高二病抜け切らなかった人が中途半端な力で   作:mahiro

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前回投稿は何時の事だったのか……更新ペースは鈍足です。申し訳ないです。
そんでもって描写が濃いわけでもないのに文字数が……



今話では色々ちりばめておいた伏線モドキの回収を。
今まで投稿してきた話は何度も修正していますが、この伏線モドキの部分は誤字脱字を直すぐらいで、後から追加したり大幅に文章を変えたって事はありません。



19話「オリ主は自分自身を客観的に見ることが出来ないんです」

 田中家で大人達の説得を試みていた少年と少女。

 

 歳が同じわけでもなく性別も違う二人だが、少しばかり特殊な共通点が二つある――

 

 

 一つは、魔法文化の発展していない世界の出身でありながら魔法が使えるということ。

 とある車椅子の少女にも魔法を使う資質はあるのだが、海鳴市出身で今現在魔法が使えるのはこの二人だけである。

 また、当然ながら『魔法が使える・魔法絡みの問題が起きており、その解決の為に動いている』という事は周りには秘密にしている。

 

 

 もう一つは、言動が年齢に比べれば大人びているということ。

 少女は過去の家庭環境が特殊だった為に。

 少年は記憶を持ったまま転生などという訳のわからない事をしてい為に――と、要因は違うが、ともかく二人は年相応とは言えない箇所があった。

 

 例えば、『理解力が高い』『落ち着きがある』といった点。

 物事を小難しく考え過ぎてしまう(考えられる)

 非現実的な事・余りにも予想外な事が起きない限り、普通の10歳前後の子供であれば騒ぐ・パニック状態になることでも、そうはならない。もしくは、割とすぐに落ち着くことができるなどだ。

 

 

 さて、そんな共通点を持つ二人は今どうなっているのかと言うと――

 

 

 

「え、え!? どゆこと!? 説明プリーズ! 説明はよ――あ、やっぱ待って。一回整理させて。あーっと…………え? どゆこと!?」

「んっと、あの……ふぅ、うん、よし、大丈夫…………大丈夫? ううん、全然大丈夫じゃない!!」

「貴裕もなのはちゃんも落ち着きなさい! いくらなんでも動揺しすぎ……」

「動揺っていうより興奮しすぎだ。さっきまでは白かった顔が耳まで赤くなってるぞ……」

 

 ――大人達の発言から自分達が秘密にしていた事がバレていることを悟り、年相応の行動を取り続ける(落ち着いて話を聞くことが出来ない)のだった……

 

 

 

 

 

 

19話「オリ主は自分自身を客観的に見ることが出来ないんです」

 

 

 

 

 両親に魔法バレする前から魔法バレしているという、訳の分からない事があってから数分経ち――

 

 いや、その数分の間に父が何を言っても混乱状態でアバアバ言ってた俺らにしびれを切らせたのか、強制停止させるべく手近にあった菓子を俺らの口に突っ込んだり、『なのはちゃん(余所の家の子)にまで何やってんの!!』と母が父の頭を叩いたり、なのはちゃんに潰されかけて震えていたユーノ君が安全の為か俺の肩に移動したりとか、色々あったんだけど――――ひとまず、俺もなのはちゃんも落ち着くことはできた。

 

 

「さて、まあ…………何をどう話したらいいんだかなぁ……母さんが話すか?」

「ううん、この子達落ち着かせるだけでちょっと疲れたから…………うん……」

「あー……分かった。そういうことだから二人とも、大人しく(・・・・)聞くんだぞ? いいな?」

『はい、すみませんでした……』

 

 椅子の背もたれに上半身の全体重を預けてダレている母を見ながら反省しつつ、父からの説明待ちの状態である……いや、本当にスマンね母さん。

 ちょっと予想外過ぎることがあったもんだから、『魔法とかいきなりファンタジーなこと言われてビックリしただけダヨ』って言って誤魔化すには無理があるぐらいにバグっちゃったの。興奮しすぎて、また心臓が痛くなったくらいなの。

 

 いや、俺一人で父母の説得しようと考えてた時は、むしろこっちから魔法バレするつもりだったよ?

 でも、自分からバラすのと既にバレているのでは、印象も使える話も大分違ってくると思うんですよ。

 

 例えば、『本当ずっと隠すつもりだった。でも、やっぱり家族だから! 全部知ってほしいんだ!(キリッ』的な王道お涙頂戴もの――――こんな気持ちの悪いのは元から使うつもりはなかったけど、そういう類の話の効力が薄れるじゃない……

 

 

 というか、そもそもどうしてバレてるの?

 

 あれか? 二次定番の『実は両親orご先祖が関係者』ってパターンか?

 そんな家柄、神様に頼んだ覚えはないんだけど……いや、『するな』とも言ってないから、いらん気を回したのかしら? 

 もしそうなら、同じく二次定番の神様からの脳内メッセージ位あっても……流石に望みすぎですか、すいません。

 

 

 あと考えられるのは、『どこかで魔法使ってるのを見られた』ってパターン?

 それは無いと思――――いたいんだけどなぁ……こっちの方が有力ですかネ。

 

「ゴメン、最初に確認したいんだけど……もしかして、父さんか母さんのどっちかが元魔導師か、その関係者だったりするの? それで、最近の俺の行動なり、今さっきの話から『魔法絡みの問題が起きていて、それに俺らが関わっている』って予想がついてカマかけたとか?」

「えっ、おじさんとおばさんが!?

<魔力は感じられないし、それは無いんじゃ……いや、技術職とかならあり得るのかな……>

 

 出来ればそのパターンであって欲しい……いや、どのみち魔法バレしてるのに変わりはないけど、自分に原因が有るのか無いのかは気になるし。

 

 

 仮に魔法を見られてたとしたら、家の中で出したこともあるバインドかね? それともサーチャー(スフィア)

 あんなリアクション取った今となっては遅いけど、チェーンバインドをチラ見されただけだったなら『そこらへんに落ちてた錆びた鎖で遊んでただけだし!!』って言い張ればどうにか出来たかも…………厳しいか。

 

 アレ、微妙に光ってるし、曲がりくねりながら動く鎖とか見られたらちょと――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は……? いや、ないないない!? 父さんも母さんもピンク色のかめは○波(・・・・・・・・・・)なんて撃てないからな!?」

「なのはちゃんが砲撃魔法ぶっ放してるところを見たの!?」

「キュッ!?」

「ふぇっ!? 私!?」

 

 ――いや、かめは○波とか表現されるレベルのもの見られたら微塵も言い訳のしようがないわ!

