転生少女さやか(!?)☆マギカ    作:ナガン

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すいません。
一話飛ばして投稿していました。



幕間

 

 

「ん……」

 

寝ぼけた体に朝日が射す。

 

「ふぁ~」

 

のろのろと起き上がり、顔を洗いに井戸へ向かう。

 

「ん~」

 

歩きながら、軽く伸びをして、固まった体をほぐす。

 

 しっかし、あの夢は何だったんだろうねぇ?

 

ちょうど山の麓を見渡せる、見晴らしのいいところで立ち止まり、遠くを見据える。

 

虫がさえずり、葉がこすれあう音、しかしない。

 

夢は確かここと同じ風景だったはずなんだけど、何か違うんだよねぇ……

 

「お~い、何してるの神奈子~、朝ごはんもう出来てるよ~」

 

しばらく考え込んでいると諏訪子が呼びに来る。

 

「ああ、すぐいくよ」

 

私は手早く身仕度を済ませ、家族の元へと向かった

 

◆ ◆ ◆

 

「ふーん、それで、どんな夢だったの?」

 

朝食時に夢のことを話した。

 

いつもなら、こんなことはまずしないはずだけど、気が向いたというかなんというか、話さなきゃいけない気がしたというか、とにかく話す気になった。

 

「そうだねぇ……、変わらないんだよ」

「変わらない、ってどういうことですか?」

「いや、夢の舞台はここで、いつもの日常だったんだけど……、ちょっと違ったんだよ」

「え?ちょっと待って。それあたしも見たかも」

「わたしもです」

「え?」

 

ここで、同じ夢を全員が見たという事実が発覚する。

 

「本当に同じ夢なのかい?」

「恐らくそうです。いつもの様に神社の掃除、そして家事を行い、その後博霊神社に宴会に行くところで、目が覚めました」

「まんまあたしの夢だよ、それ」

「確かに、何か違いましたね。こう、言葉にしずらいですけど……」

 

食卓が静かになる。

そこでふとさっきの遠くの景色が脳裏を霞める。

そう言えばあの夢は森からは、沢山の賑やかな声が微かに聴こえてきた気がする。

 

対してこっちは……

 

「もの淋しいのか」

 

素直な感想をポツリと呟く。

 

「あ!! そうです!! 活気があって賑やかでした!!」

「そう言われればそうだよね」

 

その言葉は、2人の咽につっかえた骨を、キレイに取り除いたようだ。

 

 ……?

 

ふと、違和感を感じて周りを見渡す。

2人も同じように周りを見渡している。

 

「違う」

「違うね」

「はい、違います」

 

私達は幻想郷に、アレが終わった後から引っ越している。だから家も200年前のもののまま。

だけど夢じゃこんな古い家じゃなく、もっとしっかりしていた。

家具も透明な板が付いた扉の棚があった。まるで未来、いや現在の家の様式だろう。

 

「あれは、外の物でしょうか?」

「多分それで間違いないよ」

 

夢の話題は白熱していく。

 

ここはこうだったとか、あそこはこう違う等と、話は進んでいった。

 

その時、

 

「もう1つ、最大の謎があるのに今気付いたんですが……」

「奇遇だね。今あたしも気付いたよ」

「私もだよ」

 

これもまた謎だが、なぜこのことを突然思い出したのだろう。

 

「「「あの青い髪の女性は誰だろうね?(でしょう)(だろう)」」」

 

「私は確か敬語を使っていましたから、多分神様だと思うんですけど……」

「あたしもかなりかなり親しく話してた気がするね」

「名前は?確か私はそいつの名前を、呼んだはずなんだ」

 

誰か知ってるかい? と尋ねる。

 

「そうなんですよ。それがわからないです」

「えーと、と……、いや違う、なんだったかな~」

 

肝心の名前が、全く出てこない。

 

何でか、それに無性に腹が立った。

 

――――――――――――

 

 

「ふっ」

 

朝の日課である太極拳。

 

組を一通りしながら、頭の中で今日の夢を考えます。

 

夢では、真正面にある湖には沢山の妖精が飛び回り、絶えず活気のある楽しそうな声が聴こえていました。だけど、現(うつつ)は妖精達は数えるほどしかいません。楽しい声なんて言わずもがな。

 

こうして私は門番の職に就いていますけど、ここを訪れる人なんて、あの白黒しかいません。

だから私は、こうして中国拳法の型を暇潰しにやっていますけれど……。

 

