楽しく逝こうゼ?   作:piguzam]

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空白期を書こうと思ったんですが…ゼンの友達がオリキャラしかいませんので…これ以上のオリキャラはもう……ムリポ……

時間的にはリンディさん達の引越し後です。



第10話~a'sへキング・クリムゾン!!

 

 

 

 

 

………あのジュエルシードをめぐる事件から半年ほど経った冬………

 

 

俺こと、橘禅は平和を噛み締めていた。

 

…あの海鳴臨海公園でフェイト達と別れてから、俺の日常は極めて、平和でした。マジで。

学校でダチと馬鹿話をして、家に帰れば、波紋の練習とお袋に学ぶ料理教室、大好きなアーティストの音楽を聴いて眠り、休みの日は久遠と戯れ、親父の会社の従業員のおっちゃんや兄ちゃんと遊んでもらうとか、お気に入りの曲を聴きながら町を散歩するとかね。

 

そんな日常の繰り返し………あぁ!!ビバ!!平穏!!イヤッフゥーーッ!!……失礼、取り乱しますた。

 

俺はあの事件の後はなのは達にはこれっっっぽっちも会っていねえ。もうほんとに、影も形も見当たりませんね。

まぁ、学校が違う時点で会うことはあまりないんですがね………

フェイト達にも家の住所教えていなかったので、連絡は全然きてないし……再会した時何言われるかってことを考えるとガクブルしていますた……

 

 

そんなTHE平和を満喫しながら若干先のことにビクついて日常を過ごしていた俺は今……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正座してます。しかも『喫茶店』のド真ん中で……あっれえ?

 

そして俺の目の前に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」ニコニコ

 

「………」ニコニコ

 

「………」ニコニコ

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

 

目の笑ってない笑顔を浮かべた喫茶「翠屋」のパティシエ、高町桃子さん、後ろのオーラが帯電してそうなプレシアさん、リンディさんがいます。はい。

 

ちなみにその後ろには……

 

「……え、ええと…ぐすっ…」

 

「大丈夫?フェイトちゃん?」

 

「気にすることないわよ、フェイト。あれはアイツが悪いわ。」

 

「あ、あはは…さすがに…ね?…女の子的には許せないな……」

 

 

目が赤くなって、涙声のフェイトとそれを慰めながらも俺に非難の眼差しを向けるてくる3人の少女。

魔砲少女、なのはとその友人アリサ・バニングスと月村すずかの仲良し3人組でございます。

ちょっと離れたカウンターにはなのはの兄、恭也さんと姉の美由紀さん、父親の士郎さんがいます。

士郎さんと恭也さんは二人共、めちゃくちゃ済まなそうな、それでいて深い同情を混ぜた目で俺を見ています。

美由紀さんは面白そうなものを見る目ですね。見せモンじゃねえぞ、コラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるえ?俺の平和はどこへ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…数時間前…

 

今日はお袋から習ったばかりのパイを作ろうと生地作りをしていた時、家の電話が鳴りだした。

 

とおぉるるるるるるんんん

 

ったく、こちとらパイ作りで忙しいってのに電話かよ……はいはい、どちら様だ?

 

「はい、もしもし、橘ですが?」

 

『もしもし?ゼンか?久しぶりだな。僕だよ』

 

なんかやたら懐かしい奴から電話が来たぜ……フム…

 

「僕僕詐欺なら間に合ってますぜ?」

 

『……相変わらずそうで安心s……』

 

がちゃり

 

とりあえず切ってと……

さて、パイ作りを再開しねぇとな。生地はできたし、後は焼くだk……

 

とおおぉぉぉるるるるるるん

 

んぬ?電話か…

 

がちゃ

 

「もしもし?虹村ですが…」

 

『えっ!?ま、間違えましたッ!!すいま…ってそんなわけあるかっーー!!』

 

「おお!!相変わらず活きのイイ突っ込み。元気そうじゃねぇか?クロノ」

 

『そんなことの確認に電話を切るなッ!!突っ込みで僕の体調を計るんじゃなぁーーいっ!!』

 

仕方ねぇよ。体が反応すんだから(笑)

しかしまぁ、久しぶりだな。かれこれ半年振りってとこか?

