楽しく逝こうゼ?   作:piguzam]

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説明文を見ても良く判らなかったんですが、感想の横に着いてるGOODとBADって何でしょうか?


管理局とご対面~え?そのシュガーは何?

ぴちゃん

 

俺の服から雫が滴れ落ち、落ちた雫は鉄の床に水溜りを作っていく。

名も知らぬ清掃員の方、サーセン。

 

「…………」

 

「…………」

 

「え、ええっと……大丈夫?」

 

お解りいただけるだろうか?

 

小学校ではプールの緊急避難訓練で、衣服を着用したまま泳ぐ授業がある。

当初は水着ではなく、衣服を着たまま泳ぐという未知なる体験にWKTKしていたが、いざ水から上がると服がピッタリと張りつく気持ち悪さ。

そして水を吸った服の重みで自由に動けない疲労感に気だるさが襲いかかってくる。

 

それが今、ワタクシこと、橘禅が体感している現状だ。

 

クロノと民族衣装の子は同情の視線でこちらを見て、魔砲少女(笑)は心配してくれている。

優しい言葉に涙が出そうですたい。

……あの後、海から俺を引っ張り上げたクロノは「聞きたいことと、話したいことがあるから着いてきてくれ」とびしょ濡れになって傷心中の俺を引きずって公園に連れてきた。

そして公園で魔方陣を展開して、今俺がびしょ濡れで立っている宇宙船……『アースラ』とかいうなんともFantastic なとこに俺の返事も聞かずに引っ張ってきやがった。

クロノはこのアースラに到着してそのまま進もうとしたが、そこでやっとこさずぶ濡れの俺に気がついてなんとも言えない表情でこちらを見てきている。

 

「…とりあえず、もうちょっとだけ待ってくんね?」

 

「…うん、大丈夫。ちゃんと待つよ…」

 

「すまなかったな……替えの服がいるなら僕のを貸そう…」

 

クロノと民族衣装の子が優しく肩を叩いてくる。

二人の言葉に涙が止めどなく溢れてます。はい

 

「ぐずっ…ありがとう。だが、大丈夫だ。そろそろ『練れる』ぐらいには回復したから…」

 

「?」

 

「にゃ?…『練れる』って……何を?」

 

俺の言葉に反応した魔砲少女(笑)は首を傾げて俺を見てくる。

まぁ、今の単語だけじゃわからんわな。

……そうだ、イイ事思いついた。

 

「ひひ、まぁ見てな…コオオォォォ……」

 

俺はいたずらを企む笑いを浮かべながら、呼吸を整えて青緑(ターコイズブルー)の『波紋』を指先に練り上げる。

血液を流れる太陽のエネルギーが指先に集中していき、指先から微かに青緑(ターコイズブルー)光が奔りだす。

すると……

 

「ッ!?」

 

「あにゃ!!な、なに!?」

 

「これは!?」

 

着ている衣服に吸われていた水分が引っ張られる様に動き出し波紋を集中させた人差し指に吸い寄せられていく。

そして最後は俺が立てた人差し指にプリンのような形で留まり、俺の衣服は元通りの軽さに戻ってくれた。

即興で思いついた手品紛いの遊びだったが、三人はその不思議な水の塊を凝視している。

 

「…不思議な術だな……魔力反応も無しにこの様な事が出来るなんて」

 

クロノは水の塊を見ながら思案するように呟いている。

まぁ、術と呼べるような大層なモンじゃねぇけどな。

 

「とってもキレーなの……」

 

「うん……凄く幻想的だね」

 

二人は水の周りに奔る青緑(ターコイズブルー)の『波紋』に目を輝かせているが………コレで終わる俺じゃねぇんだぜ?

 

「とりあえずかじってみ?元は水だが、感触はこんにゃくゼリーだぜ?」

 

プルップルと震えている水を輝く目で凝視している魔砲少女(笑)に俺は教えてやる。

 

「ホント!?……ち、ちょっと怖いけど……え、えい!!(パクッ)」

 

「ああっ!!なのは!?それって元は海……」

 

俺の言葉を鵜呑みにした魔砲少女(笑)は少しだけ戸惑ったが、意を決して上の部分をかじる。

すると少しばかり目尻が下がって涙目になってきた。

簡単に引っかかったことに、ニヤリと口を吊り上げて俺はそれを見ている。

確かに感触はこんにゃくゼリーだよ?感触は?

