駆逐艦「楔」、出撃……って誰さ   作:たんしぼ

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そういえばこれ三話だね。
タイトルちょっと修正しました。


お前誰だ? 三人目

あたーらしーいーあーさがきたー。どうも俺です。

艦娘たちの朝は早い。6時起床が義務付けられているあたり、やはり軍属なんだなぁと感じる。そして30分後には食事だ。食事は食堂でとるので、部屋でのっそのっそしてなにやら呻いている暁を横目に歩き出した。響は普通に起きた。たまに姉より姉らしい妹って居るよね。

 

「楔さんですか?」

 

「ぅえ?」

急に声をかけられて少し驚いた。

 

「はじめまして。神通です。暫くあなたの教官役を勤めさせていただくことになりました」

 

「こちらこそ、はじめまして。楔です」

神通。華の二水戦と呼ばれる強力な水雷戦隊を率いていた超エリートである。艦娘となってもその風格と技術は健在のようだ。実際今も一切気配を感じなかった。

 

「まだ此処に来て日も浅いですし、慣れない事もあるでしょうけど、しっかり頑張っていきましょうね」

そう言って微笑む神通さん。すごくいい人そう。

 

「ではマルハチマルマルに演習場でまた会いましょう」

 

「はい、よろしくおねがいします」

そう俺に告げて颯爽と歩いていった。

神通さんが去っていった後なぜか暁と響が、

 

「まあ、その…頑張ってね」

「明日があるさ…до свидания(また逢いましょう)

 

などと言っているのが気になったがまあいいだろう。昨日もユニットちゃんが嫌な予感がするなど言っていた気がするがこれもまあいいだろう。二人も合流したし、何より俺はお腹が空いているのだ。

 

食堂に着くと、やはりというか艦娘でいっぱいだった。40人はいるだろうか。見るとお馴染み金剛型や日本を代表する超弩級戦艦長門型、更には一航戦もいる。ゲームの画像と違って実際に見ると風格というかオーラを感じる。そしてめっちゃ食ってる。どんだけ食うんだよという勢いで食いまくる。朝から胸焼けしないのかと素直に心配になるほどの量だ。やはり戦艦や空母のような大型艦は沢山食べないと艤装を扱いきれないのだろうか。かなり負担がかかりそうな艤装を扱っているしな。

ふと見ると雷と電が席を確保しておいてくれた。流石はロリお艦である。

食事は基本的にメニューの何を食べても自由らしいので、普通に鯖の定食を頼むことにした。これが大当たりで、鯖はほんのりとした塩加減で焼き加減も完璧、ごはんは輝き、味噌汁もちょうどいい濃さ。まさに言うことなしの定食である。激ウマだったべ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

「はい、時間通りですね。改めてよろしくお願いします」

 

「はい、よろしくお願いします」

時は流れてマルハチマルマル。この鎮守府では普通の訓練のほかに新人用の訓練が用意されていて、新人はまず新人専用の訓練を受けてから皆の訓練や演習に参加するのだそうだ。まあいきなり実戦形式の訓練にぶちこまれてもどうしようもないからね。これも配慮の一つなのだろう。

 

『アワ アワワワ・・・』

なのだがさっきからユニットちゃんがビビりっぱなしである。昨日から一体何がそんなに怖いのだろうか。流石に新人にいきなりドギツイ訓練が課されるようなことは無いと思うのだが…

 

「まずは体力づくりをしないといけません。ドラム缶を担いで鎮守府外周を50周ほどしましょうか」

 

「へっ?」

 

「ドラム缶を担いで鎮守府外周を50周ほどしましょうか」

課された。課されちゃった。

 

『構わん行けや! 行けGO!!(ヤケクソ)』

 

 

(少女マラソン中…)

幾ら鎮守府が小さめだとは言うものの、一周400m近くはある。つまりはハーフマラソンをドラム缶を担いでやれと言われているのと同じである。新人は皆この訓練をしていたのだろうか。なら朝の暁たちの態度も分かる。

 

「私たちは艦娘なんですからこの程度なら大丈夫なように造られています、安心してください」

いやそうかも知れないですけど! 中身はただのしがない提督なんですよ! あなた達の司令官と同じ顔だったんですよ! こちらを見てくる視線の8割は哀れみの視線なんですけど! やめてそんな目で見ないで!

 

「楔ちゃーん!」

見ると、窓から六駆の皆もこっちを見ていた。何か既視感を覚えながら髪を軽く押さえつつおしとやかに手を振り返す。おっし、元気出てきたし頑張ろうかな。

 

『okあっという間、あっという間に天使になる』

うっさいぞお前。悪いが死ぬつもりは無い。そういえばこの鎮守府には如月はいるのだろうか、気になるところである。つかユニットちゃんほんとすごいな。すごいものを造ったもんだ。

 

 

結局この訓練は5時頃まで続けることになった。

 

「ふむ、いい感じのタイムですね、流石は楔さんです」

 

「はひっ、あり、がとうございまひゅ」

気分はまさに赤疲労モードである。マジできつかった。いきなりこんな訓練をぶち込まれるとは…、艦娘も大変である。

 

「今日の訓練はここまでにしましょう。ゆっくり体を休めて明日に備えてください。時間は今日と同じでお願いしますね」

そう言って朝会った時のように微笑む神通さん。しかし何故だか朝と違って怖く見える。

 

『寒イボが出てるけど寒いん?』

明日も頑張ろう。




神通さんの厳しさ加減は難しいところ。
今回も読んでくださりありがとうございました!

今度から日曜と水曜更新にするつもりです。流石に毎日投下はきつい。

1/18
微妙に文章が変わりました。てか当時の俺毎日投下って馬鹿じゃないの

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