ダークネヴュラはどんどん、大きくなっていき、稲妻も勢いを増し、宇月達に危機感を募らせていく。
遂に闇の中から、動きが見えた。
そこから、黒い腕が伸びてくる。まるで蛇の皮膚のような見た目だ。
さらに体が見えてくる。
その姿はまるで、怪物に蛇が絡みついたような見た目をしている。
「おぉ…これだ。…まっていた!!!」
美咲は身体を押さえながらも歓喜する。
「これこそが…宇宙の意思が具現化したもの」
「十三番目の使徒…オフューカス・ゾディアーツだ!!!!」
オフューカスはじっと美咲を見ている。
「さぁ…わたしの願いを…!!」
手を差し伸べ、オフューカスに願いを言う美咲。
「…我の声に従い、我を具現化したことを感謝する、ヴァルゴ・ゾディアーツ」
彼は美咲にそう言って、右手をかざした。
その途端…。
ドッ…!!!!
「…?」
何が起きたか理解できなかった。
美咲は何かに体を押されたような感覚に陥り、自身の腹を見た。
そこは、血で染まっていた。
「あ…あ…」
途端に体から力が抜け、美咲は地面に倒れようと膝を着く。
「母さんっ!!!」
だがそれよりも早く、宇月が彼女を抱きとめる。
美咲はオフューカスを見つめ、絶望に染まった表情をみせる。
「何故だ…オフューカス…!?」
「オマエはゾディアーツの中で、最も明晰な頭脳と力を持ち合わせている。つまり、今後の我の障害になる可能性があるのだ。身に降りかかる火の粉は、完全に払うことが必要だからな」
オフューカスから告げられた言葉は非情だった。
「な…馬鹿な…」
「これが…」
宇月が俯く。
彼の腕の中にいる美咲には、その表情が見えた。
宇月は泣いている。
「これが、母さんが望んでいたモノだって言うのかよ…!?」
朦朧とする意識の中、美咲は遂に真実を述べた。
「違う…!私が望んだのは、人類の進化でも…ISを潰すことでもない…!」
「だったら…!」
「あの人に…もう一度逢いたかった…」
「父さんに…?」
美咲はコズミックエナジーの研究に没頭しつつ、いつも自分以上の研究成果を上げる吾朗には、嫉妬を抱きつつも、憧れや愛情も抱いていた。
そんな彼に追いつきたい。その一心でゾディアーツを開発し、自身を最初のホロスコープスへと進化させた。
人生の全てを投げ打ったのは、夫との再会のためだけだった。
「オフューカスの声を聞いてから…私は夫と再会するために…!」
彼女は夫の愛に飢えていた。
それこそが、彼女をヴァルゴへと覚醒させた負の感情だったのだ。
「そうだったのかよ…なんで…」
宇月はその真実を伝えてくれなかった母への憤りと、気づけなかった自分の情けなさでいっぱいになる。
「…吾朗さん…また…会えたら…」
まもなく、美咲はゆっくりと目を閉じた。
戦いの元凶となった城茂美咲。宇月の母であり、ヴァルゴ・ゾディアーツ。
彼女の命は、あまりにもあっけなく終わってしまった。
「邪魔者は消えたな」
無感動なオフューカスの声が響き渡る。
その瞬間、周りの空気が一変した。
理由はオフューカス以外の仮面ライダー部全員にある。
人の死を前にして、こんな冷酷な言葉を言えるオフューカスを許すことはできない。
宇月は美咲をゆっくりと地面に降ろし、フォーゼドライバーを装着する。
「「「変身」」」
<COSMIC-ON><METEOR-STORM><METEOR-ON READY?>
フォーゼCS、メテオS、なでしこ。3人の仮面ライダーに加え、一夏や箒達もISを装備する。
中には涙を流しつつ、顔を真っ赤にして怒りの表情を隠さない者もいる。
オフューカスはその光景にすら鼻で笑って両手を広げる。
「…さぁ、来るが良い」
「…っあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁっ!!!!!!!!!!」
先陣を切ったのは、フォーゼCS。バリズンソードを開きながら怒りと悲しみの感情を入り混じらせて、オフューカスに襲い掛かる。
ガギイイイイィッ!!!!!
