仮面ライダーフォーゼ~IS学園キターッ!~   作:龍騎鯖威武

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第27話「銀・河・之・絆」

 

ラビットハッチで、山田が宇月達の応急処置を行なっている。

「痛って!」

「が、我慢してください…手当てですから…」

あの後、箒も駆けつけたが、そこには既にレオの姿はなく、倒れ伏した彼等がいるのみであった。

「やっぱり、あのレオ・ゾディアーツ…強すぎます…」

「こんな事になっているなんて…」

「あぁ…。残念だが、今の時点ではこれが現実だ」

拳を握り締める包帯姿の礼。

「このままじゃ…IS学園はおしまいだ…」

ラウラは珍しく、諦めかけていた。

彼女の心に影を落としたのは、レオとの戦いでまったく手足も出なかったこともそうだが、何も守れなかった事が大きかった。

横では、満子が両肩を抱えて、痛みで苦しんでいる。

「わたし…スイッチを取り戻しにいきます。わたしの所為ですから…」

「違うわ!そんなこと間違ってる!」

自分を責める満子に鈴音が異議を唱える。

「あんた、ホロスコープスなのに、自分で過ちに気づいて逃げられたじゃない!それだけでも、他のホロスコープスより優しいでしょ?それなのに、また戻るって言うことは、自分の正しさを否定してしまうことになるのよ!?」

「…そうですけど、でもこのままじゃ!」

「今は、城茂君達に協力することが、良い方法じゃないの?」

楯無は静かに告げる。

「そうだけど、満子の言うとおりこのままじゃ、レオからコテンパンにやられるのがオチよ」

瑞希は溜息をつきながら言った。結果的に、レオに対抗する手段は持ち合わせていない。

だが…。

「まだ、終わってないだろ!コイツがまだある!」

一夏が見せたのは、調整が終わったばかりの最終最後、40番目のスイッチだ。

宇月がそれを手にとって、説明を始めた。

「これは…フォーゼが、より宇宙に近づくためのスイッチ…「コズミックスイッチ」だ。コレを使えば、確かにフォーゼも格段に強くなれるはずだ。でも…」

彼が俯くのは納得できた。今までステイツチェンジ用のスイッチは、使用者の感情で使えるか使えないかが左右されたものが殆ど。今回も同様だろう。

問題は、何の感情に反応するのかだ。

「たしか…エレキは何かを受け入れる気持ち、ファイヤーは全てを吸収、マグネットはゾディアーツを割り切る気持ち、メテオストームは感情を曝け出すでしたわ。コズミックなら…」

セシリアが必死に頭を捻る。

「それらを全部…と言うのはどうです?」

「つまり…?」

「それは…わかりませんけれど…」

確かにコズミックスイッチは、40のスイッチ全てのデータが入っている。そう考えれば、今までの感情を全て持てば良いということなのかもしれないが、それは結論に至っていない。

彼等は、頭を抱え続けていた。

 

一方、レオはアクエリアススイッチを見つめている。

そこへ、ヴァルゴが現れた。

「どうやら、回収したようだね」

「はい。ですが、ただ回収するだけでは芸がないと思いまして…」

彼はヴァルゴに、先ほどの戦いとアクエリアスを泳がせたことを伝えた。

「おそらく、フォーゼ達も現れるでしょう。そこを叩きます」

「ほう…」

彼の作戦を聞いたヴァルゴは、少し仮面の中で笑みを浮かべて、3つのスイッチを渡す。

「これは…」

「スコーピオン、カプリコーン、キャンサーのスイッチだ。君は肉体の状態から特異体質。このスイッチも使えることは理解しているだろう」

手渡した後、さらに3つのスイッチを取り出す。

それは、アリエス、ジェミニ、リブラのスイッチだった。

「SOLUの力は興味深くてね。スイッチャー無しでゾディアーツを実体化させることも出来る。無論、ホロスコープスも」

そう言って3つのスイッチを投げ、手に持っていたSOLUスイッチを押すと、青白い光が3つのスイッチを包み…。

 

アリエス、ジェミニ、リブラが実体化した。

 

