・フェイトの素手での封印
・プレシアの虐待
・二人の激突直前にクロノが登場
4月27日の午後6時頃。
『田中』という表札のある一軒家の居間には、少年と少女がいた――
――――ギシッ――――
カーテンを閉めきった居間に、何かが軋む音が響く――
――――ギシッ――――
「フッ……フッ……」
少年は薄気味悪い笑顔を浮かべながら荒い息を吐いている――
――――ギシッ――――
「た、貴裕くん、もう止めッ、ようよ……もう充分でしょ!?」
そんな少年に対して、少女はソファーの上で目に涙を浮かべながら必死に行為を止めるよう訴えるが――
――――ギシッ――――
「いやいやまだ少し余裕あるし、やる時間だって最初に決めて納得したでしょ?」
「そうだけど……もういい加減に終わっても……ね?」
「ダーメ。それよりペース落ちてるからもっと頑張って」
その訴えが聞き入れられることはなく、逆に行為を続ける事を促された――
――――ギシッ――――
「そんな……ユーノ君……早く……!」
少女の悲痛なまでの助けを呼ぶ声は――
「あ゛ー、お風呂気持ち良かった。貴裕、ありがとうね――――って、まだ
「お、ユーノ風呂上がった? したらこれで終了ー」
「やっと……! 『投げたボールに直ぐバインドを掛ける』のは確かにバインドの練習に良いかもしれないよ? でも、ボール投げる役の私はもう腕がパンパンだよ!!」
「え? もしかして途中休憩なしでやってたの?」
「30分ぐらいの間ずっとだよ、ずっと!! 疲れたって言ってるのに、何でか途中で休憩させてくれないし……」
「ほら、最初はユーノが風呂から上がるまでやろうって決めてたし……ネ?」
「むー……貴裕くん、甘いもの! 何か甘いものを要求します!」
「ハイハイ、ボール片付けたら直ぐ取ってきますヨー…………バインド掛ける度に、ボールから出る軋んだ音が大きくなってたけど、寿命大分早めたかね?」
――無事届き、バインドの練習のサポートから解放されたのだった。
第15話 「ついカッとなってやった、今は後悔している」
昨日のあんまりにも衝撃的な事件だった『フェイトちゃん、ジュエルシード横取り事件』――
幸い俺へのダメージはそこまで重くなく、数分すれば普通に動き回れる様になった……うん、体には疲労が残っているぐらいしか問題はなかったですよ?
ただ被害は少なかろうと、流石に少ーしばかり思うところがあったので、二人相手に数分
ちなみに、家に帰ると両親からの『遅くなるとは聞いてたけど限度があるよね? 最近多くないそういうの? 何してんの? ん?』といった感じの説教&尋問を受けて、寝るのが遅くなったなんて事もありました……
そうして今日、二人が家に来てから30分ほど経った今――
「風呂上がりのアイス美味しい……でも良かったの? 僕一人の為にお風呂沸かしてもらって……」
「ん、後で追い焚きするから大丈夫。俺が汗かいたから早めに沸かして入ったって事にしておけばOK」
「そっか……なのはは大丈夫? さっきからソファーでうつ伏せになって沈んでるけど……」
「大丈夫じゃないよぉ……腕がダルイよぉ……動かすのが面倒なぐらいダルイよぉぉ……」
魔法の練習も終わったので、外から見られるのを防ぐために閉めてたカーテンを開け、居間で飲み食いしつつダベっております…………一名ほど潰れてる子がいるけど……
母はパートでいなかったし、明日以降はしばらくアースラで過ごすことになるだろうから、忘れない内に温泉旅館での約束を果たすべく風呂を沸かしてユーノ君に入浴を勧めた。
テンション上げた状態で風呂場に駆けて行く子を見送りながら、なのはちゃんには俺のバインド練習に付き合ってもらうことに。
――確か、今日ジュエルシード
練習で消費する魔力を回復させる時間も考えるとたっぷり余裕が有るってわけでもないから、休み休み時間掛けてやるよりも一気に集中して練習した方が良いと思って、なのはちゃんには途中休憩なしでバインドの練習に付き合わせたけど…………運動神経切れてる子には苦行だったかしら……
「なのはちゃん、リクエスト通り甘いもの持ってきてあるよー? 起きてこっちきなー?」
「うぅぅ……体持ち上げるのもめんどくさいよぉ……」
「あらら。母さん自作のカステラもあるんだけど「食べるっ!!」――元気ソウデスネ……コチラニナリマス」
「ダルイって言ってたのに、腕で上体を勢いよく跳ね起こしてこっちに……」
「えへへ、美智子おばさんのお菓子おいしいから好きー」
全くの杞憂でしたネー?
