「宣戦会議に集いし組織、機関、結社の大使達よ。まずは、イ・ウー、ダイオ・ノマドのジャンヌダルクが敬意を持って奉迎する」
霧の中に映し出された異形の中でジャンヌが言う。
しかしまぁ・・・
俺はこの状況においてもそれなりに冷静さを失ってはいなかった。
知り合いもいるということもあるがどうしようもないし流れに任せる
必要があった。
知り合いがいる以上簡単に逃げ出すわけにはいかない上に逃げることすら困難だ。
「・・・」
ローズマリーを見ると奴はにこりと微笑んだ。
妖艶という言葉が似合う。
因縁すらなければこの場にいる存在の中でもトップクラスの美人ではある。
装備が整ってない状態で出来るなら戦いたくない。
とりあえず、味方の確認をしておこう。
ジャンヌ、レキ、土方さん、信冬、キンジ、メイヤさんは確実に味方だ。
どっちかわからないのはこの狐耳の・・・あれ?
ああ、いや分かった。
後は分からん。
敵か味方かを確定することができない。
カナさんはキンジの兄だがパトラと現れたところを見ると味方か怪しいとこだし
後の面子は判断がつかん。
一瞬即発って状況でもあるのかもなこれ・・・
「初顔のものもいるので、序言しておこう。かつての我々は諸国の闇に自分達を秘しつつ各々の武術、知略を継承し求めるものを巡り奪い合ってきた。イ・ウーの降盛と共にその争いは休止されたが・・・イ・ウーの崩壊とともに再び砲火を開こうとしている。
ジャンヌが再び口を開いた。
なるほど、なんとなく分かった。
各組織は抑止力となっていたイ・ウーが崩壊したせいで再び争おうとしているわけだ。
俺は、椎名の家の人間だがこう言った裏社会の矢面に立ったことはない。
おそらくは母さんや月詠辺りが代理で動いていたんだろうな・・・
俺はそういう裏事情に本格的に関わる前に家から出たわけだが多分ここにいる全員姉さんを通して関わってそうだな・・・
メーヤさんと会ったのも姉さん関連だし世界中でいろんなことしたからなぁ・・・姉さんと
「皆さん。あの戦乱の時代に戻らない事情はないのですか?」
金色の刺繍が施されたローブを着て柔和そうなどこか艶のある甘い声青い目に金髪、泣きほくろが印象的なメーヤさんだ。
姉さんがあれだがからお姉ちゃんってあんな人が超理想だったなぁ・・・初めて会った時・・・
それに、背中に背負ってる巨大な剣にすごい違和感感じる。
「バチカンはイ・ウーを必要悪として許容しておりました。高い戦力を保有するイ・ウーがどの組織と同盟するか最後まで、沈黙を守り続けた事で一部の例外を除き誰もがイ・ウーの加勢を恐れてお互いに手出しせず。結果として長期にわたる休戦を実現できたのです。
その尊い平和を保ちたいと思いませんか?」
メーヤさんは両手で十字架を握りしめて言った。
この場合姉さんは例外だな・・・
あの人死んだふりしてたことを除いても世界中でいろんな組織と戦ってたし・・・
「私はバチカンが戦乱を望まぬことを伝えにこの場に参ったのです。平和の体験に学び、皆さんの英知を持って和平をなし、無益な争いを避けることは・・・」
「出来るわけねえだろメーヤ、この偽善者が」
メーヤさんの斜め後ろから声をはさんだのは最初から彼女を睨んでいた・・・カツェ・グラッセか・・・黒いローブが本当に魔女みたいだ。
14歳くらいのおかっぱ頭の黒髪で目に付けた眼帯は確かナチスドイツのハーケンクロイツの卍みたいな形だな
左目の色は赤色か・・・
「おめぇらちっとも休戦してなかっただろうが。デュッセルドルフじゃあたしの使い魔を襲いやがった癖に平和だぁ?どの口がほざきやがる?」
「黙りなさいカツェ・グラッセ。この汚らわしい不快害虫」
