緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第178弾粉雪パニック1

8月20日朝、キンジも退院し、俺もめでたく単位補充したので宿題もすんだ夏休みを満喫していた。

とはいえ、暖かい季節とは鍛える季節と、俺の中では思っているので早朝から朝の9時頃まで汗だくになりながら

トレーニングをこなしているときだった。

「ん?」

タオルで汗を拭いていると携帯のメール着信音が鳴ったので見てみる。

「誰だ? げっ!」

見た瞬間、頬が引きつったね。

『椎名優希1単位不足』

なぜなんだ・・・

綴の研修で補填できたはずの単位が補填できてないだと!

「こうしちゃいられねえ!」

俺は部屋に飛び込んでまだ、寝ていたキンジを横目にシャワーを浴びてから隼に飛び乗ると100キロで武偵

高に滑り込むとマスターズに飛び込んで真相を調べた結果

「ああ? 私はちゃんと単位渡したよ?」

とめんどくさそうに綴がいうのでさらに調べると

「まじか・・・」

前期に受けたクエストの単位がなぜか受理されていない。

完了報告などが通っていないことになってやがる・・・

これは、クエストを放棄したとみなされるのでいまさらわめいても時間の無駄だ。

く、クエストブースト!

単位補填の切り札であるクエストブーストだが・・・

「あああああ!やべえええ!」

見事になくなっていた。

真っ白な掲示板を見て立ち尽くしながら

どうすればいいんだ・・・

このまま留年確定なのか・・・

「あれ?優先輩じゃないですか?」

「椎名・・・優希先輩・・・」

声のした方を見ると、マリと間宮あかりが手に紙を持って立っていたのだ。

「おまえらか・・・」

「何かあったんですか?」

と、マリ

「ああ、実は・・・」

後輩にこんなこと知られるのは嫌だったが簡潔に説明してやると

「ぷっ」

間宮の野郎、笑いやがった。

「間宮、笑い事じゃねんだぞ」

「先輩が留年・・・そうなると同じ学年にフフフ」

な、なんだ?マリから黒いオーラーが見えるぞ。

「あかり、ちょっといい」

「何?」

なにやらひそひそと話し始める後輩達

ところどころ聞こえてきた言葉は

「先輩が・・・すると・・・アリア・・・引き離せるよ」

「それいい!」

ばっと二人は俺に向き直る。

え?

「椎名先輩、今から遊びませんか?11日ぐらい」

「優先輩遊びましょうよ!11日ぐらい」

こ、こいつら!

「ふざけるな!11日も遊んでたら留年するだろ!」

残り期間で1単位なんて東京警備のあの毎日やってるクエスト受けても間に合わん!

「留年したらいいじゃないですか! そしたら、私達の仲間に入れてあげますから」

と、恐ろしいことをいうマリ

「それは嫌ですけど、アリア先輩に近い男が一人でも減るなら・・・」

お、女ってやつは・・・

試しに俺が留年した場合を考えてみたが

「あ、アリア」

「アリア? 優あんた後輩でしょ?アリア先輩と呼びなさい」

嫌過ぎる

「り、理子」

「くふふ、だーめだよ理子先輩だよ優希君、お姉さんが優しくおしえてあげる」

冗談じゃない!

「れ、レキ!」

「・・・」

まあ、あいつは何も言わないだろうけど精神的にきつい!

「あ、秋葉!」

「優君が留年したので私も留年しました」

なぜか、俺のために留年した秋葉が思い浮かんでしまう。

「ええい!」

なにやら殺気を感じたので飛びのくとマリが飛び掛ってきた。

「何するんだ!」

「先輩、11日精一杯尽くしますから監禁されてください!」

と恐ろしいことを言ってきたので

「冗談じゃない!」

と俺は逃げ出した。

最近理解してきたが、マリはやるといったら条件さえ整えば必ずやる。

ここは逃げるが吉だ。

「ああ! 優先輩!私と楽しい2年ライフ送りましょうよおおおお!」

と後ろから聞きえてきたが俺は隼に飛び乗ると東京方面に逃げていった。

 

 

 

 

 

 

 

午後2時、東京に出てきた俺は真っ先に公安0に足を運んだ。

あまりやりたくないがコネで単位の仕事を回してもらおう

だが、俺は運がないらしい

「土方さん? ああ、あの人ならヨーロッパに出張してるよ」

公務員でも勤務時間中だというのに沖田は机に足を乗せてぎしぎし椅子を揺らしながら馬鹿にしたように

天井を見ながら言った。

どことなく眠そうなのはこいつ、多分遅くまで女といたんだろう

「ヨーロッパ! どこだよ!」

「さあ? なんとかって公国、昔、話題になった国だよ。圧倒的に不利な状況でソ連軍を・・・」

「ああ・・・」

名前は思いだせんが姉さんがソ連軍を壊滅させたあの国か・・・

その筋では有名な話で直後にソ連が崩壊したことから水月希にソ連は滅ぼされたという伝説まで

作ってしまっている。

まあ、実際は偶然だったんだがそう見られてもしょうがない。

「いつ帰ってくるんだ?」

「半月は帰ってこないよ。土方さんはあの国では英雄だからね」

お、おしまいだ

「で?土方さんに何か用?」

「う、実は・・・」

駄目もとで沖田に話してみた。

公安0だしもしかしら・・・

「アハハハ、馬鹿だなぁ」

心底おかしそうに笑う沖田、

こいつに期待した俺が馬鹿だった・・・

 