 ピンク色のかめは○波とか百パーなのはちゃんです! 俺は砲撃魔法なんて撃ちません・撃てません!

 

 そんで、やっぱり『魔法を使うところを見られたパターン』なのね……

 俺がまた何かミスをやらかしたんじゃなくて、なのはちゃんが魔法使うところを見られたのが原因ってのは予想外だけど……魔法を見られてたことには変わりないですか、そうですか。

 

「えと、かめは○波って、あの、ドラゴン○ール……え、貴裕くん、だって私、砲撃魔法は撃ったことあるけど……あれ? 私が魔法撃ったところを見られて? 貴裕くん、何で? ねぇ?」

「ハイハイ、なのはちゃん落ち着いてネー? 俺の腕掴んで揺らすのはいいけど、もう少し力弱く。地味に痛い」

<また、なのはが混乱してる……貴裕、かめは○波って何?>

<バトル漫画の中に出てくる技。手から砲撃魔法みたいなのを出すやつ>

<あー、成程。そっか、僕たちが魔法使っているのを何処かで見られて…………え、不味いよねそれ? 魔導士じゃない現地の人に魔法使ってるのを見られたって、しかも砲撃魔法って見間違いじゃすまないというか、いや貴裕もなのはも本当は十分不味いけどまだ緊急事態だったからいいとしてそうだ貴裕の両親なんだからギリギリいややっぱりアウトいや――>

 

 うん、不味いね。ユーノ君も俺らと同じように頭が不味くなってる(混乱してる)ね。

 

 なのはちゃんはなのはちゃんで、自分が見られた――自分が魔法バレの直接の原因だって事実と、ディバインバスターをかめは○波呼ばわりされたせいか混乱再発してるし……乙女心的に複雑なのかしら?

 いや、何だろうと俺の腕に指を食い込ませるのは辞めて欲しいんだけど。

 

「さっきから言ってる『砲撃魔法』って、かめは○波の事か? 随分物騒な名前の魔法だな……」

「あうっ」

「お゛っ……父さん砲撃魔法の事を、あー、その名称で呼ぶのやめてあげて。なのはちゃん気にしてるみたいだから」

「ん? あ、ああ、分かった」

 

 その物騒な名前の魔法が大得意な子の指の食い込みが強くなるから、本当にお願い…………というか、そのかめは○波はいつどこで見たの?

 

 

 基本、ジュエルシードを見つけたら封印前にはユーノ君が結界を張ってるし、朝練の時も同じだ。

 父母は魔導士じゃない&魔力がないんだから『実は魔力を持っていたから結界内に入れた』ってのも無いはずなのに……

 

「あ、あの、おじさんとおばさんは、いつ私が砲撃魔法を使うところを見たの?」

「ん? ああ、その砲撃魔法だかを見たのはおじさんだけだよ」

「え……あれ? 美智子おばさんは私が魔法使うところは見てないの?」

「いや、私はお父さんから話を聞いただけで、なのはちゃんがかめは――砲撃魔法だっけ? それを出すのは見てないんだけど…………それの何日か後に、二人が突然消えたり、なのはちゃんが空飛んだりしていたのはお父さんと一緒に見たのよ……夢だと思って頬つねったけど……」

「あー、父さんがその砲撃魔法見た時も、なのはちゃん飛びながら撃ってたんだよな……開いた口がふさがらなかった……」

「え、えっと…………ん? あれっ!?」

「待って!? 父さん達が見たのって砲撃魔法だけじゃないの!?」

<えええ、本当に何時見られたの!? 何か魔法の事全然隠せてない!?>

 

 砲撃魔法に加えて飛行魔法まで!? というか複数回見られてたの!?

 あと、消えるって何!? 幻覚魔法? そんなもの使った覚えがないというか使えないんですが!?

 

「また騒ぎだして……それも含めてちゃんと話すから落ち着け! 落ち着かないなら説明もしないし、さっきの話の許可も出さないぞ」

「え゛っ……あっ、大人しくしますです、ハイ」

「えっと……はい……」

「きゅっ……」

「――さっきみたいに落ち着かなくなるかと思ったら、一瞬で静まったわね……」

 

 一瞬で頭が冷えましたから……説明してもらえないのも許可もらえないのも困るんですもの。

 というか、大人しく話さえ聞けば許可もらえる流れなのコレ?

 

 

 ◇

 

 俺となのはちゃんを完全に落ち着かせる為なのか、父と母も頭の中を整理したかったのか、話は茶でも飲んで一息ついてからということに。

 

 その茶を飲む間、誰も喋ろうとしない(念話も含め)・してはいけない様な気まずい空間が何故か生まれ、なのはちゃんは湯呑を持ってはテーブルに置きを高頻度で繰り返し、ユーノ君も俺の肩の上を何週も巡回し、俺は俺で貧乏ゆすりしたくなるのを必死で我慢しようとしたけど無理だったりなど、しばらく子供らが挙動不審な行動を続けること数分。

 

 父が咳払いをしてから母と共にこちらをまっすぐに見て口を開いた。

 

 

「さて、何で魔法の存在を知っているかって話だけど…………まあ、さっきので分かるよな? なのはちゃんがすんごい(・・・・)魔法を使ってるのを何度か(・・・)見たのが大きな理由だ」

「ナルホドデスネー……」

「うぅ……貴裕くんゴメン、本当にゴメン……」

<ユーノ君もゴメン……私のせいでバレちゃって……>

「あー、頭下げてまで謝らんでもいいから。大丈夫だって、多分」

<まあ、貴裕のご両親が魔法の事を大々的に触れ回ってる分けじゃあないみたいだし、大丈夫…………じゃないかな、多分……>

 

 魔法バレの原因を改めて話してくれましたが……うん、これは酷い。

 

 どこぞの少年漫画の必殺技とタメ張るようなピンク色のぶっといレーザー砲、もとい砲撃魔法。

 ワイヤーなし、引力とは何だったのか飛行魔法。

 種も仕掛けもなく子供二人が突然消える……これは何魔法か分からんけど、異常なことには変わりない。

 

 そんな、ただでさえ『見間違えです』って言い張るのは難しいレベルの魔法をよりにもよって3種類も複数回に渡って見られるとかね。

 しかも、横目でチラっと見た程度ならまだしも、話しぶりからするにどれもガッツリ見てたっぽいし……魔法の秘匿とは何だったのかって言う……

 

 

「まあ、なのはちゃんの魔法を見る前から、貴裕絡みでも色々とおかしいと思った事はあったけどな……」

「俺も? あ、部屋の中で魔法の練習してたのを実は見てたとか?」

「お前そんな事してた――――待て、家の中であの砲撃魔法とかいうのは使ってないよな!? 壁に大穴開くぞ!?」

「それは無い! そもそも砲撃魔法なんて物騒なモノ、家で使うわけないでしょ!!」

「また物騒って言われた……今度は貴裕くんにも言われた……」

「あ、ゴメン」

 

 本当に物騒なんだもの……じゃなくて、俺も何かやらしてたの?

