転生少女さやか(!?)☆マギカ    作:ナガン

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そういや読者の皆様って一話あたり何文字ぐらいがちょうどいいんですか?
自分は携帯のメールの容量もあって3,000~4000文字に調節しています。


6話 思惑と油断

「全てを、救え……」

 

美樹さやかはもういない。さっき全速力で駆けて行ったからだ

 

「できるわけ、ないじゃない」

 

今までだって守ろうとしたこともあった。でも何回繰り返してもまどかさえ守れなかったのに他の人まで手が回るはずがない

 

「……考えても仕方がないわね」

 

揺れ動く心を強引に固定し、踵を返す。

 

 前世……ね。魔法少女がいるのならそんなこともある……わけない。そもそも話の終わり方だって少し強引だった。どうせ嘘が綻ぶ前に帰りたかったのだろう。

 

 

 言わなかった方がよかったかしら……

 

そんな後悔が生まれるが、振り払う。

理由ばともあれ彼女は頭が回ることは確かだ。私の選択は間違ってはいない……はず……

 

残念なことに、ほむらの中には不信感しか残らなかった。

哀れさやか、どうやら彼女の君の評価はガクッと落ちたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「恭介~、今日もさやかちゃんが来てやったぞ」

 

今日はまどかと一緒に病院に行き、まどかを待たせてとある個室にあたしは向かった。あたしの古くからの友人の上条恭介が事故で入院している個室だ。決して愛しているとかそんな人じゃない。あくまでただの男友達です(断言) 。

 

「今日もってこの前きたのは一週間前ほどじゃないか」

「一週間に一度もきてやってるの」

 

 

 

 

ベッドの横にある椅子に座る。

 

「んで、手の調子はどうなの?」

「ああ、うん。医師はもう満足に動かないって言ってたけどこのとおりさ」

 

てをヒラヒラさせたり、グッパグッパする恭介。

 

なんのことはない、あたしが夜な夜な忍びこんで治していたのだ。担当の医師には悪いけどそのふざけた予想をぶち壊させてもらいました。

 

「でも、さすがに足も、というわけにはいかないみたいでね」

 

ちなみに左手しか治してないのはさすがに余裕がない、というか足の方が酷くて完治出来なかったから。咄嗟に腕をかばったらしく、それも功を奏した。

 

「まあ手が完治したらまた演奏聞かせてね」

「うんわかった。どんなのがいい?」

「一番いい演奏を頼む」

 

 

 

 

 

「待たせたね」

 

恭介との面会も終わりまどかに迎えに行く。

 

「もういいの?」

「いいの、ほら、さっさとマミさんのところに行こ」

 

淫Qβを抱えてやってくるまどか。

 

 ……こけるんだまどか。そしてそのぺたんこの体で淫Qβを圧殺しろ

 

「ど、どうしたのさやかちゃん。なんか怖い……そして酷いこと言われた気がする」

「ああいや、なんでもないよ」

 

心を読むとまではいかなきけれど、何かよからぬことを考えてると気づかれたみたい。もうそれぐらい時間が経ったのか……早いねぇ……

 

前を歩いていると後ろでまどかが止まる気配がした。

 

「? どしたの、まどか?」

「さやかちゃん、あれ……」

 

 

まどかの指差す先には黒いもやみたいなのを出しているグリーフシードだった。

 

『グリーフシードだ!! 孵化しかかってる!』

「見りゃわかるよ……。まどか、マミさんの連絡先知ってる?」

「ううん、携帯の番号知らない」

「あたしもしらない……」

 

こんなことになるなら聞いておけばよかったと後悔するのは一瞬。今は事態の対処を優先する。

マミさんには連絡が取れない。時間はあまり残されていない、か……

この現状を踏まえて冷静な思考が最善策を叩き出す。

 

「まどか、マミさん呼んできて。い……キュゥべえは私といてアンテナ代わりね」

「そんな。危ないよ!」

『僕もオススメできないね。ここは2人でマミを呼びに行くべきだ』

「悪いけど、ここにはほっとけない人がいるからね……。それに……」

 

