緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第185弾 ロボット少女のお部屋2

村上達を置いてやってきたのは女子寮だ。

何度か来た事あるしレキの部屋にも泊まったことはあるがあれは、アリアがいたからな・・・

2人きりで泊まるという事態は出来るだけ避けたかったので

「秋葉を呼んでいいか?」

とレキに言ってみたがレキは首をふるふると横に振った。

援軍の許可は出ないわけですね・・・

まあ、秋葉はビックサイトに行っているだけだからすぐに帰ってくるしその気になれば、探知して俺の居場所を探ってくるだろう。

女子寮の中を俺がいるのはまずいのでこそこそとレキと階段を上がり、レキの部屋の前までやってきた。

寮監のばれたら、やばいからな

中に入ると相変わらず何もない部屋だな・・・

ドラグノフを整備する機材一式とテーブルぐらい

備え付けのクローゼットには多分、下着とかが入っているんだろう。

さすがに代えがないなんてことはないだろうからな・・・

って、何言ってるんだ俺は

一瞬、レキの下着姿を思い出してしまい頭を振る。

拷問だぞこれは・・・

女の子の友達といきなり、同棲みたいなことをして、手を出せばそのまま結婚→レキエンドだ。

レキは・・・こいつは別に嫌いなわけじゃない

個人的には面白い奴だしな・・・

「優さん」

無表情の上目遣いで俺を見てくるレキ

アリアとは違ったかわいさが・・・村上たちがレキに心酔している気持ちが少しだけ分かるぞ

「ここのカードキーです、自由に使ってください」

といってICカードを俺に渡してきた。

結婚に反抗している状態で女の子の部屋の鍵をもらうということがどれほど、危険なの考えてもらいたい。

将棋で言うなら王手を指され端に追い詰められつつある状況だ・・・

とりあえずもらっておこう。

撃たれたくないのでもらっておく

しかしまあ、本当に何もない部屋だな・・・

7月に買った浴衣とかはあのクローゼットの中かな?

流石に開けるわけにはいかないので壁を背にして座ってみた。

「・・・」

レキはすっと、椅子に座るとドラグノフの整備を開始した。

銃は工具で次々と分解されて整備されていく。

マニュアルの類は見当たらないが、自分の使うぐらいはプロならマニュアル無しで整備分解しないといけないのは

分かるんだがな

整備が終わったレキは銃を構えて出来を確かめている。

「優さん今からしばらく出来るだけ息をしないでください」

それは息の根を止めるってことか?