 

「味まではさすがに変えれねぇよ(笑)」

 

クロノはなんともいえない表情で俺を見て、民族衣装の子はプルプル震えてる魔砲少女(笑)を心配している。

そして俺はかじられ歯形の残った海水の集まりを持ってドヤ顔。

 

うん。中々にカオスでにゃーか。

 

そしてそのまま、このアースラなる船の艦長のところに案内される。

あっ海水はちゃんと捨てましたよ?

魔砲少じ……高町なのはにはさっきからポカポカパンチされてるけど痛くないでぇっす!!

ユーノはそれを苦笑いで見てるし。

 

ココに来る間に自己紹介はしますたよ?↓その一幕

 

 

 

「わたしは高町なのはっていうの。え~っと、あなたのお名前は?」

 

魔法少女…高町なのははニコニコしながら自己紹介をしてきた。

ふむ、名前か……普通に答えちゃおもしろくねぇよな?

俺は満面の笑顔を浮かべながらニコニコと俺を見ているなのはに向き直る。

 

「おう、俺は橘禅ってんだ。あだ名はジョジョだったな。特技は料理ですか?」

 

「あだ名が名前に掠りもしてないの!?しかも過去形なの!!聞かれても困るの!!」

 

「スマン、間違えた…」

 

「どこを!?」

 

「あだ名はジョジョと呼ばれたかった…」

 

「願望なの!?」

 

「まぁ嘘だけど(笑)」

 

「待って!!どこが!?どこが嘘だったの!?ねえ、ねえッ!?」

 

と、まぁ普通?の自己紹介だったけどね。

そうこうしてる内に、艦長室とやらに到着。

なのはも空気を読んだのか、ポカポカパンチを止めた。

 

むぅ、一体どんな奴がいんのかねぇ?

 

「ゼン。とりあえず、あまり艦長の前ではっちゃけないでくれよ?」

 

とクロノが深刻な顔で忠告してくる。

フム………そうか!?

 

「なぁ~るほどぉ…クロノ。そいつぁ振りってやつだな?任せろ任せろ!!派手にブッ放してやっからよぉ!!」

 

「違う!!頼むから止めてくれ!!というかブッ放つって何をだ!?」

 

真に受けたのか、クロノは本気で止めにかかってくる。

つうか、背中に苦労の二文字が見えるぜ?クロノさんや?

 

「ジョークジョーク(笑)初対面なんだしさすがに礼儀は弁えるさ」

 

「……頼むぞ、ホントに………」

 

そう言ってクロノは「艦長、失礼します」と扉に声をかける。

 

「入りなさい」

 

と女性の声が返ってきて扉が開く。さぁ!!しっかりやりますか!!

まずは相手の目を見てしっかり挨拶だ!!

そう思っていざ中に入って………

 

 

 

目に飛び込んだ光景に頭がfreezeした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには盆栽が並んでいて、敷いている畳の上にはお茶をするための道具や古風な家でしか見ないような道具、外では鹿威しがカコーンと音を鳴らしていた。室内なのに桜は咲いているし、畳に毛氈もある。

 

 

壁が近未来的な事もあって、めっさ違和感が出ている。

 

一言で言えば、ありえない。

 

盆栽の切り方も中途半端。

 

中央には座敷の上で制服で正座して、笑顔を浮かべた緑色の髪の女性が俺を見ている。

 

あぁ、そうか。そういうことか……

 

俺の頭、リスタート。

 

 

俺は女性の目を見てニッコリと笑い返す。

そして女性が笑顔のまま口を開いて言葉を発する前に…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この喧嘩買った。みっくみくにしてやんよ」

 

 

 

 

 

 

俺は笑顔で宣戦布告をカマした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「えぇぇぇぇぇぇええぇぇええ!!!?」」」

 

クロノ達は絶叫して女性は呆然と俺を見ているが関係ねぇ!!

 

「ちょっ!?ちょちょちょちょっとまって!?いきなりどうしたのさ!?ゼン!?落ち着いて!!」

 

落ち着け?落ち着けだぁ?何言ってんだ、ユーノ君よぉ?

 

「おいおい、ユーノォ?俺は今、至極真っ当にこの上なく完璧に落ち着いてるぜ?あぁ、間違いなくcoooolだ。只、ちょーっとばかし怒りが()()()に達しただけさ」

 

「何か違うの!?」

 

だまらっしゃい!!さぁ!!

