楽しく逝こうゼ?   作:piguzam]

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波紋の力、とくと御覧あれ!!

俺たちを狙った雷はプレシア・テスタロッサが放った次元跳躍魔法とやらで、その痕跡を追跡したエイミィさんはプレシアの居場所を特定できたそうだ。

アースラはプレシアの所在地を突き止め、何人かの武装局員を派遣する段取りらしい。

なのはとフェイトの決闘が終わったのでアースラへと帰還した俺たちだが、アースラの局員はフェイトとアルフを見るなり拘束具を持ち出しやがりました。

それだけならまだ止めてくれと注意するだけでよかったんですが……ちょいとイケメンな感じの局員Aさんが

 

「この犯罪者のガキが!!」

 

などと叫びやがったんで…………プチっときまして……

 

「おい!!なんてこt…」

 

『ドラァッ!!』 

 

ドグシャッ!!

 

「ぱげらぁっぷ!!?」

 

クロノが注意するより早く、『クレイジーダイヤモンド』でぶん殴っちゃいました(笑)

皆目が点になってます。はい。

 

「んなぁっ!?ゼン!!?」

 

「大丈夫、だぁ~いじょうぶぅ。手加減したしちゃんと『治した』からよ」

 

ゆっくり起きあがる局員を見ながら俺は掴みかかってきそうなクロノを落ち着かせる。

 

「まぁ、もっともぉ…………」

 

局員Aさんは顔を抑えながら立ち上がり、こちらに向き直る。

 

「キ、キサマ!!何をするか!?」

 

「「「「「ぶはぁっ!!!!!!???」」」」」

 

「『元通り』にゃ『治さない』がな(笑)」

 

なんということでしょう~。

先程までの爽やかイケメン風の面影は完全になくなり、鼻が潰れて低くなりすぎた顔がそこにはありました~。

アースラのスタッフの人たちもなのはたちも噴出しております。

まぁ、あの顔で怒鳴られても笑うしかないわな……かくいう治した張本人の俺も笑いを堪えているんですがね。

ザマァ!!イケメンが→イケメン(迷)に進化した。

 

「き、君というやつは……ぷ、クク……」

 

クロノクロノ、噴出しちゃってるぜ?

 

「も、もう…む…り……かも…フ、っフフ…」

 

なのはっさーん。頑張って堪えてー!!

 

「……………」プルプル

 

フェイトさん、俯いて顔真っ赤にしながら頑張って堪えてます。

その口を抑えながらプルプル震える様はなんとも可愛らしいぜ。

 

「プッ…グ!!…フ、フフフ!!」

 

ユーノにいたっては完全に笑ってるし……

 

「アハハハハハハ!!ブッ、ゲホゲホ!!アッハハハハハハ!!ヒ、ヒハハハハ!!」

 

アルフさん。隠すつもりありませんねアナタ?おもいっきり指差してますね。

そんで、自分の顔の違和感にきずいた局員Aさんはトイレまで走っていって見えなくなりました。

まぁすぐに彼の絶叫が響きわたってきたんですがね。

とにかく、残りの局員さん達にも言っときますか……

 

「俺のダチに手ぇ出そうってんならもれなく無料で整形してあげますよ?」

 

そう言いつつ俺は『クレイジーダイヤモンド』を俺たちと局員の間に腕を組んだ状態で仁王立ちさせる。

2mくらいの身長があるだけでも怖いのに『クレイジーダイヤモンド』は超!マッチョなボディも兼ね備えてる。

おまけに甲冑の隙間から覗く鋭い目で睨まれるもんだから局員さんみんな青ざめてるし。

とりあえず局員さん達にゃ俺の必死な O・NE・GA・I を聞き届けてもらえたので拘束具は無しって方向になった。

…… KYO・U・HA・KU じゃないよ?ホントだよ?