「せっかくならば、徹底的に叩きのめす方が良いだろう。スイッチャーがいる時ほどの強さではないが、それでも一般ゾディアーツよりは遥かに強い。きっと力になるだろう」

「使わせていただきます」

レオはヴァルゴに軽く会釈をして、3体のコピーホロスコープスを連れて歩き去った。

残されたヴァルゴは、一人呟く。

「白石勇士…まさか、彼にあの運命が…?」

 

宇月は学園の校庭で膝を抱えて座っていた。

「ここにいたのか」

「あぁ、一夏か?」

声に振り向くと、一夏が歩いてきた。

「コズミックスイッチ、どうしたものかな…」

「そんなこと、おれに言われても分からねぇよ」

相談をするように尋ねてみたが、一夏も首を横に振った。

「おまえってさ、初めてフォーゼに変身したとき、どんな感じだった?」

ふと、唐突に気になったことを一夏が聞く。

「初めて変身したときか…」

 

 

 

あれは2年前。

父である城茂吾朗、母の城茂美咲の二人が書類上で「死亡」扱いをされて間もない頃だった。

宇月は一人暮らしをしながら、コズミックエナジーを独学で学び、研究していた。

そうすることで、両親に近づけるような気がしたのだ。

ある日…。

「なんだ、これ?」

彼の家に、2通の手紙と金色のゲートスイッチが入っている箱が届けられた。

その手紙にはそれぞれ、こう記されてあった。

 

『この力を持って世界を守るも良し。また滅ぼすも良し。総ては、この全宇宙に広がる神秘の導きである』

 

『君の親から預かったモノだ。時が来たら、君に託すように言われていた。この「扉」を開いた瞬間、君は宇宙に近づく。キーワードは…「FOURZE」』

 

キーワードには心当たりがあった。

「フォーゼ…。父さんが使っていたコズミックエナジー用の強化スーツ…」

行方不明になった日、宇月が初めて見た、父のもう一つの姿。

あれも白騎士事件以降は、母の使っていたISと一緒に行方不明になっていた。

しかし、それらは…ラビットハッチの中にあったのだ。

父と母の残した、彼への希望として。

 

そして1年後…。

ラビットハッチに残されていたデータ通り、ゾディアーツが出現した。

「これが…人が到達した星座の怪人…」

「退け…死にたくなければな」

このとき初めて対峙したのが、礼の変身するアリエス・ゾディアーツだった。

だが、準備は整っていた。

改造に改造を加え、アストロスイッチに対応させたフォーゼドライバーを装着する。

「父さん、力を貸してくれよ!」

<3><2><1>

 

「変身っ!」

 

「はぁっ!」

煙のオーラに包まれて生み出された新たな戦士…。

それがフォーゼだった。

 

その日から、彼の「フォーゼ」としての戦いの日々が始まったのだ。

 

 

 

「何度も礼と戦って、あいつとは分かり合った。仲間になった礼はメテオに変身して、おれと一緒に戦うようになったって事だ。それ以来、ずっとゾディアーツと戦い続けている」

「そうやって、フォーゼに…」

彼のフォーゼへの生い立ちをじっと聞いていた一夏。

「結局、ゲートスイッチの送り主は誰だったんだ?」

「分からない。多分、父さんか母さんの古い知り合いとは思うけど…」

その始まりにもまだ多くの謎が残っているようだ。

宇月が受け取った手紙…。

その言葉から、一夏は何かに気付いた。

「扉…。その扉って何なんだ?」

「扉か…。あっ!!!!!」

どうやら、宇月には心当たりがあるようだ。

立ち上がって、ラビットハッチへと急いだ。

 

ラビットハッチにある女子更衣室。

「これを着るのか…?」

箒は着替えながら、先ほど宇月に渡された「OSTO」と描かれた宇宙服を見つめる。

「どうしたのです、急に!?」「分からないわよ!とにかく宇月が大慌てで…」

「何が起こるんだろう…?」「まぁ、コズミックスイッチに関わる事は決定的だな」

セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラも話しながら急いで着替えている。

「コレを着るって事は…」「もしかして~?」

「あぁ~全部言わなくても分かるわよ」「ちょっと不安ですが…」

ついでと言われ、簪、本音、楯無、虚の4人も着替えている。

そして…。

ここに居ない紫苑と礼を除いて…

 

ラビットハッチの外…つまり「月面」に飛び出したのだ。

 

