転生少女さやか(!?)☆マギカ    作:ナガン

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艦これ×魔法少女まどかマギガのクロスオーバー!! 


あかんどう見てもキュウべえの完全勝利やこれ


35話 本物の絶望

 

二人はそれをずっと手を拱いてみていたわけではない。

 

確かにそれはさやかの目の前にいきなり現れた。だからと言って、さやかに危害を加える前に何らかのアクションは取れる猶予はあったのだ。

 

しかし、彼女たちは呑まれた。それが発する、底知れない闇に。足が竦んだ。彼女の視線に。

 

そして、そいつがまどかと同じ姿をしているのに驚いた。

 

 

 

「グプッ」

 

 

なにが、起こった?

 

アタシはワルプルギスを倒して、まどかと一緒にマミ達と合流しようとしていた。

その道中、迎えに来たさやかとばったり遭遇。

そしてアタシがGSを見つけて、さやかがそれを拾いに行った。

そしたらあいつが現れて、

 

さやかを触手でめったざしにした。

 

「ご、の!!」

 

血へどを吐きながらも、さやかがそいつを切り払おうとしたが、その前触手を抜かれ、支えがなくなり、膝を屈する。

 

「きっさまあああああ!!!」

 

怒りで硬直が解けたまどかが横から突進していく。それを受けて、アタシの中にも押さえがたい怒りが渦巻いていることを自覚した。

 

「てんめええええ!!!」

 

 

「縛牢陣!!」

 

まどかは敵の周囲に陣を張る。どうやら敵の動きを束縛するものらしく、陣の中から鎖が生えて敵を雁字搦めに。

 

突進し、16分身の多重攻撃を仕掛ける。

16方面からと、本体は上から。

 

「はあああああ!!」

 

 

 

「だ……め」

 

 

バキッ!!

 

「え?」

 

槍がまどかの偽物に触れるか触れないかのところで、

偽物のまどかの拳が突き刺さった。

 

 な……に?

 

驚愕する間もなく、このままだと、地面に叩きつけられる。反射的に吹き飛ばされている方向に視線を向けると、

まどかの偽物が黒い触手みたいなものを拳に纏って待ち構えていた。

 

「!!」

 

拳と槍がぶつかりあう。

 

 まだまどかの強化は効いているはず。なのにこいつ、なんて力してやがる……!!

 反撃がまるで……

 

「カアアアアアア!!」

 

まどか(偽物)がもう一方の拳を振り上げる。

 

「しまっ……」

 

一方の拳だけで手一杯だから、当然、ソウルジェムを全力で守ことぐらいしか、防ぐ余地はなかった。

 

 

直後、左腕の感覚が無くなった。

攻撃をモロに食らい、壁に叩きつけられ、そして偽物のまどかがソウルジェムをなお狙おうとしているのを見るしかできない。

 

 こいつ……何もん……だ……

 

「き?」

 

偽物の声がやけに遠く聞こえた。

同時に、少し暖かくなる。

 

 誰かに、抱えられている?

 

霞んだ目で見えるのは、さやかとまどかを肩に乗せたみきの姿だった。

 

 

 

 

 

パスを通じてさやかが窮地に立たされていることを知った。

慌てて向かうと、そこにはちだまりに倒れたさやかと、呆然と立ち尽くしているまどか、そして一方的にやられている杏子がいた。

 

「あんた……その格好は何の冗談?」

 

後であたしの結界のセキュリティ強化しようと心の中で誓いながら、相手を観察する。

 

 

多分魔女、のはず

なんでまどかの姿をとっているのかはわからないけど、強敵なのは間違いない。

 

「みき……?」

「さやか、しっかりして」

 

何なのあれ? と小声で耳打ちする。

 

「一旦、退いて……」

 

 いやそうじゃなくて

 

「ぐくくくくっ、ひははははははっ!!」

 

突然、偽物のまどかが笑い出した。

まるで、逃げることを提案したさやかを嘲笑うかのように。

 

「だめ……あれ、だめぇ」

 

放心状態に陥っているまどかが消え入るようなこえで拒絶を表す。幼子のように、わがままを言うように。

 

あいつが、足に力を込めた。

 

反射的に刀を抜き放つ。

 

ガイン!!

