オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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テストも終わって自由の身になりやした・・・・・という訳で投稿です。息抜き回ですよー。

え、水浴びの挿絵?そんなものは無い(T∩︎T)

誤字脱字報告お願いします!


44話『「そぉおおおい!!!」』

涙をぬぐい、桜花の後に続く。後ろからタケ達が追い付いたのがわかる。

 

すると前方からも誰かが来る。足音は結構重い・・・・・・命達じゃないな。なんて思っていると現れたのはロキ・ファミリアとベル達だ、はぁ!?どうしてベートが!?だってベートって解毒薬取りに地上に行ってるんじゃ・・・。

 

「ベート!?どうしてここに!?」

「あぁ?なんだ妖夢か・・・・・・・・・泣いてんのか?」

 

あわ、あわわわわわわ!?な!泣いてねぇし!・・・くっそ、友達にこんな姿は見せられない!怪訝な顔で聞いてくるベートに俺は両手を振りながら抗議する。

 

「なななな何言ってるんですか泣いてなんてません!」

「・・・悪かったな。今のは意地悪だったか」

 

とニヤニヤとベートが言う。おかしい、なぜにやつくんだ。笑いやがったら斬ってやる!

 

「なにせ、全部聞こえてたからよぉ!くくく」

「・・・・・・グスン・・・だって・・・・・・皆が死んじゃうかと・・・思って・・・」

「・・・・・・お、おい・・・・・・悪かった悪かった。謝るから泣くな。ちょっとからかっただけだろうがよ・・・」

「今のはベートが悪いよねー」

「そうね、今のはベートが悪い。ていうか普通に考えてそんなこと言わなくないかしら?」

「・・・・・・チッ、悪かったよ。」

 

うう、斬ってやるからなベート!体の機嫌が治ったら斬ってやるからな!

今はそんなことはどうでもいいんだ!早く命達を確認しなきゃ!

 

「グスン、では、私は命達をみてきますね!・・・えいっ!」

「いてぇ!?てめぇ!何しやがる!」

「仕返しですバーカ!」

「妖夢が・・・バカって言った・・・だと・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロキ・ファミリアの顔なじみ達に挨拶をしながらテントに向かう。場所はその時聞いた。

少し大きめのテントで、入口にロキ・ファミリアの団員の女性が立っている。見張りをしてくれてるのかな?ならありがたい。

 

「こんばんは。命達に会わせてもらいたいんですが」

「と言いながら既に入り始めているのはどうしてなの」

 

見張りを躱して中に入った俺は絶句した。

 

千草が寝かされており、それを囲むように命とその他二人がいたからだ。

 

「ち―――!千草ぁ!?」

 

一瞬息をつまらせた俺は一気に走り出す。千草千草千草が大変だぁ!?

「よ、妖夢殿!?」「なっ!?」「えっ?」

 

驚く3人を無視して千草をゆする。

 

「千草!千草が!し、死んでる!」

「いやいやいやいやいや!死んでないですよ妖夢殿!!」

「落ち着け死んでなどいない!」

「ほら、雲菓子でも食べて落ち着いて!」

「モグモグ良かった千草死んでなかったモグモグ」

「「「単純か!?」」」

 

おんおん?単純とは失礼な。千草と命と桜花とタケさえ生きてれば問題ないのだ・・・・・・あり?単純だ。

 

「まぁでも、本当に良かったです!生きていてくれてありがとうございます命ぉ!!」

 

思わず命に抱きついた俺は「よ妖夢殿?!」と慌てるのを完全に無視して命が生きている実感を得るべくスリスリする。・・・・・・くっ!負けた。何処がとか言わないけど負けた。だが許す!今の我はすこぶる機嫌がいいのだ!

