大樹は一夏にディエンドライバーの銃口を向け、脅迫するように言う。
だが、一夏はそれに屈する事はない。
「これを渡すわけにはいかない!」
「君はそれに価値を見出してるのかい?」
大樹の質問に一夏は頷く。
「この力で、みんなを守れるんだ」
「くだらないね。そんなもののために使うなら…」
引き金を引こうとした瞬間…。
「海東」
士が現れ、ディエンドライバーを手で押さえる。
「やぁ士。僕の気配を感じてきたのかい?」
「おまえはコソ泥の癖にやる事がデカイから、すぐ見つかる」
呆れ口調で言う士に対しても、大樹は不思議なほど爽やかな笑顔を見せる。
「ディケイドのカードを返せ。あれがないと、この世界での役目を果たせない」
「じゃあ、お宝と交換だ。フォーゼドライバー、ホロスコープススイッチ、IS。どれでも好きなものを渡したまえ」
ディエンドライバーで打つような仕草をみせ、オーロラの中に消えて言った。
「あ、おい待て!」
後を追おうとするも、既に手遅れだった。
宇月と礼と合流したのち、写真館で集まった。
「士さんがいるから、これからリブラの集中攻撃が待っているだろうな」
礼は眉間にしわを寄せて呟く。
リブラである鳴滝は、士ことディケイドを異様なほど憎んでおり、今回も積極的に前線に現れた。次回もおそらく今回のように…いや、それ以上の力で攻めてくるかもしれない。
今はフォーゼ、メテオ、龍騎、クウガ、キバーラがいるため、何とかなっているが、相手もそれを考慮しているはず。十分な戦力とは言え、確実な安心はできない。
そもそも、相手にはまだ本格的な戦闘に直面した事はないが、ホロスコープス最強の2人、レオ・ゾディアーツとヴァルゴ・ゾディアーツもいる。どちらかでも戦いに参加されようものならば、勝率はかなり減るだろう。
「どうしよう…勝てるだろうか…」
箒は不安そうな表情で辺りを見渡している。
「まだ、深刻な状況ではないですけれど…」
「いずれはそうなるよね…」
「レオやヴァルゴまで攻めてきたら…」
セシリアと鈴音もあまり自信のある表情ではない。
だが、そのなかで唯一、自信に満ちた表情の者がいた。
「大丈夫っすよ!まだみんな戦えますし、仮面ライダー部にも紫苑と本音が仮入部しましたし!」
「うん、うっちーやおりむーのサポートは、たくさんするよ~」
「い、いや、布仏さんはともかく、僕が入ったところで、何も変わらないと思うけど…」
紫苑は遠慮がちに否定するが、宇月は仲間を信じている。
たしかに幾度も困難にぶつかった。だが、いつも切り抜けてこられた。
「…士さん。おれ、彼等に任せてみたいです。この世界と大樹さんの事」
竜也がふと呟いた。
彼もまた、宇月の言葉や彼の信じる仲間を信じてみたかったのだ。
だが、それは仮面ライダーという大きな戦力を削る事。
「でも、それでは…!」
山田は焦った。
だが、一夏は敢えてそれを受け入れた。
「確かに、いずれはおれ達だけで戦うことになる。龍崎先生も士さん達もずっとここにいられるわけじゃない。それにおれ達の世界のことは…最後はおれ達で決着をつけなきゃいけない」
彼等の姿を見て、士は軽く笑う。
「少年少女の自立か。まぁ、いい心がけなんじゃないのか?」
「士君、そんな言い方しないでください!」
夏海の突込みをスルーして、彼等のもとに歩み寄る。
「たしかに、お前達の世界はお前達で決着をつける必要がある。俺達は見守る側になろう…と言いたいところだが、俺もこの世界で取り戻したいものがあるからな」
「ディケイドですか?」
シャルロットが尋ねると、士は首を振る。
「それもだが、もう一つある。旅の中で手に入れた「大事なモノ」だ」
それから暫くして、ヴァルゴはリブラとレオを召集した。
だが、リブラの様子は穏やかではない