 結界張らずに俺が魔法使ったのなんて、部屋での魔法使用以外は特段心当たりがないんだけど……

 

「え、本当に思いつかないの? 貴裕が当事者なんだったからすぐに思いつくことでしょうに」

「マジで? 俺が当事者って……いや、他に思いつかないんだけど……」

「嘘でしょ…………お医者さん、『ショックで記憶障害が起こる』なんて言ってたかしら……」

「そんな心配されるレベルの話なの!?」

 

 それだけ言われる程印象的な出来事だったら、出来のよろしくない俺の頭でも覚えてるはず……

 え、本当に記憶障害? お医者さんに掛からないとダメ?

 

 

 入院なんてものをついこの前にしたばっかりなんだから、病院とか何となく行きたくない――――――あれ、入院?

 

 

 

 

「もしかして、俺が木に町内引き回しにされた時の事?」

<あ、男の子と女の子がジュエルシードを発動させた……!>

「あ、あの時の……」

「アンタもうちょっと表現を……まあ、覚えてはいたのね?」

「というより、あんな異常な出来事をどうしてすぐ思い出せないんだ?」

「だって、当事者っていうよりも被害者っていうか、俺からは特に何もしてないというか、そもそも――――イヤ、何デダロウネ?」

「本当に大丈夫か? 実は記憶が飛んでたりとかしないよな? あの時、怪我だってしてたのにそれを思い出せないとか……」

 

 怪我とかもしたにはしたけど、そもそもジュエルシード絡みの問題では戦闘とかも起こるし、町内引き回し程度は普通(命に係わる危険がほぼ毎回)・木が暴れまわるとかかわいいレベルの異常現象・少なくともダメージ食らうのは珍しくないから直ぐに思いつかなかったんだよ――ってのは黙っていた方が良いんでしょうネ。

 

 うん、『お医者さん』っていうワードがなかったら分からなったかも。

 現になのはちゃんもすぐには思い当たらなかったっぽいし。二人揃って感覚が大分麻痺っとる……

 

「ともかく、父さんや母さんが何かおかしいなって思い始めたのは、あの訳の分からん木にタカが巻き込まれた時――それについて警察の人に教えて貰った時だ。あれは市街地の中心に被害が集まってたらしいんだが……例外はタカを引っ張った木の通り道だけなんだと。その上、木に引っ張られたのもお前だけらしくてな、警察に『お心当たりはありませんか?』って聞かれたが逆にこっちが聞きたかったよ。何故うちの子がってな……」

「オゥ……」

「そうだったんだ……」

 

 そりゃあ、目の前で自分達の息子だけ(・・)が異常現象に特異な巻き込まれ方をしたんだもの。

 俺にも警察の人が直接事情聴取に来たし……不思議に思うはずですよネ。

 

 父母が俺を抱きしめた時の様子から察するに、命の心配さえしてたかもしれないし……

 俺は事情(魔法)やら(原作)を知ってた上に慣れもあったから大して思い入れもないけど、父や母にとっては一大事だし、深く印象にも残るわな……いや、本当に心配かけて申し訳ない。

 

「あの時の貴裕の怪我の具合についてもおかしいと思ったのよね。貴裕が引っ張られていた時の目撃情報も警察に寄せられてたらしいんだけど、その中に『ビルのガラスに突っ込んでた』とか、『地面にすりつけられて引っ張られていた』っていう話も幾つかあったらしいのに、アンタには幾つかのかすり傷しかなくって……記憶違い・見間違いって事で片づけられなくもないけど、逆にそんなちょっとのかすり傷で済んだにしては、服のボロボロさや血のにじんでいた箇所の数はおかしかったし……」

「オォゥ……」

<あ、そっか、貴裕回復魔法を使ってたから……>

 

 俺が魔法使うところを直接見られてなくても関係ないほどにボロが出ちょる……!

 

 傷口が痛いからってのもあったけど、父母に過剰な心配掛けたくなかったからこそ回復魔法使ったのに裏目に出てたとか……

 あれか、放置すれば良かったと仰るか!?

 

「他にも『ビルにぶつかる瞬間に発光してた』とか、『白い女の子が飛んでた』っていう証言があったり、おかしな事ばかりで何が何やら分からなかったけど…………お父さんと心当たりがないか話していた時に、4月の頭の事――アンタが突然家を出て夜遅くまで帰って来なかった事があったでしょ? あの時はアンタが寝ぼけて話したことだからって大して気にしなかったけど、何をしてたか聞いたら『魔法がー』とか呟いてたじゃない? その事を思い出してね……」

「普通なら、『魔法なんてものが在る訳がない。あんな寝言を真に受けられるか』ってバカにしたかったんだが……現に説明のつかない魔法の様な事が起こったからな。『魔法のせいに違いない!』なんて断言はしなかったが、もしかして……なんて考えてたんだわ」

「何でそんなピンポイントで思い出すかなぁ……」

 

 いや、普段は行き先も告げずに夜に突然家を飛び出したり、魔法とかおかしな発言もしないから記憶に残りやすかったんだろうけど……!

 あれか、小さい頃から非行&電波発言してれば――――良かった訳がないね、ウン。

 

「た、貴裕くん、あの日の事話しちゃってたの!?」

<僕もそんな話一言も聞いてないよ!?>

「いや、話したって言うか……疲れてたから良く覚えてないんだけど、眠りかけながら何かそういう単語を途切れ途切れ呟いてたらしくて……」

「えぇぇ……」

<えぇぇ……>

 

 違うんです。ワザとでもなければ、うっかりともまた…………いや、違うんですヨ?

 まさかの主人公愛機変更によってリリカルなのは強制終了しかけて、全力で逃走&初めての魔法使用で体力も気力も限界で、自分が何言ったか覚えてない位の状態だったんで……

 

 体調不良の時の寝言モドキは仕方ないやん? だからジト目でこっち見るのは止めよ?