そんな子紆余曲折を経て俺たちはメインブリッジに向かった。

 

 

・・・・・・・・

 

 

メインブリッジではオペレーターの人たちが状況を伝えられ、その様子がメインモニターに映し出されている。

そんな中、リンディさんがこちらに歩いてきた。

 

「お疲れ様。それから……フェイトさん? 初めまして」

 

挨拶されたフェイトは黙って手の中のバルディッシュを見つめるだけだった。

横に立つアルフもフェイトを心配そうに見ている。

リンディさんは母親が逮捕される姿を見せたくないという気遣いからフェイトをほかの部屋に連れて行くよう言い、なのはが自分の部屋に連れて行こうとするがフェイトは一向にその場から動く気配はなかった。

よっぽど母ちゃんが心配なんだろうな……

モニターを見詰めるフェイトの目は不安で堪らないって書いてある。

 

『総員、玉座の間に進入。 目標を発見』

 

そうこうしてるうちに、時の庭園に突入した武装局員たちが、

玉座の間に辿り着き、プレシア・テスタロッサを捕捉していた。

 

「プレシア・テスタロッサ。時空管理法違反の容疑で逮捕します」

 

「速やかに武装を解除してください」

 

局員の言葉に、プレシアは動じる事なく玉座に座ってる。局員がプレシアを囲み、数名の局員が後ろに回る。

プレシアはその場から動かず、後ろに回った局員を睨みつけている。

だが、局員達が『そこ』に足を踏み入れた途端、態度が豹変した。

 

「何だ、これは!?」

 

「…………ッッ!!」

 

 局員達は『ソレ』を目にし、息を呑み……手を触れようとした、その時。

 

「アリシアに触るなアアアアアァァアアアアァァァァァァ!!」

 

――ズガアァァン!!

 轟く大音声。目を焼く閃光。

 

「なっ……!?」

 

驚き、振り返った局員が見たのは……黒焦げになり倒れ付す仲間達。

油断などしていなかった。いつ動いても、即座に鎮圧できるはずだった。

それは、わずか一瞬で崩れ去る。

 

『Photon Burest』

 

狼狽する残りの局員へ、攻撃魔法を仕掛けた。

 

「危ない、防いで!」

 

リンディさんが叫ぶが、

 

――ドゴオォン!!

 

 プレシアの雷のほうが早かった。狭い場所での爆発は、その威力を数倍に増し……局員達を蹂躙する。

 シールドは砕け、吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。

 

「……他愛もないわね」

 

 気だるげに、プレシアが言う。

 戦闘開始から、たった数分。それだけの時間で、先行部隊はプレシア一人に敗北した。

 

「いけない!局員達を送還して!」

 

リンディさんの指示で、局員達はアースラに転送された。局員達は怪我を負ったものの、死者は一人もいなかった。

だが俺やなのは達はそんなことが頭には入ってこなかった。

……モニターに移る『フェイトにそっくりな子』から目が離せなかった。

顔は、同じ。そっくりとか、瓜二つとかいうレベルを越えて、同じ。

長く、量の多い金髪が揺らめき、閉じられてはいるが、その両の瞳も、フェイトと同じ赤い色をしているだろう。

だが、共通点といえばその程度しかねえ。

残るのは、怖気を催すほどの異常な光景だ。

モニターに映る少女は、上下を密封された、瓶のような『水槽』の中で、薄緑色の溶液に漬かっていた。

 

「…ジーザスクライスト…」

 

モニター越しとはいえ、人間の死体を直視してしまい…俺は吐き気を催した…死体を瓶詰めにして保存している。

プレシアの異常な行動が恐ろしくて、不気味だった。

 

「ありゃあ……一体? アリシアって、誰なんだ?」

 

「……プレシアの、実の娘だ」

 

俺の疑問に答えたのは、苦虫を噛み潰したような顔のクロノだった。

……『実』の娘ってなんだよ…じゃぁフェイトは…?

 

「プレシア・テスタロッサの娘、アリシア・テスタロッサは……三年前に死亡している」

 

クロノが、諦めたように白状しだす。

 

「フェイト・テスタロッサという名前は、プレシアの過去の経歴には、一度も登場していない」

 

モニターの向こうからフェイトを見るプレシアの目には嫌悪感しかない。

………あんな目、実の娘を見る目じゃネェ!!

 

「フェイト。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけの、役立たずな私のお人形」

 

…なんだよ?それ?…人形…だ…?