まどかに安心させるよう笑いかける。

 

「あたしがこの程度で死ぬと思っているの?」

 

 

 

まどかは一瞬戸惑ったがすぐに決意したようで、

 

「わかった。すぐ呼んでくるね!!」

 

荷物を置いて走って行った。

 

 それにしても、こいつと一緒……憂鬱だわ~

 

 

 

 

いつもの集合場所で私は美樹さんと鹿目さんを待ちながら三日前の夜のことを思いだす。

 

昨夜、暁美さんとの遭遇を思い出す

 

「あなたはただの一般人を魔法少女に誘導している」

「特に鹿目まどか。彼女だけは絶対に契約させない」

「美樹さやかにはもう釘を刺しておいたわ。本当なら鹿目まどかにも刺しておきたかったけど」

 

彼女、暁美ほむらとは次は確実に戦うことになるだろう。話し合いはあの時限りだ。ただ……美樹さんに釘を刺したといったけど、学校では特に変化はなかった。

隠しているだけかもしれないけど、暁美ほむらに怯えることもなかった。

 

~~いや、なんで怯えるのさ? ~~

 

想像の中の美樹さんにそう言い返されて、思わず頬が吊り上る。

 

 美樹さんが怯える姿が全く想像できない…彼女は窮地に立たされても挑発的に笑って抗うタイプだと思う。

 

暁美さんと繋がりがあると最初疑ったけどよく考えるまでもなく無理があるとわかる。

暁美さんにメリットが見当たらないからだ。

ちょっと外に出てみれば魔法少女なんてたくさんいる。例えば・・・あの子とか。

グリーフシードを対価とすれば協力する魔法少女なんてすぐに現れる。

なのにあえて魔法少女ではない美樹さんと協力するのは余りにもナンセンス。

始め疑ってしまった自分が恥ずかしい。

出会って5日だけど彼女の人となりは大体わかる。

 

 

守ると決めたものは守り通す。

 

 

そして彼女はもうそれを見つけている。

夢見る少年少女が言いそうな恥ずかしいこの信念。

だけど美樹さんが言うと何故か実感がこもっている。

 

 羨ましい

 

彼女に対してそんな気持ちが芽生える。

 

片や守りたいものが確定している美樹さん、片や漠然と誰かを守っている私。

 

 私も見つけたいわね…

 

「マミさん!!」

 

声に呼ばれて顔を上げると鹿目さんが息を切らせて走ってきた。

 

「グリーフシードが……ハァ……ハァ……病院で……孵化しかかって、ます」

「!! わかったわ行きましょう」

 

私は駆け出した 。

 

 

 

 

 

 

「……グロいぃ……」

 

あれからやはり魔女の結界に取り込まれたあたしの目の前では手術中のランプがついた牢屋の中でスライムみたいなものがぼこぼこと何かを取り込んで大きくなっている。字面ではあま

 

りグロくないが慣れてない人が見れば吐くと思う 。しかし、それ以上にあたしをイライラさせるものがあった。

 

「なぜあたしの肩に乗っている」

『なぜってさやかの近くにいないといけないからだよ』

「刀振る時に邪魔になる」

『その時には降りるよ』

 

 使い魔さーん。ここに美味しそうな白い獣がいますよ?。早く食べてくださーい

 

『それで、君はどこまで知ったんだい?』

「……なんのこと?」

『魔法少女のことだよ。ここ最近君の僕に対する反応が変わったからね。3日前の夜おそくにどこかに行っていたみたいだけど、おそらく暁美ほむらから教えてもらったってところかい?』

「全部。魔法少女と魔女。そしてまどかのことも」

『何故暁美ほむらはそのことを知っているんだい?』

「教えるとでも?」

『だろうね』

 

わかりきったことの応酬

 

「あんたの目的が宇宙の為だろうがなんだろうがまどかを魔法少女にはさせない」

『数多の命より一つの命をとるのかい?君達はいつも他人を切り捨ててでも身内を守る。同じ種族なのに何故重要性が違ってくるのか訳がわからないよ。かわりはいくらでもあるはずなのに』

