魔法聖闘士セイント☆マギカ   作:天秤座の暗黒聖闘士

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 読者の皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 少々早いのですが第二話を投稿いたしました。
 もっともあらかじめ理想郷で投稿していたものがあったからそれを投稿しただけなのですが・・・、
 今回まどか達とマミさんとの邂逅及び新しいキャラが登場します。もう知っている方もいらっしゃるかもしれませんが・・・。
 それではどうかお楽しみください。


第2話 魔法少女と聖闘士

 「っと、これでラスト、っと!」

 

 マニゴルドの投げた竹串が使い魔に命中する。そして次の瞬間、使い魔は大爆発を起こした。マニゴルドはそれを見届けると、大きく伸びをした。

 

 「あーあ、ったくよ。こんなんじゃ食後の運動にもなりゃしねえ。やっぱ魔女当たり潰さねえとダメか・・・?」

 

 退屈そうな表情でマニゴルドがそう呟いた時、何かを感じたのか、ほむらがあの二人を追いかけて行った通路に目を向ける、が、しばらくするとニッと笑みが浮かんだ。

 

 「ホー、この小宇宙は・・・、シジフォスか。なら、魔女はもう駆除されてっかね。しゃあねぇ。一つキュゥベぇの魂でも引っこ抜いて・・・・・・・あん」

 

 マニゴルドが通路に向かって歩き出そうとした時、胸ポケットに入れてあった携帯電話が鳴りだした。マニゴルドは舌打ちしながら携帯電話を取り出すと、着信ボタンを押して、耳に当てる。

 

 「ああ、もしもし俺だが?」

 

 『私だ、マニゴルド』

 

 「お、お師匠!?」

 

 電話の相手、それはマニゴルドの師匠にして、かつてのアテナの聖域の教皇、セージであった。

 

 『どうやら無事に任務を果たしているようだな、暁美ほむらの様子はどうだ?』

 

 「あいつなら既にソウルジェムから魂引っこ抜いて体に戻しましたよ。まあ無事にやってるようですがね」

 

 『何?もう魂を戻したのか?』

 

 「そりゃあいつがやってくれって頼んだんでね。まあやってやりましたけど、お師匠、それがどうかしたんで?」

 

 『・・・・・・・』

 

 マニゴルドの言葉を聞いてセージは沈黙をしていたが、やがて口を開いた。

 

 『実は今日はお前に伝えたいことがあったのだ。ソウルジェムの魂を体に直接戻した時のデメリットについてだ』

 

 「は?なんすか?まだんなのがあったんで?」

 

 『ああ、あったというより、発見したと言った方が正しいな。私と兄上がわざとインキュベーターと契約を結び、実際に魂を体に戻す実験を行ったことは知っているな?』

 

 「ん、ああ。んなことありましたね。んで?その実験で何か起きたんで?」

 

 『その実験で我々自身が安全であったから最近魔女化した魔法少女を一人、積尸気冥界波でソウルジェムの魂を戻し、救ったことがあったのだ。

その後同じ現場にいた七人の魔法少女の集まりと共に魔法少女を人間へと戻す活動を始めたわけだ。魔法少女と魔女の関係をあらかた話した上でな。

彼女達も好意的に我々を受け入れてくれたのでな、順調に活動を続けていたのだが、たびたび魔法とやらを使っているうちに、我々にある副作用が出てきたことが分かったのだ』

 

 「副作用?」

 

 セージの言葉に、マニゴルドは怪訝な表情を浮かべる。

セージはマニゴルドにとってはただの聖闘士としての師匠としてだけではなく、自身の生き方も決めてくれた恩人とも言うべき人物である。

 その師匠の体に異変があると知ったならば多少なりとも心配する。

 

 「その副作用ってのは、命にかかわるんで?」

 

 『・・・いや、死ぬとかそういうのではないのだがな。まあ戦闘中ならば命にかかわるだろうが、我々ならば問題ないだろう』

 

 セージはマニゴルドの質問に曖昧にそう答えた。マニゴルドは黙ってセージの言葉を聞いていたが、やがて真剣な表情で、携帯電話に問いかけた。

 

 「んで、その副作用ってのは・・・?」

 

 『ああ、それはな・・・・』

 

 セージはマニゴルドに対して、その『副作用』について語り始めた。

 

 第2話 魔法少女と聖闘士

 

 その頃、まどかとさやかは自分達を助けてくれたシジフォスに対して、口々にお礼を言っていた。シジフォスは笑いながらそれを聞いていたが、ふと何かに気が付いたかのように廊下の曲がり角に視線を向けた。

 

