鍍金の英雄王が逝く   作:匿名既望

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速報:ローランが変態らしい by FGO

アホの子はやっぱりアホらしい(歓喜)。そして、Fate世界でもオリヴィエが苦労人になることがほぼ確定した模様。日本ではマイナーな十二勇士ネタが、こういう形で知られるところが、実に日本っぽいと思わずにいられない今日この頃です。

そうそう。

本作の主人公、実はメディアさん以上にチョロインならぬチョロメンだった件。これだからDTは……


第05話 愛ゆえに

>>SIDE キャスター

 

 カーテンの隙間から差し込む朝日が、私を眠りの淵から呼び起こした。

 まどろみ中で感じられるたくましい彼の体。

 枕のかわりに彼の左腕。

 からめあう裸体から感じられる暖かい体温。

 見惚れるほど均整のとれた彼の肉体は、三分の二が神であることを強く意識させる。それでいて、荒々しくもぎこちなかった昨晩の行為を思い出せば、彼自身が経験に乏しい、ただの人間だったことを強く思わずにいられない……

 

 夢を見た。

 

 退屈としか言いようがない、ひとりの男の人生だった。

 

 二歳上の長男ばかり可愛がる家族。祖父母も、父母も、誰もが優れた長男ばかりを称賛し、凡庸な次男である彼に目を向けようとしない。学校行事も長男のものには家族総出で出席するが、次男のものには誰も出席しない。授業参観ですらそうだ。学校も当初はそれを問題視したが、いつしか何も言わなくなった。

 

 高校進学。長男は有名私立に進学、彼は工業高校に進学。

 

 高校卒業後、長男は東京の有名大学に進学。彼は家族から、優秀な兄と違って無能なのだから働けと迫られ、地元の中小企業に就職を決められる。劣等感の塊だった彼は、自分が無能なのだから仕方がないとあきらめていたが……初任給が支払われた段階で、給料が自分の口座ではなく、父の口座に振り込まれたことを知り、初めて激怒した。

 

 家族喧嘩。勘当。コネ入社だったこともあり会社からも放逐。

 

 東京でアルバイトと就職活動を始めるが、それほど優秀ではない高卒の男性にまともな働き口などあるわけがない。鬱屈しながらもバイトと就職活動を続け、その中で気晴らしにネットで見るようになったのがさまざまなアニメや動画など……

 

 その中に『Fate/Zero』があり。

 そこから『Fate/stay night』を遊び。

 ネット小説を読むようになり。

 そして……バイトから帰る途中、通り魔に背中から刺され、死んでしまった。

 

 退屈な一生だった。

 報われない一生だった。

 容姿に劣り、頭脳で劣り、運動神経でも劣り、なにひとつ兄より秀でたことがなかった無能な弟は、ゴミのように路上で血を流しながら、ただひとつのことを考えてた。

 

──死にたくない……このまま…………死にたく……ない…………

 

「………………」

 

 私はいまだ眠り続ける彼の顔を覗き込んだ。

 今の彼と夢の彼の見た目は全然違う。それでも、どこか似ている気もする。

 

 彼は生きたかった。

 この彼も、生きたいと思っている。

 

 彼は愛されたかった。

 この彼も、愛されたいと思っている。

 

 彼は愛したかった。

 この彼も、誰かを愛したいと思っている。

 

 現代に生きていれば誰もが享受するはずのさまざまな経験が、彼には欠落していた。

 親の愛情を知らない。

 親の愛情を知らないからこそ男女の愛情もわからない。

 昨晩、私を貪る時も、彼は自らの快楽より、私の反応ばかり気にかけていた。

 

「んっ……」

 

 彼が小さくうめく。閉ざされたまぶたが、ゆっくりと開く。

 紅玉(ルビー)のような瞳に私が映り込んでいた。

 ふっ、と彼の顔がゆるむ。

 自然と、私の頬も緩んだ。

 

「おはよう」

 