 

「じゃあお猿さん呼んできますね!千草は安静にしておいてください!」

「いや、揺すったのは妖夢殿で・・・いや、もういいか。」

 

テントから離れた俺は猿師を呼ぶべく大声を張り上げる。

 

「おーさーるーさーんー!!」

「ササッ!と現れ、サルッと去る!それが拙者猿飛猿師!」

 

おおー、凄いな(棒)何故か上からボテッと落ちてきた猿師に苦笑しながら訳を話す。しかし猿師は千草の怪我自体は知っていたようで既に治療用の薬品を持ってきているらしい。流石だ。

 

再びテントに入り千草の服を脱がせ傷が見えるようにする。傷自体はほとんど治っている、後は何かやることあるのかな?そんなことを考えながら見ていると猿師はわざわざ説明してくれた。

 

「傷自体はほとんど治っているでごザルから、後は気付け薬を使うだけでごザルな。少々匂いがキツいでごザルから気を付けるでごザルよ?」

 

そう言って薬を鞄から取り出した猿師は千草に服を着せてその口に薬を注ぐ。

 

「ん!?ゴホッ!ゴホケホッ!コホッ・・・な、なに・・・?え!?ここは!?地上!?ひっ!猿!?」

「拙者は患者には寛容でごザルゆえ、このような反応をされたとしても、決して、決して責めも怒りもしないのでごザルよ」

「・・・・・・キレてます?」

「キレてません。」

「・・・・・・キレてますね(小声)それにしても千草ぁ!!」

 

今度は千草に飛び付いた俺はギュッと抱き締めスリスリする。・・・・・・ふっ、負けてない・・・・・・ような?

 

「よ、妖夢ちゃん、み、みんな見てるから止めようよっ」

「およ?」

 

千草がそう言いながら俺の頭をペチペチ叩く。後ろを向いてみれば確かに「皆」見ているな。いつの間に集まったのだろうか、と冷静に考えて・・・現実逃避しているが顔が熱い。

 

「妖夢ちゃんよかったねー!顔赤いっ!」

「感動的ね、私ちょっと涙が・・・・・・」

「ベル様っ私もギュッってしていいんですよ?」

「へ?なにいってるのリリ」

「よっみょんきち久方ぶりだな!」

 

ティオナ、ティオネ、リリルカ、ヴェルフ、ベル。後は他の皆もテントの中を覗いていた。 

 

「~~~~~~っ!!みょおおおおおおおおん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖夢達がやって来た。なので一緒にご飯を食べよう・・・・・・となったのはいいんだけど・・・・・・。これは、どうなのかな。

 

「あわてないでねー!ちゃんと並んでください」

 

確か、あのフードの女の子はクルメと言ったかな?彼女は凄いな、ダンジョンにある僕らが採った素材でここまでの料理を作るなんて。

 

っと、現実逃避はよそう。・・・・・・彼女、魂魄妖夢だ。今は赤面しながら神タケミカヅチの後ろに隠れて辺りをうかがっている、そんな可愛らしい姿を見せているが・・・・・・彼女を見ているだけで親指が疼く。

 

これが何を表しているのかわからないが、決して良くはないはずだ。団員たちを率いる立場としては今すぐ彼女達を此処から遠ざけたいが・・・・・・それはベートやティオナ達を見る限りだと無理かもしれない、いや、僕が言えば渋々従ってはくれるだろう。でも結局人目のつかない何処かで待ち合わせたりする、なら僕の目の届く範囲に置いておく方がいいのかな。

 

「オーイ、妖夢これ食うか?ハニークラウドっつてな、今までは毛嫌いしてたが前にお前と食いにいった和菓子みたいなもんかと思って食ったんだけどよ・・・・・・甘過ぎて食えたもんじゃねぇ。」

『ぷるぷる、僕は悪い魂じゃないよ、ぷるぷる』

「うおぉぅ?!いつの間に横に居やがった!」

「アムアムオイシイアリガトウゴザイマスベート」

「お?お、おう。・・・・・・いや声ちっさ!」

 

いつの間にあんなに仲良くなっていたのやら。初めはあれだけ警戒していたベートがなついている。別に困ったことじゃない、ファミリア同士の付き合いもとてもいいし、猿師さんの薬で既にファミリアの団員達の解毒も済んでいる。それに彼女はロキのお気に入りでもある。

 

彼女は誠実で人柄もいい。彼女のスキルであるハルプも明るく快活ではあるけれど分別は確りとわきまえているし、ん?ハルプはスキルと言うが・・・・・・性別はあるのかな?それとも妖夢君と同じなのかな?

