緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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130弾 レキvs荒城源也 プロの戦い

「作戦を説明するぞ」

 

ローター音を耳にしながら俺はみんなを見る。

 

キンジ、レキ、理子そして、ヘリを操縦しているのは秋葉だ。

彼女は怪我をしていたが格納庫で待っていたのである。

 

「第1目標はアリアの奪還。第2にローズマリー及び協力者の逮捕だ」

 

「勝てるのか優?」

 

ヒステリアスモードで目が鋭いキンジが言う。

 

「全員倒せばいいだけだ」

 

「おまえ……」

 

少し、気を張りすぎてるのかもしれないな……鏡夜を倒して紫電を奪い、後先考えてないからな……

 

「敵は最低で3人、ローズマリーに仮面の男、そして、木偶人形使い」

 

だが、木偶人形も人数にいれるべきだろう。

木偶人形の数もわからないのに救出作戦をたった5人でやるんだ。

姉さんなら一人でも制圧出来たんだろうが俺達にはできない。

 

 

「秋葉は咲夜を守ってくれ」

 

俺は副操縦席に座る妹を見ながら言った。

あの場所に残すことはできなかった。

乱戦状態の場所に戦闘力のない咲夜を残すことはできなかったのだ。

 

「分かりました」

 

秋葉が参戦できないのはかなり痛い状況だが贅沢は言えない。

 

「優兄……」

 

心配そうに咲夜が振り返る。

俺は口元を緩めながら妹の頭を撫でた。

 

「心配すんなよ咲夜、姉さんほどじゃないが俺は強いしな。アリアを助けて無理そうなら逃げるさ」

 

援軍の当てがない訳じゃない。

3時間には間に合わないかも知れないが近衛の主戦力が戻ってくれば一気に形勢は逆転する。

 

「大丈夫だよさっちゃん理子達こう見えても結構強いんだよ」

 

咲夜を安心させるためか理子がニコニコしながら言う。

こいつの明るさはこういう時は救われるな

 

「優さんは私が守ります」

 

そう言ったのはレキだ。

 

「おい、レキ別に俺は守られなくても……」

 

「……守ります」

 

何か強い意思を感じる気がするがレキがねぇ……

っていて!

見るとハイマキが俺の腕を噛んでいた。

 

「ぐるおん」

 

調子に乗るなと言われた気がするぞ……

 

「おお、レキュがユーユーに愛の告白だぁ!」

 

ええ!

 

「そ、そうなんですかレキさん?」

 

お、おい咲夜!

 

「?」

 

レキが首をかしげる。

 

「いて!」

 

ガルルとハイマキが今度は足を噛んできやがった。

なんのつもりだ貴様!

 

「ハイマキやめなさい」

 

「ぐるおん」

 

ハイマキはチッと舌打ちしたように離れる。

 

なんなんだよまったく……

 

「優君見えてきました」

 

 

窓から外を見ると椎名の旧邸が見えてくる。

雑談してられねえな

 

「最終確認だ。ローズマリーの電話によれば奴等がいるのは地下4階だ。入口は俺が知ってる」

 

そう、ローズマリーがいるのはかつて、近衛達が戦闘訓練をしていた地下だ。ジャンクションのように様々な目的にも使われていた。

あそこだけは地下だけに無傷で残ったんだ。

多分、秋葉によれば何も残ってないはずだが……

 

 

「距離100!」

 

秋葉の言葉に俺達はワイヤーをヘリに引っ掻ける。

 

「みんな死ぬんじゃないぞ!」

 

「0!」

 

バンとヘリのドアをあげるとホバリングしているヘリから飛び降りる。

ワイヤーで一気に地上の庭に降り立つとヘリとのワイヤーを切り離す。

 

ギチギチ

木を擦り合わせる音と共に阿修羅タイプが飛び出してくる。

「キンジ!」

 

俺は2番目に降り立ったキンジと背中を合わせると両側から突っ込んできた阿修羅タイプに発砲する。阿修羅タイプは野太刀でそれを切り払う

 

