ドゴオオオオオオオオオォッ!!!!
「うああああああああああああああああぁっ!!!!」
オフューカスは圧倒的な強さを秘めていた。
フォーゼCS、一夏、千冬が3人でかかってもまるで勝てない。
「どうやら、もう限界のようだな」
傷だらけの3人に対して、オフューカスはまるで無傷だ。先までも零落白夜やリミットブレイクを何度も浴びせたと言うのに。
勝てる術が見つからない。
「くそおぉ…!!」
このまま戦っても、結果は見えている。だが、逃げるわけにも行かない。
ならば…。
「…オフューカス、おまえの狙いはおれなんだな…?」
「何?」
先にも、オフューカスはフォーゼの撃破を宣言していた。残りはまるで興味を失っている。
フォーゼCSは悩んだ末に、あることを考えた。
「なら、一対一で戦う!」
「城茂…まさか!?」
千冬は彼のやろうとしている事に気づき、必死に止めようとする。
「よせ!一人ではあいつには!!」
「やめろ宇月!!!」
一夏も彼女の様子にただならぬ危機を感じ、フォーゼCSを止めようとするが、当の本人はそれも構わず、バリズンソードを閉じてコズミックスイッチを装填する。
<LIMIT-BREAKE>
「みんなに…よろしく伝えてくれよな」
拳を、一夏と千冬の前に突き出すフォーゼCS。
マスクの奥は、笑っているのかもしれない。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!!!」
「貴様…!!」
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!
青白い光とともに、オフューカスをワープゲートの中へと押しやっていった。
ワープゲートの先は宇宙。
オフューカスの居たダークネヴュラは、オフューカス自身が居ないと負のコズミックエナジーを感知できず、コズミックステイツでもたどり着く事は出来ないのだ。
「さぁ…これで一対一だ!」
「わざわざ、状況を悪くするとは…人間の考える事は分からん」
オフューカスは体中から大蛇を作り出し、フォーゼCSを威嚇するように見せ付ける。
「ズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
「貴様一人では、到底かなわん相手だ。死ぬ時間が早まるだけだと言うのに」
「でも、学園は守れる。危険から遠ざけられる」
バリズンソードを再び構えて、オフューカスを睨むフォーゼCS。
宣言とともに、フォーゼCSはオフューカスに向かって一心不乱に走っていった。
学園と仲間を守るために。
「仮面ライダーフォーゼ!!!!!タイマン張らせてもらうぜ!!!!!」
あれから、一夏と千冬はラビットハッチに戻った。
過激派がオフューカスに一掃されてしまった所為か、学園は異様な静けさに包まれている。
そのなかでも未だ活動を続けているのが仮面ライダー部だ。
「宇月は見つかったか!?」
「紅椿やスイッチカバンにも反応は無い…。かなり遠い宇宙にいるんだよ…」
先に連絡を受けた箒やシャルロットが、ラビットハッチ内のセンサーなどを駆使して宇月を探している。
だが、オフューカスも含めて遠い宇宙空間に居るのか、まったく反応がつかめない。
「このままじゃ…宇月が…」
一人で戦うには無謀すぎる。あのオフューカスは今までのゾディアーツを優に上回っている。たとえコズミックステイツで戦ったとしても結果は目に見えている。
だが、どうしようもない。
バチイイィッ!!!
