やはり俺の出所後生活は間違っている   作:ミーアキャット

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はじめまして。
初投稿です。
更新速度は速いときは隔日くらい、遅い時は何ケ月か空くかもしれません。
でも平均で週一くらいのペースになると思います。
割りかし書くことは決まっていますので、トンズラこくことはないかと。
暇つぶしにどうぞ。


プロローグ

 

 

 

ーーー「なるほど、君たちは退学の延期を申し出ているのか

 

ならひとつだけ聞かせてもらおう。 キヨシくん。君は胸と尻どちらが好きなのか…な!」

 

理事長は俺にそう問うた。

 

なんとなくだけど、この質問の答えいかんによってはこれまで脱獄の為に準備してきたことの全てが無駄になってしまう気がした。

だからこそ、俺は全力で考える。

おっぱいとお尻のどっちが好きかだって?

…そんなのおっぱいに決まっているじゃないか。

尻がおっぱいに勝っているはずがない。

だって俺は叶うのであれば今すぐにでもおっぱいを揉みたいし、許されるのであれば吸いたいし、しゃぶりたい。

頭をフル回転させ様々な角度から比較し、考察するもやはり導きだされる答えはおっぱいだ。

答えは最初から決まっていた。

 

 

(…でも、本当にそれでいいのか?)

 

 

なのに、ふと頭に浮かぶ一つの疑問。

この答えではいけないと、第六感は告げている。

違和感がある。

何だ?何が違う?

その時何かが頭に引っかかる。

それはいつしかのとある光景だった。

 

 

 

ーー『ふぅ、人一人分が通るくらいなら、この穴の大きさで十分だな。

脱獄に支障は無さそうだ。

 

あれ、あそこにいるのは、…理事長?』

 

 

『…残念だ。愛しい尻たちよ、俺たちは今日でお別れをしなければならない…。許してくれ…。

 

まずはアンジー、出会ったのは南米の小さい島でだったな。引き締まったいいヒップだった。今までありがとう。チュッ

 

次にセリア、あれは衝撃的な出会いだった。ドイツの街を歩いていた時だったか。幼い万里を連れていたが投げ出してつい追いかけてしまったよ…。肉感のあるいいヒップだった。今までありがとう。チュッ

 

次にニーナ、………… 』

 

 

『あ、あの人何をやっているんだ。尻の写真一枚一枚にお礼を言って、キスをしてから穴に埋めている。

…理解できない。』

 

 

『…愛しい尻たちよ、愚かな男に今まで連れ添ってくれて、ありがとな…。』

 

 

『や、ヤバすぎる…。うん…。み…見なかったことにしよう。』ーーー

 

 

 

(…………。)

 

 

あっぶなかった!

理事長尻好きじゃないか!

たまたまだったけど、見といてよかった。

あの時は正直、俺の通ってる学校はもうダメなんじゃないかと本気で思ったけど、とにかくよかった!

 

 

そう、理事長は尻の写真を愛しげに穴に埋めていた。

この事実は一つの仮定を導きだすのに、いや、証明するのにはあまりにも大きかった。

 

 

よし…、ということは、答えるべきはやっぱり…

 

 

満を持して、結論を出そうとする。

答えるべきものは今ので完全に断定された。

…だけど、それでも俺は答えられなかった。

第六感はそれでいいと言っている。

過去の記憶もその選択の正しさをアピールしている。

でも…でも…

やっぱり嘘はつくべきじゃない!

例え答えがそうであったとしても、相手に合わせた答えなんて何の意味もない。

理事長だってこの質問を半端な気持ちでしてなんかいないはずだ。

なのに、自分の本当の気持ちを騙して、相手に合わせた嘘の答えを言って。

 

 

一体何になるっていうんだ。

 

 

行け、自分の本当の気持ちを言え。

さらけ出すんだ、自分のおっぱいへの愛を。

伝えるんだ、理事長に魂の叫びを。

じゃなきゃきっと意味がない。

そうでなくちゃならない。

これは男と男の真剣な会話。

神聖なる儀式なのだ。

気づいてよかった。あと少しで水をさしてしまうところだった。

 

 

決意を確固たるものにし、そして俺は息を大きく吸い、真剣な表情で、ハッキリと宣言した。

 

 

「理事長!聞いてください!俺が好きなのは、俺が大好きなのはっ!