いますぐこの日本かぶれに正しい『和』の心を説かねばならん!!そう!これはまさに『聖戦(ジハード) 』なのd………

 

「僕との約束、マッハで破ってんじゃなーい!!!!」

 

後頭部にクロノの893キック(ツッコミ)が炸裂して、俺は倒れた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「ええっと………で、では改めて時空管理局巡察艦『アースラ』の艦長リンディ・ハラオウンです。まずはロストロギア、ジュエルシードの回収協力のお礼を言わせてもらいます」

 

「改めて自己紹介をするよ。ゼン。時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンだ」

 

落ち着きを取り戻した場で二人が自己紹介をしてくる。

まぁ、おれは未だにぶすっとしているが…

 

「こんにちは。橘禅です」

 

リンディさんはそんな俺に苦笑いをしながら尋ねてきた。

 

「そ、それじゃ禅君、単刀直入に聞くけど、君は魔導師なの?」

 

まぁ、確かにあんな力(波紋ANDスタンド)見たら自分達と同じじゃねえかって勘違いもするか。

まぁ違うけど。

俺は対面で正座しているクロノとリンディさんの眼を見つめて、しっかりと会話をする体勢に入る。

 

「NON、俺は魔導師なんて大それたモンじゃねえです」

 

「……確かに、君からは魔力を全く感じない。だが、ゼン。君が魔導師じゃないと言うなら、君の使っていた技やあの『巨人』は一体?」

 

俺の返答にクロノは純粋に疑問を返してくる。

一応教えてもいいんだけどなぁ。

 

「あ~…その前に聞くが………」

 

まず、さっきの管理局ってのについて聞いておきましょ。

ほんと、アニメか原作見ておけばよかったなぁ……。

俺はクロノの質問には答えず、こっちから質問を投げかける。

 

「『時空管理局』ってなぁ、なんだ?そんな……何ていうか……警察?みたいな名前は聞いたことが無え」

 

知らない相手に自分の情報は渡せないと、暗に言ってやる。

これにハッとしたのか、リンディさんが口を挟む。

 

「そうね。そこから話さないとね…時空管理局というのは……」

 

難しい説明ではあったが、要約すると地球とは別の世界ミッドチルダってとこにゃ魔法文化なるものがあり、それを管理しているのが時空管理局という組織らしい。

しかも三権をすべて兼ね備えているとかってぇ話だ。

つまりクロノは地球でいうトコの刑事……か?んでリンディさんがその上司みてえなモンかね?

俺はリンディさんの口から語られる内容を少しづつ自分なりに理解していき、更に聞きたい事を質問する事にした。

一応ジュエルシードについても聞いとくか。

詳しくは知らんし。

 

「それでロストロギアっていうのはなんですかい?」

 

直訳で"失われた遺産"だわな?

 

「失われた古代の遺産……といってもわからないわよね?」

 

大体あってたッ!?

自分の直感にビビったぜ。

 

「……オーバーテクノロジーってやつですか?」

 

「ちょっと違うけど……まあ大体そんな認識でいいわ」

 

ジュエルシードを見る限りじゃそれらとは比べ物にならない危険度なんだろうな。さっきの竜巻も自然災害を軽ーく超越してたし。

 

二人の話では次元空間の中には幾つもの世界が存在し、その中には他の世界よりも進化しすぎた世界があるそうだ。

その世界を滅ぼした危険な技術の遺産。

そういったのを総称して『ロストロギア』と呼ぶらしい。

殆どの『ロストロギア』は使い方によっては世界どころか次元空間……色んな世界を同時に滅ぼす程の力になるとのこと。

そして、さっき回収した『ジュエルシード』は正に、世界を滅ぼしてもおかしくない代物だそうだ。

…正直、スケールのデカさにびびっちまいそうになった。

ドンだけ危ねえんだよジュエルシードって。

 

「あの宝石……ジュエルシードでしたっけ?あれってあと何個くらいあるんッスか?」

 

俺はリンディさんに質問する。

もし、まだあるんならさっさと地球から退散して頂かなくてはな。

そんなでっけえ爆弾は海鳴市にゃいらねえっての。

俺の質問に答えてくれたのはリンディさんではなくクロノだった。

 

「さっきとめた7個で未確認のジュエルシードは最後だ。まぁフェイトという少女が3個ほど持っていったがな。」

 