ソファーに沈んでた状態からテーブルまで高速移動したし、腕を元気良く動かしてもっさもっさカステラを口に突っ込んでるから大丈夫でしょう……
美味いのは認めるけど、所詮素人レベルだから翠屋のお菓子よりは明らかランク低いはずなのにこの対応…………愛情補正か、おのれ母め……
――まあ、機嫌が良いのに越した事はないか。
ちょっと『この後やる事』に関して、少ーしお話もしなきゃいけないし……
「アイスごちそうさまでした。それで貴裕、今日僕たちを家に呼んだのって、バインドの練習とお風呂の為だったの?」
「いんや、あとはちょっとお話が……主になのはちゃんにあるんだけど」
「ふぇ、私に?」
「うん、あの子らについてちょっと」
「あの子らって……フェイトちゃんと使い魔さんの事だよね?」
ええ、疲労困憊の中必死こいて封印作業を終えた私を射撃魔法で射抜いたフェイトちゃんの事ですヨ?
疲労困憊なった原因――や、俺がしょっぱい実力なせいでもあるんだけど――であるアルフさんの事ですヨ?
その後、必死こいて封印したジュエルシードを奪い去っていったフェイト組についてですヨー?
「なのはちゃんはさ、フェイトって子とお話がしたいんだよね?」
「あ、うん、そうだよ?」
ソウデスヨネー? フェイトちゃんの事を知りたいんですよねー?
どうにかして話をしようと頑張ってましたもんねー?
うん、本当に申し訳ないんだけど――
「それなんだけどさ……ちょっとばかりお話するのが難しくなるかもしれない事をする予定だから、先に謝っとくわ。ゴメンナサイ」
「――え? えっと?」
いやね、今日俺が『やろうとしている事』は、フェイトちゃんからの印象がガッツリ下がるかもだし、なのはちゃん自身もあまり良くないものだと感じると思うのよ。
何の断りも入れないでやるっていうのも考えたんだけど、後々突っ込まれそうだから……
ある程度先にどんな事するかを言っておけば、まだ言い訳が出来るかなーと……
「話しをするのが難しなるって……貴裕、何するつもりなの?」
あら、なのはちゃんどころかユーノ君も不安げな顔で……
いや、別に大した事をするつもりはないですヨ?
「昨日の恨みを晴らすべく、あの子らに嫌がらせ――もとい、仕返しをしようってだけだヨ?」
「仕返し!?」
「いや、その前に嫌がらせって言わなかった!?」
――昨日から考えててた計画を実行したいと思ってるんだけど、やっぱり不評ですかネー。
まあ、だからといって辞める気は微塵もないですけど。
「というよりまだ根に持ってたんだ……昨日の夜は僕ら相手に酷く愚痴ってたけど、今日は全く話題に出さないからもう気は収まったのかと……」
一日で収めるとか無理だね!!
言ったでしょうに、『それで納得できる程こちとら人間出来てないわ!!』って……流石にアレを一日で自己消化するのはちょっと無理が有るんだ?
