのは・・・

 

「ヒルダ。お前はこの世でもっとも傷つけてはならない人を傷つけた」

 

紋章入りの鞘からサーベルを取り出しヒルダに向ける

 

「君にアンラッキーなお知らせが4つある。これは、カンタベリー大聖堂より恩借したクルス・エッジ。芯はスウェーデン鋼だが刀身を覆う銀は加齢400年以上の十字架から削り取った純銀をホイルしたもの。2つ目は・・・」

 

そいつが抜いたのはジグザウアー。通称シグ。

 

「ホーリー。それも君が慣れていないプロテスント教会で儀式済みの純銀弾だよ。君はお父さんほど、僕らとの戦いに慣れていないんだろう?」

 

純銀弾・・・しかも、ホーリーか・・・恐ろしく高いんだがヒルダには有効と俺も考えていたが入手できなくて通常の銀弾しか持ってなかったんだよな・・・

 

「3つめ、ここにいるリゼは対吸血鬼の戦闘訓練を叩きもまれていてね。純銀装備も携行している」

 

その後ろ姿しか見えないが、着ているのはヒルダと似たゴスロリ系の服か・・・

つうか、後ろ姿しか見えないんだが・・・

 

「4つめ、僕は怒っている。君がアリアと・・・」

 

あいつが振り返る。

 

「僕の親友を傷つけたことに」

口元がにやけるもんだな久しぶりに会うと

一瞬だが俺はあいつと・・・エル・ワトソンと目が合った。

久しぶり、そう言ってる気がした。

だが、すぐにワトソンはヒルダに方を見て一刀一銃の構えを取る。

 

「リゼ!」

 

「了解」

 

もう一人の女の子もワトソンから少し離れて武器を取りだした。

銀のショートソード。俺の日本刀のような長さはなく振り回しが容易なタイプだ。

 

「いやだわ。どうも銀くさいと思ったら」

 

ヒルダがぎりっと歯ぎしりをする。

ワトソンの威嚇が効いてるのか。

 

「貴族が正しい決闘の手順を踏まず奇襲する非礼は承知の上だがドラキュリアヒルダ!ここで君は倒す。アリア、少し目を閉じて、レディーにあいつの血なんか見せたくないからね」

 

言われたアリアはきょとんとしてるぞおい。

あれ?そう言えば、ワトソンってアリアの知り合いなのか?

にしても露骨にキンジを無視してないかエル

って、ん?

リゼと呼ばれていた少女が少しだけ首を傾けてこちらを見たがすぐに後ろを向いてしまう。

なんだ?

 

「・・・」

 

ワトソンとリゼがじりっと距離を詰めようとするとヒルダは扇子で空を指し

 

レディーと遊びたいなら時と場合を考えなさい、無礼者。こんな天気の悪い日に、こんな昼遅くに遊ぼうなんて気高いドラキュリアが受けると思って?」

 

今日は快晴だぞ・・・天気が悪いって・・・

妙な文句を言ったヒルダの体が影の中に沈んでいく。

逃げるのか?

 

「エル!」

 

どうするという意味で言ってみたがあいつは動かない。

リゼと言われてた少女もだ。

 

「じゃあね。今日は我慢しといてあげるわ」

 

そして、ヒルダの姿が完全に影に消え、あたりから気配が消えた。

ぺたんと理子が催眠術から解かれたようにアスファルトの道にしゃがみ込む。

なんとか、なったのか・・・

 

「立てますか?」

 

その声に顔を上げるとリゼと呼ばれていた女の子が左手を差し出していた。

金髪に青い目、純粋の西洋人って容姿で美少女の部類に入るだろう。

だが、表情はレキみたいに無表情だ。

そのままでいるわけにもいかないし

 

「ああ、ありがとう」

 

素直に手を取ろうとして、直感的に下げた瞬間、少女の左手の服の中からシャッと仕込みナイフが飛び出した。

 

「うお!」

 

びっくりして手を下げると同時に聞きたくない声を聞いた。

 

「チッ」

 

え?舌打ちした?今、舌打ちしたよねこの子!

