魔法聖闘士セイント☆マギカ   作:天秤座の暗黒聖闘士

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少々修正等に手間取りましたが、ようやく第七話投稿できました。
大体の内容は理想郷と同じですが、後半部が少々違いますのでご了承のほどを。




第7話 憧れと現実、その狭間で

 

「…ところで、二人ともどうすることにしたの?」

 

 あれから6人は、何時までもレストランに居るわけにもいかないため、病院から近くの喫茶店に移動した。そこで飲み物を頼んで飲んでいる時、ほむらが突然まどかとさやかに質問してきた。

 

 「え…?」「ど、どうするって、なにを…」

 

 「魔法少女研修の件よ。これからも続けるの?それとももう止めるの?」

 

 ほむらの発した言葉に、まどかとさやかは凍りついたような表情になった。

 話を聞いていただけのマミも、その表情は暗くなっている。

 

 「おいおい、何もンなにストレートに言わなくてもいいだろうが」

 

 「はっきり言った方がいいでしょ?それに、彼女達も魔法少女になるってことがどれだけ危険か理解したはずだから、良い機会よ。

 …それで、鹿目まどか、美樹さやか。どうするの?魔法少女研修、止めるの?まだ続けるの?どっちかしら?」

 

 「…そ、それは…」「い、いきなり言われても…」

 

 思いもしなかった質問に、まどかとさやかは返事を返すことが出来ない。

 

 確かに魔法少女になる危険性は知った。マミも下手をすれば死んでいたかもしれない。

 

 あれがもし自分自身だったら…。そう考えただけで背筋が寒くなる。

 

 願いを叶える代価として魔女と戦う…。それは死と隣り合わせの非日常…。シジフォスに言われた時には実感がなかったそれが、今でははっきりと認識することが出来た。

 

 「マミ、貴女はどうしたいの?彼女達をこれ以上命の危険のある魔女狩りに付き合わせたいのか、それとも此処できっぱり打ち切るのか…。

どっちにするつもり?」

 

 「……」

 

 ほむらの問い掛けに、マミは俯いて黙りこくっていた。

 が、しばらくすると俯いていた顔を上げて、まどかとさやかを見つめる。その眼差しは、何処か寂しげであった。

 

 「…魔法少女研修は、もう打ち切るわ。彼女達を、危険にさらすことは出来ないから…」

 

 「ま、マミさん!?」

 

 「今日の事だったらアタシ達は気にしてないですよ!!」

 

 マミの口から出た言葉にまどかとさやかは動揺して思わず声を上げる。が、マミは弱弱しく首を左右に振る。

 

 「ううん…、私一人だけならともかく、貴女達を危険に巻き込めないもの。シジフォスさんの言うとおり、これから強力な魔女が出てきたら、私も守りきれる自信は無い。

 …ごめんなさい、二人共。短い間だけど、楽しかったわ…」

 

 マミの言葉に、まどかとさやかは哀しげな表情を浮かべる。

 一方のほむらは、まどかが魔法少女に関わらなくなったことが嬉しいのか「計画通り」と言いたげな笑みを浮かべていた。

 

 「…性格悪いな、オイ」

 

 「うるさいわよ、マニゴルド」

 

 マニゴルドの突っ込みにほむらはむっつりとした表情で注文したブラックコーヒーを口に含む。その表情は苦虫を噛み潰したかのように歪んでいた。

 一方のシジフォスは、寂しそうなマミの表情を見て溜息を吐いた。

 恐らく彼女は、魔法少女研修を止めることで、まどかとさやかの二人と離れ離れになると考えているのだろう。自分は魔法少女、彼女達は普通の少女、住む世界が違うと…。

 シジフォスはコーヒーを一口飲むと、カップを置いてマミに話しかける。

 

 「マミ、君は魔法少女研修を止めたら彼女達との繋がりが切れる、そう考えているだろう?」

 

 「…!?え、えっと、その…」

 

