オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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お待たせしましたー!リアルが忙し過ぎて時間ないですね執筆の・・・・・。

前回のラストの妖夢視点とその後を収録。
さて、現れるのは・・・・・?


49話「血祭りです」

原作通りのタイミングで始まったショー。俺達はそれの邪魔はさせないと言わんばかりの冒険者達を目の前にしていた。

 

「き・・・・・き・・・・・」

 

カチャカチャと鎧の音がアリッサから鳴り続けている。どうやら小刻みに震えているらしい。はて、何かあったのかな?対人戦が苦手とか?・・・・・いや流石にないか。

 

「貴様らぁぁぁあ!!言葉で理解できない獣がぁぁあ!止めろと言われてなぜ止められんのだ!良いだろう!もう二度と悪さを出来んように潰す!」

 

ふぁ!?めっちゃキレてる!?「覚悟しておけアホどもぉおおおおおお!」うお!?1人で突撃していきやがった!!

 

「やべえぞ!アリッサの姉御がキレてる!」

「射て!撃ちまくれ!」

「大盾構えて突っ込んでくる重戦士に弓なんか効くかよ!?」

「魔法使えよ魔法!」

「ダアアクパワアア!」

「「ぐはぁぁ!?」」

 

・・・・・もうアイツだけでいいんじゃないかな。

 

「俺達も続くぞ!アリッサを孤立させるなよ!!」

「「「「応っ」」」」「えっあっはい!」

 

皆やる気満々だ。俺もやる気は有るけど戦いを長引かせる必要があるから手を抜かなくては・・・・・。普段の俺なら殺すは気が引けるなーとか思いながら殺しに行くんだろうけど今回も不殺主人公を貫くのです。

 

「おーい、待ってくれ!俺も行く!いや行かせてくれ!」

 

ん?後ろから声が・・・・・と振り向いてみれば何やらタケミカヅチ様が刀を持ち出して嬉しそーにこちらに走ってくるではないか。もうおしっこちびりそうです。嘘だけど。

 

「タケ、自重してくださいよ?」

「んん?わかってるさ。・・・・・で、これは何の祭りだ?」

 

と、俺に聞いてくるタケ。

んん?あれ、タケは何が起こってるか知らないのか?・・・・・あー、何かそういえばオッタルと話しをして来る的なこと言ってたような・・・・・。まぁ祭りとして例えるなら血祭りです。

 

「祭りですか?・・・・・えぇ血祭りですね」

「そうかそうか、血祭りか!・・・・・ん?」

 

タケの顔に冷や汗が浮かぶ。

 

「はい」

「・・・・・ん?」

 

タケ?目を擦ってもほっぺを引っ張っても耳をほじっても事実は変わらん。

 

「血祭りです」

 

血祭り、それは血が出る祭りである。まぁ殺し合いとか、一方的な虐殺の時に使うよね。

 

「えぇ・・・・・。あー、これは俺が叱った方がいいか・・・・・何かこう【リヴィラの街頂上決戦!最強の漢は誰だ!】ー、的な催しだと思ったんだがなぁ・・・残念だ」

「やめてください。例えあったとしてもタケが参加したら人が勝てるわけないじゃないですか。だいたい九頭龍閃放ってもガードしてくる癖に・・・・・」

 

ずるいぜ。何なんだよ。「武神だから《武》に絶対的な適性を持っているからなっ(ドヤァ」じゃねぇんだよぉ。しかも「しかも剣神弓神でもある以上更に飛躍的に上昇するからな」とか言ってくるし。九頭龍閃とか射殺す百頭とかを普通に防ぎ切るからなタケは。「九本同時に斬撃が来るなら九本の刀を持ち出して防げばいい。殆ど同時に放たれる九つの斬撃ならば全てに対応しきればいい」とかとんでも理論を平然と言い切るし。平行世界から自分を連れてきてガードしてくるとかやめてください。・・・・・俺も出来ない事は無いんだけどね、分身ガード。

 

「こらー、やめなさーい」

 

