やはり俺の出所後生活は間違っている   作:ミーアキャット

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第一話です。
まだ始まったばかりなので、キャラの絡みが微妙ですね。
というか、由比ヶ浜動かしづらすぎです。
でも、意外と原作でも彼女は大人数の時はあまりしゃべっていなかったりする特徴もありますし、そういうことで


序章・遊戯部編
1話 藤野清志は覗き魔の烙印をおされる


 

 

青春とはエロスであり、夢である。

青春を謳歌せし男たちは常に女子のパンツを見ることだけを考え、そのためならば自らに白い目を向けられることもいとわない。 彼らはパンチラの四文字の前ならば、どんな一般的な解釈も社会通念も時には法律さえも捻じ曲げてみせる。 彼らにかかればバストもウエストもヒップも目測で測ることなど簡単なことであり、それをおかずとして飯を食えるのだ。 仮に挑戦し続けることが青春の証であるのなら、学校中でパンチラスポットを探し続けるのもまた青春のド真ん中でなければおかしいではないか。 しかし、女子たちはそれを認めないだろう。 男子ってサイテーと言うだろう。すべてにおいて女子は常に裁く側であり、男子は常に裁かれる側なのだ。

 

 

 

 

結論を言おう。

 

 

 

『パンツよりもマ◯コが見たい。』

 

 

 

 

ここまで書いて俺は無言で紙を引き裂いた。

思いかえせば、この授業の時間中ずっとこれを書いていた。

いや、ちょっとホント真面目に。

 

…バカすぎるだろ、俺。

 

正直、結構精神的にきてるのかもしれない。

 

 

総武高校に転校してきて早一週間。

現在六月の中旬だ。

新たな出会いに胸を躍らせ、六月中にはきっと童貞なんて卒業できると思っていた俺の幻想は入って早々に砕け散った。

 

なぜだか分からないが、転校先にまで俺が覗きで退学になったことが伝わってしまっていたからだ。

クラスに留まらず、学校中の女子から送られる数多くの冷たい視線は、プリズン送りにされた時に一度経験していたといってもやはり苦しいものは苦しい。

せめて、踏んづけて罵りでもしてくれれば喜びも生まれるというのに…。

 

 

こうして俺の童貞卒業計画は再び目の前から霧消したのだった。

 

 

しかし、唯一の救いは男子の方のリアクションが比較的良好であったことである。

女子と違い、覗きをされたからといって、全く困らない男子たちはそんな俺にも、積極的に話しかけてきてくれたのだ。

やはり、特に下ネタの話題は大いに盛り上がり、日に日に俺の席の周りに男子たちが集まってきた。

下ネタのコミュニケーションツールとしての偉大さというものを改めてよく知った瞬間であった。

 

 

今では男のコミュニケーションでは欠かすことができない、「一番好きなのは何カップ?」や、「あの子のパンツは何色か?」の討論を放課後に何時間も熱く交わすまでになったのである。

ちなみにこの討論会を開いてから、女子からの風あたりが更に強くなった気がするけど、気のせいだと思いたい。

 

 

だから現状としては監獄に閉じ込められることもないし、割と平穏に過ごせていると言えるかもしれない。

 

 

しかし、やっかいなことが一つ。

 

 

「おい藤野。私の授業を聞きもしないで、ポエムを書いているとはずいぶんといい身分じゃないか。」

 

 

生活指導らしき国語教師に目をつけられてしまったのだ。

 

 

「すみません。平塚先生。」

 

 

先ほどの彼女の授業中ずっと、謎の作文を書くことに費やしていた俺の行動は彼女に見られていたみたいで、あの後職員室に呼び出しをくらい、放課後のエロトークをすることもできず、今こうして先生のもとに訪れるハメになってしまっていた。

 

 

「まったく君というやつは。本当にいい度胸をしている。…まぁしかし、まさかこんなに早く学校に馴染むとは思っていなかったよ。入学直後は色々と大変だったのだろう?よくもまあこれだけの期間で…。相変わらず女子の好感度は変わっていないようだがな。」

 