「なんで?」

「呼気中の水分が銃弾に付着して影響があるかもしれませんので」

そういいながらレキは引き出しから梱包された7.62ミリ×54ラシアン弾を取り出した。

また、ずいぶんと神経質だな・・・

とりあえず息をする回数を減らしながらレキの様子を見ていると、レキは手袋をはめ、銃弾を1つ1つ取り出して机に

並べていく。

すごいな、あの銃弾おそらく手作りだ。

机の上に火薬の量を測る天秤まで置いてあるぞ。

俺の銃弾は基本的には武偵弾を覗けば店で買ってるもんだからな。

「・・・」

レキはじーと銃弾を見て20発並んだ中から1つ選び取って残りは足元にあったかごに捨ててしまう。

「それ捨てるのか?」

「ミスファイア・プリンペンジョンです。20発の中からもっとも出来のいい1発を使います」

「もったいないだろ? 全部使えばいいじゃないか」

「不発を防ぐためです」

「そりゃ、たまにはあるかもしれないけどさ・・・」

ちゃんと、銃の整備をして使用していればめったに起こることではないんだけどな・・・

中国製の劣悪品とかなら話は違うが・・・

「私は今まで1発も起こしたことがありません」

「だろうな」

そこまで、慎重にやってればそうそう起こらないだろう。

まして、レキは銃に絶大な信頼を置いているようだ。

「銃は私を裏切りませんから」

といって再び銃の整備に戻ってしまった。

ふーむ、レキを見ていると武器の手入れしようという気になってくるな。

「レキ、ちょっと道具貸してくれ」

といって、俺もデザートイーグルとガバメントの整備を開始するのだった。

               †

がしゃんとレキが選び抜いた弾を満載したマガジンがドラグノフに差し込まれる。

「終わったのか?」

デザートイーグルをばらばらにしたところで俺が言うと

「はい」

といって台所に歩いていってタイと一体化したスカーフを外している。

小型の洗濯機の前までレキは行き、ヘッドホンを外して自分のブラウスを脱ぎ・・・

「ちょっ!おい!」

慌てた俺は腕を部品の当ててしまいがしゃんと部品のいくつかが床に落ちてしまった。

あああ!1つでもなくしたら大変なんだぞ!ってか!

「いきなり人前で脱ぐな!」

「?」

レキは何を俺が焦ってるのか分からないらしく無表情のまま

「これからシャワーを浴びますので」

といって、ブラジャー姿でこちらを見てきたのでがんと机に俺はおでこを打ちつける

絶対に顔は上げないからな!

「肉体が汚れると体調不良に陥ります。そうなると射撃の精度に関わりますので体は常に清潔にしておく必要があるのです」

ジッパーをおろす音と共にぱさという音、スカートまで脱いだのか!

1度レキの裸は見ているがこれはまずい!