クロノは難しそうな表情で俺の質問に答えていく。

……ヤッパリフェイトはまだ仲間じゃなかったのか。

まぁ、アルフがフェイトを連れて逃げて行ったしなにか事情があんだろ。

 

「今度はこちらから聞いてもいいか?」

 

俺がフェイトとアルフの立ち位置について考えていると、目の前に座ってるクロノがそう切り出してきた。

この部屋で俺を見つめるのはクロノだけじゃなく、クロノの横に座っているリンディさんと俺の横に座っているなのはとユーノもだった。

まぁ、やっぱりそうくるわな、俺の力……『スタンド』と波紋って、クロノ達からしたら完全に未知の力だし。

一応この部屋にいる人達は信用できるんだがなぁ……よしっ。

 

「こっちもいろいろ聞いたし、クロノ達なら信用できるから答えんぜ?ただし……信用したのはクロノとリンディさん、ユーノになのはだけだ。俺の力を話す最大限の譲歩としてそっちの組織への記録や報告さえしなきゃできる限りのことを話す。それでいいか?」

 

俺の答えにリンディさんは目を瞑って思案している。

さすがに管理局って大きな組織とかに話して、実験とかそーゆう話しがでるのはご勘弁願いたい。

さぁて、どうくるかね?

これで駄目なら話せねえんだけど……

 

「あの…母さ…艦長。どうしますか?僕としてはゼンのことは信用できるのでこの条件でいいのではないかと…」

 

すると、クロノが横から助け舟を出してくれた。

おお!!信頼されんのは嬉しいねぇ……後はリンディさんの判断次第か…

 

「…わかりました。会話の記録はしないし、報告書にも無し。それでいいかしら?禅君?」

 

「GOOD。では、聞きたいことをどうぞ?」

 

望みどおりの返事が貰えたので、俺は質問を促す。

 

「ではまず…君が使っていたあの水色のオーラのようなモノはなんだ?魔法ではないようだが…」

 

そんでクロノが皆を代表して聞いてきた。

最初の質問は波紋の力についてか。

 

「ありゃ『波紋』って名前の……術っていうか……まぁそんなモンだ。」

 

「『波紋』?」

 

クロノ達は首を傾げてなのはを見る。

多分なのはが知らないかの確認だろうな。

案の定なのはも知らないようで首を横に振る。

再び目線が俺に帰ってくる。お帰り。

 

「そう。『波紋』……東洋の『仙道』に伝わる秘術のひとつだ。ありゃあ独特の「呼吸法」を使って血液中のエネルギーを蓄積して、生命エネルギーを活性化させるんだ。んで、その独自の呼吸法で練り上げた生命エネルギーが水に出る『波紋』に見えたから、俺はそう呼んでんのよ……「波紋の呼吸」で作り出される『エネルギー』ってヤツは「太陽と同じ波動」で、強い波紋エネルギーは色んなな奇跡を起こす事ができる。さっき俺がやったみたいにな?」

 

俺はクロノ、ユーノ、なのはに視線を向けながら話していく。

俺の視線を受けて、3人はハッとした顔で話を聞いている。

さっき俺がやったことを思い出してるみてぇだな…

 

「まぁさっきやって見せたみたいに液体を操作したり、モノの強度を上げたり、後は……空中に足場を作ったのもそうだ。それと、波紋にはいくつかの種類があってな。中でも山吹色(サンライトイエロー)に輝く波紋が最も波紋エネルギーが強い……とまぁ、これが俺の使ってた波紋って術の力だ」

 

俺は説明を終えて目の前の茶を啜る。

時間が経ってぬるくなった所為か、旨味が逃げていやがる……何故もっと熱い湯で入れなかったのか…………解せぬ。

 

「……成る程……かなり広範囲で応用が効くね……でも、ゼンは何処でその力を知ったんだい?さっき『秘術』って言ってたけど」

 

ユーノは顎に手をやって波紋について考えながら、俺に波紋の出自を聞いてきた。

同い年なのにこのポーズが様になるってどうよ?

