オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか? 作:シフシフ
そして、話はあまり進まないんだ。済まない。
はぁ、はぁ、はぁ・・・・・鍛冶って大変ね。うん、もうマジでキツイ。腕あがんねーわ。半霊に戻るか、よっこいしょ。んで、ハルプに戻ると。
うっしゃー!復活!体力全回だぜ。ほんと酷いなこのボデイは。
あ、そうそう、やってた事のまとめね。えっと、あの後俺は、ウォーシャドウのオードに似合う、黒い全身鎧と剣と盾をプレゼントした、もちろんアダマンタイトだ。
そしたらみんなもやって来て作ってくれって言ってくれた。頼られるって素晴らしい!んで、張り切ってたんだ。
リザードマンのリドには、胸当てと額宛て、各種プロテクターに、サーベルとシミターを作った。サーベルは斬れ味よりも、頑丈さを重視した作りにした。でもなかなか切れるぞ。シミターは斬れ味を重視、ある程度は硬い。サーベルで防いでシミターで決める、って感じだ。
ガーゴイルのグロスには張り切って鎧を作ってあげた!ガントレットにプレートメイルと、もうほとんど全身鎧だ。さらに、巨大なハルバードを制作。リーダーっぽい立ち位置にいるし、豪華な装飾も施した。重めに作ってあるから一撃必殺も夢じゃない!更にさらに!尻尾の先端にも斧を取り付けるロマン。
防御力を上昇させて、攻撃力も大幅に上がったはず!
ゴブリンのレットには、アダマンタイトで作ったチェーンメイルと、薄めのハーフプレートメイルを。武器はショートソードに、ナイフだ。それと小盾も。ちなみに、小盾って言ってるけど、ゴブリンだから身長が低いレットが持つと、普通の盾に見える。
アラクネのラーニェも、張り切って作ってしまった。脚1本いっぽんを覆う、アダマンタイトの鎧・・・・・!カッコイイぜ・・・・・!人間部分の胴体はしっかりとプレートメイルで覆い、関節部分は動きやすいように多少の空間を確保しつつ、何とかプロテクターを取り付けた。
蜘蛛の方の身体の、お腹?は巨大な盾で防御。乗りやすいように座席を作ろうとしたら怒られた。
槍は長い奴をいっぽん。短いやつを1本つくってあげた。ついでに剣も。
フォモールのフォーには手こずらされた。身長大きいから、鎧も大きいよ・・・・・。
んで、特質すべき点は、おっきい盾かな?あとメイス。フォー君用のメイスは凄い大きい。だって俺よりでかい。俺1人ではどうにも出来なくて、リドとグロスに手伝ってもらう事になった。
盾もそうだ。疲れた。
他のみんなにも細々とした防具やら武器を作り、後で使い方の基本や、応用を教えるつもりだ。
さて。そんなわけだけど、今はそれどころではない。
「・・・・・これは、凄いな」
黒衣に身を包んだ男が、開口一番そう言った。やばい、緊張するぜ。てかアニメ化されてないからフェルズがどんな骸骨なのかわからないぞ?アインズ様みたいな骸骨なのかな?普通の人骨?
「ジロジロ見られても困る。既に私の事は知っているようだが・・・・・はて、会ったことが?」
『いや、初めましてだな。フェルズ』
「・・・・・自己紹介はまだだと思ったが・・・初めまして、魂魄妖夢。いや、その半身よ。!?」
気が付けば刀を抜いていた。カチカチと震える刀は、フェルズの首近くで止まっていた。身体が痛い、全身に電流でも流されているかのようだ。
『その名デ、呼ブな・・・・・!!』
左手で、右手を押さえ付け、刀を下ろす。頭痛がする、何故だ、なぜ、名前如きで反応する?俺は違うんだ、アイツじゃない。魂魄妖夢では無い。別の人間だ。
──ヒビが伸びる音がする
そう理解したはずだ、なぜ、なぜ嫌悪を抱く?なぜ、裏切り者だと考える?なぜ、奪い返さなくては、と考えている?