「男の前で裸になるな!馬鹿!」

「私は構いませんが?」

「勘弁してくれ」

ここまで恥じらいのない女の子は初めてだよ。

信冬は婚約者といっても目の前でいきなり、服を脱ぐ奴じゃない。

子供の頃秋葉の裸は風呂で見たことはあるが高校生になって裸になり怒ってこない奴なんて初めてだ。

「ハイマキおいで」

布の音から全部脱いだらしいレキはハイマキと風呂場に入りシャワーを浴びだしたようだ。

顔を上げて部品を拾い集めながら

「どうしよう・・・」

泣きたい気分とはこのことで、困ったことに俺は青春真っ盛りの男の子、風呂に裸の女の子が入っているという状況で

正常な考えが保てるわけがなくデザートイーグルを組み終えたのはレキが出てくる直前までかかってしまった。

襲撃受けてデザートイーグルだけなら死んでたかな俺・・・

                     †

その後、レキが出た後の風呂場にちょっとどきどきしながらシャワーを浴びた後、机に再び座っていた。

レキのほうを見ると洗った制服を着て体育座りしているな。

私服はないらしく、制服を何着か来回ししているらしい。

武偵高の制服のスカートは短い、1回白いものが見えたときは悲鳴をあげそうになったが・・・

「もう助けてくれ・・・」

とつぶやきながら秋葉にメールを送ってみた。

しばらくしてから

『何かありましたか?』

と秋葉からメールが返ってきた。

ので返信する。

『ちょっとな。お前は今部屋か?』

『はい、理子さん達とさっき別れて返ってきた所です』

『そうか』

『優君は今どこにいるんですか?』

ん?違和感を感じたので

『風で探知したらすぐ分かるだろ?』

『最近、ステルスの調子がよくないんです』

『体調悪いのか?大丈夫なのか?』

しばらく、待ったが返事がない。

『今からお前の部屋行くからな』

とメールを打って立ち上がる。

「レキ」

体育座りのまま、レキがこちらを見てくる。

「秋葉のところにちょっと行って来る。お前は先に・・・」

寝てろといいかけたが

「では私も行きます」

と立ち上がる。

い、いやそれはまずい気がする。

「いい!俺一人で」

チャキとレキはドラグノフを俺に向けた

「逃がしません」

うん、レキ花嫁は夫に従うものですからとか言っておいて・・・

「分かったよ」

とレキに同行してもらい女子寮の中をこっそりと移動する。

秋葉の部屋は実はレキの部屋から結構近い3つ隣があいつの部屋だ。

オートロックのドアだが少しだけドアが開いている。

「秋葉!入るぞ」

とドアを開けた瞬間

「え?」

まず、飛び込んできたのは白だった。

前かがみで携帯の充電器に携帯を差し込んでいる体勢の秋葉はこちらを見て硬直している。

上には大きめのワイシャツを着て下半身がこちらに向いている状態、つまり丸見えだ。

「ち、ちが!」

慌てて弁明しようとしたが秋葉は

「いきなり、ノックもしないで入るのはどうかと思います優君」

「い、いや俺はお前の体調が悪いのかって返事がなかったから心配で・・・」

「心配してくれたんですか?」

む、無表情だから怒ってるのか分からないぞ。

「そ、そうだ。体大丈夫なのか?」

「大丈夫です少しステルスが不安定になってるだけで」

と、秋葉は近くにあったスカートを着用した。

なんだかんだでやはり、恥ずかしかったのか?

「優君はよく、女子寮に忍び込めましたね。というか早すぎませんか?」

「ああ、まあ・・・」

その時、音もなくレキが俺の背後に立っていることに気づいた。

うお!

「レキさん?」

秋葉が首を傾げた。

頼むから余計なことをいうなよレキ!頼むから!

「何か用ですか?」

どうやら、秋葉はレキが自分に用があると思ったらしい。

部屋も近いからレキと秋葉は友達の関係だ。

「私はついてきただけです。優さんが秋葉さんの部屋に行くというので」

「なぜ優君についてくるんです?」

?と頭に浮かべて秋葉が聞いてくる。

「い、いやその・・・だな」

「優さんは私の夫ですから」

びしりと空間に亀裂が入ったような錯覚が目の前で展開された。

「夫?」

無表情のまま、秋葉が言う。

「どういうことですか?」

と俺に聞いてくる。

「えっとだな・・・姉さんが勝手に・・・」

「勝手ではありません。 ウルスと里で優さんは私と結婚したいといっていました」

火に油を注ぐなレキ!

というか俺は身に覚えがない!

「ちょ、ちょっと黙ってろレキ!」

「その命令は聞けません」

聞けよ!

「別に私は優さまが誰と結婚しようとしまいと構いません。私は椎名の近衛ですから」

あらか様に様をつけてくる秋葉。

お、怒ってるのか?

