駆逐艦「楔」、出撃……って誰さ   作:たんしぼ

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初投稿です。よろしくおねがいします。


一章
プロローグ


気がつけばよくわからない場所にいた。

暖かい。寒い。広い。狭い。そんな感覚に囚われた。

おかしいな…。さっきまで俺は適当にくつろぎながらPCでゲームをいじっていたはずなのに。

うん、寝落ちしたかな。ならここは夢か。

夢ならゲームの世界に入り込む夢とか見たいかも。そして皆と戦ったりしたら面白いかもしれない。夢なら割となんでもアリだからね。

最近流行のゲームなら何があるだろうか。マイ●クラフトかな。モ●ストやWo●sなんかもあるな。

あとは…

 

 

 

艦隊これくしょんとか?

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

「む……」

おっと、場面が切り替わったみたいだ。

辺りを見渡すと、ここはどうやら海の近くらしく、真っ白に輝く砂浜に波が押し寄せては引いてゆくのが見える。広大な海はすべてを包み込むようにうねり、どこまでも続いていくようだ。

しかし空はくすんだ灰色で、見るものを不安にさせるように太陽を覆い隠していた。

水平線の先ではなにやら炎のような光が明滅しており、爆弾が爆ぜるような音が己の体に響いている。

 

ん?

青い空~、青い海~、そして白い砂浜~! という感じだった気がしたのだが…随分物騒なことを遠くでやっているようだ。何事だろうか、とりあえず様子を見てみようか、と歩き出す。

ちゃぷちゃぷと浜まで降りてきて様子を伺おうとしたとき、ふと波に映りこむ自分の姿を見やった。

 

「…んん!?」

 

驚いたようにこちらを見つめる海に映った俺は、女の子だった。

体つきは小柄で手足もしなやかな印象ではあったが、その瞳は燃えるように赤かった。ふわりと流れるその髪は黒金のようで、後ろでひとつに纏められていた。

その体に纏っている服は闇のように暗く、赤いラインが走っていた。

「ほうほうそうかそうか…そういう感じかぁ…!」

俺は艦これの世界に入り込んだようだ。確かに寝落ちする前は艦これやってたし声も高かったし、と一人で納得する。

 

「となると、あそこでドンパチ賑やかなのは艦娘と深海棲艦の戦闘…か」

 

やばい、超合流したい。そう思い立った俺は軽く後ろに下がり、一気に駆け出した。

 

「イクゾオオオオオオオオ!!!」

 

そして砂浜を思い切り蹴って海に飛び出した俺は---

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

「そんな攻撃当たんないわよっ!」

 

こちらに向かって砲撃してきたロ級の砲撃をくるりと回避して、敵の横に一気に接近する。

理想的な位置だ。

 

「ってー!」発射された魚雷はまっすぐ敵の横っ腹に白い軌跡を残しながら突き進み、そのままロ級に向かっていく。

 

「ギャオォオォオオォォ…!」

 

ロ級は魚雷を回避しようと動くが時既に遅く、その体は捻じ曲がり爆発した。

 

「これであたりの敵は居なくなったのです」

「うん、そうみたいだね」

「やっぱり一人前のれでぃの敵ではなかったわね!」

 

姉妹たちもそれぞれの敵を倒したようだ。うん、みんな無事ね!

鎮守府にはたくさんの艦娘が集まる。そして皆は協力し合い、時にはいがみあいながら、一つの目的の為に戦う。

"制海権の奪還"。

突如として現れた謎の軍団、"深海棲艦"と呼称されたそれにより海は次々と占領され、人類は制海権を喪失した。

しかし、人類だって黙ってはいない。その対抗策として生み出されたのが、私たち"艦娘"と呼ばれる存在である。かつて海を駆け巡り奮戦した数々の軍艦の力を"艤装"として身につけることにより、深海棲艦と互角に戦える力を手に入れたのだ。

…とは言っても操る者には自我があり、物言わぬ兵器とは違うのだが。

 

「ねえ、暁」

 

「ん、どしたの響?」

 

「その後ろで浮いているものは…なんだい?」

 

だから、こうやって倒れた人が海を漂ってゆっくりと近づいてきたら、

 

「ぴにゃあああああああ!!!」

 

当然びっくりする。

 

「ちょっと何!? 大変じゃない!」

 

「誰だか分からないけど助けなきゃなのです!」

 

「とりあえずそこの島に一旦引き上げるわよ!」

 

えっさ、ほいさと島に見知らぬ少女を引き上げる。どうやら生きてはいるようだ。しかし誰だろう。艦娘だろうか。だとしたら随分変わった登場の仕方だ。

 

「あ、見てみてここ! 名前が書いてあるわ」

 

暁が指差すそこには、"駆逐艦「楔」"と書いてあった。

 

「とりあえず生きていることも確認できたし、連れ帰ろうか」

 

「そうね」

 

そういってどうやって連れ帰ろうか考えた後、とりあえずドラム缶の中に入れる。輸送用だけど気にしたら負けなのだ。第六駆逐隊の四人は準備を整え、鎮守府へと再び進んだ。はやく遠征成功の報告をしなければ。

 

 

 

「しかし変ね、"楔"なんて名前の艦…あったかしら?」

 




うん、居ないね☆
読んでいただきありがとうございました!始まってないけど!

12/05
服の描写がなかったので加筆しました。

1/18
微妙に文章が変わりました。

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