「…!?」
その刃は蛇を象った腕によって防がれている。硬くてまるで斬れない。
「アタアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!」「やああああああああああああぁっ!!!!」
そこに間髪いれずに、メテオSとなでしこが向かってくる。
「これで遊んでいろ」
「ズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
オフューカスの体から無数の大蛇が現れ、それらが2人に襲い掛かる。
ゴオオオオオオオォッ!!!
「くっ…!!!」「きゃあっ!!」
その口から放たれた火焔弾により、2人は大きく吹き飛ばされる。
「おまえええええええええええええええええぇっ!!!!!」
次は一夏達が攻撃を仕掛けるが…。
「お座りだ」
そう言うと、オフューカスの体から現れた大蛇のオーラが、彼らのISに纏わりつく。
「な、なんだ!?」「やだっ!」
必死に振り払おうとするも、オーラであるために実体がない。つまり振り払えないのだ。
そして次の瞬間。
「…え?」
白式、紅椿、ブルー・ティアーズ、甲龍、ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ、シュヴァルツェア・レーゲンの6機が、跡形もなく消え去ってしまった。
待機状態に戻っているが、何をしても反応しない。
「どういうこと!?」「わたし達のISが…!?」
戸惑っているシャルロットやラウラに、オフューカスが説明を始めた。
「ヴァルゴ・ゾディアーツの言葉は真実…」
「我はISの機能を停止させられる力を持つのだ」
つまり、彼にはISが通用しない。
正確に言うと、オフューカスはコズミックエナジー以外の兵器を無力化できるのだ。
「人間が宇宙に向かうなど、おこがましい。宇宙に迎えられる価値のある生命体は、コズミックエナジーに選ばれた者だけだ」
そう言ってフォーゼCS達、3人の仮面ライダーを指差す。
「そういう意味では、お前達は相応しい」
「だったら、ヴァルゴを…母さんを、なんで殺した!?」
フォーゼCSの背後には動かなくなった美咲がいる。
オフューカスは美咲の亡骸を一度見て、嘲笑しながら答えた。
「先にも言ったが、邪魔だった。理由などそれだけで十分だ」
あまりにも理由が自分勝手すぎる。
フォーゼCS達の怒りは頂点に達した。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁっ!!!!!!!!!!!」
<LIMIT-BREAKE>
コズミックスイッチをバリズンソードに装填し、光を纏いながらオフューカスに向かって走る。
「オフューカス!!!!!テメェだけは許せねええええええええええええええええええええええええええええええぇっ!!!!!!!」
懇親の力をこめてバリズンソードを振り下ろすも…。
「面倒ごとは、綺麗に解してやる」
「ズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!
オフューカスの持つ大蛇に阻まれ、逆に反撃を許された。
「ぐああああああああああああぁっ!!」
一瞬で変身を解除され、地面に這い蹲る宇月。
「ぐ…あぁ…!!!」
「宇月っ!!」
一夏が駆け寄り、抱き起こす。
その姿をオフューカスは見下しながら言い放つ。
「我は、人間がおごり高ぶらず、つつましく地球で生きることを望む。コズミックエナジーに選ばれた者で、我に賛同するものはついて来い。宇宙へ招待しよう」
それだけ言うと、彼は闇の中に消えていった。
「こうなったら、IS学園の全代表生や候補生と仮面ライダー全員で迎え撃つ!!!」
手を借りるために、IS学園へ戻ってきた一同は、その状態を見て唖然とした。
IS学園は、少しだったが傷や亀裂が目立つようになっていた。
見ないうちに、過激派にやられたのだろう。
