緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第203弾 鏡夜VS覇王―絶望の戦い!そして、彼は来る

椎名の家は姉上か兄貴が継ぐのが必然、俺に回ることは絶対にないと思っていた・・・

「椎名の次期当主は鏡夜あなたです」

そう、母上に言われた時はどこか納得してしまった。

姉上は女であると同時に死に、兄貴は許されない罪を犯した。

「はい・・・」

だからこそ俺は兄貴達に負けないように強くなろうと思い努力してきたんだ・・・

「鏡夜!起きてぇえええええ!」

っ!

瞬間的に後ろに飛ぶように体を移動させた瞬間ズンという音と共に床が切り裂かれた。

「へぇ」

感心するような声の方を見ると左肩に星伽粉雪を抱えた水の姿。

床には根が隕石のクレーターのように穴を開けている。

「腕一本ですまそうとしたんだけどな。愛の叫びは偉大って奴?」

「そんなものじゃない。そいつを離せ!」

くらくらする頭を振りながらどうにか焦点を合わせる。

「アハハ、やだよ力ずくでやりなよ弟君」

星伽粉雪はばたばたと暴れているが水はまるで、暴れていないものを持つように平然としている。

「放して!放しなさい!」

「だってさ、この状況じゃ片手で戦わないといけないよね」

そういいながら根を前に出す水、完全になめられている

居合いのモーションから突っ込みながら

「飛流一式断風!」

周りの席を切り裂きながら居合いからの攻撃

だが、水はそれを片手の根で受け止める。

金属音と共に押し合うが力は相手が上だ。

「っ!」

刀を引き切りかかるが水はそれを全て迎撃した。

いくら軽いとはいえ、星伽粉雪を抱えたままの相手に手も足も出ない

兄貴はこんな化け物と戦っていたのか

 

「終わり?」

後退した俺に水は余裕の笑みで問うてくる。

「まだだ!」

世界最強の姉上には鍛えてもらえなかったが近衛達との鍛錬はしてきた。

勝てたことはないがRランクの月詠とだって・・・

「ん? そう了解」

耳につけている通信端末に水は言うと俺を見て笑う

「アハハ、弟君、時間切れだよ」

「何!?」

「追ってくるならまだ、望みはあるよじゃね」

そういった水は根を上振り上げるとドオオオンと爆発的な音と共に天井に穴が開き星伽粉雪を抱えたまま穴から

外に飛び出した。

一瞬、星伽粉雪と目が合う。

その目が示していたのは一つだ。

『助けて』

放っておいてもなんとかなるかもしれない。

だが俺は・・・

「くそ!」

穴から外に飛び出す。

「くっ!」

時速200キロ近い爆風の中なんとかしゃがんでバランスを取り敵を探す

いた

遥か後方16号車に水ともう一人が

「ココ、君たちは作業をしなよ。あの子は私が相手するよ」

「任せるよ覇王」

「了解と」

もう一人の敵はツインテールをなびかせながらパンタグラフの手前に設置された機械で光信号を送っている。

まだ、敵がいるのか?

「さあ、弟君、優希がくるまで遊ぼうか」

「なめるな!」

地を蹴って切りかかるがなんだ違和感が

空を切り水には届かない

 

 

逆の位置に移動したた水は笑う

「アハハ、風の動きを読まないと駄目だよ弟君」

ズンと腹に衝撃が走る

「ガハ・・・」

腹に受けた根の衝撃に吐血しつつも後退する。

「鏡夜!」

星伽粉雪の悲鳴のような声が聞こえてくる。

勝てないのかこいつには・・・

「弟君いいこと教えてあげようか?

