緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第186弾 始業式

9日1日、始業式のその日、俺はレキと隼で登校し、体育館にいた。

武偵最初の高校、ローマ武偵高の制服を模したディヴィーザー・ネロと呼ばれる黒い制服を着るのが

慣習でずらりと、生徒達が並んでいる。

実のところ、結構俺はこの制服好きで、借り物で済ませる生徒も多いが俺は自前のものを持っている。

朝に自分の部屋からこっそり持ってきたがなんとか気づかれなかったよ。

壇上では校長の緑松が武偵の国際協力について話している。

見れば香港や中国からの留学生がちらほら見える。

2学期の終業式は出欠を取らないのでサボりたい奴はサボっていて理子の姿は見えないしアリアも忙しいのか姿が見えない。

お、キンジもいるな。

あいつは、内申点を下げられたくないんだな。

まあ、俺は留学生との刀の交流戦のために出ているんだが・・・

「はい?」

俺はその言葉を聞いて耳を疑った。

「だからね。椎名君。中国の留学生今日着てないみたいなの」

と先生に言われ俺は目が点になる。

「えっと、そうなると単位の話は?」

「普通ならなしといいたいとこだけど。こなかった相手にも責任があるから単位は約束どおりあげるわ」

ふぅよかった・・・

全生徒の前で剣術披露なんてやはり、嫌だからな。

しかし、そうなると暇だ。

俺は秋葉を探したが

「山洞? さっきそこにいたけど?」

「あれ?秋葉さんそこにいたのに」

どうやら風の能力で俺を露骨に避けているらしい気配はするのにまるで補足出来ないのだ。

なぜなんだ・・・

メールで一応弁明はして置いたのに読んですらないとかか?

ちなみに、レキは始業式のセレモニー、狙撃銃などをバトン代わりにするマーチングバンドにでるために

控え室に行っている。

だが、自由ではないのだ。

「ぐるおん」

ハイマキが変なことしたらちくるからなと俺の横にいるのだ。

逃げねえよもう・・・

どちらかといえば拘束されるのはストレスを覚えるな・・・

自由に動き回りたいのは姉さんの影響に違いない。

「優」

「椎名君ちょっといいかな?」

「よう、優ダブらないですんだみたいだな」

キンジに不知火に武藤か・・・

武藤、ひげぐらいそれよ・・・不知火は会い相変わらずきちんとしてるな

「よう、久しぶりだな」

と俺が手をあげると

「優も聞いてくれよ。昨日乱射があったらしくてよ。俺のサファリがぶち抜かれてまた、保険会社に連絡しないといけねえんだ」

は、ハハハ、すまん武藤、お前のだったのかあの車

「そんなことより、椎名君また、女性がらみでトラブルおこした?」

またってなんだよお前!

「まじかよちくしょー!なんでキンジと優ばかりもてるんだよ!」

「俺は関係ないだろ」

「遠山君それ本気で言ってる?」

と突っ込まれてるキンジというか思いあたることは1つ

「なんで知ってる不知火」

俺は不知火の首を掴んで引き寄せるとぐいぐいと首を締め付ける

「ハハハ、聞いたというか聞こえたんだよ。村上君がレキさんと君が同棲を始めたって泣いてたから」

あの野郎!後で血祭りにあげてやる!

不知火はこれが証拠だよとばかりにハイマキの背を撫でている。

「今度はレキか! しかし、分からんな。そこまでお前レキと接点あったか?」

と武藤が聞いてくる。

昔、半年同じ里で暮らしましたとか言うのがめんどいので

「なんとなくだ・・・」

「なんとなく告白したのか?」」

「何!」

武藤が驚いてるが

「おいキンジ!誰が告白したんだ?」

「優がレキに告白したんだろ? 村上が言ってたぞ?」

こ、殺したやる村上!余計なことばかり言いふらしやがって

「で?どうなんだい椎名君?」

「してねえ!誤解だ!」

「そうなのかい?だけど神崎さん荒れてたよ」

「アリアが?」

ぎくりと、俺は硬直する。

失恋したとはいえアリアは俺にとって大切な親友なんだ。

「レキさんに椎名君がとられちゃったと思ったみたいだね」

ややこしいことになりつつあるな・・・

「この時期、トラブルが多いからねギャラバン1とかあるしさ」

修学旅行か・・・武偵高では2年に2回修学旅行が行われる。

1回目は生徒のチーム編成を確定するためのものだ。

漠然とキンジやアリア達とは組みたいと俺は考えてたんだが・・・

ちなみに、秋葉は俺とチームになりたいと言っているのでおそらくは組むことになるだろう。

まあ、9月末までに決めないといけないからあまり考える時間はないんだが・・・

というか、このチーム編成は超がつくほど、重要だ。

登録したチームは国際武偵連盟にも登録されるし組織の協力は組織の枠を超えてよいとされている。

姉さんや土方さん達の鈴・雪土月花もこれに登録されているはずだ。

「夏休みで男女関連がこじれてチーム編成に影響するのは割りとポピュラーだからね。椎名君身辺整理が出来てなかったわけだ」

「うるせえ!キンジはどうなんだよ?」

「俺はアリアに強制的にチームにされそうだ・・・」

とため息をつくキンジ

「武藤は?」

「俺は組む奴大体決まってるぜ? ロジとアムドから集めた兵站チームだ。女子もいるぞ?っても平賀あやだから色気も

ねえけどな」

ふーん、みんなきめてるんだな。

「椎名君はどうするの?やはり、強襲系?」

「俺はそれだけだな。その他はがらじゃないし」

どちらかといえば俺は知より武の人間だからな

一応、アリア達と組みたい話はここではしない。

それとなく、アリアには話してるのだ。

チーム編成一緒にやろうぜと俺からなレキも誘おうとしたんだがなんとなく、話せずにいる状況だ。

「まだ、決まってないな急いだほうがいいよ。次にこれを着るまではさ」

不知火がいったのは防弾制服ネロのことだ。

次にこれを着るのはチームの写真を撮るときだからな。

しかし、大丈夫なのか?