宇月のみ、フォーゼBSに変身している。この2つのスーツは宇宙服の役割も兼ねているのだ。

「宇宙だ~!」「あぁっ、本音、危ない!」

ピョンピョンと跳ね回っている本音を、姉の虚が必死に止めている。

「で、何がしたいの?」

「みんなで、コレを見たくてな…」

彼が持っていた手紙。

あの封筒の裏にも、こう記されていた。

 

『もし君が仲間を見つけ、それでも乗り越えられない困難が立ちはだかり、扉が開けないとき…始まりの扉を見つめると良い。きっと「答え」が、そこにある』

 

その言葉に従い、ラビットハッチの外側の扉を全員で見に来たのだ。

砂埃で何も見えなかったが、それを手で払うと…。

「…父さんの書いた文字だ」

城茂吾朗のメッセージが刻まれていた。

 

 

 

~宇月へ~

 

これを読んでいるということは、お前に大きな困難が立ちはだかっているのだろう。

だが恐れる必要はない。お前は既に「仲間」を手にしているはず。それが「答え」だ。

ここに、最後の扉を開く鍵を残しておく。

最後の扉を開くのは…

 

「絆」

 

この言葉の意味が分かるなら、お前に乗り越えられない困難はない。

 

宇月の友人達。

私の息子を支えてくれて、本当に感謝する。

もし、君達が宇月を信じるならば、彼の「扉を開く鍵」になって欲しい。

 

その手で…宇宙を掴め!

 

~吾朗より~

 

 

 

読み終わったフォーゼBSは地面に膝をつく。

「宇月、大丈夫か!?」

一夏がなんとか抱き起こす。

「は…ははは…」

乾いた笑い声が、一夏達の宇宙服の音声伝達装置に響く。

「どうしたんだ?」

さらに箒が尋ねる。

フォーゼBSは彼等のほうを向いて、こう言った。

 

「なんだよ…。もう…持ってるじゃねぇか…」

 

そう、コズミックスイッチの起動に必要だったのは「絆」。

彼はもう手にしていた。悩む必要などなかったのだ。

「ほんと…悩んでたのがバカバカしいわよ」

鈴音が軽く笑う。

「こんなこと確認しなくても…」「もう、何一つ隔たりのない仲間ですわ!」

フォーゼBSの肩にシャルロットとセシリアが手を置く。

「もう良いな。覚悟を決めるぞ!」「わたしも弱気になんてなっていられない!」

箒とラウラが拳を握って宣言する。

頷いたフォーゼBSは立ち上がって拳を上に掲げる。

 

「行くぞ…仮面ライダー部!!!!!」

 

『おおおおおおおおおおおぉっ!!!!!』

 

同時刻…。

遂に戦いの時が来た。

IS学園に、再びレオが襲ってきたのだ。

「清水満子を出せ。さもなくば、この学園を破壊する!」

ツメを研ぎながら、学園の返答を待つ。

すると…。

 

「私達が相手になろう」

 

ラファール・リヴァイヴを装備した千冬が現れた。隣には同じ機種を装備した山田もいる。

ドガアアアアアァンッ!

さらに黄色と青の発光体が飛来し、メテオSを形作った。

「闇に蠢く星の運命…この嵐で打ち砕くっ!!!」「生徒には手を出させません!」

「フン。いくら力を合わせようが、このオレには勝てんぞ!」

言うが早いか、レオは高速移動を始めた。

狙いは千冬。

「ウオオオオオオオオォッ!!!!!」

ガキィンッ!!!!!

「…くっ!」

背後に現れたレオに反応し、防いだ。しかし、その腕には早くも亀裂が走っている。

「さすがは世界最強のIS乗り。この攻撃に反応できたのは、オマエが最初だ。…だがッ!!!」

確かにレオは速い。だが、それ以上に力も強い。

「させるかっ!オオオオォォォォ…アタアアアアアァッ!」

メテオSは、メテオストームシャフトを振りかざし、千冬の救出に向かう

だが…。

 

レオはスイッチを使い、スコーピオンに変化した。

 

「他のホロスコープスに変化した!?」

「乗っているISが量産では、本調子ではあるまい!!!」

ドガアアアアアアアァッ!!!!!

