とある日の夕方。
いつも待ち合わせや魔法の練習に使っている公園で、少女は少年にフェレットを手渡した――
「じゃあ私は塾があるから……ゴメンね、ジュエルシードの探索出来なくて」
「ううん、自分の生活を優先するのは当然なんだから気にしないで」
「俺はまだ飛行魔法の練習したかったし丁度良いよ。塾終わるのって18時過ぎだっけ?」
「うん、終わったら直ぐこっちに戻るから……じゃあ、いってきます」
『いってらっしゃーい』
少女の表情はどこか浮かないものだった。
それは『今日の探索を休む事』についての罪悪感だけから来るものではない様だが、少年とフェレットはその場で特に追及することなく、塾に行く少女を見送った――
「さて、今日も魔法指導お願いします――って、行きたい所なんだけどその前に……」
「なのはの事……だよね?」
「うん。最近家でのなのはちゃんの様子はどんな感じ?」
「やっぱり上の空になっていることが多いね。魔法の練習中に結界の外に飛んで出ちゃった時は本当に焦ったよ……」
「ああ、前の朝練の時の……上の空の状態でも、きっちり誘導弾操って囲んでくるとかもうね……並列思考ェ……」
彼らが話題に上げるのは先程まで共にいた少女の事。
先日の温泉旅館での戦いの後から、少女からはいつもの様な明るさが減っていた。
『どうしたのか』と聞けば『大丈夫』と答えて笑顔を作るものの、直ぐに上の空になり、ボーっとすることが多いのを気にしていた――
「あれからずっと何か悩んでいるみたいだけど……やっぱり、なのはから相談されるのを待つんじゃなくて、僕らから何を悩んでるのかちゃんと聞いた方が良いんじゃないかな?」
「んー…………そうしますか。いつまでも思いつめた顔でいられるのもアレだしね」
「うん! それじゃあなのはが塾から帰って来た時――はもう遅いよね。明日は朝練も予定していないし……学校終わって集まった時に話し合おう」
彼らはそんな少女の明るさを取り戻すために行動することを決める――
「了解。じゃあ、なのはちゃんの好きなお菓子でも買っておくかね。グッバイ、今月のお小遣い……」
「あはは、別に無理して買わなくてもいいんじゃない?」
「いや、美味いものか好きなもの食べたら機嫌って少しは良くならない? 話しやすい雰囲気作りのアイテムにもなるかもだし」
「ああ、そうかも…………なのはの悩み、解決できたらいいね……」
「だね……」
そうして迎えた次の日の夕方ごろ――
「――でね! アリサちゃんが――――あ、貴裕くん来た来たっ! さ、今日も元気にジュエルシード探し頑張っていこー!!」
「お、おう?」
<何この子、超元気いっぱいなんですけど……え、ユーノってば朝のうちにイイ話でもしたの?>
<ううん、なんか学校帰って来てからずっとこの調子で……>
そこには思いつめた表情の少女などおらず、少年とフェレットが困惑した顔で首を傾げていたのだった――
第13話 「メインキャラの悩みは大抵オリ主が解決す――あれ?」
日も暮れ始めた頃。
いつも待ち合わせなどに使っている公園のベンチに座り、落ち込んでるなのはちゃんの機嫌が少しでもマシになればと用意したお菓子は――
「んー! このクッキー美味ひい! 貴裕くんいつもありふぁとねっ!」
「どういたしまして。とりあえず口に物入った状態で喋るのは止めようか」
予想に反し、滅茶苦茶ゴキゲンな女の子に食い荒らされております……
ああ、食べかすが服に落ちてるからもうちょっと落ち着きなさいって。
普段はこんな事しないだろうに……どんだけテンション上がってんのこの子?
<ねぇ、本当にユーノは何か知らないの? 母さん絡みでもないだろうに、これだけ機嫌が良いなのはちゃん見るの久しぶりなんだけど……>
<いや、僕も不思議に思って事情は聞こうとしたんだけど、テンション上がってるなのはが自分から話題を振りまくって来たから切り出せなくて…………あ、僕が今日起きたのいつもより遅くて、なのはが学校行く時だったんだけど、その時も今ほどじゃないけど声は弾んでたと思う。何かこう吹っきれた感じの様な>
<吹っ切れた、ねぇ……>
原作だとウジウジ状態だったせいで、アリサちゃんと不和状態になったんだけど……
や、なのはちゃんが元気になったのは良いことだよ確かに?
