緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第192弾 レキデート京都編後編

正直な話、もうちょっと神戸で遊んでいたかったが暗くなったら宿を取っている京都に戻るのがしんどくなってくるので

早々に京都に戻ってきた俺とレキ、時刻は午後17時を回ろうとしているがまだまだ、熱い今の時期そ空はまだまだ、明るかった。

「ちょっと、休んでいこうぜ」

と、近くの店頭で和菓子を食べられるらしい赤いマットがしいてあるベンチに腰掛けて団子を注文する。

レキにそれをおごるとレキはそれをひょいぱくひょいぱくと相変わらず一つを食べて一つを消化していくという

なんとも楽しみのない食べ方をしている。

1度それも、注意したほうがいいのか?

と、団子を片手に携帯電話を取り出した。

キンジは確か、アリアに引き回されてるだろうから向こうの様子聞いてみるか?

ん?メールか?

『差出人:水

件名:どこいるの?

本文:今、京都駅の前にいるんだけど一緒に少し遊ばない?』

時刻はつい1分前か

「・・・」

俺はレキを見てから

水とレキが鉢合わせしたとこを考えてみた。

どうやら、2人は相性が悪いらしくなにやら、レキの風とやらも水が危ないという脳内設定を決めているらしい

あいつ、悪い奴じゃないのにな強いし

俺は、携帯のメールの返信ボタンを押してから

悪い今日は無理なんだごめんなと送っておいた。

するとすぐに

『気にしなくていいよ』

とだけ返ってきた。

まあ、これ以上続けることもないだろう

「・・・」

うお!

レキがジーとこちらを無表情で見ている。

「な、なんだよ」

「今、別の女の子のことを考えていましたね?」

「えっと・・・まあなんだ・・・うん」

レキの手に持っているお団子の串が何か怖いので俺がそういうとレキは

「他の女の子のことは考えず私だけを見てください」

美少女にそういうこと言われたら完全に惚れられてるって舞い上がるよな普通・・・

でも、そんな状況じゃねんだこれ・・・

はぁと息を吐いてから

「あのな、レキ1度言おうと思っていたことがある。俺はアリアや理子、秋葉、マリや他の女の子、もちろん、

必要なら男だって助けを求められたらよほどのことがない限りは助けるために動くぞ」

「知ってます」

「だったら・・・」

「風は言っている。あなたのその行動は必ずよくないことを引き起こす」

「それは俺が死ぬってことか?」

「それは分かりません。 ですが、風はアリアさん達に関わらないよう言っています」

堂々巡りになるかやはり・・・

「なぁ、レキその風の声を聞くのをやめろ」

「それはできません」

「命令と言っても?」

レキは頷いた。

無表情だがこれが絶対という信念のようなものを感じながるな

「風は私の全てです。その命令は聞けません」

まあ、ここではい、聞きませんと言うとは思ってなかったがううーん・・・冗談抜きで計画は失敗しそうだ。

となると、力ずくで排除するという選択肢も考えざる得ないんだが・・・

まず、間違いなく姉さんが敵になる・・・

あの人、自衛隊だろうがアメリカ軍だろうが本気になればまず、止めることは出来ないだろう。

世界中のRランクが束になってかかっても果たして・・・

なんで、姉さんレキとくっつけたがるんだろう?

アリアの時以上に理由があるように感じてしまう。

「・・・」

無表情で隣を歩く私服姿のレキ

お前には・・・どんな秘密があるんだろうな・・・

レキ

                    †

RRRの連中に絡まれるのも嫌だったので俺は京都の北東、比叡山の森の方にあるしなびた民宿に宿をとっていた。

実家に行くのもありといえばありだし咲夜にも会えるので一石二鳥なわけだがそれは出来ない。

泊りがけで行くとまた、周りが俺のことを変な目で見るだろうしレキと2人で戻ってしかも、許婚だなんて

言ってみろ。

姉さんがやったんですなんて言い訳は通じないぞ。

なので、椎名の本家からは遠いこの場所を選んだんだ。

公的には、神戸の虎二の家に泊まるように細工はしてあるがどこまでだまされてくれるか・・・

がらがらと扉を開けた瞬間

「おお!優希じゃん!」

と、浴衣姿の水がアイスをくわえてこちらを見ていた。

「す、水か?なんでお前ここに?」

水はにっと人差し指を口に当てていたずらっぽく笑いながら

「さってね?」

「凰、椎名達は・・・むっ!おおおお!なんとお美しい!」

「む、村上!?」

RRR会長、村上正だった。

なんでこいつがここに?つか、なぜ水と?

デジカメを取り出した村上は水がいたためか俺の1歩先に出ていた私服姿のレキの写真を撮る。

まぶしいだろうが!

「おい!」

「村上君、今はそれおいとこ」

「むぅ、椎名が少し映ってしまったがいたし方あるまい」

「というかお前ら!」

どうやって調べやがったと言おうとした時

「あらあら、お客はんどうなされたん? あら?」

奥から以外に若い女将さんが出てきた。

「あ、予約しておいた椎名です」

と俺が簡潔に言うと

「あらあら、じゃあ、後に来るカップルってあなた達?」

か、カップルだぁ?

「そうですよ。 今、東京武偵高の名物カップルといえばこの2人なのです」

す、水お前何言って!

「・・・」

こ、こんな時、一番騒ぎそうな村上が何も言わない。

どうしたんだ?

「ぐるおん!」

 

うわ!