 彼がつぶやいてくる。だから私も、彼につぶやき返した。

 

「おはよう、私のギル……」

 

 今の彼は前世の彼ではない。ギルガメッシュでもない。私のギルだ。私が全身全霊で愛しても裏切ることのない男性(ひと)だ。

 

 そう。私は手に入れたのだ。聖杯に願うまでもなく、私を必要としてくれる、私の伴侶を……

 

>>SIDE OUT

 

 

 

>>SIDE 偽ギルガメッシュ 改め ギル

 

 キャスターを籠絡しようとしたら逆に籠絡されたでござるの巻。というか、彼女は俺のことを前世の俺でもギルガメッシュでもないギルという存在だ、みたいに言ってくれているわけで……

 

 やばい。これが愛してるって感情か。

 とまらんぞ。マジでとめられん。

 

「だからって……ちょっと、やりすぎよ?」

「悪いと思うが後悔はしていない」

「もぅ……」

 

 なーに、朝からリターンマッチを初めてしまい、気が付けばもう夕方だったというだけの話だ。シャワーでさっぱりしたあとメディアは──あー、なんだかんだで名前で呼ぶことになったわけで──ドロドロになった寝室の掃除に入っており、一方の俺は、昨日のうちに注文しておいた品々の受け取りを大急ぎで済ませることにしたってところだ。

 

 んで、日も暮れ、夕食を済ませたあと。

 

「じゃ、今後について考えるとするか」

「バーサーカーのこと?」

「それ以外に関しても。昨日の続きというか、確認だな」

 

 近すぎるとリビドーが止められそうにないので、俺は一人用のソファーに、メディアは斜めの三人掛けソファーに腰かける形で、今後のことを語り合うことにした。

 

「とりあえずセイバー組はまだ冬木に来ていないからパスする」

「アーチャー、キャスター、アサシンがこっち側だから──」

「残りはバーサーカー組、ランサー組、ライダー組のみっつ。うちライダー組も当面は無視する。というか、あのイスカンダルの相手をするのは面倒だし疲れそうだからパス」

「ふふ。でも、マスターは未熟よ?」

「それでもライダーが暑苦しいにもほどがある。放置だ、放置」

 

 キャラとしての好悪と現実の相性は別物だ。

 

「よってバーサーカー組とランサー組をどうするかって話になるんだが……」

「どうするつもり?」

「そこなんだよ。問題は」

 

 俺はソファーに深く座り、ふぅ、と吐息を漏らした。

 

「ランサー組に関しては、昨日も言った通り、交渉でどうにかしたい」

「どういう取り引き?」

「いろいろ考えたんだが……これなんて、どうだ?」

 

 俺は【王の財宝】から、とある秘宝の原典をとりだした。

 黄金の小箱に収まる神秘物質。

 その名を【柔らかい石(ラピス・フィロソフィウム)】──どこのからくりなサーカスだという突っ込みも入りそうだが、賢者の石や仙丹などの原典にあたる神秘物質だ。

 

「どうって……これ、下手をしたらオリンポスの神々も殺到しかねない代物じゃない」

「メディアも見たことが?」

「えぇ。小指の爪程度のかけらだったけど、ヘカテー様にみせてもらったことがあったわ」

 

 月と魔術の女神ヘカテー。そういえば生前のメディアは、コルキスの女王にしてヘカテーの巫女にも等しい立場だったはず。魔術の師匠が魔術神だなんて、そりゃあ、とんでもない大魔術師になるのも当然だ。

 

「どうだ? 交渉材料になると思うか?」

「そうね……その交渉、私に任せてくれる?」

「おまえに?」

「これでも神代の魔術師なのよ、私」

「餅は餅屋か。わかった、任せる」

「こちらとしてはランサーの支配権をあなたのものにすればいいのよね?」

「んっ? おまえでもいいぞ?」

「駄目よ。ランサーは騎士なのよ? 王に仕えてこその騎士じゃない」

 