俺らで元気に出来るなら何とかしようとも思ってたぐらいだし……
――まあ、考えるより聞いた方が早いか。
元々機嫌良かったのに、美味い菓子食って更に上機嫌になったおかげで話切り出しやすいし。
「なのはちゃん、ちょっと話したい事あるんだけど――ああ、口の中の物飲みこんでからでいいから」
「んぐっ……大丈夫。話したい事って?」
「うん。この前の温泉旅行帰って来てから、なのはちゃん何か悩んでたよね? それが何なのか聞いて、俺とユーノで相談に乗ろうかと思ってたんだけど……」
「あ、やっぱり貴裕くん達も気づいて……えと、ここ最近ボーっとすることが多くてすみませんでした!」
あら、いきなり謝られた。まあ、誘導弾で囲まれた時は本気でチビりそうになったけどネ……
でもすぐに謝ってくれたし、そこからは集中してやってくれたから大して気にしてはいないのよ?
そんな事より気になるのが、何でなのはちゃんがそんなに元気なのかって事なんだけど――
「気にしないでいいよ。で、相談に乗ろうかと思っていたんだけど……今日のなのはちゃんの様子を見るに、もう解決しちゃった感じ?」
「うん、もう大丈夫。二人とも心配させてごめんね?」
お悩み解決できたからに決まってますよネー……
や、ぶっちゃけ聞く前から予想は出来てましたよ?
ずっと思い悩んで沈んでいたのに、いきなり機嫌が良くなったってことはそうなんだろうなって……
「いや、なのはちゃんが元気になったならそれが一番だから……うん……」
「うん、ホント気にしないで良いよ……うん……」
「な、何か二人とも凄い脱力して……どうしたの?」
「いや、僕達が勝手に気を張ってただけだから……はぁぁ……」
何て言うか……肩すかし?
俺もユーノ君も公園のテーブルにダレてしまうぐらいには気が抜けたんですが……
だってさ? 『原作の流れを自分から大きく変えるのはな……いや、俺がいる時点であれだけど精神面に強く関わる様な行動は……でもやっぱりずっと思いつめた表情ってのは……』みたいな、ありがちな葛藤もあったんだよ?
他にも、相談するように言っても『大丈夫』で済まされたらどうしようとか、上手いこと解決できなかったら、むしろ悪い方向にしたらどうしようとか、そもそも相談って何をどう話せばいいのかとか、色々考えてたんだよ?
それが全部無駄って……
いや、事前になのはちゃんと約束していたわけでもないし、悩みなんてちょっとした事がきっかけで
ただでさえ、俺っていう異物のせいで色々な影響が出てるから、原作通りにウジウジせず解決することは充分あり得るのは分かるけど……何かやるせないんだよ……
――まあ仕方ないか……せめて解決までの経緯でも聞きますかね。
原作とは違って、どんな風に悩みを解決させたのかしら?
「あー、あれだ。とりあえず何に悩んでたのか、どうやって解決したのか教えてくれない? 言いづらい事なら無理にとは言わないけど……」
「ん、大丈夫だよ。二人と全く関係ない話でもないから」
「そっか……ほらユーノ、そろそろ復活しなって。なのはちゃんが話してくれるってさ」
「うん、頑張る…………貴裕、人型に戻ってお菓子食べて良い? 何か思いっきり食べたい気分なんだ……」
「それってヤケ食い――いや、もう一個別の菓子あるからいいけど……うん、俺もやるわ」
「ありがと……」
人間形態に戻ると食物消費率高くなるせいか、普段何か食べる時はフェレット形態で過ごしているユーノ君が……
そっか、君も責任感強くて気負いやすいものね……俺以上に色々と考えこんでたのかな?
なのはちゃんが出かけるまで起きなかったのも、色々と考えこんで夜遅くまで起きてたとか?