 

ふふと少しだけ左の口角を上げ薄く笑う平塚女史。

美人な教師であり、ものすごい巨乳の持ち主の彼女に初めて会った時には俺の股間のアンテナは二本までたっていたのだが、彼女の人と成りを見た今となってはアンテナは一本もたたず。完全に圏外だ。

いやはや、危険度が高すぎるのである。

そう、彼女は考えるよりも先に拳が出る人なのだ。

しかも気持ちよくなれない方のタイプ。

副会長のお仕置きと違い、パンチラのようなアメはなく、ムチしかないのでこちらとしてはやっていられない。

 

 

まあ、それでも女教師でこれだけの美人で、あの巨乳を所持しているとなれば、それに投資したいと思ったことは正直何度もある。

フジノミクスと称しておっぱい革命を起こしたすぎた。

俺は今一度こっそりと彼女の胸を揉む方法を考えてみる。

…ふむ。

 

 

「衝撃の!ファーストブリットォ!!」

 

「ぐおはぁ!」

 

 

…なぜだ、いきなり殴られたぞ。

何も口には出していないはずなのに。

もしかして、あのおっぱいが邪な思いを察知するレーダーの役目をしているのか?

だとするとこれは早急に対策を打たなければならない。

つまり揉まなければならない。

千代ちゃんごめん。

俺はこんなところで負けてはいられないんだ。

意を決して俺はそろっと巨乳に手を伸ばしてーー

 

 

「悪い、昔の癖で人の武装色の覇気が見れてだな。藤野、あんまり余計なことをするようなら、うっかり私の抹殺のラストブリットまで出てしまうかもしれないぞ。」

 

「すみませんでした!」

 

 

ここが引き際、流れるように土下座へ移行する。

てか、先生って見聞色使えたんですね…。

 

 

「はぁ、君はこの年でどれだけスムーズな土下座をしているんだ。慣れすぎだろう、まったく。」

 

 

当の平塚先生は呆れた様子である。

 

 

「…うーん、やっぱりこいつもある意味更生が必要かな。…ではこいつはあそこに入れようか。あいつらは時々不安定になるから心配なんだよなぁ。もしかしたらいいカンフル剤になるかもしれんし。…うん、そうしよう。」

 

 

そしてその後、小さな声でぶつぶついってから先生は俺にこういった。

 

 

「藤野。お前は私の授業を不意にした。だからこれは罪だ。そして罪には罰を与えなければならない。なので君には奉仕活動を命じる。奉仕部にいくぞ。」

 

 

平塚先生は乳としてそう言った。

嬉々としてそう言った。

 

 

奉仕部?

一体何を奉仕するのだろう。

 

 

ついついあんなことやこんなことを考えてしまう。

同時にあれ、これってもしかするとチャンスなんじゃないか?などとも思う。

 

 

しかし一旦踏みとどまって考える。

たいていこういった上手い話には、裏があるに決まっている。

俺はここ最近で裏生徒会にも何度も騙されてるのだし、何度も同じ失敗を繰り返すのはバカだけである。

 

 

…いや、それでもやっぱり目の前にご奉仕が待ってる可能性があるのだとすれば、男ならやはり行くしかないか。男キヨシ、いざ参る…!

 

 

男とはいつだって性欲の前にはバカなのであった。

 

 

「…あー、藤野。残念ながら君の考えているようないかがわしい部ではない。学校のために働いてもらうだけだぞ。」

 

 

そして現実はそう甘くない。

やっぱり騙されたかっ!

くそう!くそう!