 

「まぁまぁ、落ち着けよ。で、どうしたよ?」

 

『軽く流された!?…ハァ…まぁいい。プレシア達の手続きが終わってね。今日、地球に引越しのために海鳴市に来ているんだ。』

 

「お!?そうか!!やっとフェイト達もこっちに住めるのか…てことは嘱託魔導師の試験も終わったのかよ?」

 

『あぁ。その辺の手続きも研修も終わって、今はなのはと一緒にいるよ。それと、僕とエイミィ、リンディ提…いや、母さんも地球へ引っ越すことになったんだ』

 

「おお!!そりゃぁいいじゃねぇか!?またオメエと遊べんのも嬉しいねぇ…」

 

フェイト達だけでも嬉しいけどやっぱり男友達も大事だしな。

特にクロノは性格が全然違うのになんか馬が合うんだよなあ……不思議だぜ。

 

『あぁ、僕も嬉しいさ。…ところで……ゼン…覚悟したほうがいいぞ?』

 

………ゑ?なにを?

いきなりの覚悟しろ発言に戸惑うが受話器越しのクロノは構わずに続きを話し始めた。

 

『君、フェイト達に住所教えてないだろ?…ビデオも手紙も送れないし、なのはにも君とはまったく会ってないとビデオレターで言われてフェイトもアルフも相当落ち込んでたからな……『地球に帰ってゼンと会ったらとっちめて、おもいっきり甘えてやるっ!!』ってアルフが変に気合はいってたし…それに触発されてフェイトもなんだか気合を入れていたぞ?』

 

予想が現実になりつつある今日この頃。

た、確かに住所を教えなかったのはまずったな。やっぱり。

……つうか、クロノがこの番号をアイツ等に教えてやってくれれば…

 

『実は僕の方も仕事が忙しくてこの番号があるのをすっかり忘れててね…さっきバレて、ボコボコにされたよ……』

 

…なんだろう…クロノの扱いに目から汗が…

 

「……フェイトとアルフは傍にいんのか?」

 

『いや……今はなのはの実家が経営してる喫茶店に母さんたちと一緒に行ってる…只…』

 

「…どした?」

 

『…君に伝言を預かっていてね…『今日、その喫茶店に来るように』…と…プレシアと母さんから…』

 

「………ちなみに断ったら?」

 

聞いてみたいようで聞いてみたくないかも…

 

『…『君に浴びせた電撃の槍を魔力が尽きるまで何発でも浴びせる』…だ、そうだ…』

 

やっべえ。マジでやっべえ。あんなモン何発も食らったら骨も残んねぇよ。

トラウマがあばばばばばばばばばば

ま、まだ死にたくないし、翠屋に行くことは確定だな。こりゃ。

しかし面倒事は続く物のようでクロノはさらに辛い伝言を伝えてくる。

 

『それと、なのはからも…『前に食べたお菓子の話をお母さんにしたら一度食べてみたいって言ってたから今日何か作ってきて!!』…と』

 

あんにゃろう。面倒ごと増やしやがって!!

まぁ、なのはからだしぃ?別にそんなもん無視しても…

 

『ちなみに断ったら『プレシアさんと一緒に魔力が切れるまでアクセルしてからのスターライトブレイカー』…だ、そうだ…』

 

さぁ~て、今作ってるパイを仕上げねぇとな!!完璧に!!

なんせなのは様からのご命令だしな?俺、気合入れちまうぞ~!!

