駆逐艦「楔」、出撃……って誰さ   作:たんしぼ

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今回はネタ成分が増えてしまいましたわ。(汚くは)ないです。
挿絵追加しました。


お前誰だ? 二人目《挿絵有り》

鎮守府に着てから少し経って、大ピンチを迎えている俺こと楔です。

鎮守府で艦娘たちは訓練や演習をして過ごしているわけだが、当然食事や入浴の必要もある。そして、食堂や浴場は共用である。

浴場は共同である。

浴 場 は 共 同 で あ る。

浴 場 は 共 同 で あ る。

 

 

 

 

「何言ってるの、海に流されてたんだからお風呂入らないと風邪引いちゃうわよ?」

 

「いやいいですってぇっ、ちょまっ」

あかん! それはいろいろとやばいっ! 息子が! 息子が大変なことになっちゃう! 付いて無いけど!

 

「ん、どうしたの? 顔真っ赤じゃない!」

 

やめろぉ!(本音)ナイスゥ!(本音) 下着姿でこっち見ないで! あぁっ脱いじゃったよすっぽんぽん! 息子が無くて本当によかった!!

…おほん、大変取り乱してしまって申し訳ない。お風呂は広くてさっぱりしました。でも慣れるまで時間がかかりそうだなぁ。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

しかし、前々から気になることがあった。艤装だ。艤装はどうなるんだ。

駆逐艦"楔"は存在しない艦である。そんな艦に艤装はあるのだろうか。あったとしてどのような形になるのか。しかし、その疑問は解消されることになった。艤装が届いたらしいのだ。

というわけで今日は工廠に来ていた。

工廠の中は設備と資材で溢れかえっており、妖精さんたちが忙しそうに駆け回っている。その中で桃色の髪をした女性が一人、艤装を弄っていた。

 

「すみませーん! 駆逐艦"楔"ですー!」

 

「はーい? ええと…くさびさん? あぁ、楔さんですね! 失礼しました、この鎮守府で工廠を任されている工作艦"明石"です!」

 

「こちらこそはじめまして。艤装が届いたと聞いたのですが…」

 

「はいはい届いてますよ、こちらです」

そう言いながらぱたぱたと奥に駆けていった。工作艦が忙しいのはどの世界でも同じらしい。真に不憫である。

 

「ぃよいしょっ! これですね」

よたよたという感じになにやら大きな箱を抱えてくるとドガシャァと地面に置く。よほど重いのだろうか。さあどうぞどうぞという目でこちらを見てくるので、その箱を開封する。

 

「おぉ…!」

 

見た目は吹雪型に似た細い煙突型ユニットとマスト、魚雷を装備しているようだ。しかし、砲がかなり特殊だった。どう特殊かと言うと、どう見ても深海棲艦です、本当にありがとうございました。

とりあえず装備してみる。どうやら深海棲艦もどきはアームのようなもので後ろのユニットと接続するらしい。さながら重巡リ級のようである。

 

「さぁさぁ、接続してみてくださいよ! 大丈夫だって安心してください! 平気平気、平気だから!」

 

「その台詞はどう考えても大丈夫じゃないんですがそれは…」

もう完全にいやな予感しかしないが接続するしかあるまい。半ば諦め気味に接続した。すると、もどきの目のような部分に赤い火が灯る。

 

『あぁん? お客さん!?』

 

喋った。

【挿絵表示】

 

 

「うぁおっ!?」

 

『お~( ^ω^)』

 

「ふふふふふ…どうですコレ? 余裕の成功だ、技術が違いますよ」

どうですコレじゃねぇよ。超ビビるわぁ。内心半切レではあるが、作った本人はめっちゃ嬉しそうだから文句は心の中にしまっておこうか。

 

「そのユニットは深海棲艦からインスピレーションを受けて造り上げた特殊艤装なんです! 大事にしてあげてくださいね?」

となると連装砲ちゃんとか長10cm砲ちゃんみたいな感じか。しかしこいつさっきからやたら元気だな。やはり持ち主ができるとうれしいのだろうか。

 

『おっほっほっほ~元気だ( ^ω^)』

 

「とりあえず艤装も装備できることも確認できたし、庁舎に戻る?」

 

「そうですね」

そう言って装備を外

『あらぁ!?』

 

「………」

 

『救いは無いね!? …救いは無いんですか!?』

 

「もうちょっと着けててもいいですかね…」

 

「え、えぇまあいいですが…」

 

どうやらこのユニットかなり強い意思を持っているみたいだ。明石がドヤ顔になるのも納得である。ここまで超高度な技術になるともう理解が追いつかない。

 

「そうだ、どうせなら海に出てましょうか」

 

「海…」

そういえば艤装なしで飛び出して気絶した挙句ドラム缶に詰め込まれたんだっけ。

 

「出てみましょうか」

 

『新米(海に)でるよね?』

初めての海だ。さすがに気分が高揚します。

 

工廠から外に出てすぐの場所から、海にゆっくりと足をつける。こんどは沈まない。

そして歩くように前に進んでいくと、完全に海の上に立った。

 

「そうそう、いい感じですね!」

明石もご満悦の様子だ。

 

「あそこに的があるのが見えますかー?」

明石の声が聞こえる。たしかに、浮きみたいな物の上に丸い的がくっついている。

 

「そっちに向かって砲撃してみてくださーい!」

…結構遠いがやってみるか。心を落ち着かせて、砲を的に向ける。正射必中と言うしね。『盛者必衰ッ』ちょっと黙ってて。

 

「主砲、撃ぇッ!」

『Cannot hold!!』

 

一瞬、空気が震えるのを感じる。そして放たれていった二つの砲弾は的に向かって一直線に飛んで…いったが逸れてしまったようだ。

 

「うん、主砲もばっちり機能してますね!」

まぁ、いきなり当てられるとは思っていなかったが、ちょっぴり悔しい気もする。

 

「これなら明日から訓練に参加しても問題なさそうですね! 神通さんたちにも伝えておきます!」

明日からは訓練もあるようだし、忙しくなりそうだ。訓練はどのようなことをするんだろうか、足手まといにならないように頑張らないとなぁ。

 

『やな予感してきた・・・』

明日が楽しみだなぁ。

 




挿絵ってのは、い~もんだよなぁ…。
今回も読んでくださりありがとうございました!

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微妙に文章が変わりました。

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