 

というか、よくよく話を聞くと裏があるどころか表がなかった。

実質のただ働き宣告である。

あの獄中生活と状況は何ら変わりない。

なら仕方がない。ここは戦略的撤退が吉、…逃げよう。

 

 

そう決意をしていたところで肩にポンと手を置かれる。

前を見ると平塚先生が慈愛に満ちた笑顔を浮かべていた。

思わずこちらが恥ずかしくなってしまう。

その表情のまま平塚先生は言ったのであった。

 

 

「逃げたら私の拳を与えるからな。よし、ついてきたまえ。」

 

 

ものすごい落差の脅しに止まったままでいると、扉の前で平塚先生はこちらを振り返った。

 

「おい、早くしろ。」

 

 

 

どうやら俺はまたも脱獄に失敗してしまったみたいだ。

 

 

 

× × ×

 

 

 

「ここだ。」

 

 

そういって平塚先生が指したのは教室棟と中庭をはさんで反対の位置にある特別棟にある一つの教室だった。

 

 

プレートさえ何の装飾も施されていないその教室の扉に手をかけ、平塚先生はガラガラと開けた。

 

 

「じゃまするぞ。」

 

 

「平塚先生。入る時にはノックをと何度も言っているのですが。」

 

 

教室の中には二人の女子生徒がいた。

 

 

今平塚先生に注意をした生徒はまるで絵画から飛び出してきたような美少女だった。

綺麗な黒髪に端正な顔立ち、知的な雰囲気までまとった彼女はどこかの裏生徒会長に似ている。

…確かこの人って。

ここ一週間ほどの間の自分の記憶に問いかけ、一つの答えがひっかかる。

そうだ、二年生の雪ノ下雪乃さんだ。

クラスの男子との会話の中で何度か出てきたから覚えている。

 

 

「…はぁ、また厄介なものを連れててきたんですか。

 

既にうちの部室には目の腐った霊が取り憑いているのでお祓いを終えてからにしてもらえますか。」

 

 

なんか自然な流れで厄介なもの扱いされた気がする。

 

 

「さらっと人のこと幽霊呼ばわりするのやめてくれない。なんなの、成仏して地獄に落ちろっていいたいの。って地獄に落ちることは決まっちゃってるのかよ。」

 

 

今まで気づいていなかったが、よく見るとどんよりとした目の男子生徒もいたみたいだ。

恨みがましい視線を彼女に向けている。

 

 

「一応天国にはいけない自覚はあるのね比企谷くん。まあそんな観念的な話をするつもりはなかったのだけれど。

 

それで、あなたはまずは自己紹介でもすればどう?それとも幼稚園の時にやり方を習わなかったのかしら。」

 

 

どうやらあの男子生徒は比企谷さんというらしい。

雪ノ下さんとタメで話しているようだし、彼も二年生なのだろう。

そんな風に考察していると鋭角に罵倒が飛んできた。

 

 

「一年C組藤野清志!特技は服の早脱ぎです!」

 

 

こういうのは最初の印象が肝心だ。

表情をキリッとさせ、はきはきと答える。

 

 

「特技の紹介は微妙だった上に必要なかったと思うのだけれど…

 

それにしても最近転校してきたばかりでもうここに連れてこられるだなんてそこの小悪党よりも性根が腐っているということかしら。」

 

 

男たちを罵倒しながらも、どこか嬉しそうな表情を浮かべて彼女は言った。

 

 

「人を小悪党扱いするんじゃねーよ。確かに一緒にやってくれる仲間はいないから規模は小さいけど。ついでにできる悪さの規模も小さい。そもそもぼっちは人と関わらないから悪さもしない、世界的に考えてまじガンジー。」

 

 

「…うざ。」

 

 

フヒッと正直少し気持ち悪い含み笑いをうかべた比企谷さんに呆れた様子の雪ノ下さんは冷たい視線を向ける。

 

 

「…ってゆーかさ、あれってお風呂覗いたのが原因で転校してきた人だよね。ゆきのん、あの人大丈夫なの?」

 

 

もう一人の女子生徒が雪ノ下さんにポショポショと耳うちをしている。

彼女の特徴と言えば、男子の夢がいっぱい詰まった大きな大きな胸である。副会長と良い勝負かもしれない。それにギャルっぽい風貌ではあるが、かなりかわいい顔立ちをしている人でもある。

 

 

「まあ君たち、なんにせよ彼は性欲が服を着て歩いているようなものではあるが、それにさえ目をつぶれば人間としてはそこまで悪い人間ではないよ。

 

