キャラ崩壊、改変なんぞ認められるか!って方はバックを。
『鈴』
「あ、起きた?」
うっすらと目蓋を開くと最初に写ったのはこちらを覗き込んでるなのはの顔。
いきなりの場面に少し驚いたが、よくよく考えてみれば今までの人生でも結構な頻度であった事なのですぐに冷静になれた。
周りを見渡せば此処は艦内の自分に宛がわれた部屋だとわかった。そしてこの部屋に居るのは俺となのはだけ。あの強制スリープの後にアリサか誰かが運んでくれたのだろう。なのはは付き添ってくれてたってところか?
「…おはよう」
「ちょっと違う気もするけど、おはよう」
「他のみんなは?」
「リンディさん達と一緒にブリッジにいるよ」
「そうか。あの後どうなったんだ?」
「それなんだけど…」
ちょっと言いづらそうにしたなのはだけど、すぐに事の顛末を話してくれた。
俺がオチた後、ジュエルシードの処遇についてどうしようかと言う時に、何者かが放った強力な魔法が場をかき乱した。
その際ジュエルシードをいくつか奪われ、フェイト達も混乱に生じて姿を消したのだと言う。そしてみんなは帰還し、現在はその横槍を入れた人物の特定を急いでいる。
ジュエルシードは全てを奪われたわけではないとなのはは言っているけど、全然楽観視できない。確保したのは3つ。これでこちらのジュエルシードは計8つ。向こうも最低でも8つ以上。いや、最悪の場合、残りの全てを回収しているのかもしれない。
そんな思考に耽っていたらいきなり部屋の空間に例のモニターが出現した。そこに写るのはリンディさん。
『なのはさん、彼は……あら? 起きてたみたいね』
「はい。ついさっき」
「どうも、見苦しいところをお見せしたみたいで」
『フフッ、そんな事ないわよ。それより事の顛末は聞いたかしら?』
「はい。なのはから」
『そう。なら起き抜けで悪いんだけどブリッジまで来てくれないかしら?』
「了解しました」
「すぐ行きます」
『待ってるわ』
そう言い残しモニターが消える。このシステムって何時見ても便利だなぁって思う。
ブリッジに入るとみんなが居た。すずかやユーノは「大丈夫?」と心配の声をかけてきたから好調さをアピールする。
クロノからは「体調管理ぐらいしっかりしろ。軟弱者」とありがたい言葉を貰った。いつか殴ると心に決める。
そんな光景をリンディさん、エイミィさんは微笑ましく見守る。いい雰囲気だけどいつまでも浸るわけにはいかないので本題に入る。
「さてと、ここに呼んだということは何か進展があったんですか?」
「ええ、なのはさんから聞いたと思うけどあの大規模な魔法を行使した人物を調べてたの。そしてやっと特定ができたわ」
「これを見てくれ」
クロノの言葉にエイミィが映し出した映像の人物。黒髪の女性。なんとなく陰気な雰囲気の漂う女性だった。
プレシア・テスタロッサ
ミッドチルダ出身。非常に優秀な魔導師でミッドの中央技術開発局の第3局長だったが、研究中の事故による失態で地方に異動させられる。その後、行方不明。
まだ完全には情報が集まっていないから簡潔なモノのみだ。
やっと掴んだ向こうの首謀者らしき人物。テスタロッサの名からして、推測されるのはフェイトの母親であること。フェイトがいつか言っていた『ある人』とは多分この人。
でも首謀者は特定できても目的がわからない。
再び、返り咲くためにジュエルシードを収集? それはナンセンスじゃね?
