高二病抜け切らなかった人が中途半端な力で   作:mahiro

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※今回の話はジュエルシードの発動時間がアニメと違います。

アニメ6話でジュエルシードが発動した(させた)のは『19時07分』前後でしたが、劇場版の『19時43分』前後の方に変更しています。

理由などについては後書きに書いておきます。



第14話 「ねんがんの ジュエルシードをてにいれたぞ!」

 とあるマンションの一室。

 そこには一匹の使い魔と、その主人である一人の少女がいた――

 

「――あたしはフェイトが心配なの! 広域探索はかなりの体力使うのに、フェイトってば碌に食べないし休まないし……その傷だって軽くはないんだよ?」

「平気だよ。私、強いから」

 

 使い魔は主人である少女を気遣い休ませようと説得するも、少女は使い魔を安心させる様に微笑むだけで、使い魔の言葉を受け入れなかった。

 

「フェイト……」

「さぁ行こう。母さんが待ってるんだ……」

 

 使い魔は少女を心配するが、少女の意志は変えられず――

 少女は母との繋がりを求めるために奔走するが、母にその想いは届かず――

 

 

 どこかやりきれない気持ちになるそうになるも堪え、想う相手の為にただ動く――

 

 

 

 

 そんなシリアスな空気がどこかで流れる一方。

 心優しい少女と、その仲間である男の子達がいる公園では――

 

 

 

「んぐっ、んぐっ……ばぁー…………水筒持ってきて正解だった。飲み物なしはキツイわコレ」

「貴ふぃろ、僕にも飲み物くればい? ふぉれ、このままひゃ食べえない」

「あいよー」

「何で、何でわざわざ見せつけてから食べて……残りカスと端っこだけ食べるなんて何か惨めだよぅ……」

「じゃあ俺が残りも食べるわ。こうやって袋に折り目をつけて傾ければあら不思議。残ったカスと端っこが俺の口の中に吸い込まれていくのでしたーんぶっ、やっぶぇ、口ん中またぱぁっさばぁっさ。でもウマー」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!?」

「なのは静かに、近所迷惑」

「いんやぁ、なのはひゃんにとってアレ食うのは惨めなんひょ? なら俺が食った所で問題なひ」

「うぅぅ……ユーノ君も貴裕くんもが何か変だよぉ…………いじめ? いじめなのコレ?」

「マジうまー。ほれ、あー」

「おいしかったー。ほら、あー」

「わざわざ口の中見せつけないでよぉ! それに汚い!!」

 

 『想う相手』が自分達に頼らなかったため、『どこかやりきれない気持ちになるのを堪えられなかった』少年達は、とある少女を弄り倒しているのだった――

 

 

 

 

第14話「ねんがんの ジュエルシードをてにいれたぞ!」

 

 

 

 

 ちょっとばかり面白くない事があったので、年下の女の子(主人公)をねちっこくいじめる(にやつあたりする)という肉体年齢相応の幼稚な事をしてから1時間程度――

 

 

「――よし、探索魔法終了。ジュエルシードがあるのはこの辺りで間違いないと思う……やっぱり探索魔法は結構疲れるなぁ……」

「公園で街にジュエルシードがあるか確認のために一回、ここで場所をある程度絞るためにもう一回…………本当にお疲れさん。一日にニ回はキツイでしょうに」

「こっちの世界に来てから魔力の回復も酷く遅いしちょっとね……でも、二人には暴走体の相手や封印を任せてるから、結界だったり探索魔法を使う時は僕に任せて」

 

 今は街の中心にある駐車場の片隅で、ユーノ君(フェレット形態)に探索魔法を使ってもらった所である。

 

 

 おかげで大まかな場所も分かり、さぁ気合い入れて行こう――――って行きたい所だけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

「むー……」

「あー、なのはちゃーん? あの、ホントにゴメンナサイ……そろそろ機嫌直してくれませんかー?」

「ダメ」

「あ、マジッすか……」

 

 いつもは隣にいる女の子が俺らから2mぐらいをキープして不機嫌そうな顔で唸っているので、そうもいかないのよね……

 

「えと、なのは? さっきは本当にゴメン。何か変なテンションになっちゃって……許してくれない?」

「確かに二人とも何度も謝ってはいるけど……何でそういうテンションになったかは教えてくれないんでしょ?」

「うん、教えられる訳がないよ」

「男のプライドの問題です」

「それで納得できると思う?」

『思いません……』

 

 うん、どうもやり過ぎたみたいです。まさかここまで機嫌悪くなるとは……

 最初なんて顔合わせてくれない、口きいてくれない、っていう中々キツイものだったし……

 

「アレだよ。何だったら今から全速力で同じやつ買ってくるよ?」

「そうやって期待させておいて、また私の前で食べ尽くすんでしょ?」

「流石にしないよ!?」

 

 

 あれから幾らか時間も経って、会話してくれる程度にはマシになってはいるけど……

 ものっそいジト目でこっち見て来るし、疑心暗鬼が酷い。や、そうなるのも仕方ないかもだけどさ?

 

<どうしようユーノ。やっぱり菓子のカスと端っこぐらいは残しておいた方が良かったかね?>

<それもだけど、その後二人で弄り倒したのもアレ何だと思う……本当にどうしよう>

 

理由を教えるわけにもいかないよな……ただの八つ当たりだもの。

 

 

 ――まあ、機嫌が悪いって言っても、日を置けば直る程度の機嫌の悪さなんだろうけど……

 今日に限ってはそのまま放置って言う訳にもいかないのよね。

 

 だって、今日は夜にフェイトちゃんとバトルする日(4月26日)のはずだし……

 気持ちの切り替えがすんなり出来れば問題はないけど、もしこのままの状態でなのはちゃんが戦ったらどうなるよ?

