緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

183 / 261
第182弾 私と結婚してください

8月31日というのは学生にとっては悪夢の日でしかない。

これまで、1ヶ月という最強のだらけ期間の最後の日だが、宿題をしていないもの、生活時間がめちゃくちゃに

なって明日起きれない。

というか、学校行きたくないと絶望をかみしめる日でもある。

まあ、俺達はなんとか単位の見込みがついたし宿題も終わらせてあるからそこまでは焦っていはいないが・・・

「熱い・・・」

「言うな優・・・余計熱くなる」

顔に冷やしたタオルを置いてるキンジが言った。

ちなみに俺は台所のテーブルに突っ伏しており、キンジはソファーでだらけている。

現在の時刻午前10時、更に言えば気温は30度という記録的猛暑である。

そして、救世主であるはずの冷房は壊れていた。

修理を依頼しようにもこの時期は業者もてんてこまいでとてもじゃないが修理にこれる状況にないらしい。

更に、悪夢だが、扇風機もこの部屋には存在しない。

「秋葉・・・帰ってきてくれ・・・」

あいつがいれば、風を巻き起こして涼しいのだがあいにくあいつは、理子とジャンヌと共に東京ビックサイトに行ってしまい

いない。

なんでも、ジャンヌではない元イ・ウーのメンバーの漫画のアシスタントをしていて今日出すんだそうだ。

何やってるんだかあいつ・・・

ちなみに、白雪は明治神宮の祭事とやらで朝からおらず、明日の朝まで帰ってこない。

「学校行くか?」

と、ぽつりとキンジがつぶやいた。

そうだな、図書室とかなら夏も開放されてるし、クーラーだって効いてるはずだ。

暑さから逃げるのはいい考えだろう。

ほかの連中の部屋に行ったりと案はまだ、あるが緊急避難的に学校に行こう。

                †

こうして、俺とキンジは学校に来たのだが・・・

「まじか・・・」

運の悪さは続くというもので図書室のクーラーも壊れていた。

しかも、4つあるクーラー全てがアサルトの馬鹿が暴れて破壊したらしい。

「ハハハ・・・学校まで来てこれかよ・・・」

「どうする?どっか行くか?」

うんざりした顔でキンジが聞いてくるがこの熱い中涼んでいかないともう、外には出たくない。

汗をハンカチで拭きながらどうするかなと考えていたとき

「あれ? 優にキンジ?」

そのアニメ声に振り向くと

「アリア? なんでここにいるんだ?」

夏服姿のアリアだった。

ツインテールをぴょこぴょこ揺らしながらこっちに来ると右手を腰に置きながら

「ちょうどよかったわ。 あんた達に用があったの」

「なんだ?用って?」

 

キンジが聞くとアリアは微笑しながら

「今日は夏休み最後の日でしょ? 奴隷の休日に付き合ってあげるわ」

結構ですといいたいがまあ、こいつのこの態度にも俺は慣れてきたが・・・

「素直に遊びたいといえばいいだろ?」

「そ、そんなんじゃないわよ馬鹿キンジ!」

ふしゃーと猫のように怒りながらアリアが言ってくるが俺はふと違和感を覚えた。

なんで、こいついきなりこんなこと言うんだ?

今、かなえさんの裁判の件で忙しいはずだろ?

「アリ・・・」

「何よ!優!しゃべるの禁止! ほら行くわよ奴隷共」

「いだだだだ!耳引っ張るな!」

「は、放せ!」

こうして、俺達は学校を出て行くのだった。

         †

世の中にはwデートなんてものがあるらしい。

互いに彼女を連れて4人や6人でデートするものらしいが、今の俺達を見たらどんな感想を抱くんだろうなみんな・・・

小学生ぐらいの女の子を挟んで横浜の中華街を歩く、男子高校生2人妹と買い物するおにいちゃんか?

「これおいしいわね。 あんた達も食べなさい」

と、アリアにおごらされた(強制的)ゴマ団子を俺達は食べる。

もきゅもきゅと幸せそうにごまだんごを食べるアリアを見ていると自然と笑みがこぼれてくるな。

「何よ優?」

俺の視線に気づいたのかアリアが見上げてくる。

「いや、かわいいなって」

 

「なっ!」

ボンと顔を赤くしたアリアを見て俺は慌てた。

ちょっ、俺何言ってんだ!