 マミは寂しそうだった表情から一転、恥ずかしそうに顔を赤くする。図星と思ったシジフォスはマミに穏やかな笑みを浮かべる。

 

 「そんな心配は杞憂だ。君と彼女達との繋がりは、そんな程度で無くなってしまうほど、脆いものじゃないだろう?まどかもさやかも、君と本当の仲間になりたいと望んでいる。そうだろう、二人とも」

 

 「もちろんですよ!!」

 

 「マミさんには魔法少女の事以外にも色々と教えてもらいたいです!主に勉強とか・・・」

 

 「それは自分の努力も必要だと思うぞ?人に頼るだけじゃなく」

 

 「うっ…、耳の痛い言葉を…」

 

 さやかの言葉に周りは笑い声を上げる。マミの表情もまた、笑みが浮かんでいた。先程の寂しそうな笑みではなく、仲間が、友達が出来た嬉しさで満ちた笑顔が。

 その表情を見てシジフォスも安堵の笑みを浮かべる。

 

 「フッ、どうやら元気が出たようだね」

 

 「はい、結界の中で鹿目さんが言ってくれた事を忘れちゃうところでした」

 

 「そうか、だが君自身今回の戦いで相当疲労したはずだ。良い機会だからしばらく魔女退治は休んだ方がいい」

 

 シジフォスはそう言ってポケットから二つのグリーフシードを取り出し、マミに差し出した。

 

 「えっと、これは…」

 

 「俺がここに来る前に倒した魔女から手に入れたものだ。俺には必要のないものだから、君に譲ろう」

 

 「でも、暁美さんは…」

 

 「私は必要ないわ」

 

 マミの言葉にほむらは素っ気なく断った。その様子にさやかはむっとした表情をする。マニゴルドはやれやれと言った表情で首を振り、シジフォスは苦笑いを浮かべていた。

ほむらはそんな周りを気にせずにコーヒーを啜る。

 マミは困った表情でほむらを見ていたが、やがて諦めたのかグリーフシードを二つとも受け取った。

 

 「ありがとうございます、シジフォスさん」

 

 「構わないよ、君にこそ必要だろうからね。とにかくしばらくの間ゆっくり休むといい」

 

 「はい、分かりました。しばらくは魔法少女は休業する事にします」

 

 マミの返事にシジフォスは頷くと、まどかとさやかに顔を向けた。

 

 「君達はどうする?しばらく魔法少女研修も無い。そして先程の戦いで、魔法少女になるということの恐ろしさを知ったはずだ。

 まだ、魔法少女になりたいか?」

 

 「「……」」

 

 シジフォスの問い掛けに、まどかとさやかは沈黙する。

 彼女達は、確かに先程の魔女との戦いで、恐怖を感じていた。

 幸いマミは助かったものの、本当に危機一髪と言うところであった。

 そして、もし自分達がマミと同じ立場に立ったら・・・。

 そう考えただけで全身に震えが来る。

 

 しばらく沈黙が続いた後、まどかが口を開いた。

 

 「…正直、死んでしまうのは、怖いです…。マミさんがもし死んでしまったら、私…」

 

 「鹿目さん…」

 

 自分の事を心配してくれるまどかに、不謹慎ながら涙ぐんでしまうマミ。そして、さやかもまどかに続けるように口を開く。

 

 「…アタシも、たとえ願いが叶っても、死ぬのは嫌です…。家族に、友達に、もう会えなくなるのは…」

 

 二人の返事を聞いたシジフォスは、残っているコーヒーを飲み干すと、まどかとさやかに視線を向ける。

 

 「そうか…、なら君達も元の日常に戻るといい。そうしたほうが君達にとって幸せだ。魔女は俺達で何とかするから心配しなくていい。いいな、マニゴルド」

 

 「ンなもん最初から承知だ。こちとらガキのお守に飽き飽きしてたんだよ!精々ストレス発散代わりにやらせてもらうぜ!」

 

 「なら私もしばらく骨休めさせてもらおうかしら。アルバフィカも含めた黄金聖闘士三人が居れば、魔女位なんでもないでしょうし…」

 

