悪友愛   作:炎焔

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汚点的出会い

「ピンポーン」

 

 

俺は何時もこの呼び鈴で目を覚ます、目覚ましも30分前にセットしてあったけど

 

止めてまた直ぐに寝に入ってしまうので意味を成していない

 

 

「はぁ~・・・んっ・・・」

 

 

髪の毛が乱れ、服もヨレヨレ、部屋もゲームのコードやパッケージ等が散乱している

 

昨日、ゲームをしたまま寝てしまったらしい

 

 

 

「ピンポーン」

 

もう一回呼び鈴が成り、そこで初めて意識がハッキリした

 

「もう、こんな時間か・・・とりあえず出ないと」

 

 

寝ぼけ眼で玄関に向かい、次の呼び鈴が鳴るとほぼ同時に

 

ドアを開けた

 

「お?やっと出てきた、今日はいつもより遅いな?どうしたんだ?」

 

「いや、ゲームのやりすぎだ」

 

「あ~、そういや昔もよくあったな、それでよく俺も遅刻しそうになったわ」

 

「あー、中学の頃か」

 

「小学校の頃もな、あの時は母親に怒鳴られてたな、お前」

 

軽く笑みを浮かべながら言った

 

「悪いな、少しかかるかもしれんから勝は先に行っててくれ」

 

「まあ、いつものことだし待ってるよ」

 

「ん、悪い」

 

 

とりあえず玄関に入ってもらい、歯を磨き服を着て冷蔵庫の中を漁って

 

早々に支度を済ませた

 

その間約10分、なかなか早く行ったと内心でドヤってみせた

 

「待たせたな!行こうぜ」

 

「おーけー」

 

 

家から学校まではそんなにかからず徒歩で約30分くらいだ

 

その道を友人である勝と毎日登下校しているが、最近その進路に不審者が出ると噂されており

 

町内の大人たちが見回りなどをしている

 

 

零「それにしても、不審者ってどんなことするんだ?通り魔と違うんだろ?」

 

勝「そりゃお前、イカガワシイ事だな、下着を盗んだり、幼女をつけまわし、挙句の果てに連れ込もうとする」

 

零「それって変態じゃねーか!」

 

勝「そうそう変態、まるで女子を見るときのお前みたいだよ」

 

零「いや!そんな目で見てねえから!」

 

勝「いや、合同の大育の時とかモロにみてたよな?それが原因で如月と言い合ってたし」

 

零「いやそれは・・・・あぁー」

 

零「嫌なことを思い出させないでくれよ・・・」

 

勝「名前を聞いただけでそんなに嫌そうな顔をするなんて余程嫌いなんだな」

 

零「あたりまえだ!あいつと顔を合わせるのすら俺にとっては地獄だ!」

 

勝「出会って直ぐに喧嘩を始めるんだもんな、あんなに早く犬猿の仲になるなんて思わなかったよ」

 

 

 

如月とは幼い頃からの知り合いではなく

 

高校1年の入学式の時からだった

 

当時はまだ色々と吹っ切れていなくて、若干女子に苦手意識があった

 

周りも知らない奴がちらほらと居て、落ち着かなく

 

勝はまだ教室には戻ってきてなかったし、どうしようかと考えていた時だ

 

 

 

「あっはwwぼっちじゃんww」

 

 

ビクっとその声に体が反応し、声のした方に目線を向けると

 

一人の女子がこちらに指を指してゲラゲラと笑っている

 

ピンク色の長い髪が特徴で、目が少しキリっとした可愛い感じの子だ

 

何なんだろうか、期待半分で見てると

 

 

「さっきから一人でキョロキョロと落ち着かないね~?」

 

 

現実は非常であった

 

第一印象は最悪、なんて常識の無いやつなんだと思った

 

少女漫画では出会いが最悪でもその後はっていう展開があるが

 

こいつはそういう類の人ではなく、ただただ失礼な奴だった

 

 

「ねぇねぇwなんなら友達になってあげようかww?ん?」

 

「あ、でもあんまかっこよく無いからな~どうしようかな~」

 

 

そのあとも色々と言われたが無視をしようとしたが

 

やはり我慢にも限界というものがあり

 

「さっきからなんも喋らないなんてつまらないな~もしかして、きんt・・」

 

「うっせーんだよ!」

 

彼女の言葉を遮って口調を荒げて言った

 

「さっきから馴れ馴れしく失礼なことばかり言いやがって!」

 

「あれか?チョロそうな男を見かけては面白おかしく見下して笑いものしようとして」

 

「そのバカみたいな口を閉じろ!このビッ○が!」

 

 

その言葉を言い放った瞬間俺は学校生活の終わりを悟り、次に酷い後悔が押し寄せた

 

周りに人がいる、当然女子もいる中で俺は言ってはいけないことを言ってしまった

 

いくら余裕がないからといって、これでは完全に最低な人間だ

 

しかも女性に対してビッ○等と、心に一生物の傷が出来てもおかしくはない

 

泣いてしまっただろうか、すごく怒っているだろうか、恐る恐る

彼女の方に目をやると

 

 

 

彼女は目を少しヒクつかせた後

 

 

へっ っといった感じで気にも止めていなかった

 

「口調を荒げて汚い言葉をぶつけることでしか言い返せない頭の可哀想な類人猿さんはここかな?w」

 

「しかも、場を弁えないで大声出しちゃって惨めだよ?凄く惨めなんだよ?」

 

「ねぇねぇ?大衆の面前で大恥を晒してしまった気分はどう?」

 

「プププwwwはずかしいでちゅねww」

 

 

「くぅ・・・・」

 

言ってしまったことの後悔と、恥ずかしさ、周りに悪い意味で注目されてしまった事で

 

どうにかなってしまいそうだった

 

 

「零?どうした?」

 

勝が来てくれた、やはりこいつは頼りになるやつだ

 

藁にもすがる思いで勝を見ると

 

「ねぇ、君そこの根暗君の友達?ひどいんだよ~私のことビッ○って罵ったんだからね!」

 

 

「なっ!それはお前が!っていうか根暗ってなんd」

 

「ひどいよ!女の子にビッ○なんて~私まだ純情な乙女だよ~」

 

 

遮って更に付け加えた

 

その後も軽く言い合いになったが、それから先のことは途切れ途切れで覚えていない

 

幸い、あれだけひどいことを言ったのに、先生の耳には入っていなかった

 

入っていたら今頃あの学校に物理的に居れなかったかもしれない

 

 

 

 

これが如月との出会い、俺にとっての人生の汚点となる瞬間だった

 


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