「ぐううぅぅっ…!」「うああああぁぁっ!?」

Lスコーピオンはまわし蹴りを放って千冬を吹き飛ばし、駆け寄っていたメテオは彼女の体がぶつかって地面を転がる。

さすがに千冬といえど、本気を出せる状態ではないうえに、ホロスコープス最強のレオ相手には分が悪すぎた。

「織斑先生っ!メテオ君っ!」

山田が二人に駆け寄ろうとするが、その道をレオが塞ぐ。

「次はオマエだ、山田真耶…!」

「…来なさいっ!」

ドガガガガガガガガガガガァッ!

勇気を振り絞り、山田はLスコーピオンに攻撃を仕掛けた。

だが…。

「…面白くない」

無傷だった。

 

そして、その姿はカプリコーンへと変化している。

 

「次はカプリコーン…!?」

「オオオオオオオォッ!!!」

ドガアアアアァッ!!!!!

「きゃああああぁっ!?」

Lカプリコーンのウルクによる音波で、山田はあっさりと吹き飛ばされた。

「くそっ!ウオァタアアアアアアアァッ!」

メテオSはメテオストームシャフトを握り締め、Lカプリコーンに襲い掛かる。

しかし、Lカプリコーンはそれにも動じず、スイッチを押す。

次はキャンサーへと変化した。

ガキィンッ!

メテオSの攻撃はLキャンサーの甲羅に阻まれ、ダメージは皆無となった。

「メテオストームでも砕けないだと…!?」

「オレの肉体は特殊でな。獅子座の運命に他の星座の運命を重ねる事ができる。つまり、レオの状態から他のホロスコープスに変化できるのだ。そして…その力は元のスイッチャーよりも増している!!!!」

ズバアアアアアアァッ!!!

「ぐあああああああああぁっ!?」

元に戻ったレオはゆっくりとIS学園へ歩みを進める。

それでも彼女達は負けずに立ち上がり、戦おうとしている。

「させません…!」「まだ、私は倒れていない!」

「…邪魔だ」

ガッ!!!

苛立ちながら、レオは二人を足で蹴り飛ばし、学園のほうへ向かっていく…。

ガシッ…!

「それくらいでは、倒した事にならん…!」

それでも、千冬と山田はレオにしがみつく。

「…出来る事なら人は殺したくない。退いてくれ」

ふと、レオは静かに告げた。先ほどの殺気が一瞬で消えた。

何か…悲しみを込めているようにも見える。

だが、それでも彼の思い通りにさせるわけにはいかない。

「あなたが…IS学園の生徒に手を出さないなら、離れますっ!」

山田が強く叫び、千冬も頷く。

レオは俯き、少し考えて…。

「オマエ達の生徒を想う気持ちは理解した。おそらくオレがどれだけ痛めつけようとも、清水満子を出す気は無いだろう。望みどおり、生徒を守るために殺してやる」

トドメを刺すつもりになったようだ。ゆっくりと近付いてくる。

「役割を果たせた喜びを味わいながら、八つ裂きにされるが良い…!」

「ふっ…だからガキは嫌いだ…!」

皮肉を言いながら、彼の攻撃に備える。

おそらく、無駄なものになるようだが…。

 

そこへ…。

 

「そこまでだっ!」

大きな声と共に、仮面ライダー部の正式メンバーと布仏姉妹と更織姉妹が現れた。

使える者は全員がISを装備している。

「レオ!次こそは勝つ!」

「本来の実力が出し切れないとは言え、織斑千冬と山田真耶をこの有様にした、このオレを?」

レオは彼等の言葉に嘲笑する。

「勘違いするなよ。織斑先生も山田先生も…おまえより100万倍は強い!」

「根拠は?」

「絆だ!確かに一人や二人じゃ勝てないかもしれない。でもな…おれ達全員で力を一つにすれば、おまえになんか、絶対に負けないっ!!!!!」

宇月は自信を持って、そう宣言する。

「…青臭いガキだな。やはり…あの二人の息子だ」

千冬は肩を庇いながら立ち上がり、彼等の姿を見つめながら呟いた。

宇月はフォーゼドライバーを装着する。

<3><2><1>

「変身っ!」

レバーを引き、フォーゼBSへと変身した。

その右手には…コズミックスイッチが握られている。

「みんな、力を貸してくれよ!」

フォーゼBSがそう言い放つと、その場にいるレオ以外の全員…。

 