 

………ちくせう

 

あまりの理不尽さに目から汗が出てきた俺に受話器からクロノの悲痛な声が聞こえてくる。

 

『…すまない…止められなかった…僕は無力だ……』

 

「…いや、クロノのせいじゃねぇよ…また、なんか作ってやるよ…男だけで喋ろうぜ…」

 

『あぁ…ありがとう…ユーノも呼んでやるか…』

 

「そうだな………」

 

と、そんな感じで互いを慰めあって電話を切った。

半年振りの友達同士の電話がこれって………

 

気分が若干落ちた俺は中断していたパイ作りを再開して、出来上がったパイを包んでジャケットを羽織っていく。

背中にはイルカがJとOのマークになってる絵がプリントしてある俺のお気に入りの一着だ。

そして戸締りをしてから、喫茶店『翠屋』を目指して家を出る。

途中黒猫が集団で横切ったが気にしない。あぁ、気にしない。

一応翠屋の場所は知っているので、迷うことなく着いた。

 

着いたんだが……こう…なぜか店の入り口があの世一直線に向かう魔界の入り口に見えます。なんで?

……入りたくないが、入らないと『電撃』と『アクセル』が雨あられと俺に降り注いじまう。

トドメはスターライトブレイカーって…それなんていじめ?

……ええい!ままよ!!

俺は覚悟を決めて(ヤケ)店の入り口を開ける。

扉を開けるとロングヘアーを三つ編みにして眼鏡を掛けた女性が俺に近づいてくる。

エプロンしてるし、店員さんだろう。

 

「いらっしゃいませ!僕一人かな?」

 

まぁ、店の扉一人で潜ったし、この年じゃ普通は聞かれるよな。

……お?この人は確かなのはの姉だったな。アニメで見たし、間違いないだろ。

 

「あーっと俺一人というか…高町なのはって子に呼ばれてきたんですが…」

 

向こうとは初対面だし、これが無難な返事だろ。

 

「え?なのはに?っということは……君が禅君かな?」

 

どうやら、なのはは家族にも伝えてたみてえだな。

ちゃんと挨拶しとかねえと。

 

「あっはい、そうです。俺は橘禅といいます。よろしくお願いします。」

 

「うん、よろしくね禅君。私は高町美由紀。なのはのお姉ちゃんです。」

 

美由紀さんは朗らかに笑いながら自己紹介をしてくれた。

しっかし、美人だよなこの人。明るいし、嫁にもらう人は幸せモンだろうな。

そんで挨拶も終わったのでなのはのいる場所を聞こうとしたら………

 

「あっ!?禅君!久しぶりなの!!」

 

ちょうど俺に面倒ごとを作ったなのは様がいらっしゃいやがった。

なのはが来たので美由紀さんは「それじゃ、ゆっくりしていってね♪」とウインクをして仕事に戻っていった。

とりあえず俺もなのはに挨拶しようとしたところで……

 

「……ぁぅ…///」オドオド

 

なのはの後ろから顔だけ出してオドオドしてる野生のフェイトを見つけた。

顔だけひょこっとだしてはいるんだが……俺と目が合うとなのはの背中に引っ込む。

そんでまた恐る恐る顔だけ出して俺を見てくる。なにこの可愛い生き物?

俺を見つめるその頬は中々に赤く染まっている。

そんなフェイトの様子になのはは苦笑いして困っているようだ。

…まぁ、あんな事(キス)したからな…恥ずかしいんだろ…俺もちょい恥ずいし…

でもこのままじゃラチがあかねえな。可愛いけど。

 

「……うぅ…///」

 

「ほーら、フェイトちゃん?」

 

「…う、うん……///」

 

と、そんなことを考えていたらなのはがフェイトを背中から俺の前へ促していた。

俺の前にきたフェイトは視線を右往左往させてる。

手を後ろに組んで沈黙してますね。はい。

その状態で2分くらい経ったので俺から声を掛けようとしたら……

 

「…ゼ、ゼンッ!!…ひ、久しぶり…だね…///」

 

顔をバッと音が鳴りそうな勢いで上げて俺の名前を叫ぶ。

途中から段々と声が小さくなったけど、目線は俺にしっかりと向けている。

ともあれ、頑張って挨拶してくれたんだし、俺も平常運転でいきますか。

 

「よぉ!!フェイト?になの…は?まぁ、恐らく久しぶり?」

 

平常運転でボケていくゼ?