 

 『ジュエルシードによって戦闘中断』っていう形(原作通り)ではなく、『戦闘で負ける』っていう形になったりするかもしれん。

 まあ、後に残る様な怪我とか精神的ショックを受けさえしなけりゃまだいいけど……

 

 

 本当に怖いのは、万が一にも戦闘に『勝ってしまった』場合――

 

 なのはちゃんのイライラがこう、上手い事戦闘にからんで万が一にも勝っちゃったりしたら……

 いや、まだ実力差もあるだろうから多分無いとは思うけどさ。でも、その場合は本当にまずいよ?

 

 

 勝ったなのはちゃんがお話しようとしても、アルフさんが怒りで天元突破して(通常状態でも俺が勝つとか無理ダヨ)、俺らを鬼の形相で睨みながらフェイトちゃん連れて帰って――

 負けた影響もあってフェイト組のメンタルに変化があって――

 ジュエルシードの数も原作より一つ足りないんだから、その後のプレシアさんの体罰・罵倒もハードモードになって――

 そうしたらフェイト組のこっちへの対応も変わって――――ってな形でゴロゴロと雪だるま式に原作との乖離が酷くなって、『リリカルなのは』じゃなくて『ドシリアスなのは』になってしまうやも……

 

 いや、勝てばこの通りになると決まってる訳じゃないけどね? 絶対碌な事にならないと思うの。

 

 じゃあ、なのはちゃんの機嫌が直れば全部 上手くいく(原作通り)かって言ったら、それも違うんだろうけど……

 この空気は早くどうにかしたい事には変わりないし。

 

 

 

 ――さて、そのためにも機嫌直すにはどうすりゃいいのかね?

 

 なのはちゃんは謝るだけじゃなくて、『何故自分をいじめたのか』を聞きたい、ってか聞かないと納得しないっぽい。まあ、話した所で機嫌が直るかも微妙だけど……

 

 俺らは頭下げるのは良いけど、ソレは話したくない。どうしてもってなったら話すかもだけど……余計に機嫌悪くなる可能性もあるし、あくまで最終手段。

 お菓子で機嫌を直してもらうのは無理。疑心暗鬼になってるし……

 

 

 謝っても意味がないならちょっと厳しいかね……

 精々考えられるとしたら、何か別の事で気を逸らさせてなあなあに…………ってあら?

 

 

「なのはちゃん、どこ行くの?」

「んー……」

 

 特に何も言わずに、なのはちゃんが俺らに背を向けて離れようと……予想より怒ってる?

 普段、俺らでジュエルシード探索中に離れる時は――例えばトイレの時とかは、『トイレ行くから、ちょっと待ってて』とか一言あるんだけど……

 

 

 初期より大分マシになってるとは言え、まだまだ十分機嫌が――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、今日はもうジュエルシード探し終わりにして帰っちゃって良い?」

「ん? 帰るって………………帰るって!?」

 

 ――悪いっていうレベルじゃ済まなかった!? 静かにガチギレしてらっしゃる!?

 

 え、帰るの? 帰っちゃうの!? そこまでのモノだったの!?

 あと、こっち向いてお話しよ!? コミュニケーション取る気ゼロに近い!?

 

「え、あの、え、なのは!?」

「だって今日は何かもう……早く見つけなきゃいけないってのは分かるけど……」

 

 戦闘の勝ち負けがどうなるかどころの話じゃ無かった! 戦闘が有るか無いかっていうレベルの話だった!!

 

 いや、俺とユーノ君だけで戦えば、確実にフェイト組がジュエルシードを取る事になるだろうから、ジュエルシードの所持数は原作から変わらないだろうけど……いやいやいやいや、何コレ!? 

 もしかしなくてもマズイよね!? 絶対後々影響でるよね!?

 

<どうしよう貴裕!? なのはがなのはがなのはが帰るって怒ってるいっぱい!!>

<何かバグってんぞ!? 落ち着いて!>

<だって! ここまで怒るとは思ってなくって、もし嫌われ…………えうっ……>

<泣きそうにならないで!? 大丈夫! ユーノは俺の誘いに乗っただけだから!! な!?>

 

 目の前にいるフェレットが涙目で手をワタワタさせてるのは可愛いけど、和んでる場合じゃねぇ!!

 

 どうすれば……もうここまで来たらいじめた理由話すのも逆効果じゃね?

 

 

「とりあえず、今日はそう言う事で――」

 

 あらやだ、説得する間も無い!! なのはちゃんまた歩くの再開しちゃった!? 

 

<ほ、ホントに帰っちゃおうとして……ひっぐ……>

<だから泣きそうになるなと――もう泣いてる!? いやでもコレはどうしろと……>

 

 まってまって何か何かあばばば――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――何てね? 冗談だよ」

「あば?」

「えうっ?」

 

 あれ? 振り返ったと思ったら笑ってらっしゃる?

 

「折角ユーノ君が頑張ってジュエルシードの場所が分かったんだもん。いつ発動してどうなるのか分からないし、時間があるのに何にもしないで帰るなんてしないよ……ふふっ……」

「ん?」

「うぐっ……え?」

 

 どゆこと? さっきまでの不満げな感じの声じゃ無い……むしろ弾んだ感じの声?