 

『どうかしたのか?』

「ああ、妖夢君とハルプ君につい・・・・・・いつからそこに?」

 

『ん?今さっき』と答え隣に座るハルプ。本当に厄介だ、全距離に対応できてなおかつ強く、更には目と耳が遠くまで物理的に届くんだから。しかも、半霊になれば透明化してしまえばまともに見つけることは不可能。

 

『で、俺と妖夢がどうかしたのか?』

「んー」

 

きょとんとしながら聞いてくるハルプ。ここは下手な嘘はつかずに行こう。なんだかんだ言って彼女達は鋭いからね。

 

「いや、君達の強さについて考えていたのさ。」

『なるほどな、でもまだフィンの方が強いぜ?そんな考えなくてもいいんじゃないか?』

「はは、まだまだ、じゃなくてまだ、か。そうだね僕もすぐに抜かされるかも知れないか」

『おう!すぐに追い越してやるぜ』

 

疼く親指を後ろに然り気無く隠し笑う。本当に彼女達には抜かされてしまいそうで怖いな。まるで複数の英雄を束ねたような、そんな力を感じさせる彼女達に僕は笑うことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いと高き空へ、ただ一つ伸びる白亜の塔、バベル。その頂上付近で銀の女神がその口元を歪める。

 

「オッタル」

 

高く美しい艶のある声が壁に控える大男に投げかけられた。銅像か石像の様に微動だにしなかった大男は「はい」と短く返事をした後、女神フレイヤの隣に跪く。

 

「私ね?なんだか嫌な予感がするのよ。」

 

オッタルの猪耳を愛おしく撫でながらフレイヤはそう言った。オッタルは不要な発言はせず、フレイヤの続きを待つ。

 

「だからねオッタル。ダンジョンに行って欲しいの。もしそこであの子にあったら・・・よろしくね?」

 

手に持ったベル・クラネル救出を要求するクエスト用紙をオッタルに見せながらフレイヤは妖艶に笑う。クエスト用紙を見た途端苦々しい顔をしたオッタルを可愛らしいと思ったからだ。

 

「お願いね?」

「かしこまりました。」

 

短く、ただハッキリと返事をしたオッタルは無手でダンジョンへと向かっていく。事実、彼に武器が必要となるのは深層のモンスター位のものだろう。

 

「冒険をしたか・・・・・ベル・クラネル」

 

オッタルの満足気な呟きは誰にも届く事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「水浴び、ですか?」

「うんっ!そうだよ!みんなで行こ〜!」

 

俺は思わず困惑の声を上げた。片手を振り上げはしゃぐティオナはまだ返事もしていないというのに俺の片手をとって走り出す。千草の看病もあるし余り行きたいとは思えない俺は断ろうとするが。

 

「ええ?ちょっと!ま、まってください!」

「大丈夫大丈夫!もう千草ちゃんも命ちゃんも向かってるから!」

 

どうやら千草達は既に水浴びに向かってしまっているようだ。よく良く考えればお風呂好きというか綺麗好きな命が断るわけも無いよね、と考えて諦める。

 

目隠しはあったかな・・・・・、ないか。

 

 

 

 

 

 

 

水がキラキラと輝く。滝から落ちる大量の水が大きな音を立て、水を泡立てた。いや~いい風景だなぁ。木も有るし。うん。

 

「ジー・・・・・」

 

あの、アイズさん?どうしてこちらを凝視していらっしゃる?なに?背中?背中みたいの?嫌だよ?