 マニゴルドの言葉に続けるようにほむらはそう呟く。まどか達は黙って三人の言葉を聞いていた。と、マミが何かを思い出したような表情を浮かべ、おずおずとマニゴルドに話しかける。

 

 「あ、あの、マニゴルド、さん…」

 

 「んあ?」

 

 いきなり質問されたマニゴルドは、胡乱毛な表情でマミを見る。マミは、少し頬を赤く染めながらマニゴルドに切り出した。

 

 「聞きたい事があるのですけど…」

 

 アルバフィカSIDE

 

 見滝原のとある場所にあるマンション。

 その7Fに彼、アルバフィカの住居はあった。

 部屋の中は飾り気がなく、必要最低限の家具と日用品以外は置かれていない。

 ただ、テーブルの上に活けられた一輪の深紅の薔薇が、唯一の飾りであった。

 

 あれから住居に帰宅したアルバフィカは、背中に背負ったパンドラボックスを床に下ろし、ソファーの上に腰を下ろすと疲れたかのように大きく息を吐いた。その表情はどこか疲れているように見えた

 

 理由はただ一つ、今日助けた巴マミの事だ。

 

 幾ら何でも突き飛ばしたのはやり過ぎた、あれからアルバフィカは内心後悔していた。

 彼女は別に悪意無く、素直に自分に対して感謝の気持ちを伝えてきただけなのだ。にもかかわらず彼女に冷たい言葉を吐いた挙句、突き飛ばしてしまうなど自分自身最悪だと考えてしまう。

 

 「彼女も傷ついただろうな…。が、それで私から離れてくれるなら、それでいい」

 

 一応ほむらに詫び代わりの薔薇を渡しておいたが、あんなもので彼女の機嫌が直るはずもない。むしろ気障な男だの何だのと思われてますます嫌われるのが落ちだろう。

 だがそれでいい。自分を嫌い、自分から離れてくれるのなら自分の血によって傷つくことは無い。彼女がいくら不死身と言っても、自分の血を浴びて無事で居られる保証は無い。

 だから突き放した。それによって彼女の身の安全が守れるのだから…。

 

 「…しかし、もう少し言い方を考えるべきだったか…」

 

 アルバフィカはそう呟いて溜息を吐いた。

 少しは人付き合いも得意になったとは思ったのだが、まだまだどうしようもない。

 これでは友達が出来ないと言われても仕方がないな、と、アルバフィカは自嘲気味に笑った。

 

 「…む、もうこんな時間か」

 

 何気なくアルバフィカが時計を見ると、すでに帰宅してから一時間以上経っていた。

 丁度小腹も空いてきたことだから夕食にでもしようと考える。

 

 「しかし、今は何も作る気が起きないな…」

 

 アルバフィカは、というより黄金聖闘士は大抵料理は出来る。一人任務で遠方に向かうことが多く、それ以外では十二宮の中で一人で過ごすことが日常であることから、大抵の黄金聖闘士は一人で生活するために家事、炊事は人並みに身につけている。ただレグルスとカルディアは料理で悲惨な事になっていたが…。

 が、今のアルバフィカは正直料理などする気にはなれなかった。とはいえ今は何でもいいから口に入れたいという気持ちである。どうしたものかとアルバフィカは黙って思考を巡らす。

 

 「…カップ麺でも食べるか」

 

 アルバフィカはそう決めるとソファーから立ちあがった。

 この世界には色々と便利な保存食があるが、とりわけカップ麺は種類が豊富であり、かつお手軽に食べられる。

 味付けも卵や天カスを入れれば中々馬鹿に出来ない。よし、今日はカップ麺にしよう。そう決めたアルバフィカは早速台所に向かおうとする、と・・・、

 

 ピンポーン!