 

 

 

 

 

 

散々、馬鹿にしてくる沖田を無視して外に出て時計を見ると午後3時だ。

後、11日で1単位・・・

クエストがあがってくる保証はない。

こうなったら東京警備のクエストで稼ぎながら高額クエストを奪うしかないのか・・・

「・・・」

周りを見渡しながら不謹慎ながら大事件でもおこればいいのにと思ってしまう。

まあ、ここは公安0のお膝元東京だ。

沖田も東京にいるし高額の単位の大概のテロは殲滅されてしまうんだろうが・・・

というか、今の日本の裏の世界に喧嘩売る奴は馬鹿としかいいようがない。

Rランクがまあ、姉さんを除いても2人もいるのだ。

Rランク級もいるしな・・・

まず、外国の勢力でこちらから攻め込めない状況でないと喧嘩は売れないだろうが・・・

まあ、ランパンにせよ、魔女連隊にせよしばらくは攻撃を控えているのだろうが・・・

今の状況ではそれはいい状況じゃないよ・・・

いや、不謹慎なのは承知なんだけど留年がかかって留年したくない学生はみんな必死になるもんだよ普通

と、誰に話してるのか分からんがここは、東京駅だな・・・

古めかしいデザインのこの東京駅だが人通りもすさまじく多い。

そんな中

「ん?」

スーツ姿で歩き回るサラリーマン達の間に異様な姿の少女を見つける

「なぜ、巫女服・・・コスプレか?」

秋葉原は少し距離があるんだけどな・・・

その少女は五亡星の入った風呂敷包みを背負い、唐傘を手に困ったように周りを見渡している。

おのぼりさんか?

あんな格好するってことは・・・

秋葉原へ行くかSSRへ入学するための東京武偵高見学・・・

待てよ?

そういや、東京武偵高案内を入学希望者にしたら少しだけ単位がもらえたような・・・

「これだ!」

俺は隼から降りるとその子に近づいていく。

近づいていけばわかるがこの子結構美人だな。

歳は中学3年ぐらいで鏡夜と同い年くらいか?

白雪よりは少し短いがぱっつん前髪の黒い髪、きつめの目はアリア系の様子だが

というか白雪に似ているような・・・

「もしかして道に迷っているのか?」

「え?」

俺が声をかけると少女は驚いたように俺を見て警戒しながら

「迷っていません! 話しかけないでください」

と取り付く間もないといった様子だ。

ナンパと勘違いされたのか?

「そ、そうか? 俺東京に住んでるから分からないなら場所を・・・」

「結構です!」

少女は背を向けて行ってしまった。

俺の計画何もかもおしまいだ。

とはいえ、愚痴ってばかりもいられない。

学園島に戻り、掲示板に乗らない民間のクエストも探してみたが条件が合わないものばかりだ。

アサルト向けの荒事は不幸なのかほぼなかった。

異様にもほどがある・・・

普通は1つや2つは残っているんだぞ。

「もう駄目だ・・・」

あきらめるのは早すぎるのは分かるがここまで、クエストがないとへこむ・・・

午後4時

「単位不足ですか。ご愁傷様ですお兄さん」

中華料理屋『炎』は夏休みなので暇で、アリスも俺の向かいの席に座ってパソコンを叩いている。

店長はスープを煮込んでいるが特に注意しない。

「アリス・・・なんかいいクエストないか?」

「アンビュラスでしたら腐るほどあるんですけどね。 地方の民間病院の手術の補助とか、1日医師の変わりに

夜勤とか。単位も1単位ぐらい余裕で稼げますよ11日もあれば」

「俺には無理だ・・・」

やっぱり、医者ってすごいんだなぁ・・・

俺より年下のくせに頭いいんだよアリスは

「まあ、私は単位足りてますから問題ありませんけどどうするんですかお兄さん」

「うーむ・・・」

腕を組んで考える。

考えれば考えるほどの絶望的だ・・・

「とりあえず、探してみるよ」

といって晩御飯用にチャーハン買ってから炎を後にする。

「留年したらお兄さんじゃなくなりますね」

ハハハ、それは勘弁してほしい・・・

「さて・・・」

携帯で再び調べ物を再開する。

なんでもいい、護衛でも強襲でも金は二の次で単位になる仕事を見つけてやる!