相変わらずというかこの豹変ぶりは変わってない・・・
「お前達魔性の者どもが別です。存在そのものが地上の害悪。殲滅し、絶滅させることになんの躊躇もありません。存在させておく理由が旧約、新約、外典含めて聖書のどこにも見当たりません。しかるべき祭日に聖火で黒焼きにし、屍を八つに折りそれを別々の川に流す予定を立ててやってるのですからありがとうといいなさい。ありがとうと。ほら、いいなさいありがとう。ありがとうと」
怖いよメーヤさんその二重人格ぶり知らなかったら多分お姉ちゃんのままだったよ呼び方・・・
カツェの首を絞めて叫ぶメーヤさんはさながらヤンデレだ。
デレのないな・・・
「ぎゃはは!おうよ戦争だ!待ちにまったお前らとの戦争だぜ。こんな絶交のチャンス逃せるかってんだ! なぁヒルダ」
「そうねぇ。私も戦争大好きよ。いい血が飲み放題になるし」
金髪ツインテール。
ブラドの娘のヒルダが言う。
「椎名も同様だ。魔女連隊には本家を襲撃された借りもある」
そう言ってヨーロッパ勢に口を開いたのは鏡夜だ。
だが、カツェはにいいとして俺を見てきた。
こっちみんな!
「そういや、連隊の馬鹿がお世話になったそうだな椎名」
ドリスのことか・・・木偶人形を操って散々苦しめられたあの魔女はすでに殺されている。
「こっちみんな。話しかけたのは鏡夜だろうが」
「あん? それがどうした?」
勘弁してくれ。どうやら、こいつらというか少なくてもカツェの中では俺は椎名の代表みたいになってるぞ。
「椎名の後継者は俺じゃねえ。鏡夜だ」
「カツェ・グラッセ」
俺が言う後に静かな声が響く。
そちらを見ると月詠か・・・
長い黒髪に和服という戦闘に向いていないと思う服装の彼女は秋葉の上司で近衛最強。
日本で、指折りのRランクだ。
「この場においての椎名の代表は鏡夜様です。認識しなさい」
「ふーん」
カツェはちらりと鏡夜を見てから興味を失ったみたいに視線を反らした。
鏡夜めちゃくちゃ怒ってるぞ・・・
というか完全に舐められてるじゃねえか・・・
月詠が発言しなかったら見向きすらされなかったかもしれない。
「和平とおっしゃいましたがメーヤさん?」
のんきな声で口を挟んできたのは中華服を着た丸メガネの優男だ。
シンみたいな糸目だな・・・
多分・・・
「それは非現実というものでしょう。もともと我々には長江のように長きに渡り黄河のように入り組んだ因縁や同盟のよしみがあったのですからねぇ」
そう言って男は風車の上のレキ、続けて土方さんを見る。
レキは黙ってドラグノフを抱えているし土方さんははっと息を吐くと
「珍しく意見が会うじゃねえか諸葛静幻」
好戦的な目で土方さんが言う。
「いえいえ、公安0・・・というより鈴・雪土月花のチームにはいろいろと痛い目に会わされてましたからねぇランパンは」
「できることなら私達も戦いたくありません」
そう口を開いたのは信冬だ。
一同の視線を受けても堂々と武田の当主としての言葉を口から出す。
「ですが、シャーロック・ホームズが居なくなり、イ・ウーという抑止力を失った以上、戦乱え私たちが激突することは避けられない。だから、この宣戦会議もシャーロックが生きていた時に開催が決められていた。各大使達、私たちは戦うことを避けることはできない。そういうものです」
結果的にだが・・・シャーロックを排除した以上俺らも無縁とはいかないだろうなぁ・・・
頭突きをかましてシャーロックに勝ったキンジもだし、俺は椎名の家と人脈関連から多分、強制参加か・・・