違う、そうじゃないだろう・・・・・?!
荒くなった呼吸を押さえ付ける。
「・・・・・わかった、ではなんと呼べばいいかな?」
『ハルプでいい。』
心を落ち着けなくては。俺は深呼吸して、落ち着こうとする。フェルズは落ち着くのを待っててくれるみたいだ。そのことに安堵する。今のでヘタしたら殺しにかかってきてもおかしくなかった。負けるつもりは無いけど。
『落ち着いた、ごめんな?なんか、身体がおかしくてさ』
「・・・・・いや、いいとも。そう言えばコレを。」
そう言ってフェルズが取り出したのは・・・・・袋だ。
『もしかして・・・・・』
「そう、そのもしかしてだ。・・・・・落ち着いたようだな」
手渡して貰おうと思ったけど、いつあの発作が起こるかわからない。なので投げ渡してもらった。
中身は・・・・・種だ。
『おお〜!ありがとうフェルズ!!』
思わず駆け出して手を握る。そして上下にブンブンと振った。今の衝撃のせいなのか、顔を覆っていた布が取れる。
・・・・・あ、危ない。発作起きなくてよかった。
握ったまま固まって、チラッとフェルズの顔をのぞきこむ。と言うか、顔をあげれば覗き込んだことになる。
見えたものは、骸骨の顔。血の気が引くのがわかる。
ま、まるで死神・・・・・!魂の天敵じゃん・・・・・お、お化け・・・・・怖い・・・・・!
『・・・・・ッ!!・・・・・みょぉん・・・・・バタッ』
「ぇ?」
武錬の館に妖夢は駆け込んだ。霊力が切れる前に如何しても伝えなくてはならなかったからだ。
「タケ!命は居ますか!」
「どうしたんだ妖夢、命ならだいぶ前に出掛けたぞ?」
「くっ・・・・・やはりあの場に残ったままですか・・・・・。」
「・・・・・あぁ・・・・・そういう事か」
タケミカヅチは何か思い当たったのだろう。頭を抑えて空を仰ぐ。そして、それを辞めた様に、妖夢の肩を強く掴んだ。
「桜花と千草を呼べ。」
その言葉が意味するところを妖夢は理解していた。少数精鋭。情報の漏洩が無いと確信できる、信頼出来るメンバーでの・・・・・総力戦。
「・・・・・はい。行ってきます」
真剣に頷く妖夢。もう霊力の現象は止まっていた。ハルプが半霊形態となり、霊力の消耗を止めたのだろう。
魔力はまだ、潤沢にある。・・・・・戦闘の続行は出来る。
爆炎が上がった。建物を吹き飛ばし、瓦礫が降り注ぐ。降り注いだ燃える瓦礫は他の建物を破壊し、燃やす。
──妖夢殿だ。
唯の一撃で、この夜の地獄のように変化した歓楽街。
そこを、私は物陰を縫って進んでいた。
「向こうだ!急ぐぞ!」
バタバタと忙しなくアマゾネスや他種族の娼婦達が、私が身を隠した木箱の前を通り抜けていく。私は居なくなった時を見計らい、身を踊らせて駆け抜ける。
しかし、全てが上手くいくわけではなかった。時折、少し遅れてきた者達等に姿を見られる。
「だ!誰」
「───!!」
「ぁぎゃあ!」
そんな時は叫ばれる前に攻撃し、気絶した所を物陰に運び込む。私はそんなことを繰り返してどうにか進んでいた。・・・・・こうして私が無事に動けているのは妖夢殿のお陰なのだと、思い知る。
壁を蹴り、屋根を進む。バレそうになれば、躍り出て斬り倒す。このまま中枢部に侵入し、身を隠して潜伏するつもりだ。そうして春姫殿に接触し、説得した後連れ帰る。
「!!」
屋根を進む私は風切り音を耳に捉えた、咄嗟に飛び跳ね飛んできた矢を弾き落とす。飛んできた方を見れば数人の敵。それぞれが弓を持ち、矢を放ってきた。
「ふっ───!」
全てを弾きながら全力で接近する。敵は腰が引けていた。不利を悟ればすぐ様にげるつもりなのだろう。だがやらせない。私の新しいアビリティ【縮地】は、縮地の完成度を上昇させる物。
これで私も真に迫った・・・・・!