「私は……一発の銃弾」

 

静かなレキの声とドラグノフ狙撃銃の発砲音

タアアアン

阿修羅タイプの頭のコアが撃ち抜かれて沈黙する。

2体目はキンジに切りかかろうとするがヒステリアスモードのキンジは野太刀を見切るとコアにべレッタを押し当てた。

すかさずに発砲、コアが砕け散る。

 

「優!左だ!」

 

キンジの言葉に右を見ると東京で戦った木偶人形が20体現れるところだった。

ガバメントを二丁抜こうとするが

 

「みんな伏せろ!」

 

最後に飛び降りた男言葉の理子の声に俺達は疑わずに伏せる。

 

「クフフ、爆弾パーティーにようこそ♪」

 

彼女は妖艶に微笑むとポシェットからガラスの瓶を集団に投げつけると連鎖的に爆発が起きた。

吹きとぶ木偶人形達。

えげつねえことを……人間相手なら絶対に使えないぞ武偵はな

一体が爆発を逃れたのか突っ込んでくる。

 

「ぐるおん!」

 

迎撃に出たのはハイマキだ。

振りかぶる木偶人形の拳をかわして鋼鉄の鎧の頭で木偶人形をぶっ飛ばし、胸のコアを噛みちぎった。

おお、やるなおまえ

 

第一陣はこれで片付けたか……

 

「みんなこっちだ!」

 

地下への入口に俺を戦闘に走る。

場所はこの庭のはしにある。

 

階段が見えてくると中から再び阿修羅タイプが一体現れる。邪魔なんだよ!

 

「飛龍零式陽炎!」

 

ズンと残像を残して阿修羅タイプを一撃で切り捨てる。

 

「優!後ろ!」

 

ちっ!ぞろぞろと……

屋敷の中からは木偶人形達、阿修羅タイプや見たことないタイプの木偶人形がわらわらと現れる。

このまま階段を降りたら挟撃されるか……

だが、時間が……

 

その時、暴風が木偶人形達を吹き飛ばした。

 

「秋葉!」

 

見ると風に乗って秋葉がヘリから降りてくるところだった。

咲夜をかかえている。

 

「ここは私が食い止めます」

 

50体以上の木偶人形を前に秋葉は言う。

 

「咲夜はどうする!」

 

「こうします」

 

ごっと咲夜の回りに風がまき起こる

 

「風神結界。対艦ミサイルの直撃でも破壊はできません」

 

秋葉がそう言うなら信じるか……

 

「分かった。秋葉、死ぬなよ」

 

階段に飛び込む。

木偶人形はいない。

一気に階段をかけおり地下一階に降り立つ。

そこは武偵高の体育館ぐらいの広間だった。

この広間を抜けないと次の階段には行けない。

侵入者の侵攻を遅らせるための作りだが歯がゆい。

木偶人形の大軍を想像したが人影は1つだった。

 

「おお!きたきた」

 

例の仮面の男だった。

手をポケットにいれて階段の前に立ってる。

一撃で落とす!

 

「お?」

 

走りながら男に濃密な殺気を叩きつける。

姿は陽炎のように……

 

「飛龍零式!陽炎!」

 

すれ違い様に切り捨てるが仮面の男は

 

「おわ!危ねえ!」

 

避けやがった。

ちっ!

後退して紫電を構える。

時間がねえってのに……

 

「今のはなかなかよかったな椎名の後継。だが、焦りすぎで技が完成してねぇな」

 

この男……

 

「なら試してみるか?」

 

刀を構えながら男と対峙する。

 

「へへへへへ、いいのかな?時間は?」

 

くそ……ん?