「で、そんな事したら若干こっちの印象悪くなるかもだし、印象悪くなれば話するのも難しくなるかもでしょ? だから向こうとお話したいと思ってるなのはちゃんには悪いかなーと思って、一応事前に伝えておいたというか出来れば納得して欲しいというか」
「で、出来る訳ないでしょ!! というか駄目だよそんな事したら! その、貴裕くんが痛い思いしたのはわかるけど……嫌がらせっていうか、仕返しするのは良くないと思う……」
ここで『話をするのが難しくなるから駄目』って言うんじゃなくて、『嫌がらせ・仕返しするのは悪い事だから駄目』って言う辺り出来た子やね……
でも、そんなあなたの幼馴染はそこまで出来た子じゃないんですヨ。
「いやいや、ジュエルシードを態々封印させてから強奪なんて事したんだから多少はさ? それに、なのはちゃんやユーノに手伝ってもらう事は特にない――――や、さっきのバインドの練習が手伝いと言えば手伝いなんだけど、それ以外は特にないから安心して」
「え? さっきのバインドの練習ってそのためだったの? って、駄目だってば!!」
「僕も止めた方が良いと思うんだけど……バインドの練習が絡んで来るって事は、戦闘で何かするつもりなの? 屈辱的な敗北を与えるみたいな……」
「いやいや、一人だと使い魔にさえ勝てないのよ俺?」
戦闘でフェイト組をフルボッコ? 俺がフルボッコですね分かります。
30分程度のバインドの練習だけで俺TUEEE出来る様になるのは流石に無理が……1ヶ月ぐらい訓練したとしても勝てる気がしないけどさ。
というか別に痛めつけたいわけじゃないのよ?
こう、反省させたいと言うか、悔しがらせたいと言うか……
「とにかく、別にあの子達を痛めつけようって意図はないから」
「うーん……じゃあ、嫌がらせって言うぐらいだし、フェイトちゃん達に酷い事言ったりするの?」
「いんや。悪口言った所で、向こうは不機嫌になるだけだし……そうじゃなくて、悔しがらせたいと言うか反省させたいのよ」
そもそも悪口吐くにも、俺の語彙は貧弱だし貶めるネタが……
『この暴力幼女! お前の使い魔の犬耳キーモーイーッ!』とか言えばいいの? 本当は獣耳大好きだけどさ?
それに、そんな事言った瞬間、十倍の罵倒と拳と電撃が返って来そうで怖いし……
「傷つけるわけでも酷い事言う訳でもない嫌がらせって……貴裕は結局何をするつもりなのさ?」
「んー……」
結構グイグイ聞いてくるなー……
や、具体的な事はなにも言ってないんだし仕方ないんだけど…………どう説明するかね?
そのまんま全部正直にやる事言ったら、バインド掛けられて
かといってグダグダ遠まわしに時間掛けて説明・説得するのもな……
うん、仕方ないか――
「あの子らに
「すっごい強引に話を切り上げようとしてる!?」
「明らかに何か隠してるよね!? それだけでフェイトちゃんとお話するのが難しくはなるとは思えないんだけど!?」
「ドウダロウネー?」
――嘘はつかないけど全部も話さないで…………面倒くさいからゴリ押しで通そう。
いや、しっかり話し合って納得させるのが一番だけどさ?
『仕返し・嫌がらせ』を正当化させるような話を捻り出せる口も頭も持ってないのよ俺。
「それよかもう6時過ぎだし、とりあえず外出よ? 探索しながら話そ?」
「それは良いけど……貴裕くん、明らかに話をなあなあにしようとしてるでしょ……」
「ソンナコトナイヨ? ほら、母さんもそろそろ帰ってくるし、なのはちゃん捕まったら何十分時間とられるか分かんないしさ?」
「そ、そんな何十分も時間とらないよ!!」
「あ、あはは……ジュエルシードが発動しそうな感覚もあるし、それはちょっと困るかも……」
「ユーノ君まで!?」
あら、ちょっくら母の存在をちらつかせれば思ったより効果が……おのれ母めありがとう……
まあ、確かに話を有耶無耶にしようって考えもあるけど、実際問題そろそろ時間がマズイのよね……
もうちょっとでジュエルシード発動するんだし、いい加減に外に出ておかないと。
「はーい、じゃあそろそろ行きましょうネー」
「うー…………外出たら何かと理由つけてもう追及させてくれないと思うのって私だけかな……貴裕くん、多分良くないことする気だよね?」
「はぐらかす気満々だと思うけど、ジュエルシード探しを理由にされたらなぁ……ここまで隠すんだから碌なことではないと思うよ」
「ねえ、二人でボソボソ言うのやめてくんない!?」
言ってる事が間違いないだけに反論できないんだよ!?