タケが本気で思ってるのかわからないような声で叱る。何と凄いことに命すらタケの話を聞いてない。

 

「やめないとおこっちゃうぞー。タケさんはこわいんだぞー。」

 

棒読みすぎる5点(百点満点中)

 

「タケさんは温厚で優しいが怒るとやばいんだぞー、ホントだぞー」

 

スッ。とタケが動いて相手方の冒険者の鳩尾に攻撃した。音もなく冒険者が倒れる。

 

「ほらー、やめなさーい。悪い子にはお仕置きだぞー。」

 

再びタケが動く。だと言うのに誰もタケの方を向かないのはタケが歩術で人の意識の外側を行っているからだろう。ほら、まばたきの瞬間に動いたりするやつ。

 

冒険者がまた1人倒れた。そして、2人もやられれば流石に気がつく。

 

「うぉ!?なんだこの神!?どけ!邪魔だ!雑魚は引っ込んでろ「あ"?」ひいぃ!?」

 

するとタケは雑魚、という言葉に反応したのか低い声を出し、変なポーズをとる。はっ!あれはタケと昔遊んでたJOJOごっこ!?やめるんだタケ!

 

「てめぇは俺を怒らせた―――オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ――おらァ!!」

 

身体能力を人間並みにまで落とした武神による力任せの攻撃(・・・・・・)。結果は言うまでもなく・・・・・

 

「いて!いててて!痛てぇいてぇやめ、やめろって悪かった俺が悪かった謝るから神様さんよ、やめろやめろ、俺らはあんたを殴ったら重罪なんだよやめろよ殴るぞ」

 

もちろん効かなーい。まっ、相手の攻撃をそのまま受け流したりする技術は残ったままだからね。だから力は無くても普通に勝てる、筈だ。

 

ん、だが待てよ?このままだと普通に殲滅されて終わりなのでは?・・・・・・・・・・・・・・・た、タケに神威を少し出してもらう他ないか、一応ヘスティアはリリが連れてきてくれるだろうけど。

 

まぁタケに神威を出させるのは簡単な筈だ・・・・・あそこに居る冒険者達の内数人殺せば神威を出してくれるはず。いや、殺そうとして、タケに止められて、それでもなお殺そうとした場合は神威を使ってくれるかもしれない。反抗期なのか!?とか言って落ち込みそうではあるけど。

 

「【幽姫より賜りし、汝は妖刀、我は担い手。霊魂届く汝は長く、並の人間担うに能わず。――この楼観剣に斬れ無いものなど、あんまりない!】

 

皆さん――下がってください。魂魄妖夢推参・・・・・推して参る。」

 

俺の詠唱を聞いて桜花達が「えっ」と困惑の声を上げた。まあそりゃそうだ、楼観剣を抜くなんて余程本気の場合だけだったし。あとは刀が無い時。

 

「はあぁ!!」

「ぐうぉおぁ!」

 

ただの上段からの振り下ろし。盾を構えた冒険者Aだが、楼観剣に斬れないものはあんまり無いため盾ごと切り裂く。右の肩から左の太腿まで思いっきり斬られた冒険者は血の海に沈む。

 

「なっ・・・・・!」

 

アリッサが硬直している。それに気が付いたが無視して次の冒険者Bへ。悲鳴を上げて斬りかかってきたが、適当に振りすぎだ。横を駆け抜け楼観剣を腰に呼び出した鞘に納める、すると冒険者Bは腹から血を吹き出して倒れる。俺は鞘に納めた楼観剣を鞘の中で霊力を放出し、鞘を後ろに飛ばす事で加速しつつ強引に抜刀術を繰り出し冒険者Cの首を―――はねそうになったので少しだけしたにずらして鎖骨のやや下辺りを横一文字に斬る。

 

左横から襲いかかってきた冒険者Dの攻撃を避け、そのまま跳躍、回転しながらその頭上を飛び越え着地と同時に納刀。冒険者Dの右腕が骨まで断ち切られる。悲鳴を上げてのたうち回ろうとする冒険者Dの後頭部を蹴り飛ばし気絶させた後魔法を詠唱しようとした詠唱者Aに高速半霊パンチを8発かまして気絶させ、それと同時に突っ込む。盾役が数人前に出て大盾を構えるものの、残念なことに楼観剣に斬れないものはあんまり無いため、数人全員が盾ごと横一文字に腹を裂かれ倒れる。