 

 突然外のチャイムが鳴った。アルバフィカは台所に向かう足を止め、玄関のドアに視線を向ける。

 

 「…マニゴルドか?」

 

 確か自分の住んでる場所を伝えたのは彼とほむらだけであったはずだ。いや、ひょっとしたらシジフォスかもしれない。マニゴルドから住所を聞き、自分に説教でもしに来たのかもしれない。

 取りあえず出るしかないか、とアルバフィカはカップ麺の事は後回しにして玄関まで歩いて行き、ドアのカギを開ける。

 

 「一体何の用だ、マニゴ…」

 

 「あ、あの、こんばんは!」

 

 ドアを開けた先にいた人物の姿を見た瞬間、アルバフィカの言葉が止まった

 その理由はドアを開けたアルバフィカの目の前にいたのが、マニゴルドでも、シジフォスでも、ほむらでもなかったからである。

 

 目の前に居たのは、今日彼が魔女から救った魔法少女、巴マミであった。

 

 マミSIDE

 

 「……」

 

 「……」

 

 (き、気まずい…)

 

 マニゴルドからアルバフィカの住んでいる場所を聞いて喜び勇んで来たは良いものの、ドアが開かれてから長い沈黙が流れ、何とも重苦しい空気が漂っていた。

 何時までも黙っているわけにはいかないと、マミが口を開こうとした。が、それより先にアルバフィカが口を開く。

 

 「…一体どうやって此処が分かったんだ?マニゴルドから聞いたのか?」

 

 「え、あの、はい!どうしてもアルバフィカさんにお礼がしたくて…」

 

 「構わないと言ったはずだ。それに、こんな時間に来て、家に帰らなくていいのか?」

 

 厳しい口調だが内心自身の心配をしてくれるアルバフィカに、マミは内心では嬉しいと感じてしまう。マミはアルバフィカにニコリと笑みを向ける。

 

 「大丈夫です。だって私の家は、このマンションにありますから♪」

 

 「………は?」

 

 マミの言葉にアルバフィカはポカンと口を開け呆然とした表情になる。マミはそんな表情も浮かべるアルバフィカが何処か可愛く見えてしまった。マミは思わずクスッと笑ってしまう。

 マミの笑い声が聞こえたのかアルバフィカは直ぐに顔を引き締め、むっつりとした表情になる。それを見たマミははっとした表情で口を押さえる。

 

 「…まあいい。とにかく私はこれから夕食なんだ。礼なら後にしてくれ」

 

 「お夕飯、ですか…?アルバフィカさんも料理出来るんですか?」

 

 マミはアルバフィカにそう聞く。アルバフィカは相変わらずむっつりとした表情ではあったが、マミに返答を返す。

 

 「…人並みにはね。だが今日は正直料理をする気にならないから、余っているカップ麺でも食べようかと思って・・・」

 

 「カップ麺って、駄目ですよ!!そんな物じゃ栄養が偏っちゃいます!!」

 

 アルバフィカの返答にマミは血相を変えて駄目出しする。そんなマミの様子にアルバフィカは少したじろいだ。

 

 「い、いや、別に栄養についてはトッピングで何とかなると思うが…」

 

 「駄目です!ちゃんと栄養のあるご飯も食べないと…、

 

 そうだ!アルバフィカさん、今日のお礼に私に料理を作らせて下さい!」

 

 「な、何!?い、いやそれは…」

 

 「これでも一人暮らしですから料理位できます。ちょっと中に入れて下さい」

 

 「え、いや、ちょっと、待て、待ちたまえマミ!」

 

 何かのスイッチが入ったのか自分の部屋に上がり込むマミを、アルバフィカは困惑した表情で見ていた。マミに触る事が出来ないので摘み出すわけにもいかず、ただマミから若干離れた距離でマミの行動を見ているしかなかった。

 

 シジフォスSIDE

 

 「まさかマミがアルバフィカの住んでいるところを聞きたがってくるとはな」

 

 その頃シジフォスとマニゴルド、ほむら一行は、まどかとさやかと別れた後、某焼き肉チェーン店でのんびり焼き肉に舌鼓を打ちつつ、会話を楽しんでいた。

 