「では、古の作法に則り、まず三つの協定を復唱する。86年前の宣戦会議ではフランス語だったようだが。今回は私が日本語に翻訳した事を容赦していただきたい。第一項。いつ何時。誰が誰に挑戦することも許される。戦いは決闘に準ずるもとするが、不意打ち、闇打ち、奇術の使用、密偵、侮辱は許される。第二項、際限無い殺戮を避けるため、決闘に値せぬ雑兵の使用を禁ずる。これは、第一項より優先される」
ジャンヌの説明を聞きながら頭の中で整理する。
ようは、現在の戦争みたいに大量の兵士を動員して戦うのではなく一部の戦闘員が決闘方式で戦うということだ。
椎名の家で言うなら一部の近衛と月詠、鏡夜・・・まあ、俺もかな?が敗れた時点で敗北ということになる。
総力戦よりは犠牲も減るから悪い話じゃない。
「第三項.戦いは主に『師団(ディーン)』『眷族(グレナダ)』の双方の連盟に別れて行う。この盟名は歴代の烈士達を敬う故、永代変わらぬものとする。それぞれの組織がどちらに所属するかはこの場での宣言によって定められるが、黙秘、無所属も許される。宣言後の鞍替えも禁じないが誇り高き各位によりそれに応じた扱いをされることを心得よ。続けて連盟の宣言を募るが・・・まず、私達イ・ウー、ダイオ・ノマドは師団となることを宣言させてもらう。バチカンの聖女メーヤは師団。魔女連隊のカツェ・グラッセ。それとドラキュリア・ヒルダは眷族。よもや鞍替えはないな?」
ルールは以上らしい、ジャンヌがメーヤさん達に話しかける。
「ああ、神様再び剣を取る私を御許しください」
メーヤさんは十字を目の前で切って
「はい、バチカンはもとよりこの汚らわしい眷族共を伐つ師団。レギオ・ディーンの始祖です」
白い手袋をした手でカツェ達を指差す。
「ああ、あたしも眷族だ。メーヤと仲間になんてなれるかよ」
「聞くまでもないでしょうジャンヌ。私は生まれながらにして闇の眷族――眷族よ。ローズマリーあなたもでしょう?」
「黙秘いたしますわ」
「黙秘するということは中立という立場になる。それでいいのだな?」
ジャンヌが聞くとローズマリーは頷いた。
「ええ、ですが眷族よりの中立と思っていただけると幸いですのああ、でも」
ローズマリーは俺を見てくる。いつもの笑顔で
「優希が私のものになっていただけますなら師団でもよろしいですの」
「笑えねえ冗談だなローズマリーてめえなんかと仲間になることはねえよ」
メーヤさんがカツェを敵視するように俺はこいつを敵視する。
「残念ですの」
ローズマリーは人差し指を唇において物欲しそうにして言った。
「玉藻。あんたは眷族でしょ?」
ヒルダはローズマリーの返答を予想していたらしく続けて狐耳の少女に声をかける。
「すまんのぉヒルダ。わしは今回師団じゃ。未だ仄聞のみじゃが、今日の星伽はキリスト教会と盟約があるそうじゃからの。パトラ、お主もこっちゃこい」
「タマモ。かつて先祖が教わった諸々のこと、妾は感謝して居るがのぅ。イ・ウーダイオの優等生には私怨もある。イ・ウーイグナティスは眷族じゃ・・・ああ、お前はどうするんじゃカナ?」
「創世記41章11『同じ夜に夢を見たが、そのどちらにも意味が隠されていた』―私は個人でここに来たけどそうね。無所属とさせてもらうわ」
「そうか。それが道理なんじゃろうなぁ」
しょうがないなぁという感じでパトラの額をつついてパトラが赤面している。
カナさんは無所属か・・・
キンジの方を見てみるがキンジも複雑そうな顔してるな。
「ジャンヌ、リバティメイソンも無所属だ。しばらく様子を見させてもらう」
そういうのはトレンチコートを着た男だ。
リバティーメイソン・・・あいつは来てないのか・・・
「LOO」
ん?さっきのロボットみたいな奴か?
「LOO LOO」
日本語でしゃべれ何言ってるんだ?