急いでラビットハッチに急ぐ。そこには、傷を負った山田とそれを手当てする千冬の姿があった。
「先生、どうしたんですか!?」
「この状況で聞かずとも、理由はわかるだろう」
宇月達がヴァルゴと戦っていた間、彼女たちがIS学園を守っていたのだ。
「安心しろ、概観が損なった程度だ。授業にも支障はない」
「千冬姉はどうなんだよ…?」
一夏の言葉に少し眉にしわを寄せて答える。
「ここでは、織斑先生と…」
「ごまかすなよ。千冬姉は平気なのかよ」
彼女は山田の手当てをしているが、傷を負っているような姿は見受けられない。
「無理、してないよな?」
「馬鹿者、私はお前ほど幼稚ではない。自分の体のことくらい、気を使うほどの余裕はある」
しかし、彼女も戦っているはず。かなりの実力者とはいえ、万全な状態ではないことからまったくの無傷ということはありえないだろう。
「…良いか、お前達はゾディアーツを止めることに集中しろ。学園くらい、教師が守らなくてどうする?」
その言葉には、絶対の信頼を感じられた。特に一夏にとっては。
それは姉である千冬の強さと、強靭な意思をよく理解しているからなのだろうか…。
「たのんだぜ、千冬姉。ゾディアーツは、おれ達がなんとかしてみせる」
「おまえに何が出来る?」
彼の決意に異論を唱えたのは、礼だった。
「奴はISを無力化する能力の持ち主だ。言い換えるなら、ホロスコープスを上回った存在に生身の人間が勝負を挑む。立ち向かえると思っているのか?」
その言葉で、一夏だけでなく、のこりのIS使いも全員が俯いた。
戦力は仮面ライダーだけになったも同然だ。
パワーダイザーがあるが、これに搭乗できるのは一人のみ。現在の主な搭乗者は、鈴音、ラウラ、本音。この3人である。
オフューカスの能力やパワーから考えると、この戦力状態では絶望的だ。
「一体どうすれば良いんだ…」
箒がスイッチカバンを見つめると、ふと思い出した。
「…そうだ、あのスイッチ!!!」
データ上に記録されている、美咲が遺した新たなアストロスイッチ。
「これに賭けるしかない!!」
それから一日を掛けて、新たなアストロスイッチの調整を行う。
だが、まったく変化が見られない。
「…だめだ。動かない」
礼も宇月もお手上げだった。
彼らの知っているすべての技術を持って調整を行ったが、まったく変化が見られない。
なにかにロックがかかっているような気がする。
「オフューカスが何か動きを見せる前に、なんとしてでもこれを完成させなければ…!」
礼は再び、調整を再開した。
「宇月、おまえは少し外にでも出てろ」
「なんでだよ…?」
「客人だ」
礼の目線の先には…。
更識姉妹がいた。
セシリアと鈴音は、理雄と夏樹の病室に訪れ、ヴァルゴである美咲の死が告げられた。
「…そうか、ヴァルゴ様が…」「あのお方が…」
宇月達と和解はしたが、ヴァルゴに対する尊敬や忠誠が消えたわけではない。特に理雄はそうだ。
そんな尊敬できる良き長を失ったことは、二人の心に深い悲しみを刻み付けた。
「ごめん…あたし達、何も出来なかった…」「結局…理雄さんから奪ってしまいましたわ…」
本当に申し訳ないことをしたと、頭を下げる二人。
それに対して、理雄と夏樹は…。
「ヴァルゴ様が逝ってしまわれたのは、あんた達のせいじゃないわよ」
「あぁ。気を落とすな。おまえ達の心にヴァルゴ様を残してくれることが、おれは嬉しい」
理雄はそれがヴァルゴの選んだ道だと信じ、仮面ライダー部を微塵も恨まなかった。
「だが、オフューカス・ゾディアーツを許すつもりはない。おまえ達に仇討ちを頼みたい」
彼女たちの手を握り、理雄は懇願した。
彼はもう満足に動けない。仮面ライダー部である彼女たちに任せるしか、残された方法はないのだ。
「えぇ!やってみせますわ!」「任せときなさい!」
宇月は簪と二人で学園の外を歩いている。
つい数時間前までは美しかった校庭も、過激派の攻撃でさまざまな金属が拉げ、傷だらけとなっていた。