「き、きゃわ・・・かわ・・・」

「小動物的みたいな意味でな」

とごまかすように言ったのだがそれがいけなかったらしい。

アリアの怒りのメーターが振り切れた。

「か、風穴ぁ!」

「ま、待て!こんな人通りの多い中で銃を出すなぁ!」

とこんなやり取りをしながら俺達はいろんなところを回った。

一緒に、メイド、執事をした紅鳴館、警備を一緒にしたカジノ(中には入らなかったが・・・)、そして・・・

やってきたのはランドマークタワーだ。

この屋上でブラドと戦ったんだよな・・・

なぜか、アリアは俺達が東京近郊で歩んだ道を追うように、回っている。

キンジも気づいているらしいがあえて言っていないようだな・・・

「展望フロアに行くわよ」

と、入場料を払って俺達は69Fの展望フロアーにたどり着く、外は炎のような夕日が展望フロアを照らしている。

「誰もいないのか?」

よく来るわけではないがというのは展望フロアに人がいないのはちょっとおかしい。

まあ、そんな日もあるのかもしれないが・・・

「ちょうどいいわね」

と、アリアはツインテールを揺らし、夕日をバックに俺達に振り返る。

「今日は2人とも楽しかったわ。 あたしはあんた達にいろいろ話したいことあったんだけどあまり話せなかった・・・楽しかったからいいけどね」

「緋弾のことか?」

「・・・」

キンジの言葉に俺も頷いた。

露骨にあの力のことは話題にすることは避けていたからな。

俺も緋刀のことは可能な限り口には出していない。

「まあ、それもね」

「あの後、どうだ?あの弾を出せたり、理子みたいに髪を動かせたりするようになったのか?」

 

率直にキンジが聞くとアリアはふるふるとツインテールを横に揺らしながら

「実は試してみたんだけどね。なんか出来なかった」

だろうな・・・俺もアリアと似た力があるはずだが発動条件は掴めて来ている。

それは『守ること』だ。

絶対に負けられないあの子を助けると特定の人物を思い浮かべるとあの力は発動する。

それは、アリアお前だ。

同じ血が流れているからこそあの力は発動するのかもしれない。

状況的に他の人物でも可能か試してみたがうまくいかなかった。

アリアを思い浮かべても同じだ。

あれは、心からあの子を助けたい、守りたいと思わない限り発動しないのだろう。

「何か条件があるのかな? あれはあれで超偵対策には有利かもっておもったけど」

アリアの緋弾の発動条件は俺とは異なるようで謎だな・・・

「あのね・・・曾おじい様はご自分でも言っていたとおり消えたわ。あの後、どの国にも情報がないの、でも、

曾おじい様は死んだと思わせて、また唐突に現れる癖があるのよ。 ライヘンバッハ、香港、カルカッタ、ニューヨーク。過去なんどもそれをやってる」

「つまりまだ生きてる?」

キンジの言葉にアリアは力強くこくりとそう信じているというように頷いた。

姉さんと互角に戦えるとか言われてる奴だ。

確かに死んだとは思えないな・・・

姉さんだって生きてたわけだし・・・

てか、姉さんならシャーロックの居場所知ってたりしてな・・・

まあ、教えてくれないだろうが

「イ・ウーは組織としては崩壊したらしいわ。リーダーが不在になって、緋弾が外部の組織に渡ったら解散することを

前もって決めてたみたい。まあ、奴らはもともとばらばらの目的を持って集まっていたみたいだからね」

「ああ、それは知ってたあっけないものだったな」

キンジの言葉に俺も頷きながら考える

イ・ウーの最後はあっけなかった。

関わっていないだけでおそらく深い部分は土方さん達が関わっているんだろうが・・・

これ以上、調べるなら本当に覚悟が必要になってくる。

ま、俺は自分の周りだけで精一杯の弱者だからな。

世界規模の話は姉さんに任せるよそれこそ、神すら倒してしまいかねない最強の姉さんにね

「それでね。イ・ウーの証拠が十分にそろったからもうすぐママの裁判が始まるの。下級裁隔意制度が適用されるから

早ければ9月中に高裁判決が出るわ。そこで無罪になって、検察が上訴しなければママは釈放されるの」

「そうか後一歩なんだな」

「よかったじゃないかアリア」

「本当にありがとうキンジ、優。 ここまでこれたのはあんた達のおかげよ」

 