 

軌道を帰られた拳は地面に向かい、一メートル程陥没させた。

 

迷わず、時を止めた。

 

同じ魔女だからか、さっきの交錯でこいつの思いの一端が刀を通して伝わったから。

言葉でなんか、表せない。表したくない。まどかはこいつを全部見たんだ。

 

 逃げよう

 逃げて、知らせないと

 

さやかと、まどかを肩に担ぎ、杏子を抱き抱える。

 

 

最後に、気休め程度だろうけど偽物のまどかのまわりに幾重ものドームを形成する。

 

 時間稼ぎには、なってよね

 

そして、空間を裂いて、ほむら達の元へ逃げた。

 

残した一同は三人の惨状に息を飲む。

 

「何があったの?」

「まどかの偽物にやられた」

「今どこに?」

「こっから500メートル先の……」

 

そう言って、

 

指差した一メートル先に、あいつがいた。

 

 

「な!?」 「え?」 「きゃ!?」

 

 

ドコッ!!!

 

「ぐっ!!」

 

ギリギリのところで時計を滑り込ませることに成功した。

 

 なんて力……だ、よ。魔力思いっきり込めてんのに……!

 

「っ……ンピン……グ……」

 

後ろでほむらがまどか達に指示を出しているのを尻目に、このままだと押し負けると思い、偽物のまどかの頭上に御柱を投影。

 

「クラッシュ!!」

 

そのまま落とした。

 

 バキィィン

 

只の腕の一振り

 

「は?」

 

それが、全力での攻撃に対するそいつの対処だった。

それだけでありったけの魔力を込めた御柱と時計は、いとも簡単に壊され、なお余りある拳の威力があたしを襲う。

 

「う……ぐ」

 

 うそ、でしょ……?

 

 マジで、ヤバい

 

マミが銃を召喚して撃つ。

傷一つつけることなく、逆に吹き飛ばされた。

 

ほむらのM870(ショットガン)の零距離射撃。

吹き飛ぶこともなく、素知らぬ顔で反撃された。

 

ゆまが半狂乱でモールを振りかぶる。

触手に叩き付けられた。

 

 違い、すぎる。あたし達がどうこうできるレベルを、とっくに越えてる。

 

 どうした……

 

刀を構えて斬りかかった。地面から生えた触手みたいなものに取り囲まれた。

 

 どう、すれ……ば……

 

「いやああああああ!!!」

 

 そういや、そもそも皆に知らせて、どうにか、なったのかな?

 

 

 

 

 

「結界が……」

 

みきが倒れたことにより、本人の意思とは反して結界が解除される。

ほむらが見た空は、ワルプルギスが現れた空よりもどす黒かった。

 

痛みをこらえてまわりを見渡すと、あちこちで皆倒れていた。少なくともこの場で動けるのはほむらだけだった。

 

「そうだ、まどかは!?」

 

倒れている皆の中にまどかがいないのに気付き、身体を無理矢理動かす。

 

そして、見つけた。

 

偽物のまどかに触手で首を掴まれもがいているまどかを。

そして、偽物のまどかは今にも止めを刺そうとしていた。

 

「待ちなさい!!」

 

ワルサーを構え、声を上げてこちらの存在を気付かせる。

 

「あれ? ほむらちゃんまだ生きてたんだ。ちょっと待っててね。こいつ送ったらすぐに送ってあげる」

「っさせない!!」

 

 発砲

 

しかし、そんなものが偽物に効くはずがない。

 

その拒絶の言葉に偽物のまどかはため息を吐く。

 

「なんで皆そう言うのかな?わたしはただ皆を天国に送ろうとしているだけなのに」

 

わけがわからないよ。と偽物のまどかはおどけて言う。

 

「やっぱり……」

 

その言葉で、ほむらには合点が行った。

 

手から伸びる触手、天国、

 

そして

 

 

この空模様が否が応にもあの時の記憶を刺激する。

 

彼女は偽物ではない。

正真正銘、鹿目まどかだった存在。

 

 クリームヒルト・グレートヒェン

 

最強最悪の魔女が次元を越えてやって来た。

 

 

 

「くす」

 

 


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