まあ、そこまで考え込んだのが全部無駄だと分かったら、ヤケ食いに走るのも仕方ないですよね……うん。
別になのはちゃんが何か悪い事したわけでもなく、俺らが勝手に構えてただけだものね。
なのはちゃんに当たる訳にもいかないし……
「あー、クッキーがうめぇ……うり、なのはちゃんも説明する合間にもっと食べてもいいのよ?」
「クッキー美味しいなー。ホント美味しいなー……」
「ね、ねぇ、二人とも何か脱力どころか何かやさぐれて「ん?」――えと、何でもないです……いただきます……」
別に怒ってはいないのよ? 怒っては…………ああ、菓子が無駄に美味いなぁチクショウ……
◇
お菓子の一袋目を食べ終わり一息つくと、なのはちゃんが真面目な顔になった。
やっとこさの説明タイムの様である――――や、水差したのは俺らなんですけど……
「私が気になっているのはあの子の事――フェイトちゃんの事についてなんだ」
「フェイトって……なのはが戦った、もう一人の魔導師の女の子の事だよね?」
「うん、あの綺麗な女の子の事」
うし、この
いや、今までイレギュラーだらけの流れが多かったから心配してたのよ?
『あの子に2回も負けた……私、やっていけるのかな……』的な方向に行ってたらどうしようかと……
「あの子――と言うより、あの子達の事は僕も気にならないでもないけど……あの子の何がそんなに気になったの?」
「――あの子ね、すごい寂しそうな目をしていたんだ……」
「寂しそうな目?」
「うん……ねぇ、貴裕くん。最初にフェイトちゃんと戦って攻撃された時、あの子に謝られてなかった?」
「ん? ああ、何か『ごめんなさい』って言いながらだったね」
あの時、なのはちゃんは俺のすぐ隣で飛んでたっけ? 謝ってるのが聞こえたのかね?
背中がとっても痛くて痛くて、しばらく芋虫の様に悶える羽目になったのでよく覚えてますヨ。
「私の時もそうだったんだ。『ごめんね』って言いながら攻撃して来て…………凄く強くて、表情もあんまり変わらないから冷たい感じもするのに、どこか寂しそうな――それでいて綺麗で優しい目をしていて、襲ってくる時も何だが凄く悲しそうなの……」
「あの子も本当は戦いたくないって事なのかね?」
「なのはの話を聞く限りではそう考えられなくもないけど……うーん……」
まあ、フェイトちゃんの望みは『母さんの役に立つ・母さんと仲良く』であって、『他の子を痛めつけてジュエルシードをぶんどる』じゃないし……実際、複雑な心境なんじゃないかね?
「ジュエルシードを集めている理由も分からないし……それで、温泉旅行帰ったあたりから『人から奪ってまで、どうして集めているのかな』とか、『なんであんなに寂そうな目をしているのかな』とか、『何で話しあってくれないのかな』とか、『どうやったら話を聞いてくれるのかな』とか、『何を話せばいいのかな』とか、どんどん気になり始めて……考え込んで悩む内に、ボーっとする事も多くなっちゃてたみたい……」
「そうだったんだ……」
というより、そう言う悩みなら俺らに相談しても良かったんじゃないんですかー?
こっちは魔法関連の事とか話しても大丈夫だし、そこそこの信頼はあると思うし、相談もしやすいと思うんだけど……や、こっちから本格的に聞きに行かなかったのもアレだから何とも言えないけどさ。
何かこう……『モニョる』って言えばいいんだろうか……
――まあ、なのはちゃんの性格考えれば仕方ないのかね?
原作で、忍さんが『私がなのはちゃんの相談に乗ろうか』的な事を言った時に、恭也さんが返したセリフ――『なのはは、昔から自分一人の悩み事や迷いがある時は誰にも話さないから』だっけ?
母さんの影響もあって原作より少しはマシになっているとは思いたいけど、なのはちゃんの責任感の強さと、周りに心配かけまいと一人で抱え込む姿勢があるのには変わりないし……
「なのはちゃんがあの子について考え込んで悩んでたってのは分かった。で、それが解決したって事は
「あ、何か答えを見つけるきっかけになったモノがあったとか?」
「ふ、二人ともそんなに身を乗り出さなくても……そんなに気になるものかな?」
『うん。気になる』
ゴメンね。男の子二人に真顔で迫られたら圧迫感あるだろうけど、んなこと関係ないと思える程度には気になるんだ。
お悩み相談対策を色々と考えてたのが、全くの無駄だと分かったこちらとしては、『悩みの内容』より『どうやって解決したか』の方が重要なんですよ。
さて、
「えと、きっかけは……お母さんや、すずかちゃんや、アリサちゃんに相談した事かな? 自分一人では解決してないよ?」
――ん?