「ディケイドめ…変身できないとは…」
「都合が良いのではないのかな?」
確かに邪魔な存在であるディケイドが変身できないとなれば、彼は無理にディケイドと戦う必要はないように、ヴァルゴは感じた。
「それではいけないのです。ディケイドは滅ぼさなければ…」
「破壊者には破壊を持って滅ぼす…という訳か」
ヴァルゴはリブラの執念に呆れながら、呼び出していたレオに声をかける。
「新たな使徒は…?」
「水瓶座の覚醒は近いうちに。ですが…少々厄介な事が」
「どういう意味だね?」
喜ばしいはずなのに、レオの言葉で疑問を抱く。
「覚醒の可能性があるスイッチャーは、覚醒した暁にはIS学園のとある生徒を仲間として迎え入れて欲しいという条件を要求しています」
「そうか…それは困ったね。その者の星座の運命は…?」
だが、その仲間に迎えたい生徒に星の運命があれば、願ったり叶ったりなのだが…。
「確証はありませんが、感じられません。おそらく残された牡牛座と射手座に覚醒する可能性はゼロと見て良いかと」
ヴァルゴは暫く顎に手を当てて考える。そして決意したように再び、レオを見た。
「止むを得ない、私の顔を見ない事を条件に入れた上で、もう一度交渉してみては貰えないだろうか?」
「わかりました」
相変わらずレオは、無感情な言葉の後、会釈をして姿を消した。
「リブラ。君は引き続きディケイドとフォーゼ達の妨害および排除を。ダスタードも少々多めに用意できるようにしておく」
「はい。ディケイド…今度こそ!」
次の日。
「ムウウウゥゥゥ…!」
IS学園内に再びダスタードの群れが現れた。
仮面ライダー部達と士はそこへ急ぐ。
「多いな。やはりリブラか…」
士は今戦えない。ならば今出来る事は…。
「本音、箒、2人は士さんと一緒に大樹さんを!ダスタードはおれ達がやる!」
ラウラ以外の専用機持ちはISを展開し、宇月はフォーゼドライバー、礼はメテオドライバーを装着する。
「わかったよ!」「いこう、士さん!」「頼む!」
宇月の言葉で3人は大樹の捜索を始める。
彼等の姿がなくなったと同時に、ドライバーを起動させる。
<METEOR-ON READY?><3><2><1>
「「変身っ!」」
2人はフォーゼBSとメテオに変身した。
「ラウラ、力を貸してくれ!」「任せろ!」
パワーダイザーに乗り込んだラウラは、メテオの隣に立つ。
「一夏、おれとペアで戦ってくれ!セシリア、シャルロットは遠距離からの援護、鈴音と紫苑は別行動でダスタードを殲滅だ!」
全員は頷き、それぞれの役割の戦いに向かう。
学園の外に出て暫くして、大樹は現れた。
「海東…」
「やぁ、お宝を渡す気になったかな?」
「大樹さん、士さんにカードを返してください!」
箒は彼に詰め寄るが、全く表情を変えずに銃を向けるような仕草で指を指す。
「じゃあ、お宝だ。それを渡すことが交換条件だったはずだよ」
「なんで…そんなにお宝にこだわるの…?」
本音が尋ねると、大樹は笑みを浮かべて説明を始める。
「手に入れたいのさ。世界には色んなお宝がある。僕はそれを手に入れたいだけだ」
その先にあるモノは、どうやら教えてはくれないようだ。
だが、士は彼に歩み寄り、こう言った。
「じゃあ、そのお宝をくれてやる」
「へぇ…手に入ったのかい?」
そして大樹へ手を差し伸べた。
「…何だいそれは?」
「お宝だよ」
大樹の質問にも、そう言い放って手を突き出す。
箒も本音も、士の行動が理解できなかった。
「昔、言ったよな。仲間と言うのは、何よりも勝る最高のお宝だと。ビッグマシン計画のとき、お前はそれを失ってしまった。だから取り戻せよ、お前が最高と言ったお宝を」
士は少しだけ笑みを浮かべて、彼の反応を待つ。
だが…。
パシッ!