 それに今度はこっちに体と顔をしっかり向けて話してるし、イタズラが成功した様な顔で微笑んで――あ。

 

 

「怒ってたのって演技か!?」

「んー、最初は本当に怒ってたんだよ? でも、あれだけ謝ってくれたし……と言うより、お菓子食べられただけであそこまで引きずるほど機嫌悪くなるわけないでしょ」

「あ、デスヨネー……」

「え? え?」

 

 うん、面だって態度には出さなかったけど、『この程度でここまで怒るってどんだけ……』って思ってました。

 あと、『なのはちゃんってこんな食いしん坊キャラだっけ? 不機嫌になりやすかったけ?』って疑問も少々……

 

 

 怒った所なんて殆ど見たこと無かったから見事に騙されました……

 何か変だと思ってたら演技だったのね……心臓に悪い……

 

「街に着く頃にはもう怒ってなかったけど、不機嫌な振り続けていればあんなことした理由も聞きだせるかなーと思って……まあ、ここまで隠すんならしょうがないから聞かないことにしてあげる…………今言ってもいいんだよ?」

「聞かないって言ったばっかりなのに? や、本当にゴメンナサイ。ここまで来たら隠し通させて?」

「むー……」

 

 まあ、もう怒ってはいなかったんだし、なんやかんやでいじめた理由も誤魔化せそうならいいか。

 後の戦闘に変なコンディションで行っちゃうかもって心配もなくなったし。

 

 

 じゃあ、今度こそジュエルシード探索に気合い入れて行こう――――って行きたい所だけど……

 

「仕方ないなー……じゃあジュエルシード探し再開しよっか。この辺りなんでしょ?」

「らしいね。でも、再開するのはまだ無理かな……」

「え? 貴裕くんどうかしたの?」

「いやさ――」

 

 

 ちょっと君の演技が効果あり過ぎたみたいでですね――

 

 

 

 

 

 

 

 

「グスッ……え? え?」

「ユーノがまだ状況理解できてないみたいなんですヨ」

「あ、あれ? ユーノ君泣いてる?」

 

 ――いつもは知的な子が涙目でバグっているので、そうもいかないのよ。

 

 真面目で思い込みの強い所もある子だから……

 公園でなのはちゃんが口きかなかった時も結構ダメージ受けてたからね。さっきので耐えきれなくなった感じ?

 

 さあ、まずは『好きな子に嫌われた』という勘違いから解消せねば……なのはちゃんも協力してネ?

 

 

 

 ◇

 

 なのはちゃんの機嫌が治っているのも分かり、俺と慌てたなのはちゃんの説得によってユーノ君のバグも解消することができ、ジュエルシード探しは無事再開した。

 

 ただ、大まかな場所が分かっていてもジュエルシードは見つけられず、段々と辺りも暗くなり、街頭モニターに表示されている時刻は19:43になっていた――

 

 

「もうこんな時間……そろそろ帰らないと、またお兄ちゃんに怒らちゃうかも……」

「僕は残ってもう少し探して行こうかな……貴裕は?」

「俺は帰ろうと思う。あと、ユーノも一緒に帰らないと。フェレット状態だと保健所送りにされかねんし、人型だったとしても外人の少年が一人でこんな時間にウロウロしてたら警察来るぞ」

「警察は前に……交番だっけ? そこ通る時に教えてもらったから分かるけど、保健所って何?」

「名前だけなら聞いた事あるかも……どういう所なの?」

「あー……捨テラレタリ迷子ニナッタ動物ヲ一時的ニ保護シタリスル所ダヨ?」

 

 もう大分いい時間になって来たので、『ジュエルシードそろそろ発動しないかなー(フェイト側早く動かないかなー)?』と思いつつ適当に会話を進めていると、とんでもない質問が出て来たりしてビビっております……嘘は言ってないヨ?

 

「へー、そんな所があるんだ……あれ? 『一時的に』って、その後は?」

「んー? 『保護したり』って事は、他にも何か――――あれ? これって魔力?」

「ナイスタイミング!!」

「へ!? どうしたの貴裕くん?」

「何でもないヨ!」

 

 現実を教えるか嘘をつくかすっごい悩む質問されてる途中で、オレンジ色の魔力の柱が遠めのビルに……確か『魔力流』って言ったっけコレ? 

 天候にも影響あるのか雷がいきなり鳴り始めてるんだけど……

 

「これってフェイトちゃん……? でも魔力は黄色くないし……あ、使い魔さんの?」

「魔力流……って、まさか街中でジュエルシードを強制発動させる気じゃ!? 二人はデバイスの起動を! 広域結界、間に合え!」

「あ、うん! レイジングハート、お願い!」

「シンシアハート、セットアップ!」

《《Stand by ready, Set up》》

 

 それよりなによりシンシアハートさん、向こうに大至急サーチャーお願いします。

 

 この後は封印シーンだけど、意図せぬものとは言えフェイトちゃんとなのはちゃんの初めての共同作業ですからネー……しっかり撮っておかないと。

 後で編集して交互に『封』『印』ってやるあのシーンの再現でもしようかしらグヘヘ……

 

「ジュエルシードは……この道路の先だね。向こうに行ってから封印するんじゃ遅いか……? なのははここから長距離砲撃で封印をお願い!」

「分かった! レイジングハート!」

《Shooting Mode, Set up》

 

 ところで、その封印の間俺は何してればいいんだろうか? 突っ立って見てるだけ?

