緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第21弾 3人で

「「優!」」

 

部屋に足をもつれさせるように入った俺はアリアのアニメ声とキンジの声を聞いた。

 

「怪我したの! 理子は?」

 

ああ、アリア無事だったんだな。

 

「怪我はしてねえよ。武偵弾の閃光で一時的に失明してる」

 

「武偵弾って・・・そんなものよく持ってたな優」

 

キンジが驚いたように言ってくる。

 

「あんた大丈夫なの? 理子と戦ったんでしょ?」

 

「倒す気だったんだが手がもう、限界だ。 キンジ、ガバメント使ってくれ」

 

「ああ、後は俺とアリアに任せろ」

 

その言葉を聞いて違和感を覚える。

ああ、なったんだなヒステリアモードに

 

「ヒステリアモードになったなキンジ? 何したんだよ、アリアにキスでもしたか?」

 

「き、キキキ・・・キンジ・・・責任・・・」

 

ん?アリアの反応まさか・・・

 

「どんな責任でも取ってあげるさ」

 

「おいおい、まさか本当に・・・」

 

「悪かったな優。 お前はゆっくりしててくれ」

 

「そうはいかねえよ。作戦を話せ。俺も協力してやる」

 

「分かった。 3人で協力して武偵殺しを逮捕しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バッドエンドのお時間ですよー。 くふふっ。 くふふふふふ」

 

理子はどこからか用意した鍵でアリアの部屋に入ってきた。

髪でナイフを握り、両手にワルサ―を持ってベッドの隣に立つ俺を見てくる。

 

「よくできましたユーユー。 びっくりしちゃった。 武偵弾はさすがに予想できなかったよ。 でも、残念だねぇ。 あれが閃光じゃないタイプの武偵弾なら勝ったかもしれないのに」

 

「武偵憲章9条破ったら意味ないだろ?」

 

「あはっ、まだ、持ってるんだ武偵弾?」

 

「さあな? 俺は嘘つきだからな」

 

「くふっ、アリアとキー君は・・・ああ、ユーユーの部屋? ユーユーがおとりになり、背後から強襲ってシナリオだね? アハハ、理子にばれてる時点でバットエンドだねぇ」

 

「それは俺を死体にするか瀕死の俺にでも言ってくれ。 まだ、死ぬ気はないからな」

 

「くふ、そんな腕で言うのぉ?」

 

「それとも怖いのか4世?」

 

「・・・」

 

理子の目が細まった。

ワルサ―の引き金に力が入った瞬間、俺はワイヤーを引き戻した。

そのワイヤーの先に巻きつけておいた酸素ボンベが勢いよく理子に飛んでいく。

撃てば爆発する。

そう思わせて、ワイ―ヤ―で接近してけりを叩き込んで決める。

俺がワイヤーを発射しようと左腕を理子に向けた瞬間飛行機が突然大きく傾いた。

大きく体制を狂わせた俺にワルサ―が2発俺の額に向けられ発砲。

俺は右手のワイヤーの発射用の部分でそれを弾いた。

再びワイヤーを理子に向けた。

直接当たる距離だ。

 

「動くな!」

 

「アリアを撃つよ!」

 

俺の方が早いと判断した理子がシャワールームにワルサ―を向ける。

ガタン

天井の荷物入れに潜んでいたアリアが転げ出てきながら

ガンガン!

黒銀のガバメントで理子のワルサ―を両手から落とした。

その瞬間、キンジが理子の背後から襲いかかった。

すさまじい速度でバタフライナイフを一閃。

アリアの日本刀と同時で2人の斬撃は理子のツインテールをナイフごと切り落とした。

 

「うっ!」

 

理子は両手で切られた部分を抑え焦った声を出した。

キンジとアリアはガバメントを理子に向けて言い放つ。

「峰・理子・リュパン4世」「殺人未遂の現行犯で」「逮捕だ」

 

「そっかぁ、ベッドにいると思わせてシャワールームにいると見せかけてどっちも武ラフ、本当はアリアのちっこい体を活かして、キャビネットの中に隠してたのか。 すごーい、ダブルブラフってよっぽど息が合ってないとできないんだよ。 3人とも誇りに思っていいよ。 理子、ここまで追い詰められたのは初めて」

 

「追い詰めるも何ももう、チェックメイトよ」

 

「ぶわぁーか」

 

なんだ? 髪が動いてる?

まさかこいつ!

俺が飛びかかろうとした瞬間、飛行機がぐらりと傾いた。

俺が転び、アリアも壁にぶつかり、キンジも立っているのが精いっぱいと言ったところ、

理子はスイートルームから飛び出す。

 

「逃がすかよ!」

 

俺は出口に向かいワイヤーを発射し、巻き戻すと傾いている廊下を走る理子の姿を発見する。

ワイヤーを発射し、壁にめり込ませて巻き戻し加速。

理子が振り返る。

甘かったな理子、多少の悪地でもワイヤーを使えば動けるんだよ。

理子の口がにやりと歪んだ。

 

「くふっ、本当に予想外だったよユーユー。 今回は理子逃げるね。 またね」

 

ぱちりとウインクした瞬間、理子の背後が爆発した。

おい!まさか!

事前に準備していたのか、円にくりぬかれた穴から理子が落ちて行く。

突然の出来事に俺も機外に放り出される。

やばいやばい!

急行下で高度が下がっているとはいえ、このままでは死ぬ。

まだ、死ぬわけにはいかない。

だから

 

「くそったれが!」

 

ワイヤーを穴に向け発射、みるみる遠ざかる穴、それはわずかに届かない。

 

「!?」

 

絶望が俺を襲った瞬間、俺の体がぐんと宙に固定される。

誰かがワイヤーを掴んでくれたのか?

 

「間に合えぇ!」

 

暴風の中、ワイヤーを引き戻して機内に戻った瞬間、背後の穴は消火剤とシリコンのシートでふさがった。

ああ、死ぬかと思った。

 

「無事か優?」

 

「そうか、キンジお前に助けてもらったんだな。 ありがとう」

 

「立てるか?」

 

「ああ」

 

俺はキンジの手を借りて立つと窓の外を見た。

パラグライダーが見える。

理子はあれで脱出したらしいな。

って嘘だろおい!

 

眼下に見えたのはあれはミサイルだ。

 

ズドオオン

ズドオオン

 

2発の轟音と共に機が激しく揺れる。

窓の外を見ると内側のエンジンが2機やられていた。

持ちこたえたが急降下している。

 

「キンジ操縦席に行くぞ!」

 

俺が走り出すと同時にキンジも続く。

 

「今、アリアが行ってる」

 

「あいつ操縦できるのか?」

 

「分からないが優は経験あるか?」

 

「あるわけないだろ! せいぜいゲームのシュミレーションぐらいだ」

 

俺達は言いながら操縦室に飛び込むのだった。

ああ、絶対今日は人生最悪の日だ!そうだろ神様

 


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