 

「やめろ、やめてくれ妖夢・・・・・!その者達は・・・・・!」

「知りません。」

 

腕を半ばまで断つ。足を半ば断つ。鎧も盾も関係なく斬り捨てる。束になろうと関係ない、全員まとめて切り裂くだけだ。1人、また1人。時には数人同時に斬られて倒れる。

 

「やめろっ!!いい加減に・・・・・!」

 

アリッサが俺を押さえ込もうとして飛び交ってくるが縮地を使って一瞬で懐に潜り込み蹴り飛ばす。

少し心が痛むがこちらにも理由はある。

 

「がハッ」

 

壁に叩きつけられたアリッサだが気絶していないようだ。さすがの耐久力だな、今それを発揮しなくてもいいんだけど。

 

「な、何故・・・・・」

 

ふむ、何故、か。まぁ理由はあるがそれは言えない。ならばほかのわかりやすい理由が必要だろう。そしてそれはもう考えてある。

 

「何故?・・・・・簡単な話ですよアリッサ。目の前で知り合いが見知らぬ輩に襲われていたら助けるでしょう?」

「だ、だが彼らは私にとって・・・・・!」

「知りません。少なくとも私は彼らを知らない。ベル・クラネルさんを開放する気が向こうに無い以上殺してでも助けます。」

 

知り合い>他人。これはほぼ全ての人間に当てはまる優先度だと思う。だから理由になってくれるはずだ。

 

「お、お前達やめるんだ!命が惜しければやめてくれ!」

 

アリッサが冒険者達に悲痛な叫びで訴える。どうやら彼らとは知り合いらしい。真面目で優しいアリッサの事だ、彼らを守ってそこから仲良くなって何度かダンジョンを探検でもしたのだろう。うん、でもまぁ仕方ないね。桜花達が死ぬよりは全然ましだ。

 

「止められるかよ!!今モルドは戦ってんだよ!」

「そうだ!俺達にだって冒険者だっていう自覚も誇りもあるんだ!」

「漢の邪魔はさせねぇぞ!」

「「「うおおおおおぉおおおおぉぉおお!」」」

 

冒険者達は全員武器を高く掲げる。―――阿呆め。

 

「天童式抜刀術零の型一番―――――――――――螺旋卍斬花(らせんまんざんか)ッ!!」

 

縮地を用いて一瞬にして加速し、並み居る冒険者達の間を斬撃を行いながら駆け抜ける。

 

「タケミカヅチの子を前に隙を堂々と晒すとは・・・・・貴方方は弱い(・・)ですね。彼我の力量差もわかりませんか?それともわかった上でのあの行動でしょうか?」

「てめぇ!いつの間に後ろに?!」「なんだとぉ?へ!ガキが、てめぇは帰ってお母さんにミルクでも飲ませてもらいな」

 

“お母さん”の部分で頬が引きつったのがわかる。気にしてはいけない。そう言い聞かせて落ち着かせる。

 

「ま、待ってくれないか妖夢。彼らは決して悪い奴らではない、今回は悪戯が過ぎたが見逃してやって欲しい」

 

アリッサが必死になって俺を止めようと俺の肩を掴んで俺の前に出てくる。が、俺はアリッサを横に押しのけた。

 

鳴り響く金属音。それはコケたアリッサからなった物ではなく、アリッサごと俺を倒そうとした冒険者・・・えと、何人目だ?まぁ冒険者Eが振るった剣を防いだのだ。

―――もういいか。俺は螺旋卍斬花を発動させる。

 

「螺旋卍斬花・開花」

 

この技は好きなタイミングで相手をバラバラに出来る・・・・・というわざだ。さっき切り裂いておいたので全員バラバラになる・・・・・のは自重した筈なので死者は出ないはずだ。

 

数十人の冒険者達が一斉に全身から血を吹き出して一声も発すること無く倒れた。

 

うむ・・・・・上出来かな?