 

 

 それに、その時点ではまだ疑いの段階だったみたいだし、魔法バレしたはあくまでなのはちゃんが魔法見られたからであって、全部が全部俺のせいって訳では――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「続けるぞ? 父さんがタカやなのはちゃんが魔法に関わってるってハッキリ分かったのは温泉旅行の時だ。士郎さんと飲み比べした日の事だが、寝てる最中に何故か急に腹が痛くなって(・・・・・・・・・)起きたんだよ。そしたら部屋の外でなのはちゃんとタカが話しているのが聞こえてな? 部屋の中に戻らずにどっかに行こうとするもんだから、子供だけで夜更けに何をやるのかと追って行ったら…………いや、途中で付いていけずに見失ったんだが、二人の走って行った方向で急に光が立ち昇ったり、遠目になのはちゃんが空で魔法を撃ってるのを見た訳だよ。うん……」

「うぁぁ、フェイトちゃんと戦った時の……!?」

「んっ?」

 

 その急な腹痛って、俺が酒臭い状態で抱き枕にされてたからイラットして父の腹を踏みつ――

 何デ父サンノオ腹ガ急ニ痛クナッタンダロウネ!? トッテモ不思議ダネー? 

 皆目見当モツカナイヨ!!

 

<あれ? というか何でおじさんが見ることが……あ! ユーノ君、結界は!?>

<え……あ゛! あの時は結界張らなかったような……ゴメン……>

<イヤイヤ、即戦闘で張る暇なかったし仕方ないって…………あ、むしろ結界も貼らずにジュエルシードの封印してたり、直ぐに襲ってきたりしたフェイトちゃん達が悪いんだヨ。ソウダヨ。間違イナイヨ>

<――そういえば、フェイトちゃん達が結界張るのなんて見たことないかも……>

 

 そうそう、その腹痛がなければ(父が起きなければ)魔法も見られることもなかったとか、その腹痛の原因――魔法バレの間接的な原因なんてどうでもいいんだ! 

 もっと直接的な原因の方が問題なの! 

 つまり、結界張らなかったフェイト組が全部悪いって事で(に罪を押しつけて)この話は終わりって事で!!

 

 いや、夜中に森の中突っ込む人なんてまずいないから油断しても仕方ないんだけどさー?

 実際に封印する時に結界張って無かったのは向こうの落ち度な訳だしー?

 俺はそんなに悪くないっていうかー? 悪くないことにしておきたいっていうかー?

 

 そう思い込まないと心臓に悪いっていうかー……既に何か気持ち悪いっていうかー……

 

 

 や、大丈夫、この程度でなのはちゃんの『フェイトちゃんLOVE』が衰える事は無いと思うから何も問題はない。多分。

 だからフェイト組のせいにする。俺は悪くない。悪くない。だから全部の事情は話さないヨ?

 

「なのはちゃんが魔法を撃ってる所を携帯で撮ったりもしたんだが……夜だし距離もあったせいか、白いぼやけた物からピンク色の線が出ていること位しか分らない画でな。その画像を確認している内になのはちゃんも見失ったけど…………とりあえず、酔っ払いの見た夢じゃないって証拠にはなった」

 

 追ってくるの(ストーキング)に飽き足らず、証拠写真まで撮って……

でも、近場で最初っから最後まで――息子が大型の獣に襲い掛かられてる図・良く家に遊びに来る女の子が首筋に光る刃を押しけられている図など――全部を見たって訳ではないのか。

 仮に見られたら翌日には詰問コース確定でしたネー。

 

 俺達は現場まで軽く走ってたし、スポーツも何もやっていない中年の体力的に付いていけずに見失ったのか?

 帰ろうかそのまま探そうか迷っていた所で、魔力光が立ち昇るのだったり、飛行中のなのはちゃん&砲撃を目撃したとかか……

 

 

「――直接タカが魔法らしきものを使う場面は見ていない。それでも、なのはちゃんと隠れるように真夜中に森の中へ入って行った事。その森で訳の分からん光が立ち昇ってた事。一緒にいたであろうなのはちゃんが魔法らしきものを使ってた事。その時になって思い出したが、あの木の事件の時も何故かなのはちゃんがタカの傍にいた事……これだけ状況証拠があるんだ。さっき話したおかしな事も含めて考えると、なのはちゃんだけが魔法に関わっていて、お前は何の関係もないってのは……な?」

「無理がありますネー……」

「うん、だから旅行から帰った後、母さんにその話をしたんだ」

 

 まあ、最初から最後まで見なくても察するには充分だったと。

 

 それで、父から母へと話が伝わってもれなく両親ともに魔法バレと……

 あれ、例の姿消える魔法は? というか母はこの何日か後とか言ってたけど、どのタイミングで魔法見たの?

 

「まあ、お母さんがお父さんから話を聞いた時には、内容が内容だし木の事があっても信じ切れなかったんだけど……その翌々日にはこの目で魔法が使われるのを見たから、信じざるを得なかったのよね……」

「え? いつどこで?」

「いや、貴裕が『早朝ジョギング始めるわ』とか言って朝早くから外出し始めたの、魔法だとか呟いた日から少し経った頃だったでしょ? 『もしかして何か関係あるんじゃないか?』って、こっそりお父さんと後をつけたのよ」

「まーた、ストーキングかい!」

「ストッ!?」 

「だから、アンタ表現をもうちょっと……いや、全く違う訳じゃないけど……」

 

 気配察知なんてスキルがないのを良い事に……!

 いや、こっちは怪しまれるような事をしているし? 直接本人に『お前って魔法使い?』なんて聞くのも勇気がいるだろうけどさ? それでもこう……もうちょっと他に何かなかったんかい!

 

 そもそも、朝練は間違いなく結界張ってやってるのにどうやって見た――

 

 

 

 

「とにかく! 後を追ってみれば木陰から見ていれば案の定なのはちゃんと合流するし、地面が緑色に光ったと思えば突然姿が消える(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)し、慌てて探し回っても全然見当たらなかったし……どうしようもないから帰ろうとした辺りで、空を飛んでるなのはちゃんが何もないところから突然現れたと思えば、慌てる様にして元の方向に戻ってまた姿が消えるのも見たし……本当にビックリしたのよ?」

<うぁぁ、結界を張る瞬間(・・・・・・・)を見られてたんだ……!>

「あ、消えるってそれか……」

「私がボーっとしてた時のも見られて……うぅぅ、ゴメン……」

「こちらこそ見られる要因作ってスイマセン……」

 

 そっかー……結界張った後なら何も見えないだろうけど、結界張る瞬間を見られたら突然俺らが消えたように見えますよね……

 何の事情も知らない他人が見れば見間違いで済むけど、疑っている父母がそれ見たら十分アウトですよネー……

 