「え、相談したの?」
「なのはのお母さんや友達に?」
「うん、そうだよ?」
へぇ、相談して解決したんだ……
ああ、それならアリすずとの不仲イベントも起きないはずだし、悩みも解消できたんだからニッコニコで帰ってくるわな。納得納得……
――うん、ちょっと待とうか? 何だっけ? なのはちゃんってどういう子だっけ?
責任感が強すぎるせいなのか、迷惑を掛けたくないからなのか、『昔から自分一人の悩み事や迷いがある時は誰にも話さない』子とか何とか……
――いや、普通に
恭也さんの嘘付き!! 何が『誰にも話さない』だ、もろ相談してるじゃないですかヤダー!! いや、こっちではそのセリフ言ってるかどうかわからんけどさ!?
「私だけじゃどうすればいいのか思いつかなかったから……今日の朝お母さんに、学校行ってからすずかちゃんとアリサちゃんに、魔法の事とか襲われた事は上手く隠して相談したんだ。あ、アリサちゃんに相談した時には『相談するのが遅いわよ!!』って頬つねって来たんだよ? 何でかすずかちゃんも止めてくれなかったし……」
「へー、災難ダッタネー?」
それは単なる照れ隠しですヨー? 親友に頼られた事がとっても嬉しかったんだと思いますヨー?
頬つねったり、止めなかったのは『今まで心配掛けやがってコノヤロウ』っていう、愛情の裏返しですヨー?
――ってか、なのがちゃんが一人で抱え込まずに人に相談って……
この子、『甘え』はしても、『頼る』って言うのはそんなに無かったと思うんだけど……
『なんで人に相談
原作とは違うってだけで、人の行動としては何もおかしくない……けど……ああああああああああっ!!
気になってしょうがない!!
「それで、色々相談に乗ってもらって決めたんだけど、まずは私が本当の気持ちを――思っている事をフェイトちゃんに伝えたい。フェイトちゃんは『話し合うだけじゃ、言葉だけじゃきっと何も変わらない、伝わらない』って言ってたけど、話さないと――言葉にしないと伝わらない事もきっとあると思うんだ。実際、初めてアリサちゃんと喧嘩した時の原因も、私が思っている事を言えなかったからだと思うし……」
「へー、ソンナ事モアッタンダー……」
仲良し三人組の出会いの話ですネ。相談してる中でその話になったのカナー?
ちょっと恥ずかしそうな顔をしながら話している3人組が容易に想像できますネー。
――こっちは、ユーノ君が生気の抜けた顔で俯いちゃってるんですけど……なのはちゃんの話は聞いてるのか?
隣にいる俺が辛うじて聞こえるぐらいの小さな声で『今日の朝から相談したんだ…………何で寝てたんだ僕……いや、起きてたら相談されてたんだよ。そうだよきっと……多分……』ってな感じに呟いてるんですけど……
なのはちゃん、決意表明でテンション上がって周り見えなくなってるのかね? こっちも気にしてあげてー?
「目的がある同士だから、ぶつかり合うのは仕方ないのかもしれない……でも、何も分からないままぶつかり合うのは嫌だから。私の思いを伝えて、フェイトちゃんの思いを知りたいと思うんだ――――っと、大体こんな感じかな? とにかくもう悩みは無いと思うから。ご迷惑おかけしました」
「イエイエー、何度も謝らなくて大丈夫デスヨー」
なのはちゃんが元気になったならそれでいいんですヨー?
その元気になった要因に、割と本気で心配してた男性陣が微塵も入って無いってだけだからネー、うん……
<まあ、俺らが心配する必要は無かったと……>
<うん、励ましの言葉とか考える必要はなかったと……>
<魔法の事情とかも知っている俺らに相談はしなかったと……>
<やっぱり女の子同士の方が相談できたと……>
――何だろうねコレ。『なのはちゃんの悩みが解決して良かった』っていう安堵の気持ちもあるんだけど……
<別に『悩みが会ったら必ず俺らに必ず相談しろ!』なんて言ってないし……>
<単純に『相談しようと思った時に傍にいた人』に相談したのかもしれないし……>
<ユーノの言う通り、タイミングの問題だったかもしれないし……>
<貴裕の言う通り、何か約束していたわけでもないし……>
いや、実際タイミングが悪かっただけだと思うよ?