「ほかの奴らに伝えてくる!」
「足止めは任せな!」
「頑張って!」
1人が屋根から飛び降りようとした、その時を狙う・・・・・!
屋根の瓦を粉々に吹き飛ばし、私は縮地を使用する。一瞬にして世界が縮む。距離を0にする程の勢いで、私は逃げようとした相手の前に回り込んだ。
「速いっ・・・・・!」
そして──
「秘剣──燕返し!!」
漸く修得した秘剣を閃かす。1人ではなく3人を一気に狙う。二兎追うものは一兎を得ずと諺にあるが、離れた力量差は諺を踏みにじる。言葉も無く3人が地に伏せた。
少し深く斬りすぎた。
───妖夢殿には及ばない・・・・・!
だが、構わない。死にはしない筈、今は春姫殿が優先だった。
再び飛来してきた矢、今度は遠い。豆のように小さく見える場所からの攻撃だった。いつバレたのかはわからないが、どうやら見つかってしまっているようだ。
「・・・!」
顔に刺さる寸前に、矢を掴む。それだけで矢は止まる。
私は止まらない。相手までの距離は・・・・・200メートルほどか。なら─────8歩で事足りる・・・・・!
「壇ノ浦───」
1歩、一つの家越えて。2歩、広場一つを飛び越える。3歩、炎を突き抜けて。残りで距離を踏み越える。8歩絶刀!
「八艘飛び!!!」
逃げようとした相手を弓ごと斬り裂く。やはり妖夢殿の方が上手くできる。
腕を吹き飛ばされ気絶した相手を尻目に、私は素早く行動を開始する。逃げるように見せかけるのだ。
しばらくして、私は隠れることに成功した。追手はいない。ずっと激しく鼓動していた心臓を宥めて、私は休む事を選択した。
ダンジョン十八階層。階層の殆どが壊れ、吹き抜けとなっているこの場所に、その
フェルズを見てひっくり返ったハルプはそこに運ばれていたのだ。
ハルプを心配した異端児達とフェルズは、ハルプが寝ているベッドを囲んでハルプが目を覚ますのを待っていた。
ハルプが目を開ける。しかし、その視線が最も先に捉えたものは骸骨の顔。フェルズの空洞となった目が、ハルプに暗闇に吸い込まれるような感覚を覚えさせる。ハルプが目を大きく見開いた。
▽死 神 か ら は 逃 げ ら れ な い !
「大丈b」『ふぇあ!?お化け!・・・・・ガクッ』
「えぇ・・・・・」
大丈夫か?そう聞こうとしたフェルズ。その後に顔についての説明や自己紹介をしようとしていたのだが・・・・・ハルプは気絶した。
フェルズは肉のない肩を落とす。先程まで自分の首に刀を押し付けていた人物とは思えなかったからだ。とは言え、思い当たる節もある。ハルプが潜った事のある改装に、スケルトン系は出てこない。出てくるのは40階層以降なのだから。
しかし、それにしたって酷すぎやしないか。それがフェルズの気持ちだった。
確かに怖がれるのは分かっていたのだが、それでもここまでとは予想出来なかった。
本来の
しかし、何の因果か妖夢とほぼ融合を果した彼は、お化けが大の苦手になっていたのだ。1度ゼロに戻され、妖夢と融合する事で自己を形成したハルプからお化け嫌いが無くなる事は、能力を使うまでないだろう。
「起きろ。起きろー。」ペシペシ
『う、ぅ〜ん・・・・・ん?ヒャイ!!?』ガクッ
「・・・・・あと何回やればいい?」
「「「起きるまで」」」
「拷問か?私と彼女に対する拷問か?」
「・・・・・」ヒョイ
「・・・・・被れと?フルフェイスヘルメットを被れと?」
「・・・・・」コク
オードが自分の黒いヘルムをフェルズに渡す。被れ、そうすれば驚かない。そう言っているようだ。
フェルズは暫し躊躇したあと、ウラノスからの「いざこざは起こすな」と言う忠告を思い出す。
そして、嫌々ながらにソレを被った。
ぅ、うぅん・・・・・。怖いのヤダ。目を開けたくない。流石に3回もやれば分かるぞ。目を開ければフェルズがいる・・・・・絶対にそうだ。そして気絶するのは目に見えているんだ。目を開けないという勇気。
「起きろハルプ。フェルズには顔隠してもらったから」
嘘だな。嘘に違いない。骸骨如きに怖がる俺を笑ってるんだ!絶対にそう!そう考えると恥ずかしくなって来るな・・・・・でもどうせ目を開けたら骸骨だぜ?