 結界張る前に周囲の確認はするけど、周りを軽く見渡すぐらいしかせん。

 だって、自分達が注視されてるなんて考えてないもの。木の裏までなんて探さんよ。

 

 おまけに、なのはちゃんがフェイトちゃん絡みの事で悩んでいてボーっとしながら飛んで結界から出る所も見られて魔法バレと……

 

 

「それで、お父さんもお母さんも魔法が存在して二人が関わってるのは分かったのよ。ただ、隠そうとしていたみたいだし、『また怪我でもしない限りは問いたださないでおこう』って事にしていたんだけど…………さっきの話を聞かされたら流石にね」

「なのはちゃんと一緒だろ? その困り事の解決をやり始めたのが4月の頭だって言うだろ? 『詳しく話しなさいと許可できない』って言ってるのに、尚隠そうとするだろう? だから魔法絡みの話だとしか思えなかったんだが…………まぁ、予想通りだったと……」

「あい……」

「はい……」

「きゅっ……」

 

 その状態でさっきの話を聞けば、そりゃ察するわな……

 

 父さんが天井仰いだり、母さんが渋顔作ってたアレは、怒ってたんじゃなくて『この子達、まーた魔法とか訳の分らないモノ使って何かやる気だよ、もー!』って感じだったのかね?

 アイコンタクトは『流石にこれは黙認出来ないし、色々ゲロって貰おうか』って意味か……最初っから積んでたのね。

 

 

 これだけバレてたなら、『魔法が関わっているのか?』って聞かれた時にパニクってボロ出したのはある意味正解だったのか?

 

 仮にうまく取り繕って『魔法? ハハッ、馬鹿なの?』とか返してたら、『ああ、大事な話で嘘つくんだこの馬鹿息子。ふーん……』っていう形で印象がよろしくないし、これだけの証拠出されたら上手く言い逃れること何て出来んもの……

 

<二人ともごめん。魔法の事バレてるんだし、ある程度の事情は話しちゃって良い?>

<あー……うん。今更、誤魔化すのは無理だし……>

<バレちゃってるんだもんね……主に私が魔法使うのを見られて……>

<いや、バレる要因作ったのは俺だからそんなに気負わないで良いのよ……ハハッ……>

 

 自業自得なのは分かるけど、一つ一つのミスは大したものじゃないと思うんですがねぇ……

 それがどうして、だるま式に大きくなって最終的には魔法バレとかしちゃうかなー?

 

 体調に異常をきたしながら必死こいて考えた話はなんだったんだろうネー? 

 全くの無駄な努力だったのかなー? ものっそい疲れたましたヨー?

 

「それで? 本当はどんな事をするのか話せるのか?」

「あー……簡単に言うと、トラブルでこの辺りに散らばった魔法の道具の封印と回収。管理局って言う、魔法のプロの組織の人達と一緒にやる事になんだわ」

「あ、さっきのプロの人達って魔法の……え、魔法のプロの組織なんてあるの!?」

「似たようなもんが。俺もなのはちゃんも魔法の才能があったし、その人達と協力してやろうって話になったの。あ、ちなみに、魔法の道具も魔法のプロの人も異世界出身ね?」

「異世界!? 異世界って何!?」

「異世界っていうか、正確には異次元だけど」

「いや、違いが分からないんだけど……」

「なんというか……現実的じゃないというか……いや、今更か」

 

 救いがあるとすれば、魔法の事を隠さなくて済む分話が進めやすいし、ある程度までの事情も話せるから、父母が納得してくれる可能性が高くなるかもって事か……

 

 

 まあ、話すって言っても、多少細かい所(・・・・)は省いて話しますがネ。

 

「例の木も、その魔法の道具やらと関係あったりするのか?」

「うん。動植物を巨大化させたりする事も出来る代物だから」

「それ危ないんじゃ……アンタ、あの木に連れ去られて軽いとはいえ怪我だってしたでしょ? というか、貴裕は魔法使えるの? なのはちゃんが使うところしか見たことないんだけど」

「使えるよ。あの木に連れ去られて怪我したのは人前で魔法を使う訳にはいかなったからなの。そうじゃなければ充分対処出来た(・・・・・・・)し、怪我が少なかったのだって魔法で治したからだよ」

「はぁ、魔法で治した…………ん? あ、治したってことはやっぱりもっと怪我してたの!?」

「いやいや、他にも何個か擦り傷程度があったぐらいだよ? 服は治せなかったから誤解させたかもしれないけど、ぶっちゃけ体にそんなダメージはなかったし……あ、ちなみに、あの木が突然消えたのは俺達(・・)が魔法使ってその道具を封印したからなんだわ」

「え? あ、うん、タカ、ちょっと待ってな。頭の中整理するから」

「あい」

 

 俺も魔法は使えるけどなのはちゃんより数段劣るとか、攻撃系の魔法はしょっぱいレベルとか、木の時に封印魔法使ったのはなのはちゃんとか、俺がやってたら確実に対処し切れたかどうかは分らないとか、そういう不安を煽る様な部分はカットで。

 父も母も混乱気味だし、一から十まで話してたら時間も掛かりすぎるし、仕方ないネ。

 

<貴裕、僕からは何か話さなくてもいいの? もう、魔法の事はバレてるから僕が喋っても問題ないし、二人を巻き込んだのは僕なんだから……>

<んー……いや、『魔法』っていうファンタジー要素だけで父母の頭はいっぱいみたいだし、そこに喋るフェレットとか、返信するフェレットとか追加されたら混乱しすぎて話にならないかもしれないから……逆にユーノは何も話さない方が良いと思う>

<え、そういうものかな?>

<ソウイウモノダヨ>

 

 決して、君が正直に事細かく俺の今まで受けた被害・ジュエルシードの危険性を語っちゃたりしそうだから、それを避けるためって訳じゃないヨ…………いや、筋を通すんならユーノ君が話すのも良いとは思うけど、混乱し過ぎて収集つかなくなると思うのも本当だし。

 

 まあ、そういった不安を煽る部分をカットしたところで許可は貰えるかどうかは分からんけど……

 

 

「――何個か確認させてくれ。まず、それは本当にタカが、タカやなのはちゃんがやらないとダメな事なのか? その魔法のプロの人達に任せっぱなしでも大丈夫って感じのことをさっき言って…………いや、最後まで自分達もやり通したいとも言ってたけどな? 危ないんだろ?」

「危険性がないわけじゃないけど、さっき言った通り魔法があれば問題なく対処出来るよ。あれだけの規模の事が起こるのも少ないし……それに、気持ちの問題もあるけど、多い人数で一気に片づけたいっていうのもあるんだわ。それこそ、長引かせたせいであんな被害がまた出たら困るしょ?」

 

 否定の言葉から入らなかったってことは目が全くないってわけではないのねかね?