 

 

おっぱいです!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

× × ×

 

 

 

 

 

「退学か…親になんていうかな」

 

そういってシンゴはため息をついた。

 

「そうだよね、濡れTコンテスト参加したかったなぁ。」

 

アンドレもしょんぼりと肩を落とす。

 

「今さら言っても仕方ないことではあるものの、やはりあと数日あれば、小生の策は成っていた。正直悔しいでゴザル。」

 

ガクトは顔をしかめた。

 

「ごめんみんな。俺があの時おっぱいではなく、お尻と言っていれば。」

 

自分のやってしまったミスは決して大きなミスではなかった。

二択を外したというだけだった。

しかし、自分の一言で周りのみんなの運命まで決まってしまったという事実は変わらない。

俺はあの時の自分の選択が間違っていたとは思っていない。

だけど、俺の勝手なプライドに、皆を巻き込んでしまったことへの不甲斐なさと申し訳なさが頭の中でうずまいていた。

 

「まあ確かに濡れTは残念だったけどよ、退学とはいえ、理事長が次の進学先を決めてくれたじゃないか。

全員一緒とはいかないみたいだがな。ゴホゴホ。」

 

ジョーがなぐさめの言葉をかけてくれる。

処置としては退学というよりは転校が正しいのだが、退学の方がセリフ的にかっこいいので皆がそういうことにしている。

 

 

あの時の選択は正解か不正解かで言えば、確かに間違いだった。

だけど、一つだけ良かった点を挙げれば俺の熱い心がなんとか理事長に伝わり、退学は完全に消滅させてはもらえなかったものの、転校という処置に収まり、次の進学先を探してもらえることになったということだった。

 

 

ーー「そうか。残念だ。この話はこれでおしまいだ。さらばだ諸君。

 

…と言いたいところだが、私としても今回の君達への処分に対して思うところはある。キヨシくんの胸への確かな愛も受け取った。正直痺れたよ…。

 

だからこれは私から君達への餞別だ。君達がこの学校を去ることは変えられないが、尻愛(知り合い)に頼んで他の学校にすぐ編入できるようかけ合ってみよう。君らの幸運を祈る…よ!」ーー

 

 

理事長のあの一言により僕らは最悪の事態は一応免れていたのだ。

 

「…総武高校か、どんな学校なんだろうな。」

 

理事長に言われた学校名をつぶやいてみる。

この学校には自分一人になってしまったので心配だ。

県も別だったし。

 

「なんかあったら連絡してね。」

 

アンドレが微笑みを浮かべる。

 

「そうでゴザルよ。我ら五人は共に一つの夢(濡れT)を追った仲。離れていても心は一つでゴザル。」

 

ガクトが涙ぐむ。

 

「ガクトはもうクソを漏らすなよ。ゴホッ。」

 

「ジョー殿、な、何を言うでゴザルか!」

 

「新しい学校、副会長様みたいなご主人様に出会えたらいいな。」

 

「まあ、どんな学校に行くにせよ周りが女子だらけだったり、いきなり監獄にぶち込まれたりなんてことはないんじゃねーの。」

 

皆が短い間だったけれど濃密であった思い出に浸ったりまだ見ぬ新天地に思いを馳せる。

言われてみれば確かにシンゴの言う通りだ。

今までのあの日々は普通ではなかった。

変で。痛くて。エロくて。難しくて。

俺が知る一般的な高校生活とは到底かけ離れていた。

だからこそ、これはある種のチャンスなんだ。

これから他のどの学校に行ったとしても、もう、変な事には巻き込まれたりしないはずだから。

普通の高校生としての生活を送れそうだから。

本来それが正しいんだよ…。

うん。きっとそうだ。

愚かしくも、この時の俺はそう思っていた。

 




監獄×俺ガイルのクロスオーバーです。
一見合わなそうに見えますが、書き始めてみると案外無くは無いなと思ったり。
プリズンが無い以上、脱獄はメインにはなりえませんが、キヨシが活躍できるようなシチュエーションに持っていけるよう頑張ります。

(11月30日 プロローグ改訂しました。もしかしたら今後も改訂は度々あるかもしれません。密度は変わっても、内容に大きな変化はつくらないようにするのでよろしくお願いします。)

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