 なるほど。そういう部分も考慮に入れるべきか。

 

「そうだな……バーサーカーも俺がマスターになるのがいいのか」

「えぇ。魔術師のマスターには不可能だけど、あなたなら私も、アサシンも、ランサーも、バーサーカーも、当たり前のように従属できるわ」

「んっ? おまえはもう、独立してるんじゃないのか? 受肉してるだろ?」

「受肉してもサーヴァントはサーヴァントのままよ。パスもつながってるでしょ?」

「そりゃあ、まぁ……」

「それとも、私なんてもういらない?」

「まさか」

 

 そういうわけで、俺たちはバーサーカーとランサーの支配権を譲り受ける策を詰めていくことにした。もちろん、こちらの切り札は【王の財宝】に所蔵されている数々の品だ。ほんと、金ピカがなぜ公式チート呼ばわりされていたのか、身に染みてよくわかるわ……

 

>>SIDE END

 

 

 

>>SIDE OTHER

 

 ケイネス・エルメロイ・アーチボルトは憤慨していた。

 

「なぜだ」

 

 冬木の聖杯戦争。その魔術協会枠で参加資格を手に入れたところまでは順調だった。

 

 だが、いざ戦場に乗り込もうとした段階で、貧乏人の名ばかりの魔術師にすぎない教え子に必勝の聖遺物を盗まれてしまった。

 

 時間の問題もあり、仕方なく別の聖遺物を取り寄せたは良いが、それによって呼び出せたのは裏切りの伝承を持つ騎士だったのだから不愉快にもほどがある。あまつさえ、愛しい婚約者が、その騎士に懸想している気配がある。忌々しい。実に忌々しい。

 

 そしてとどめは、聖杯戦争の無期限中止宣言だ。

 

 前回の聖杯戦争において、アインツベルン家が不正規な召喚を行ったのがそもそもの原因らしい。その際に現れたアベンジャーなる最弱のイレギュラークラスが、今なお聖杯戦争の儀式の中に残留しており、願望器としての機能を変質させているというのだ。

 

 聖堂教会の監督役によれば、最初にそれを指摘したのが御三家の一角、遠坂家が召喚したアーチャーだったとか。アーチャーは契約不履行を理由に自らパスを切断、遠坂家のマスターが持つ令呪のみならず、召喚の様子を監視していたアサシンのマスター、さらには監督不行き届きとして監督役が継承してきた残余の預託令呪、合計27画を自身の宝具で奪い、冬木の一角にある洋館に腰を落ち着けているのだとか。

 

 一方、協会は遠坂家・間桐家・アインツベルン家に聖杯儀式の正常化を命令。状況が状況のため、関係者が遠からず冬木にやってくるそうだが、だからといって事態が改善するとは思われない。むしろ先がまったく見えない状態だ。

 

「なぜ……私の時に限って、こんなことに…………」

 

 不幸だ。理不尽だ。不愉快だ。

 

 九代を数える魔術の名門アーチボルト家の嫡男にして、時計塔においても知らぬものはいない天才魔術師であるはずの自分が、なぜこうも思う通りにいかない羽目に陥っているのか。

 

 なにかの陰謀だとしか思えない。

 

(ヤツか? いや、あいつか? まさか、あの男が……)

 

 優秀かつ名門であるがゆえに、ケイネスには敵対者が幾人もいる。呪詛の類はすべてはねのけているつもりだが、こうまで不幸が続くと考えを改める必要性に迫られてくる。だが、自分に感知されない呪詛など、はたしてあるものなのか……

 

「──ッ」

 

 不意にケイネスは眉をぴくりと動かした。

 

 ここは彼が冬木での居城として設定したホテルの一室。窓に面した部分がなく、さらには様々な魔術により一級の城塞と化している空間の一角だ。だが、そんな場所でありながら、今、ケイネスは不愉快な気配を感知していた。

 

「何者かね。仮住まいとはいえ、このケイネス・エルメロイ・アーチボルトの工房に誰かを招いた記憶はないのだがね」

 

──あら。ようやく気付いたの?

