魔法少女リリカルなのは~ご近所の魔法使い~   作:イッツウ

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ちょっとした修正作業でも、こんなにも面倒だとは思いませんでした。


4・お昼は楽しくおいしく!

『鈴』

 

 

「将来……」

 

「「?」」

 

「どうした? なのは」

 

 昼休み、屋上にていつもの四人で弁当を食べている時になのはが急に呟いた。

 

「さっきの授業で将来について考えてみるってあったでしょ?」

 

「ああ、それで?」

 

「私の将来ってどうなるのかなぁって思っちゃって」

 

 なるほどね。妙に生真面目ななのはの事だ、本当に真面目に考えてみたんだな。てかこの年齢の子って普通、サッカー選手とかアイドルとかそんな夢が広がりまくった将来像を思い浮かべるんじゃないのか?

 それともあれか? そんな俺の考えが古いのか? ジェネレーションギャップなのか?

 

「翠屋を継ぐって選択肢があるじゃない」

 

「うん、たしかに選択肢のひとつなんだけどソレが本当にやりたいことなのかなって思うとどうも違う気がするの。アリサちゃんは?」

 

「あたし? そうねぇ……勉強を頑張ってパパの会社を継ぐんだけど……」

 

「だけど?」

 

「いつだったかパパに言われたのよ。娘だからといって義務とか責任とかそんなの考えずに私の本当にやりたいことをやりなさいって。それ以来ちょっといろいろ考えちゃって……」

 

「それってつまり」

 

「なのはと一緒ではっきりしないってことよ、癪だけど……すずかはどうなの?」

 

「私は…機械系の方を考えてるってぐらいかなぁ」

 

 意外かもしれないが、すずかは機械をそこそこに弄くれるぐらいの知識があるのだ。何でも姉である忍さんが結構弄くれるからその影響もあるのだとか。

 

「鈴はどうなのよ? 将来とか」

 

「俺は全然決めてない」

 

 だって今の俺9歳だよ?

 先を決めるにはまだ早い気がするんだよなぁ。

 でも何かしらの職業には就きたいとは思っている。何しろ以前の俺はほとんどフリーターのような身だったからな。アルバイトだったり、先生の仕事の手伝いだったりとまともな職に就いた覚えが無い。

 ちなみに先生の仕事というのは軽い『裏』のという意味も含まれる。勿論、非合法な意味でだ。

 

「あんた、もっとちゃんと将来を考えないとプータローになっちゃうわよ」

 

「うっせ、大きなお世話じゃい」

 

「……もう仕方ないわね。もしあたしがパパの跡を継いだら……その、専属の付き人にしてあげてもいいわよ?」

 

「何?」

 

「「えっ!?」」

 

 付き人…執事……。

 

 ビシッと執事の服を着こなし、常にアリサの傍に付き添い補佐してゆく。

 ……ふむ。悪くないかもしれんな。アリサが主人っていうのはともかく、執事は一度でいいからやってみたいな。

 

「悪くないかもな。その時はよろしく頼む」

 

「も、もし継いだらの話よ! だから……」

 

「「ダメ」」

 

「えっ?」

 

 アリサの言葉に割り込み、こちらにすごくイイ笑顔を向けて却下を告げる二人。ていうか何で俺に告げる。発案者はアリサだぞ?

 

「いや、あのな二人とも。俺の将来だから……」

 

「「ダメ」」

 

「だから俺の…」

 

「「ダメ」」

 

「…………はい」

 

 二人の半端ないプレッシャーに圧され、つい頷いてしまったとても弱い俺。

 

 視界の端にいたアリサは何故か不貞腐れたような顔をしていた。

 

 

 

 

 

「ところで鈴?」

 

「何だ、アリサ?」

 

「あんたの今日のお弁当ってすごく凝ってない? いつものようにあんたが作ったんでしょ?」

 

「言われてみるとたしかに……」

 

「すごくおいしそうです」

 