大樹はその手を払い除けた。
「大樹さんっ!」「そんな…ひどいよ…」
その行動を見た箒達は、大樹を罵倒するが、それとは対照的に大樹は…。
「受け取りたまえ」
カードを士に手渡した。
「僕にとっては、ただのガラクタになってしまった」
そのことで箒達は漸く気付いた。
大樹はディケイドを超える宝物を手にする事は出来たのだ。
少しだけムスッとした表情を作り、その場から離れていく大樹。
不意に士が呼び止める。
「次の世界であったときは…」
「やめたまえ。前にも言ったが、君の事なんて考えたくはない」
そう言って振り返った大樹の顔は笑顔だった。
「でも…忘れない」
そしてオーロラに消えていった。
「なんだったんだろ、大樹さんって…」
「コソ泥だ。お宝の価値は随分とバリエーション豊かだがな」
本音の疑問に、士はカードを見つめながら微笑んで答える。
「さぁ行くぞ。この世界の最後の仕事だ。鳴滝を倒す!」
一方、ダスタードと交戦中のフォーゼBS達。
<AERO-ON>
「こっち来い!」
ゴオオオオオオオオォ…!
エアロの強力な吸引力で、ダスタードの動きを止めて集中させた。
そこを狙って、一夏は雪片弐型を振りかざす。
「うおおおおおおおおぉっ!」
ズバアアアアァッ!
「今だ、セシリア、シャルロット!」
「了解ですわ!」「はあああああぁっ!」
一夏が作ったその隙に、セシリアとシャルロットのスターライトmkⅢとガルムがダスタードを狙う。
ドガアアアアアアアアアァッ!
「どわあああああぁっ!?」
しかし、威力が強すぎてエアロでダスタードの近くにいたフォーゼBSもダメージを負った。
「う、宇月ごめん!」「大丈夫ですか!?」
「あたた…気をつけろよ!フォーゼと言えど、ISの攻撃を喰らったら、命が幾つあっても…」
愚痴を言っているフォーゼBSの背後にダスタードが迫る。
「城茂君、あぶない!」
そこへ、丁度近くにいた紫苑が立ち塞がる。
ズバアアアァッ!
「うああああああぁっ!」
まともな戦闘が上手くできない紫苑は、せめてものとしてフォーゼBSの盾となったのだ。当然、フォーゼBSが受けるはずだったダメージは紫苑に与えられる。
「紫苑、大丈夫!?」「痛い…けど、城茂君を守れたから…」
痛々しい笑みを浮かべる紫苑。シャルロットは心配そうな表情で彼を抱き起こした。
「紫苑っ!このやろう!」
自身の不甲斐なさと、仲間を傷つけられた怒りを胸にさらにフォーゼBSは戦い続ける。
メテオとラウラは…。
「ラウラ!ダスタードを手当たり次第に捕まえて固定しろ!」
「あ、あぁ!」
彼の意図は分からないが、ラウラは素直に指示に従い、パワーダイザーの豪腕でダスタードを捕まえていく。
<JUPITUR-READY?><OK-JUPITUR>
「オオオオオオオオオオオオォ…アチャアアアァッ!」
ズドオオオオオオオ!
「ムウウウウゥ…!?」
身動きの取れないダスタードをジュピターハンマーで殴り、その爆風で吹き飛んだ残りのダスタードへ追い討ちをかける。
<LIMIT-BREAKE LIMIT-BREAKE><OK>
「オオオオオオオォ…アタタタタタタタタタタタタタタタタァッ!」
ドガガガガガガガガガァッ!
スターライトシャワーを放ち、ダスタードを確実に減らしていく。
「礼!」「ナイスアシストだラウラ!この調子でいくぞ!」
<GIANTFUT-ON>
「踏んづけてやるっ!」
ドガアアアアアァッ!
フォーゼBSはジャイアントフットの力で、紫苑の周りにいるダスタードを踏み潰す。
<WINCH-ON>
さらにウインチで周りのダスタードを一纏めに縛り上げる。
「いくぞ鈴音!」「まかせなさい!」
<FIRE-ON><LIMIT BLEAKE>
「ライダァァァァァァ爆熱シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥト!」
ドガアアアアアアァッ!
拘束したダスタードを倒すべくフォーゼFSにステイツチェンジし、すぐさまリミットブレイクを発動する。鈴音の龍砲と同時に放ち、一気に数を減らすことに成功した。
「一夏、手は空いてるか!?」「今なら大丈夫だ!」
次に一夏と戦う。
「分割っ!セット!」
<N-MAGNET><S-MAGNET>
<N・S MAGNET-ON>
フォーゼMSにステイツチェンジして、後方支援を行なう。
「おりゃああああああああぁっ!」
ダダダダダダダダダダダダダ!