ふと、凄まじい火花が散ったと思うと、40個のアストロスイッチがスイッチラックに転送され、黒く変色した。
「これ…」
スイッチが転送され、使用不能になったという事は…。
「宇月が…負けた…?」
今の宇月はアストロスイッチを何一つ持っていない。つまりフォーゼの変身が解除されたという事だろう。
宇宙空間での変身解除から導き出される答えは唯一つ。
死だ。
「そんな…宇月さんが…」
セシリアは信じられないといった表情で椅子に座り込んだ。
横たわっていたゆりこが、その状況を目の当たりにして、目から涙を流す。
「宇月…なんで一人で無茶を…!?」
学園を救ってきた仲間の死の所為で、ラビットハッチ内は悲しみで包まれる。
「なにも…できなかったのかよ…!?」
一夏は机を叩いて悔しそうに呟く。
だが、宇月は死んではいなかった。
「見上げたしぶとさだな」
「はぁっ…はぁっ…」
宇月はスイッチを一つも使わずにフォーゼBSに変身していた。
実際のところはオフューカスの猛攻撃の結果、変身解除にまで追い詰められたのだが、彼はスイッチなしの状態で変身をなんとか保ったのだ。
「父さんは昔、スイッチを使わずにフォーゼに変身して戦っていた。息子であるおれなら…出来ないわけがない!!!」
とはいえ、もう疲労困憊なうえにダメージも限界を迎えかけている。
それでも戦おうとオフューカスに向かって、走り出した。
その間も、宇月の不幸を信じ込み、彼を悼んでいる一同。
そこに電子音が響き、ラビットハッチのコンピュータにメールが届いた。
「これは…」
送り主は、ローマ字で「VIRGO」と書かれている。
「ヴァルゴ…宇月の母さん…!?」
一夏があわててそのメールを開くと…。
特に文章はかかれてはおらず、何かの設計図が描かれている。
その形は、アストロスイッチの上に地球があるような形をしている。
下に書かれていた名前は…。
「フュージョンスイッチ…」
ここで以前、美咲が製作していたアストロスイッチはこれだったのだ。
だが。
「起動には…コズミックスイッチ以上の絆とコズミックエナジーが必要か…」
設計図の要点事項にそう書かれていた。つまり、今の状態ではこれを完成させるには至らないのだ。
ふと、包帯姿の礼が立ち上がる。
「礼、まだ体が…!!」
ラウラがそれを引きとめようとする。
「アストロスイッチをドライバーに装填せずとも、押すと僅かながらコズミックエナジーが発生するのは知っていたか…?」
その言葉を聞いて、鈴音がスイッチラックにあるレーダースイッチを取り出してオンにしてみる。
すると、僅かながら青白い光が漏れる。
「これが…?」
「さっきのメール…ヴァルゴである宇月の母親が、おそらく宇月の危機に瀕したときに受信するようにされていたんだろう…」
いずれフォーゼのアストロスイッチが一斉に使用不能になったとき、送信されるように仕掛けをしていた。
つまり、彼女は息子に最後の希望を託していたのだ。
「アストロスイッチとコズミックエナジーは人間の感情に大きく影響する…。40個のスイッチを一斉にオンにすれば…絆をもった大きなコズミックエナジーが生み出され、フュージョンスイッチに値するエナジーを生成できるだろう…」
礼の言葉から考えられる事は…。
「宇月のことを強く想う40人の人々…」
彼との強い繋がりがある40人をこの状況で探すのは至難の業かもしれない。
それに…。
「でも…宇月はもう…」
「信じようぜ」
一夏が強く宣言する。
「信じるしかない。今は…あいつを…!」
その言葉に全員が頷いた。仲間が信じなければ、誰か彼を信じるというのだろうか。
「呼びかけよう…今まで宇月と関わってきた人たちに!!」
今は、これに賭けるしかない。
そのあいだも、オフューカスとの無謀ともいえる戦いに挑み続けるフォーゼBS。
ドガアアアアアアアアアアァッ!!!!!
「ぐあああああああああぁっ!!!」
吹き飛ばされる。だが、それでも屈する事はない。
「このおぉっ!!」
背中にある空中推進用の装置でオフューカスに突進する。
「うおりゃあああああああああああああああああぁっ!!!」
「無駄だ」
「ズアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!」
大蛇にまたしても体を強く打ち付けられる。
ドゴオオオオオオオォッ!!!