地方に追いやった管理局に復讐するため? まだこっちのほうがらしいな。
様々な可能性が出てくるがそのどれもが所詮は憶測でしかない。もうすでに向こうには最低でも8つ以上が奪われているのだ。何をしでかすかわからない黒幕も見えてきた以上、この事件の終局は近いと考えていいだろう。
この事件がどう転ぶかはわからない。けど後味の悪くなるような結末だけは嫌だなと、俺は甘すぎる願望を抱いてしまうのであった。
さらに詳しいデータが集まり次第、本格的なミーティングを開始すると言うことになった。
ブリッジで各々が解散の後、場面は変わってここはアースラの艦内通路。そこを歩くのは俺となのは。
「……」
「~♪」
「……」
「~~♪」
「……なぁ、なのは」
「ん? なぁに?」
「ずっと黙ってたんだけど……何で部屋からブリッジ、そして今も俺について来てるの?」
「ん~、そうしたいから♪」
「いや、俺今からトイレに行くんだけど」
「じゃあ、外で待ってるよ」
「そうじゃなくて、あの…さすがに他所に行ってくれない?」
「……」
「うおっ!」
いきなりなのはは俺の襟を掴んで引き寄せる。そして俺を見つめるその表情はさっきまでの機嫌の良さそうな顔とは一変、そこにあるのは何も映さない無表情。
今までなのはと一緒にいることが多かったけど、こんな顔したことあったっけ?
「鈴君は私が邪魔? 嫌いなの?」
「えっ? えっ?」
「どうなの、かな?」
「い、いや、邪魔ではないぞ。うん、好きだぞ」
「なら問題ないよね♪」
途端に手を離し、さっきの機嫌良さげな表情を浮かべるなのは。
つい反射的に返事してしまったけど何だアレ? 初めて見るなのはの一面に驚いたぞこんちきしょう。
俺が寝ている間になのはがこうなるナニカがあったんだろうか?
…やっかいな事にならないよな?
◆ ◆ ◆
『フェイト』
「フェイト」
「…はい」
母さんの魔法のおかげであの場を脱することができた。最初は母さんが助けてくれたとうれしく思ったけど、戻ってみれば何ということはない、手をかけさせた罰を受けた。
その後、自室に戻って泥に沈むような眠りにつき、再び母さんに呼ばれて私はここに立っている。
「ここに呼んだのは他でもないわ。恐らく管理局にこちらのことがばれたと思ってもいいわ」
「そんなっ!?」
「近いうちに此処にも管理局の手が伸びるでしょうね。でも母さんは屈するわけにはいかないのよ。私の悲願のために」
「……」
「もはやあちらのジュエルシードを奪うほどの時間がないわ。だからあなたは…乗り込んで来るであろうあの者達をここで迎え討ちなさい。できるわね? フェイト」
自分でもわかる。ここは分岐点なのだと。引き返せるか否か。
そんな考えが一瞬浮かんだけど本当に一瞬だった。すぐに霧散する。なぜならずっと以前に誓ったからだ。
母さんの笑顔を見るためだったら何でもすると。
「はい…母さん…」
◆ ◆ ◆
『アルフ』
折檻を受けたフェイトが自室に戻ったのを見計らって、アタシはあの女の所まで向かった。真意を問いただすために。なぜあんなことばかりをと。
しかしいくら言葉をぶつけようともあの女は喋りもしなければこちらを振り向きもしなかった。その様子にブチ切れたアタシは殴りかかるも障壁によって弾かれ、さらにはバインドで拘束され、そしてあの街に跳ばされた。
跳ばされた先は海が見える公園。あのガキ共と対峙した場所だ。暫くその場に立ち尽くしていたアタシだったけど、ここがあの街だと思い立つと以前から考えていた計画を開始した。
アタシはある願望を抱いていた。
フェイトをあの女から助けたい。
しかし母親であるあの女に囚われ、依存しているフェイトをこのままでは助けることはできないとも考えている。
そんな中、現れたのはあのガキ共だ。あたし達の邪魔ばかりする憎たらしい連中だったけど、意外だったのはそれにフェイトが興味を示したこと。母親が全てと言っても過言でなかったフェイトがいつだったか言ったのだ。話してみたいと。そして、湧き上がった一つの希望。
そんなフェイトの心を動かしたあの連中ならフェイトを救いだせるんじゃないか?