マグネットキャノンの威力で吹き飛んだダスタードが向かう先には一夏がいる。
「はあああああああぁっ!」
ズバアアアアァッ!
それらを全て切り裂いていく。
「よし!みんな、良い調子だ!」
そこへ…。
「フンッ!」
ドガアアアアアアアアァッ!
「うわああああああああああぁっ!?」
突如、凄まじい爆発が起こり、フォーゼMSは吹き飛ばされた。その拍子にNSマグフォンもベルトから離れ、もとの宇月へと戻ってしまう。
攻撃の主は…。
「ディケイドは何処だ?早く出せ…!」
リブラだった。その雰囲気からは狂気すら感じる。
ダスタード戦で消耗してしまった一同は、彼との戦いに一抹の不安を感じるが…。
「俺を呼んだか、鳴滝?」
士がそこへやってきた。後ろには箒と本音も引き連れている。
「さぁ、私と戦うのだ。ここで、お前の旅は終わらせる!」
「そうはさせるか!」
<METEOR-STORM><METEOR-ON READY?>
メテオは、リブラから士達を守ろうと、メテオSにステイツチェンジして立ち塞がる。
「ディケイドさえ倒せるならば、君達に興味はない。退くんだ」
ディケを地面に突き立ててそう言い放つ。
士はそれを聞いて鼻で笑う。
「それじゃ、お前は勝てないな」
「どういう意味だ?」
リブラの質問に、続けて答える士。
「この世界は俺達の世界じゃない。この世界も物語も、こいつらのモノだ。こいつらの絆はな、そう簡単に壊れないみたいだぜ?それに興味すら湧かないお前は、こいつらと心を通わせた俺には絶対に勝てない!」
「下らん戯言を…一体、何なんだ、お前は!」
リブラの言葉に、士は自信のある表情高らかに宣言した。
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」
「いくぞ、宇月!」「はい!」
士はディケイドライバーを、宇月はフォーゼドライバーを装着し、それぞれカードを構え、赤いスイッチを起動させる。
<3><2><1>
「変身っ!」
<KAMEN RIDE-DECADE>
宇月はフォーゼBSに、そして士は異世界を旅する戦士、仮面ライダーディケイドへと変身した。
「ディケイド…ここで破壊する!」
リブラに向かって、2人は駆けていった。
「おれ達も戦うぞ!それがおれ達の物語だ!」
一夏の言葉で、残りの専用機持ちも再び、ダスタードとの戦いに向かっていった。
<ELEKI-ON><KAMEN RIDE-BLADE>
どちらも電気を使えるフォーゼESとDブレイドに変身した。
「喰らええええええぇっ!」「はああああああぁっ!」
ビリーザロッドとライドブッカーに電撃を纏い、リブラに攻撃を仕掛けるが…。
「遅い」
彼は瞬間的な高速移動を連続して使う事ができる。
ドガァッ!バキィ!
「うあぁっ!」「ぐっ…!」
その攻撃の嵐に、2人は翻弄される。
だが、Dブレイドの表情にはまだ余裕があった。
「なら、もっと早く…!」
<ATTACK RIDE-MACH>
「はぁっ!」
マッハジャガーの力でリブラ以上の速さを獲得したDブレイド。
ドガァッ!
「グゥッ…!」
想定はしていたが、リブラにはこの攻撃を防ぐあるいは避ける手段を持ち合わせてはいなかった。
<NET-ON><STUMPER-ON>
「これでっ!」
隙の出来たリブラを、ネットで拘束した上でスタンパーの左足を蹴り込むフォーゼES。
だが痛みはない。
「ムンッ!」
ドガアアァッ!
「うわああぁっ!」
光の網を振り払った勢いでフォーゼESは吹き飛ばされる。
「そんなもので私を…!」
そこから反撃に出ようとしたところだが…。
ドクンッ!
「な、何っ!?」
突如、リブラの体内で衝撃が走って膝をついた。これがスタンパーの真価である。攻撃後の数秒後に衝撃を与えると言う時間差攻撃が可能なのだ。
<LIMIT-BLEAKE>
「ライダァァァァァァァァ100億ボルト・ブレェェェェェェェェイク!」
バリィッ!