「宇月…ヴァルゴ・ゾディアーツのこと、全部聞いた」
「あぁ…聞いたか」
どうやら、どんどん情報は入ってくるらしい。
「やっぱりわたし、悔しい…!」
「簪…?」
涙を流しながら、こぶしを強く握り締める簪。その手には包帯が巻かれてある。
彼女もまた、IS学園を守るために打鉄弐式で、過激派との戦いに挑んだのだ。
「わたし、宇月の力になりたいって言ったのに…本当に苦しんでたときには、何も出来なかった…。ただ、戦うことだけしか…!!」
「それで充分だ。他には何も求めないよ」
少しだけ穏やかな様子で宇月は答えた。
「だって…あなたの母親が…!」
「それが運命だったんだよ。母さんはそれを選んで、結局は願いを果たされずに死んだ。それこそが母さんの選んだ道だったんだ」
怒りは落ち着いてきてるのか、まるでゆっくりとやさしく子供に本を朗読するように言う。
「正直に言って、まだ母さんが憎い。全ての元凶は母さんなんだから。でもオフューカスも許せないし、ゾディアーツと最後まで戦い抜くって決めたのは、他の誰でもない、おれなんだ」
フォーゼドライバーを見つめながら、今度は独り言をつぶやくように言う。
「だからさ、もう抗わずにその戦いに飛び込んでいく。その間は学園が守れないだろうから、そのときは簪や楯無さんが戦ってくれると助かる。それだけで良いんだ」
再び、簪のほうを向いて静かに告げる。当の簪は下唇を強く噛んで、宇月に問う。
「本当に…本当にそれだけで良いの?」
「あぁ。少なくとも、今はな」
憑き物が取れたような表情で、宇月は澱んだ空を見上げて言う。
ふと、背後から誰かが近づく。
振り返ると、虚と「み~ちゃった」という文字のある扇子を手に持った楯無が立っている。
「あら?ゆりこちゃんがいるのに、わたしの簪ちゃんに手を出して良いのかな~?」
「い、いや、出してないっすよ!」
からかうように言う楯無の言葉を、必死に手を振りながら否定する宇月。
それを見ていた簪と虚も、クスリと笑う。
「大きな戦いの最中なのに、随分と穏やかですね。さすが仮面ライダーフォーゼ」
「それ、あんまり関係ないと思うんですけど…」
「じゃあ、いつもそんな調子なんだ?」
「いや…それも違う気が…」
虚と簪に言葉で責められ、どんどんと縮こまっていく宇月。
楯無を含めた彼女達に、会話では敵わないだろう。宇月は確信した。
「ま、とにかく学園はわたし達に任せなさい。そのかわり、ゾディアーツは絶対に倒すのよ。これ、生徒会長からの命令ね」
「もちろんっす!そのつもりでした!」
楯無が拳を突き出すと、宇月もその拳に自身の拳を打ち付けて返事をした。
それぞれが、それぞれの戦いに身を投じる決意である。
数日の間、オフューカスは動きを見せず、IS学園と過激派との戦いに仮面ライダー部も身を投じた。
その戦いはIS学園側が優勢であり、なんども過激派は撤退を余儀なくした。
だが、その戦いでIS学園の者たちは、体力や精神力をどんどん減らされていく。
人間同士の戦いは、ここまで過酷で残酷なのだ。
今日も戦いで、宇月達は疲弊して戻ってくる。それを本音が看病する。
それが何度も繰り返された。
「いつまで続くんだろうな…この戦い。もしかしたら…」
「マイナス思考な事を言うな、箒。今は戦うしかないだろう」
箒の気を奮い立たせるために、礼が強くつぶやく。
彼も本当のことを言うと、生身の人間同士の戦いはうんざりだ。
だが、こちらが何度も撤退させようとも、別の国や地方の過激派がやってくる。
数十カ国が同時に攻めてきたこともあり、やむなくコズミックステイツやメテオストーム、雪羅を使用したこともある。
それでも、戦いは終わらなかった。むしろ、逆に激化しつつある。
「でも、わたくし達とて、ずっと戦えるわけではありませんわ。いずれ限界が来ます。宇月さんや礼さんも、例外ではありません」
セシリアに変えられない事実を突きつけられ、一同は黙り込んだ。