 

「なんで疑問系なの!?…もう、禅君、どこに住んでるか教えてくれなかったから町でも全然会えないし…」

 

「私も…住所知らなかったから…」

 

俺が住所を伝えてなかった件でなのはは両手を腰に当てて怒ってくる。

なのはの感情にあわせてツインテールもピコピコしてやがる……生きてんの?あれ?…まさかな?

と、思ったらフェイトのツインテールはなんか犬の尻尾みたいにシュンとしてる。

……え?やっぱ生きてんの?それともそういうギミックが流行ってんの?

女体の神秘?に思考を巡らそうかと思ったが、二人に弁解すんのが先だわな。

 

「へへッ悪い悪い。まぁ、そのお詫びにちゃんと菓子作ってきたからよ、勘弁してくれや?」

 

「むぅ~…なら、それでいいの…」

 

「………」

 

食いしん坊(笑)のなのはは納得してくれたがフェイトはまだ落ち込んでやがる。

 

「ん~…じゃあフェイト。今度なんかお前んために菓子作ってやっからよ。それで機嫌、直してくれや?な?」

 

俺は半年振りにフェイトの頭を撫でる。

サラサラの金色の髪はとても柔らかく俺の手に引っかかることなく流れる。

あぁ~ヤッパリ癒されるわ、これ…

しかし、いきなりのことにビックリしたのか、フェイトの顔は一気に茹で上がる。

 

「ッ!?う、うん///ありがとう///…あ、あの。ゼン?…頭…その……///」

 

「んあ?嫌だったか?」

 

「う、ううん…嫌じゃないけど…ち、ちょっと恥ずかしい…かな…///」

 

まぁ、店内だし、人目もあるからな…俺はそう考えて手を離したが…

今度は「あっ」って声を上げて寂しそうな、残念そうな顔で見てくるんだけど……一体どぉすりゃいいの?

……ん?女の子が二人、近づいて来るな。

一人は金髪の勝気な顔の子でもう一人は…紫っぽい黒?の髪をした大人しそうな印象の子だ。

…ありゃ、たしか…

 

「なのは、こいつが話してた奴?」

 

「確か…ゼン君だったよね?」

 

アリサ・バニングスと月村すずかだったな。喋り方にも二人の性格が表れてるぜ。

…なのはが自己紹介をしてって目で語ってやがる。

仕方ねぇ…

俺はまずアリサに向き直る。

 

「や~どうも、どうも。俺の名前は橘禅だったらしいぜ?」

 

「なんで聞いてくるのよ!?」

 

「そんなのこっちが聞きてぇ!!」

 

「逆ギレ!?」

 

ご丁寧にキッチリ乗って、キッチリ返してくるアリサ。

うむ、こやつ。ツッコミにキラリと光るものがあるな(笑)

 

「あ、あはは…お、面白い人…だね?」

 

すずかは苦笑いしてるが、お前さんも他人事じゃねえんだぜ?

テメーはすでに俺の射程距離内ってな(笑)

俺はそのまますずかの手をとって真剣な顔を作りすずかの目を見つめる。

 

「え!?」

 

「愛してるぜ(キリッ)」

 

「え!?えぇッ!!?///」

 

この手の言葉には耐性が無いみたいですずかの顔は一気に赤くなっていく。

やっべえ、おもしr…

 

「唐突すぎるでしょうがッ!?出会って1分経たないうちに何をやらかしとるかぁッ!?///」

 

何故かアリサも顔を赤くして声を荒げながら俺にツッコミを入れてくる。

どうやら二人共こういうのには耐性が無いみてえだな。

ヤベェ、おもしれェよ……

ひとしきりからかって満足した俺は手を離して両手を上げたままおどける。

 

「へっへっへ!冗談だって!まぁ、よろしく頼むぜぃ…ゼンって呼んでくれりゃいいからよ…フェイトとなのはとは半年ほど前に知り合ってな?俺が住んでるトコ言い忘れてたから今日は半年振りに会ったってワケ」