こういった類の受け答えなら、一人で父母を説得しようと考えてた話の内容も使えるし……どうにかなるかな?

 

「人数が必要なら、警察とかに事情を話して協力してもらうのはダメなのか?」

「『魔法のアイテムを一緒に探してください』とか門前払いでしょ。いや、魔法見せれば信じてくれるかもだけど、そんな直ぐには対応してくれないと思うし……それ以前に、魔法の存在明かすのは基本NGです。世界中大混乱になるから」

「そうか…………いやいやいや、あれだけ不思議なことが起こったり、砲撃魔法とか目立つ魔法を使ってたのにか?」

「うぅ……」「きゅ……」

「あれらはレアケースなんです! 致し方なかったんです! 普段はホラ、姿が消える魔法使って人目につかないようにしてるし」

「あ、あれってそういう為のものだったの……」

「警察がダメなら……じゃあ、せめて父さんが達が手伝うのはどうだ? 探し物位ならできるだろ?」

「いやいや、探すのにも魔法は必要だし……今現在海鳴市在住してる人で、俺やなのはちゃん以外は魔法を使うための素質もないらしいから無理だと思う」

「へ? なのはちゃんとタカだけなのか?」

「むしろ、魔法の発展してない世界で魔法使える子が多い方がおかしいのよ……ああ、探せないだけじゃなくて、何か起きた時に対応できなくて危ないから、父さんや母さんの参加は無理っていうよか、ダメね」

「ダメってお前な……いやでも、付いて行って逆に負担になるのは…………あ゛ー、ちょっと待て。母さん、少しこっちで」

 

 あら、居間の奥側に行って協議に入った……事が事だし仕方ないか。

 こっちを心配しての発言なのは分かるけど、親子同伴とか冗談でもやめていただきたいね。本気で原作の流れがどうこう所の話じゃなくなるから…………あ、待てよ?

 

 同伴する案が出てきたってことは、家を空けてジュエルシード探しをやること自体は無意識にでも認めてるってことか?

 お、いいんじゃないですか? そのままの流れでいいんじゃないですか!

 

<貴裕くん、よく直ぐに返す言葉が思いつくよね……>

<ん? ああ、事前に『こんな事聞かれるかな』って予想してたのと被ったモノが多かったしね>

<そっか……家はお母さん何て言ってくるかな…………というか、お母さんにも魔法のことバレてたりしてないよね?>

<いや、流石にそれはないでしょ>

<僕もないとは思うけど……でも、結界張れなかった時もあったからこの状況になってるんだしなぁ……あ、戻ってきたね>

 

 まあ、それ(魔法バレ)絡みのちょっと厳しい指摘も途中でいただきましたが、あの程度なら許容範囲。

 何となく許可もらえそうな雰囲気だし……精々、また何個か質疑応答するだけで済むんじゃね?

 

 

 まあ、戻ってきたお二方とも厳しい顔していらっしゃるから、気を抜けないのには変わりないけど。

 ただ、これさえ乗り越えられれば後は『後悔しないように頑張りなさい』的な言葉で送り出してもらう形に――

 

 

 

 

 

 

 

 

「――タカ。正直、父さん達は反対だ。魔法がどういったものなのか分からないし、今まで黙認していたのだって家で直ぐに無事な姿が見れたからっていうのもある。『何日も家を空けて危険な事をするのを許してくれって』言われて許可するのは……出来ない」

「あるぇ?」

「ふぇっ……」

<う゛っ……>

 

 ――って順当に行くほど、甘くはなかったそうですネ。ハイ。

 

 あれ? というか、もう何個かぐらい聞くことないっすかね普通? 質疑応答は不十分なまま即不許可? 

 答えますヨー? 心配度を減らせるような答えを出せるように努力しますんで、いきなり結論ださなくてもいいんじゃないですかネ?

 

 ほら、なのはちゃんめっちゃオドオドしてますヨ? 俺を見ては父母を見てを超高速で繰り返してますヨ?

 ユーノ君なんて前足がブルッブル震えてますヨ?

 俺も心臓バックンバックンいってますヨ? あ、また気持ち悪い……

 

 

 え、どうしよう? 許可もらえないなら初めての家出とかしちゃう?

 

 どの道、なのはちゃんとユーノ君は高町家に行くんだから、『二人が帰った後で、もう一度話し合ってOK貰った』的なことを言えばどうにか……

 あ、ダメだ。なのはちゃんと母はケータイ買った日から番号もアドレスも交換済みだった。確認されたら即バレ「だけど――」――お?

 

 

「――だけど、タカは出来ない事は出来ないってちゃんと言うし、嫌なものはイヤって言うし、頼れることが有るなら変な遠慮もせず頼るだろう?」

「あー……多分、うん」

「アンタ、特に変な無理とか我慢はしないし……今回のその魔法絡みの問題は、無理矢理やらされてる訳でもなく、貴裕が自分からやりたいと思ってることなんでしょ? 真面目に頭下げてくる位に本気で」

「うん」

「お前があれだけ真剣に頼み事をしてきたことなんて、今までなかったしなぁ……」

 

 出来ない事をできない、嫌なことをイヤ(親の説得に同席とか勘弁してください)って本気で言っても無理矢理やらされて(子供に目で責められて)、そんな状況に我慢してひねり出した話が無駄だった事もついさっきありましたがネ。

 

 それよか、何でかお二人の雰囲気が大分緩んでない?

 今さっきまでの真面目モードから、何というか……諦めモード?

 

「そうだ、結局それってどれぐらいの期間で終わるの? 何十日もってことはないんでしょ?」

「多分、10日か20日かそこら? 少なくとも1ヶ月ってことは無いと思う」

「長すぎるって程でもないかしらね……」

「行って欲しくないし、反対なのに変わりはないけど……危険って言っても、今までした怪我も精々かすり傷レベルみたいだしな……」

「学校休むのも……褒められたことじゃないけど、事情が事情だし仕方ないわよねぇ……」

 

 不許可かと思ったけど、後に『だけど』って言葉が続いたし……

 それに色々聞かれているけど、何か質問って言うより最終確認みたいな……

 

 あれ、今度こそそういうこと?

 

 

 

 

「えっと、つまり……許可もらえるってことでよろしいんでしょうか?」

「まあ……怪我さえしなければ……うん」

「危険なことは……するんだろうけど、出来るだけ避ける努力はしなさいよ?」

「おぉ…………しゃあっ!!」

「良かった、本当に良かったぁ……! 途中ダメかと思ったよぉ……」

<はぁぁぁぁぁぁ……怖かった……>

 

 ハイ、そういうことでした、許可いただけました、イェアッ!!