 

 そのささやきは、ケイネスが腰かける高級な執務机の向こう側、彼から真正面にあたる壁から漏れ出ていた。よく見ると、そこには人型の影が浮かんでいる。そう、影だ。影だけが、まるで生き物であるかのように、そこに張り付いているのだ。

 

──初めまして、ランサーのマスター。私はキャスター。今日は交渉の挨拶として、影を飛ばしているだけよ。

 

「それはそれは……」

 

 表向き平静を貫こうとするケイネスだったが、頬はひくつき、内心は烈火のごとく燃え上がっていた。天才魔術師を自負していただけに、こうもたすすく自らの魔術的な守りを破られてしまったことに強い憤りを感じているのだ。

 

「聖杯戦争は無期限中止と宣言されているが、よもやそれを知らないのかね。君は」

 

──いいえ、知ってるわ。だから交渉に来たのよ。

 

「どんな交渉かね」

 

──ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ。

 

 婚約者の名──瞬間、ケイネスの激情は表層へと吹き出る炎となった。

 

「貴様! ソラウを人質にするつもりか!?」

 

──いいえ。あなたにひとつの真実を伝えるだけ。

 

「真実だと!?」

 

──彼女は好悪すら理解できない冷めた性格の持ち主よ。

 

「はっ、馬鹿馬鹿しい! ソラウのどこが冷めていると──」

 

──気高くわがままな面は、あくまで幼いころから刷り込まれた処世術によるもの。あなたはもう、それに気づいているんじゃないの? だからあなたは、彼女が愛おしくおもえるんじゃないの?

 

 その言葉に、ケイネスは反論できなかった。

 政略結婚にすぎない。

 ソフィアリ家は時計塔の降霊科学部長を歴任する家柄。長男のスペアとして最低限の教育を受けてきた長女のソラウは、名門アーチボルト家の嫡男である自分に嫁ぐことで、両家の結びつきを強める役目を担っている。

 そう。彼女は、冷めている。諦めている。なにも求めていない。

 婚約者であるケイネスを見る目にも、それが表れている。

 彼女は何も期待していない。自分に対して、なにひとつ、人としても、男としても……

 

──そんな彼女に変化が現れた。ランサー。彼には【愛の黒子】という呪いがかけられている。無差別に異性を引き付ける魅了(チャーム)の呪いよ。彼女はその呪いを受けてしまった。呪いであることにも気づいていた。それでも、お人形であることを求められ続け、なにひとつ感じないと思い込んでいた彼女にとって、呪いがもたらす胸の高鳴りは心地よいものだった。

 

「違う! そんな……そんなはずが!!」

 

──彼女が求めているのは自らの内側から沸き立つもの。それが呪いであろうと、魔術によるものであろうと、彼女自身、どうでもよいと感じている。

 

「嘘だ!」

 

──彼女が大切なら、彼女をランサーの呪いから奪い取りなさい。……これをつかって。

 

 コトッ──と音をたてて、机の上に何かが置かれる。

 小ぶりな純金の香炉だ。

 しかも、ただの香炉ではない。感情的になっていたケイネスでさえ、一瞥するだけで、並々ならぬ神秘が宿っていることに気が付くほどの逸品だった。

 

「こ、これは……」

 

──遥か昔、メソポタミアで使われていた香炉よ。中には聖婚儀式に用いる精力増強と女性を魅了する媚薬の一種が入っているわ。これを焚き込んだ部屋であれば、飲まず食わずで六夜七日、交わることもできる。……それで彼女を愛しなさい。徹底的に、体の隅々まで、あなたの思いを染み込ませなさい。

 

 キャスターのささやきはケイネスの背後から響いていた。

 すでに影は、彼の背後に浮かんでいる。

 しかし、ケイネスの意識は、目の前の香炉に集中していた。

 そうなるように仕向けられているのだが、そのことにも彼は気づけずにいた。

 