しかし波紋の出所かぁ……神様に貰ったなんて言っても信じられねえだろうし……適当に誤魔化すか。

 

「あぁ、ちょっと前に道端で会ったシルクハットを被ったオッサンから習った」

 

「知らない人に習ったの!?っていうか秘術じゃ無かったのかい!?」

 

「いや何かそのオッサンが『君には才能がある!!これをあげるから私の元で少し修行してみないかい?』って言ってサンドイッチくれたからよ。着いていって手ほどきを受けたんだ」

 

「サンドイッチでか!?というか道端でシルクハットを被ってる時点で怪しいだろ!?」

 

「中々美味かったぜ?食いかけだったけど」

 

「食いかけ!?ちゃんとしたのを貰ったんじゃ無いの!?それでホイホイ着いていっちゃたの!?」

 

「あ、あらあら……ダメでしょゼン君?知らない人に着いて行っちゃ」

 

「母さんそこは重要じゃないでしょう!!い、いや重要だけども!!それホントに秘術なのか!?」

 

俺の即興で作り出したエピソードが気に入らなかったのか、クロノとユーノは興奮しながら詰め寄ってきた。

いやまぁテキトーに言っておかねえとその師匠とか探し出したりしそうだしな。

 

「~?にゃ?…空気を吸ったら…『波紋』っていうのになるの?…えっと?」

 

一方で、なのはは波紋自体をあんまり判ってねぇようだ。

さっきから首を傾げて頭の上に大量のハテナマーク出してるし。

 

「と、とりあえず波紋についてはもういいとして……では、あの巨人は?あれも習ったとか言わんだろうな?」

 

そして、俺の『波紋』の力に納得した……無理矢理納得させたクロノは次の質問を投げかけてきた。

お!?ついにきたか!!『クレイジーダイヤモンド』のお披露目が!!

よぉし!この部屋にあるモンをなんかぶっ壊して、治して見せるか!?

いや、いっそ片っ端からぶっ壊すのもありか!?ケケケ!慌てふためく顔が楽しみだぜぇ!!

 

俺はどうせ見せるならド派手なパフォーマンスで見せようと考え、壊す物をセレクトするために部屋に視線を彷徨わす。

そして俺が視線を彷徨わせた先で……。

 

「(ぽちゃん)ズズッ……ふぅ♪」

 

 

 

 

リンディさんが自分の湯呑みに角砂糖をINしてますた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぷっちん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぷりん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『クゥレイジィィィィィイ!!!ダァアイィヤモンドォォォォォォォオオォォオ!!!!』」

 

俺の怒りの叫びに応じて阿修羅のごとき形相を浮かべた『クレイジーダイヤモンド』が俺からリンディさんに向かって一直線にシュートされるッ!!

 

『ドオオォォラアァァァァアァッ!!!』

 

 

ドォゴシャァァア!!!

 

『クレイジーダイヤモンド』はその勢いのまま天に拳を掲げるようにアッパーを繰り出してリンディさんの手の中にあった湯呑だけをカチ上げるように撃ち抜く。

撃ち上げられた衝撃で湯呑は空中で砕けていった。

 

「「「……………え?」」」

 

いきなり現われた『クレイジーダイヤモンド』に三人はポカンとした表情を浮かべている。

まぁ、どこからとも無く現れて、いきなり拳を振るえばそうなるわな……

そして目の前で『クレイジーダイヤモンド』に湯飲みをブッ壊されたリンディさんは湯飲みを両手で挟もうとしたポーズで固まっていた。

が、そんな状況はどうでもいいぐらいに!!

 

今の俺はプッツンしている!!

 

『クレイジーダイヤモンド』が時速300キロオーバーの速度で拳をぶち込んだところには無残に砕けちった湯呑みと宙を舞うお茶だったモノ。

だが!!そのままぶちまけることは無い!!

 

「その お茶だった可哀想なモノを『砂糖を入れる前の状態まで治す』!!」

 

キュウイイィン!!!

 

すると湯飲みは元の形に戻り、リンディさんの手に収まる。

そして治った湯飲みの中には純粋なお茶のみが帰っていった。

角砂糖が二つ落ちてきたので、俺は『クレイジーダイヤモンド』の手で受け止めさせる。

 

ココまでの所要時間、2秒弱…

 

「……あ、あの?……ゼン、君?」

 

リンディさんはわけがわからずオロオロしていた。

 

「リンディさんよぉ……俺の中の……リンディさんに対する怒りが…ちっとばかし、足りなかったみたいだぜぇ………」

 

リンディの目の前には俯いて、表情の見えない俺と主人に従って角砂糖を持った右手をリンディさんの顔に向けて恐ろしい形相で睨みつける『クレイジーダイヤモンド』。

そして俺の両目がカッ!!とエフェクト音が出そうな勢いで開かれた。

 

「お茶に砂糖を入れんじゃねぇやアァァァァァァァァァァァァッ!!」グシャアッ!!