一夏、箒、セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラ、メテオS、本音、簪、楯無、虚、満子、瑞希、山田、千冬。

そして…青白いコズミックエナジーがゆりこを形作る。

 

この者達がそれぞれ手を、フォーゼBSの背中に当てる。

「最後に扉を開くのは…人間同士の絆だ!!!!!」

<COSMIC>

ドライバーのソケットにコズミックスイッチを挿入する。

レバーを引いて安全装置を取り外し…。

 

<COSMIC-ON>

 

遂に最後のスイッチを押した。

その瞬間、39個のアストロスイッチが転送され、フォーゼの体を纏い、光り輝いた。

「…到達したか」

レオはそれを見て、考えているように言った。

その輝きが収まった場所には…。

 

 

 

フォーゼの最終形態「仮面ライダーフォーゼコズミックステイツ」がいた。

 

 

 

「みんなの絆で…宇宙を掴むっ!!!!!」

右手に握られた「バリズンソード」のレバーを握り、少しずつ引いていくと、ロケットを模した部分が割れ、青い刃が飛び出した。

「コズミックステイツ…その力、見せてもらう。ウオオオオオオオオオオォッ!!!!!」

レオは咆え、フォーゼCSに走っていく。

<ROCKET><ROCKET-ON>

一方、フォーゼCSは胸のスイッチボタンを押し、具現化したロケットスイッチをバリズンソードに挿入し、突発力を高めた。

「行っくぜええええええええええええええええええええぇっ!!!!!」

ドガアアアアアアアァッ!!!!!

「ヌゥッ…!」

想定外のことがレオに起こった。僅かながら、彼に初めて痛みを与えた者が現れたのだ。

<ELEKI><ELEKI-ON>

更にエレキスイッチを具現化し、その力を纏う。

「うおりゃああああああああぁっ!!!!!」

バリイィッ!!!!!

「ウオオォ…!?」

通さないはずの電撃すら、レオの体にシビレとして巡った。

信じられないといった表情だが、彼の心にはまだ余裕がある。

「フンッ…そう来なくちゃ、面白くない!」

レオも反撃に移ろうとするが…。

 

「レオ、退くんだ」

 

突如ヴァルゴが現れ、彼の右腕を掴んだ。

「何故です…!?」

「我々の目的の一つが果たされた。そして、タウラスも覚醒が近い」

その言葉を聞き、レオは様子を変えた。

「タウラスが…!?」

どうやら、タウラスはレオにとって特別な存在であるらしい。

「…分かりました。コピーを残しておきます」

そう言うと、レオの呼び出した闇からリブラ、アリエス、ジェミニが現れた。

「まてっ!」

追おうとフォーゼCSは走るが、それよりも先にヴァルゴは空間転移でレオを自分諸共、送った。

そして、リブラ達が立ち塞がる。

「ラウラと礼のゾディアーツ…。2人の因縁もここで断ち切る!」

<GYRO-ON><SCISSOUS-ON>

ジャイロにシザースの切断力を混ぜ合わせ、ジェミニとアリエスを攻撃した。

ズバババババババァッ!!!

「グアアアアアアァッ!」「ウアアアアァッ!」

その威力はコズミックステイツの力も上乗せしているため、更に強力だ。

リブラが向かってくるが…。

<SPIKE-ON><HOPPING-ON>

スパイクにホッピングの力を混ぜ、左足で思い切り蹴る。

「くらえっ!!!」

ドガァッ!!!

「ウオオオオオオオォッ!?」

それにぶつかった途端、ホッピングのバネの力で吹き飛ばされた。

「トドメだ!」

バリズンソードを閉じ、コズミックスイッチを挿入する。

<LIMIT-BREAKE>

「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉっ!!!」

ドガアアアアァッ!!!

