転生少女さやか(!?)☆マギカ    作:ナガン

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なんだ、なんで昔のおれはサブタイトルに変な法則設定しているんだ。


前回までのあらすじ

魔女化不可避。それでも打ち克った。皆生存! でもさやかダウン……。






31話 絶望の向こうには

 

「…ひう……まどかぁ…もう、やめてぇ」

「まだダメにきまってます。我慢してください。」

「ひゃう!……そこはらめぇ…」

「(ウェヒヒ)、うわあ……ここすごいことになってる。これをこうすれば……」

「あひぃ! なんで…こんなこと……ん」

「さやか様のためです。…ちょっといたみますよ」

「そ、それって…や、やめ……ひあああああ!!」

 

 

やあ、アタシだ。杏子だ。

早速だが、アタシは今からゆまとちょっとゲーセンに行こうと思う。

時間? 一時間ぐらい大丈夫に決まってる。

確か新しいやつが出たらしいしな。

金? ……しまったな。手持ちがねえ。

近所のチンピラからカツアゲするか。

いや、こんな時に余計なトラブルは止めておこう。

 

こうなったら散歩でもいい。

この部屋から一刻でも早くでよう。

そろそろ精神的にヤバい。

別に、まどかのやっていることは健全だ。青少年には全く抵触していない。

だが、さやかのすがるような視線に耐えられないだけだ。

ごめんなさやか。あんたを救うって言ったけど今のアタシじゃ助けられねえ。

だから待っててくれ。いつか助け出せるように精進してくるから。

だから、そんな目で見ないでくれ。頼むから。

後若干殺気も込めるな。

 

 

グッドラック

 

 

 

 

おいまて何だその親指はああああああ!!

 

ぜってー後で折ってやるからな!! 覚悟しておけ!!

助けなかったこと後悔させてやるからなあああああまどかマッサージ止めてえええええ!!

 

「泣き言言わないでください」

「わかった。わかったからふくらはぎ触るのやめて揉まないでえええええ!!」

 

霊力こめて揉まれた(円にとってはマッサージらしい)所が、独特のしびれを断続的に発する。

おまけに(自主規制)

 

円曰く、魂を体になじませているとのこと。だが……!

 

助けを求めようにも、マミは顔を真っ赤にして手で覆っているけど、指の隙間からばっちり視姦してるし、

ほむらにいたっては、愛を吹き出しながら、なぜか落ち込むという高等テクを実戦中。

杏子はさっき出ていった。そしてゆまは目と耳を塞がれて連れていかれた。

 

 

 ど、どうしてこうなった……

 

これはやっぱりマミ達のせいだ。

まどかを止めなかったのが悪いんだ。

 

モニュモニュグリグリ

 

「ひいあああああ!!」

「…………ウェヒヒ。」

「おい今笑ったな!? 絶対笑ったろ!! あ……ちょ、お、お願いいいいい!! 変になるううううう!!」

 

 

アッーーーーーー!!

 

――――――――――――――――――――――――

 

「うう…神に向かってこの所業。絶対許早苗」

「さやか様、ゆるしてヒヤシンス」

「ヒヤシンスどっから出てきたんだよ!!(怒) 流石にキレるよ!!」

「でも、悪いのは何も対策をしていなかったさやか様ですよ。それにひやひやさせすぎです。わたしが言えた義理ではありませんが、勝手にいなくなったり、いたと思ったら死んでたり、生き返ったと思ったら違ったり、負けたと思ったらどんでん返ししたり、挙げ句の果てにはほむらちゃん傷つけましたよね?少しは頭をヒヤシンス」

「確かに、そうだけど……けどほむらのは「ヒ・ヤ・シ・ン・ス?」ヒ、ヒヤシンス……」

 

今ここに、あたしと黒円の上下関係が決まった。

流石に現時点で円に敵わない。

さっきからしきりに手がわきわきしている。まだやりたりないの? マジ勘弁してほしい。(自主規制)しかけた。

 

 

「美樹さやか。まどかの気持ちもわかってあげなさい」

 

とりあえずほむらはその愛を止めろ。

 

「おーす、昼食買ってきたぞ」

「杏子……さっきはよくも見捨てたな……!」

「いや、だって……なあ?」

「たまには救ってよ!!」

「救うって、別に救う場面でもなかったよな?」

「目には悪かったけど、甘んじて受ける罰だったんじゃない?」

 

 

嘘つけマミ。眼福物だっただろ。

 

「ねえねえ。ほむらはどうして鼻血出してるの? ゆまが出ていった間に何があったの?」

「それはね……」

「ゆま聞いちゃダメだ!! そう言えばまどか、学校は?」

「ずる休み」

「へぇ~?!」

「?」

 

驚くあたしとは対照的に円は何か? といった風に平然な顔をしていた。

 

「別に学校なんて一日ぐらい休んでも何とかなります」

「……両親に怪しまれるよ」

「そこはぬかりはありません」

 

――――――――――――――――――――――――

 

「……さやか様。質問いいですか?」

 

昼食を食べ終わり、マミが食器を片づけていると、まどか、いや円が昨日のことを話し出した。

 

なんでも、生物が言うには人間と生物の関係は人間と家畜の関係と同じらしく、円は当然それに反発した。

 

