走った。 とにかく走った。 途中、何度も車にぶつかりかけたが、それでも走った。
どうにか見つからないでいてくれ。
家の玄関は閉まっていた。
中に誰が居るかなんて、その時には考えている暇はなかったのだ。
玄関のドアを開き、廊下からリビングへと入る。
そこには何もなかった。
母はどこへいったのだろうか。
床には血のついた跡すらない。
何故なのか。
気にはなったが、母がもうすでに死んでいる事に変わりは無いのだ。
俺は階段の方へと歩いた。妹は大丈夫なのだろうか。
その事が頭の中をめぐる。
一段飛ばしで階段を上りきった俺はすぐにクローゼットの方へ行き、
勢いよくクローゼットのドアを開いた。
すまなかった と、謝らなければならないだろう。
母を助けられなかった上に一人にさせてしまった。
だが、謝る相手はもうそこにはいなかった。
母と妹は"行方不明"という形で処理された。
といってもこのサイド3に警察はなく、それらを統括しているのもまた地球連邦政府だった。
信用も、信頼もできない。
家は広くなった。 本当に必要なもの以外全て捨てた。
思い出したくない、あんな悲劇を二度と。
宇宙世紀0082 10/9
もうこのときには仕事に行くことが唯一の楽しみだった。
アナハイム·エレクトロニクス【スプーンから宇宙戦艦まで】をキャッチコピーに、
MSの開発や運営も行っている会社だ。
俺はこの会社のMS試験部に所属し、新型のテストを行っていた。
ジオンでそれなりの戦果を得ていたパイロットを終戦後に
一気に就職させたアナハイムエレクトロニクスのMS試験部は
ある種の軍隊の様なものだった。
地球連邦の軍部ですら敵に回さぬよう配慮しているほどだ。
部署という名前の小さなプレハブ小屋でコーヒーを飲んでいると
高いハイヒールをはいた女性がこちらへ歩いてくるのが見えた。
MS試験部の部長だ。
貴婦人と言うのが最も分かりやすい印象だろうか。
その貴婦人が無言で俺に資料と写真を渡してきた。
「これは?」
ツインアイのジムに角が付いている というのが第一印象だった。見たことのないMSだった。
「ガンダムタイプと呼ばれるMSよ。 今日この機体をテストして欲しいの。
あなたにこれを頼むのは ···気が重いけど。やってくれる?」
なぜ気が重いのかよくわからなかったが、とりあえず仕事になるのならと首を縦に振った。
機体はすでにカタパルトにセットされてあった。
肩に型式番号が描いてあるのを見つけた。
「GP-00? 初めて見るな。 ブロッサム?これがガンダム?」
ガンダムと言うものが何なのか分からなかったが、
昔【白い悪魔】という言葉を聞いたことを思い出した。
角のついた、ツインアイのジム。
噂の通りだった。
この機体はそれを更にチューンアップしたモノなのかもしれない。
「とんでもない代物なんじゃないのか?」
コックピットに入り、操作系統がいつもの通りなのを確認し、安心する。
「もう動かせれるのか?」
「えぇ、今回は小惑星群を通り抜けてルナツーまで行って貰うわ。テスト兼輸送ってとこかしら。」
「ルナツー?」
ルナツーとは地球連邦軍が開発していた地球から見て月の正反対にある小惑星、軍事施設である。 しかし、このアナハイムの施設からはなかなかの距離がある。そんな距離を一機のMSで行けるはずがないし、時間も相当かかるだろう。流石に途中に補給艦でも用意しているのだろうが。
「えぇ ルナツーよ。でも安心して。
途中でコロンブス改が補給と数日間の休みをくれるわ。」
コロンブス改といえば戦後に不要になった補給艦をアナハイムが改造し、
実戦でも使用できるようにした改装補給艦と聞いたことがある。
確かに遠い距離だが補給艦がいるなら問題はない。
「カタパルト用意お願いします。」
ゆっくりとハッチが開く。
「小惑星の破壊許可が出たわ。
ぶつかりそうになれば、バルカンでも打っちゃって。」
「わかりました。
ガンダム·ブロッサム!! キサラギ・ガナー 出ます!!」
機体は蒼の焔をあげ飛び立つ。
遠くにあるルナツーへと向けて。
どうも、作者のあるふぁべーたですm(__)m
妹さんどこ行ったんですかね まだ考えて居ないんですよ((
ただ、連邦が怪しいですね。
まだどうなるか分からないこの話を(笑)
最後までお付き合いして頂けたらと思います(^^)
あ、ブロッサムもう出てきません((