 「・・・さてと、そこで見ている君、隠れてないで出てくるといい。俺は君と戦う気は無い」

 

 「・・・・・・」

 

 シジフォスが廊下の曲がり角に向かって声をかけると、ほむらが少しむっつりとした表情で出てきた。突然出てきたほむらに対して、まどかとさやかは驚きと共にあからさまに警戒心を抱く。

 

 「ほ、ほむらちゃん・・・」

 

 「ちょ、あんた一体何の用!?またまどかを狙ってるの!?」

 

 「落ち着け、彼女は何もしない。大丈夫だ」

 

 シジフォスはまどか達を落ち着かせるようにそう言うと今度はほむらに視線を向ける。

 

 「君もだ。何度も言うが俺は君と敵対する気は無い。だからそう警戒するな」

 

 シジフォスは笑顔でほむらに声をかけるものの、ほむらは相変わらずの無表情であり、シジフォスは弱った表情で後頭部をかきむしった

 一方、ほむらはシジフォスの着ている黄金の鎧を見て、表情には浮かべていないもののかなり驚いていた。

何しろそれは、形状自体は異なっているものの、自分の協力者となっている人物の着ている物と、同じ物であったのだから・・・。

 

 「まさか・・・、貴方も・・・「無事かしら!?・・・てあら?終わっちゃってるわね」・・・っ!」

 

 突然聞こえた声に、ほむらの表情は一瞬で強張った。まどかとさやかが声の聞こえた方向に顔を向けると、そこには金髪を左右でカール状に結った少女が、苦笑しながら立っていた。

よく見ると少女は奇妙な格好をしている。右手には銀色の銃、形状からしてマスケット銃を所持しており、服装も黄色を基調とした奇妙な物を着ている。

 

「君は?」

 

シジフォスは突然現れた少女に表情を変えずに問う。少女は穏やかな笑みを浮かべたまま名乗る。

 

「私の名前は巴マミ。この見滝原で活動している魔法少女で、そちらにいる三人と同じ見滝原中学の三年生です」

 

「そうか、俺の名前はシジフォス。射手座の黄金聖闘士だ」

 

「サジタリアスのゴールドセイント?聞いたことがありませんけど、貴方も私達魔法少女と同じキュゥベエと契約を結んだ人なのですか?」

 

「残念ながら違うな。俺達は君達魔法少女とは全く違う存在だ」

 

「そうなんですか。まあそれはおちおち聞くとして・・・」

 

マミは一度シジフォスに笑みを浮かべながら断りを入れると、今までの笑顔を引っ込めてほむらに視線を向ける。ほむらは相変わらず硬い表情をしている。

 

「魔女はご覧のとおりそこの彼が倒してくれたわ。もう貴方の用は無いはずよ?」

 

マミは先ほどとは違って厳しい表情をほむらに向けてくる。それに対してほむらも鋭い視線をマミに返す。

 

「私が用があるのは・・「そうだぜ、俺達の目的は魔女じゃねえ。そこの白い淫獣だ」・・・マニゴルド!!」

 

突如響いた第三者の声に、周囲の人間が驚いたような表情で声の聞こえた方向を向く。驚いていなかったのはシジフォスとほむらの二人、シジフォスは表情を変えることなく、ほむらはどこかほっとしたような表情で他の人間と同じ方向を向く。

 そこにはほむらを襲った使い魔を一掃してなお涼しい顔を浮かべているマニゴルドが立っていた。彼はシジフォスを見るとニヤリと笑みを浮かべた。

 

 「おお!久しぶりじゃねえかシジフォス!やっぱりさっきの小宇宙はお前かよ」

 

 「久しぶりだな、マニゴルド。お前もどうやら使い魔を一掃してきたようだな」

 

 「へっ、ンな雑魚食後の運動にもなりゃしねえよ。まあそれはともかくとして・・・」

 

 マニゴルドはシジフォスとの話もそこそこに、白い動物を抱いているまどかににこりと(本人からすれば)フレンドリーな笑みを浮かべる。

 

 「なぁ嬢ちゃん、悪いけどそいつを渡してくんねぇか?そいつは嬢ちゃんみてえな可愛子ちゃんがもってちゃいけねぇ奴なんだ。安心しな、俺が責任もって可愛がってやるからさ?」

 

 「っ!!」

 

 まどかはより強く動物を抱きしめると、後ろに後ずさりする。そしてさやかは警戒心も露わな表情で、まどかの前に立ってマニゴルドを睨みつける。そしてマミは手に持ったマスケット銃の銃口をマニゴルドに向ける。あからさまに警戒されてしまったマニゴルドは、弱った表情でほむらに視線を向ける。