あの女に逆らった今、開き直ったアタシはその希望に縋ることにした。
今まで敵対していた連中に対してムシが良すぎるという事はわかっている。けどフェイトを救うためなら形振り構ってはいられなかった。
覚えのある魔力を追って、辿り着いた先は一軒の家。架かる表札には『秋月』の字。それによって確信を得たアタシは意を決してフォンを鳴らした。
◆ ◆ ◆
『鈴』
今回の黒幕的存在、プレシア・テスタロッサの逮捕がリンディさん達の間で決定した。現在はその居所の特定に力を注いでいるため、ジュエルシードの収集は一旦中止。特定するまでの間、俺達は一時的な帰宅の許可がでたのでこうして久しぶりの我が家に帰ってきた。
最初は敵本拠地の乗り込むのは俺達の仕事じゃないなと傍観してたけど――
『あなた達の仕事はジュエルシードの収集でしょ?』
というリンディさんの言葉に俺は苦い顔をした。
そう、ジュエルシードの収集。それはフェイトが奪った分の収集も含まれるのだ。さすがに敵本拠地に乗り込んでまでは危険すぎるから、俺だけがやるつもりだったが他のみんなは――
『ここまできたら最後まで!』
という事で俺だけがやるという案は却下された。
本拠地に乗り込むという作戦を控えた身としては、この帰宅はもしかして最後の晩餐のような死亡フラグ?とか考えちゃうわけです。
それでもいざ帰り、先生から「おかえり」と言ってもらった時にはそんな考えも吹き飛んだ。ああ、やっぱり家が一番だな。
同じようにそれぞれの家に帰ったみんなも今頃こんな気持ちを抱いてるんだろうと思うと、少しだけ可笑しかった。
ちなみになのはがまたウチに泊まると言い出した時はさすがに却下した。その際、相当駄々を捏ねたけど家族を安心させてやれと言ったら渋々といった感じで頷いた。マジでなのはの心境に何があったんだ?
「鈴、僕のこと忘れてない?」
……そうだった忘れてた。ごめんユーノ。でも今のお前の家もここだから同じ気持ちを共有してくれ。
そんなユーノのジト眼を受けてたら、家にフォンの呼び鈴が鳴る。
「来客かな?」
「俺が出てくる」
さて、ウチの居間は何とも言えない空間と化しました。
その原因は目の前に座るアルフだ。出した紅茶と菓子にも手をつけずにずっと俯いている。それを黙って見る俺とユーノと先生。
いきなり来訪した途端、アルフの一言。
『助けてほしい』
最初は混乱の極みに至ったが、言い放ったアルフの表情は紛れも無く真剣で――でもどこか追い詰められていて。そんな顔をされると無碍にするわけにもいかず、こうして中に招いた。相手が相手でもお茶を出した俺は主夫だな。
とにかく、いつまでも黙っていられるとどうしようもないのでこちらからアプローチしてみる。
「あ~…助けてほしいってのはどういう事だ?」
「……フェイトのことさ」
それからアルフの口から堰をきったように次々と語られるこれまでに起きたこと。
母親のためにジュエルシードを集めるも報われることがない。そんなフェイトをアルフは助けたかったが、言葉も届かずどうしようもなかった。そして痛めつけられる自分の主人の様子に堪えきれず、プレシアに刃向かうも届かずじまいでこの街に跳ばされた。そして本当は優しいあの子を助けてほしいという言葉で締め括られた。
その話を聞いて、俺は居た堪れない気持ちになる。隣を見るとユーノも苦い顔をしていた。ついでに覗き見た先生は手で顔を覆って、溜め息を吐いていた。
ジュエルシードやプレシアも気になってはいたが、フェイトの事は俺の中でも一番懸念していた事だ。
お互い何回も衝突はしたけど、フェイトは決して悪い子ではないとほぼ予感はしていた。そしてアルフの話を聞くにその読みは当たっていた。
にも関わらず母親のためにその優しさを押し殺して手を汚す。これだけでフェイトの中でプレシアがどれほど占めているのかが窺える。そんなフェイトを助けてほしいって言っても生半可なモノじゃ通じないぞ?