PADもどき?ロボットもどき?ああ、LOOでいいやもう。
「LOOよお前がアメリカから来ることは知っていたが私はお前のことをよく知らない。意思疎通の方法が分からないままであればどちらの連盟につくか無所属とさせてもらうがいいな?」
「LOO」
とそうだと言わんばかりに姿勢を変える。
自律型じゃなくて中に人間が入ってるのか?大きさ的には入れそうだが・・・
「ジャンヌ。椎名は師団だ。それが昔からの盟約」
鏡夜の言葉にジャンヌは頷いた。
ジャンヌには無視されてないな鏡夜・・・
「同じく武田は師団を宣言します。私達武田も古の盟約を順守します」
信冬も師団かこいつは心強い
「主戦場になる日本での公安0は中立だ。基本的に公安0はこの戦役には不介入を宣言する」
土方さんは中立・・・そりゃそうか・・・国家として公安0がこんな戦いに出ることはできないんだろう。
「だが、お前らがこの国で悪事を働くのなら容赦はしねえ。それは、師団だろうが眷族だろうが関係ねぇ。全員、公安0が潰す」
その殺気は数々の死線をくぐってきた土方さんだからこそ出せる殺気だ。
さすがだな
「それと、俺は公安0としてではなく鈴・雪土月花としての参加を宣言する。所属は中立だが師団よりだと思ってくれていい」
「眷族!」
土方さんがしゃべった直後一際大きな声がその場に響き渡った。
見るとぼろぼろの黒い服を着たじいさんだ。
じいさんは血走った眼で土方さんをぎろりと睨んで
「誰にも手出しはさせん・・・土方歳三だけはわしが殺す」
怨霊という言葉が思い浮かぶ。
なんなんだあのじいさんは・・・狂気じみた殺意もそうだが土方さんへの憎しみ方が半端じゃない。
「あんたは・・・」
土方さんは何かを言いかけたが続けずに黙る。
「許さんぞ土方!貴様だけは・・・貴様だけは・・・」
信冬は何か知っているらしくそちらと土方さんを見てから言う。
「北条は眷族ということらしいですジャンヌさん」
北条?確か、椎名と武田に並んだ日本の裏社会の武家だったはずだが何年か前に滅びたと聞いたが・・・
「土方ぁ・・・お前さえ・・・お前さえ・・・」
ぶつぶついってたのは土方さんへの恨みごとか・・・相当な恨みを買っているようだな・・・
「―眷族なる!」
そのじいさんの後ろで元気な声をあげたのは虎島の毛皮を着た10歳くらいの女の子だ。
自分より大きな斧をぶんと振り回さなかったら場違いとしか言えないぞ・・・
200・・・いや、300はあるかあれ?しかも片手で・・・
「―ハビ眷族!」
一瞬見えたが角みたいなのが頭に見えた。
なるほど、あいつも化け物系か
「遠山バスカービルはどちらにつくのだ?」
とうとう、来たか・・・いつか、聞かれるんじゃないかと流れ的に思ってたが・・・
ジャンヌの言葉にキンジが慌てている
「な、なんだ?なんで俺に振るんだよジャンヌ」
「お前はシャーロックを倒した張本人だろう?」
間違えてはいないよな。俺は戦いはしたが倒したのキンジだし
「い、いやあれはどっちかつーと流れでアリアを助けにいったらたまたまシャーロックが居たっていうか・・・」
「この宣戦会議にはお前の一味。最近、バスカービルという名前がついたがそのリーダーの連盟宣言が不可欠だ。お前たちはイ・ウーを壊滅させ私たちが再び戦わせる口火をきったのだからな」
「ま、待てバスカービルってあれは学校にだした。ただの、学生武偵のチームだぞ!お前らみたいな連中とは違う!それに、俺はリーダーと言っても名前を貸してるだけの・・・」
「遠山やったのだ。やったのならその責任を取れ。男だろう」
「ふざけんな!おい、優お前もなんとかいえ」
俺に振るのかキンジ・・・
「バスカービルのリーダーはキンジだろ?俺リーダー向きじゃないし」
しれっと言ってやる。