「なんだ?」

口からでた血をぬぐいながら呼吸を整え、問うと水は笑う

「君が弱い理由だよ。優希と比べて君は戦闘経験が少なすぎる。所詮は箱入りのお上品な剣術。まあ、剣道とか

と比べればましなレベルってとこかな?」

戦闘経験・・・

兄貴は姉上に連れられて世界を巡った。

小さい頃、話してくれた内容だけでも幾度となく死にかけ命がけの戦いを幾度も越えている。

それに比べて俺は・・・

「君は弱い。そして、才能がない。せいぜいチンピラを圧倒できるレベルのおちこぼれなんだよ」

「くっ・・・」

それを認識した瞬間、水がとてつもなく大きく見えた。

勝てない・・・

そう思いかけた時水が笑った気がした。

「勝手なことばかり言わないで!」

「ん?」

水が左肩に抱えている星伽粉雪を見る。

「何かな?」

「そんなことこれからの努力しだいで分からないじゃないですか!なんで、そんな決め付けるようなこと言うんです!

おちこぼれが天才を倒すことだってあるんです!」

「アハハ、分かるんだよ粉雪ちゃん。武器を交えれば大体の才能は図れるもんなんだよ私レベルになればね」

「そんなのあなたが勝手に言ってるだけじゃないですか!鏡夜は強いんです!」

 

「少なくても今は私に勝てないよ。これは絶対。私両手使ってないしね」

「っ・・・でも・・・でも・・・う」

グスと風にまぎれて泣き声が聞こえた気がした。

言葉が見つからないんだろう。

最初からこいつとの出会いは最悪だったし、会ったのもせいぜい数回だ。

だというのに・・・

「粉雪。今助けてやる」

刀を握る手に力がこもる。

暴風に抗って新幹線の上を走る。

水との距離は5メートルほど。

「無駄だって言ってるのになぁ」

根を右に振りかぶる水

そのままなぎ払うつもりだ。

その動作一つとっても速い。

だが、俺には見えていた。

確かに、こいつは速く重い一撃を放つだが

両手で刀を持って水の根を完全には受けず横にずらす。

火花が飛び散るが水の根が空を切った。

「!?」

驚いたように目を見開く水

ここが最大にして最後のチャンス

「うおおおおお!」

ためらいも迷いもない。

バランスが崩れているから技も使えない。

だからこその最大の攻撃突き

「へぇ」

「きゃ!」

「なっ!」

3つの声が重なった。

水は粉雪をぽいと投げたのだ。

空中に投げ出され落下する先は・・・

「くっ!」

突きのモーションをやめ全力で飛んで粉雪の手を掴むが絶望的な落下が俺を襲う。

 

「くそ!」

右手に粉雪を左手の刀を思いっきり新幹線の車体に突き刺した。

突き刺した部分は新幹線の右側だ。

風でなびく旗のように俺たちは上下に揺れている。

左手を離せば地面に叩きつけられて死ぬか新幹線の走行に巻き込まれて死ぬだけだ。

「おやおや。しぶといねぇ。粉雪ちゃん無視したら一矢はできたのに」

新幹線の上から覗き込むように水が言う。

「黙れ・・・」

「き、鏡夜・・・」

「心配するな放したりなんかしない絶対にな」

「おお!かっこいい!」

心底腹が立つこいつの言動は・・・

だが、この状態では反撃はおろか動くことも・・・

「さて、問題でーす。その刀にこれをぶち当てたらどうなるでしょう?」

「なっ、やめろ!」

根をとんとんと手に当てながら水は根を振り上げる。

「さよなら弟君、粉雪ちゃん」

「お姉さま!」

もう駄目なのか・・・

そう思ったときだった。

「わっ!」

唐突に水の姿が消えた。

続いて銃の発砲音が聞こえてくる。

なんだ?