「だから違うって言ってるだろ! いや、結婚する話は全部嘘じゃないが・・・」

「すみません。優様私今日は眠いんです。帰ってくれませんか?」

と、追い出しにかかった秋葉の説得はもう無理だ。

「誤解なんだ・・・」

とレキと部屋を追い出されてレキの部屋に戻る。

とりあえず体調は大丈夫そうだったが秋葉の機嫌を損ねちまった・・・どうしよう

「あのな・・・レキ頼むからもう、あんなこと言わないでくれ」

「どうしてですか?」

「秋葉・・・はな・・・出来るだけ傷つけたくないんだ・・・あいつには大きな負い目もあるからな」

「優さん」

レキが俺を見ながら

「あなたは過去に囚われすぎています。それはいつかは身を滅ぼすことにつながりかねません」

「それも風の言葉か?」

こくりとレキが頷いた。

ふん、風さんよ。分かってるんだよそんなこと

ローズマリーにアリアがさらわれたとき俺は大怪我を追って生死の境をさまよった。

ずたずたになりながらもシャーロックやイ・ウーの面子と戦い、今も多くの組織を敵にして戦っている。

確かに身を滅ぼすことになるかもしれんな・・・

でも、それで死ぬならそれは俺へ罰だ。

ま、死にたいわけじゃないけどな

「消灯時間です。暗くしてよろしいですか?」

時計を見ると午後9時だ。

ちょっと早いがまあ、寝られるだろう

「いいぞ」

俺はシャンプーでいいにおいのするハイマキの体に頭をおいた。

ハハハ、枕代わりに丁度いいなお前

ちょっと、熱いけど

月明かりに照らされて目を閉じたレキはなんというか人形のようだな。

「レキ?」

寝たのかなって思って声をかけると

「はい」

とレキが目を開けた。

なんとなく、俺は気になっていることを聞いてみる事にする

「7年前のことなんだが俺はほとんど覚えていないんだ。ちょっとでいいから教えてくれないか?」

「私と優さんが最初に会ったのは7年と少し前です。あなたは半年の時をウルスの里ですごしました」

「姉さんも?」

「水月希さんは何か、中国で大きな問題の解決をしていたようです」

中国・・・ランパンがらみか?あるいは、大アルカナ?

「それで?」

「今私から話せることはこれだけです。後は自分で思い出してください」

だから、思い出せないから聞いてるんだけどな・・・

「それも風の命令か?」

こくりとレキは頷いた。

「というか風って何なんだ一体?」

「風は風です」

駄目だ聞いても無駄そうだ。

切り口をかえてと

「その俺との婚約は風の命令だからか?」

「それもあります。ですが、私は約束があります」

「約束?」

「はい」

それっきり、レキは黙ってしまう。

約束の話を聞いても無駄か

「それで結婚して最終的にはどうするんだ?俺をウルスの里に連れて行くのか?」

「いいえ、私はあなたのそばにいます。そうすれば風が自然に導くと告げています」

「ん?」

「自然に子供が出来るだろうと」

ちょっ! そりゃ結婚したらそういう行為とかするんだろうけど何てこと言うんだ!

「ただ、どうすればいいのか分からないのでその件は全て優さんにお任せします。優さんは詳しいでしょうし

花嫁は主人に身を任せるものですから」

いやいやいや!知ってるけどさ!そんな女たらしみたいな言い方・・・

「優さんは多くの女性に好かれてますから詳しいのでしょう?」

ごめんなさい恋人の1人もいたことないです

と彼女いない歴=年齢の俺はため息をついた。

でもまあ・・・信冬は婚約者といっても彼女って感じじゃないし遠距離恋愛みたいなもんだったからな・・・

こうして、一緒に過ごす婚約者?恋人?流れに身を任せたら彼女いない歴終了ということか

「詳しくはないな・・・まあ、まったく知らないわけじゃないけど・・・」

そもそも彼女作ろうと必死になったことないしな・・・

「私は何も知りません。優さんに全て任せます」

そういうのが1番困るんだが・・・

「まあ、それはいいんだが俺、卒業したら多分日本にいないぞ?ついてくるのか?」

「留学するのですか?」

「まだ、漠然としてるんだけどな」

これは、実はまだほとんど誰にも話していないのだが留学の話を友達にされているのだ。

あっちは、日本より銃社会の歴史も長いし勉強にもなるだろう。

といっても、まだ考慮している段階でもあるのだが・・・

「留学して何かやりたいことがあるのですか?」

「漠然としてるって言ったろ? まあ、俺の目的はローズマリーを捕まえることだがな」

あいつだけは絶対に野放しにはしない。

いつか必ず捕まえて罪を償わせてやる。

「レキは?何か夢あるのか?」

「いいえ、私は優さんと一緒にいるだけです」

「・・・」

なんとなくだが、想像してしまったよ。

姉さんみたいに俺とレキは世界中を回りながら犯罪者達と戦いながら、犯人を捕まえていくその未来を

だけどな、レキそんな未来はあっちゃいけないんだ。

お前が風の命令じゃなくて本心から俺が好きならそんな未来もあるのかもしれない。

でも、風の命令を受けているお前は・・・

薄暗い闇の中に見えたレキは美人だ。

アリア、理子、信冬達とはまた、違う魅力がある。

「明日も早いし寝ようぜレキ・・・」

「はい」

とレキの答えを聞いてい俺達は目を閉じた。

 


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