 

『橘禅・魂の叫び』

俺の声に呼応して『クレイジーダイヤモンド』が砂糖を握りつぶす!!

 

「は、はいぃッ!?」

 

「ざぁけてんじゃねぇぞぉぉぉぉお!!アンタなめてんのか!?日本茶は『葉』の旨味を味わうもんだぞ!?なぁぁんでシュガーがINされんだよ!?この部屋の中途半端な和空間といい、日本文化舐めすぎだぞコラァッ!!」

 

俺の勢いとボロクソな言い様にリンディさんの目尻に涙が溜まっていく。

まだこんなもんじゃ終わりじゃないザマスよッ!!

 

「ふざけた飲み方しやがって!!お茶の葉を大変な思いで栽培されてる全国の農家の方々に謝れコラアァァァァァァァァァァァァァア!!!」

 

「すっすいませんでしたぁ!!!」

 

本日、二度目の混沌時間(カオスタイム)でごじゃーます。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「落ち着いたかい?ゼン?」

 

ユーノに声をかけられて俺は俯けていた顔を上げる。

気分はさっきよりも幾らか落ち着いた。

 

「あぁ……だいぶすっきりしたぜ」

 

あの後、モ・ウ・レ・ツな勢いでリンディさんに『和』の心を説いていると呆然としていた三人からストップがかかり、渋々、渋々俺は説教をやめた。

リンディさんには『和』の心をしっかり学んでもらうということで一応の納得はした。

 

「ハァ…まったく、中々話が進まない…」

 

クロノがこめかみを抑えている。

やっぱ苦労性だなぁ……ホンマにゴメス(笑)

 

「それで……ソレはなんだ?」

 

と、クロノは顔を上げて俺の横で仁王立ちしている『クレイジーダイヤモンド』を見やる。

 

「おっきい……人、なのかな?」

 

『……』

 

なのはなのはで、無言で佇む『クレイジーダイヤモンド』を見上げていた。

それ、首痛くならないのかねぇ?

『クレイジーダイヤモンド』の身長は2m近くあんのによ。

まぁ、とりあえず紹介といきますか。

 

「俺はこの力のことを『スタンド能力』って呼んでる……」

 

語りだした俺にみんなの視線が集まってくる。

 

「スタンド?」

 

「そうだ。コイツはガキの頃から俺の傍にいたからな。STAND BY ME(傍にいる)って意味でな……そんで、コイツ自身の名は『クレイジーダイヤモンド』って名づけた」

 

俺が言葉を切ると、部屋にいる全員の視線が腕を組んで仁王立ちしている『クレイジーダイヤモンド』に注がれた。

2M近い身長に全体的に逞しすぎる筋骨隆々なシルエットに、肘や腰等の体の至るところにちりばめられたハート型のアクセント。

顔全体はハート型の甲冑に覆われ、とても強い意志を秘めた瞳が覗いていて、背中からは首に向けて銀色の無骨なパイプが何本も通っている。

………その出で立ちはマジに、見るものを圧倒する存在感があった。

ぶっちゃけ敵だったら即座に逃げるね、俺は。

 

「『クレイジーダイヤモンド』……『狂った金剛石』か…もの凄い威圧感がある名前だな……確かにあのパワーとスピードを間近で見るとその名前にも納得するしかないがな」

 

クロノは俺に視線を移して苦笑いしてる。

いやいやいや、パワーとスピードだけが売りじゃねえんだって。

 

「まぁな……だけどコイツの本当の意味での真骨頂はパワーでもスピードでもねえ……その『能力』にある」

 

「能力ってさっきの湯飲みになにかしたときのかい?」

 

「ケケッ察しがいいな。ユーノ、その通りだ……コイツの能力は『両の拳で触れれば、破壊された物やエネルギーを治す』ことができるんだわ」

 

「「「はあッ!!?」」」

 

「??」

 

リンディさん達はまさかのさいっこうにcrazyな能力にブッたまげているが…

なのははまた理解できなかったのかねぃ?…文系ダメな子か………

 

「なのは~理解できたか?」

 

「ふぇ?う、うん…ユーノ君たちがなんであんなに驚いてるかは知らないけど…でも…」

 

「なんだ?」

 

なのはは『クレイジーダイヤモンド』と目を合わせながら俺に語ってくる。

 

「『クレイジーダイヤモンド』の拳って、とっても『優しい』ってことだよね!!」

 

あらやだ!!にっこりと嬉しいこと言ってくれんじゃんこの子ったら!!