 

「ハァ、ハァ、ハァ…まったく!どーゆう神経してんのよ!…まぁ、いいわ。あたしはアリサ・バニングス。アリサでいいわ」

 

「び、びっくりしたよ、もう!!///……つ、月村すずかです。私もすずかでいいよ…あんまりああいうこと、しちゃダメだよ?」

 

息の整ったアリサは怒りながらもキッチリ自己紹介をしてくれた。

すずかもちゃんと自己紹介してくれて俺の悪戯を優しく嗜めてくる。優しいね、すずかは。

アリサはすぐ元に戻ったけどすずかはまだちょっとだけ顔の赤が抜け切っていねえな。

まぁ、すぐに戻んだろ。

 

「オーライ、よろしくな、アリサとすずか」

 

と、和やかに自己紹介を終えたんだが……

なんか、横にいるフェイトさんが真っ黒いオーラを出しながら俺を見ています。

俯いてるせいで口元以外見えねえけど、幻覚か、背後にはデス13が浮かんで見えるとです。

…そのデス13と同じように三日月の形に曲がった口がとても怖いです…

 

「ねぇ?ゼン?…「愛してる」って…どういうことかな?…」

 

やっべえ、やりすぎた?

う、俯いて表情がわかんねえ分、本気で怖えぞ!!

 

「お、おおお落ち着いて下さいなフェイトさんや…あれは一種の冗談で…」

 

俺がそう必死に言い訳すると見えなかった顔が徐々に上がってくる。

…そのゆっくりと顔を上げる動作がメチャクチャ恐怖を煽ってくるんですけどッ!?

 

「冗談でも言ってイイ事と悪いこと…あるよね?…ね?……」

 

見えるようになったお顔のその目にはハイライトが一切ございませんでした。

 

「あ、はい。おっしゃるとおりです。マジすいませんでした。」

 

誠心誠意、90度に頭を下げて謝罪する。

ヘタレ?ええ、そうですが何か?

 

「うん♪わかってくれたらいいんだ♪…わかってくれたら………」

 

俺を見つめるその瞳はマジ虚ろ、光?なにそれ食えんの?ってな状態だ。

あの純真なフェイトがすごく…すごく怖いです……

 

「ところで禅?アンタ、その荷物何よ?」

 

アリサは俺の持ってきたパイを指差している。

 

「え!?…あ、ああ…なのはに頼まれて、菓子を作ってきたんだが…」

 

フェイトの変貌に呆けて、返事がワンテンポ遅れちまった。

つうか、お3人さんや?今のフェイトはスルーですかい?そうですかい。

 

「うん!!禅君のお料理ってすっごくおいしいの!!だからお母さんにも食べてもらおうと思って頼んだの!」

 

俺の意思はガン無視ですがねぇ!!?

あれって普通に脅迫じゃね?と思った俺は悪くない筈。

 

「じゃあお母さんを呼んでくるの♪ちょっとまってて♪」

 

そういってなのははカウンターの奥に歩いていった。

 

「へぇ~いいじゃない?それじゃあ後で私達にも食べさせなさいよ!!」

 

「私ももらえたら嬉しいな?」

 

アリサ達も興味が沸いたようで俺にパイをねだってくる。

まぁ、一人じゃ食いきれない大きさだしいいだろ……だが、覚悟して食えよ?

 

「いいぜぇ?ほっぺたが落っこちるから受け止める準備しとけよ?」

 

「ふーん?えらく自身満々じゃない?楽しみにしてるわ」

 

「ふふっ楽しみに待ってるね」

 

俺が挑発するように言うとアリサは不敵に笑い、すずかは微笑みながら席に戻っていく。

二人は席に戻ったし、とりあえずリンディさんとプレシアさんに挨拶しておくか…

俺はそのままフェイトと一緒にカウンターにいるプレシアさんの元に近づいていく。

二人も気づいたようで、俺に手を振ってくる。

 

「プレシアさん、リンディさん、お久しぶりでさぁ」

 

「ゼン君、久しぶりねぇ。元気だった?」

 

「お久しぶりね、ゼン君…元気そうでよかったわ…ごめんなさいね?急に呼び出して…」

 

いやいやいや、あんなお願い(脅し)頂いたら誰でもスッ飛んで来ますよ?まぁ、そんなこと言えませんけど?