こんな時だけは最低系テンプレオリ主モノが羨ましい……
何をしようとオリ主の行動に疑問を持たないで『流石オリ主君! 素敵! 抱いて!』ってなるからネ。
それに比べてこっちは…………ヤダ、顔の整った子二人がすっごい疑いの目で見てくる……
◇
半ば強引に言い含めて外に出たせいか、やっぱり追及は止まらなかった。
それでもどうにか誤魔化したり、気持ちゆっくり目で話したり、話題をそらそうとすると、二人が『やっぱり……』とか言いながらジト目でこちらを見てくるため、心の何処かが削られる感じを味わいながら歩く事10分弱。
直ぐ近くにあった臨海公園でジュエルシードが発動したのを感じ、向かってみれば一本の木が巨大化しているのを見つけた――
「植物を取りこんで……二人ともデバイスの起動を! 封時結界!」
「了解! シンシアハート、セットアップ!」
「レイジングハート、お願い!」
『オオオオォォォォ……』
丁度こっちの準備が終わるのと同時のタイミングで暴走体が出来たっぽい。
巨大化するのが終わったら、思ってたよりホラーチックな外見に……人面樹?
「ふぇっ、木が何だかお化けみたいに……」
「植物の本能かなにかに反応したのかね? 『強く育ちたい』とか?」
「どうだろう? とにかく、周りに被害が出る前で良かった……」
そう言えばこの子、アニメだと地面を根で捲り上げながら攻撃とかしてきたっけ? 結界張らなかったらマズイわな。
あと確かバリアなんかも張れたりするはずなんだけど、それが分かるのは――
―――――ガンガンガンガン!――――
『オオオオォォォォッ!』
「へぇ? 生意気にバリアまで張るのかい」
「今までのより強いみたいだね……それにあの子達もいる……」
――そう、俺が仕返しする予定のフェイト組が後ろから射撃魔法撃ったからなんですよネー。
ぶっちゃけ今回の暴走体なんてどうでもいい存在――――いや、アニメ通りの『ある働き』をして貰わないと困るんだけどネ……
「へへっ、来おった。何も知らずに来おったであの子ら……」
「貴裕くん、顔が……今日のバインドの練習してる時もそうだったけど、何て言うか酷いことになってるよ?」
「本当にやる気なの? 『バインド掛けるのと、昨日の事について文句を言うだけ』って言って誤魔化してたけど……絶対それだけじゃないでしょ?」
「当り前じゃないですか」
「認めた!? 今貴裕くん認めたよね!?」
「いや、もう言ってもいい状況だし?」
ここまで来たら止められないだろうしね? 暴走体いる状態なのに、俺を抑えるためにバインド掛けるなんて危険な事はしないだろうし……暴走体を
「お、ほら暴走体の攻撃来るよ!」
「ああもう! 絶対やっちゃダメだからね!! 後でお説教するよ!?」
《Flier fin》
「大丈夫大丈夫、傷つけたり酷い事言ったりしないのは本当だから……っと、ユーノもアレから離れよう! 俺も走る!」
「え、貴裕は上に飛んで避けないの?」
「地面に足ついてる方が良い! 空に逃げるのは緊急の時!」
今回の暴走体は根の動きも大して早くないみたいだし逃げ切れるでしょ。
まあ、何にもしないのもアレだから、封印終わる直前まではバインドでも掛けるけど……
「シンシアハート、根にバインドを」
《All right. Chain bind》
『オオォォッ!?』
「よっしゃ、成功……」
ぶっちゃけ割と簡単な仕事だけど、これで『仕返しやっただけじゃないもん! 封印のお手伝いしたもん! 攻撃防ぐために頑張ったもん!』って言い訳が出来る。
あとは、なのはちゃんとフェイトちゃんが封印するのを待つのみよ……
「行くよ、レイジングハート! 撃ち抜いて! ディバイン――」
《Buster》
「行くよ、バルディッシュ――貫け、轟雷!」
《Thunder smasher》
「オオォォッ!? アアアァァッ……』
うし、空からのなのはちゃんの攻撃と地上からのフェイトちゃんの攻撃で、暴走体からジュエルシードが出て来たな……
後は封印だけだし、チェーンバインドも解いて良いよね?