シャルロットは、立ち上がって元気よく言い述べた。
「みんな、元気を出そう!きっと、戦いは終わるから!」
「あぁ。くよくよしても仕方がないからな」
「うん!わたしも出来るだけ手伝うから!」
彼女の言葉に、ラウラと本音も便乗する。
山田も少しズレた眼鏡を治して、微笑む。
「そうですね。なにごともあきらめたり、落ち込んだらダメです!」
千冬は、いまだに平気そうな表情で壁に背中を預けて寄りかかっている。
「さぁ、もっと気合を引き締めろ!全員、今程度の気迫では負けるぞ!」
敢えて厳しい言葉で仮面ライダー部を奮い立たせる。
その姿を見て、宇月はじっと黙ったまま何もしようとはしなかった。
次の日。
「宇月…?」
宇月の姿が見当たらない。礼は先にラビットハッチに向かったと思い、そこに向かうが、それでも彼の姿は見つからなかった。
変わりに、書置きがある。
『オフューカスと決着をつけてくる。母さんの仇討ちのつもり』
少し、乱雑だった。おそらく、急いで書いたものなのだろう。
「あのバカが…!!!」
その書き置きをクシャクシャに丸めて床に叩きつけ、彼を探し始めた。
すぐに仮面ライダー部のメンバーにも伝え、総出で捜索を始める。
幸運にも、今日は過激派の襲撃が見られなかった。
箒の紅椿はオフューカスの能力により使えず、スイッチカバンや機械には、宇月にしか解除できないようなロックが掛けられており、コズミックエナジーでの捜索は不可能。
「どこにいるんだよ…!?」
いくら探しても、まったく見つかる気配はない。
オフューカスも、そう簡単に姿を現すのだろうか…。
ドガアアアアアアアアアアアアアァンッ!
青い発光体として各地を探していたメテオが彼らの元に戻ってくる。
「どうだった!?」
「だめだ、見つからない…」
メテオは肩を落として首を振る。
彼はいったい、どこにいるのだろうか…。
「一人で戦うって言っても、オフューカスの場所なんて分かるわけが…」
ラウラが呟き掛けたところで気づいた。
「…まさか!!」
そう。フォーゼには、空間を自由移動できる力があった。
話は少し前の時間に戻る。
皆が寝静まった頃、フォーゼBSはラビットハッチから月面に出た。
「…よし」
<COSMIC-ON>
コズミックスイッチを装填し、40のスイッチが体を纏い、フォーゼCSへと変えさせる。
あの過激派との戦いを終わらせるためには、オフューカス・ゾディアーツの脅威を世界に知らしめて、それをIS学園や世の中で、まことしやかに噂される仮面ライダーが倒し、正体を明かせば、その存在に過激派も怯え、攻撃をやめるであろう。
だから、この戦いでは仮面ライダーだけで戦わなければならない。
礼やゆりこも仮面ライダーだが、礼はラウラという愛する存在がいるために、この戦いには参加させたくなかった。そしてゆりこは宇月自身が愛する存在。命を賭けるつもりである戦いに連れて来るつもりは毛頭なかった。
バリズンソードを構え、コズミックスイッチを装填する。
<LIMIT-BREAKE>
フォーゼCSのワープドライブは、別に本人の知らない場所でも、望む場所に絶対に向かえる。
彼の望んだ場所は…。
オフューカス・ゾディアーツのいる場所。
青白いワープゲートが開き、その中にフォーゼCSは突進していく。
そして…
「ほう、ワープドライブか」
目の前にはオフューカス・ゾディアーツがいた。
「来てもらう。決戦の場は地球だ!!!」
そう言って、彼の突進していくフォーゼCS。
「この我が地球にわざわざ出向くなど、そんなことをすると思うか?」
フォーゼCSを避け、大蛇を放つオフューカス。
「ズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
ゴオオオオオオオオオォッ!!!
その火焔弾の嵐に…。
「炎なら、水と氷だ!!!」
<FREEZE-ON><WATER-ON>
バシャアアアアアアアアァッ!!!!ビュオオオオオオオオオオォッ!!!!