 

キンジが聞くとア振り向いたアリアの笑顔。

本当にうれしそうだな。

この子は笑っていると反則的なほどにかわいいんだ。

「いいよ。別に改まって礼なんていわなくても、俺は武偵憲章第1条を守っただけだ」

「同じくといいたいが、アリアには命救ってもらったからな。気にするななんかあったら言えよ。俺達はチーム

なんだから」

「うん・・・」

アリアはなぜか、さびしそううつむいた。

「アリア?」

俺が首をかしげるとアリアはゆっくり口を開いた。

「ママの・・・無罪判決がでたらね・・・あたし・・・」

口ごもったアリアを見て俺は嫌な予感がした。

それ以上聞きたくない・・・

「あたしね・・・」

ぐすっと鼻を吸う音

聞きたくない

「ロンドンに帰るの」

その目は涙で潤んでいた。

そうか・・・ロンドンに・・・

ハンマーで殴られたような衝撃を受けて俺はアリアが自分の中でどれだけ大きな存在になっていたのかを

改めて悟った。

いつかは来る。

そうは思っていたが考えないようにしていた。

みんなで馬鹿みたいに学生生活送って卒業式にじゃあなと別れる遠い未来を思い描いていた。

だが、それは甘かったんだな

「もう学校にも来ないかもしれない。裁判で忙しくなるから。あんた達に会えるのもこれで最後になるかもしれない」

「・・・」

キンジは驚いてはいないようだった。

俺と違い分かっていたこととちゃんと心の整理つけてたんだなおまえ・・・

メンタル面弱いよな俺

「元々、あんた達との契約は武偵殺しの1件が片付くまでだった。だから本当は理子の証言が取れることが決まった

6月に満了していたのよね。でも、あたしずるずるとひっぱちゃってた。そのせいで単位不足にさせたりもした」

この子は・・・

口では乱暴なことを言っていても気にしてくれていたんだな。

俺達が単位不足になったことを

「でも、7月のお祭りでキンジがイ・ウーの件が片付くまで付きやってやるといったときは涙が出るほどうれしかったよ。

なんて優しい人なんだと思った。優あんたも優しい人、あたしがあんたを救う前からあんたはあたしに協力的だった。

土方さんや各所に手を回してくれてママとちゃんとした面会まで取り付けてくれて特に見返りも求めない。

あんたはいい奴よ」

口には出さないがアリア・・・

俺のお前を助ける理由はシンプルだ贖罪なんだよ。

父を殺し、妹の片目を奪い。家を不幸にした。

少なくても俺の周りでお前みたいな不幸な奴を許容したくはないんだ。

友達ならなおさら助ける。

「イ・ウーでの戦いでもあんた達は馬鹿なあたしのために命がけで戦ってくれて・・・あたし、あの時、あんたは・・・

あたしの最良の・・・パートナー・・・だって、思っただからこれ以上迷惑をかけたくないの」

アリアはパートナーと言った時、キンジを見ていた。

その瞳を見た俺は瞬時に悟った。

ああ、そうか・・・アリアお前はキンジのこと・・・

アリアは無理やり笑顔を作り涙声で

「な、何世界の終わりみたいな顔してんのよキンジ。ひどい顔」

「し、してねえよお前こそなんでない点だ!」

「な、泣いてないわよ!」

邪魔者は消えるか・・・

「ちょっとトイレ言ってくる」

と、気配を消してその場から離れるとエレベーターに乗り込んで下のボタンを押す。

携帯を取り出して先に帰るとアリア達にメールを送ってから下降していくのを感じながらずるずるとエレベーターに座り込む

まいったな・・・

あの時のアリアのあの目、鈍い俺でもわかるぞ・・・あれはアリアはキンジのことを・・・

「ったく・・・俺の初恋終了か・・・」

思えば、俺はアリアに惹かれていたんだと思う。

だけど、信冬のことや秋葉のことなどでいろいろと気持ちがぐちゃくちゃだったからな・・・

ロンドンに帰ると言ったアリアの言葉にショックを覚え、アリアがキンジの見るその目を見て気持ちに気づく。

は、情けねえな・・・

まぁ、恋なんて実際俺には過ぎたものだ。

ただ、実家の力で犯罪者でなくなり、家族を殺した俺なんかじゃあの子には決して合わない。

それに、家族以外にも俺は・・・あの子の母親を殺したんだ。

俺だけが幸せになるなんてできない。

まあ、キンジとならうまくやれそうだなアリア・・・

エレベーターの階層を知らすランプが下に行くのを見ながら俺はつぶやいた。

「情けねえ」

アリアかららしい着信のバイブレーダーを手に感じながら俺は思った。

             †

夕日が沈んでいく中、学園島に戻ってきた俺はやけ食いしてやると都内で買った紙袋を持ち歩いていた。

ふーむ、やけ食いもいいが汗流しまくるのもいいな・・・

秋葉はまだ、ビックサイトか?

