オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか? 作:シフシフ
今回採用させていただいたのは、
零崎妖識さんの『リーナ・ディーン』【属性過多】
終焉齎す王さんの『アリッサ・ハレヘヴァング』【黄金の鉄の塊】
小岸さんの『クルメ・フート』【料理長】
に決定いたしました!他にも沢山の意見があってとても嬉しかったです!
今回はリーナ・ディーンしか出てきませんが、次の話ではアリッサとクルメも登場します!
後書きに挿絵載せておきますね!御三方のイメージにあっていれば良いのですが・・・。
俺は命とギルドに来ていた。理由は簡単だ、ファミリアの団員達の報告だ。何処の誰が俺のファミリアに入ったのか。その詳細をつたえ、ファミリアのランクを適正な物に更新するのだ。
「・・・・・・というわけだ。ジジさん、あとは任せた」
「はい、おまかせくだサイ、神タケミカヅチ様」
ぺこりと頭を下げたジジさんを見送る。ランクの設定などはギルドの仕事。つまり報告が来るのは今日じゃない。・・・・・・Dランクまでならやっていけそうだが・・・それ以上となると厳しいな。
「よし、行くか。」
「はいっ!」
そして次は商店街にやってきた。こことも契約を結ぶつもりだ。左右に並ぶ沢山の店。果物、魚、その他諸々。色鮮やかな人々の営みの場だ。
「おっタケミカヅチ様じゃないか!どうだい!今日の野菜は大きいよ!」
「おいおい!そんな物は買う必要ありませんぜ!こっちの魚を見てくれよ!こんなに生きがいい!」
「何を言うか!見てくれよお嬢さん、この新鮮な肉を!」
景気のいい声が俺達に商品を自慢してくる。うむ、どれも美味しそうだ。残念だが今日は買わないんだけどな。
買えないことを伝えその場を後にする。
「命、後どれくらいだ?」
「ええと・・・千草殿の地図によれば・・・あと数分と思われます」
命に後どれくらいなのかを聞くと裾の部分から1枚の地図を取り出した。オラリオの地図は元からあったはずだが、わざわざ簡略化されたものの様だ。千草らしい細々とした丁寧な作業はこういう時ありがたい。
「わかった。」
うーむ、だが何も話さないで歩くってのも命に悪いなぁ。なにか話題は・・・・・・腐るほどあるか。
「・・・命、団員が増えたが・・・・・・どうだ?」
「どう・・・と言いますと?」
命がこちらを見上げてくる。ふむ、どう・・・か。妖夢は賛成をしていたが内心は難儀していたと思う。桜花は純粋に戦力や働き手が増える事に喜色を示した。千草もそうだ。『家族』としての関係が変わらないなら、人が増えても構わない。それが概ねの感想だろうか。
「人が増える事に対して忌避感はあるか?」
俺の問に命は眉を顰める。すこし俯いて歩くその様は深く物事を考えているのだと、わかりやすく教えてくれる。このままだと人にぶつかるかもしれないから俺は正面を向いて歩く。
「・・・・・・・・・ない、とは言いきれません。ですが嬉しくもあります。」
「・・・・・・そうか。なら安心だ」
俺は父親に成らなくちゃならない。だが、それは妖夢達4人に限られた話じゃないと、俺は思う。俺のファミリアに入った奴らは皆俺の子供だ。そして、俺はその父になりたい。
「あっ!見えてきましたよ!」
命が元気に指さす。俺のために気を使っているんだろう、悪い事をしたと思う。こういう所を治せればなぁ。
「おう!じゃあ行くか!」
まぁ、何にせよ、今のファミリアの地盤固めを終わらせなきゃな。
目の前にあるのはこの商店街を仕切っている石造りの建物だ。街でいうところの市役所の役割があるらしい。店を構えたい時はここに申請し、ギルドと相談して成立するとか。まぁあとはファミリアと商店街との契約もここで行う。
契約っていうのはそれ程深い物じゃない。月幾ら払うからこれだけの食糧を送ってくれ、というそれだけの物だ。とは言え食糧とは集団で生活する時、とても大切な役割を持つ。説明は省く、簡単に言えば「腹が減っては戦は出来ぬ」だな。
・・・と、なると。各館にも料理人が必要になるのか・・・料理人を雇うのも良いが・・・やはり料理を自分達で出た方がいいだろう、ダンジョン内で不味い飯はひどい士気低下を引き起こしそうだ。料理担当とかが居てもいいか・・・。
「おおぉ、ようこそおいでくださいました!タケミカヅチ様・・・」
さて、妖夢たちのためにも交渉を開始するか・・・!