「がはあああああぁっ!?うあああぁ…!!」
それでも体に無理を言わせて、持ち直す。
「うおおおおおおおおおおおおぉっ!!!!!」
今の彼には、もとの地球に戻る術は無い。もう死ぬ覚悟なのだ。
彼は命の全てを賭けて、オフューカスと戦い続ける。
箒は、楯無達の居る隠れ家へと向かう。
「お願いです!宇月のために、このスイッチを押してください!!」
手渡したのは、楯無にはジャイアントフットスイッチ、簪にはネットスイッチ、虚にはエアロスイッチだ。
「オッケー、任せて!」「宇月のためなんだね…わかった!」「わたしたちに出来る事なら!」
彼女たちは、快く引き受けてくれた。
しかし、簪はそれだけには収まらない。
「わたしもスイッチを配る!」
箒の手の中にあるスイッチのうち、幾つかを受け取り、スイッチを押す人を探しに出かけた。
一夏は、学園の生徒たちが避難している場所に行き、4人の少女を探し出した。
「頼む!宇月のために、スイッチを押してくれ!」
それは能美ミキをはじめとした、以前はフォーゼの敵として立ちふさがった少女たちだ。
ミキにはスクリュースイッチ、カメレオンだった少女はステルススイッチ、ハウンドの少女はスモークスイッチ、ユニコーンの少女はスパイクスイッチをそれぞれ渡す。
「城茂君のためね。いいよ!」「いいわ、押してあげる…!」
「少しくらい、手助けしてやろうじゃない!」「これも、学園を守るためなら!」
彼女たちもまた宇月のことを信じて、スイッチを引き受けた。
セシリアは、病室に向かう。そこには理雄と彼の世話をしている夏樹がいた。
「セシリア…どうしたの?」「随分と急いでいるようだな…」
「聞いてください!宇月さんが、オフューカスとの戦いで…!」
走ってきたために、息切れ状態の彼女の様子を見て唯ならない雰囲気を感じ取った。
「お願いします…!このスイッチを…押してください!」
そういって差し出したのは、理雄にはチェーンアレイスイッチ、夏樹にはウォータースイッチだ。
「お安い御用よ。まかせなさい!」
夏樹は受け取るが…。
「おれも出来れば協力したいが…。」
理雄はそうは行かない。彼の体は動かないのだ。一応、腕は何とか動くが、指の細かい動きはまだ出来ず、タイミングよくスイッチを押せないのだ。
「ごめんなさい…わたくし…」
「自分を責めるな。だが、他を…」
理雄が言いかけたところで、夏樹がそのスイッチを受け取る。
「大丈夫だよ理雄君、一緒に押そう。わたしが手伝うから!」
理雄の手に握らせ、自身の手でやさしく包み込む。
「…わかった。おれも協力する」
「ありがとうございます!」
続いて、鈴音が向かったのは…。
「弾!蘭!」
五反田兄妹のところである。
「鈴音、どうしたんだよ?」
「お願い!宇月が…仮面ライダーフォーゼが!!」
「宇月さんが…どうかしたの!?」
彼女がここまで焦っている姿を見るのは、二人としてはとても珍しい。しかも仮面ライダーの事となると、かなり危険な事である事は予想できる。
「あいつを助けるために…スイッチを押して!」
そういって、蘭にホイールスイッチ、弾にボードスイッチを渡した。
「これだけでも…あいつを助けられんのか?」「いいよ。わかった」
二人がスイッチを受け取ったとき…。
「おれも押そうか?」
そう言いながら現れたのは、弾と蘭にとっては会いたい人物の一人だった。
「八木さん!」
そう、八木鳴介。以前はカプリコーン・ゾディアーツとして立ちふさがった強敵だった。
そして、弾達にとっては懐かしい恩師でもある。
「宇月のためなんだろ?あいつにおれの情熱、もう一発だけ届けてやるぜ!」
そう言って、鈴音の持つビートスイッチを奪うようにひったくる。
「…頼んだわよ!」
シャルロットは一夏とは別に、学園の生徒達から宇月を良く知る者たちを探していた。
そして…。
「聞いたわよ、大変そうね?」「わたし達にも、何かお手伝いできますか?」
現れたのは陽野瑞樹と清水満子の2人だ。満子はアクエリアス・ゾディアーツとしてホロスコープスを離反するなど、ひと波乱を起こした人物でもある。
「満子、瑞樹!お願い、スイッチを押して!宇月のために!」