 

俺と仮面の男の間に一人立つ。

 

「レキ?」

 

俺が言うとレキは振り向いて

 

「みんなさん先にいって下さい。私が戦います」

 

「無理だ!そいつは接近戦のエキスパートだ!狙撃主のお前じゃ勝てねえよ」

 

「ぐるおん」

 

俺を忘れるなとハイマキがレキの横に立つ

 

「大丈夫です」

 

レキは俺達に振り替えると頷いた。

確かに……効果的なのは分かる……だが……

 

「優さん……私は負けません。はやくアリアさんを」

 

アリア……その言葉に俺は頷いた。

 

「キンジ、理子行くぞ!」

 

「レキ、死ぬな!」

 

「先に行ってるよ」

 

仮面の男の横をすり抜けるとき攻撃を警戒したが仮面の男はそのまま、レキの方を見て動かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 荒城

 

 

「嬢ちゃん狙撃主だろ?泣かせるねぇ好きな男の子のために殿を引き受けるなんてよ」

 

「……」

 

人差し指を立てて俺は言う

 

「1発だ。この距離で嬢ちゃんが撃てるのはな。それで倒せないなら俺の拳が嬢ちゃんを砕く」

 

「私は一発の銃弾……銃弾は人の心を持たない。故に、何も考えない……ただ、目的に向かって飛ぶだけ……

 

レキは問答には答えずにドラグノフを荒城に構え、ハイマキが戦闘体勢に入る。

ハハハハ、ローズマリーの嬢ちゃんには1人足止めしろと言われてるからな。

できりゃ椎名の後継と戦いたかったが……

 

タアアアン

 

レキの発砲と共に駆け出す。

弾丸は俺の横をすり抜けるかわしたぜ

 

「ぐるおん!」

 

ハイマキが突っ込むが交わす。

 

「おっとお!」

 

後は無防備な狙撃主だ

 

「もらったぜ嬢ちゃん!その綺麗な顔いただきだ!」

 

強化した拳でレキの顔を砕こうとした瞬間

 

チュン

 

「うお!」

 

気配を感じて交わす。

跳弾か!

だが、交わしたなぁレキが静かに目を閉じた。

諦めたか

 

ギイイイン

 

「!?」

 

背後からの音、更に跳弾射撃か!

振り替えるとハイマキが踏ん張って立っていた。

鎧に当てやがったのか!跳弾の跳弾だと!だが!

 

「おらあ!」

 

強化した左手で迎撃する。

弾と拳が当たった瞬間大爆発が起きた。武偵弾だと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sideレキ

 

爆風に吹き飛ばされたレキはなんとか立ち上がりながら駆け寄ってきたハイマキを見る。

爆炎と煙が立ち込める。

近衛の訓練に使われていただけあって流石に部屋は丈夫だ。

「……」

 

レキは黙って煙の方を見ていたが静かにドラグノフを構え直した。

 

「く、ククク……ハハハハハハ!すげえな!鬼道術がなかったら終わってたぜ嬢ちゃん!いや、名前を聞いとこうか?」

 

「……」

 

レキは答えない。

 

「名乗るなら俺が先か」

 

荒城は言いながら仮面を外した。

 

「荒城源也。傭兵だよ」

 

不適に笑いながら荒城は言う。

 

「レキです」

 

簡潔に互いに名乗りあう。

 

「そうか、レキ。まずは詫びといてやるよ。お前は強い」

 

ゴッとレキの髪が揺れた。

ハイマキは低く唸り声をあげながら警戒する。

荒城源也が揺れて見える。

優の殺気によるあの技の特徴に似ている。

濃密な殺気

 

「ここからは本気だ。」

化け物クラス。

そういった相手をレキは知っている。

そして、目の当たりにしたこともある。

 

「あなたは強い」

 

荒城の言葉を返すようにレキは言う。

 

「うれしいねぇ」

 

「ですがあの人ほどじゃない」

 

「そりゃ誰だい?」

 

「水無月希」

 

その名を言うと男は頷いた。

 

「アメリカ軍を一人で壊滅させられる最強の化け物を引き合いに出されてもな……水無月希の知り合いかお前?」

 

「はい」

 

「そうかい。んじゃ、そろそろ始めますか殺しあいをな!」

 

「私は……一発の銃弾」

 

タアアアン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリア死亡まで2時間02分22秒


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