高二病抜け切らなかった人が中途半端な力で   作:mahiro

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※この作品について

原作アニメを視聴&テンプレ小説を何作か見た事のある方が、楽しみやすいと思います。


この作品は『ありふれた人(オタク趣味)、特別なものを持っていない人が、実際に転生したらこうなるのでは』というコンセプトをネタ・ギャグテイストで行おうとしているため、あえて人間のダメな部分を前面に出してネタとして扱っている点が多々あるので、そういうのが苦手という方はご注意を。

また、『俺TUEEEE』『手に汗握るバトル』『オリ主の精神的成長』『ハーレム』などの要素はありませんので、そういったものを期待している方もお気を付け下さい。

 ◇

スコップ折れた方は遠慮なく言って下さい。
その時は出来れば「ココが駄目」っていうのを教えてもらえるとありがたいです。


プロローグ 「貰えるものは貰っとくべき……自重は必要でもし過ぎも良くない」

プロローグ「貰えるものは貰っとくべき……自重は必要でもし過ぎも良くない」

 

 

 

 自分は二次小説が好きなだけの――自称でも謙遜でも何でもなく、そこらにいる本当にありふれた人だった。

 

 

 

 そんな自分は、いわゆる神様転生と言うものを経験した。

 娯楽・感謝・お詫びのどのパターンか、神様との会話内容は、というのは限りなくどうでもいいので省こう。

 

 

 重要なのは、転生先やその環境・特典についてだが――――自分は特典にチート的なものは入れたくないと思っていた……

 

 

 

 

 

 

 一つ目の理由として、自分は二次小説のチート・バグもの、アンチ・ヘイトもの、テンプレオリ主ハーレムものが嫌いだったからだ…………いや、もちろんその中にも面白い作品はあるんですよ?

 

 評価点10付けたくなるようなものも確かにある。ただ圧倒的に多いのは――

 

 

 

 

 

 

「関わりたくない、女の子興味ない、タイトル詐欺ですね。わかります」

「おい、中世レベルのファンタジー世界をなぜ最新式の兵器で蹂躙?」

「あの作品を『○○の能力』で頑張るのか。まあ、面白ければ……ってそこまで強くしたら世界観が!!」

「Fateにその能力? 時計台でホルマリン漬けにされてしまえ!」

「あの最強キャラの10倍の力……は?」

「『古武術、武道、格闘技をやっていたからこの程度うんたらかんたら』……いや、限度があるだろうに……どんだけ万能よ?」

「誰も勝てないどころか何もできない力でどうしたいっちゅうねん……」

 

「なんで2次元のキャラをそんなに痛めつけるかね? ツンデレとか暴力振るう系の女キャラとか、気が強いか清廉潔白って感じのタイプのキャラばっかり……いじめられたり、正論で言い負かされた・怒られた経験でも?」

「こんな穴と矛盾だらけの話で論破……ドヤ顔……だと……!」

「なんでハーレム主人公をあそこまで改悪したうえでアンチ? うらやましいなら、うらやましいギギギって言うだけで済むじゃんか……ギャグ要素の設定にさえアンチっておま!?」

「独自設定・拡大解釈・二次設定でアンチするとかやめたげてよお! もうオリジナルで作れば良いじゃん!」

 

「男の娘の割には男性キャラは反応せず、女性キャラだけ惚れてるな……あれ? 男の娘要素は? 最初に女の子と勘違いされて『俺は男だー!』って言うだけ? え? 本当に必要なのソレ?」

「なぜ今の話・行動で惚れるし!? ってお前もかい!」

「ああ、またこのキャラもチョロイン化……待って! そのキャラには公式のカップリングがあるの! 過去設定ぶっちぎってまでチョロイン化しないで!」

「せんせー。なんで『前世ではただの好きなキャラだった……今は俺の大切な人、だからどんなことからも守る(キリッ』とか言ってたのに、未然に防がずピンチにならないと助けないの?」

 

「平凡な主人公……その割に鈍感過ぎね? おい、敵対したからってなんでそんな簡単に殺せるの!?」

「ニコポにナデポ……へー、平凡ナ主人公ナンダー?」

「和名のキャラにしか出てこない作品に『カオス・シルバー・ドラゴン』ってキャラ名、横文字の名前のキャラしか出てこない作品に『零神月牙天真』ってキャラ名……お、おう」

「最大の見せ場をそんな『ぼくのかんがえたさいきょうの』痛い技名で片付けんなコラァ!」

 

 

 ――こんな感じに突っ込みたくなるものばっかりなんだもの……

 他にも多々あるけど、こういった要素を『ネタ』では無く『ガチ』で取り入れたものが多い。

 

 

 結局何が言いたいかっていうと、自分もこれらと同じ存在とは思いたくなかったんだ……

 

 いやまあ、オリ主って時点で充分痛いアレなんだけど、それはね? うん……

 

 

 

 

 二つ目の理由は、「自分」が「なにか」を使って楽しみたいのに、その「なにか」によって「自分ではなくなった『ナニカ』」になっては意味がないからだ。

 

 勝手な自論だが、今まで「コレ」といったものを持っていなかった人が、何の脈絡もなく、あまりにも大きすぎる、多すぎる「なにか」を手にしてしまうと、その人はその「なにか」に食われてしまって、今までの自分では無くなってしまうと思うのだ。

 

 

 誰も敵わない力で圧倒したい。

 沢山の異性にモテまくってハーレム作りたい。

 何でも出来るスーパーマンになって、崇め称えられたい。

 

 ――口には決して出さないし、程度の差こそあるかもしれないが、誰もがこんなことを一度は願ったことがあるのではないだろうか?