「ハルプ、目をギュッて瞑ってるネ」
「可愛いな、だが、起きろ」
ラーニェとかが何か言ってます。ですが俺には聞こえないのです。
「・・・・・お!き!ろ!」
『あだだだだだだ!?痛い痛い!』
目がぁー!目がぁー!強引に開かされたぁ!もうお婿に行けないよ・・・・・あ、お婿は無理だったわ・・・・・。
俺の目の前には、鎧姿の皆と、頭に南瓜ヘルムを被ったフェルズ。おお、怖くない。
『おぉ、怖くないぞ・・・・・寧ろ可愛い・・・・・。絶対に取らないでね、いいな?』
「あぁ。」スッ
「やめろフェルズ」
「・・・・・あぁ」
『ねぇ今外そうとしたよね?今外そうとしたよね?!イジメだー!こんなの意地悪だー!』
あまりにも酷い仕打ち。仕返しも辞さない。どんな仕返しをしてやろうか?例えば・・・・・俺も骸骨になるとか!・・・・・効かないよな、うん。
「まぁそんなことはどうでもいい」『良くない』ムスッ
「・・・・・話しを進めよう、良いかな?」『良い』ムスッ
ムスッとします俺。目覚めは最悪でございまする。俺フェルズ嫌いっ、骸骨なんてカルシウムとコラーゲンを失ってスカスカになればいいんだ!
「・・・・・では、この街についてだ。」
『・・・・・なんだよ、文句でもあるのか?』
流石に子供っぽいと思うから、態度は改めよう。で、このリヴィラに付いてときたが・・・・・止めろとか言うのかな?だったら敵対・・・・・かなぁ。それは嫌だけど、異端児の皆の願い事は叶えてあげたい。その土台でも下地でもいいから作ってあげたいんだ。力になりたいんだ。
「文句では無いが・・・・・目的を聞きたい」
『地上進出。人間との関係の改善。市民権の獲得。進出した後の差別意識の改善。・・・・・これは、この街は地上進出までの架け橋だ、ここで冒険者達と関係を持って少しずつ意識を改善してもらうんだ。』
難しいことは分かっている。でも、そうしたい。障害は多いし大きい。溝も深い、距離だって離れてる。でも、やれるだけやってやる。
「・・・・・そうか、
『だったらなんだよ。可笑しいって言うのか』
「いや・・・・・違うとも。だが、一つだけ言わせてくれ」
『・・・・・?』
「ありがとう。心の底から感謝する。」
『!!』
顔が火照るのを感じる。口元がにやつくのが抑えられない。俺ってこんな奴だったか?能力のせいなのか?わからないけど、わかることがある。・・・・・褒められた。それが嬉しい。
『そ、そそそそんな事言ったって何も出ないからっ!!ぜ、全部本当はお、俺の為にやってる事だし?変な勘違いされると困るんだよ!このバカ!骸骨!』
俺は何を言っているんだ(困惑)
言ったし、勘違い起きるような事何も言ってないし。なんたよ、誰得だよ俺のツンデレとか。いや、エセツンデレやん?ツンもないしデレもないやん?しかも気にしてそうなこと言っちゃったし・・・・・。
「そうか・・・・・ならば喰らえ!秘技ヘルメット外し!」
『みょぉぉン!?!?』ガクッ
「・・・・・少しは慣れてくれないと私が心にダメージを負うな・・・・・」
怖い・・・・・チーン。
『あ、案内するから・・・・・着いてきてね』
フェルズは目の前を歩く赤い目の少女、ハルプに付いて行く。左右に視線を振りながら、時折ハルプに目を向けると面白いように肩を跳ねさせ震え出す。
(・・・・・・・・・・・・・・・覚悟はしていたが・・・・・覚悟はしていたんだが・・・・・)