戦いが、そこにはあった。
男が、女が、老いが、若いが。
すべての武をかけて戦った・・・
それは―――――――――役職決めである。・・・なーんて、何言ってんだが・・・。おっす、俺だよ妖夢だよ。現在、俺の目の前では乱戦が勃発している。理由は簡単だ。おれが
「この中でリーダー的なポジションやりたい人はいますか?」
って聞いたらこれだ。よほどリーダーがやりたいらしい。まぁ参加してない奴らもいるんだけどね。
「ほあぁ〜。・・・・・・・・・ねもいー。寝ていいかな僕ー?」
「いや、知らないけど・・・君は?どこ出身?」
「zzZ」
「寝てるぅ!?速い!速すぎ!」
うーん、叱った方が良いのかな。喧嘩は良くないよな。というわけで模擬刀抜刀。・・・・・・あれ?メッチャ静かになったぞおい。流石模擬刀先輩。
「ぉ、ぉぃ・・・」「なんだよ」「妖夢様が話すぞ・・・静かにしろ」「わかってるって」「あぁ困った顔も可愛い・・・」「やめろっ困ってるよお前のせいで」
・・・・・・な、なんだろうか。なんて言うか尊敬?されてる気がするんだけど、悪くは無いけど非常に対応に困るよ。と、とりあえず困った時は笑っとこう。
「え、えへへ。とりあえず喧嘩はやめましょうかっ。」
「おお!」「喋ったぞ!」「ふつくしい」「抱いて!」
・・・・・・・・・・・・うぅ・・・やっぱり苦手だ。てか最後!おま、おま女だろ!くっそ、なんて言うかあのロリコン共を思い出すなぁ!これはもうキリッとして睨みつけて駄目なことは駄目と教えなきゃ。
「そういう反応は対応に困ります。そしてエロスを思い出すので不快です。以後気をつけるように。」
「「「「「はいっ!」」」」」「Zzzzzz」
どうしよう素直なのはわかったけど視線が眩しい・・・!
「ははは!それもそうですよね!流石の妖夢様でも苦手な事はありますよね!」
「あぁん?何言ってんだよアンタ!妖夢さんに苦手なものなんザあるわけないだろ!」
「そうよそうよ!料理洗濯魔法に戦闘!何でも出来るんだからっ!」
いや、会ってから2日のくせに俺の何を知っているんだこいつらは・・・はぁ。あーワイワイガヤガヤとうるさいなーー!と俺が腹を立てていると肩をトントンとつつかれる。だれだ?
「ククク!おいおい嬢ちゃん。流石のアンタでもこういうのは辛いかよ?」
む。ダリルか・・・。なんだいなんだい、そんな意地悪い笑い浮かべやがって。
「うるさいです。お座り。」
「はははっ!俺は犬じゃねぇぞ?」
「ぇ・・・・・・?」
「・・・は!?まじで犬扱いだったのか俺!?」
あはは、ダリルの顔ウケルわwww。と小さく笑っていると、なにやら狂気的な視線を感じた。
「「「「「「パルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパル」」」」」」
こわっ!ナニコレ怖っ!なんか一部の団員たちの信仰が狂気的なんですけどーーー!?なにこれ呪術?呪いの類ですか!?
「お、おいおい。悪かったって・・・・・・用事があったんだ。じゃな」
一転してドン引きした様に顔を引き攣らせ、ダリルは持ち前の跳躍力で壁を飛び越え消えた。
え?ちょ!嘘だろダリル!?おーい!どこいくねーーん!
・・・や、やばい。ダリルが居なくなっちまった・・・この中で俺はひとり寂しく何か凄い奴らと一緒になるのか・・・?それは不味い、ええと、この中にレベル高いヤツは・・・・・・・・・あ!あいつかな?!確か似顔絵があったはずだ!紙を取り出して・・・・・・ふむふむ、合ってるな!話しかけよう!
「すみません『リーナ・ディーン』ですか?」
「Zzzzzz」
話しかけたがリーナからの返事がない。ただの屍の様だ。おいいいいいいいい!?嘘だろ!?仮にも幹部だよ俺!?確かに同じレベルだけど!冒険者歴としてはそっちの方が先輩だけど!それでもさ、コンバージョンしてきたファミリアの幹部にそれは・・・・・・あぁ、心が折れそうだ。
リーナ・ディーン。白髪のエルフで【
「・・・・・・ぅ・・・・・・ん・・・・・・ふうあぁ・・・。あ、おはよござます。」
てきとぅ!挨拶が適当すぎるわ!挨拶は大事なんだぞ!挨拶を蔑ろにすることは最大の侮辱なんだぞ!古事記にも書いてあるんだぞ!