 「まあな、まあアイツに命助けられたからってのもあるだろうけどよ、やっぱり、アレだろうぜ?」

 

 「アレ?アレとは?」

 

 シジフォスの質問にマニゴルドはコップに注いだビールを飲み、乾いた口を潤して、返答する。

 

 「惚れてんな、マミは。アルバフィカによ」

 

 「ほー、惚れてるか。成程、まあそんなことも……、

 

 ハア!?ほ、惚れているだと!?」

 

 びっくりした表情で席から立ち上がり大声を上げるシジフォス。あまりに声が大き過ぎたのか、従業員が何かあったのかとこちらに駆け寄ってくる。よくよく見ると他にも客が何人かこちらを見ていた。

 

 「あ、いえ、何でもありません、何でもありませんから…」

 

 シジフォスは必死に店員や客達になんでもないと説明し、約5,6分程度の説得、説明し頭を下げ続けることで、ようやく店員、客達は離れて行った。それを確認したシジフォスは溜息を吐きながら席に戻る。

 

 「…すまん、少し声が大きかった」

 

 「デカすぎだ馬鹿。もうちっと音量抑えやがれ」

 

 「いや、余りにも突拍子のない話だったからな。マミがアルバフィカに恋、か…」

 

 シジフォスは考えてみる。

 確かにアルバフィカは顔立ちは美しい。性格も悪くない。そして強い。

 他人を寄せ付けないから誤解されやすいが、其れさえ無くなれば間違いなく女性にモテるタイプであることは間違いない。

 マミが惚れるのも当然と言えば当然であろう。だが…。

 

 「…アルバフィカが受け入れるかどうかが問題だな」

 

 「というか間違いなく断るぜ、あいつ。別にキス以上しなけりゃ問題ねえだろうに…」

 

 シジフォスが焼きあがった肉を口に運びながら呟いた言葉に、マニゴルドも同意見と返答を返しつつ、ビールをコップに注ぐ。

 ただでさえアルバフィカは他人を自分の側に寄せ付けたがらない。ましてや手を繋いだりキスをするなどもっての他と本人は考えている。

 仲間である自分たちでさえ接触禁止と言われているのだ。ましてやマミでは、また地面に突き飛ばされる、避けられるのが関の山だろう。

 そしてもしも、もしもマミがアルバフィカに好きだといっても、100%玉砕が確定する。

 間違いなくアイツはマミの告白を拒否する。たとえ本人がマミを好きになろうとならなかろうと。

 別に他人の色恋沙汰はシジフォスたちにとってどうでもいいが、失恋のショックでマミが魔女化しないかが心配である。

 

 「つーかアイツももう少し気楽に生きられりゃいいんだがねー。ジジイに聞いた話じゃ毒の血に触らなけりゃ問題ねえって話だぜ?別に空気中に拡散してるわけじゃあるまいし…」

 

 「単に心配性なんじゃないの?もし何かの拍子で怪我をして血が出たら、とか考えてしまうのかもよ」

 

 マニゴルドとほむらの会話を聞きながら、シジフォスは回想する。

 アルバフィカがああなった原因は、どうやら過去にあるらしい。

 最もアルバフィカ自身が過去に何があったのかあまり語りたがらず、自身も聞くことがなかったため、全く分からないが…。

 

 「それはそうとお前はどうなんだ、シジフォス?」

 

 「は?俺?何故俺だ?」

 

 突然話を振られて疑問符を浮かべるシジフォスに、マニゴルドは呆れたと言わんばかりに溜息を吐いた。

 

 「お前、気付いてねえのか?まどか、お前に惚れてるぞ?」

 

 「……(モグモグモグ…)

 

 

 

 …ブハッ!!ゲホッ!ゲホッ!な、何だと!?」

 

 マニゴルドの爆弾発言にシジフォスは食べていた焼肉を噴き出し大きく咳き込む。

 マニゴルドの言葉に相当びっくりしたのだろう。

 