ここまで露骨に怖がられると悲しくもなる。覚悟が即効で揺いだ。
『あ、あんまりコッチ見ないでくれよ・・・・・その・・・・・いや何でもない。』
のくせ強がっているから見ていられない。フェルズは頭が痛くなる思いだった。フェルズがハルプに連れられ進んでいると、噴水広場予定地に着いた。
「ここは?」
『ここは噴水広場予定地だ。噴水あったら街っぽいだろ?』
フェルズが尋ねると嬉しそうに答えてくれるのだが、顔を見ると怖がられる。子供とはやはり難しい、とフェルズが内心で嘆いていると、リド達がやってくる。やはり武装は変わっており、その強さはレベル4よりも遥かに勝るだろう。
「リド、それにラーニェ。聞きたかったんだがその鎧は?」
「あぁこれか?ハルっちに作ってもらったんだぜ」
「私もだ、これで更に戦えるだろう。・・・・・この後はハルプが鍛錬を教えてくれる手筈だったのだがな」
む、それは済まなかった。とフェルズが謝ればラーニェ達は分かっていたように頷きそれを許した。
「・・・・・ぶっ!はは、ハルっち、まだフェルズが怖いのかよ?」
『ここここ怖くないわボケ!気絶して無いだろ!』
「フェルズ、行け!」
『や、止めるんだ。いいか、それはいけない。フェルズ、賢明なお前なら分かるはずだよせやめろ絶対だぞ』
「私は愚者なのでね、決して賢明などではないのだよ。という訳で・・・・・秘奥義!ただのフード外し!」
『ギャー!』
「・・・・・ふっ(ココロが・・・・・)」
「「「なか良いなコイツら・・・・・」」」
『オレ、フェルズ、ダイキライ。』
ガクガク震えて、グロスの石の翼の後ろに隠れるのはハルプだ。グロスはなんて言うか・・・・・そう、父性が刺激されていた。
『グロス、助けて。』
うるうるした目でグロスを見上げるハルプ。だが、グロスにも『顔』という物がある。ようするに他人から見た印象の様なもの。
それが理性となり、ハルプを意識の外側に置こうと尽力するのだ。
『おじいちゃん・・・・・!お願いっ!』
「・・・・・!フェルズ、貴様ハ罪ヲ犯シタ・・・・・!」
が、直ぐにんなもんは壊れた。おじいちゃん。いい響きだった。リーダーとして支持を仰がれることは良くある。しかし、「おじいちゃん」だ。そんなことは言われたことがなかった。
なにせ「おじいちゃん」だ。一瞬にして可愛い孫が出来たグロスがデレデレになるのも時間の問題と思われる。
「いや、可笑しいだろう!?」
翼を大きく広げ、背にハルプを乗せたグロスは飛んだ。追いかける標的はホネホネ野郎である。
ホネホネ野郎ことフェルズは自らに襲い来る理不尽から全力で逃げる。
人は神や怪物を「理不尽」と呼ぶが、フェルズはこうも思った。
子供のお強請りも「理不尽」なんじゃないかな、と。
『いいぞー!行けー!食らえー!弾幕アタック!』
「何なんだその技!?私の発明と同じ事を素でやってるのか!?」
「捕ラエロ!」
「ま、まて!待つんだお前達!私が何をしたというんだ・・・・・!」
「ハルっちの服を脱がせた。」
「それか・・・・・!だが初めに言っておくぞ!私にアレは無い!よって邪な感情なんて欠片も・・・・・!」
「知ラン!」
「知らん!じゃないが!?」