どーんと体当たりしてきたハイマキだ。

明らかに怒ってるぞ。

置いていったことうらんでるのか?

「ハイマキやめなさい」

ちっと人間ならいいたそうなハイマキはレキの横についた。

「その子大人しいわんちゃんで助かりましたわうふふ」

猫かぶりしてたなお前!というか狼ですから!

「それにしても、みなさん同じ学校なら部屋一緒にします?」

「私は優さんと同じ部屋に泊まります」

と、水を警戒しているのかレキが言う。

「じゃあ、私も優希と・・・」

と水が言いかけると

「拒否します。あなたは危険だと風が言っています」

「おお、出た万能風電波」

困ったねぇと水は俺を見ると

「ま、私は別に誰とくっつこうがいいんだけどね」

引っかかる言い方だな。

まぁ、俺はアリアに失恋したばかりだしレキはまあ、気になるが風の件があるうちはそういうこともないと・・・

思う。

「んじゃ、優希明日私に付き合ってくれない? レキさん同伴でいいからさ」

「ああ、悪い水明日は・・・」

実家に少し顔を出して咲夜に会っていく予定だ。

泊まらないけどな

「ふーん、まあいいよ」

あっさりと引き下がったな・・・

「ではな、椎名、失礼しますレキ様」

「じゃあねん」

2人して行ってしまったがなんだったんだ?

 

「あらあら、何やら複雑な関係ですねお客はん」

「ハハ、まあ・・・」

狙撃拘禁されてます

「このお兄はんは彼氏さん?」

とレキに聞くとレキがこくりと頷いた。

もう好きにしてくれ・・・

「ままぁ!うふふ。私佐織と言います。さ、部屋に案内します」

とルンルンと嬉しいのか前を歩いていった。

             †

案内された西陣の間は畳も新しい8畳の豪華な部屋だった。

あれ?

「沙織さん確か俺が予約したのって・・・」

もう少し安い部屋だったはずだが・・・

「今日はこの部屋泊まるお客はんいないんです。このお部屋使ってください」

「り、料金は?」

「変わりありませんよ」

えまじ!やったぁ!

「じゃあ、お言葉に甘えて

「うふふ、ごゆっくり」

ぱたんとふすまが閉まる。

レキとの共同生活では特に何もなかったから大丈夫だろう・・・

多分

             †

その後、女将さんが出してくれた夕食をレキと並んで食べているんだが・・・

レキは白米を全部食べ、次にてんぷらを全部食べ、それから刺身、それから味噌汁を一気飲みしてしまった。

なんだかなぁ・・・その食べ方絶対おいしく食べれてないだろう・・・

何か方法ないかなぁ・・・

♪♪♪

ん?電話か?

行儀は悪いが茶碗を置いてから通話ボタンを押す

「はい?」

「どうだ調子は?」

その声を聞くとため息が出る・・・

「まあ、ちょっと異常な修学旅行だよ姉さん」

「レキといいことしたか?」

明らかにからかってやがるこの姉!

「しねえよ! それより姉さん今、どこにいるんだよ!」

「んん? ソマリア」

何やってるんだよ・・・世界一トップクラスの治安が悪いとこじゃないか

アフリカの地図を思い浮かべながら俺はため息をついた。

「土方さんが1度会って話したいって」

ついでに土方さんの伝言を伝えとくと姉さんは沈黙し

「怒ってたか?」

「いや、どうだろう? 雪羽さんにもあったよ」

「おお!雪か!元気だったか?」

「いい、奥さんしてたと思うけど・・・」

「そうか・・・」

懐かしむような姉さんの声を聞いて

「1度姉さんの元チームメイトに会ってみたら?」

「そうだな。考えとく」

いつもの、調子を少し崩している姉さん。

やはり、昔のチームメイトは特別なんだろう。

チームメイトと言えば俺、レキと2人だけのチームになるのか・・・

多数のチームって少しあこがれてたんだけどな・・・

漠然と俺、キンジ、アリア、理子、秋葉、レキというチームを考えてたんだけどもう、時間的に無理だろう。

「そこにレキがいるなら変われ」

レキに?

話をそらすように言われたが

「レキ、俺の姉さん」

と携帯を渡すとレキは俺の携帯電話を耳に当てた。

そして、はい、いいえだけを何度か繰り返した後、俺に携帯を返してきた。

「何、話してたの姉さん?」

「内緒だ。じゃな」

電話が切れてしまったのでレキに聞こうかと思ったが内緒といわれた以上、レキに聞いてもおそらくは教えてはもらえまい。

にしても、ソマリア・・・相変わらずだがそうか、姉さんは今、日本にいないのか・・・

まあ、ここは京都、椎名の本家もある近くで襲撃もないだろう。

心配なのはアリア達だがこれも、秋葉がいるから大丈夫なはずだ。

「お客はん」

ん?沙織さんか?

「食事がお済でしたらお湯沸いとりますのでどうぞ」

そうだな、風呂行くか・・・

「レキ先に入るか?」

ふるふると首を横に振ったので俺は先にお風呂をもらうことにした。

立ち上がりながらレキを見ると

「レキ」

「はい」

「一緒には入ってくるなよ!」

「はい」

よし言質はとった。

レキがセットした携帯の充電器の横に俺も自分の携帯をセットしてから風呂場に向かうのだった。

はやまったか・・・

旅行という状況での同じ部屋は思った以上に緊張する・・・

とりあえず風呂に入って落ち着くとするかな・・・

 


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