「シンシアハート、チェーンバインド解除。んで、
《All right》
「え? 貴裕?」
さてはて、フェイトちゃんの位置とアルフさんの位置は――――うん、俺から大して距離も離れてないから問題なさそうやね……
――俺が仕返しを成功させるためには、この後が一番大事で原作通りに行って欲しい所なんだ。
まず、二人が同時に封印をして――
「ジュエルシード、シリアル7!」
「封印!」
暴走体が目も開けらない位の眩い光と共に消え行く瞬間に――――よし、光った!!
この、原作通り『全員が光にひるんで、一瞬に動きを止める』時に――
「行けや、リングバインドォ!!」
《All right》
「眩しッ――って、何!?」
「バインド!?」
「イエスッ! 大成功!!」
――フェイト組をバインドで拘束する!
うん、原作通り
一応、投げたボールに直ぐバインドを掛ける練習――素早く狙った場所にバインドをする練習もしたけど、流石に30分程度の練習じゃ不規則に動きまわってるのを捕まえるのは……正攻法でバインド掛けるなんて今の俺の技術じゃ難しいんですもの!
さあ、急いで次に行こう!
俺のバインドなんて大したことないんだから、全力で抵抗されたらいつ壊れるか分からん!!
「シンシアハート! 直ぐ飛ばせ!!」
《Flier fin》
「ちょ、貴裕さっきから何をやって……え、どこに行く気!?」
「あれ? フェイトちゃん達がバインドで……というか貴裕くん何を!?」
もちろん
暴力でもなく、悪口でもなく、フェイト組がやられて一番悔しがるだろう方法で――
「グッ、後で噛み砕いてやる! こんなバインド……!」
「もう少しで……あ、そっちは!?」
《Receipt numberⅦ》
「よっしゃ、ジュエルシード獲ったどおおおおおおおおっ!!」
動けない状態にして、自分が封印処理したジュエルシードを横から掻っ攫うのを目の前で見せつけるって方法で!!
「ジュエルシードが……このっ、お前はッ!!」
「どーもコンニチハ! 疲れた体に鞭を売ってジュエルシードを封印したと思ったら、動けなくされて目の前でブツを奪われた田中貴裕といいます!」
「――! 昨日の、仕返し……」
「ねぇ今どんな気持ち? 折角封印したのを横から掻っ攫われるってどんな気持ち? 多分俺わかるよ? だって昨日同じ目にあったもの!!」
滅茶苦茶痛かったし、すっごい悔しい気持ちにもなりましたよ!?
仕返し出来た今は昨日から感じてたイライラが無くなってすっごい晴れやかな気持ちだけどね?
まあ、その代わり――
「うわぁ……貴裕が言ってたのは嘘じゃなかったみたいだけどこれは…………まあ、確かに仕返しであり嫌がらせだよね。コレ以上ないくらいの……」
「嘘は吐いてないけど……嘘はついてないけどこれは駄目だよ!! もうちょっと他になかったの!?」
「いや、やりすぎた感はないでもないけど…………これしか思いつかなかったんだもの……」
――ユーノ君はどん引きしてるし、なのはちゃんは怒ってるけど……
や、今の時点のフェイト組悔しがらせる方法なんて、戦闘でボコるか、ジュエルシードを取らせないこと位しかないんだもの。仕方ないじゃないですか……
戦闘でボコろうとすれば、俺が一方的にボコられることになるでしょ?