フェルズはハルプのヒビが気になり、気絶している間にどの程度ヒビが拡がっているのかを確認しようと服を脱がせた。が、服を脱がせている途中でハルプが目覚め、困惑していたハルプと暫し固まったまま見つめ合い・・・・・そこにグロス達がやって来て・・・・・という感じだ。
決して、フェルズにいやらしい考えがあった訳では無い。むしろ欲しかったが、最早性欲なんて無いのだ。アレも無いし。声が低く無ければ、ローブの関係上男なのか女なのかも分からない。
そして1分もしない内に非殺傷弾幕で転ばされた跡、異端児からの軽めの総攻撃を受け、フェルズは倒れた。
「お、可笑しいだろう・・・・・可笑しいだろう・・・・・?」
私が何をしたというんだ。そんな言葉を飲み込んでフェルズは立ち上がる。
視線の先にはフェルズで遊ぶのに飽きたのか、
『ほらっ、よっ!』
「グルァ!」
超硬金属製の剣による振り下ろしと、これまた超硬金属製のサーベルの振り上げがぶつかり合う。大量の火花と共に、力で劣っているハルプが上空に打ち上げられる。
「くらえっ!───カァ!」
リザードマンのリドの放つ火炎放射。ヘルハウンドの火炎ブレスと比べれば、火力と範囲で勝り、射程で劣る炎の息吹。ハルプの視界を易々と炎が埋め尽くし、空中にいるハルプが逃れる術は少ない。
そんな攻撃にハルプとった行動は一つ。避ける必要など欠けらも無い、跳ね返せばいい。
『反射下界斬!!』
「ぬぅおっ!?マジかよ!」
振るった剣に従うように、霊力で作られた反射盤が形成させる。それはリドの火炎放射を容易に反射した。リドは驚きながらも飛び退いて躱しきる。
リドは飛び退いた勢いを、膝を曲げ体を前に傾ける事で打ち消しそのまま弧を描く様にハルプに向かって走り出す。
「ウゥラァッ!」
身体能力でハルプを超えるリドが、ハルプが地面に着地するほんの少し前にシミターを横に振り抜いた。
手加減無しの本気の一撃。当たればハルプの耐久力では間違いなく一撃だろう。
『いいねぇ、でも・・・・・』
「!?」
ハルプは風を唸らせ迫る一撃に剣を叩きつけると、体を捻って回転させシミターの一撃を乗り越える。着地しリドの懐に潜り込んだハルプが加速する。
『技が足りないな』
リドは咄嗟に反撃しようと振り上げた腕を降ろした。・・・・・首元に剣を突きつけられた、リドの負けだ。
「こりゃ・・・・・参ったなぁ・・・・・」
『へへん、こう見えてなかなか出来るぜ?』
終始、ハルプが圧倒した。
今までハルプの実力を見た事が無かった異端児達は、その強さに思わず唸る。
『よぉし、来い、お前ら。強くしてやるぜぃ?』
鍛錬が始まった。
ハルプほのぼの。
命暴走。
妖夢達その対策へ。
そんな回。今まで活躍の場が無かった命さん、でも割りと強いのです。
【リメイク版の提案】
ところで話は変わりますが、読んでくれるか不安ではありますがリメイク版でも作ろうかと思うのです。迷走がヤバイのです。今までまともな修正を行わなかったツケが回ってきたようですね。
リメイク版では【極東編】を増やして、オラリオ偏は確りと整理し、順番の入れ替えをしてわかりやすくしたい。あとほのぼのとギャグを増やしたいなぁと思います。
オリキャラの方々は使うかも知れない・・・・・位のイメージですね。
こちらのバージョンを投げ出す形になるかどうかは未定です。続き気になる!という人がいるなら・・・・・と言うくらい。
リメイクに関する事で何かあったら活動報告とか個人メッセージを下さい。