そこで、俺はふっと微笑む。

何か、アリアに振られたような直後って感覚じゃねえな・・・

なんだかんだで秋葉のこともよく考えてるしあいつも、俺の中では特別な奴だからな。

そこで、ふと思い浮かんだことがある。

「そういや、レキのあれいつなんだ?」

助ける代わりに一つ言うことを聞くというあの件はまだ、なされていない。

うう、何か怖いなとんでもないこと言ってきたらどうしようとか考えてみるが

まあ、レキに限ってそれはないか・・・

カロリーメイト1年分とかかな?

『おお?本妻はちゃんとキープしてるのか』

ふと、姉さんがレキと一緒にいる時そんなこと言っていたのを思い出した。

まあ、冗談だろうがレキと結婚とかしたら・・・仕事から帰ってきたらカロリーメイトが机の上に並んでいて

「晩御飯です」

とか言いそうだ・・・

主食がカロリーメイトに・・・

いやいや、死ぬから!

なんて、にやにやしながら考えている自分にあきれる。

失恋直後に別の女の子のことばかり・・・

大丈夫かな俺?

ん?携帯か?また、アリアか?

「優さんですか?」

「レキか?」

丁度お前のこと考えてたんだよとは言えないのでそういうと

「来て欲しい場所があります。今からこれますか?」

「今から?」

寮にたどりついたので荷物を部屋に放り込んでソファーに座る。

「はい、契約のことで話があります」

ああ、それも考えてたな。

それ関連ならいかないわけにはいかないか・・・

レキにばらされたら俺、殺されるからなアリア達に「了解。どこ行けばいい?すぐにでるよ」

            †

レキに指定された場所はインケスタ棟の屋上だった。

ドアを開けると夕日に照らされて体育すわりしているレキがいた。

夕日といつものヘッドホン、体育すわりとドラグノフ、レキならなんか絵になるな。

「来たぞレキ」

無表情のレキの近くまで言って言うとレキは首をこちらに向けてきた。

「アリアさんと一緒にいたのですか?」

「あ、ああまあさっきまでな・・・」

失恋しましたとは言えないのでそういうとレキはすっと立ち上がった。

「契約を果たしてください優さん」

いつも、無表情なレキ、だがその琥珀の瞳にはいつもはない意思を感じさせられる。

「ふ、風呂でのなんでもいうこと1つ聞くって奴だろ?なら・・・」

「・・・」

レキは目を閉じてふるふると首を横に振った。

「違います。古きあの日の約束を風は果たせといっています」

「ふ、古き約束?」

また、過去の俺何かやらかしたのか?

思い出せない過去の中には長期間のものもあるから・・・

「な、なあレキそれって子供の頃の話だったりするのか?」

「はい、7年前の約束を」

やっぱりか!丁度空白部分だ。

それより気になるのは

「その約束ってなんなんだ?」

「・・・」

レキは音もなく俺のそばまで歩み寄った。

そして、顔を近づけてきて・・・

お、おい!

 

その小さな唇が俺の唇と触れ合った。

き、キスしてるのか?

目を見開きそのミントのようなにおいにむせ返りそうになりそうになるとレキは離れた。

「れ、レキ・・・」

わけが分からない。

これは一体・・・

「優さん。私と結婚してください」

え?え?結婚?って・・・何ってるんだこの子?

「け、結婚ってレキお前何言ってるのか分かってるのか?そ、それに俺には許婚が・・・」

とっさに逃げるために信冬のことを前に出す。

レキだってこのことは知っているはずだ。

だが、レキは引かない。

まっすぐに俺を見たまま

「私もあなたの許婚です」

と、とんでもないことを言ってきた。

あ、頭痛え・・・どういうことだ

「ちょ、待て! 俺とレキが許婚? 初めて聞いたぞ」

「あなたは、水月希にの記憶操作の副作用でいろいろなことを忘れている。ですがあなたと私は許婚です」

「しょ、証拠はあるのか?」

「・・・」

レキは黙ってポケットから紙を取り出して広げ・・・

そ、それ婚姻届じゃないか!