俺らが『相談相手として頼りにならない』って訳では無いと思いたい……
――まあ、どっちにしろ俺らに相談されなかった事には変わりないんだけど……ウン。
「よしっ! じゃあお話はここまでにしてジュエルシード探しに行こう! 今日は街の方へ行く「まぁまぁ、なのはちゃんちょっと待って」――どうしたの貴裕くん?」
「実は『なのはちゃんが少しでも明るくなれば良いなー』と思って用意していた、とっておきのお菓子がまだ余ってるんだわ。日が経つとアレだし、今食っちゃわない?」
「あ、そういえばもう一袋あるって言ってたっけ?」
そうですよー。小学生の小遣いで買うにはちょっと高めのお菓子買って来たんですよー。
なのはちゃんが大好きなヤツだから奮発したんですヨー。
「はい、こちらのポテトチップチョコレートになりまーす」
「あ、これあのお菓子メーカーの……! え、貴裕くんコレ持って来たんだ! わー!!」
「喜んでるようでなにより。さ、ユーノも起きて。
「――うん、
「うん、全然良いと思う……取りやすいように袋広げるネー」
「えっへへー。コレ食べるの久しぶりだなー。ユーノ君、コレすっごい美味しいんだよ!」
「へー、大好きなの?」
「うん!」
あらあら、とっても良い笑顔になって……用意したこちらとしては嬉しいばかりですネー。
そう、この明るい笑顔を見るためにね? お菓子買って来てみたり、色々考えたりしてたんだよ。
俺らの努力は全くの無駄になったけど、『なのはちゃんの悩み』が解決されてるんだから、これ以上の事はないよね?
<<まあ、分からないでもないんだけどさ……>>
もう、解決しちゃったことはどうにもならんものね。
後、俺らができる事といったら――
「じゃあ、いっただっきま『いただきますっ!!』――ふぇ?」
精々、なのはちゃんの大好きなお菓子を目の前で食いきる位しかないわー。
両手で掴めるだけ掴んで口の中に突っ込んで、一枚たりとも残さないこと位しか出来ないわー。
あー、有名お菓子メーカのチョコポテトマジうめぇー。口の中パッサパッサだけどマジうめぇー。
「もふぁ、もっふぁ、うめぁー」
「もっ、もばっ、あもぉじょぱくておいひー」
「え……え? あ、あああああああああっ!? 何で!? 何で二人で一気にそんなに食べちゃうかな!? これすっごい美味しいお菓子なんだからもっと味わって――あ、もうポテトの端っこかカスしかない!?」
男の友情って凄いネー? 前々からの打ち合わせなんて無くても、ちょっとした言葉と、念話で愚痴り合っただけで行動が合わせられたよ。
うん、フェイトちゃんの『言葉じゃ~何も伝わらない』っていう考えが間違いで、なのはちゃんの考えが正しい事が分かったね。
やったねなのはちゃん! 自信持っていいよ!
「や、返して!! 私の分返して――いや、別に私のじゃなかったけど……うぅ、ホントに何でこんな事するの!?」
「何かおもひろくないんだぼんなー?」
「ぶん、おもしぼくないもんねー?」
「二人とも何言ってるかわかんない!! 『口に物入った状態で喋るのは止めようか』って言ってたのは貴裕くんでしょうがぁ!!」
「うっふぇー」
「おいひー」
「む゛ううううぅぅぅぅぅっ!!」
――お悩み相談に乗ろうと思ってたのに、いつのまにかその子を涙目にしてました。
最初はそんな事全く考えてなかったんだけどなー…………本当にどうしてこうなったし。
テンプレチーレム(リリカルなのは以外の二次でも良く見かける)
なのは「~~で悩んでるの」
オリ主「~~って考えれば良いんだよ! また何かあったら俺に相談しろよ(ニコ」
なのは「オリ主君……ありがとう(ポッ///」
今作
なのは「~~で悩んで
オリ主「ヨシヨシ、お兄さんが相談に乗るから心配しないで――――え? 解決済み?」
――悩みなんて『必ずしもこの人に聞かなければならない』なんて決まりはないですよね。
親しかろうと親しくなかろうと、詳しい事情を知っていようと知らなかろうと、その時近くにいた人に話すことだってあります……それで解決する事もあります……
◇
頼まれてもいないモノを持ってきて、自分の思い通りにならなければ臍を曲げる子――
実際に頼られれば面倒臭がるのに、頼られなかったらなかったで臍を曲げる子――
――違う意味でめんどくさい子っていますよね。