さらに抱いていた疑問をぶつけてみる。
「何で俺達を頼ったんだ?」
「あんた達がフェイトの心を動かしたからさ」
「えっ?」
「あの温泉の一件以来、フェイトが時々あんた達のことを楽しそうにアタシに話してたんだ。暫くしてあの女の叱咤を受けてからはナリを潜めたけどあの時のフェイトは本当に楽しそうだった」
「……」
「そんなあんた達ならフェイトを救えるかもしれない。そう思ったからここに来たんだ」
そう言い切ったアルフは勢いよく頭を下げた。
「ムシがいいのはわかってる! でもアタシじゃどうしようもない以上、あんた達に頼むしかないんだ! お願いだよ! フェイトを……フェイトを助けてやってくれないか!」
「いいぞ」
「何でもするか……えっ?」
「ユーノも異論はないだろ?」
「うん」
「…自分で頼んでおいて何だけどそんなにあっさりと引き受けていいのかい?」
「フェイトは元々悪い奴だとは思っていなかったしな。それにどうにかしたいと思ってたとこだから今回のはいい機会だ」
「それを聞いて見捨てられる程、僕も冷血人間では無いつもりだよ。自分で言うのも何だけど」
「「鬼にはなりきれないんだ」」
「……苦労するよ、アンタ達」
「「承知の上」」
「……礼を言うよ」
「さて…引き受けたはいいが具体的にはどうすればいいんだ?」
「心を動かしたって言っても僕達も特に何かしたつもりも覚えもないからね。やった事って戦った事ぐらいだし」
(俺は八つ当たりとラムネの献上? 笑えねぇ)
「アタシも何がフェイトの琴線に触れたのか、わからないからねぇ」
「ここは少年漫画みたいに決闘とかどうかな?」
「誰がやるんだよ、それ…」
「………プレシアをどうにかしろ」
「「「えっ?」」」」
それぞれが案を出す中、意外にも先生からアプローチが来た。
「プレシアはフェイトを嫌っているわけではない。愛情が素直に出せないだけだ。ならアイツの親としての愛情を素直に出させればいい」
「ふざけた事を言うんじゃないよっ!!」
先生の言葉を遮ったアルフの激昂。萎縮してしまうような怒声だがそれを受けた先生は尚も涼しげな表情。
「あの女がフェイトに親として愛情を抱いてるだって? だったら何であんな仕打ちができるっていうんだい!?」
「認めたくなかったからだ」
「どういうことですか? 先生」
先生はあのお手製煙草を取り出し、火をつけて紫煙を吐き出す。
「本来なら私の口から話すのはルール違反なのだが…これから話すのはこの一連の真相と言っても過言ではない。もちろん虚偽なども混ぜない。それらをわかった上で聞け」
そして先生から語られるのは驚くべきことばかりだった。
「…フェイトが…あの女の本当の娘のクローン?」
話を聞いたアルフのさっきまでの激昂は消え失せ、どこか呆然としていた。気持ちはわかる。俺もユーノもまだ頭の中では理解が追いついてないから。
だがそれでもまだ全ては語られていない。
「そうだ。死んだ自分の娘、アリシアの記憶を移植されたクローンの人造生命体がフェイトだ」
…俺と同類になるのか?これって。
まぁ俺の場合はベースのあるクローンじゃなくて、完全に一から造られた生命体だけどな。おまけに移植されたのは記憶ではなく魂。
「だがそれはアリシアの記憶を持った似た姿の別人となる。それだったらプレシアもフェイトを完全に嫌悪することができた。しかし時折アリシアと全く同じ仕草・クセを見せるフェイトにプレシアはどうしても2人を重ねてしまって完全には嫌悪できなかった。最初は自分の試みが成功したのではないかと希望を抱いていたそうだが、時折重なるというだけで決してアリシアが生き返ったわけではない」
なるほど。記憶を移したのが皮肉にも嫌いになれなかった理由だと。
「そう結論付けたプレシアは今度こそアリシアを生き返らせるべく次の計画を試みる。それがアルハザードの……失われた秘術の眠る地への到達。ジュエルシードはその地へ赴くための手段のために必要と認識した物だ」
ひとしきり話し終えた頃には先生の煙草も短くなっていた。それを灰皿に押し付け、先生は続きを語る。
「だがその頃にはもう手遅れ。プレシアはフェイトに愛情を抱いてしまった。それは自分でも予想外のことだったらしい。そして恐れてしまった。このまま愛情を抱いてフェイトに傾向してしまい、アリシア復活の成就の妨げになってしまうことを」
