転生少女さやか(!?)☆マギカ    作:ナガン

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幕間を挿入投稿しました。
これを投稿するのを忘れていました。申し訳ありません。


25話 本丸の崩壊

 

 

 

 

――蛙狩「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」――

 

――神穀「ディバイニングクロップ」――

 

スペルカード同時発動

 

TASも真っ青な弾幕が魔女を襲う。

 

「そらそらどうしたァ!! 時が動いているとなにもできないのかァ!?」

 

魔女が弾幕を掻い潜ってきたところに御柱を振りかぶる。

 

しかし、それは空振りに終わる。

もっとも、それは魔女も同じようだけど

魔女は刃が通らないことに歯がゆさを感じているのがありありと伝わってくる。

 

確かに、記憶では時を止めた中でも‘あれ‘は何でも斬れる。

そこに、魔力が加われば尚更。

 

 だけどね

 

僅かに乱れた神力を元に戻し、再び体を覆わせる。

斬る対象に魔力及びそれに準ずるものが付与されていれば、話は別なんだよねぇ

 

 

 

まず最初に、時が停止した中では物体の運動は停止している。

時を止めた中で斬るということは、切断面の状態をそれこそ0秒で変えると言うことなんだよ。

刹那さえも許さないその所業でさえあれはやり遂げてしまうのは感服するねぇ。

 

 

因みに物体の堅さも一応跳ね上がる。(モンハンでいうところの青ゲージ)

 

閑話休題

 

だけど魔力等に関しては例外。

 

時を止めた中では魔力等は物質化するんだよ。

おまけにそういったものは酷く概念的でねぇ、そういった概念で以て無効化するか、魔力等で相殺するしかないんだよ。

 

紅魔館のメイドも時を止めれるけど、その間はメイドも相手にダメージを与える手段がないから、ナイフをばら蒔くだけにとどまるしかないのさ。

 

蒼穹双神は恐ろしく切れ味がいいけど、それ故に概念を付与することができない。

 

よって、魔女は魔力で以て私達の神力を相殺するしかないってわけなんだよ。

 

だけどね、力にも格、というものがある。

 

魔力<霊力<妖力≦神力と言った具合にね。

もちろん込める量でも上下するけどさ。

 

つまり簡単に言うと、

 

「神力を体に覆わせれば、攻撃は食らわないんだよねぇ」

「誰に向かって何話してるの?」

「入ってきた記憶の整理がてら、読者に説明してたのさ」

 

諏訪子はため息を吐きながらも、攻撃は緩めない。

 

 しっかし、流石にマンネリ化してきたね

 

大体、さやかが起きないとなにも進展しないんだよ。これが。

 

 ちょっっっとイライラしてきた

 

『霊夢よ。こっちの準備が整ったから、少し動きを止めてくれないかしら?』

「……ちょっと待ってくれないかい?」

 

確かに霊夢が介入すれば、さやかは確実に助かるだろう

 

 だけどねぇ……

 

私はそんなやつと酒は飲みたくないし、

 

 

 何よりおもしろくない。

 

 だってそうだろう?

 

「「「「「「「いい加減起きな!!!!(ろ)(なさい)(て)」」」」」」」

 

バキン

 

魔女のもつ蒼穹双神の片方が砕け散る。

 

愛と勇気が勝つ物語ってのはさ

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 うるっさいなあ

 

心にガンガン響く叫び声あげやがって。本当にうるさい

 

 

 

 でもって

 

本当に……力になる

 

何でいるのとか、どうやってそうなったとか、色々聞きたいけれど、後だ後。

 

 

 動かない? そんなバカな

 

 魔女は?正面3メートル辺り

 

 どんな様子?気付いている感じじゃない。

 

 

 

 なら、イケる

 

 

 

自分でも驚く程呆気なく体は動いてくれた。

 

魔女は動かない。振り向くだけ。

動けないと言った方が正しいかもね。

 

斬!!

 

一瞬の交錯

 

パキン

 

砕いた(・・・)のはあたしの刀。

 

舞い上がったのは、魔女の刀。

 

パシッ

 

「先ずは一本、返して貰ったよ」

 

魔女はなくなった左手とあたしを見比べて呆然としている。

 

 ははっ、どうしてそんな顔してるの?

 

「なに、心臓刺されたぐらいで死ぬと思った?」

 

死ぬわけないじゃん

 

ものっすごい痛いけど

 

それよりもそれに思い至らなかった方が恥ずかしい。

 

 もう、人間じゃないのにね

 

やっぱりまだ未練があったらしい

 

「まっ、それもいっか」

 

あたしは、人間だった妖怪だ。神様なのかはわからないけど。

 

この世界でただひとつになると思っていたけど、盛大な勘違いだった。ならば、躊躇する必要もない。

 

「来なよ。決着つけてやる」

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『何したの?』

『なに、ちょっと渇を入れてやっただけさ』

 

さやかの意識が出てきたのだろう、魔女が蹲って呻いている。

 

『ねえ、これってやっていいの?』

『やったらさやかが怒るだろうねぇ』

 

信じて待ちな、と霊夢に待機を告げる。

 