 

 「おいおい、警戒されちまったぜ。どうすんだよコレ」

 

 「貴方のせいでしょ。私に聞かないで」

 

 「ったく、冷てえ女だぜ・・・。しょうがねえ・・。おいガキ共!!どうでもいいからさっさとそいつを渡しやがれ!!そいつはな・・・」

 

 「マニゴルド!!」

 

 何かを話そうとしたマニゴルドを遮るかのようにシジフォスがマニゴルドに怒鳴りつける。その眼光は先ほどと違ってかなり鋭い。

 

 「余計なことは言うな。それから、此処は引いておけ」

 

 「ああ!?シジフォス、テメエこいつが何なのか分かってて・・・「分かっている。だが今は手を出すな。これは依頼主と教皇とハクレイ様の御意思だ」・・・・っっ!!」

 

 シジフォスの言葉にマニゴルドの顔が嫌そうに歪む。そして小声で「・・・あのジジイ共と種馬は・・・」「リア充魂ごと爆発しやがれ」等とブツブツ呟いていたが、やがて面倒そうに舌打ちするとほむらに怒鳴りつける。

 

 「チッ、分かったよ・・・・。オイほむら!!帰るぞ!!」

 

 「何ですって!?貴方・・・「分かってらぁ!!文句は後で聞いてやる!!さっさと帰るぞ!!」・・・・分かったわよ」

 

 ほむらは不満そうな表情を浮かべながらマニゴルドの後に着いて行く。が、途中で足を止めるとまどか達の方を振り向いた。

 

 「鹿目まどか、美樹さやか、もしも自分の人生が尊いのなら、奇跡を起こそうなどと、変わりたいなどと考えないことね。そして・・・・、甘い言葉には釣られないことよ。奇跡の代償は、それ相応に重いものだから・・・」

 

 そう言ったほむらは再びマニゴルドの後に着いて去って行った。残されたまどか達は、ほむらの言葉に何も言えず、そのまま見送った。ただ、シジフォスは彼女の後姿を、哀しげな、そして辛そうな表情で眺めていた。

 

 「・・・・変わりたいと考えるなって・・・。ほむらちゃん、何が言いたかったんだろう・・・」

 

 「さあね!にしてもあの転校生まさかコスプレ通り魔だなんて・・・。人間外見じゃ分かんないもんね」

 

 「・・・コスプレ通り魔じゃなくて・・・、彼女も魔法少女なんだけどね・・・」

 

 さやかの言葉にマミは苦笑いをしながらそう呟いた。そしてまどかに近付くとまどかに白い動物を地面に置くように言った。

 

 「えっと、どうするんですか?」

 

 「治療するのよ、大丈夫、私は彼女達とは違うから」

 

 まどかはマミの言葉に頷いて、白い動物を地面に置く。すると、マミは白い動物に手を置いた。

 すると、その動物につけられていた傷が段々と治っていき、最終的にはかすり傷一つ残さず完治していた。

 

 「ふわあ・・・」

 

 「す、すごい・・・」

 

 「・・・・・・・・」

 

 その様子にまどかとさやかは感嘆の声を上げたが、一方のシジフォスは何処か苦々しげな表情でそれを見つめていた。

 

 「・・・ん、ああ・・・」

 

 と、白い動物が声を上げる。やがて動物は目を開けると、口を開いた。

 

 「ありがとうマミ!助かったよ!」

 

 「ひゃあ!?しゃ、しゃべったあ!?」

 

 その動物から出たのは鳴き声ではなく、はっきりとした人間の言葉であった。

 どうみても動物にしか見えないものが人間の言葉をしゃべったことに、さやかはびっくりした表情で後ろに飛びのいた。まどかとマミはそれを見ながら苦笑いし、シジフォスは仏頂面でその動物を見ていた。

 

 「私はただ通りがかっただけよ、キュゥべえ。お礼はあの子達とあの人に言って」

 

 「そっか、三人ともどうもありがとう。僕の名はキュゥべえ」

 

 白い動物が自分から名乗ったことにさやかは再びビックリしたものの、先ほどよりも衝撃が少なかったようで、直ぐに興味深そうにその動物、キュゥべえを眺め始めた。

 一方シジフォスはじっとキュゥべえの顔、特にその赤い目をじっと眺めていた。

 

 (・・・まるで作り物、人形だな・・・)

 