 

「お・・・・・お前は・・・・・貴女という人は!!」

 

お?・・・・・ふーむ、そうだな。アリッサも利用していこう。まずは考え方の違いから説明してやればおそらくは・・・・・

 

「アリッサ、貴女と私では考え方が違う。貴女は騎士なのでしょう?」

 

騎士になりたい、とか言われた事はない気がするが、在り方からして騎士っぽいし、まぁ概ね間違ってはいない筈。

 

「・・・・・ああ」

「なら、私は人斬りです」

「!!」

 

合ってたぜドヤァ。まぁ私にかかれば余裕のよっちゃんですからふはは。さてと、騎士と人斬りの違いを教えてやるとしよう。

 

「貴女は騎士だ、眼下に震える無辜の民達が居るのならば、守る為にその身を晒すのでしょう。・・・・・しかし、私は人斬りです。他者を斬り殺してでも自分の目的の為に突き進む・・・・・。」

 

家族を守る。それが目的だ。その為に人を殺してでも神に神威を放出してもらう必要がある。・・・・・アリッサとは相容れない考えだろう。きっと彼女ならばすべてを救える算段を立てる為に努力するはずだ。

 

「貴女のそれは傲慢です、アリッサ。私のそれは強欲でしょう。アリッサの考えは間違っていません、そして私は私の考えも間違って等いないと考えています。」

 

アリッサが助けようとしているのは殆ど全部。俺が助けようとしているのは家族だけ。家族以外なら死んでも構わない・・・・・あー、どうだろうか、友達のべートとかは悲しむかもな。でも、それだけだろう。

 

俯いて震えているアリッサ。しかし、顔を上げてコチラを睨む。いや、ヘルムのスリットからコチラを射抜く視線に確かに睨まれたと感じた。

 

「私は・・・・・傲慢でも構わん。だが、それと同時に強欲なのだろうな。・・・・・これ以上彼らを傷付けるのならば、私は妖夢、貴女と戦わなくてならない!」

 

盾を構え、斧を握りしめ、そう言い切ったアリッサ。

よし、これでいい。身体が冷めるのを感じる、これからしようとする事に対して体が準備を整えた。

流石にタケもアリッサが生命の危機に陥れば開放するだろう。いや、する。そう確信した。

 

楼観剣が水晶の光を受け輝く。

 

圧倒的にこちらが有利だ。負ける理由がそもそも存在しない。楼観剣ならばステイタスによる不利など覆せる。レベル差と言う隔絶した「差」をも斬り捨てる。鎧も耐久も武器も身体もその霊魂すらもただ一刀で斬り捨てるのがこの武器だ。そういったものを持っていないアリッサに負ける可能性など無いに等しい。

 

「残念です。貴女の在り方は気に入っていたのですが。さようならアリッサ・ハレヘヴァング。」

 

鮭飛びと呼ばれる縮地の上位互換を使用して一瞬にしてアリッサの裏に回る。アリッサはコチラを見失っているようでまともに動けていない。いや、【集中】の倍化が発動しているのだろう。ゆっくりの世界の中、俺は全力でアリッサの首にその刃を振るった。

 

「そこまでだ妖夢」

 

余りに鋭利な殺意、いや、神威が一帯を蹂躙する。それによってもたらされる恐怖や混乱などを意識的に斬り捨て、刀を止める。・・・・・・・・・・ふぃー、危なかった、あと1センチも無いぜ首まで。それにタケの神威怖すぎか?おしっこちびりそうだったぞ・・・・・。

それに、どうやらヘスティアも神威を開放したようだ・・・・・ん?つかヘスティアいつの間にいたの?