 

「つっても例外はあるけどな。それは『自分の傷と死んだものは治せない』ってことだ」

 

「いやいやいや!?それでも充分凄いからね!?」

 

「確かに…加えてあのパワーとスピード……とんでもなくイカれてる……『クレイジーダイヤモンド』とは良く言ったものだよ……ピッタリすぎる名前だ」

 

「ハァ……なのはさんに続いてとんでもない子がもう一人、地球にいたとはね……どうなってるのかしら?地球って所は……」

 

まぁ、普通に考えりゃかなりブッ飛んだ能力だわな。

やっぱ『クレイジーダイヤモンド』すげぇわ。チート乙ッスー

後、リンディさん?間違いなくそんな沢山はいませんからね?

なんか地球にとんでもない誤解してません?

 

「じゃあ最後にゼン……君はなぜあの場に来たんだ?」

 

次のクロノの質問はさっきまでの流れを完全にブッた切ったものだった。

いきなりの話題転換だなクロノさんや?

 

「なんでって……俺はフェイトのことダチだと思ってるからな……たまたまあの竜巻と戦ってんの見つけて危なそうだったから助けただけだぜ?」

 

「では、彼女の居場所は知らないのか?」

 

…フェイトがどぉいう立場か知らんし、居場所は誤魔化しておくか…

 

「知らんよ?この間家で飯を食っていったけど、家の場所は聞かなかったしなぁ…」

 

「そうか……残りのジュエルシードはフェイトが持っているからな…なんとかして彼女を確保しなくてはならないし…」

 

なんかブツクサ言ってるが大丈夫か?

 

そして懐から出したメモ用紙を俺に渡してくる。

見てみると電話番号のようだ。

 

「ゼン。これは僕の連絡先だ。何かあったらここに連絡して欲しい。僕で良ければ力になるよ。地球の普通の電話からでも通じるから。」

 

 

俺はそれを受け取ってポケットにしまう。

 

 

「わかった。暇なときにワン切りしまくっちゃる」

 

「頼むから用があるときに連絡してくれ!!頼むから!!」

 

大事なことなので二回言いましたってか?

とりあえず俺もクロノに自宅の電話番号を教えて、今日はお開きとなった。

 

 

そんでクロノが俺達が最初に転送されて来た部屋に案内してくれる。

 

「送って行くよ。元の場所で良いか?」

 

「はい」

 

ユーノがそれに答えて転送され元の場所に戻る。

なのは達とは家が逆方向のようなのでその場で解散することになった。

 

「それじゃあな~バイニー」

 

「ばいばーい!!」

 

「またね、ゼン。」

 

なのはたちと別れて、俺は悠々と家路に着く。

とりあえず明日にでもフェイトを見つけて美味い飯を食わせてやんなきゃな!!

帰りの道中、俺は決意を新たにして家に帰ったんだが……。

 

 

「…………」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………

 

 

鬼(myマザー)が(ry

 

「……禅よ……」

 

 

「Yes my load」

 

いつもより余計にパワーアップしております。

 

「……キャベツはどぉしたぁ?」

 

「………海にバラ舞いt……」

 

俺の言い訳の言葉の途中で母上様はいきなり俺の服を掴んで上に放り投げる。

そのまま重力に引かれるままに落ちていく俺の視界の端で母上様はその場でジャンプ、両足を縮めて横向きに落ちてくる。

そのまま流れるように足の裏が俺に向いて……ちょっ!?そんな大技……

 

「キャアァァァアベェエツゥゥウゥゥウ!!!!!!」

 

人柱遊戯の極みぃぃぃぃいい(ジャンピングドロップキック)ッ!!?

 

 

ドォゴシャァァア!!!

 

 

「キャァアベラッツバァア!!?」

 

まさかのアクロバティックでヒートアクションなドロップキックに俺は顔面を撃ち抜かれ顔が後ろに反れていく。

俺はきりもみ状態で宙を舞いながらリビングの天井を視界いっぱいに納める。

あれ?デジャヴ?

 

 

薄れゆく意識の中、俺はそう思った。

 




う~ん……文才ねえなぁ……

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