「そしてあいつはこう言ったんです。『願いが条理にそぐわない以上、必ず何らかの歪みをもたらす。やがてそこから災厄が生じるのは当然の摂理だ。それを裏切りと言うのなら、そもそも願い事なんてする方が間違いなのさ。』って。わたし、言い返そうとしたんですけど……何も言えなくて……」

 

円は生ものに言いくるめられて心底悔しそうだった。

 

「さやか様。あいつの言っていることは正しいんでしょうか!?」

 

 円は縋るように質問する。自分が少なからずキュゥべえの理論が正しいということを理解しているからかもしれない。

 

 ……う~ん

 

「確かにそれは真理だ……」

「そんな!!「でも!!」」

 

円の叫びをより大きな声で遮る。

 

「願い事をするのが間違いだなんて、絶対ない」

 

願いを否定するとはね……あいつらなんにもわかってない。

 

「希望と絶望の相転移? はっ、確かに希望と絶望は表裏一体。だが希望の行き着く先は絶望ではない。絶望の行き着く先、それすなわち新しき希望。

それを魔女化で強制的に断ち切る奴らに、願いを否定することなど言語道断。願いより生まれし我等神をも冒涜する行為、万死に値する」

 

ん? 杏子達がなんか強張ってる気がする。

 

まあいいか、続けよう。

 

 

「そして「おいさやか……様」…なんだ杏子?」

「ええ……と、口調が変わっておられ……ます?」

 

 あ…知らず知らずの内に神様モード発動してた? あ、円ひざまずいてるし。

 

「えー、と。まあ、楽にせい」

「い、今のは?」

「神様モード。主に神様として民衆の前に現れる時に使うモード」

「……ひれ伏す人達の気持ちがよくわかったわ」

「……動くに動けなかったわね」

「こ、こわかった……」

 

マミ、まどか、ゆまの感想がこれ。

 

「なんつーか、前やった時よりも威厳つーか、オーラが出てた」

 

杏子の何気ない感想。だけどあたしにとっては重大な発見をしてくれた。

 

「え?それって……」

「さやか様が発していたのは正しく神力です。当たり前のことじゃないですか」

「マジで!! やった!!」

「何か良いことなのか?」

「てっきり妖怪オンリーな時まで逆戻りするのかと思ってたから」

 

実は、さやかが神力については、諏訪湖が介入したおかげである。彼女が介入しなかった場合、妖怪まで逆戻りしていた。

 

「でも美樹さん、グリーフシード取り込んだのよね?」

「それなら魔女で妖怪で神様ってことになるわね」

「……軽くカオスね」

「流石安定のさやか」

「あんたら言いたい放題言いやがって…」

「「「だってそうしてると、とても神だって思えない」」」

 

 ぐっ!! 見事なハモり……!!

 

「大丈夫ですよ。さやか様。例え世を忍ぶ仮の姿がすこしはっちゃけた中学二年生でも、誰がなんと言おうともわたしが保証します」

「まどかそれフォロー違う。うるさいな。昔は威厳を持って接した方が良かったけど、今はフランクにした方が信仰が集まるの!!」

「……何かしら、この罪悪感」

「神様の厳しい現実を目の当たりにしたわね」

「元気だして」

「アタシは信仰するぞ」

「なんでそんな憐れみの目で見るの? て言うか杏子、あんたキリスト教徒だろ。大丈夫なの?」

「家は破門されたんだ。それにキリスト違う。なんならあそこで信仰活動してやろうか?」

「それ教会のドア蹴り飛ばした奴の言う台詞?」

 

むう、と言葉につまる杏子。

それを見て、まどか達はクスクスと笑う。

 

「ま、さしあたってはワルプルギスの夜を倒してからか」

「ええ、絶対に勝ちましょう」

「そうだね……あいた!!」

「どうしたのまどか?」

「いや、昨日変な呪術かけられたみたいでして……。あ、もう解呪はしてますから大丈夫です」

「呪術?」

 

ほむらの顔が一気に強張る。が次のまどかの言葉で、ジト目な呆れ顔に変わった。

 

「えっと、遠くで対象に見立てた人形なんかで悪さするタイプのものなんだけどね。それで変な体制のまま固定されたままで放置され……杏子ちゃん、マミさんどうしてそっぽ向いてるんですか? あとゆまちゃん、どうしてそんな泣きそうな顔してるの?」

 

まどかは首を傾げて、不思議そうな顔をしている。杏子たちが犯人だと言ってみたいが、我慢しておく。

 

「いや!?、偶然だ」

「そうね偶然ね」

「ごめ……フグ」

「それは巴マミたちが「あああああああああそろそろ昼食にしましょうかああああ!!!」」

「昼食はもう食べたよね?」

 

謝りかけたゆまの口を杏子が塞ぎ。真実を言いそうになったほむらの口をマミが叫んでごまかしながら塞いだ。心当たりがありまくりな三人には耳が痛い話。しかし、あたしの二の舞には成りたくないのは自明。流石紫。そこに憧れもしないし尊敬もしない。恨みはするが。

 

ワルプルギス襲来の前日とは思えない程、のどかな日だった。

 


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