彼女の言葉に答えるかのように、エイミィさんは顔を俯かせて静かに語り始めた。

 

「最初の事故の時にね、プレシアは実の娘、アリシア・テスタロッサを亡くしているの。彼女が最後に行っていた研究は使い魔とは異なる使い魔を超える人造生命の精製。そして、死者蘇生の秘術、フェイトって名前は当時

彼女の研究につけられた開発コードなの」

 

名前ではなく、無味乾燥な名称。

フェイト…?…じゃあ…?

俺の脳みそが、勝手に結論へ辿り着いてしまう。

フェイト。フェイト・テスタロッサ。目の前にいるプレシアを母親と慕う少女。

記憶の中にいるプレシアは、随分と優しい母親で……

でも、ある境を機に、ぱったりとプレシアは愛情を見せなくなった。

 その『境』ってのは、十中八九……

 

『そうよ。フェイト……お前は、プロジェクトFATEの実験体、その第一号……アリシアの模造品よ』

 

それは、他ならぬ母親のプレシアによって明言された。

フェイトは、アリシアのクローン。俺は、その事実を受け入れられなかった。

でも、俺の意思なぞお構い無しに、プレシアの口からは悪意が吐き出される。

 

『私がアリシアを取り戻すまでの間を繋ぐ……ただのお人形』

 

一言一言が、フェイトの心を抉っていく。

…やめろ…

 

『だから』

 

嫌悪感を隠そうともせず、吐き捨てる。

やめろ!!

 

『おまえはもう、いらないわ。どこへなりとも……消えなさい!』

 

…これが……曲がりなりにも、母親の言うことかよ!?

 

「てンめええええええええええええ!!」

 

主人に向けられる悪意にアルフが怒りを露に、咆哮をあげながらぎりぎりと拳を固める。

そして……

 

『いいことを教えてあげるわ、フェイト。私はね、あなたを創りだしてからずっと、あなたのことが大嫌いだったのよ!』

 

最愛の母親から拒絶の言葉が出た瞬間、フェイトが崩れ落ちた。

 

「フェイト!」

 

俺は咄嗟にフェイトを支える。

最愛の母親の拒絶の言葉はフェイトの心を深く傷つけ涙が流れるその目には光が無かった。

俺はフェイトを抱きしめながらモニター越しに映るファッキンババアに今まで抱いた事が無いほどの……

 

 

「……ふ、ふざけてんじゃねぇぞクソババァァアアッ!!!」

 

 

怒りって名前の炎が渦巻いてきた。

俺の荒らぶるような怒りの咆哮が届いたのか、モニター越しのプレシアは俺を一瞥してくる。

こんな……こんなクソムカッ腹が立つ光景を見せられて、ド頭にこねぇ奴はいねぇよ!!

モニターの向こうのファッキンババアを睨みつけながら俺は感情の赴くままに言葉を紡ぎだす。

 

「クローン?だから何だってんだ!?たとえそうだとしても、ここにいるフェイトは今こうして生きている一人の人間なんだよ!テメェの言うような人形なんかじゃねぇ!コイツを否定することは誰にもできねぇんだよ!!テメエはコイツの……フェイトの、世界でたった一人の母親だろうがぁ!!!」

 

俺の言葉にプレシアは一瞬、ほんの一瞬だけ悲しい目をしたのを俺は見逃さなかった。

 

『………誰かと思ったらお人形がなついていた子じゃない………親?私はそんな子を産んだ覚えなんて無いわよ、私の娘はただ一人……アリシアだけよ!』

 

そこでプレシアとの通信が切れた。

フェイトを抱えたまま、俺はなのはとユーノ、クロノに視線を向ける。

 

「俺はフェイトを医務室に連れて行ってから向かう。お前たちは先にプレシアのところにいけ」

 

正直、今のフェイトは放っておけねえよ。

 

「…判った。なるべく早く頼むぞ」

 

「禅君…フェイトちゃんをお願い!!」

 

「頼むよ。ゼン…行こう、なのは……」

 

クロノが返事をすると同時に転送ゲートのあるほうへと走って行った。

それに続く形でなのは、ユーノ、も転送ゲートへ向かって行く。

3人が出て行ったメインブリッジにはアルフと俺、リンディさん達だけが残った。

俺の横にいるアルフもプレシアに対する怒りが抑えきれねえのか、握りしめた拳から血が滴り落ちる。

 

「ゼン……フェイトのこと頼むよ、…私はあの鬼ババを一発ぶん殴らないと気が済まないからね」

 