「ヌアアアアァッ!」
動きに鈍りが見えたリブラに、リミットブレイクを使う。しかし、決定打にはならないようだ。
そこに元に戻ったディケイドが肩を叩いてきた。
「宇月、ちょっとくすぐったいぞ」
<FINAL FORM RIDE-FOFOFO FOURZE>
新たなカードを読み込ませた瞬間、フォーゼESは強制的にフォーゼBSへと戻される。
「な、何が…?」「良いからあっち向け」
言われるがままに、ディケイドに前を向かされる。
「ふんっ!」
トンッ!
「うお!?お、おおぉぉぉ!?」
背中を叩かれる。すると、フォーゼBSの身体は、人体的には有り得ない方向へ変形していく。そしてロケットモジュールそっくりの形になり、ディケイドの右手に収まった。
フォーゼのファイナルフォームライド「フォーゼモジュール」だ。
「これ…ロケットモジュール!?」「俺とお前の力だ」
2人の会話の後、フォーゼモジュールはジェット噴射でディケイドと共に、リブラへ突進していく。
ドガアアアァッ!
「ムゥッ…!」
なんとか防ぎながら耐え凌いでいるリブラだが、ディケイドは再びカードを読み込ませた。
<FINAL ATTACK RIDE-FOFOFO FOURZE>
「ライダーディケイド・ロケットパンチ!はああああああぁっ!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオォッ!
ジェット噴射は更に威力を増し、リブラの身体に亀裂を入れていく。
「おのれ…おのれディケイドオオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!!!」
ドガアアアアアアアァッ!
遂にリブラにも限界が来た。その力に吹き飛ばされ、地面を転がる。
「この世界でも…ディケイドの排除は…」
そう言いかけた時、彼の瞳が妖しく輝く。そして2人とダスタードに立ち向かう仮面ライダー部達を見て…。
「そうか…そういうことか!」
何かに気付いたらしい。
「ディケイド…やはりお前は破滅を呼ぶ。この世界にもお前のせいで破壊が始まりかけている」
不気味な笑みを残してリブラは爆発し、鳴滝の姿に戻った。だが彼には、そんなこともお構いなく、話を続ける。
「お前は必ず、この旅を後悔する事になる。次の世界で…待っているぞ」
そのまま、リブラスイッチを残してオーロラに消えた。
<LIMIT-BLEAKE>
「メテオストームパニ…なに!?」
メテオSがリミットブレイクを使おうとした瞬間、残されたダスタード達は唐突に姿を消した。リブラの消失によるコズミックエナジーの途切れが原因のようだ。そこから導き出されるモノは…。
「か、勝ったぁ…」「やったね、紫苑!」
地面にへたり込み、霧裂を解除する紫苑。彼の肩に手を置いて優しく微笑むシャルロット。
ホロスコープスをまた一人、撃破することが出来たのだ。
それから暫くして…。
「リブラスイッチを回収しました」
「ご苦労」
レオはリブラが倒れた後、早急にリブラスイッチを回収し、ヴァルゴの元へと届けたのだ。
「どうだね、水瓶座は…」
「もう少しだけ覚醒には時間が掛かるようですが、要求はのみました。我々の傘下に入ることは確定です」
どうやら、レオはアクエリアスの可能性があるスイッチャーとの交渉に成立したようだ。
「さらに朗報です。このリブラスイッチに…超新星の「ラプラスの瞳」が記憶されています。おそらく、ディケイドとの交戦中に覚醒したもの」
「そうか…!ついに星の運命を確実に見ることの出来る力を…!」
これで残る十二使徒を見つける事は比較的、容易くなった。
「さぁ…残るタウラスとサジタリウス…この2つの星座を早急にこの地上に引きずり出すのだ」
ヴァルゴは残された戦力が減った事も気にせず、高らかに宣言した。
その日の夜…。
IS学園の外で、士や竜也達と仮面ライダー部は向き合っている。別れの時が来たのだ。
「行ってしまうのですね…」