そうやって渡されたのは、満子はメディカルスイッチ、瑞樹にはパラシュートスイッチが渡される。
「分かったわよ。これを押せばいいのね?」「城茂さんに、絶対に負けないでくださいって伝えてください!」
二人は強く頷いて、スイッチを受け取る。
ラウラは、ある人物に声をかけた。
「宇月の力になって欲しいんだ!!」
その者は以前、宇月や一夏を学校新聞で取り上げるために取材をした新聞部の二人、黛薫子、黛渚子である。
「えぇ!仮面ライダーに協力できるなら!」「力を貸します!」
渡されたのはペンスイッチとチェーンソースイッチ。それらを受け取った事を確認すると、ラウラは強く頷いて、他にスイッチを押せる人物を探す。
礼は体の傷が痛むにも関わらず、スイッチを押せる人物を探していた。
だが、彼はもとより仮面ライダー部としか関わりが無い。宇月の人間関係にまでとやかく口出しはしなかったので、探すあてに困っていた。
「くそ…!こんなことで、足手まといになるなんてな…!」
自分の意外な盲点に悔しさの色をにじませる。
そんなとき、彼の肩を優しくたたく者が現れた。
振り返ったそこには…。
「助けが必要かい?」
龍崎竜也と月宮あゆがいた。彼らは以前、仮面ライダー龍騎とその妻として、宇月達を時に影ながら、時に本格的に協力した、いわゆる先輩ライダーである。
「あなた達は…!」
「おれ達に何か出来る事があったら、言って」「なんでも力を貸すよ!」
「このスイッチを…!」
渡したのはNSマグフォン。竜也とあゆはそれを二つに分解し、強く握る。
「わかった」「がんばって!みんななら、絶対に出来るから!」
礼は体の限界も感じ、調整室で準備を始めるべく、ラビットハッチへ戻った。
簪は正直なことをいうと、ダメもとである人物を尋ねていた。
「…おや、アンタは…?」
自身の病室で扇子をいじっていた男は、簪の姿を見て意外そうな表情をする。
彼は居可弐式。キャンサー・ゾディアーツだった者だ。
彼は未だに、フォーゼや宇月達と和解できていない。
面会も誰一人として迎え入れようとはしなかった。
「あのね、面会はお断りなんだけど…」
「お願いします!力を貸してくれませんか!?」
そう言って、簪はシザーススイッチを渡す。
「これ…フォーゼのスイッチだね…」
「宇月が苦しんでる…。一生懸命戦ってる!それを助けるために40人の絆が必要なんです!」
今、宇月を助けるために必要な事を弐式に伝えた。その間も彼は、扇子をクルクルと回しながら、適当に聞いているようにしている。
「…んで、アタシに頼んで大丈夫なの?相手は元ホロスコープスのキャンサーだよ?」
「信じます。あなただって…人だから!」
彼女はまっすぐ弐式を見つめている。
程なくして…。
「…知らないよ、どうなっても」
シザーススイッチを受け取った。協力の意思を見せたのだ。
「お願いします!」
さらに、ラウラはある人物に要請をかけていた。
「ようやく来たか!」
彼女の優秀な部下、クラリッサだ。
「隊長、お話は伺っております!さぁ、スイッチを!」
ラウラはクラリッサにシールドスイッチを渡す。
「頼んだぞ!」
そう言って、再び人々を探そうとする…。
一夏が探していたところに…。
「人手が足りないんだろ?」
声とともにオーロラが現れ、見覚えのある青年や女性の姿が見えてきた。
その者たちは…。
「あなた達は…!?」
門矢士、小野寺ユウスケ、光夏海だ。
「あら、私も出てきちゃったな…」
さらに光栄次郎も現れる。彼がオーロラを超える事は非常に稀であり、その事実に少しだけ驚いたような表情を見せる。
「士さん、実は…!」
「状況は大体、分かってる。そのスイッチを押すんだろう?」
そう言って、士はエレキスイッチをひったくる。
「ちょっと士君!…一夏君、わたし達にも力を貸させてください!」
「おれ達も君達も、同じ仲間だから!」
二人の言葉にラウラは頷き、ユウスケにホッピングスイッチ、夏海にフラッシュスイッチ、栄次郎にカメラスイッチを渡す
「上手くやれよ」
士の言葉を背に受け、ラウラは再び、走り出した。