彼が以前通っていた学校もかなりの進学校だから、頭の回転も悪くない。そこまで心配しなくても大丈夫だ。」

 

 

平塚先生のフォローはまったくその役割を果たしていなかった気もするし、全くなかったらなかったでヤバい状況になっていた気もする。

つまり、俺は先生と由比ヶ浜さんのおっぱいはどっちの方が大きいかを考えるのに忙しいので、それどころではないのだ。

 

 

「それは人として致命的な欠陥だと思うのですが…。

 

はぁ、ですがそうだとすれば私たちが彼にしてあげられることなど何もありませんが。」

 

 

そうこめかみを指で押さえる仕草をしながら彼女はいった。

 

 

「まあそう結論を急ぐな。依頼は…そうだな…そう、彼の行動の監視だ。一応前科もあるし理由としては十分だろう。そして彼をここに連れてきた目的だが、彼にもこの奉仕部に入ってもらう。ほら、先日も新部員の補充について話しただろう。」

 

 

「適当じゃねーかよ…。」

 

 

比企谷さんはぼやく。

 

 

「わかりました。誠に遺憾ではありますが、彼も調きょ…失礼、無事更生させるようつとめます。」

 

 

…なんかヤバそうな言葉が聞こえた気がする。

 

 

「うむ。まあ別に君たちのやり方にどうこういうつもりはない。好きなようにやってくれたまえ。」

 

 

要するにここまで連れてきておいて丸投げだった。

 

 

「さて、人数が増えるなると、バトルロイヤルも楽しくなってくるな。」

 

 

平塚先生は楽しそうにハリのある胸をはる。

 

 

「バトルロイヤル?確か複数人で戦うやつですよね。何の話なんですか?」

 

 

正直今の状況にそぐわない言葉だったので一応聞いておく。

 

 

「ああ。藤野は知らなくて当然だが、今この部活ではバトルロイヤルの真っ最中なのだ。誰が一番奉仕できたかの勝負というやつだよ。まあ、勝敗は私の独断と偏見で決まるのだが。」

 

 

「正気ですか…。このどろどろした目の男の参加でだけでさえも身の危険を感じるというのに、彼の参加など論外です。」

 

 

「確かに怖いかも…。」

 

 

雪ノ下さんも由比ヶ浜さんも難色を示す。

 

なんでだろう?

ただの勝負じゃないのか?

 

怪訝な顔を浮かべた俺に平塚先生はその疑問に答えてくれる。

 

 

「…この勝負には戦利品があってだな、勝者は敗者になんでも好きなことを命令することができるのだ!ふふん、少年どもには夢の膨らむ提案だろう、なあ比企谷。」

 

 

「なんだって!!」

 

 

「べ、別に、え、エロいことなんか考えてねぇし…世界平和とか考えてるし…。」

 

 

 

 

おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい

 

 

 

……はっ!

気がついたら頭の中がおっぱいでいっぱいになっていた。

どうやら俺は今の一瞬、おっぱいのワンダーワールドに紛れ込んでしまっていたみたいだ。

…なんで帰ってきちゃったんだちくしょう。

 

 

でも、平塚先生の言ったことを整理するになんでもっていったらなんでも。

つまり、勝てば雪ノ下さんのおっぱいも由比ヶ浜さんのおっぱいも好きにしていいと言うことなのだ。

 

 

きょどる比企谷さんと、あわてて涎を拭く俺。

 

 

由比ヶ浜さんから「ひっ!」という小さな悲鳴があがった。

 

 

「…まあどちらにせよ勝負である以上勝てばなんの問題もないわね。

それに勝負するのなら、リスクは当然だわ。」

 

 

対照的に雪ノ下さんはそう言う割にあまり動揺していない様に見えた。

というか目が本気だった。

 

…正直ちょっとだけあの目で見下されながら踏まれたいと思ったのは秘密だ。

 

 

× × ×

 

 

こうしてこの調子で部活はこの後も続き、結局最後までこんなカオスな空気のまま、部活体験初日は終わったのだった。

 

 

…結局何の部活だったんだろうな。

 


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