 

「申し訳ないです。つい忘れてました」

 

「あ、ああそうか?」

 

駄目だ、無表情で本気だったのか分からん。

とりあえず、うっかりさんと認識しといて、自力で立ち上がってもう一人の方を見る。

エルは・・・エル・ワトソンはアリアに肩を貸しているところだった。

キンジもふらふらしてるが無事だな。

 

「もう、動けるわ肩離して」

 

プライドの高いアリアはそういうと自力で立ち護送車の方を見る

 

「ママは?」

 

そちらを見ると警護官に両脇を抱えられたかなえさんがアリアを安心したように見ている。

規則上喋ることは出来ないが無事でよかった。

 

「助けてもらってなんだが、お前イ・ウーの生き残りか?何をしにきたんだ?」

 

ん?キンジがエルに話しかけてるぞ。ここは、俺が・・・

 

「人に名前を尋ねる前に自分が名乗れ」

 

「お、おい!」

 

いきなり敵対ムードかよエル

 

「遠山キンジだ」

 

「知ってるよ。以前事前調査で君の写真を見た事があるからね」

 

なら聞くなよとかキンジ思ってそうだな

 

「僕はエル。エル・ワトソン」

 

アリアがえっとした顔でエルを見る。

 

「え?え、じゃああんたまさか」

 

「そう、僕はJ・Hワトソン卿のひ孫だよ」

 

エルは次に俺の方を見ると

 

「優久しぶりだね。直接会うのは何年ぶりかな?」

 

「最後に会ったのは2年前じゃなかったか?エル」

 

その会話でアリアとキンジがえっと俺をとエルを見比べる。

 

「優、ワトソンと知り合いだったの?」

 

「ああ、昔ちょっとな。で?その子は誰なんだエル?」

 

俺がリゼと呼ばれていた子の素性を聞こうとしたんだが

 

「人に名前を尋ねる前に自分が名乗るべきじゃないんですか?」

 

と、青い瞳を俺に向けて言ってきた。

な、なんかこの流れ見たぞ。

 

「あ、ああ悪い。椎名 優希だ」

 

「知ってますよ。わざわざ名乗らなくても」

 

こ、こいつ!

 

「お、おいリゼ」

 

エルが一瞬困った顔になって俺とリゼを見るが大丈夫だエル。これぐらいじゃ切れたりしねえよ。

 

「リゼです」

 

え?それだけ?レキみたいにそれだけの名前なの?

 

「まだ何か?それともスリーサイズを教えろと?」

 

「い、いやいい」

 

俺この子になんかした?まさか、忘れた過去にこの子となんかあったの?

ものすごい敵対心向けられてるんだけど?

 

「と、とにかくだ!リゼの事は後で説明するとして僕がいいたいのは!」

 

エルはアリアとかなえさんの方を交互に見て

 

「僕は許嫁と義理の母を助けに来た。それだけだよ」

 

は?今何て言ったんだ?

許嫁?

アリアが目をまん丸に開け、キンジを見ると慌てて目を反らしたぞ。

 

「許嫁?」

 

キンジが言うとエルは繰り返し言うのだった。

 

「アリアは僕の許嫁だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




みなさんお久しぶり草薙です!

いやぁ、アリア最新刊も面白かったですね。
あまり、ネタバレはいけませんからいいませんが緋弾のアリアも最後に近づいてるなとなんとなく思います。
だって、戦線会議にいて素性が分からないのもはや、アメリカだけですしね。

最後は相変わらず燃える展開!でした。
キンジはやはり、主人公してますね。

さて、守るものはいよいよヒルダとの巻に入っていきます。
優とワトソンは友達ですが問題はオリキャラのリゼです。
展開は読めると思いますが現在の優は紫電もない緋刀も使えないというある意味ステルスを相手にするには最悪に近い状況ですがそれでもヒルダとは戦ってもらいます(笑)
過去の理子との因縁状から優は引くことは許されません。
今回も死にかけながらこの章を突破してくれると思います。
では!

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