「「「ウワアアアアアアアァッ!?」」」

3人のゾディアーツの背後に光が現れ、そこにフォーゼCSが突進していく。

その先は、宇宙空間だ。

再度バリズンソードを開き、コズミックスイッチを引き抜く。

「離脱・セット!!!」

<LIMIT-BREAKE>

バリズンソードとフォーゼCSが青白く輝いた。

彼の最強最後の一撃を放つのだ。

 

「ライダァァァァァァァァァッ…超銀河・フィニィィィィィィィィッシュ!!!!!」

 

「「「グワアアアアアアアアアアアァッ!!!!!」」」

巨大な光の刃が3体のゾディアーツをまとめて切り裂き、大爆発を引き起こした。

こうして、フォーゼ達は一応の勝利を収めたのだった。

 

IS学園の近くで勇士がそれを見届けていた。

「いずれ私の力で…。紫苑…おまえも…」

そう呟き、凄まじい力で拳を握っていた。

 

それから数時間後。

彼等は再び臨海学校へ戻ってきた。

迎えたのは紫苑だった。

「みんな、大丈夫だった!?」

「あぁ!あのレオ・ゾディアーツも退けられた!」

胸を張って報告する宇月。

だが、それは彼だけの力ではない…。

「みんなのおかげだ!おれだけじゃ、レオに負けてたんだからな…」

そこでは、仮面ライダー部を始めとした、彼の仲間達が微笑んでいた。

満子と瑞希が歩いてくる。

「宇月君、本当にありがとうございました」

「あんたやみんなのおかげで、ホロスコープスから足を洗えたわ」

この二人も大丈夫のようだ。もうゾディアーツに関わる必要はないだろう。

それよりも…。

「そうだ!まだ臨海学校は終わってない!よぉっしゃ、泳ぎに行くぞおおおおおおっ!!!」

どこからかシュノーケルを取り出して頭に付け、走り出した宇月。

「あ、おい!今は夜だぞ!?」「全く、懲りない奴だな…」

一夏と箒は2人で彼の後を追う。

そして、礼も立ち上がった。

「たまにはハメを外すか。どうする?」

彼の問いに一番早く動き出したのはラウラだった。

「礼に賛成だ。よし、行こう!」

続いて、シャルロットが紫苑の手を引いていく。

「紫苑、ほら!お昼は全然、楽しめなかったから!」

「うわぁ!?ま、まって!転ぶぅ!」

次にセシリアと鈴音。

「箒さんだけに抜け駆けはさせませんわ!」「待て、一夏ぁ!」

狙いは一夏のようだ。競争するように走っていく。

さらに本音、簪、楯無、虚も歩いて着いていく。

「わぁい!夜の海ー!ばきゅん!」「いいよね、こんなときも」

「ま、付き合ってあげましょうか!」「ふふ…楽しそうですね…」

残された山田。

「本当はいけないんですけど…。わたしも行きます~!」

結局、雰囲気に流されてしまった。

 

新たな絆の形を手に入れた、仮面ライダーフォーゼとその仲間達。

 

彼等は、果たして宇宙への扉は開けるのだろうか…?

 

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

次回!

 

                           暴走!?

 

銀色の福音…

 

                           やっぱり、ホロスコープスが絡んでるか?

 

紅椿の初陣だ!

 

                           仮面ライダーもお助けだ!

 

 

 

第28話「福・音・暴・走」

 

 

 

青春スイッチ・オン!

 






キャスト

城茂宇月=仮面ライダーフォーゼ

織斑一夏

篠ノ之箒
セシリア・オルコット
鳳鈴音

辻永礼=仮面ライダーメテオ/アリエス・ゾディアーツ(回想シーンのみ)
ラウラ・ボーデヴィッヒ
布仏本音

シャルロット・デュノア
白石紫苑

ゆりこ/SOLU

更織簪
更織楯無
布仏虚
陽野瑞希

織斑千冬
山田真耶
白石勇士

リブラ・ゾディアーツ
アリエス・ゾディアーツ
ジェミニ・ゾディアーツ

清水満子=アクエリアス・ゾディアーツ
???=レオ・ゾディアーツ

???=ヴァルゴ・ゾディアーツ



如何でしたか?
遂にコズミックステイツが解禁です!
最初の相手に関して募集させていただいたのですが、断空我さんとジャマールさんの意見を混ぜた形にさせていただきました!
今回の話のイメージとしては…
「絆」と、フォーゼの過去・現在・未来を繋ぐ話にしようとしてみました!
次回はISのアニメにあった福音の話です!
多分、一夏と箒がメインになると思います
お楽しみに!

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