 三人の視線が俺の弁当に集まる。

 たしかに手間暇かけた。あんな夢を見たからかいつもより早くに目覚め、気を紛らわす意味もこめて料理に没頭した。その成果がこの弁当だ(ちなみに朝食もいつもより少し豪華になった)

 おにぎりは全て三角にしてそれぞれ別の具を。おかずにしても卵焼きやインゲンの牛肉巻き、つみれ団子のコンソメ煮、温野菜と手を掛けた。

 

「ああ、早くに眼が覚めたからな。せっかくだから時間をかけて作ってみた」

 

「あんたもう完全に主夫よね。普通、小学生でそれほどの子はいないわよ」

 

「自然と覚えていったモノだけどな…」

 

 昔から家事に関しては一手に引き受けてたからな。先生も出来ないことはないんだが……雑なんだよな。

 カレーを作れば具材は半分に切っただけ。洗濯の際の洗剤も適当といったように、研究肌の人間とは思わないような雑さだ。

 

「ねぇ、よかったら一個くれない?」

 

「ん? いいぞ、どれだ?」

 

「やった♪ じゃあそのお団子頂戴」

 

 ほほう、これに目をつけるとはお眼が高い。これは今日の至極の一品だ、存分に味わうがよい……と、ここでふとした悪戯心が湧いてきたので実行してみる。

 

 串に刺さったつみれ団子を一つ手に取り――

 

 

「ほれ、あ~ん♪」

 

「「「え!?」」」

 

 

 ふふふ、うろたえておるな。やっぱりアリサのそのうろたえている表情はおもしろい。あ~、だのう~、だの呻きながら赤くなったりそっぽ向いたりと一人で百面相している。

 

 さすがにこれ以上続けると張り手が飛んできかねないので冗談だと手を引っ込めようとすると――

 

 

「……あ、あ~ん」

 

 

 あれ?

 

 えっ? 本当にするの? 冗談だったんだよ? さすがにその反応は予想GUYですよ。

 てかあんた、そこは「何やってんのよ!」って言いながらビンタするのがアリサの正しい反応でしょうが。いや、殴られたいわけじゃないけど……Mじゃないですよ。

 ……どうしよう。なんか引き下がれないとこまで来てしまった気がする。なら行くしかあるまい。覚悟を決めろ鈴! おまえはやればできる子だ! 顔が熱くなってる気がするが気のせいだ!

 

「ほ、ほれ。あ~ん」

 

 そのままつみれ団子を、顔を真っ赤にしたアリサの口元に持っていく。そして――

 

 

 パクッ!

 

 

「「あっ」」 

 

「もぐもぐ♪」

 

 横からなのはに掻っ攫われました。

 

「あああぁぁぁぁぁっ!」

 

 叫ぶアリサ。モグモグと咀嚼するなのは。呆然とする俺とすずか。

 

「何するのよばかなのは! 返しなさい! あたしのつみれ!」

 

 なのはの肩を掴みガクガク揺さぶるも意に介さず咀嚼を続けるなのは。そんなに食べたかったのかアリサよ。もう一個残ってるんだから譲ってやれよ。

 それにしてもいろんな意味ですごいななのは。まさかそこで掻っ攫うとか……この鈴の眼をもってしても見抜けなんだ。

 

「相変わらず仲がいいですねぇ」

 

「だな」

 

「……ところで鈴君。わ、私にも頂けません?」

 

「あ、うん。いいよ。どうぞ」

 

 返事をしながら弁当を差し出す。さすがにすずか相手に同じ悪戯をする気は起きないので素直にあげる。

 

「……」

 

「どうした?」

 

「……いえ、何でもないです。いただきます」

 

 なぜかブスッとした表情で最後のつみれを手に取るすずか。なぜそこで憮然とした表情になる?

 

 まさかあ~んしてほしかったとか? 

 

 んなわけないかと勝手に自己完結しておく。

 

「……ばか」

 

 すずかが何か呟いた気がしたが俺の耳には届かなかった。

 

 




とってもどうでもいい話をします。

サモンナイト3の小説……アティ先生もいいですが、レックス先生でも書いてほしかった。

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