久しぶりに見るプレシアさんは出会ったときとは違い、とても優しい顔つきになってた。

あんときはなかった母親としてのオーラ見てえなのがガンガン出てる。

 

「へへッ!気にせんでくださいや。俺もフェイトに久しぶりに会えて嬉しいんで…」

 

「ゼン…///」

 

俺の台詞にフェイトは嬉しそうに目を緩めてニッコリと笑う。

プレシアさん達はそんなフェイトの様子を見て微笑んでる。

だが、俺は後一人足りないことに気づいてフェイトに話しかける。

 

「ありゃ?…なぁ、フェイト…そぉいやアルフはどした?(ぼそっ)」

 

そう、アルフがいねえんだ。

クロノが電話で言ってた通りならアイツもここに来てるハズなんだが…

 

「///え?…あっうん…地球じゃ子犬の姿になってるよ。今は、ユーノと一緒に辺りを歩いてると思う(ぼそっ)」

 

俺が小声で聞くとフェイトも小声で返してくれた。だが、アルフが子犬になってるという新事実よりも……

…ユーノェ…まさかのペットポジションですかい…それでいいのか、ユーノよ?

俺がユーノの男としての尊厳について真剣に考えているとリンディさんが真剣な表情で俺を見て話しかけてくる。

 

「後、とても大事な話があるの…また後日でいいからうちに来て欲しいのだけど…」

 

その言葉で理解したのか、プレシアさんとフェイトの表情も引き締まっていく。

…やれやれ…まぁた、面倒事かよ…まぁ、この人達が関わってんなら、仕方ないか…

 

「わかりました。後日、行くときゃ連絡しますわ…」

 

と、そんな会話をしていたらなのはが両親を連れて戻ってきたんだが………

うちのお袋といい、プレシアさん達といい…どうなってんの?

この世界の女性って……なんでこんなに見た目若いの?まさか、波紋使ってんの?

 

「君がなのはの話していた子ね。私はなのはの母の高町桃子です。よろしくね?」

 

「僕はなのはの父の高町士郎だ。よろしく頼むよ。」

 

とりあえず食べてもらう人に切り分けて席に着いたところでなのはの両親から自己紹介がきた。

ちなみに、食べてもらう人は士郎さん、桃子さん、アリサ、すずか、なのは、フェイト、プレシアさん、リンディさん、美由紀さんだ。何故か、美由紀さんはパイを見た瞬間、うな垂れてるけど……なんで?

うし、初対面だし礼儀正しく行きますか…

俺は席から立ち上がって背筋を伸ばす。

 

「初めまして、橘禅です。本日は俺の菓子の試食、よろしくお願いします」

 

「禅君が敬語で喋ってる!?ありえないの!!」

 

オイまてやコラ。

いくらなんでも酷過ぎやしませんかい?なのはさんや?俺だって敬語くらい…

 

と思ったら、なのはだけではなくリンディさんとプレシアさん、フェイトも驚いている。

そんなに意外か!?泣くぞッ!?泣いちゃうぞッ!!?コラァッ!!

 

「うふふ、そんなに畏まらなくてもいいわよ」

 

「ははは、なのはから面白い子とは聞いていたけどね。それにしても…小学3年生でこれほど綺麗にパイが作れるとは…ふむふむ、見た目は合格だね…中身はカボチャかな?」

 

とりあえず見た目はいいみてぇだな。

 

「ありがとうございます。中身はカボチャを使ったパンプキンパイです…店やってる程のお人にゃ適いませんが出来る限り厳しい評価を頂ければ幸いです。…お口汚しになりやすが、皆さんもどうぞ召し上がってやってください!」

 

「ふふ、それじゃあ、いただきます……あむっ…」

 

見た目の評価は終わりいざ!実食!他のみんなの評価も気になるぜぃ!!