「…わかってんぜ。俺もすぐにいくからよ」

 

アルフもなのは達を追って飛び出していく。

俺の横で心配そうな顔をしているリンディさんに俺は声をかける。

 

「とりあえず俺はフェイトを医務室に運びますね」

 

俺は足元に落ちたバルディッシュを拾い、フェイトをお姫様抱っこして医務室に向かった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

俺はフェイトをベットに寝かせて、俺自身は近くにあった椅子に座る。

 

「……」

 

フェイトは喋ろうともしない、というよりはそんな気力すらねぇんだろう。

……今までは母親が自分の全てだったんだ。

しかもその母親に自分の存在を全否定され、いらないと捨てられたんだ。

顔を覗き込むと目には光が無く、その赤い瞳はハイライトが消失し、まるでルビーをそのまま埋め込んだかのような輝きしかもっていない。

既に涙は止まり、ただ規則的に呼吸を繰り返すだけだ。

…これじゃあ本当に人形じゃねぇか……ッ!!

 

「…なぁ、フェイト………フェイトはさ、人形なんかじゃねぇよ」

 

俺はゆっくりとフェイトに語りかける。

 

「人形は人と話したって返事はしねぇ…けどフェイトはしっかりと返事をするじゃねえか。……自分で考えるじゃねぇか…それに、短い間だったけど俺と一緒に過ごした時間は嘘偽りじゃない」

 

フェイトはフェイトだと、確かに今ここで生きていると。

 

「俺が作ったオムライスを食べて、美味そうな顔を、嬉しいって顔をしてくれたフェイトは人形なんかじゃねぇ」

 

五感もちゃんとあることを。

 

「俺と一緒に笑ったフェイトは偽物なんかじゃねえ」

 

ちゃんと笑うことだってできるんだと。

 

「それによ……俺の手が感じているこの温もりも、嘘じゃ無え…お前は間違いなく、今ここに存る。俺はアリシアなんて知らねえし、俺の知っているのは俺と触れ合って、笑いあったフェイトっていう『女の子』だけだ。」

 

そう言って俺はフェイトの手を握る。

 

すると、フェイトはしっかりと、握り返してくれた。

今はもう目に光が宿っている。

 

「……私は……どうしたら、いいのかな……?」

 

フェイトにとって今までは母親が自分の全てだったんだ…今は生きる目標が無いのだろう。

その問いはフェイト自身が新しい生きる目標を探してるから出たのかも知れねえ…

だが、その『答え』を俺は持っていない。

 

「…お前がしたいようにしな。」

 

「私が……したいように……」

 

俺が答えても、それは俺の『答え』だ。俺からは言えない。俺は椅子から立ち上がって、扉へ向かう。

 

「そうだ。『自分』の歩く道は、『自分』で決めなきゃなんねぇ…俺が言えるのはここまでだ」

 

扉が開いたところで一度立ち止まった俺は背中越しに語っていく。

 

「とりあえず俺はあのババアをぼっこぼこにして、お前に謝らせるつもりだ……」

 

娘にあんだけ暴言吐いたんだ。

キチッと謝ってもらわにゃ俺の気が済まん。

んでもって、あのババアの腹ん中、全部聞かねえとな。

あん時にチラッと見せた悲しい表情にはぜってえ何かある筈だ。

 

「ゼン………」

 

呟かれた声に俺は扉越しに振り向いて、フェイトを見る。

体を起こしたフェイトの俺を映すその瞳からは涙が溢れてるが俺は笑って声をかける。

 

「必ずフェイトの家族……『治して』みせっからよ」

 

俺は扉を閉めて、一度部屋に戻り、戦闘用のジャケットを羽織って転送ポートまで走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…もう誰になんと言われようと止まれねえぞ!!覚悟しろよぉ!?ババア!!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「スティンガーブレイドッ!!」

 

S2Uから形成した魔力弾で傀儡兵を打ち倒す。かなりの数を倒したが、庭園の先はまだ長そうだ。

 

「くっ……数が多すぎる!!」

 

フェレットもどきのユーノはチェーンバインドで敵を縛り上げ、その圧力で傀儡兵をバラバラにしていく。

補助系統の魔法が得意なコイツらしいやり方だ。

 

