Fate〜衛宮士郎の救済物語〜   作:葛城 大河

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また番外編を書かせて貰いました。なんか、本編は息詰まっていて、執筆が遅れています。


そして今回はバグ士郎君が英雄になった話です。舞台は冬木ではありません。というか、型月の世界ではありません。ネタバレ要素が含みます。主に宝具関係で。それでも良いと言う方は、如何ぞ見て行って下さい‼︎


番外編 士郎が英雄になった場合の話(ネタバレ含む)

一人の少年が居た。いずれ、とある戦争に巻き込まれ、非日常を送る事になる少年が居た。だが、一人の老人の介入によって、少年の人生は劇的な変化が起こった。正史では、三流以下の半人前な魔術師だった彼は、老人の力により少年は力を手に入れた。それは救う為の力。それは正義を執行出来る程の力。それは人々を助ける事が出来る力。

 

 

これから話すのは、とある戦争に巻き込まれた時の話ではない。これはその戦争から数年後のお話。人々を助け、救済しつづけた少年は青年となり、英雄にまで至った物語。彼は救世主だ。彼は救済者だ。彼は『正義の味方』だ。助けを求める声があるなら、彼は呼ばれる(・・・・)だろう。何故なら彼は、誰もが認めた『正義の味方』なのだから─────

 

 

 

 

 

 

────2027年新宿某所

 

 

そこには地獄が広がっていた。周りには人だったモノ(・・・・・・)が転がっている。ビルやマンションといった建物も音を立てて崩壊している。そんな地獄を一人の女の子が歩いていた。水溜りのようになっている血の中を嗚咽を漏らしながら泣いていた。年齢は十歳程だろうか。グスグスと涙を流しながらも、歩を休めない。

 

 

知っているからだ。ここで足を止めてしまえば、自分が周りと同じ光景になるのを。故に、歩みを止める訳にはいかない。服の袖で涙を拭い、少女は前を向いた。すると、少女の耳になにかの唸り声が響いた。その瞬間、少女は全身を硬直させる。ガタガタと体が震えるのが分かる。この近くにいる。周りをこんな惨状にした存在が近くに居る。怖い。逃げたい。

 

 

しかし、少女の体は動かない。一瞬でもこの場から、離れたいと思っているにも関わらず、恐れるように動けないのだ。そしてそれは現れた。少女の眼前にある崩壊したビルから姿を現した。なんと言えば良いのか。ビルから現れた存在は、巨大だ。全長は十五メートルといったところか。人の形をしているが、勿論、人ではない。顔には幾つもの眼があり、ギョロギョロと(せわ)しなく動いている。と、数うちある眼の一つが、硬直している少女を捉えた。

 

 

すると、ニヤァとソイツは嗤った。ボロボロな歯を見せ、ヨダレを垂らす。少し離れているのに腐臭が、少女の鼻腔を刺激した。ズシンと大地を鳴らし、その存在は少女に足を向けた。少女はソイツを知っていた。ソイツの名は────

 

 

────『アビス』。

 

 

数年前に突然、地球上に出現した異形。なにが原因で、この化け物が現れたから分からない。ただ分かっている事は、異形の化け物は現代兵器では倒す事が不可能だという事だ。故に出現したのなら、逃げるか、隠れるしかない。あたかも、天災から逃げるように。そしてこの惨状は、天災の代償である。ズシン、ズシンと『アビス』が少女の方に近付く。

 

 

「あ……あ、あぁ………いや……こないで」

 

 

逃げようとするが、足がもつれて尻餅をつく。その姿になにが楽しいのか、ケタケタケタと嗤う化け物。

 

 

(誰か……助けて…………っ)

 

 

涙を溜めて、居もしない誰かに助けを求める。もう逃げられない。このままいけば、少女も周りと同じ目にあうだろう。そう、このままいけば。

 

 

「だ、誰か……お願い」

 

 

目の前で『アビス』が止まった。そして、手を少女に伸ばす。掴まれれば、『アビス』に喰われるだろう。その光景を何度も見たから知っている。膝が笑い、立ち上がる事も出来ない。あと数秒後。少女は無残に喰われる事だろう。しかし、そんな事にはならなかった。