「れ、レキなんだそれは!」

見るとご丁寧に俺の名前が書かれている。後はレキの名前を書いて役所に届ければ受理されるだろう。

俺が18になればだが・・・

しかも、ちゃんと判子まで押されている。

「あの日、ウルスの里で約束されました」

そこまで、来て俺はようやく1人の存在を思い出した。

「まさか、姉さんか!」

実家の連中がこんなことをするとは思えない。

ましてや、武田と二重の許婚なんてことをすれば下手したら戦争になる。

だが、姉さんがそれをしたんだとしたら・・・

婚姻届もおそらく姉さんが・・・

「はい」

とレキも頷いたがここで認めてはいけない婚姻届は出さないと意味がないんだからな

「それを渡せレキ! ていうかそんなもの無効だ無効!」

と、俺が1歩踏み出そうとした瞬間、レキは俺にドラグノフを向けてきた。

「っ!」

反射的に紫電に手をかけるがレキは発砲しない。

「私と結婚してください」

と無表情に再び言ってくるが

「い、嫌だ」

こ、こんな強引な求婚があるか!

ああ!てか、粉雪ちゃんのプロポーズがあるって話はこれか!優秀だよ粉雪ちゃん・・・あたったんだからさ

「では、お風呂の約束を使います。私と結婚してください」

こ、ここでそれを持ち出してくるか!

「待てってレキ!お前おかしいぞ!なんで、いきなりそんなこと言ってくる!」

「風が言っています。あなたは璃璃色と共にあるべきです」

ああ、もう分けがわからない。

「少し待ってくれ姉さんに電話する」

と、携帯で姉さんに電話するとどうやら、国外にいるらしくしばらくしてから

「はいよ。なんだ優希?」

「・・・」

レキは黙ってドラグノフを俺に向けているので警戒しつつ

「今、レキに求婚されたんだけど・・・」

「おお! よかった優希結婚おめでとう」

「ふざけるなこの馬鹿姉! どういうことだよこれ!姉さんが段取りした見たいじゃないか!」

「いや、提案してきたのリンだし」

姉さんの昔のチームメイトか・・・

「なんで昔のチームメイトがレキと関係あるんだよ」

「え?リンはウルスの一人だからな」

もう勘弁してくれ・・・

次々に頭の痛いことばかり言ってくるこの姉さん適うなら殴りたい・・・

ぶっ飛ばされるのが落ちだが・・・

「1度帰ってくれ姉さん・・・」

「えー、遠いからやだ」

ぶつんと電源を押して通話を切ってレキを見る。

どうやら・・・本当らしい。

姉さんがどんな意図を持ってこの縁談を組んだかは分からんが・・・

ここで受け入れるわけにはいかない。

レキが嫌いなわけじゃないんだが・・・

「話は終わりましたか?」

「ああ、終わったよ」

目を閉じて俺は言った。

「では私と結婚してください」

「1つ聞かせてくれよレキ」

目を閉じたまま俺は言った。

「はい」

「お前は俺のこと好きなのか?」

「風はあなただといっている」

それはつまり、俺のこと好きでもないのに風とかいう電波に従ってるだけか・・・

「できないレキ」

正面から向き合いながら言うと

「では私と勝負してください」

「勝負?」

「私はここからあなたを襲います。あなたの7つの制服のボタンを外せば私の勝ち。キリングレンジから逃げ切れば

優さんの勝ち。私がまけたら求婚は撤回します」

やりにくいな・・・

スナイパー相手だし・・・

だが、ブレザーのボタンを全部飛ばすなんて芸当神業だ。

それに、俺には変幻自在のワイヤーもある。

キリングレンジは2キロちょいだからこの勝負勝てる。

「いいぜそれで。ついでに温泉の約束もなしにしてくれ」

「はい、ですが私が勝てば・・・」

「結婚だろ。してやるよ」

ちゃきっとレキはドラグノフを構えながら

「逃げられませんよ」

この時の俺って考え方甘かったと後に俺は思い知らされた。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。