セシリアは寂しそうに言う。
やはり名残惜しい。短い間でも心を通わせた仲間なのだから。
「いつかまた会えるよ。俺達はこれからも旅を続けているから」
ユウスケは微笑んでサムズアップをした。
夏海とキバーラも優しく微笑んで、宇月達を見つめる。
「この世界での物語…きっと紡いでください」「キバーラお姉さんとのお約束よ~」
「そうね。わたし達が紡ぐから…」
鈴音は笑顔で頷く。
「またおいで。コーヒーやお菓子、沢山ご馳走するから」
「わぁい、お菓子~!うん、きっとまた来るね!」「お菓子が重要なのか」
栄次郎の言葉に喜ぶ本音に、鋭く突っ込む礼。ラウラも隣で微笑んでいる。
「いつまでも、絶対に大切な事は忘れないでね。そうすればきっと…」
「はい。月宮先生」「絶対に忘れません。みんなも、先生達のことも」
あゆと手を握り合うシャルロット。紫苑も彼女達の別れを持って、新たに決意した。
「君達なら絶対に大丈夫。どんなときでも力を合わせて。無力なんてことはないから」
「はい。龍崎先生のおかげで、自分にも少し自信が持てました」「みんなで、この学園を守って見せます」
竜也にも自らの決意を伝える一夏と箒。より強い絆が生まれていくのだろう。
「なんか、いろいろとありがとうございます、士さん」
「気にするな。俺もいろんなモノを取り戻せたんだ」
宇月と士は互いに感謝しあっている。2人はお互いに何かを手に入れ、何かを取り戻したのだ。
オーロラの彼方へ竜也とあゆは消えていった。
「…じゃあな」
宇月達を写真に収め、手を振りながら、士達もそのオーロラに向かっていった。
写真館内。
「みんな、良い笑顔ですね」
夏海は士の写した写真を見ている。
それは、宇月をはじめ、そこにはいなかった千冬や山田など、彼等と関わりが深い者がそれぞれ笑みをたたえている写真だった。
だが…。
「まだ…脅威は残っているみたいだがな」
その写真には、黒い霧が立ち込めている所があった。
「それじゃあ…」
「いや、ここからはあいつらの物語だ。俺達も旅を続けて、物語を繋ぐ」
士は「IS学園の上空に、ダークネヴュラと幾つものアストロスイッチがある背景ロール」を見つめた後、鎖に手をかけた。
世界の破壊者、ディケイド。無数の世界を巡り、その瞳は何を見る…?
ちなみに…。
「おかしい…連絡もない」
千冬はずっと首をかしげている。
「教育実習生はどうなったんだ…?」
これも士がこの世界に残した、ここにいた証拠…なのだろうか?
事実を知っている山田は…。
「あ、あははは…」
真実を語り辛く、引きつった笑みを浮かべ続けていた。
続く…。
次回!
一夏の中学時代の友達か!
仮面ライダー捜索会…?
弾と蘭も入ってるのかよ?
来ちゃった…
唐突過ぎるよ…!
偶然の鉢合わせってあるんだ…
40番目のスイッチ…「コズミックスイッチ」だ
第24話「休・日・来・訪」
青春スイッチ・オン!
キャスト
城茂宇月=仮面ライダーフォーゼ
織斑一夏
篠ノ之箒
セシリア・オルコット
鳳鈴音
辻永礼=仮面ライダーメテオ
ラウラ・ボーデヴィッヒ
布仏本音
シャルロット・デュノア
白石紫苑
織斑千冬
山田真耶
龍崎竜也=仮面ライダー龍騎
月宮あゆ
門矢士=仮面ライダーディケイド
小野寺ユウスケ=仮面ライダークウガ
光夏海=仮面ライダーキバーラ
キバーラ
海東大樹=仮面ライダーディエンド
光栄次郎
鳴滝=リブラ・ゾディアーツ
???=レオ・ゾディアーツ
???=ヴァルゴ・ゾディアーツ
如何でしたか?
効果音や電子音のとき行を空けたほうが良いとアドバイスを頂いたのですが、実際に書いてみるとなんだかバランスが合わなかったように感じたため、今までのスタイルでいくことにしました。意見を下さった方、申し訳ありません(汗)
この話で少しだけ伏線も張ってみました。気付いた方はいますかね…?
次回は休日編です。ゾディアーツもフォーゼもメテオも出さない(予定)です。
おたのしみに!