緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

133 / 261
第132弾 星伽の予言

「ここだな」

 

地下三階の扉の前。

俺とキンジは頷きながら中の様子を伺うが闇のため何も見えない。

踏み込むかとキンジが指信号で聞いてくる。

さて、ローズマリーがいるなら少しは……

俺は武偵弾の閃光弾をキンジに見せて互いに頷いた。

ガバメントに装填して部屋に突入する。

目を閉じて気配を感知。

殺意を持つものはいないな……

この、場所も上の階層と同じで広間になっているはず。

 

「優!」

 

「!?」

 

キンジの言葉にはっとすると広間に明かりが灯っていく。

蝋燭の光が広間を照らした。

 

「っ!アリア!」

 

広間の端にアリアが十字架に縛られている。

意識はないようで顔は下を向いていた。

その、横から阿修羅タイプが1体出てきて駆け出した。

 

「はっ!」

 

デザートイーグルを取り出すと発砲

阿修羅タイプは野太刀でそれを切り払うが俺は撃ちながら敵に肉薄する。

野太刀を買わしてコアの宝石に至近距離からデザートイーグルを叩きこんだ。

沈黙する阿修羅タイプ。

回りを見渡すが後続はない。

どういうことだ?

ローズマリーもあにいしあっけなさ過ぎやしないか?

だが、好都合だ。

武偵弾も後僅かしかないしヴァンパイア用の装備もない。

こんなことなら様子を伺わずさっさと突入すべきだった……

時計を見るとローズマリーがタイムリミットとした時間まで30分も時間がある。

 

「アリア!おい!」

 

キンジがアリアに駆け寄って拘束していた鎖を外そうとピンを取り出した。

ヒステリアスモードのキンジはあっという間にそれを成し遂げ、アリアをお姫様だっこした。

 

「まったく、心配かけさせてくれるねこのお姫様は」

 

歯の浮きそうなセリフだなおい

ちょっと嫉妬するぞ。

ん?嫉妬?

 

「脱出するぞ優!」

 

「ん?ああ」

 

キンジに言われて階段に向かい走る。

ゲームとかだとここでラスボスが現れるんだよな……

と最悪なことを考えてみるがローズマリーは現れない。

階段まで来てから

 

「キンジ、アリアの首輪だが……」

 

たぶん、それがローズマリーの言っていたタイムリミットの首輪だろう。

機械的な首輪でヒステリアスモードのキンジでも解除には時間がかかるため広間から離脱してきたのだ。

 

「今から解除するから警戒頼む優」

 

「了解」

 

大体の木偶人形は片付けたか……

長い螺旋階段の上からは戦闘音が聞こえてくる。

理子やレキ達が戦ってるんだろうな。

にしても……

 

俺は気絶しているアリアを見る。

ガバメントと小太刀が装備されたままなのだ。

普通人質の武装解除は基本の基本である。

余程実力に差がない限りは例外はないはずだ。

ローズマリーは確かに強い……

なんだ?奴は何をたくらんでる?

 

「う……」

 

その時、アリアが意識を取り戻したらしく目を開けた。

 

「おはよう子猫ちゃん」

 

ウインクしながらアリアに目を会わせやがった。

 

「キンジ……ここは……」

 

意識朦朧としてんのか?

ハハハ

 

「ローズマリーに囚われてたんだアリア。今、首輪外すから動かないですぐに外してあげるよ」

 

「ローズ……マリー」

 

小さくアリアは言う。

無理もないか……疲労困憊してるんだろうな

 

「ま、無事でよかったなアリア」

 

さてと……後はアリアの首輪を外したらレキと理子に助太刀して離脱すりゃ終りだ。

実家は気になるがぼちぼち援軍も到着するだろうしな……

あーあ、まだ、気は抜けねえが今回も……

 

「アリ……優!よ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

な……に……

腹から刃が突き抜けている。

じわりと血が広がっていく。

 

「っ……」

 

振り替えるとそこには俺を小太刀で貫いている虚ろな目をしたアリアがいた。

 

「ユウキ……シンデ」

 

ふと、白雪の予言が頭によぎった。

 

『優君は剣に貫かれる』

 

なるほど……な……当たりだ……しら……ゆき……

がくりと俺は膝をついて思った


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。