 

 

「────え?」

 

 

少女は眼を見開いた。伸ばされた筈の腕は、突如、消え失せ鮮血が舞った。まるで、シャワーのように『アビス』の腕から血が噴き出していた。信じられない。そんな思いが、少女の心境だ。近代兵器で、傷すらつかない筈の化け物が傷を負っている? まだ、幼い少女にはなにが起きたのか分からないでいた。

 

 

「…………間に合わなかったか」

 

「え?」

 

 

目の前の事に驚いていると、少女の耳朶に声が響く。隣を見てみると、何時の間に居たのか、一人の青年が立っていた。彼は物言わぬ肉塊となった人だったモノに視線を向けて、悲しそうに眼を伏せる。だが、それは一瞬の事。青年は尻餅をついている少女に顔を向けた。

 

 

「………大丈夫か?」

 

「は、はい‼︎」

 

「そうか。なら、後は俺に任せろ」

 

 

笑みを浮かべて、優しく頭を撫でると青年はそう言って、少女の前に移動した。未だに激痛で暴れる『アビス』に視線を戻して、青年は呟いた。

 

 

「さて、覚悟は出来てるんだろうな」

 

 

すると、『アビス』が全ての瞳を青年に向けて怒りを現した。目の前の男が、自分の手を消失させた人物だと理解したからだ。ガキガキと歯を打ち鳴らし、『アビス』は吼える。

 

 

『■■■■■■■■■■─────────ッッッ‼︎』

 

 

なくなっていない方の腕を振り上げて、化け物は青年に狙いを定めて、そのまま放った。ヴォォォンンッ‼︎ と数トンもの質量が込められた拳が迫る。後ろで、少女の声にならない悲鳴が響く。しかし、その拳が当たる事はなかった。

 

 

「『千山斬り拓く翠の地平(イガリマ)』」

 

 

そう青年が告げた瞬間───全長数十メートルはある巨大な剣が、なにもない所から出現して『アビス』の胴体を薙ぎ払った。化け物の体が吹き飛び、地面を転がる。それに眼を細め、青年は左手に弓を作り出した。そして右手に紅き魔槍と刀身が捻れた剣を出現させ、槍と剣を右手で上手く持つと、弓に番った。次の瞬間。青年は静かに言葉を紡いだ。

 

 

「『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)』……『真・螺旋剣(カラドボルグ)』」

 

 

青年から圧倒的なまでの暴風が巻き起こる。そして限界まで引き絞った、槍と剣を解き放った。二つの武器は閃光となり、立ち上がろうとする『アビス』を襲う。紅き魔槍が最初に衝突し、爆音を轟かし上半身を消し飛ばした。だが、オマケと言わんばかりに捻れた剣がぶつかり、今度は下半身を消し飛ばした。後にはなにも残らず、弓で放たれた武器の破壊の爪痕だけが残された。

 

 

それに某然とする少女だ。どんな兵器を用いて倒せなかった化け物を、あっさりと倒して見せた青年。驚くに決まっている。あの力は一体、なんなのか? 疑問は尽きないが、しかし、少女には如何でも良かった。今、分かっているのは、自分が生きているという事だ。自分を助けてくれた青年に、視線を向ける。すると、彼は視線に気付いたのか、こちらに顔を向けると笑顔を浮かべた。

 

 

「もう大丈夫だ。あの化け物は、俺が倒した」

 

 

安心だといって、頭を撫でる青年。少女はその青年の姿を見て、涙を浮かべた。まだ分からない事だらけだ。だが、少女は一つだけ分かった事がある。それはこんな地獄と化した世界に、英雄(ヒーロー)が現れたという事である。少女はこれを気に青年と共に幾つもの世界(・・)を旅をする事など知る由もなかった。

 

 

「良し、この世界を救うとするか」

 

 

これから起こるのは『正義の味方』が起こす物語。数十もの世界を救った青年の話。彼の名前は幾つもの世界で語り継がれるだろう。

 