愛情と憎悪は表裏一体を地でいってるようなもんだな。
「それからフェイトには非情に接することで嫌われることを望んでいたが、これまた予想外のことでフェイトはそれでもなおプレシアを母と慕う。それがまたプレシアの決意を揺らすからこそ、さらに嫌ってほしく非情に徹す。もう負の連鎖さ」
愛ゆえに嫌ってほしい親とその親に慕ってほしい子か。先生の言ったとおり素直にさせればケリはつきそうだな。
アルフはまだ認められないのか、なおも反論する。
「けどアンタの言ってるのは憶測だ…」
「憶測ではなく本人から聞いた本音なのだがな…」
「「「えっ?」」」
本人からの本音ですと?ってことは…
「先生、プレシアと会ったんですか? いえ、それよりも彼女と面識があるんですか?」
「……私の元弟子だ」
「「「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」」」
超驚愕の新事実に俺達一同大絶叫。
「やかましい」
「「「あばばばばばばばばっ!」」」
気分を害したようで電撃魔法を撃ち込まれた。
先生の電撃でひとしきり落ち着いた俺達は改めて居住まいを正す。リビングにちょっぴり焦げたような香ばしい香りが漂うのはご愛嬌だ。
そんな中、アルフはもうすっかり激昂を失っていながらも弱々しくも反論する。
「…アンタの話を聞いて思うところもあるけど、あの女がやった仕打ちに対する事実は決して消えない」
「ああ。だからプレシアがフェイトに対して素直に愛情を示せるようにすればフェイトは救われ、フェイトに対する贖罪にもなるんじゃないか?」
「……」
先生の言葉に沈黙するアルフ。どうやらここまで言われた以上、肯定と判断したらしい。
そして先生は俺のほうに振り向く。その表情は普段の日常で見せるソレではなく、師匠としての顔だった。
「鈴、師として命ずる。おまえの思うとおりに動け」
「……」
「どのような結末を迎えることになろうともお前の為したいように為せ」
「…承りました」
先生の弟子として俺も応える。
やるべき事はたくさんある。
交錯する想いも様々。
そんな中でも俺が為すべき事――できる事はなんだろうか?
◆ ◆ ◆
その夜ベランダにて。
「……いつまで見ているつもりだ? 管理局の者」
『!?』
「覗き見は趣味が悪いと思わないか?」
『…気付いていたのですか』
「鈴が帰宅した時からな。先に言っておくがここは管理外世界だから私はおまえたちの任意同行も事情聴取も受け付けない。だが敵対するつもりもさらさら無いから安心しろ」
『……失礼をいたしました。時空管理局提督にしてアースラ艦長のリンディ・ハラオウンです』
「鈴の保護者で師の秋月蓮だ」
『あなたついては色々と聞きたいことがあります。しかしこちらの法が届かない以上は教えてはもらえないでしょうね』
「さっきも言ったが受け付けないぞ」
『なら今回は諦めましょう』
(今回は…か。それでも自分で調べるだろうな。無駄だろうけど)
「それと…プレシアの処遇はどうするつもりなんだ?」
『それについてはお答えできません』
「昼間の盗み聞きした私の話の対価として教えてほしいものだな」
『っ!? あなた、わざと筒抜けにしてこちらに聞かせましたね!?』
「さぁてね? それで、どうなんだ?」
『……時空管理局法違反の疑いとロストロギア不法所持ですから……重い処遇となるでしょう』
「だろうな」
『しかしあなたの話のとおりならば、プレシアはまだ良識があると判断される可能性も出てきます。そうなれば私も弁護の余地が出てきてマシなものになるでしょう』
「ほぉ、意外だな。提督様自らが弁護とは…」
『あなたの話が本当ならば、彼女もまた事故による1人の被害者。なればこそと思ったからです』
「組織の人間としては問題のある発言ではあるが……どうやらあなた個人は信用できそうだな」
『褒め言葉と受け取っておきます』
「褒めてるんだ。さて、私はそろそろ休む。さすがに寝室までにサーチャーはやめておいてくれよ?」
『そこまでしません! ではこれで』
「ふぅ…全てはアイツらの頑張り次第…か」
作者のストーリー妄想は基本、貧弱です。