 

「ササッ」

「ススッ・・・・・ジー・・・・・」

 

え?な、なんですか?なんで追いかけてくるんですか?なにか話がおありでございましょうか?

 

「・・・・・」

「ジー・・・・・」

 

ど、どうすりゃいいの?俺わかんねぇよ?こんな天然な子の対処知らねぇよ?てかもう普通に見ちゃってんよ。良かったわ女湯とか勇気出して行ったおかげもあって結構慣れてるわ。いやそうじゃねぇよ。どうすんだよどうして俺から目を離さねぇんだよ、子守?子守ですか?誰が子供じゃボケ!

 

「アイズ、なにかようですか?」

「ん、別に。ジー・・・・・」

 

ぇぇ・・・・・誰か助けて。って感じに助けを求めて周りを見ると肌色が沢山あった。なんでみんなはしゃいでんの?水の掛け合いですか、女3人寄れば姦しいって奴だね。3人所じゃないけど。

 

「ねーねー!そこの鎧の人は入らないのー?」

「む、私は警護にあたる、安心して入っていてくれ。」

「おー・・・・・でも匂いとか気になったりしない?」

「私はここに来て長い。水浴びせずに数日過ごす程度ざらにあった。私は気にならんな。・・・・・しかし、そうだな。皆が出た後一人で行くとしよう。」

 

アリッサがそう言って木々の方を見据える。そして、俺の正直な感想は。・・・・・そ、その手があったか!である。はぁマジやっちまったな。俺も警護に当たりますとか言っておけばよかったぜ、そうすりゃこんな謎の状況にならずに済んだのに。まてよ?ハルプで逃げれるのでは?

 

いや流石俺。もう天才を自称しよう。よし、じゃあ半分の意識には犠牲になってもらうとして俺は逃げよう。という訳でハルプがポンっと登場し、サッと顔を森に向ける、ふふふ、これでまるであたりを警戒しているようにしか見えないはず・・・・・。

 

「・・・・・ねぇ、少し気になるのだけれど」

 

と、いきなりなんだろうか、ティオネが豊満な胸を揺らしながら歩いてきたと思えば隣に座る。その顔は不思議そうにこちらを見ている。

 

「どうして貴女もあのスキルのハルプも恥ずかしそうにしてるのかしら?」

 

ひっ!?バレてる!?だだだだ、駄菓子菓子!!こんな時のための言い訳は用意してあるのですよぅ!

 

(あの・・・・・そのぅ・・・・・)わ、私胸小さいですしっ!比べてしまうというかですね!・・・・・は、(恥ずかしいです)・・・・・」

 

見たか!嘘に少し真実を混ぜるとバレにくいというが!真実を真実のまま伝えることでそれは紛れもない真実となって・・・・・なんだろう、言ってて虚しくなってきたわ。

 

「あぁー、なるほど。でも気にしたらダメよ?だってまだまだ若い、と言うか子供だし。私の妹を見てみなさい、ほら、あんまり変わらないでしょ?」

「ひ!ひどい!」

「事実じゃない。」

 

ふっ、見たか。鮮やかに艶やかに話の内容をそらして見せたぜ、心のダメージと引換にな。ふっふっふっ、受けた傷は深い、だが、あえて言おう。死なやす、だと。こんな場所で実は中身男なんすよ、なんて言った暁には社会的に死ぬだろ。うん。

 

「ねぇねぇ!服着たままだけどいいの?ハルプは。」

 

ん?・・・・・あぁ、なるほど。ハルプが服きたまま水に浸かってるのか。

 

『あぁ、大丈夫だぜ?中に着替えは入ってるからな、着替えは一瞬だ。』

「ほえ〜そうなんだぁ〜!」

 

よくわかってない顔をしているティオナに苦笑する。ハルプの着替えは楽ちんだ、なんせ服を半霊に突っ込んだ後その服を意識してハルプモードになれば着替えられる。鎧を半霊に仕込んどけば瞬時にフルアーマーハルプガンダムになれるぜ。まぁこれが結構難しくて・・・・・『フルアーマーがフッ!?』って鎧の肩の部分がのどに突き刺さったりした事もある。