 別に思うだけなら良い。ただ叶えてしまっては駄目だと思うのだ。

 

 

 自分ならこんな力を得たら自重なんて絶対できない。

 

 精神操作の能力? 好みの子がいればガンガン使ってしまうだろう。

 圧倒的パワーの能力? 気に入らない奴に向かって容赦なくそれを振るうだろう。

 

 度の過ぎない程度の「なにか」なら――まあ、確実に前よりウザい性格にはなるだろうけど、全く違う「自分」になるのは防げるかも知れない……多分。

 

 

 

 

 三つ目は、世界観を壊したくない――というか好きなキャラの見せ場を潰したくないのだ。

 

 小さい頃に憧れたカッコ良い技も使ってみたい。 

 あのキャラクターの様な格好良い存在になりたい。

 そして好きなキャラとあわよくば――なんて妄想したことは確かにあった。

 

 ただ、それより自分としては、第一前提に「その世界・物語を楽しみたい」というものがあるのだ。

 

 

 それなのにあり得ない(合わない)力を持って行く――雰囲気・世界観ぶち壊しである。

 強すぎる力を持って行く――絶対自重せずに力を振るって名場面台無しである。

 

 そりゃ折角貰った力があるんだから、多少はカッコつけたいという気持ちもある。

 

 だけど、主人公と自分の立場を入れ変えてニヤニヤしたいわけじゃない。

 近くで主人公達の活躍を見聞きし、体験して、ニヤニヤしたいのだ。

 

 

 ――オリ主入った時点でそりゃもう違うだろって思うかもだが……うん、まあ……それはね?

 

 

 

 

 とにかく、そんな理由から自分はチート能力は貰わなかった。

 

 転生先は「リリカルなのは」だったので、そこそこ力があれば充分それで楽しめると思ったんだ。

 具体的に言うと、デバイスもある、魔法の才能も少しはある、魔力もそこそこあるけど、なのは・フェイトと比べれば見劣りし、戦えばフルボッコになるだろう程度のものを貰った。

 当然、レアスキル・他作品の能力・道具なんて貰ったら自重できそうにないので、それも無しにした。

 

 

 その結果――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「望み通り『リリカルなのは』の世界に来れたし、魔法を間近に体験はああああああぁぁぁぁぁぁぁッ!? 出来てるけどっ、チュートリアル的存在にボコられてるんだよネイ゛ッ!?」

 

 今現在町中に生えてるであろう木々の根っこの一つに巻きつかれ、ジェットコースター並みに振り回され、引きずられ、たまになんかの建造物や地面にぶつかってるんだよネー……

 

 

 ――今俺に巻きついてる木ってのは、リリカル知ってる人なら予想がつくかもしれないが、サッカー少年とマネのカップルが発動させたジュエルシードによって出来たアレである。

 

 主人公(なのは)の能力の凄さ確認、決意固めのためのアレである。

 二次小説のテンプレオリ主がいる場合は、時間稼ぎのために根っこを弾くか消すかして、薄っぺらい言葉並べて、なのは(場合によってはユーノも)がキュンキュンするだけのアレである。

 描写カットされる事もたまにあるレベルのアレである。

 

 

 それに手も足も出ずボコボコにされてるのである……どうしてこうなったし!?

 

 

 あ、いや、理由なんて決まってましたね、ハイ。

 頭の出来が良い訳でもないくせに、わけのわからん自論を使った結果ですよネー……って痛い痛い!!

 

 

「ごめんなさいチート(笑)とか馬鹿にしてすいませんでした! 『謙虚な俺カッコ良い』とか少しは思ってたことも認めます! だから今すぐ俺にいいいいいいぃぃぃぃぃぃ痛いッ! 悟空の100倍の気とか世界観ぶち壊しの物でもなんでもいいからこの状況なんとかできるものを下さいお願いしますッ!」

 

 ホントにどうしようこの状況!? 楽しむどころか死んじゃうよ!? 

 まさかの管理局登場前どころか、フェイトすら見学できてないよ!!

 

 

 あ、待てオイ。まって、ちょっと高い高い持ち上げすぎだって!? 

 ここから離されたらプチってなるって! ビルの壁ギリギリの所を高速上昇とか擦れる、痛い! ってか熱い!?

 

 

 

 

 

 

 

 ――ってあら? なのはちゃんに、ユーノ君じゃないですか。

 

 

 こんにちは、元気? そういえば屋上で砲撃するシーンあったもんな。 

 

 うん、ところでお願いがあるんだけどさ――

 

 

 

 

 

 

「ヘルプみ゛ぁっ!!」

「貴裕くん!?」「貴裕!?」

 

 痛い! 今ぶつけたとこ『ミシッ』っていったぞオイ!?

 

 というより何で俺を中心部に引っ張るの!? 

 根を張る過程でそこにあるものを破壊する、封印されるのを恐れて術者を攻撃する、とかそういうのならまだなんとなくわかるけどさ!

 

 ああ、二人とも必死な顔して追いかけて来てくれるし……

 せっかくの場面ぶち壊して申し訳ありません……今度なんか奢らせて下さい……

 

 

 年下の子(主人公)達に助けられようとしてるとか、何これカッコ悪い……ホントにどうしてこうなったし!?

 




「俺はそんじょそこらのオリ主とは違う! チートなんか無くてもこの世界を充分楽しめるのさ!(キリッ」
(ガツガツせず自重する俺カッコ良い……)

 なんてやったらどうなるのか? 
 少なくとも思い通りの「カッコ良い自分」にはならないと思われ…… 

 ◇

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