 

「刀をしまえ、妖夢」

 

命令口調でタケが俺に威厳のある声と共に近付いてくる。もちろん俺としては武器をしまう事は魔力の無駄であるため賛成なのですぐ様しまう。

 

計画通りだ・・・・・と悪い顔をしようかと思ったが余りにもそんな空気ではないため自重する。今思うと辺りは血の海でそこに数十人の冒険者が倒れている、ワァオ、何たるネギトロめいた現場か、これを起こしたニンジャのカラテは実際凄い。

 

タケに顔を叩かれた。タケに殴られるのは好きじゃない。でも俺がやった事はそれをされて当然なのだろう。理解できるが納得したくない・・・・・なんて、わがままだよな。

 

「いいか、妖夢。アリッサも家族なんだ、俺の。」

 

タケは俺の肩をつかんで腰を屈め、俺と目を合わせながらそう言った。否定しようと口から飛び出そうになる言葉を理性で押さえ込む。

 

「俺の家族であるお前ならわかってくれるだろう?」

 

あぁ、わかるよタケ。家族の家族は家族ってことだろう?・・・は、ややこしい。俺の家族はタケミカヅチ・ファミリアの初期メンバーだけなのだ。そう簡単に、それも、同じファミリアに入ったのだから家族だ、なんて軽い。軽すぎる。

 

「えぇ、わかりますタケ。何を言いたいのか、私がどうすれば良いのかも。その上で、それを理解した上での行動でした。」

「妖夢・・・・・・・・・・」

 

悲しそうに顔をするタケ。やめてくれ、そんな顔しないでくれ。タケ達の為にやってる事なんだ、そんな顔をされたら何かを間違えてしまうかもしれないだろ。さて、ネタバラシだ、まぁ俺も何が起きるのかわからんのだけども。

 

「ですが。これでいいのです。」

 

大地が揺れる。

 

「なっ!そこまでの刺激は・・・・・!」

「これは!!」

「嘘だろ!?何やってるんだウラノスは!」

 

天井が、壁が・・・・・・・・・・・・・・・ダンジョンが揺れていた。絶叫していた、歓喜に打ち震えていた、復讐に待ち焦がれていた。

 

「これが・・・・・・・・・・1番家族を守れる可能性が高い。」

 

ひび割れる天井、落ちてくる水晶。出来る事はやった。ゴライアスに襲われて死ぬ可能性が高い冒険者達は斬り、怪我をさせることで後ろに下げるたし、重要な戦力は確保した。俺自身のコンディションも良い。

 

不備は無いはずだ。あとは・・・・・何が落ちてくるか、だな。

 

「先に謝罪を。アリッサ、先程はすみませんでした。必要な事であったとはいえ貴女の矜持を踏みにじった・・・・・ごめんなさい」

 

返事を待たず少し前に進む。ここは原作通り高い丘になっている。

 

 

―――――――落ちてきたのは――――――

 

黒いゴライアスだった。

 

 

 

よっし!思わず内心でガッツポーズを取る。これでタケ達の生存率は上がった。それも大幅に。あのゴライアスのステイタスが原作より強かったとしても関係ない。魔石の位置は知っているし、戦い方もわかる。俺1人でも倒せる程度だ。いや、関係あるか。強すぎて俺じゃ歯が立たない可能性がある。

 

「よお、やっとじゃねぇか。ったく待たせやがって・・・・・・・・・・おい、そこのうさぎ野郎!」

「ひゃい!?」

「何なよなよしてやがんだよだっせぇな。おら、行くぞ」「はい!?」

 

べートを先頭にアイズやティオナ達がやってくる。そしてべートはヘスティアと感動の再会っぽい感じで抱き合ってたベルの襟首を持ち戦場に飛び出そうとする。

おい待てやめろ。ベルくん死んだらとんでもない事になりそうだ。

 

「べ、べート。少し待ってください!作戦を立てるべきで」

「■■■■■■■■■■■■■■――――!!!」

「っ!!反射下界斬!!」

 

黒いゴライアスが咆吼を放つ。ハウル、と呼ばれるそれは最早通常の物ではなく余りに濃縮された魔力により物理的な破壊力を持つ音の塊。

それを反射するべく反射下界斬を放ったが・・・・・容易く破壊される。

 

「―――ったく初っ端から俺の出番か?にしてもスゲェ咆吼だな」

 