「文句を言う暇があるなら少しは……倒せ!!」

 

右から迫ってきた新手の剣を避け、がら空きの顔面にスティンガースナイプをお見舞いして撃ち抜く。

もう何体目か解らないがまだ庭園内部にすら踏み込めていない。

苛立ちと焦りが募り文句を垂れているユーノに僕は少々きつめに言葉を返す。

 

「言われなくても……やってるさ!!」

 

ユーノも喋りながらも次に迫ってきた大型の傀儡兵の間接部分にチェーンバインドを仕掛け崩していく。

僕と同じでユーノも余裕が無いのか、返事は何時もよりきつめだ。

プレシア・テスタロッサの身柄確保の為に庭園に降りた僕達を待っていたのは数えるのも馬鹿らしくなる程の甲冑の群れだった。

斧を持った巨漢。剣や盾、槍を持った騎士のような風貌。

一番小さい騎士の姿でも、僕の三~四倍の背丈はある。………決して僕の成長が遅いわけじゃない!!

モニターから見た時は種類こそ豊富だったけど、数は少ないはずだった。

だが、いざ着いてみると入り口の扉が奴らの影に隠れる程にまで増していた。

今は全員が固まって四方から来る敵を駆逐している。

 

「あっ!!?」

 

「っ!?クロノ君!!アルフさん!!」

 

ッ!?しまった!!?

余計なことに気をとられて死角に気を配っていなかった!!

アルフの方は二体同時に相手をして、片方を倒した隙を狙われていた。

コチラも攻撃の後で体勢を崩していて、回避は間に合いそうに無い。僕はプロテクションを張って攻撃に備えている。

せめて後一人いれば……まだか!?あの馬鹿野郎は!!

そして傀儡兵が振り上げた斧を僕へ叩きつける瞬間……

 

波紋肘支疾走(リーバッフオーバードライヴ)ANDスタンドシュ-トォッ!!!」

 

『ドラアッ!!』

 

バキイィッ!!ズドンッ!!

 

その声が聞こえたと同時に、僕に迫っていた傀儡兵は『クレイジーダイヤモンド』にブッ飛ばされていった。

 

「うわっ!?……え?…えぇッ!?」

 

一拍遅れてアルフの驚いたような悲鳴のような声も聞こえてくる。

……まったく、こいつは!!僕は緩む顔を抑えるため、少々怒り気味に後ろにいるであろう馬鹿に声を掛けることにする。

 

「遅刻だぞ!!」

 

「ちっとばかし道が混んでてな!!」

 

そんなくだらない返しをするのは……まぁ奴しかいない。

後ろを向くと、青緑(ターコイズブルー)の波紋を漂わせて、左肘は打突の構えのまま右手でアルフを抱きかかえるゼンがいた。

ご丁寧に、獣のような笑みを貼り付けて………とゆうか、お前…アルフのドコ掴んでる?

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

まぁなんとも絶妙なタイミングで間に合ったもんだな。

あたりを見渡すが傀儡兵はまだたくさんいるし、こりゃ骨が折れんぜ。

 

「禅君!!フェイトちゃんは!?」

 

なのはが切羽詰った表情で聞いてくる…よっぽど心配したんだな…まぁ、皆そうか。

 

「大丈夫だ。ちゃんと話しておいたからよ……それより予想外に敵さんが減ってない件について。もっとバカスカ撃ちまくれよな、魔砲少女さんよぉ!!」

 

「む、無茶言わないでなの!!っていうか発音が違うの!?」

 

「…?合ってんだろ?『blaster junkie』で?」

 

「英語になった!?」

 

やれやれ。自分を理解するって大事なんだぜぃ?

そんなコントをしている内に傀儡兵はまたもや俺達へ突撃してきやがった。

さぁて!!敵さんが来るし構えますかぁ!!

迫り来る傀儡兵を睨みつけながら両足を開き、大きくスタンスを取って拳を握ると……

 

グッムニュン

 

「あんッ!?」

 

あぁん?なんだ?この右手に伝わるムニュムニュとした至高の柔らかさは?