両足にフリーズとウォーターを装備して、炎に応戦を始める。
その威力は決して、オフューカスの火焔弾に及ぶほどではなかったが、フォーゼCSが避けるためには十分な威力を発揮してくれた。
そして、新たなスイッチを使う。
<N・MAGNET-ON><S・MAGNET-ON>
バリズンソードにNマグネットスイッチ、そして胸のSマグネットのシンボルを押して、マグネットの力を引き出すフォーゼ。
「ライダァァァァァァァァァァァァ…!!超電磁・フィニィィィィィィィィィィィィッシュ!!!!!」
赤と青のエネルギー波がオフューカスを襲う。
「…無駄なことを」
こうして、礼たちが探している間、フォーゼCSは宇宙空間のどこかで戦い続けているのだ。
そんなことも分からず、宇月を探し続けていた仮面ライダー部のメンバー達。
「盲点だった…コズミックのワープドライブか…!!」
「礼…探すあてはあるの…?」
シャルロットが不安そうに聞くと…。
「宇宙にはパワーダイザーのパワーモードとメテオスターで、向かうことが出来る。だが2人を探すなど、至難の業だ。一体どうする…!!」
自問自答していたところに…。
<LIMIT-BREAKE>
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!!!」
電子音声とともに青白いワープゲートが開き、フォーゼCSとオフューカスが現れた。
「貴様…!」
先ほど、彼の攻撃を避けた際に出来た隙を見計られ、ここまでつれてこられたのだ。
「退けぇッ!!!」
「ズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!
「うあああああああああああぁっ!!!」
大蛇に吹き飛ばされて、フォーゼCSは変身を解除された。
「宇月!!?」
彼に駆け寄る。
数時間の戦いで、宇月は疲弊しきっていた。
「はぁ…はぁ…こんのやろぉっ…!!!」
「愚かな人間め。大人しく我に賛同しておれば、地獄を見ずに済んだものを…!!!」
オフューカスの声からして、かなりの怒りを感じられる。
「まだ、人間同士の無益で愚かな戦いを見物したかったが…もう良い」
そう言って、オフューカスは両手を空に掲げる。
するとダークネヴュラが現れ、そこから無数の大蛇のオーラが現れる。
「なんだ、あの数は…!?」
そのオーラは、宇月達には襲い掛からず、世界の全てに向かっていった。
「なにを…?」
「忘れたか?我はISを停止できる力を持つと言うことをな」
その言葉で、全員が凍りついた。
ふと、オーラの先を見る。
比較的複数のオーラが、IS学園に向かっている。
「まさか…全世界のISを…!?」
世界中に存在するISが機能を停止するのだ。
「そう、もう人間同士の茶番を見るのは止めだ。滅ぶが良い。無抵抗なまま…!!!」
オフューカスは笑みをたたえたような言い方で述べる。
宇月が肩を庇いながら立ち上がる…。
もしISが使えない状況で、過激派の襲撃が始まったのならば…。
IS学園は無抵抗な状態で過激派に一気に攻め落とされるだろう。
そうなれば…。
「…簪や楯無さんが…!!!」
続く…。
次回…。
もうだめだ…おしまいだ…
学園は、破壊されてしまった…
オフューカスも…
もう、勝ち目がない…。
でも、戦うんだ…!!!
仮面ライダー部だからな…!!!
最終Ⅲ部作・第Ⅰ章
第38話「学・園・崩・壊」
青春スイッチ・オン!
キャスト
城茂宇月=仮面ライダーフォーゼ
織斑一夏
篠ノ之箒
セシリア・オルコット
鳳鈴音
辻永礼=仮面ライダーメテオ
ラウラ・ボーデヴィッヒ
布仏本音
シャルロット・デュノア
ゆりこ/SOLU=仮面ライダーなでしこ
更識簪
更識楯無
布仏虚
裾迫理雄
尾坂夏樹
織斑千冬
山田真耶
城茂美咲
オフューカス・ゾディアーツ
如何でしたか?
ちょっと、あっけなさ過ぎましたかね…ヴァルゴ…。
結果的に前座キャラだったので、なんか小物感もあるような…。
さておき、今回、初登場となるオフューカス・ゾディアーツ。
知ってる方もいると思いますが、このモチーフの蛇遣座は黄道十二星座と同等に並ぶ、例外的な星座の黄道十三星座です。
原作も、こいつがラスボスじゃないかと思っていたので、今回、こうすることにしてみました。
オフューカスは、コズミックエナジー以外で宇宙に向かうことを拒絶しており、コズミックエナジー以外の力を無力化できます。
つまり、最後の希望はフォーゼ、メテオ、なでしこの3人に絞られました。
次回からは、遂に来ました…
「最終三部作」です!
お楽しみに!
でも、研修のため一週間休みます…(汗)