そして、午後9時20分

「駄目だ・・・」

1人で寮まで戻ってきてため息をついた。

もう、体ぼろぼろだな・・・

足も痛い。

1日中歩き回ってこれか・・・

クエスト探すために、東京警備も申請しなったからまじで追い詰められつつあるぞ。

後、10日は多いようで短い

とりあえず風呂に入って明日は朝から行動開始だ。

「ただいまぁ」

鍵がかかっていたのでカードキーで部屋に入ると風呂場のドアを開いた瞬間

「え?」

「へ?」

間の抜けた声だが大多数の人は理解不能なことがあったら無言になるか間抜けな声をあげてしまうだろう。

まだ、ここにアリアがいたら俺は悲鳴をあげて逃げたに違いない。

だが、目の前にいる少女は・・・

「ど、どうも」

あの東京駅の前で出会った少女だった。

男というものは致命的ではない本能には逆らえないんだろう。

少女の全体を見てしまう。

白いパンツはかろうじてはかれておりm手にはチェックの入ったブラが・・・

ようは、前は丸見えの状態で、固まっている。

「あ、あのどう・・・もです」

と、少女が言った瞬間

「粉雪? どうかしたの?」

と、風呂場の中から白雪の声が聞こえてきた。

「あ・・・」

俺死んだと思った。

今ので理解したぞ

ここは、キリングレンジだ!

「きっ・・・」

すうと粉雪と呼ばれた少女が息を吸った。

「まっ!」

人間命がけのときは信じられない行動をとるもんだ。

一瞬で、距離をつめると俺は粉雪と呼ばれた少女の背後に回りこみ、後ろから羽交い絞めにし、近くにあったタオルで口を押さえる

ここで、手で押さえてたらかまれるからとっさにアサルトで習った方法使っちまったがおい!

「むーむー!」

顔を真っ赤にして暴れる粉雪

「粉雪?」

白雪が湯船の中で動いているのが分かる。

ここいいたらまずいと思い、粉雪を引きづったまま、リビングに逃げる。

「むー!」

白雪に聞こえない場所まで来て「頼むから聞いてくれ! 別に君に何か仕様ってわけじゃないんだ! 頼むから誤解を解かせてくれ!」

「むーうー!」

明らかに粉雪ちゃんは激怒している。

というかパンツ1つの中学生ぐらいの子を羽交い絞めにして口を押さえているいる高校2年の男子

誰がどう見ても

レイプ魔そのものだった。

最近、これ関連は厳しいからな・・・

実家も助けてくれないかも・・・

土方さんはヨーロッパだし・・・

「むーう!」

ついに涙目になる粉雪ちゃん

駄目だ!もう・・・

その時、がちゃりと玄関のドアが開いた。

き、キンジか?

「・・・」

「・・・」

そいつと目があう。

軽蔑しきったその目は

「き、鏡夜?」

「ふん、堕ちるとこまでおちたか兄貴」

「ち、ちが!」

鏡夜の登場で、手が緩んだらしく、粉雪ちゃんがするりと俺の手から抜け出た瞬間

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

と、寮中に響き渡る大音量で悲鳴をあげた。

10分後、危うく警察を呼ばれそうになったが白雪に事情を説明して、粉雪ちゃんには土下座して誤り、

許しませんと部屋からたたき出され、夜の学園島を歩いている。

「なぜ俺まで・・・」

隣にはむすっとした弟が歩いている。

粉雪の半裸を見たのは鏡夜も同じで、俺の横で正座させられていたが終始、悪びれることはなかった。

「最悪だ・・・」

夏休み終盤にこれかよ・・・

ばれるところにばれたら、中学生襲ったレイプ魔じゃねえか・・・

あの後、白雪に聞いたが、あの子の名前は星伽粉雪、白雪の義理の妹らしい。

青森から東京に出てきたらしいが、どうも最悪中の最悪の出会いを果たしてしまったらしい・・・

「あの子、お前と同じ年らしいな」

がっくりしながら言うと

「ふん、相変わらず女関係にはだらしないようだな兄貴」

「ほっとけ・・・」

以前はクズだったが、俺に負けて以来、鏡夜は俺のことを兄貴というようになった。

昔はおにいちゃんだったのにな・・・

「で? お前は何でここに来た?」

自販機でコーラーを買って鏡夜に渡してやるが鏡夜はそれを無視して自分でおーすお茶を買って口に運ぶ

なんだよ、俺はコーラーを空けて口に入れる。

「再戦を申し込みにきた」

「へえ?少しは腕をあげたか?」

道路のど真ん中なのに、軽い、殺気が俺達の間で起こる

刀での戦いは俺のとってもいい経験になるが・・・

「・・・」

「・・・」

少しにらみ合うが鏡夜はふんと目を閉じて殺気をしぼめる

「今、やる気はない。ここにきたのはついでだ」

「ついで?」

「ああ、ついでだ。 勘違いするな断じて咲夜に頼まれたからではない」

「ああ・・・」

俺達の共通の妹咲夜が頼んだのか俺の様子見てきてくれと

なんだかんだでお前、妹に甘いんだよな

俺がにやりとすると

「勘違いするな俺は兄貴と馴れ合うつもりはない。お前を倒すのは俺だということを忘れるな」

「お、おい!」

背を向けて歩き出した鏡夜に声をかけるが鏡夜は振り返らない。

「ホテルに戻る。 ついでの用は終わったからな」

と、そのまま、夜の闇に消えていった。

なんだったんだよ一体・・・

まあ、適当にコンビニで時間潰して帰るか・・・

今度、着替えを除いたら焼かれるからな白雪に・・・

お恐ろしや

 


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