俺は視線を右手に向けると………アルフの豊満なお胸様を鷲掴みにしているmy handが……俺の掌に納まりきらずにはみ出してるのがなんとも……エロいです。

つうか、アルフさん。顔が真っ赤で可愛いよ、ぬk…(ry

 

「ゼ、ゼン……こぉいうのは、その…み、見られると、恥ずかしいから…」

 

なんだ?なんだよ?なんですか?この可愛い生き物。尻尾と耳がふにゃ垂れてるし、ちょっと涙目で…いつもの元気一杯で、活発なアルフさんがこうなるって……可愛いすぐる。

なにこのデレアルフ?食べちゃいた……ってちょっと待ってアルフさん?今の台詞…それは見られてなかったらいいんですかい!?そうなんですかい!?じゃあちょいとあそこの木陰あたりに……

と、そんな感じでアルフと見つめあいながらラブコメってたせいで、またもや傀儡兵に囲まれたが………

 

 

 

シュピンッ!!!

 

 

ズババババババババッ!!

 

 

ビュンッ

 

 

 

黒い何かが横切ると、辺り一面の傀儡兵が細切れに切り裂かれて地面に残骸がブチ撒けられた!!

だが最後の擬音はなんでっしゃろ?

なんか、傀儡兵達を斬った分とは別に一つ余分に鳴ったんですが……

俺はそれを確かめるために振り向こうとしたんだが……皆さんや?

なして俺の後ろを見て顔が青褪めてんですかい?あぁ、理由はわかってるからいいですよ?

 

 

今、現在進行形で俺の首に突きつけられてる『金色』の魔力刃のせいですよね?わかります。

死神の鎌のような形状の魔力刃が俺の首を薄皮一枚のとこで撫でてます………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ゼン?」

 

…聞き惚れるような声で俺の後ろから俺の名を呼ぶのは…………

 

 

 

「アルフの胸を掴んで……ナニシテルノ?」

 

 

 

にっこりと天使のような微笑を浮かべて黒いバリアジャケットのマントをたなびかせるフェイト(死神)様ですた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにそれ怖い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっちょっまって!!?悪気は別に…え?…感触ですか?そりゃもうwonderful!!でMarvelous!!としか言いようが……ゑ?

あの……フェイト様?このバインドはなんでせう?なしてバルディッシュさんをそんな高々と振りかぶってんですk…ちょっ!?まって!?それ使い方がちが……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アッーーーーーーー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~只今波紋が乱れております。呼吸が整うまで少々お待ちください~

 

 

 

 

 

 

 

 

「…とにかく、ここの傀儡兵を駆逐しつつ先に進まねばならない。入り口まであと少しだ…ゼン、大丈夫か?」

 

「だびじょぼぶでぶ。ばび(大丈夫です。はい)」

 

言葉になってなくてスマソ。俺の顔は今、春原さんと同じようにモザイクかけないと見せらんないんです。

そして俺の顔を愉快で素敵なアートに変えてくださったフェイト様は…

 

「…………」

 

むすっとした顔で俺を睨んでます。はい。

まぁ、さっきまでの落ち込んだ顔よか何京倍もいいんですがねぇ。

 

「むぅ…ゼンのえっち……ばか………」

 

ぐぶぉハァッ!!!?

よ、幼女にそんな風に言われるとは……キツイです。

クロノは呆れてるしユーノは苦笑い。

なのはもフェイトに賛成のようで怒った顔してるんだが、フェイトが元気になって嬉しいって感じも出てんな……アルフは顔真っ赤にして、俺と目合わせてくれません。

あぁ、アルフがマジで可愛いんですけど…そんな風に胸を抱きしめないで下さい。

腕の隙間から零れるスイカ様がなんともGOOD……あっすいませんフェイト様。

冗談ですから、はい。真面目にやります。ですからその目にハイライトを戻してください。

フェイトが再びフェイト様になりそうなので俺は強引に話を進めることにした。

ヘタレ?何とでも言えや、コラ。

 

「と、とりあえず、コイツらぶっ倒すからちょいと俺から離れてくれ」

 

「なにか手があるのか?」

 

「あぁ、『秘密兵器』がな。」

 

正直コレを使う日が待ち遠しかったぜぇ!!