 

「うぅ~ん!!、とってもおいしいの!」

 

「相変わらず美味しいわねぇ…女としては複雑だけど…」

 

「えぇ…私はゼン君の料理は和食しか食べてないけど…とても美味しいわ…」

 

「うん♪久しぶりに食べたけど…ゼンの料理、やっぱり美味しい♪…」

 

↑は今まで俺の料理を食べた方々↓は今回初。

 

「うわぁ…ッとっても美味しいね!アリサちゃん!」

 

「………ハッ!?…え、ええ、そうね。すずか(何!?この美味しさは!?)」

 

「うぅ…完全に負けてる…なんでこんなに美味しいのが作れるのぉ?…」

 

「これは……驚いたな……とても小学生のレベルとは思えない…」

 

「……………」

 

うっしゃあぁぁあッ!!!!!

かなり高評価じゃねぇのか!?やっぱ人に喜んでもらえんのは嬉しいぜ!!

…あれ?一番肝心な桃子さんが何も言ってねぇんだけど……

 

「あの?……お口に合いませんでしたかい?」

 

他の皆も桃子さんの異変に気づいたのか皆不思議な顔で見ているんだが、それでも桃子さんは動かない。

…だが少ししてからそのままの姿勢でユラリ、とでも擬音がつきそうな動きで立ち上がってるんですが……何?

 

「も、桃子?」

 

士郎さんが声を掛けても変化はない…そのまま、桃子さんは俺に近づいて、両肩をガッシイィィィッ!!!

と力強く掴んできた。皆も何事か、とオロオロしている。

桃子さんは未だ、俯いていて表情が見えない………え?なんぞ?

 

 

 

 

 

「禅君……」

 

 

 

 

 

 

 

ようやく喋ったかと思ったらそこからおもむろに顔を上げて………

 

 

 

 

 

「翠屋を継ぐ気は無い?いや、継ぐべきよ」

 

「待とうか待とうか待とうか待とうか待とうか待とうか」

 

なんか暴走状態に入ってらっしゃるよ、この人。

そのまま桃子さんは将来のために真剣に菓子作りを覚えるべきだ。といつから来れるか?

と俺の予定を聞き始めた。これにはさすがの士郎さんも焦りなんとか桃子さんを引き剥がしてもらった。

そこから、暴走状態の桃子さんをなんとか、なんとか説得して

 

「偶になら、ホント偶になら、ケーキを作ります。将来云々は勘弁してください」

 

と言ったら目からキュピーンッとでも擬音がつきそうな音と光が出て…

 

「じゃあシフト、組んでおくわね♪フフフ…」

 

と笑顔のオプション付きで帰ってきた。

 

あるぇ?

 

いつの間にか翠屋で働くことが決まってる。おかしいなぁ?

微かに残る淡い希望にすがって士郎さんを見るが苦笑いでサムズアップをもらってしまった。

そして一言

 

「頑張れ…」

 

 

 

 

……………あるぇ?

 

とそんな感じでいつの間にか決まった未来に頭を捻っていたら……

桃子さんの説得中に外に行った筈のフェイト達が中に戻ってきた。

フェイトは両手でなにやら小包を抱えている。なんぞ?

 

「リンディ提と…リンディさん」

 

「はい。なぁに?」

 

「…あの…コレ…」

 

戸惑いながらフェイトは、小包の中を俺達に見せてくる。中に入っていたのは白い制服だった。

こりゃ、確か聖祥小学校の……

 

「制服じゃねえか?」

 

「フフフ…転校手続き取っといたから。週明けからなのはさんのクラスメイトよ♪」

 

笑顔でリンディさんが爆弾発言を言った。

フェイトだけじゃなく、アリサ達も驚いてる。

なぁ~るほどぉ…中々粋なことすんじゃん?リンディさんよぉ…

スゥパーーサプライズってか?