「ちぇ、弟君にとどめさすとこだったのに邪魔だなぁキンジ君」

「それは悪いことをしたね。だけどその2人は友達の大切な弟と妹なんだ。見逃すわけにはいかない」

「アハハ、ヒステリアモードのキンジ君かっこいい!アリアちゃんでなったの?」

「教えてあげたいところだけど時間もないからノーコメントにしておくよ」

この声、遠山キンジ・・・

 

「鏡夜様。粉雪さん!」

唐突にふわりと体が浮いた気がした風に押し上げられる感覚。

そうかこれは・・・

新幹線の上に降りると遠山キンジと水が対峙しておりその後ろには秋葉か・・・

「大丈夫ですか?」

こちらに駆け寄ってきて秋葉が言ってくる。

「すまない助かった」

「いいえ、粉雪さんは?」

「あ・・・」

助かったと力が抜けたのだろうその場に粉雪はへたり込んでしまった。

「こ、怖かった・・・」

「もう、安心してくださいキンジ君もいますし私もいます」

そういって立ち上がった秋葉は振り向きざまに槍を振るった。

「キヒ!」

青龍刀と槍が激突し、もう一人のココは足のスパイクを鳴らし獣のようによつんばいになる。

「なるほど双子ですか」

「パオニャン!覇王!キンジ、近衛出てきた!」

「私はキンジ君相手するからよろしく」

「メイメイ抑えろ!」

3人は中国語で呼び合い位置を移動してくる。

後方車両で何かをしていたココが遠山キンジと水の戦いの間を抜けて接近してきた。

挟み撃ちにされた格好だ。

「くっ!」

激痛に耐えながら立ち上がると刀を構える。

粉雪を挟んで秋葉vsメイメイ、俺vsパオニャンという構図だ。

戦闘が開始されステルスが不安定な秋葉は風を使わずに槍で迎撃する。

遠山キンジと水の戦いも続いているがそちらを気にする余裕はない。

水との戦いですでに満身創痍と言っていい状況でほとんど体力を使っていないココ・・・いや、パオニャンが相手

パオニャンがサブマシンガンUZIをこちらに向けて発砲する。

銃弾切りで切り落とすが何発か防弾製の服に食らってしまう。

「くそ・・・」

 

後ろには粉雪がいるほとんど動くことは出来ない。

「椎名の出来損ないお前に用ないね」

再びUZIから銃弾がはじき出される寸前パオニャンは衝撃を受けたように一瞬動きが止まった。

すかさず切り込むが猫のように俊敏にパオニャンは後退する。

一瞬、後ろを振り返るパオニャン

そこは、両手を使って根を使う水と遠山キンジの戦場だ。

「他人の心配なんて余裕あるねぇキンジ!く!ん」

「それほどはないよ」

とかろうじて根をかわしつつ距離を取りながら名前は知らないが大型の拳銃と西洋式の剣を使い俺が歯が立たなかった

水と互角にやり合っている。

これが経験の違いと言う奴か・・・

「どこみてるね出来損ない!」

パオニャンが動くより先に俺は動いた。

圧倒的な殺気を当てて相手の視界を歪ませる

「零式陽炎!」

「見えてるね!」

ババとマズルフラッシュの光が見え再び衝撃が走る。

「げほ・・ぐっ・・・」

もう、どこが痛いのか分からないぐらいの激痛に体から力が抜けるが刀でかろうじて倒れるのを防ぐ

「鏡夜逃げてぇ!」

粉雪の声が後ろから聞こえてくる。

「出来損ない。根性だけは認めてやるね。でも、これで終わりよ」

なんだ?香水瓶?

嫌な予感がする。

まさかあれは・・・

兄貴に聞いた話を思い出す

レキを怪我させた正体の推測を兄貴は言っていた。

気化爆弾のシャボン玉

避けるか?駄目だ迎撃も出来ないし逃げ場もない。

「爆泡小龍鎖」

駄目だ・・・体が動かない・・・せめて、こいつだけでも・・・

 

ビシュビシュ

「あう!」

パオニャンの手から香水瓶が落ちて新幹線の上から落ちていった。

遠山キンジか?いや、違う

今まで気づかなかったが風の音に混じって何か聞こえる。

これは、ジェット機の音か?