 「お前きたねえぞ。食ったもん吐き出すなアホ」

 

 「お、お前が馬鹿な事を言うからだ!!大体俺はもう29だ!おじさんだ!こんなおじさんにまどかが惚れるわけないだろうが!あとほむら、その殺気を収めろ頼むから!!」

 

 シジフォスの必死の形相に流石にマニゴルドもたじろぐ。ついでにその横で殺気を放っていたほむらも殺気を収めた。

 

 「なんだよシジフォス、お前ロリコンじゃなかったのかよ?」

 

 「誰がロリコンだ!!誰が!!」

 

 「だっておい、お前生前はまだ十代かそこらのアテナに愛してるだのお慕い申し上げてるだの言ったって話だぜ?」

 

 「俺がアテナに持っていたのは敬愛だ!!ラブではない!!恋愛感情ではない!!一刀といいお前と言いそこを間違えるな!!あとほむら!!そのロケットランチャー仕舞ってくれ!!そんなものが直撃したら生身なら聖闘士でも死んでしまう!!」

 

 シジフォスの表情は目も血走り、表情は正に血相を変えていると表現するにふさわしい。

さすがにからかい過ぎたかとマニゴルドは頭を引っかき、いつの間にか魔法少女課していたほむらは、何処から取り出したのか分からないバズーカ砲を、腕につけてある円盤に仕舞いこんだ。

 

「悪い悪い、少しふざけすぎた。

 しっかしシジフォスよお、アンタ確かもう三十路前だろうが。いい加減女の一人や二人と付き合った方がいいんじゃねえの?」

 

 「何だいきなり。生憎俺は今のところ結婚する気は無い。そう言うお前こそどうなんだ。いい加減ナンパも程々に身を固めたらどうだ」

 

 シジフォスの苦言にマニゴルドは肩をすくめる。

 

 「ケッ、その言葉そっくりそのままアンタにお返しすっぜ?心配しなくてもこの俺のイケメンぶりに惚れて勝手に女の方から寄ってくらぁ。アンタこそ独身のまま30になんのかよ?惨めすぎっぞそれ」

 

 「むう…」

 

 マニゴルドの言葉にシジフォスは額に皺を寄せて唸り声を上げる。そんな黄金聖闘士二人を横目に、ほむらはまるっきり我関せずと言った態度で黙々と焼き肉を頬張っていた。

 マニゴルドとシジフォスはそんなほむらに構わず話を続ける。

 

 「まあそれはともかくだ、シジフォスよ、お前の好きな女のタイプって何よ?ちなみに俺は気が強くてスタイルの良いのが好みだぜ?」

 

 「いきなりなんだ。俺の好みは…、やはりお淑やかな性格の女性、か…?」

 

 「ほー、そうかい。…んで体型は?」

 

 「は?」

 

 「だから体型だよ体型。胸はでかい方がいいのか小さい方がいいのか、大人がいいのかロリがいいのか」

 

 シジフォスは訳が分からないと言いたげな表情であるが、マニゴルドは真剣な表情でシジフォスを見ている。むう、と若干気圧された表情をしながらシジフォスは考えながら答える。

 

 「体型は…、別にどうでもいいが…。やはり大人の女性、だな…」

 

 「なんだよ、てっきり貧乳でロリって答えるかと思ったんだがよ…、予想外れたわ」

 

 「お前どれだけ俺をロリコンにしたいんだ!!」

 

 マニゴルドのつまらなさそうな返答にシジフォスは思わず絶叫を上げる。

 こうして聖闘士達の夜は更けていく……。

 




 若干ネタが入りました、すみません…。
 LCはネタ要素がありませんからね、原作と違って…。カッコいいからいいけど…。
 シジフォスさんを弄られて不快感を感じられた読者の皆様がいらっしゃったら、お詫び申し上げます。少々遊びすぎたかもしれません。

 それから理想郷での投稿についてですが、ここでの更新と並行して行うことにいたしました。
 どうかこれからも私の拙作をよろしくお願いいたします。
 

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