 

「あら素敵。フェイトに良く似合うわ♪」

 

「良かったわねフェイトちゃん」

 

優しく微笑みながら、桃子さんとプレシアさんが言った。

確かに、フェイトも友達と通えて嬉しそうじゃねぇか。

 

「あの…えと…はい、ありがとう…ございます///」

 

恥ずかしがりながらも、フェイトは嬉しそうに制服の入った小包を抱きしめた。

その表情はとても幸せに満ち満ちている。

うん…この笑顔、和むわぁ……これが見れただけでも今日ココに来て良かったぜ。

 

「良かったじゃねぇか。フェイト」

 

俺も声を掛けておく。幸せそうな顔だなぁ、オイ…

 

「う、うん…///ゼンも学校でも…その…よろしくね?///」

 

おうおう、モチよ!!学校でも………ゑ?

 

「そういえば…学校で禅君に会ったこと無いの。どこのクラスなの?」

 

なのはも笑顔で聞いてくる……いや、ゑ?

 

「禅!アンタせっかく友達になったんだからどこのクラスか教えなさいよ!」

 

「そうだね。学校でもお話したいな?」

 

アリサとすずかも一緒になって聞いてくる………あっれえ?

 

「そうね…ゼン君…学校でもフェイトのこと、よろしくね?ゼン君ならフェイトを任せれるわ♪」

 

いや、ちょ。待ってプレシアさん?

 

大人たちの小声話↓

 

「あらあら?もしかしてフェイトちゃん…」

 

「ええ♪そうなんですよ♪♪」

 

「なるほど…しかし、プレシアさんはよろしいんですか?」

 

「ええ♪私もゼン君が息子になってくれるならとても嬉しいです」

 

桃子さんとプレシアさんと士郎さんが小声で話してたけど、今の俺にはソレを気にしてる余裕は一切無かった。

 

「そうね。ゼン君がいてくれたら安心ね♪」

 

ありがとうございます。リンディさ………じゃなくてッ!?

何も言わない俺を嫌がってると思ったのか、フェイトの瞳がウルウルしてくる。

 

「ゼ、ゼンは…私と学校で会うの……嫌?…」ウルウル

 

その上目遣いやめてッ!!すっげぇ罪悪感が……あ~……これは…そぉか、知らないんだな…

 

「あ~~~~その、な?…フェイト?…」

 

「う、うん………」

 

「俺のクラス、な?」

 

「ッ!?う、うん!!どこッ!?」

 

「い、いや、どこっつぅか…」

 

「………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、聖祥小学校には、通ってねぇんだわ」

 

俺が『海鳴第二小学校』の生徒なのを………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタープラチナ・ザ・ワーーーールドッ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「…………」」」」」」」」

 

誰も、何も、喋らない。否、喋れない。辺りは本当の意味で時間が止まった。

…沈黙がとても痛いです……

 

そしてさっきまで花が咲いた笑顔を浮かべていたフェイトは……

 

「………………………」ブワァッポタポタポタ

 

目尻にあった涙がボロボロと溢れて地面にポタポタと雫を……ちょッ!?

 

ガッシイィィィィィィィッ!!!×3

 

いきなりの事態にテンパっていた俺はイキナリ後ろから頭と両肩を捕まれますた。

俺は杉本怜美のいる『決して振り返ってはいけない道』をあえて振り返るぐらいの覚悟で後ろを振り返ると…

 

 

 

 

「………」ニコニコ

 

「………」ニコニコ

 

「………」ニコニコ

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………

 

振り返るんじゃなかったと本気で、本気で後悔しました。はい。

 

ちょっ!?待ってっ!?これって俺が悪いんですかいッ!!?いや、ちょっ!!!?

 

 

アッーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、冒頭に戻る。

 

あるぇ?俺って何かした?

 

 

後半へ続く!!

 






うわっ、文章が薄い……書き初めの頃のままだもんな……(;・∀・)

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