 

「なにかできることはないか?」

 

クロノが聞いてくる…まぁ、歯痒いんだろうな。一人でやらせんのが…

 

「あぁ、クロノには前と同じ様に撃ち漏らしを倒して欲しいんだが頼めるか?」

 

「任せてくれ。だが、『秘密兵器』とはなんだ?」

 

よぉし!!これで勝つる!!俺はジャケットの裏手に手を突っ込む。

…みんなが緊張した顔で俺を見ている…ククッ『秘密兵器』が気になるようだな………

俺は焦らすようにゆぅっくりと手を抜く。…ゴクリッ…と誰かの唾を飲む音が聞こえた…

 

 

「フッフッフ…これが『秘密兵器』…だッ!!」

 

俺はソレを抜き出し、掲げる。全員の視線がソレに注がれる………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手の小さい人でも握りやすい形状(フォルム)!!透き通るようなマリンブルーの液体!!そしてラベルに刻印されている『除菌もできる優れもの!!』という祝詞(のりと)!!!

 

 

 

 

 

 

 

そう!!俺たち料理人の心強い戦友であり、一家の台所を預かる主婦の救世主(メシア)!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その名も!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ザ・ジョイ』!!!」(金属の歯車3的な言い方)

 

『『『『『ふっざけんなぁぁぁぁああ!!!!!!!!!!』』』』』

 

アースラスタッフの叫び声とアルフ達の心からの叫び。

代表して、クロノから、ラリアットを、いただきました。ゴチです。

 

「な・ん・で!?洗剤なんだぁぁああ!!!!」

 

クロノ君、血管がはちきれそうですよ?becool becool。

 

「ふざけてるのか!?馬鹿なのか!?そのブッ飛んだ頭の中は何も詰まってないのか!?そうなんだな!?」

 

「失敬なッ!!windows2000内蔵だぞコラァッ!!!」

 

「古いのッ!!?」

 

どやかましいわ!!まぁ、口で説明するより見せたほうが早いか…

 

「まぁ、だまされたと思って見てな?おもしろいモン魅せてやっからヨォ!!」

 

おれはジョイを無造作にコインの様に上に投げる。

 

「『クレイジーダイヤモンド』!!!」

 

そしてクレイジーダイヤモンドがそれを空中でキャッチして上下に振り回す!!

 

『ドララララララァーーーー!!』

 

シャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカ!!!

 

中に混ぜ込んだ水と混ざり合って、少なめに入れておいた容器の余りの部分に『泡』が立つ。

俺はそれをクレイジーダイヤモンドから受け取って、青緑(ターコイズブルー)の波紋を流し込む。

俺が今から使うのはあのサイコーにCOOLな男のサイコーにカッケー技だッ!!その名もッ!!

 

「いくゼッ!!『シャボン・ランチャー』!!!」

 

手を振り、容器からシャボンを押し出す。

その漂うシャボン玉には一個一個に強力な波紋が流し込んである。

傀儡兵達は脅威がないと判断したのか、まとめて突っ込んできやがった。

やれやれ、テメエ等ちょいと迂闊だぜ?

 

「ゼ、ゼン!!ア、アレで大丈夫なのかい!?」

 

不安になったのか、アルフが声を掛けてくる。

 

「まぁ、見てなって……」

 

魅せてやるって言ったろ?

 

そして、傀儡兵がシャボンの群れに突っ込んでシャボンに触れた瞬間……

 

BomB(ボン)

 

バグシャアアァァアアアアアアアアアンッ!!

 

傀儡兵に当たったシャボン玉は青緑

ターコイズブルー

の波紋を撒き散らしながら轟音を立てて弾ける。

結果、シャボンに触れた傀儡兵はバラバラになる奴、上半身が吹っ飛んで下半身だけがヨロヨロと倒れていく奴等が大量生産された。

 

『『『『『…………』』』』』

 

誰もが目の前の惨状に呆然としている中、俺は全員を驚愕させることができたことに口元が吊り上ってしまう。

テンションがハイになった俺は口をあんぐりと開けているフェイト達に向き直っておちょくる。

 

 

 

 

「へっへっへっへっ……どうよ?キッチリ魅せてやったぜ、ベイビー?」

 

こっから先はブチ壊して進んでいくだけだ!!

さぁ、待ってろよぉ!!!プレシア・テスタロッサ!!!ぼっこぼこにしてやんよ!!!


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