本音も学園やいろんな場所をくまなく探していたが、まだ見つかっていない。
「どうしよう…どうしよう…!」
涙目になりながら、改めて探し始める。
そこへ…。
「君達のお宝…ちょっと興味がある」
海東大樹が現れた。彼も士たちとは別ながらも、この世界の危機を聞きつけてやってきたのだ。
「大樹さん!お願いです、このスイッチを…!」
手にあったマジックハンドスイッチを差し出す。
「へぇ…面白い、僕も協力しようじゃないか」
さわやかな笑みを浮かべ、そのスイッチを受け取る。
「君達のお宝、しっかりと見せてもらうよ?」
「うん、ありがとう!」
シャルロットは病室に向かい、ある人にスイッチを頼もうとしていた。
それは…。
「君は…仮面ライダー部の…」
白石勇士である。以前のタウラス・ゾディアーツだ。
「勇士さん、スイッチを押してくれませんか…?」
そう言って、ハンマースイッチを渡す。
「…今の私が押したところで、君達の役には立てんよ」
俯きがちになり、小さく呟く。
今の勇士は自身の行いを恥じ、後悔している。息子を憎んでいたが、その息子は自分を悔い、そして救いをずっと求めていた。なのに、その事も頭の片隅に追いやり、自分の感情に従ってばかりだった。
「紫苑は…最後にはボク達を信じて一緒に戦ってくれました。そのときの紫苑を少しでも信じてくれるなら…」
彼女の言葉を聞いて、しばらくの沈黙があったが…。
「…やってみよう。私も息子のように…変われるのならば…」
「変われます、絶対に」
ハンマースイッチをそっとてにとる勇士。シャルロットはその姿を確認して、病室を出た。
病院から出て、走り始めたところで…。
「シャル…こっち…」
懐かしい声が聞こえた。
「紫苑!?」
声の方向を振り返るが、誰も居ない。そのかわりに小さなダークネヴュラがあった。
おそらく、ここからシャルロットに呼びかけたのだろう。
「そっか…君も仮面ライダー部の一人だもんね」
そう言って、クローススイッチをダークネヴュラに投げる。
「力を貸して!」
返事は無い。だが、彼の心は確かに感じ取れた。
千冬と束は自身に渡された、ジャイロスイッチとスコップスイッチを見つめながら、学園を歩いている。
探し回る役は担わず、ただ宇月の勝利を信じて待っている。
そこに…。
「千冬、束…」
振り返ると、彼女達にとって懐かしい人物がいた。
「吾朗さん…!?」
そう、城茂吾朗である。
「息子は今も戦っている。私も力になりたいのだ。妻の贖罪と、息子の勝利を祈るため…」
ふと手を見ると、一夏達が探しているときに持っていたはずのスタンパースイッチが握られていた。
「あなたは一体…!?」「どういうことなの?」
吾朗は死んでいる。その彼がなぜここに居るのか。だが吾朗は何も答えず、ただスイッチを握り締めるだけ。
おそらく、想いなのだろう。
彼女達への答えはそれだけで十分だった。
そして…。
一夏はロケットスイッチ、箒はドリルスイッチ、セシリアはランチャースイッチ、鈴音はレーダースイッチ、シャルロットはガトリングスイッチ、ラウラはウインチスイッチ、本音はハンドスイッチ、山田はフリーズスイッチ、ゆりこはファイヤースイッチを手にした。
だが…。
最後の40番目のスイッチ、コズミックスイッチを押すものが居ない。
「まだ残ってます…でも時間がありません…!」
このまま、探すのに時間もかかれば、宇月はどんどん危険な状況に陥り、命を落とすかも知れない。
焦りの色を見せる仮面ライダー部の一同。
そこに…。
「よぉ!そのスイッチ、おれに任せてくれねぇか?」
その声とともに現れたのは、風変わりなスーツの青年だった。
だが、仮面ライダー部の誰もが彼とは初対面だった。
「あなたは…?」
一夏の問いに、青年は明るい笑顔を見せて胸を叩きながら彼らに指差す。
「おれは…」
「如月弦太朗!!!全ての仮面ライダーと友達になる男だ!!!」
「つまり仮面ライダーフォーゼの城茂宇月はダチだ!ダチのピンチは見逃せないからな!」
彼にならコズミックスイッチを任せられる。
確かなものは無かったが、そう思えた。
「お願いします!」