 まあ、なのはちゃんの封印処理をじっくり生で見たことなんて一回しかないし、それで済むならありがたい――

 

 

 

 

「貴裕は封印したジュエルシードの回収をお願い! 今からジュエルシードの方に飛んでおいて!」

「……ん?」

 

 ――と思ってたんだけど?

 

「え? 俺が回収しに?」

「うん。折角封印しても、あの子達に取られるかもしれな――ッ、あの子の魔力光! 貴裕、急いで!!」

「お、おう……シンシアハート」

《Flier fin》

 

 意見する間もない?

 あの、本当に行かなきゃダメですかね…………流れ的にダメですよネー?

 

 

 や、ユーノ君の判断は何も間違ってないのよ? 正しい判断だよ?

 行きたくない理由は俺にしか分からないモノだし……

 

「リリカルマジカル! ジュエルシード、シリアル19! 封印!!」

 

 うん、なのはちゃんの封印シーンなんてどうでもいいよね?

 コレ含めて数えれば、4回中1回しか生でマトモに見た事ないんだけどどうでもいいよね?

 

 ジュエルシードを封印して回収する事は大事だものね……

 

 

 

 

 でもね? 原作の流れ知ってる身としてはね?

 

 このタイミングで封印終わったジュエルシードの所に近づいたら――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジュエルシードから離れなガキィッ!!」

「ぴっ!? プロテクション゛ン゛ン゛ッ!!」

 

 ――アルフさんがお空からダイビングタックルしてくるって分かってたから行きたくなかったんだ!!

 無駄なことなんてしたくなったんだ!!

 

 どのみちこの後も戦闘あるよ? でも、気持ち的に初撃ぐらいはユーノ君に受けて貰いたかったです! 

 

「チィッ! 無駄に堅い……相変わらずあたしの警告を聞く気はないんだね?」

「相変わらず不機嫌そうで……嫌な予想だけは当たるなぁ……」

「貴裕! 大丈夫!?」

「貴裕く――――あ……フェイト、ちゃん……」

 

 後ろからユーノ君となのはちゃんが駆け寄って来たけど、アルフさんが怖くて目離せないから振り向けない……

 俺の視界の端にフェイトちゃんが見えるけど、アルフさんじゃないならどうでもいい……

 

「この前は自己紹介できなかったけど、私の名前はなのは。高町なのは! 私立聖祥大付属小学校3年生!」

 

 なのはちゃんが自己紹介してるけど、アルフさんと関係ないからどうでもいい……

 

 

 ――そんな事よりこの後の戦闘ですよ。確か直ぐには終わらなかったはずなんだよな……

 正確な時間は思い出せないけど、少なくとも終わるのは20時は過ぎてたはずだから……最低でも10分以上は戦闘……

 

 ハードモードなアルフさんと10分以上戦闘……泣きたい……

 

「――フェイトはあの白い子とか……さて、私は人の話を聞かないガキをちゃっちゃと倒すとするかねぇ!」

「貴裕、来るよ!」

「お?」

 

 あれ? いつの間にかフェイトちゃんとなのはちゃんがバトってらっしゃる……

 違う意味で話を聞いてなかった……いやいやいや、とにかく――

 

<ユーノ、今日こそ飛行魔法で距離とりつつバインドで縛る方向で>

<分かった。僕は僕で走り回りながらバインド使うよ……残りの魔力も少ないから大しては協力できないと思うけど……>

<うぃ、よろしく>

 

 どうにかして、この10分以上を乗り切らねば……

 

 

 

 

 あれから飛行魔法で離れすぎず近すぎずの位置を維持しようとするも、何度も攻撃が当たりそうになるため防御・緊急回避し、たまに隙を見てはバインドで応戦しを繰り返して 40分近く(・・・・)――

 

 40分近く、格上の相手に追いかけ回された結果――

 

 

 

 

「フーッ、フーッ、ヴァー……」

《Your remainder magical power is below 7%. In danger(残り魔力7%を切っています。これ以上は危険です)》

 

 体力・魔力とも限界に近く、人語を喋るのも億劫になってるとです……

 

 いや、40分だって10分以上に変わりないけどさ……限度ってものがあるだろうに……

 

「こんっの! 外し……なっ!」

「ハッ、貴裕、大丈、夫?」

「何、とか……これで休める……」

 

 でも、やっとまとも(・・・)にアルフさんをバインドで縛ることが出来た……

 

 まあ、休めるって言っても、俺のバインドなんて一分しないで解かれちゃうんだけどネ?

 ユーノ君も俺も魔力の余裕がないから重ねがけなんてキツイし……

 

 

 

 ――魔法の練習してる頃から薄々気づいていたけど、今回の戦闘でハッキリ分かった。

 俺には『飛行 魔法(・・)』や『補縛魔法(・・)』の才能は特典のおかげで少しはあるみたいだけど、『飛行・補縛 そのもの(・・・・)』の才能はありません……

 

 なんとなーく自分でも飛行 魔法(・・)・補縛魔法(・・)は上手いんじゃないかって思えたんだ?