ジュエルシードを取らせないようにしたいって言ったら、今回ぐらいしかやれそうな機会がないんだもの。
原作とジュエルシードの持ち数変えるわけにもいかんし……今回のジュエルシードは、本来なら
でも、海上戦でのジュエルシードを奪おうものなら、フェイトちゃんへのプレシアさんの虐待レベルUP間違いないよ?
ボーっとしてる上にジュエルシード全部取られましたとか……
それに加えて、この後起こるだろう、なのはちゃんとフェイトちゃんのぶつかる直前に割り込んで、『ストップだ!』って言って
アレのおかげで戦闘は中断されて、フェイト組は管理局を警戒して帰るはずだから、仕返しの仕返しを気にせずやれるっていうのも重要なポイント――
――――バキィッ!――――
「ようやく解けたね……逃げるんじゃないよアンタ――貴裕って、言ったけ?」
「オゥ……シンシアハート、バリアジャケットに魔力たっぷり使っちゃって良いから堅くして」
《All right》
――だと思ってたんだけど、アルフさんバインド解くの早い!? フェイトちゃんまだ解けてないよ?
クロノ君、はよ来い。このままだと酷い事になりそうなんだけど……
「そういえば自己紹介してなったね? あたしの名前はアルフっていうんだよ。しっかり覚えておきなよ……アンタをブッ潰す相手の名前ぐらいねぇ!!」
わーい、最初にアルフさんと名前交換できたし、俺と
でも、なんでだろう全く嬉しくないナー? 何コレ自己紹介というより宣戦布告?
え? 本当にどうすんの?
まさか、クロノ君がなのはちゃんとフェイトちゃんの戦闘を止めに入るまで、アルフさんと戦わなきゃ――
――あれ? 『なのはちゃんとフェイトちゃんの戦闘』って?
まだ、フェイトちゃん俺のバインドに掛かってるんだけど――
「喰らい「ストップだ!!」――なっ!?」
「へ? あら、バインド?」
あれ? 何かアルフさんと俺の間に、肩辺りに棘の付いた服を着ている真っ黒い男の子が……
というか何故か俺だけバインド掛けられてるんですが……
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。ジュエルシードを巡って争っていたようだが……詳しい事情を聞かせてもらおうか?」
あれ? 何かこの男の子、自分は『クロノ・ハラオウンだ』って言ってるけど……
あれ? クロノ君の登場シーンって、なのはとフェイトの激突を止めに入る時じゃなかったっけ?
なのはちゃんのデバイスを掴んで止め、フェイトちゃんのデバイスを自分のデバイスで受け止めるんじゃなかったっけ? 俺の割と好きなシーンじゃなかったっけ?
あれ? でもこのクロノ君、アルフさんをデバイスで止めて、俺の事はバインドで縛って……あれ!? どうしてこうなったし!?
Q.どうしてこうなったし!?
A.一時のテンションに身を任せた結果
Q.アルフさんバインド解くの早くね? フェイトちゃんまだ解けてないよ?
A.アルフは前回の戦闘でバインドを掛けられては解除しを何度も繰り返していたので、貴裕のバインドの術式構成を解析して壊すのにある程度慣れてしまったため
◇
疑問に感じるテンプレ作で良くあること
オリ主「痛いけど後の戦闘には残らない様なカッコ良い名前の攻撃!」
敵「グハァ!?」
オリ主「やーいザーコ、クーズ、アーホ!」
敵「グヌヌ、貴様よくも俺様をこけに!!」
原作キャラ「敵、俺と勝負しろ!」
敵「よしいいだろう、掛かって来い原作キャラよ!」
オリ主「フッ、頑張れよ? 原作キャラ」
軽くボコられて挑発もされたのに、何故かオリ主とは戦わず原作通りの相手と戦闘に。
いや、因縁の相手とかなら分からないでもないんだけど……
◇◇
少し駆け足気味で作ったせいか何か違和感が……
ストーリーそのものは変えませんが、ちょくちょく文章を付け加えたいと思います。(12月8日)