緋弾のアリアー緋弾を守るもの   作:草薙

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第110弾帰還へ

家に帰るという俺の意思に秋葉の行動は素早かった。

1時間後には次の日の夕方6時に寮の前に車を回しますと言って姿を消してしまったのだ。

マスターズに休む理由をいわないといけないという理由を秋葉に言わなければすぐにでも車を回してきかねない素早さだった。

ま、明日は金曜だから月曜と火曜ぐらい休むことをいえば大丈夫だろう。

キンジに月曜火曜まで寮にいないとことを告げる。

アリアには話したんだが、

 

「ふーん」

 

と言われただけで特に何も言われなかった。

なんか不気味だなと思っていたんだがなぜかは18字時になって初めて分かった。

 

「おい・・・」

 

寮の前に止められた馬鹿みたいに大きなリムジン

その後部座席には、アリア、キンジ、レキ、理子、マリが座っていたのだ。

 

「準備終わりましたか優君」

 

と、運転席から顔を出したのは秋葉だ。

 

「いったいどういうことなんだよみんな!」

 

「くふ」

 

俺の問いに小悪魔のような笑を浮かべて答えたのは理子だ。

 

「甘いなユーユー」

 

何がだよ!

 

「こんなお誘い受けて断らない手はないんだよ」

 

「せっかく、誘って貰ったんだから断るのは貴族としてどうかと思ったのよ」

 

え?アリアさんなんのこと?

 

「・・・」

 

レキはこくりと頷いただけ

お前何が言いたいんだよ!

 

「まあ、俺は巻き込まれただけだ」

 

と、キンジ

なるほどな・・・なんとなく分かった。

 

「秋葉、ちょっとこい」

 

「?」

 

秋葉は運転席から出ると俺の方にやってくる。

小声で

 

「お前、あれはどういうことだ?」

 

こいつが誘ったとしか思えん

 

「いけませんでしたか?」

 

「当たり前だろ!」

 

実家にみんなが来るなんて想像しただけでも気が重くなるぞ

 

「ですが、東京は今、危険です。 優君の仲間を避難の意味を込めて、招待するのはいけないことでしょうか?」

 

「・・・」

 

そう言われると正当性があるように思えるな・・・

東京は今、木偶人形が暴れているし、学園島にも1度とはいえ現れたらしい・・・

手の届かない場所で友達が死ぬなんて絶対に嫌だ・・・

そう考えるならむしろお膳立てしてくれた秋葉には感謝するべきなのだろうな。

白雪は恐山に合宿中だから、問題はない。

 

「分かったよ」

 

諦めて車に乗り込む。

 

「旅行楽しみだねユーユー!」

 

理子が隣に座り込んでくる。

甘いバニラのような香りにドキッとする。

ブラド戦で理子を救ってからこいつは、少し俺から離れてたんだがこういうこところは相変わらずだな。

 

「俺の実家なんて行っても面白くないぞ?」

 

「だから行くのよ」

 

俺の正面に座ったアリアが備えられた冷蔵庫からジンジャエールを取り出すと口に運ぶ。

 

「あんたは、いろいろ、謎が多い。 調査は武偵の基本よ?」

 

「はぁ・・・お前ら・・・行っても気分のいいもんじゃねえぞ俺の実家は」

 

「どういうこと?」

 

アリアが聞いてくる。

 

「行けばわかるよ」

 

窓の外を見ながら俺は目を閉じる。

 

「優! 説明しなさい!」

 

アリアのアニメ声を聞きながら、秋葉の出発しますという声を聞きながら俺は意識を手放した。

実家に帰る前に体力温存しとかないとな・・・

少しだけ、目を開くと俺の横にいるレキは何も言わずに窓から見える夜空を見上げていた。

こういう時は、レキだと助かるよな

そういえば、レキはなんでついてきたんだろうな?

他の連中は面白そうだとか理由はわかるんだがこいつはわからん・・・

ちなみにハイマキは助手席できちんとオスワリしている。

シートベルトまでしてやがる・・・

まあ、いずれにせよ目的地まで約8時間ぐらいか・・・

到着は真夜中になるだろう。

鏡夜とかみんな寝ていてくれると嬉しいんだがな・・・

 

「なあ、アリア」

 

「何? 優?」

 

この子には言っとかないとな

 

「もし、実家で俺に失望するようなことがあればチームメイト解消でいいからな」

 

あのことを知られたくない・・・

知れば、アリアは俺から離れるだろう。

いや、レキも理子もキンジもマリも知れば・・・

 

「何言ってるよの優?」

 

アリア?

 

「武偵憲章にもあるでしょ? 仲間を信じ仲間を助けよ。 あたしはあんたを信じてる。

理子を助けたときもそうだし、神戸で藤宮の2人を助けたあんたは悪人じゃない。 違うの?」

 

「さあな」

 

自分が悪人じゃないなんて俺は言えない・・・

少なくても秋葉の前では言えないんだ・・・

俺の犯した罪は未来永劫消えない。

だが、それでも・・・

周りを見渡しながら俺は思う。

みんなは、あのことを知っても俺を仲間だと思ってくれるだろうか・・・

突き刺さるような視線を浴びたあの日々・・・

 

椎名に名前に泥を塗った男 生きてる価値すらない

 

我ながらよくグレなかったもんだな・・・

 

 

 

 

 

「俺はお前を尊敬していた・・・」

 

 

 

 

 

 

あいつの言葉も重い・・・

 

くそ、家のことを思い出すとどうしても嫌なことしか思い浮かばない・・・

でも、恨もうとは思わない。

俺が恨むとすれば1人だけだ・・・

ローズマリー・・・あいつこそ俺の人生をめちゃくちゃにした張本人なんだから・・・

高速道路に入るリムジン

やはり、帰りたくないな・・・

 

 

 


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