 ちょっと魔力込めただけで割と速く飛べるし、急加速・急停止・ターンも問題なし。それなりの速さでそれなりの堅さのバインドだって出せた。

 ユーノ君にだって二人で魔法の練習してる時に『この短期間でこの出来は凄いよ――え、なのは? なのははホラ……ね?』ってコメントを貰った。

 

 

 ただ、じゃあ実際に飛行(・・)補縛(・・)をしてみようとなるとコレが酷い……

 

 空中鬼ごっこの訓練では、なのはちゃんが鬼の時は直ぐ捕まえられ、俺が鬼の時は何時までも逃げ切られた。

 どのタイミングで加速・ターンすれば良いか分からず、素人なりにフェイント的な動きを取り入れるもアッサリ笑顔で捕えられる。

 こっちが捕まえようと急加速すれば、フェイントだったようで避けられ、あらぬ方向に飛んで行き笑われる……

 

 バインド有りの鬼ごっこでも同じだった。

 なのはちゃんは人体模型の件がトラウマになっているのか、至近距離で相手が止まっている時にしか仕掛けてこないからこっちが割と有利なんだけど、こっちのバインドが外れること外れること……

 辛うじて体の先に掛けること位はあったけど、まともに縛れたのなんてほんの数回です……

 

 

 仕方ないじゃない……経験も浅ければ、化け物じみた空間把握能力も持ってないのよ私?

 

 

「ふぅっ……結界、あと何分維持できるだろ? もう、キツいんだけどなぁ……」

「サポート本当にありがとうね。ああ、しんどい……」

 

 ぶっちゃけユーノ君がいなければタコ殴りされてたヨ?

 

 アルフさんとの戦闘は、飛行魔法をたっぷり練習したおかげか、詰め寄られて防御魔法耐久レースになった事も何度かあったけど、接近戦中心には(・・・・)ならずに済んだ。

 でも、バインドはやっぱり外れる……尻尾だけ縛ることが出来た時は可愛らしい悲鳴を上げたので胸キュンしたけど、より凶悪な形相でこちらを睨みつけて来たので別の意味で胸キュンする羽目になった。

 魔力弾から逃げようとした場所に別の魔力弾を撃ち込まれたり、バインド掛けようとしたら逆にバインドを掛けられるっていう状態になったのも少なくない……

 

 ユーノ君が俺のバインドに少しだけ引っかかったアルフさんに重ねてバインド掛けたり、交代で防御魔法使ってくれたり、俺がバインド解く間の時間稼いでくれなかったら攻撃食らって……いや、それ以前に魔力途中で切れてガブガブやられてるわ絶対。

 

 

――――ビキッ、ビキビキビキ――――

 

「あと、もう少し、っで……!」

「クッ、もうバインドが解けるのか!」

「おぶあー……チェーンバインドォ……」

「ッ! また重ね掛け……いい加減にしなよアンタ!! フラフラなくせに変に粘って……さっさと倒れな!!」

「倒れて良いなら倒れたい……と言うか、もう壊さないで……」

 

 バインドって籠める魔力量にもよるけど壊せない事はないからなぁ……

 俺のだってそれなりに堅いって言っても、『短期間で練習しただけにしては』って注釈がつくもの。

 チェーンバインド使って包囲して捕まえてやろうとしたら、『邪魔ッ!』っていう掛け声の直後に鎖の一本が噛み砕かれたのを見た時は泣きたくなりました……

 

 

 ――まあ、そんな感じに40分近くずっと飛行・防御・補縛魔法使ってると魔力がもう僅かなんだけど……

 

 いや、これは別に俺やユーノ君――アルフさんもそろそろ限界なのかね? バインド解くのに最初より時間かかってるし……

 とにかく俺達の魔力量がョボイんじゃないのよ?

 

 今も元気にバトってる、なのはちゃん・フェイトちゃんがおかしいの。

 何であんな砲撃魔法バンバン撃てるの? 毎ターン必殺技使ってゲージ切れないとかあり得ないヨ?

 

 

「フェイトちゃん!!」

 

 あ、噂をすれば? いつの間にか近くで飛んでいたおかしい子達の説得シーンがようやっと……

 

「話し合うだけじゃ、言葉だけじゃ何も変わらないって言ってたけど……だけど話さないと、言葉にしないと伝わらない事もきっとあるよ! ぶつかり合ったり競い合う事になるのは仕方ないのかもしれない……だけど、何も分からないままぶつかり合うのは、私、嫌だ!!」

 

 おお、ようやく……ようやくこれで戦闘終了……! 長かった。40分は本当に長かった……!

 名シーンの最中なのに、『なに説得しようとするだけに40分も掛けてんだよオラァ!』って考えちゃう位には長かった!!

 

「フェイトちゃんはどうしてジュエルシードを集めているのか教えて! 私は、私や貴裕くんがジュエルシードを集め始めたのは、それがユーノくんの探し物だから。ジュエルシードを見つけたのがユーノくんで、ユーノくんはそれを集め直そうとして、私達はそのお手伝いで……だけど、今は自分の意思でジュエルシードを集めてる! 自分の暮らしている街や自分の周りの人達に危険が降りかかるのは嫌だから!! これが、私の理由!!」

 

 にしても凄い気迫……なのはちゃんがあんなに大声で喋るのって見た事ないわ。

 

「私は――」

「フェイト! 答えなくていい!!」

 

 おう、アルフさんのストップが入りましたか……

 

 

 

 

 うん、折角のシーンを鎖でグルグル巻きのままでゴメンナサイ。

 帰ったらサーチャーの映像確認するけど、すっごいシュールな絵になってるんじゃないだろうか……

 