多少威力の落ちたハウルにべートが蹴りを合わせ、べートの特殊なミスリル製ブーツ、フロスヴィルトがその特性である魔力吸収を遺憾無く発揮しハウルを無効化した。

 

「・・・・・ありがとうございます。やっぱりべートを連れてきて正解でしたね。」

「なっ」「うそっ」「おー」

 

誰もがべート達の登場に目を向き、声を上げる中、黒いゴライアスがこちらにその巨軀で森を薙ぎ払いながら突進してくる。しかし、こちらとて何も考えていない訳では無い。剣技で戦うことも考えているが、まずは長距離からの攻撃で仕留められないかを確かめるべきだ、仕留められたならそれに越した事は無いのだから。

 

「皆さん、離れていてください。本気を出します・・・・・別に、私が倒してしまっても構わないのでしょう?」

「うそ今のは本気じゃなかったの?」

 

恐らくさっきの戦いを見ていたのだろう、ティオナが驚く。鮭飛びは結構本気でした。本気でやらなきゃタケが反応してくれなさそうだったし。そしてセリフは言いたかっただけだ。

 

「【覚悟せよ(英雄は集う)】」

 

魔法の起動文を詠唱する。英雄の技を魔法として扱うための魔法。それがこの魔法なのだろう。背中が加熱されステイタスが光を放つ。今から行うのは・・・・・最高にカッコよくて尚且つ強いやつだ。

 

「【体は剣で出来ている(I am the bone of my sword. )】」

 

きっと元の世界の人なら大体がしっているだろう某弓兵の大魔術。

 

「【血潮は鉄で、心は硝子(Steel is my body, and fire is my blood.)】」

 

発音に気をつけて一言一言を紡ぐ。背中に刻まれた恩恵が魔力回路の代わりにでもなるのだろうか、なんて考えているがそういうわけでもなさそうだ。

 

「妖夢・・・?その技はなんだ?俺は聴いたことないぞ?」

とタケがこちらにも質問してくる。ふふふ、ならば答えてやろう、詠唱が終わったらね。ん?だが待てよ・・・・・?

 

「【 幾度の戦場を超えて不敗 (I have created over a thousand blades. )】」

 

確か無限の剣製って心に心象風景が必要で・・・・・え、えと、まてよ?もしかしてこれって魔法で【完全再現】した場合・・・・・・・・・・

 

「【 ただの一度も敗走はなく(Unknown to Death. )】」

 

心の中に全く思ってもいない心象風景を刻まれた挙句使い勝手もわかっていないのに最盛期の無限の剣製が俺の中に生成されて

 

「【 ただの一度も理解されない(Nor known to Life. )】」

 

全身から刀剣の類を噴出させながら死んでしまうのでは?

 

「妖夢殿?平気なのですか!?顔が青ざめていますが!?」「妖夢ちゃん!?ががが、頑張って!」

 

・・・・・いやいや、そげな馬鹿な。デメリットがほぼ倍になるんだから剣の数が増えてぐちゃぐちゃになるんだよ。・・・・・じゃねぇだろぉおおおお!現実逃避してる場合じゃねーんだよ!!どうすんだよ?!。

 

「【彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う( Have withstood pain to create many weapons.)】」

 

はっ!・・・・・詰んでる・・・・・。魔法を中断すれば俺は練り込まれた魔力と霊力の爆発により死亡!魔法を発動させれば剣でグサグサになって死亡!

 

「【故に、その生涯に意味はなく (Yet, those hands will never hold anything. )】」

 

ああ!終わった!すっげぇダサいところで終わってしまうぅ!ヤバイどうしよう!?少しでも確率のある方にするしかねぇってやばいよもう詠唱が

 

「【その体は、きっと剣で出来ていた (So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS. )】!!」

 

はい終わったーーーーー!俺の人生終了ぉおおおお!我が生涯に一片どころかめっちゃたくさん悔いありぃいいい!

 

心の中に作られた心象風景はその身体との拒絶反応を引き起こし・・・・・剣を術者の内側から解き放った。

 

きゃぁぁあ!やめてくれ!殺さないでぇえええ!