その時、耳につけていたインカムから声が聞こえてくる。

あの忌々しいあいつの声が

「いやータイミングぎりぎりとかどこのヒーローだよ」

こちらに接近してくる飛行物体。

ジェット機じゃない?なんだ、あれは?

「ゆ、優か!」

「優君!」

「優希様!」

それぞれに声が入ったらしい驚いて敵も含めた全員が音の方に顔を向けている。

「おう、レキもいるぜ。てか助けたのはレキだけどな」

「・・・」

完全に見えた。

新幹線と併走するようにまるで金属の鎧、巨大なブースターのようなものを背負った兄貴がとレキ・・・

ヘルメットをかぶっているが口は笑っている

「おお!すごいね優希ヒーロー登場って奴だ。何その乗り物」

「へっ、ちょっと京菱グループの試作機をな。PADって奴らしい」

SIDE 優希

「へー、来ると思ってたけど予想外のもので来るよね相変わらず」

新幹線と併走しながら水と会話する。

間一髪ってやつだがさてどうする?

着陸のこと考えてなかったからな・・・

燃料の残りはあとわずか、加速も後1回か2回しか出来ないか。

試作機なだけに燃料かなり食うなこいつは・・・

「優さん」

「おう!」

 

先端科学の鎧PAD試作型を操り新幹線の上空を飛びながら俺とベルトで固定されている包帯だらけのレキがドラグノフを発砲する

ビシュ

「あう!」

がくんと秋葉と交戦していたメイメイがのぞけり踵を押さえて崩れ落ちた。

おお、アキレス腱だけ狙って撃ったのか

てかそろそろ燃料がやばい

それに燃料を節約してるからこれ以上新幹線に加速されたらアウトだ。

「優!前にトンネルよ!避けなさい!」

PADの通信機にアリアの声が聞こえてくる。

新幹線の上にはいないから中か?

って!トンネルの上は山かよ!

乗り越える燃料なんて残ってねえぞ!

「優!後10秒で加速だ!300キロ越えるぞ!」

キンジの声が聞こえてくる。

了解ってうお!

俺たちを近づけないためかパオニャンが腰に構えたUZIを連射してくる。

それをレキのドラグノフが弾き飛ばした。

ナイスレキ!

300キロという高速では判断力を誤れば死だ。

男は度胸!やるしかねえ!

「レキ突っ込むぞ!」

「はい!」

レキの返事を待たずにPADを斜めに向けて高速で新幹線に突っ込むトンネルはもう、目の前に迫りつつある。

こいつを背負ったままじゃ着陸できねえなら!

ボタンを操作して操縦席から離れる。

レキを抱えながら空中に投げ出されるが足のワイヤーを新幹線の天井に激突させて高速で巻き戻す。

トンネルは100メートルもない。

「いけええええええええええええ!」

叫びながらレキと新幹線の上にだんと着地するのと新幹線がトンネルに入ったのはほぼ同時だった。

ばんと気圧が変わり肺が破裂しそうになる。

レキと一緒にその場に伏せトンネルを抜けるのを待つ間後ろから爆発音が聞こえてきた。

多分、というか絶対にPADが爆発した音だよあれ・・・京菱グループの開発者達怒るだろうなぁ・・・

無理やりって鈴さん言ってたし

「優!レキ」「兄貴」「優君レキさん」「椎名の後継、ウルスほ姫」「優希、レキちゃん」

それぞれが俺の名前をトンネルを抜けると再び言ってくる。

「お待たせ椎名優希!とレキただいま到着ってな」

 

戦場の真ん中で俺は高らかに言い放った。

 




と言うわけで優登場です!
この優が乗ってきたpadは説明が入りますから説明します。
これは緋弾のアリアの物語の後の時代の【やがて魔剱のアリスベル】というラノベのヒロイン京菱キリコが操る先端科学技術の鎧です。
優が乗ってきたのはキリコのpadよりも大型でミサイルもついていません。
どちらかと言えばisに、近い外観ですが設定はpadの試作型です。

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