 もう、落としてから上げるスタイルの話し方せんでもいいじゃない! このいけずッ!

 

「ヘイ! なのはちゃん、ハイタッチ! ヘイッ!!」

「あ、うん! ヘイッ!!」

 

――――パンッ!――――

 

「ヘイ! ユーノもヘイ!!」

<え、僕も? へ、ヘイ!>

「キュッ」

「ああ、もふっこいお手てですね! イェァッ!!」

「ユーノ君、私も私も! ヘイ!」

<へ、ヘイ!>

「凄い喜びよう……逆に許可しなかったらどうしてたのかしら……」

「まあ、『今まで見たこと無い程やる気だし、もし許可しなかったら家出してでも行こうとするんじゃないか?』って考えたのもあって許可したけど……『もしかしたら』どころか確実にやっただろうな……」

「家出って形で出たなら、こっちからの電話すらも取らなくなるかもしれないものね。許可した上で出たなら、後ろめたいこともないから直ぐに電話も取れるだろうし……」

 

 父母の方で俺の行動パターンが読まれてるけど、そんなの気にならないね!!

 

 心からのにっこり笑顔で送り出すってより、打算とギリギリの許容範囲で仕方なく許可するって形っぽいけど、渋々だろうと何だろうと許可を貰えたならそれでいいのよ!

 

「うへへへへへ……」

「貴裕ー? 許可したにはしたけど、守ってもらいたい約束事もあるから落ち着いてちゃんと聞きなさい」

「ん? 何ぞ?」

「さっき言った通り、出来る限り避けれる危険は避けること……あと、毎日一度は必ずお父さんでもお母さんでもいいから電話しなさい。怪我とかしてないかどうかも聞きたいし」

「ああ、全然OK――あれ、毎日は難しいか?」

「は? 一日一回連絡とるのぐらい簡単だろう?」

「いや、面倒臭いとかそういうのじゃなくて、拠点が異次元にあるから電波が通じるかどうかっていう問題が……」

「え、何それ?」

 

 実際、アースラに居た時は母からの電話にも出れなかったし……

 まあ、ジュエルシードはこっち側で発動するんだから、何日も連絡が取れないってことはないだろうけど。

 

「いや、出来る限り連絡は取れるようにするよ。うん」

「それならまだ良いけど……」

「そうだ、その拠点にいる人――というか、一緒にやる魔法のプロの人達? にも会わせてくれ。挨拶もしたいし」

「ん、了解。そしたら適当に話し通して……あ゛!? いや、二人が行ったら魔法バレしていることがバレて面倒なことになるから止めて!」

「え? ああ、秘密にしておかないといけない事だったか……いや、でも流石にそこは……」

「そこまで魔法の事って知られたらマズイものなの?」

「そうなの! 色々とマズイの!!」

「あー、分かった分かった。落ち着け」

<貴裕くん、何もそこまで必死にならなくても……あれ? でも実際どうなんだろ? ユーノ君、やっぱり管理局の人にこの事が分かったら凄いマズイの?>

<あー……いや、何かあったとしても責任は僕が持つから大丈夫だよ、うん……>

<え? どっちなの?>

<どっちにしても無理矢理協力させてもらってる形だし、問題起こしてたらマズイでしょ。出来れば話さない形で、話すにしてもこの件が片付いてからにしとこ?>

<うぅん、いい……のかな?>

<僕としてはありがたいけど……うーん……>

<仕方ナイヨ、仕方ナイ>

 

 だから、親同行とか辞めてくださいって。

 俺以外の人と話したらジュエルシードの危険性について語られてしまうでしょうがって。

 人の良いクロノ君がかっつり語っちゃうでしょうがって。

 せっかく許可貰ったのが『やっぱ無しで』とか言われるでしょうがって。

 

 

 ――まあ、でも本当に許可が出て良かった。

 後ろ髪引っ張られることもなく、大手を振って行けるってのは嬉しい。

 

 仮に許可がもらえず、家出とかしたら『ああ、父母に帰ったらなんて説明しようかな』とか考えながら行動することになるから、楽しめる事も楽しめなくなると思う。

 なのはちゃんやユーノ君・アースラメンバーに家出を知られれば下手すりゃ強制除外。

 上手いこと言いくるめて俺が残っても、強制除外状態でも、どちらも二人の精神的にもよろしくないだろうし。

 

「それで、明日から出るんだっけ? 朝は早いのか?」

「いや、今日の内には出る予定」

「本当に急過ぎるだろ色々と……一緒にやる魔法使いの人達にも会わせてもらえないっていうし、何だかなぁ……」

「今更、『やっぱり許可しない』ってのは無しだよ? んなことしたら泣き喚くよ?」

「でもねぇ……あれ、アンタまた顔白くなってない?」

「え、マジで?」

「ホントだ。貴裕くん、また顔白いよ」

「あー、大丈夫。多分」

 

 今日はこれでもかってぐらいストレスがかかったり、驚くことが多かったり、興奮したりで、胸キュン(物理)を短期間で何度も起こしてましたからネー。

 

 うん、また上げてから落とすとかやられたら、泣くんじゃなくて吐く。

 

「とりあえず取り消すって事はないから安心しろ。いや、大分思うところはあるんだけどなぁ……」

「まあ、そうだろうけどさ……」

 

 そこはこう、グッと抑えていただいて……

 でも実際、立ち位置と使うべき魔法さえ押さえておいた上で、アホみたいな原作の流れとの相違がなければ、そこまで俺の身の心配はせんでも大丈夫よ?

 

 なのはちゃん・ユーノ君・管理局もついているし、暴走体は普通に対処できる。

バリアジャケットさんは優秀だし、何ならプレシアさんからの雷撃にだって耐えうるんじゃ……いや、テンプレオリ主の如くフェイトちゃんを庇う為に飛び出す予定もないからそもそも受けないし。

 好感度の為にとはいえ、大ダメージ確定なものに態々突っ込みません。

 

 時の庭園戦は…………頑張る。大丈夫なはず、多分。スーパークロノ君タイムに期待する。

 

 

「――本当はな、タカ。父さんも母さんも魔法については素人だ。何の知識もない。その魔法の道具だががどんな風に危険なのか、どうやって対処するのか……何が大丈夫で何が危ないのか分からない。他にも理由は色々あるけど……そんな訳の分からない状況に子供を行かせるってのは、普通親は認めないものなんだぞ?」

「あ、うん」

 

 あら、最後にとっても厳しいご指摘――いや、指摘っていうより、注意? 最終確認的なモノ? 