 

「ええ、そうなんです。」

 

とりあえずこの時間が過ぎることを願おう。

 

「あ、そうそう妖夢ちゃん!このあとリヴィラに出かけるんだけど一緒にどう?」

「リヴィラですか、はい、ご一緒しましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

べートは駆けていた。ダンジョンの18階層の森の中を。

 

(ちぃ!あの兎野郎とヘルメスはどこに行きやがった!)

 

どうやらベルとヘルメスを追っているらしい。鼻をひくつかせ、耳をぴくぴく動かして辺りを探すべート。しかし残念かな。ヘルメス達は既に木の上で、尚且つ忍び足で逃げている。

 

が。

 

「うわぁあああ!!」

 

小さいベルの悲鳴の後に続いた僅かな水の音。

 

(随分遠いが、見つけたぞ!)

 

「待ってろよ兎野郎・・・・・!!」

 

べートがレベル6にすら追いすがる圧倒的な敏捷で森の中を狼の如く駆け抜ける。獲物を捕らえんとする凶暴な形相で音の発生地へと飛び出した。

 

「・・・!!!」

 

1面に広がる、肌色。白い者から褐色まで、べートの目に飛び込んでくる。しかし、それを完全に無視したべートはベルを探すべく辺りを見渡す。

 

「糞が!あの兎野郎はどこに行きやがった!」

「などと意味不明な供述をしており、容疑を否認しています。」

 

べートの声に素早く妖夢がつなげる。多くの少女が体を隠す中、アマゾネスと妖夢は別段隠すこと無く平然としている。

 

「あぁ?んだようるせぇな!いや、てめぇ!あの兎野郎知らねぇか!?」

「知りませんよ?」

「ちっ!逃げられたか・・・・・!悪かったな邪魔して。くそ、どこ行きやがっ・・・・・っ?!」

 

ベルが居ないと知ってその場を離れようとするべートは持ち上げられる。そう、警護していたアリッサに捕まったのだ。

 

「さて、どうするか、この覗き魔を」

「っざっけんな!覗いてねぇだろ!つか事故だし興味ねぇ!」

「などと、やはり意味不明な供述をしており、容疑を否認しております。」

 

やはりと言うべきかべートのセリフに合わせて妖夢が繋げる。

 

「ははーん。べート、あんた興味無いとか言ってるけど、本当はアイズの裸見に来たんでしょ。」

「うわー、振り向いてもらえないからってうわー」

 

(嘘だろおい。アイズいるのかよ!?)

 

「おらぁ!!」「ちっ!逃がすか!」

 

拘束を弾き、逃げようとするべート。がしかし、アリッサに足を掴まれコケる。

 

「ぐほっ!」「逃がさんぞ。」

 

どけ!とアリッサをガシガシ蹴るがアリッサは余りダメージを負っていないようだ。べートが手加減しているのとアリッサが特別硬いからだろう。

 

「俺はあの兎野郎を追いかけなきゃいけねぇんだよ!」

 

べートがそう言ってアリッサを振りほどいた。周りが「呆れた、まだ言い訳するのね」などと言っていると妖夢が「なるほど・・・・・」と言って続ける。

 

「実はべートは男の人が好きだったんですねっ!」

 

とてつもない爆弾だった。辺りが静かになる。

 

誤解にも程があった。なぜならべートの頬は多少なりとも赤くなっていたし、女子達の水浴びを邪魔した事も謝っている。そして極力そちらを見ないように気を使っているというのに。

 

(んなわけあるかよ・・・・・)

 

べートの尻尾が力なく垂れ、耳がフニャりと萎れる。「ほほぅ、それは興味深い。」とさり気なくヘスティアの後ろに隠れているリーナが悪ノリする。

 