「優しくしてくれる人達とぬくぬく甘ったれて暮らしているようなガキンチョになんかに……グッ、こいつらなんかに何も教えなくていい!! アタシたちの最優先事項はジュエルシードの捕獲だよ!!」

 

 『こいつらなんかに』の所で俺に顔向けるとか止めていただきたい。

 

 あと、あんまり暴れないでー? バインド維持するのにだって地味に魔力使うんですヨー……って、もうバインドは維持しなくていいのか。

 

 

 この後は、二人がジュエルシードに衝撃あたえて暴発。

 それをフェイトちゃんが必死に封印してサヨナラって流れなんだし――――って、考えてる傍からフェイトちゃんがジュエルシードの方に向かって、それを追ってなのはちゃんもジュエルシードの方へ急降下して……

 

 

 

 

――――ガキィッ!!――――

 

 

「あっ」

「えっ」

「ヤダ何この寒気」

 

 二人のデバイスがジュエルシードの挟んでぶつかり合った瞬間、何か背中がゾクってしたんですけど……

 あ、暴発来る? 二人のデバイスにヒビ入った直後に、 ジュエルシードの魔力(・・・・・・・・・・)が一気にあふれて――

 

 

「キャァァッ!!」

「ッ……!」

「おぇぇぇぇッ……」

「貴裕!?」

「ちょっ、アンタこっち向くんじゃないよ!?」

 

 いつものジュエルシード発動した時の気持ち悪い感覚が何倍にも濃縮されたのが……!

 あ、光が収まったら少しマシになって来た……

 

「おぉぉ……大丈夫、吐き気が酷いだけだから……うぇっ……」

「それは大丈夫とは言わないよ!? なのはは……無事みたいだね。でも、デバイスにヒビが……」

「フェイト!? 大丈夫な――ッ、ああ鬱陶しい鎖!!」

 

 あ゛ー、まだアルフさんにバインドしたままだった……もう、消して大丈夫だよね?

 ちょーどいい感じに体調不良だからそれを理由(言い訳)にして解除して、後はフェイトちゃんがボロボロになるのを眺めるだけ――うん、人間としてどうかと思うけど仕方ないね。

 

 俺が暴発したのを再封印するっていうのも考えられるけど、今封印魔法なんて使ったらぶっ倒れるヨ?

 そもそもジュエルシードの所持数変わっちゃうじゃないですかヤダー。

 

 

「――あの、貴裕……やって欲しい事があるんだけど……」

「お? どしたのユーノ?」

 

 あれ、何かまだ問題あったけか? やって欲しい事って言われても、俺魔力もう殆どないんだけど……

 そんな思いつめたような顔して何を――

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔力が少ないのは分かってるし、体調悪い所申し訳ないんだけど……あのジュエルシードの封印お願い出来ない?」

「え? ぶっ倒れろと?」

「ッ! ゴメン……」

「あ、違ウヨ!? そうじゃなくて……」

 

 フェレットから聞こえてはいけない単語が聞こえた気がしたので、つい本音が……いやいや、なんで俺!?

 

 フェイトちゃんがやれば良いじゃな――あ、ジュエルシード渡しちゃいけない相手だもんね。同じ理由でアルフさんも却下か。

 なのはちゃんはデバイスぶっ壊れてて出来ない。

 ユーノ君は魔力ギリギリ、結界の維持もあるし、デバイスなしの封印はキツい。

 

 じゃあ、俺はって言うと……魔力ギリギリだけどデバイスは無事ですねそういえば。

 うん、ぶっ倒れるだろうけど封印自体は出来るね多分……

 

 

「あ、考えてみれば今封印出来るの俺しかいない?」

「うん……本当にゴメン……」

「いやいや…………いやいやいやいや!?」

 

 アカン! 俺がやったらアカン!! ジュエルシードの所持数原作と変わっちゃうからアカン!!!

 

 それにホラ、フェイトちゃんがいるじゃないですか!! あの子デバイスなしで封印出来るじゃないですか!!

 きっと俺がウダウダしてる今にも、フェイトちゃんが原作通りにジュエルシードの方に飛びかかって――

 

 

 

 

 

 

 ――ない? え、なんで? 

 なんで向こうにいる金髪の女の子はこっちガン見するだけで微動だにしないの? なんで?

 

「貴裕?」

「え? あ、うん。頑張る……シンシアハート」

《You may faint by the consumption of the magical power. Do you really carry it out?(魔力の消耗によって気を失う可能性があります。本当にやりますか?)》

「エ? ア、ウン。頑張ル」

《All right. Sealing Mode set up》

 

 あー、飛行魔法に使う魔力ももったいないしジュエルシードの所まで歩かないとネー?

 

 静かだなー? フェイトちゃんなんで来ないのかなー? なんで俺は無傷のデバイスなんて持ってるのかなー?

 

 

 

 

 ――いや、いいの? 封印しちゃうよ? このままだとマジでしちゃうよ? フェイト組のジュエルシード3つだけになっちゃうよ?

 ねえ、ガン見してないでこっち来ないの? 来ないんですかー!?

 

 あ、ジュエルシードの近くに到着しちゃいましたよー! 敵がジュエルシードの傍にいますよー! いいんですかー!? 

 

 

 あれかな? デバイスなしで封印したら怪我しちゃうのが怖いのかなー? 

 大丈夫ダヨー? 原作の君は気合いで頑張ってたヨー……ねえ、ホントに何で来ないの!?