 

─────『正義の救済者』衛宮士郎、と。

 

 

 

 

 

 

 

何処かの世界。そこに一人の青年が立っている。青空を見上げた彼は、小さなため息を吐いた。聞こえる。彼にしか届かない声が響く。

 

 

『………助けてっ⁉︎』

 

『お願いだぁ‼︎ 死にたくないっ⁉︎』

 

『た……す……けてぇ』

 

 

老若男女の叫びが聞こえる。それは救済を願う叫び。それは『正義の味方』を求める声。

 

 

「………行かないとな」

 

 

その声の場所に彼は向かう為に、眼を閉じた。救済を求める言葉があるならば、彼は何処にも現れる。何故なら彼は英雄なのだから。そして青年の姿が、忽然とその場から消えた。向かうのは助けを求めた者達の世界(・・)だ。

 

 

彼はこれからも救済を続けるだろう。それが救済者であり『正義の味方』である衛宮士郎の生き様なのだから。

 

 

 

 

 

 

 




パラメータ

衛宮士郎
性別:男
身長:185cm
体重:72kg
属性:秩序・善
筋力:A+++
耐久:A+++
俊敏:A++
魔力:───
幸運:A++
宝具:EX
▼クラス別能力
騎乗:A
対魔力:A
▼保有スキル
進化の器:EX
心眼:EX
???
???
▼宝具
全ての式を解く者
全ての式を編む者
透波
無限の剣製
我が救済は永遠←ルビを募集(活動報告やメッセージでお願いします)
???



保有スキル

進化の器:EX
進化の体現。その眼で見るだけで、あらゆる物事を吸収し、究極まで上り詰める。それだけではなく、彼の進化の器は老人が持っていた時より変化している。

心眼:EX
老人の訓練と、英霊や数々の戦闘で手に入れた、未来予知レベルの心眼を可能にした。

???
詳細は分からない。

???
詳細は分からない。


宝具説明


全ての式を解く者
ランク:EX
種別:対界宝具?
レンジ:1〜99
最大補足:視認した全て
▼効果
虹色に輝く雫の文様を浮かべる魔眼。この魔眼の力は、式を解析する力である。しかし、この魔眼の恐ろしい所は解析ではなく、解除にある。世の事象の全ては、式で表現出来る。所謂、この魔眼で解析出来ないモノはなく、あらゆる事象や概念すら読み解く。解析したモノは等しく、手を触れずに解除、いや分解を可能とする魔眼。例え、それが人間の存在だとしても。



全ての式を編む者
ランク:EX
種別:???
レンジ:???
最大補足:???
▼効果
全ての式を解く者と対をなす力。最初は持っていなかったが、彼が一から創ったものだ。解く者は、解析と解除の力だが、式を編む者は、その式の全てを自分の好きなように編むまたは、改変を可能とする力。例え、人間の存在だとしても。



透波
ランク:なし
種別:対人魔拳
レンジ:1
最大補足:一人
▼効果
ただの掌底。しかし、あらゆる技術を取り込み、“必ず殺す”必殺まで昇華した代物。



無限の剣製
ランク:???
種別:???
レンジ:???
最大補足:???
▼効果
無限の剣製。それは心象風景を現実世界に侵食させる固有結界。彼の固有結界は、武器であるならば、見ただけで複製し貯蔵する。しかし、全ての式を解く者によって強化されている。



我が救済は永遠←ルビを募集
ランク:EX
種別:???
レンジ:???
最大補足:???
▼効果
彼の偉業が宝具として昇華されたもの。詳細は知られていないが、この宝具には副次効果がある。助けを求める声が聞こえ、その者の場所に瞬時に移動する。例え、時間や世界の壁があっても。



???
ランク:???
種別:???
レンジ:???
最大補足:???
▼効果
詳細は知られていない。だが、彼が本当に危険な時にしか使わない奥の手。恐らくは、使う機会がない宝具だ。


ルビの募集は、活動報告を書いたので、もしも思い付いたという方は、そちらにお願いします。




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