「あんた達の価値観で人間は計れないよ。それにね、どうせ終わりは避けられないんでしょ? ならあんた達がやってることって結局意味ないじゃん。それに100年以上未来のことなんかあたしには関係ないし」

『これは君達人類の為でもあるんだよ。いずれ君達が僕達と同じ立場になった時、枯渇寸前の宇宙を渡されても困るよね?』

「ならその時になってから人類に頼んでよ。何度でも言うけど、今のあたし達には関係ない」

 

それにさ、と以前やったようにキュウべぇを両手で前に持ってきて見据える。

 

「あんた達にとって人はただの宇宙の燃料にすぎないんでしょ。どうせやるだけやって不都合が起きたら後はあたし達に押し付けてトンズラする気だよね」

 

キュウべぇは黙して語らない。相変わらずの無表情。その時、

 

(「キュウべぇ、美樹さん。聞こえる?今結界の入口にいるのだけれど」)

 

マミさんから念話が入る。

 

(「聞こえるよ。こっちは無事。相変わらず魔女はボコボコいっててキモいけど」)

(『派手に暴れて魔女を刺激するのもまずいからなるべく静かに入ってきて』)

(「わかったわ」)

 

そう言ってマミさんは念話を切った。

 

ボコボコと不協和音が響く。

 

『実は君にも魔法少女になってもらいたいんだ』

 

唐突にキュウべぇがそんなカミングアウトをかましてきた。

 

 こいつ何言ってんの? 今までの会話全力で無視して来やがったよ。

 

そんな視線を送っていると、

 

『別にさっきのことを無視しているわけじゃないよ。君は何か魔力に相当する何かを有している。君が魔法少女になればもしかしたら予想をはるかに越えたエネルギーを手に入れられるかもしれないからね』

 

 おもいっきり一部、しかも重要なところを無視してるよこいつ…つーかバレてたらしい。

 

「それこそあり得ないから」

『そう? まあ契約したくなったらいつでも言ってね。力になるよ』

 

誰が借りるかと吐き捨てておく。いつの間にか魔女の孵化が終わりそうになっていた。

 

(「マミさん、魔女が孵化する。早くきて」)

(「わかったわ。今日という今日は即行で終わらせてあげるわよ!!」)

 

やけにテンションが高い返答がかえってきた。何かいいことでもあったのか?

 

物陰に隠れて魔女の様子を見る。

ぼこぼこと鳴っていた音が止み、牢屋がいつの間にかお菓子の箱のようなものに変わっていた。

箱が破裂し、中から可愛らしい人形が長い椅子の上に乗って現れる。

 

「さやかちゃん!!」

「美樹さん!!」

 

とそこへちょうどマミさん達が合流してきた。

 

「ちょうどいいタイミング。」

「あなた達はここで待ってて」

 

と嬉しさを隠しきれない笑顔で駆けていくマミ。

 

「ねぇ、まどか。マミさんすごくうれしそうなんだけどなんかあったの?」

 

まどかは照れながら

 

「えっと、この戦いが終わったら私も魔法少女になることになっちゃって……」

 

  なぜこのタイミング!?

 

思わず声を上げそうになった。

まどかもうれしそうだがあたし(転校生も)にとっては無茶苦茶まずい。

 

 まどかを魔法少女にさせないとか言ったそばからこれですか……

 

やばいやばい、とどうやったらまどかを穏便に魔法少女にさせないように誘導するか考えこむ。

 

 

 

そのせいだったかもしれない。いや、まどかもマミの戦いに魅せられたようにあたしも少し魅せられていたのかもしれないし、マミさんが負けるはずないと無意識に思っていたのかもしれない。ともかくいろんなことが偶然重なりあって…

 

 

 

 

 

あたしはマミさんが人形から出てきた新たな魔女に頭を食いちぎられるのをただ見ているしかなかった。

 


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