どうせ、俺はもう逃げられないから巻き込んでやろう。
まあ、俺が何もしなくても逃げられないんだろうが・・・
「どうしろっていうんだ!」
「師団か眷族生き残れそうな方に付け」
ジャンヌが言った時俺は少しだけ慌てて
「眷族はないぞキンジ。敵だらけだし味方が全員敵になる」
信冬やメーヤさん達と戦いになると思うとぞっとする
「お・・・い・・・」
キンジは何も言い返せずに口をぱくぱくしている。
「フフフ、優希とセットなら歓迎しますの」
とローズマリーがキンジを勧誘してくる。
「冗談が好きねローズマリー。聞くまでもないでしょ?遠山キンジ、椎名優希。お前たちは師団それしかありえないわ。お前たちは眷族の偉大なる古豪。ドラキュラブラド。お父様のカタキなのだから」
キンジが迷ってる。
となると俺がいうしかないのか?中立という手もあるができれば味方が多い師団がいい。
それをキンジに言おうとすると
「それではウルスが師団につくことを代理宣言させていただきます」
レキ・・・
「私個人はバスカービルの一員ですが同じ師団になるのですから問題ないでしょう。私が大使代理になることは既にウルスの許諾をいただいています」
レキがそこまで言った時諸葛静幻がにやりと笑い
「ランパンの大使諸葛静幻が宣言しましょう。私たちは眷族。ウルスの蕾姫、椎名の後継には先日ビジネスを阻害された借りがありますからねぇ。では、あなたはどうしますかGⅢ」
俺の意思無視しやがってとキンジの声が聞こえてきたがとりあえずそのGⅢの方を見る。
「詰まらねえことを聞くな。答える気もねえ」
「では無所属ということになるがいいんだな?どちらかに属せば少なくても今いる我々の半分は敵にならずに済む」
ジャンヌの言葉にジ・サードはぺっと脇に唾を吐いて
「敵だぁ?笑わせんな。今、最近てめえらの周りに強そうなのが出てきてるから様子を見に来ただけだ。この中で俺が戦いたい奴は1人だけだな」
そう言ってジ・サードが見たのは・・・
やはり、月詠か・・・俺の知る限りRランクはこの中では・・・ん?ジ・サードっていやまさか・・・
「Rランク1度殺ってみたいと思ってた」
「あらあら、困った子ね」
月詠はにこにこしながら薙刀をひゅんと振りかぶる。
にらみ合いが少し続き
ジ、ジジジと蛍光灯の切れかけみたいな音と共にジ・サードの姿が消えていく。
「言ったろ。今日は様子見だ。いずれまた、くるぜ」
見る間に半透明になり消えてしまった。
今思い出したがジ・サードはRランクだったはずだ・・・
Rランク対Rランクなんて事になってればタダじゃ済まなかったかもしれない・・・
「下賤な男。殺す気も失せる」
夜なのに日傘をさしたヒルダが言う。
「ねえねえ。希ちゃんはこないの?」
またか・・・再び気配も感じさせずにう後ろに回り込んだひょっとこのお面。
しかし、希ちゃん?
「姉さんは来るか分からないけど・・・」
なんとなく俺は空を見上げた。
ほとんどの組織が連盟を選んだタイミング。
あの人が来るなら
ドオオオオンと地面が爆発するような音と共に誰かがいきなり俺達の前に降り立った。
何の前触れもなく・・・
「ハハハ!」
と笑いながら豪快に現れたのは世界最強の姉さん。
「あら、希ったら豪快ね」
とカナさんが笑ってるのをちょっと見てから俺は姉さんに声をかける。
「いつもながらに突然だね姉さん」
だがまあ、分かるんだよな・・・この場にいる全員が最大限の注意を姉さんに向けた事を・・・
アメリカ軍を壊滅させた・ソ連軍の侵攻部隊を壊滅させてソ連を崩壊させた。
ヤマタノオロチを蹴飛ばした。
世界を救った。
本当に数えればきりがないこの人の最強武勇伝は一部を除いて真実。
真のバグ的存在の姉さんは宣戦会議にどんな影響があるのか・・・まあ、見守ろう。