 『出来る限り危険なことはするな』って意味かしらね? いや、申し訳ない。

 

 まあ、そりゃ父母的には危険に飛び込むって時点でアウトなんだろうけど、そこは許可もしてくれたんだし、俺のした説明でなんとか誤魔化されて――

 

 

 

 

 

「ただ、タカは年に比べれば頭も良いし、何が危険か何が大丈夫なのかは判断出来るだろ?あれだけ真剣に頼んできたことだし、お前は大事なことで嘘はつかないだろうし――――大丈夫だって言ったお前の言葉を信じるから(・・・・・・・・・・・)行かせるんだからな? 本当に大きな怪我とかするなよ?」

「何度も言うけど、危険なことは出来るだけ避けるのよ?」

「――あ、はい」

「良し。約束だからな?」

 

 ――誤魔化される以前に、信じられていました。

 

 えー……いや、そりゃ中身があれだから11歳に比べれば言動は大人びて見えるだろうし、生かすかどうかは別として危機判断は出来るさ。

 嘘は……色々吐いてるけど、特段大事でバレたものはないっけ?

 ああ、魔法関係で嘘はついたけどそれはノーカンなのかな? 

 

 父母にも周囲の人にも反抗的な態度を取ったりあからさまな拒絶はしてないし、むしろ演技抜きでも割と仲良く付き合っていたけど、結構信頼されてる形っぽい?

 分かってはいたいけど、ちゃんと愛されているってのが改めて実感できたわ。

 

 

 なるほど、それで『お前の言葉を信じる』なんて言葉が出てきたと…………ほー……

 

「――さて、なのはちゃんはこの後どうするの? もう、今晩の内には出ていくって話だったけど……って、そうだ、なのはちゃんも貴裕と一緒に魔法の道具を探すのよね? 何日か家を出て?」

「あ、うん、そうだよ」

「あんな魔法が撃てるなら何だって出来るとは思うが……なのはちゃんも怪我はしないようにな。タカもしっかりなのはちゃんのこと守るんだ――――ん? テーブルに伏せてどうした?」

「貴裕くん?」

「あら、どうしたの?」

<貴裕?>

 

 まあ、デタラメの事情となんちゃって決意表明で誤魔化して・騙して許可を貰うっていうのは最初から狙ってたさ。納得してもらうっていう目的は確かにあったよ?

 

 

 ただね、『誤魔化される』のと『信じられる』のでは、結果は同じでも何か違うと思うんですよ。

 

 

 要はね? 

 

 色々と嘘をついて誤魔化してをやってる身としましてはね?

 

 ちょっと短時間で心臓が何度も悲鳴を上げた後にですね?

 

 全面的な信頼を受けているのが分かって、その上に信じられるなんて綺麗な言葉を使われちゃったりしましたらね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お腹痛いぃ……いやだぁ気持ち悪いぃぃ……吐くぅ……あ、胸もスッゴイ苦じぇ……オ゛ッ……」

「ちょっ!? アンタ待って何でそんな状態になってるの!?」

「えぇぇぇ!? 貴裕くん!?」

「待て、本当に今にも吐くだろお前!? 洗面器!! ええい、ゴミ箱でいいか!! ちょっと待て!!」

「キュー!?」

<貴裕ー!? え、本当にどうしたの!? あ、涙まで出てる!?>

 

 罪悪感で心臓が締め付けられるぅ!! 比喩的な意味じゃなくて物理的な意味で!! 

 お腹も痛いとっても痛い! 体が寒い! 吐き気がヤヴァイッ!!

 

 やめてよぉ! こんな汚いモノに真っ直ぐなものぶつけないでよぉ!!

 さっきみたいなプレッシャーとは違う種類の精神攻撃してこないでよぉ!!

 

「はっ、はっ……やぁぁ……ヴッ……」

「待って! 貴裕待って!! 本当に待って、お父さんゴミ箱は!?」

「今持って――これ満杯で入らないだろクソ!? 別のッ! よし、これならOK!!」

「貴裕くん、大丈夫!? 背中さする!?」

「もう、優しくしないでぇ……むしろ殴ってゥオ゛ッ……」

「殴らないよ!?」 

<何でそうなるの!?>

「ほら、一回吐いちゃいなさい! アンタ本当にそんな体調なのに大丈夫なの?」

 

 うん、暴走体とかの攻撃も、フェイトちゃんの電撃も、アルフさんの拳も魔法でそこそこ防げますヨー? 

 でも、精神的な攻撃で内臓にストレスかかる系は防げないの!!

 

 

 

 

 ――普通こういう家庭内での重要な秘密暴露で許可が出た時ってさ、感動のシーン的なモノが多いと思うんだよネ?

 

 親子で抱き合うとかさ、頭を下げて涙ながらに主人公が『あ、ありがとう……』とか言う感じのあれ。

 状況はピッタリなはずなんだけどなぁ……

 

 

 親から許しが出て、『信じている』などの暖かい言葉を受け頭を下げる――

 ただし、それは感謝の気持ちを表すためではなく、激痛に蹲った為。

 

 親から許しが出て、『信じている』などの暖かい言葉を受け涙する――

 ただし、それは感動からではなく、痛み・吐き気からくるもの。

 

 

 いや、どうしてこうなったし……

 

 




オリ主は自分自身を客観的に見ることが出来ないんです――あなたと(普通の人と)違うんです(もちろん悪い意味で)。



>魔法バレに関する伏線モドキ

貴裕の魔法発言→第7話 本文中タイトルすぐ下
木の市中引き回し・怪我→第9話
腹への踏みつけ・かめは○波→第12話
消える魔法・なのはちゃんが空を飛ぶ→第12.5話&第13話 本文中タイトル前





>いや、夜中に森の中突っ込む人なんてまずいないから油断しても仕方ないんだけどさー?
>実際に封印する時に結界張って無かったのは向こうの落ち度な訳だしー?

落ち度と言うか、そもそもフェイト組は魔法隠す気は(必要)無かったんじゃなかろうか?
別にフェイト組は地球の住人でもなければ、そこに定住するつもりもない。ジュエルシードを探しに一時的に来てるだけだし、例え魔法を見られてその世界が混乱しようが知ったこっちゃない。
ロストロギアの探索・封印しなきゃならんのに、結界作るのに魔力を使うなんて勿体ない――みたいな?
 
――それとも、単純に作中のユーノ君の役割を奪わない為という、大人(演出)の都合?


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