 

 あれだよ!? 今ならテンプレオリ主のごとく微笑みながら回復魔法掛けちゃうアフターサービスをつけても――

 

 

《Stand by ready――》

 

 あ…………もう俺知らないからね!? 封印しちゃいますよ!? 

 

 不自然に感じられない程度に全部の行動ゆっくりやってたけど、ここまで来たらもう止められないかんね!?

 プレシアさんからの懲罰厳しくなっても知らないから!!

 

「力あるものに魔法の枷を! ジュエルシード、シリアル19! 封印!」

《Sealing――complete》

 

 封印完了…………完了しちゃったよオイ……

 いや、チビッ子がボロボロになるのを防げたのは確かにチキン精神的にはプラスよ?

 

 

 でも、俺がこのジュエルシード封印しちゃったら、これからどうなる――――あれ、何か意識が……足がふらつく……

 

 

《Master!》

「おっ!? あ、うん、大丈夫大丈夫」

 

 危なッ、シンシアさんの呼び声無かったら倒れてたかも……

 でも、もう魔法一つ出せないし、バリアジャケットだって何時消えてもおかしくな――

 

 

 

 

 

《No! Preparations for evasion!(違います! 回避の準備を!)》

「貴裕くん逃げて!!」

「僕が防御を「行かせないよ!」――グッ!?」

 

 あれ? アルフさんのバインド解けて……あ、封印で魔力使い切ったからバインド維持できなくなったのかね?

 

 

 いや、それより回避って何を――

 

 

 

 

 

 ――――バチチッ、チチッ――――

 

 

 

「フォトン――」

「あ、そういう事――」

 

 ねぇ、フェイトちゃん?

 君の手の辺りに、電気の奔る様な音を立てている黄色い塊が浮かんでいるのは――

 

 

 

 

 

「――ランサーッ!!」

「俺に攻撃するたメ゛ェッ!!?」

 

 被弾した横っ腹めっさ痛いよ!? 今俺飛ばなかった? 飛行魔法使ってないのに1m位飛ばなかった!?

 バリアジャケットに魔力注げてないせいか、衝撃も痛みも殺しきれてない!?

 

「ふぉぉぉ……」

「貴裕くん!!」

「貴裕!!」

 

 これ、しばらく動けないどころか声出すのもキツイんですが……!

 なんか二人が心配してくれてるっぽいけど応えられん……

 

 

 ――って言うか、何で攻撃してきたのあの子!? 八つ当たり!?

 封印する前に襲い掛かってくるなら分かるけど、封印した後に襲い掛かってくるって何!? 

 

 こんな事する位なら最初っから自分で封印すりゃいいのに、ホント何のために――

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、貰って行きます……」

「ぉぉ……お?」

「フェイト! 早く行くよ!」

 

 あれ? いつの間にかフェイトちゃんが俺の傍――いや、ジュエルシードを封印した所に(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 それに『貰って行きますって』あなたまさか――

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て! それは貴裕が封印したジュエルシード…………待てぇぇッ!!」

 

 ――封印済みのジュエルシード横取りするため!!?

 え、待って!? それ俺が封印したヤツ!! ちょっと意識飛びかけそうになってまで封印を……えぇぇぇ……

 

「そんな……あ、それよりも貴裕くんは!?」

「待ってて! 今残ってる魔力で回復を……ゴメン、止めれなくて……」

「私がレイジングハート壊しちゃったせいで、何も出来なくって……ゴメン……」

「いぃ……」

 いや、ユーノ君は疲労&アルフさんの妨害があったみたいだし、なのはちゃんのアレは事故の様なものだし、気にしてないよ――――って答えれたらいいんだけど、痛みでマトモに喋れないから最初の『い』の字しか発せられん……

 魔力空だから念話も出来ないんだけど……

 

「僕が貴裕に封印を任せたいって言った時に、あの使い魔が何の反応もしなかった事に気づくべきだったんだ……その時に念話で作戦を立てたんだと思う。貴裕の魔力がギリギリだったのは向こうも分かってただろうから、おそらく意識が朦朧となるのも見越して……」

「私も……せめてフェイトちゃんが変な動きした時に知らせるべきだったよね…………フェイトちゃんがジュエルシードの方に走り出そうとしたように見えた時があったんだ。でも、使い魔さんの方を見たと思ったら体勢直して、その後は貴裕くんの事をずっと見てたの……」

「あー……」

 

 ナルホドネー……

 

 確かにアルフさんは静かだったね……

 俺が封印するって話になったら『ふざけんじゃないよ!』とかって罵倒ぐらいはしてきそうなもんだよね?

 

 フェイトちゃんがこっちに見るにしたって、ジュエルシード諦めたならこっちを憎々しげな表情で見るぐらいありそうだものね? 

 ただジーッと観て来たのは、俺の行動を逐一観察するためのモノだったと……

 

 

 いや、向こうも消耗してたもんネー? 楽に済ませられるんならそれに越した事はないよネー?

 うん、良く分かるよその考え。

 

「それで横取りしたんですネー……あ、もう話せる」

「あ、貴裕くん大丈……夫? なんか表情というか目が……」

「意識ははっきりして……るんだよね?」 

「大丈夫ヨー? ウフフ……」

 

 いやね? 向こうも進んでやりたくはなかったんだと思うよ? 

 ジュエルシードを集める事情も複雑だから嫌々みたいな?