このまま、レキが俺とアリアがチームを組むことを許すとは到底思えんぞ・・・

前途多難だな・・・

                  †

始業式が終わると講堂前の道路ではリトルエヴァの名曲『ロコモーション』に乗せてC組の女子達がマーチングメイドを

はじめていた。

短いプリッツスカートをはためかせ狙撃銃や突撃銃を回してパレードをやっている。

武偵高では自衛隊や警察みたいにイメージアップのためにそれをやっているが左翼が毎年、子供に殺人を教えることをやめよと

くだらない弾幕を掲げて警官に抑えられている。

そんなに、やりたいなら中東か中国にでも行けよと昔の、中東での旅を思い浮かべながらパレードを見ていると

RRRの会員らしきメンバーがレキをとってるな。

ドラグノフ狙撃銃を手にクルクルと回しながら武偵高の制服ではないレアな写真だからなんだろうなとるのは・・・

まあ、いいか・・・

レキばかり見ていてもしょうがいのでその場を後にする。

ハイマキが着いてきてるがどうするかな・・・ワイヤー使えば振り切れるかもしれんが・・・

こいつ、さっきから俺の靴を踏んだり、おしっこをかけようとしてきたので殴るとぐるおんと喧嘩になってしまったりもした。

なんで、狼と喧嘩しないといけないんだか・・・

それに、今日は最悪な日でもある。

武偵高の悪習、水投げの日なのだ今日は、これは校長の母校で行われていた始業式の日は誰に水をかけてよいと

いう馬鹿なルールが曲がったものだ。

徒手なら誰にしかけてもよいというアホなルールになったのがこちらのルールだ。

RRRに襲われるのも嫌なので隠れながら歩いていると

ぷわぷわとシャボン玉のようなものが見え・・・

「!?」

だんとその場から全力で後退した瞬間、ぱちんぱちんとシャボン玉がはじける。

気にしすぎか?

「あいやや、さけるとはおもわなかたね」

「あ?」

なまりのあるその言葉の方を見ると建物の排水パイプに宙吊りになったチビがいる。

「覇王が見込むだけあるね」

キョンシーの衣装と清朝の民族衣装に似た衣装を着た女が降りてくる。

香港武偵高の留学生か?

「きひ」

こいつ、どこかであったか?

思いだ出せない・・・

 

「私(ウォ)ココいうね。お前も名乗るね」

黒のツインテールを揺らしながら言うのを見て俺はアリアに似てるねと思った。

「椎名 優希だ」

「アイヤ!アイヤヤヤヤヤヤ!!」

「酒臭い奴だなそういや、中国では飲酒に制限なかったなガキ」

「ガキ違うね。ココは昨日でもう、14歳ね」

2歳年下じゃガキだよ

「しょうがないよ。ちょっとお試しするよ。姫から離れたらすぐいたいことあるね」

「ああ、はいはい。そうですか」

相手にするのもアホらくしなってきたので俺が背を向けた瞬間

「きひ」

ココの足が俺の手に巻きつき次に首に巻きついてきた。

ぎりぎりと首を締め付けてくる。

俺の馬鹿野郎!完全に油断した!

さらに、ココは首にツインテールの髪を巻きつけてくる。

ココまで着たらもう・・・

「う・・・」

紫電に手を伸ばすが手も締め付けられている。

相手がガキだから油断しすぎた

くそ、下級生に負けたとか情けねえ

「ほれ、出来ない男はおらないね。殺すよ」

ぎりっと力が増す。

こ、こいつ本気で殺す・・・気で・・・

気が遠くなってくる。

ま、まずい本気で死ぬ・・・もう・・・どうしようも・・・

「キヒ、シャンケイケイホー」

グキグキと首の骨が外れる感覚

お、俺はこんなところで死ぬわけにはいかねえ・・・

秋葉のためにもローズ・・・マリーを・・・

(あーあ、しょうがねえな。力を貸してやろうか)

だ、誰だ?

頭に響いたその言葉を聴いた瞬間

ブオンと空気を切る音と共に

「きひ」

と首の圧迫感が無くなった。

「ごほ!ごほ!」

息をすいながら咳き込みながら俺はココを見た。

警戒するようなその視線を追う

「武偵あるもの殺人は駄目だよ・お姉さんがおしおきしちゃうぞ」

日本刀を肩に置いて不適に笑うそいつは・・・

「お、お前」

俺が言うとそいつは俺を見て

「や、久振り優希!」

片目をつぶったそいつは

「す、水!お前」

「鳳(ふぁん)水(すい)。私が相手するよ下級生君」

 


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