 

剣は――――――――飛び出てこない。

 

あり?おかしい・・・・・失敗はしてないはずなのに・・・・・

 

チラッと半霊を見てみた。本当になんとなく、見てみたんだ。すると―――――――そこには――――――

 

剣を全身から飛び出させた半霊が浮いていた。

 

いやそっちかよぉおおおおおおおおおおお!!?!?なんでだっ!なんでそっちなんだ!普通はコッチの体から飛び出るよね!?背中からこうババっと飛び出てくるよね!?どうしてだよ、どうして全体から飛び出してきてんだよシュールだよ半霊危機一髪だよ黒髭が裸足で逃げ出すよ!フレイルもしくはモヤッ〇ボールだよ!!

 

・・・・・はぁ、いや、良い。これでいいけど・・・・・戦力も減らなかったし・・・・・

 

って!そういえばゴライアス来てたやん!そして固有結界は発動してないし!?

 

――I am the bone of my sword.(――我が骨子はねじれ狂う)――」

 

急いで弓と偽・螺旋剣Ⅱを作り出す。どうやら固有結界を展開する事は出来ないっぽいが武器を作る事は可能らしい。

そして弓に矢ではなく剣を番えると宝具はその姿を変え、矢のような形となって発射を待った。

 

偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)!!!」

 

放たれる宝具。真名を開放した事により周囲の空間をもネジ切りながら突き進む。その速度はマッハを軽く超えた。放った衝撃で俺の目の前と後ろの地面が少し吹き飛ぶ。

 

カラドボルグは恐ろしく正確に、原作通りの魔石の位置を射抜いた。まだだ。

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!!」

 

途轍もない爆発が十八階層で発生した。







さぁ、絶望的な状況へようこそ。



と言うことで始まるのか!?誤字脱字、コメント待ってます!


【オッタル】

( ¯•ω•¯ )「魂魄妖夢と十八階層を探索した後、こうして森の奥の巨大樹の上から魂魄妖夢を観察していたのだが・・・・・」

(`•ω•´)「どうやら神ヘルメスがベルクラネルに悪戯をするらしい。彼もまた見初められし男の子(おのこ)、フレイヤ様にあだなした神ヘルメスにはキツイ仕置が必要なようだ。もちろん、経験としては良いものだろうから止めはしないがな」

(╬ ´ ▽ ` )「さて、言い残す事は無いですかな神ヘルメス」

ヘルメス「まじすまそ」

(´・ω・`)「(コイツ全く反省してないな。)」

ヘルメス「ははは、そんな顔しないでくれよ。・・・・・彼には人の悪意を知ってもらう必要があるのさ」

( ・´ー・`)「それは分かっている。そういう物も俺が用意する手筈だったのだが・・・・・まぁ仕方ない」

しばし見学

(´ω`)「なかなか成長しているじゃないか。うむうむ」

( ゚д゚)「むむ!?魂魄妖夢が戦闘を開s終わったぞ・・・・・速いな・・・・・」

タケ神威開放

( ・ ω ・ს )「こ、これが武神の神威・・・・・俺が、無意識に一歩下がった・・・・・だと?他の者達に関しては最早動く事すら出来ずに居るじゃないか・・・・・」

地震発生

(´°Д°`)「(お?おお?揺れているだと?)」

黒いゴライアス登場

(´・ω・`)「なんだ、ただのモンスターか」

偽・螺旋剣Ⅱ

(°_°)「・・・・・・・・・・?何が起きたんだ今のは・・・・・いや、剣が矢のように変化したと思えば空間をねじ切りながら進み・・・・・何故か爆発した・・・・・ふむ、興味深い。」

ヘルメス「え、そこ!?俺にいたっては矢を放ったところ見えなくて爆発した事しかわからなかったぞ!?」

(´・_・`)「む?」



∑(*´°ω°`*)「なん・・・・・・・・・・だと・・・・・・・・・・?」



※顔文字は過剰表現であり、実際のオッタルは顔色を一切変えておりません。

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