──大丈夫。聖杯戦争は無期限中止よ。戦いは起こらない。時間はたっぷり、あるわ。

 

 その言葉を最後にキャスターの影はすっと消えてしまった。

 ケイネスはなおも机上の香炉を凝視している。

 脳裏をめぐるのはキャスターのささやいた言葉たち。理性は様々な警戒を呼びかけるが、同時にランサーと共にいる時の婚約者の姿もまた、打ち消すように思い浮かんでくる……

 

 コンコンッ。

 

 ノックの音で、ケイネスはハッと我に返った。

 

「マスター。妙な気配が」

 

 廊下から聞こえてきたのはランサーのものだった。見るだけで不愉快だったため、この部屋にいる時は絶対に入らないよう厳命しておいたのだ。

 

「なんでもない」

 

 ケイネスは香炉をつかみ、顔をドアへと向けた。

 

「魔術を試していただけだ。それよりもソラウを呼べ」

「こちらに?」

「そうだ。急ぎ、この部屋に来るように。それと! なにがあっても貴様はこの部屋に入るな。状況次第で、六夜七日の魔術的な儀式を始める」

「……この後すぐに、でしょうか」

「貴様は言われたとおりにしろ!」

「……はい、マスター」

 

 ランサーの気配が遠ざかっていく。

 ケイネスは立ち上がると、隣接した寝室に向かい、香炉に魔術で火をともした。

 ゆるりと煙が立ち上り始める。

 

(なにをバカなことを……)

 

 常識的に考えれば、これはキャスターの罠である可能性が高い。だが、そうであっても、ケイネスは一縷の望みにすがりつきたかった。ランサーに向けるようなソウラのまなざしを、自分にも向けてほしかった。

 

(なんと愚かな……このケイネス・エルメロイ・アーチボルトともあろう者が、なんと愚かな……)

 

 寝室に広がりだした香炉の煙をすーっと吸い込んでみる。

 全身に力がみなぎってきた。

 それが余計に、自分という人間の愚かしさを自覚させずにいられなかった。

 

>>SIDE END




ケイネス先生が幸せになる展開があったっていーじゃない。人間だもの。

なお今回のあとがきではネタバレも同然ですがランサーのステータスを。治療後のアサシンについては次回ということで。


【柔らかい石(ラピス・フィロソフィウム)】
ランク :B
種別  :魔術宝具
レンジ :-
最大補足:-
 天地開闢する際に生じた原初の個体にして『賢者の石』の原典。【王の財宝】にあるこれは純度100%のため、下手に魔術協会などに存在がバレると大騒動になること必至の代物でもある。元ネタは『からくりサーカス』。類似物に【乾いた水(エクスリオン・ヒュドール)】がある。えっ? 名前がなんでラテン語やギリシア語かって? Fateの宝具名はきのこ英語が基本だろ? そういうことだ。いいね?

【聖婚の香炉(アキトゥ)】
ランク :E
種別  :魔術宝具
レンジ :-
最大補足:-
 原初の性合儀式に由来する聖婚儀式用の香炉。香木の効果を高め、飲まず食わずで数日間、交わることができる。名の由来はアッカドで行われていた聖婚儀式を伴う新年祭から。これを行ったとされるアッカド王サルゴンこそが、数ある王号の中に「世界の王」を用いていたりする。ある意味、後世の中世騎士物語で変質したアーサー王伝説がアルトリアやランスロに影響しているように、紀元前2600年頃のウルク第一王朝の都市国家の王にすぎなったギルガメッシュもアッカド帝国の登場によって原作のような英雄王に変質したと考えられるため名称を使わせてもらった。地味に筆者は『Fate/stay night』でギルが「英雄王」だったことにものすごい違和感を覚えたものだが、今となってはチート王じゃないギルはギルじゃないと思えるわけで。後世の逸話による変質ってスゴイネ!