「えっ!?べートってアイズが好きなんじゃなかったの!?えぇぇえええ〜〜〜っ!?」

「こら、やめてあげなさい。まぁ、男が好きなら一緒に水浴びしても平気なんじゃないかしら?心は女かもしれないし」

 

素のティオナ、悪ノリするティオネ。ちなみに、本人達の目の前である。

 

「ふむ、男色を好むか・・・・・変態め。どうやらあの少年の為にも逃がすわけにはいかんな。」

「違う・・・・・俺は男なんざ好きじゃねぇ・・・・・何一つあってねぇよ・・・・・」

 

SAN値がピン値になってしまったべートは項垂れる。しかも、この事態を引き起こした本人である妖夢は非常に困惑した表情であわあわしているのだからべートは救われない。それとべートの好きな人はアイズである。

 

ちなみにアイズは顔を赤くした後ゆっくりと体を水に沈めた。いくら天然であろうとも、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。

 

 

 

 

 

 

という訳でアリッサに捕まってティオネ達の協力の元木に吊るし上げられたべートの耳を弄っている最中であります。

 

「ふふ、やはりなかなかの感触・・・・・流石はべート。」

「俺はこの怨みをぜってえに忘れねぇ。覚えてろよ妖夢・・・・・!」

「はいっ!この感触は覚えておきます!」

 

ちなみにアイズと俺、千草を除くほとんどの女性陣から1発か2発全力の蹴りを入れられたべートはもうそれはそれはひどい有様だった。ティオナとティオネは全然身体隠してなかったのに・・・・・。

べートの身体が緊張しているのは何時ぞやのポーションをべートのケツに突っ込んだ時を思い出したからだろうか。あれは、悪かったと思ってる。

 

「じゃあポーションを使いますね!」

「お、おおいおい!やめろやめろ!勿体ないだろ?な?やめておけ、やめろよ?!」

 

やるなって言われると、やりたくなるよね。人の摂理、心理、そして本能だと思うんだよ。それにほら?目の前に怪我人がいて、助ける手段が有るのなら尽力するべきだと思うのです。

 

「大丈夫大丈夫、かけるだけですよ!前のあの時はお店が汚れない様にしようと思っただけですから!」

 

という訳で別段ふざけることなくポーションをぶっかける。べートがすっごい不安そうな顔したのが面白かった。

 

「ぶはぁ!!顔にかけるやつがあるか!?」

 

あります。私です。

 

「いや、でもお洋服が汚れちゃいますし」

 

そう、顔にヴァリスはかからないが服にはヴァリスがかかるのだ。まぁべートイケメンだしお金になるかもね、週刊誌的なものあったら。

 

「別に気にしねぇよ!」

「アイズが気にするかもしれませんよ?・・・・・・・・・・べート、臭い、です。とかそんな感じで。」

「ぐっ・・・!あぁ!わあったよ、ありがとなっ。・・・・・後で同じことしてやるクソちびが・・・」

 

べートの叫びに待ってましたとアイズを引き合いに出す。するとべートは唸った後、おとなしくなった。恨み言呟いてたけどね、俺は聞き逃さなかった。なぜなら半霊はべートの顔のすぐ横を浮かんでいたからだ。

 

『・・・・・ふむ』

 

ハルプモードになって耳を触る。モフ、モフモフ。・・・・・ふむ。

 

「おい、てめぇ何してやがる。」

『で?俺達のどこがちびだって?』(妖夢合流)

「は?・・・お?おいなにやって・・」

『「そぉおおおい!!!」』

「ギャアアアアアアアアア!!!!!」




次回!ついにあの男が登場!それとリーナさんの過去回?

クルメさんはその次の回かな、と思ってます。


それにしても、スマホがあの世にぶっ飛んだせいで今後の予定が纏められていたメモ帳がお亡くなりになってしまった・・・・・(T∩︎T)

しかし。失踪はしないぞ!なぜなら二期も既に決まっているのだから!。゚(゚`ω´゚)゚。

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