「私達も信じてみる?」

 

と諏訪子がやってくる。

 

それもいいねぇと返して、どっかりと腰を下ろす。美鈴の方に目を向けると、なにやらさやかの体の傷を治しているようだった。

 

「呑気なもんだよね」

「いや、あれはそんな雰囲気じゃないと思うよ」

 

最低限の警戒心を持ちながら話すこと1分、魔女が一際大きな声を上げたかと思うと、蒼穹双神のもう片方も砕けた。

 

「そろそろかな……」

「ああ、最後の仕上げだね」

 

魔女がドロドロと溶けて形が無くなっていく。遥か遠い次元で誰かのSAN値が0になった気がするが気のせいだろう。たんぱく質の固まりから二つの球体が飛び出す。

 

「うわッ、グリーフシードと陰陽玉が出てきた」

 

諏訪子はちょっと驚いている。

 

「博霊の陰陽玉ではないようだけどねぇ」

 

白いところは輝いていて、黒いところは真っ黒だ。

 

グリーフシードの黒さとは比べ物にならない黒い。やがて、グリーフシードは下にあるたんぱく質を引き寄せて、ボコボコと巨大化していく。

 

 遥か遠い次元で(ry

 

対して陰陽玉の方は全く動かない。

くるくるとその場で回転している。

 

「あらら、これはきっかけがつかめてないのかな?」

 

と諏訪子が陰陽玉に触れて、神力を流し入れる。

 

陰陽玉の回転が段々とはやくなり、それにつれて 黒と白の区別がつかなくなっていく。

 

そして、陰陽玉はその姿を変える。魔女のようにグロテスクなものではなく、生命が誕生するような神秘性の白を帯びていた。

 

「っと、帰ってこれ……うっわグロ!! ちょっこれなに!?」

 

 ……不思議だねぇ。これが初めての邂逅なのに、すごく懐かしくかんじるよ。

 

「遅かったじゃないか」

 

 

 

 

 

戦いは一方的だった。

 

蒼穹双刃がこの手に戻ってから、能力が使えるようになった。これによって、武器及び能力によるハンディキャップはほぼ0となった。

 

そして、あたしが終始有利に事を運べたもうひとつの理由

 

 

 

下手だった。

 

剣の扱いが

 

一合打ち合ってわかった。

こいつあたしの真似してるだけだと。

 

記憶にある通りに剣を降っているだけ。

裏打ちされた経験がない。だから投影していた剣も斬られずに砕かれた。

 

 

 確かにあたしの写し身だし、真似るのは最適だと思うけどさ。

 それを見抜けなかったあたしもあたしか

 

 

さて

 

「やっすい茶番劇もこれにて終了」

 

治った魔女の腕を再び斬り飛ばし、返し刀で首を狙う。

 

魔女はもう片方の腕に剣を創ってガード。

 

 ばーか

 

剣は呆気なく真っ二つ。

 

 そんなんでガードできないってわかってたよね?

 

最後のあがきで魔女は空間を広げて、凶刃から逃れようとしている。

 

 それも無意味だって、

 

あたしも対抗して空間を狭める。

 

「これで……」

 

魔女は今だ間合いの中。

 

「止めだああああ!!」

 

 

やっと、決着がついた。あたしの勝利で。

 

後ろで放り出された蒼穹双刃が刺さった音がした。

 

 ピシ……ピシ……

 

そこから、罅が入っていく。

 

魔女の体は地に伏せていた。

 

 

「あれ? もう終わってたの?」

 

一息ついていたところにかけられた、後ろからの声にギョッとする。

 

 だってこの声は……

 

振り返ると、いつもの脇だし巫女服を着た霊夢がお札をしまっていた。

 

「霊夢……」

「やっぱりね。使い魔にあの双神を召喚したから、もしかしてとは思ってだけど」

 

含みのある霊夢の言い方。すぐに察しはついた。

 

「!! 知ってるの?」

「ええ、今でも鮮明に思いだせるわ」

「げ、幻想郷は?」

「のどかなものよ」

 

 ……何だよもう。ほむらのバカ。あんな言い方するから勘違いしてたじゃん。

 

「もしかしてあの三人連れてきたのって……」

「酷い戦いだったわね。見てられなかったわよ」

「酷いって……しょうがないじゃん。つーか、こんなことしていいの? 博麗の巫女なんでしょ?」

「今ここにいるのは『博麗霊夢』よ」

 

思わずぽかーんとしてしまった。

 

 まさか霊夢の口からそんなことを聞けるとは思っても見なかった。

 

「変わったね、霊夢」

「あんたは変わってないの?」

「あたしは……変わって戻ったかな」

「あっそ」

 

直後、誰かの神力が流し込まれて、空間に一気に罅が入る。

 

 これは、諏訪子の仕業かな

 

「時間ね。また追々連絡するわ」

「わかった」

 

引き止めたりはしない。絶対また会えるから

 

「またね」

「ええ。また」

 

そう言って霊夢は消えた。

 

「さぁてと、神奈子達にも顔会わせに行きますか!!」

 

空間が、砕け散った。

 


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