 少し、シャドーでもやりますか

 

シャドーの相手を空想する。

 

いつもなら、身近な人が仮想敵として目の前に現れるんですが……

 

「へ?」

 

現れたのは、薄い青の髪の女性。

誰ですか? と、尋ねるが、返答はなくて、口元に不適な笑みを浮かべて、ただ構えるだけ。

どうやら、それが目的なのでしょう。

 

「良いでしょう。相手になります」

 

構える

 

辺りが一層静かになります。

 

相手の気配を読み、呼吸、体の重心、目線を感じとる

 

青い髪の女性が一瞬で目の前に移動する。

 

活歩、それも並大抵の練度じゃない。

 

その次は普通は崩拳か肘打ちでしょうけど……

 

相手からその気配はない

 

足元で大きな音。

 

案の定、それと共につきだされた腕は途中で止まる

その一瞬を見逃さずに、顔面に肘を突き出す。

これは顔を横に反らして避けられる。

 

だけど、まだ私のターンです。

 

肘打ちした腕を伸ばして、顔面に裏拳。大した威力はありませんが、相手の体勢を崩すには充分。

 

裏拳が女性の顔面に当たります。

 

しかし、女性は真正面から受け止めて、よろけることはありませんでした。

そして、両者の繰り出した掌底が両者を吹き飛ばしました。

 

ふむ……なかなかの強者ですね。

 

ちなみに私達は今まで一歩も動いてないですし、ましてや手なんて言わずもがな、です。

 

え? さっきのは何ですかですって?

あれは目線、僅な挙動、思考の交錯が織り成す高度な心理戦です。

 

さて、こて調べはここまでです。

 

「行きますよ」

 

今度は私からしかけます。

 

しかし、女性は笑うだけで、何も行動を起こしません。

 

そしてそのまま私の蹴りは……

 

女性をすり抜けました。

 

 幻影!? 何時の間に!?

 

付近を警戒します。

 

が、何時までたっても攻撃してくる気配がありません。

 

それどころか、まるで始めからいなかったように、女性の気配はありませんでした。

 

どういうことなんでしょう?

 

「美鈴、あなた何していたの?」

 

ずっと見ていたけど、途中から変だったわよ、と混乱しているところに、咲夜さん尋ねてく…て、え?

 

「咲夜さん、青い髪の女性を見ませんでしたか?」

「青い髪? 見てないわよ」

 

あの女性はもしかするとシャドーだった? でも、夢に出たとは言え、見ず知らずの他人がシャドーで出てくるのはまずあり得ない。

そこで、そう言えば、と咲夜さんが口を開く。

 

「お嬢様が、あなたと同じ質問をしたわね」

「レミリアお嬢様が?」

「ええ、きっとそいつが、新たな波紋を巻き起こすだろう、って愉快に笑っていたわ。近い内に波紋を起こすのに」

「その女性の名前は?」

「さあ、知らないわ」

「そうですか」

 

まあ、精々今日も白黒を入れないようにね。と踵を返す咲夜さん。

結局、レミリアお嬢様にもその女性のことを尋ねて見ましたが、解らずじまいでした。

その時、レミリアお嬢様に掴みかかってしまい、咲夜さんにギタギタにされました。

私としたことが、何でかイライラしたんですよね。

 

 

――――――――――――

 

紫様、どうなさいましたか?

 

……藍、これから面白いことが起こるわよ。

 

は?

 

さしずめ、当事者しか知らない隠された異変、てところかしら

 

何故そんなことを?それに今代の博霊の巫女に異変を隠し通せるとは思えませんが……

 

そう、霊夢は才能にあぐらを掻かずに修行するものだから、今やあの子は弾幕ごっこ以外でも大妖怪と退けをとらない。何か決起迫るものがあるぐらいに。でも、元々隠す必要なんてなかったとしたら?

 

!?まさか……

 

大丈夫よ。この異変は幻想郷に直接影響は与えない。むしろ計画にプラスに働くかもしれないわ。

 

現在は準備もほぼ終わりましたし、地底の方で一悶着有りましたが、計画に支障は有りません。

 

そう、今度はしくじれないわね……。これで、全て終わらせる。

 

 ところで、藍

 

何でしょう?

 

今回起こる異変の名前を考えて見たんだけど……

 

 

 

 

夢時元異変、何てのはどうかしら

 


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