■ステータス
【騎座】ランサー
【主師】アーチャー(ギルガメッシュ)
【真名】ディルムッド・オディナ
【性別】男性
【体躯】184cm・85kg
【属性】秩序・中庸
【能力】筋力B 耐久C 敏捷A+ 魔力D 幸運E 宝具B
【クラス別スキル】
・対魔力:B
【固有スキル】
・心眼(真):B
・愛の黒子:E-(C)
【付与スキル】
・単独行動:A+ ※【黄金の果実(アンブロシア)】による受肉
【補足】
 円卓の騎士の数あるモチーフのひとつ、ケルト神話のフィアナ騎士団において最強の戦士とされた“輝く貌”の異名を持つ二剣二槍の騎士。“女性の言うことには従う”というゲッシュ(絶対制約)を掲げていたため、主君である騎士団長フィン・マックールの婚約者グラニア姫に惚れられた際に逃避行を命じられても逆らえず、望まむまま裏切りの騎士となってしまった伝承を持つ。つまりランスロの元ネタの人。だがランスロと違い、こちらは生前に主君と和解、騎士団に戻っているので人生には後悔していない模様。なお、この物語を語るフィニアンサイクルはアルスターサイクルの後に入るため、イケメンじゃないほうのランサーの後輩であり、間接的には円卓の騎士の先輩格であったりする。
 偽ギルと再契約したことで宝具がパワーアップ、二剣も使えるようになっている。ただ、偽ギルがプレゼントした呪詛封じの耳飾りにより【愛の黒子】を超弱体化しつつもステータスまで抑制されてそのままに。どう考えても嫁をねとられないために強制したとした思えないのでは秘密ということで。本作では便利な護衛役として名前しか出ないような扱いを受けることになるが、原作でのあの末路では仕方なし(えっ
【宝具】
【破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)】
ランク:A
種別:対人宝具
レンジ:2~4
最大捕捉:1人
 魔力による防護を無効化する長槍。魔力で編まれた防具・防御をすべて無効化、また武具に施された魔術的な強化、能力付加も、これと打ち合う場合には一時的ながら一切発揮されなくなる(常動型は離れると力が戻る)。これにより事実上、物理手段によってしか防御できない“宝具殺しの槍”、それも偽ギルとの再契約により【十二の試練】にも通用する鬼宝具と化している(でも突けば突くほど耐性ができるので勝つのは無理)。
【必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)】
ランク:A
種別:対人宝具
レンジ:2~4
最大捕捉:1人
 いかなる神秘によっても回復不能な傷を負わせる呪いの槍。ディスペルは不可能であり、呪いを破棄するには槍を破壊するか、使い手を滅ぼす、対象が死ぬしかない。偽ギルとの再契約によるランク上昇で、防御宝具の多くも貫ける最凶の槍と化している。
【憤怒の妖精剣(モラルタ)】
ランク:B
種別:対人宝具
レンジ:1~2
最大捕捉:1人
 見た目はごく普通の両刃片手剣ながら、使い手の感情に応じて際限なく重さを増す妖精の剣。ただし重量が増すのは刃が触れた瞬間だけ。超重量で叩き潰された敵の姿は、さながら大いなる激情のまま暴れた巨人の姿を連想する。というオリジナル宝具。【破魔の紅薔薇】と共に使うと、とんでもない殲滅力を発揮する。
【冷怒の妖精剣(ベガルタ)】
ランク:C
種別:対人宝具
レンジ:1~2
最大捕捉:1人
 見た目はごく普通の短い両刃片手剣ながら、使い手の感情に応じて見えない刀身が伸びる妖精の剣。静かに怒りながらこの小剣を振るわれると、あたっていないにも関わらず相手がどんどん傷つき、出血していくという厭らしいオリジナル宝具。【必滅の黄薔薇】と共に使うと、長期戦で決定的な優位を保てる。

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