 シジフォスは心中でそう呟いた。

甲高い声で騙されそうになるものの、その表情、そして瞳には見事なまでに全く表情が浮かんでいない。まるでマネキンの顔でも眺めている気分だ。

 生気も全く感じることが出来ない。マニゴルドの情報だと魂は存在するようだが、とてもではないがそう実感できない。それくらいこの生物はこの地上の生き物とはかけ離れていた。

 

 「鹿目まどか、美樹さやか、実は僕は君達にお願いがあって来たんだ」

 

 「ッ!?」

 

 思考に没頭していたシジフォスは、突然響いたその声に、ビクリと体を震わせる。

 そんなシジフォスに構わず、キュゥべえは続ける。

 

 「僕と契約して、魔法少女になってほしいんだ」

 

 そう、キュゥべえはまどかとさやかに向かって言った。

 

 「え?契約?」

 

 「ま、魔法少女って、あの、マミさんみたいの?」

 

 突然のキュゥべえのお願いに、まどかとさやかは戸惑っている様子だった。キュゥべえはそんな二人に構わず言葉を続ける。

 

 「僕と契約すれば、どんな願いでも叶えてあげる」

 

 「え!?」

 

 「本当!?」

 

 「何だってかまわないよ。どんな奇跡でも起こしてあげるよ」

 

 キュゥべえの言葉にまどかとさやかは目を輝かせる。しかしシジフォスは、そんなキュゥべえの言葉に対して、いかにも気に入らないと言いたげな表情でキュゥべえを睨みつけていた。

 

 ほむらSIDE

 

 「・・・ったく、いい加減機嫌なおしやがれ」

 

 「別に、機嫌なんて良くも悪くもないわ」

 

 「そうかよ」

 

 「・・・(コクリ)」

 

 あの場から引き揚げたマニゴルドとほむらは、市街地のハンバーガーショップに入って休憩がてらに食事をしていた。

 

 が、マニゴルドはハンバーガーセットを注文したのに対し、ほむらはミルクシェーキのみを注文して黙って啜っているのみだった。その表情は何処となく不機嫌そうであったが、マニゴルドが聞いても何でもないの一点張りであった。

マニゴルドは多分先程の事が原因だろうと考えてはいたものの、依頼主と自分の師匠達の命令である以上、おいそれと逆らう訳にはいかない。マニゴルドはハンバーガーにかぶりつきながらそう考えていた。

 

 「まあまだ始まったばっかだ。あのまどかとかいうのにはシジフォスの奴が付いてやがる。おいそれと魔法少女にゃならねえだろ」

 

 「やっぱり彼とは知り合いだったのね」

 

 「ん?まあ同じ黄金聖闘士の同僚だからな。長ぇ付き合いになるな」

 

 「そう・・・、彼以外の黄金聖闘士で此処に来ているのは?」

 

 「んあ?・・・確か牛・・・、もとい牡牛座が来てやがったな。今どこにいるか分からねぇが。後依頼主が二人送るとか言ってやがったがこれも誰か分からねぇし・・・」

 

 「そう・・・・」

 

 ほむらはマニゴルドの話を聞き終わると、再びミルクシェーキを啜り始めた。マニゴルドはフライドポテトを口いっぱいに頬張りながら黙ってそれを見ていたが、やがて使い魔を全滅させたときにかかってきた電話のことを思い出した。

 

 「そうそう、そういやさっきジジイ共から電話があってよ」

 

 「ジジイ共って、確か貴方の師匠とその兄だっていう?」

 

 そうそれ、とマニゴルドは肯定しながら注文したコーラを飲む。

 

 「そのジジイ共が言ってたんだが、ソウルジェムの魂を肉体に戻した時の影響についてなんだけどよ・・・」

 

 「・・・魔女化しなくなって、不死身じゃなくなることだけじゃないの?」

 

「いや、それがな、この街とは別の街でジジイ共は魔法少女を元の人間の体に戻す活動をしてやがったんだが、それをやってるうちに新しい影響・・・っつうか副作用がある事を発見したんだってよ」

 

 マニゴルドの言葉に、ほむらは眉をひそめた。

 

 「貴方の師匠達も、此処に来ているの?」

 

 マニゴルドはコーラを啜りながらコクリと頷いた。

 

 「ん?ああ。何でもプレイアデスなんたらとかいう七人組と活動しているらしいぜ。んでだ、ソウルジェムの魂を体に戻しているうちにな、戻した魔法少女があるリスクを負う事に気が付きやがったんだ」

 

 マニゴルドの話を聞いていたほむらは、口からストローを放すと真剣な表情でマニゴルドを見つめた。

 

 「その、リスクって?」

 

 「ああ、それはな・・・・」

 

 マニゴルドはその“リスク”についてほむらに語り始めた。

 


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