そう言って、コズミックスイッチを手渡す。
これで全てのスイッチを押す者がそろった。
調整室でエナジー集中の準備をしている礼。
彼もメテオスイッチとメテオストームスイッチを握り、それからエネルギーをひとまとめにする役割を担っている。
「オフューカスなんかに、宇月は殺させない…」
「おれ達の運命は…おれ達が決める!!!!!」
放送室にきた一夏はマイクを持ち、呼びかける。
「みんな、宇月を…この学園を守ってきた仮面ライダーフォーゼを信じてくれ!!!」
その言葉に、彼らは宇月を…仮面ライダーフォーゼを思い浮かべる。
「宇月…」「城茂…」「宇月さん…」「城茂君…」
「城茂宇月…」「フォーゼ…」
「カウント開始だ!」
その放送の合図と共に、全員がカウントを始める。
「スリー!!」
彼らの想いと…。
「ツー!!」
彼らの願い…。
「ワン!!」
そして友の勝利を信じて…。
『青春スイッチ・オン!!!!!』
その合図と共に、礼も含んだ41人全員がスイッチを押した。
とたんに、凄まじい量のコズミックエナジーがメテオストームスイッチを介して、調整前のスイッチに集まり、宇宙へとまっすぐに向かっていく。
スーツは拉げ、傷つき、ボロボロとなった。
フォーゼBSは意識も朦朧としている。
「良く頑張ったが…とうとう、終わりのときが来たようだな」
オフューカスは戦いの終わりを感じ、大蛇を呼び出す。最後のトドメの為だ。
「オマエには驚かされた。よって、我の最大の力で叩き潰してやる。有難く思え」
「ズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
大蛇が迫り来る。だが、フォーゼBSはそれにも気づいていない。
絶体絶命。
まさにそのとき…。
カッ!!!
宇宙空間の無限の闇を思わせる真っ暗な世界に、一筋の強い光が差す。
その光はフォーゼBSの手に収まり、形となった。
「これは…」
地球の形をしたアストロスイッチをしている。
それを握り締めたとたん、このスイッチを創り上げるために協力した41人の顔が浮かぶ。
「みんなの…スイッチだ…」
これこそ、最後のスイッチ「フュージョンスイッチ」だ。
フォーゼドライバーのソケットにフュージョンスイッチを装填し、オンにする。
<FUSION-ON>
その途端、フォーゼの体に光が集まっていく。
「感じる…みんなの力を…!!!!!」
「オフューカス!!!まだ…おれは終わらない!!!!なぜならおれは…」
「仮面ライダーフォーゼだからだ!!!!!」
そして…。
続く…。
次回。
宇宙ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!キタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!
最終Ⅲ部作・第Ⅲ章
最終話「宇・宙・招・来」
青春スイッチ・オン!
キャスト
城茂宇月=仮面ライダーフォーゼ
織斑一夏
篠ノ之箒
セシリア・オルコット
鳳鈴音
辻永礼=仮面ライダーメテオ
ラウラ・ボーデヴィッヒ
布仏本音
シャルロット・デュノア
白石紫苑
ゆりこ/SOLU=仮面ライダーなでしこ
五反田弾
五反田欄
黛薫子
黛渚子
クラリッサ・ハルフォーフ
裾迫理雄
尾坂夏樹
八木鳴介
居可弐式
清水満子
陽野瑞希
能美ミキ
元ハウンドの女子生徒
元ユニコーンの女子生徒
元カメレオンの女子生徒
龍崎竜也=仮面ライダー龍騎
月宮あゆ
門矢士=仮面ライダーディケイド
光夏海=仮面ライダーキバーラ
小野寺ユウスケ=仮面ライダークウガ
海東大樹=仮面ライダーディエンド
光栄次郎
織斑千冬
山田真耶
篠ノ之束
白石勇士
城茂吾朗
オフューカス・ゾディアーツ
如月弦太朗=仮面ライダーフォーゼ
あとがき
いかがでしたか?
最後のゲストキャラは、フォーゼの主人公の弦太朗でした!…気づいた方もいらっしゃいました(汗)
再登場のゲストキャラはこのためだけに呼びました。竜也や士達も最終話は戦いません。
次回は遂に最終話を迎えます!
一応、全ての話に決着がつけられると思います…。
お楽しみに!