 

 アルフさんが帰り際に悪態吐かなかったのも罪悪感があったからだろうし?

 フェイトちゃんだって、わざわざ一回俺の前で立ち止まってゴメンナサイしたし?

 

 決して楽しんでやった訳ではないというのは分かってますヨ?

 

 

 攻撃されたって言っても、こうやって直ぐに話せる様になるレベルのモノだったし?

 それに、今回のジュエルシードが向こう側に行くのは俺も望んでたし? 

 

 なにより原作通りのジュエルシードの所持数になったんだから特段問題はないよ…………でもね?

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで納得できる程こちとら人間出来てないわ!!」

「ひゃいっ!?」

「いきなり何の話!? 前後の会話と繋がりが……意識が混濁してる……?」

 

 事情が有るにしたって限度って言うモノが有るわよアナタ! 流石に今回のは駄目だろ!!

 人が『原作崩壊イヤァァッ!!』とかビビりながら吐き気を抑えて魔力使いきってフラフラになってまで封印したものを横取りとか駄目だろうに!!

 

 最初っから自分で封印すれば良いじゃない!! 

 俺がフェイトちゃんの立場ならそうす――――る訳がないけど駄目だろうに!! 痛いのとか我慢できないけど駄目だろうに!!

 

「可愛いからって何でも許される訳じゃないのよ! 暴力ヒロインなんてアンチの格好の餌食なんだから!!」

「た、貴裕くん誰に話しかけてるの? ね、落ち着こ?」

「貴裕……やっぱり弾き飛ばされた時に頭を強く打って……僕たちのせいで……!」

「幻覚幻聴を見聞きしてる訳じゃないから引かないそこ!! あと、勝手に落ち込むな!!」

 

 おかげで二人に頭の心配までされてるんですが……

 

 

 

 

 ――いやさ、向こうにも罪悪感はあるみたいだし、事情があるのも分かるけどさ?

 これはちょっと許せないというか……本当にどうしてこうなったし……

 




 Q,どうしてこうなったし
 A,そもそもオリ主がいなければ起こらなかった事

 ◇

 フェイトとアルフのやり取りを簡略化したもの。


フェイト (バルディッシュが……でも、ジュエルシードを封印しなきゃ……こうなったら、バルディッシュの補助なしでも!)
アルフ <フェイト! デバイスなしは危ないよ! 魔力ギリギリのこいつが封印するみたいだから、隙を見て――>
フェイト <アルフ?(いつから鎖でバインドされてたんだろう?) 分かった、この人には悪いけど――>


貴裕「ねんがんの ジュエルシードをてにいれたぞ!」

      そう かんけいないね
フェイト →殺 してでも うばいとる
      ゆずってくれ たのむ!!

貴裕「な なにをする きさまらー!」



※今話のフェイト組のジュエルシード強奪について

 初対面の子《なのはちゃん》いきなり襲いかかる事もあったし、相手の言葉を無視し脅迫紛いの事(温泉宿での対決)してジュエルシード奪う事もあったし、虐待も受けており、『お母さんの為なら何でもするよ! だから愛して!』状態の子ならこれ位してもおかしくないかなーと……


 や、本当にアンチとか、フェイト組sage→オリ主・特定のキャラageするつもりはないんです、ハイ……


 ◇

 ジュエルシードの封印時の個人的に嫌いなテンプレ

クールなオリ主「女の子がそんな無理するものじゃない(キリッ」
ちょろいフェイト「敵なのにどうして……」
クールなオリ主「君の様な可愛い子が怪我するのをただ見てるのは我慢できなかったんだ(ニコッ」
ちょろいフェイト「やだこの人敵なのに私の事を(ポッ///」
ちょろいアルフ「やだコイツ敵なのにフェイトの事を(ポッ///」
クールなオリ主「ほら、ジュエルシードを持って行きな? 今日の勝者は君だZE☆(ニコニコッ」
ちょろいフェイト「やだこの人敵なのに私の事を(ポポポポッ///」

 素手で封印するのを事前に防がず、苦悶の表情で手が裂け血が吹き出るのを鑑賞した後、上の様な言葉を吐きながら協力or回復。

 原作知識持ってなくても、オリ主理論によってジュエルシードを渡しちゃう。ふしぎふしぎ。


 ◇

 なんで発動時間を変更したのか(前書きで書いた事について)

 アニメ6話でジュエルシードが発動した(させた)のは『19時07分』前後で、すぐに封印して戦闘という流れでした。
 そして、なのはの説得&なのは・フェイトがジュエルシードに衝撃あたえて暴発するのが、アニメ7話によると『20時27分』前後――





 つまり、戦闘時間1時間20分前後…………そんだけ時間がある中で、(なのはちゃんがフェイトちゃんに)説得する隙は一度もなし?
 漫画版・小説版での、なのは・フェイト最終決戦でさえ27分弱で終了してるのに……

 しかも、その時にはもう二人とも魔力・体力が少ない状態って……いや、最終決戦と違って全力全開でやってた訳じゃないだろうけど……
 
 どっちにしろ、オリ主が一時間以上も戦闘できたら……え? 何それ魔力量チート?


 ――となったので、劇場版の方に変更しました。まあ、40分近くでも充分長いとは思うんですけど……

 多分、劇場版で『19時43分』に時間が変更されたのは、スタッフの方々も『アレ? コレちょっとおかしくね?』と思ったのではないかと素人が勝手に考えてみたり。


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