んんん、しかしだわからないなら確りと教えてあげなきゃな。
「挨拶は大事な事ですよ?しっかりとしましょう。では先ずは私から・・・・・・こんにちは、リーナ。」
「そんな事よりおうどん食べたい」
ぶち転がしたろうかぁ?こんのやろう・・・!!
はぁ、いや、イラつくだけ無駄か。この人はこういう人なんだろう。ステイタスだけ見るとすごい強いんだけどなぁ。
うう、やっぱり俺には人の上に立つ能力はないらしい。桜花ならすぐに纏め上げるんだろうけどな・・・。こうなったら破れかぶれだ!
「【我が血族に伝わりし、断迷の霊剣。傾き難い天秤を、片方落として見せましょう。迷え、さすれば与えられん。】こい!白楼剣!」
せいや!と軽く振るった。
妖夢の雰囲気がガラリと変わった。いや、その場の空気すら変わったかもしれない。魔法の詠唱と剣の1振りで。
「そこに列びなさい」
青く輝く目に気圧された、団員達はまるで心臓を鷲掴みにされたかの様に体が強ばるのを感じただろう。
団員達が横一列に並ぶ。
「ふむ・・・・・・。それでは状況の説明を開始します。」
妖夢が抜き身の刀を持ったまま団員達の前に立つ。いつの間にかリーナも列んでいる。
「私がこの手に持っているのは『白楼剣』です。人の迷いを斬る事が出来ます。そして今、私は私の迷いを斬りました。・・・わかりますか?」
団員達が頷く。そこには僅かな恐怖と確かな羨望があった。
「つまり、斬りたいと思ってしまったら最後、貴方達は切り裂かれます。」
が、僅かな恐怖は確かな恐怖と変わった。この人が白楼剣なる物を抜いたらやばい。それが団員達の新たな知識だ。
「・・・・・・ふむ、怖がらせてしまいましたか。恐がらなくてもいいです、確りと話を聞いてくれさえすれば何もしません。」
誰かがほっと一息ついた。なるほど確かに先程から殺気は放たれていないな。と一部の実力者は思う。しかし、刀を抜いたまま言うセリフではない。
「その調子です。いま、貴方達はリーダーを必要としています。理由は私達幹部と拠点が離れているからです。離れている事に対する理由の説明は省きます。必要ありません。」
妖夢が淡々と機械のように説明をつづけていく。
「私達は常に最前線に向かう事になるでしょう。その為、ホームに残り、事務作業をする人物が必要です。そして、その人物は担当のホームの人員の統率、主神への報告、相談、連絡等を行わなくてはなりません。」
目だけは相変わらず鋭いが、口元を緩め微笑む。
「今現在、混乱が抜けきっておらず大変かとは思います。しかし、リーダーになった者にはある程度の報酬が与えられる筈です。」
おお!と声を上げる団員達。報酬が何であるかは不明だ、決まってすらいないかもしれない。それでも報酬と言う言葉に人は弱い。妖夢が刀を消した。雰囲気が変わる。
「リーダーの方に雑務を押し付けるようで申し訳ないですが・・・・・・よろしければ誰がやってくれませんか?私も出来る限りはお手伝いしますので。あ!それとこれを言っていませんでしたっ!・・・コホン。・・・これからは皆さんで仲良くしましょうね!」
ニッコリ笑ってそう言い切った妖夢。しかし、彼女は知らない。それは『劇薬』だ。折角いい感じに収まっていたというのに。『お手伝い』『仲良くしましょう』など・・・リーダーになれば憧れの幹部達に会える可能性が高くなるという事、さらには報酬が貰える。
やっぱりリーダー最高じゃないか!!
となるのも仕方がないだろう。このファミリアのアイドル兼最高戦力と縁を結ぶチャンスに団員達は飛びついた。
もちろん一部の団員たちは参加していないが。
「も、もうどうすれば良いんですか・・・・・・」「zZzzZ」
再び始まった『リーダーの席争奪戦』に妖夢は「うー☆」「うー☆」と頭を抱えるのだった。
はぁ・・・あれから数日たったのに、どんよりとした気持ちを溜息として吐き出しながら俺はヴェルフ達が居るであろうギルドのロビーに向けて歩いていた。武器を受け取る為だ。本当はそのまま付いていきたいんだけど、ロキとの約束を果たさなくちゃいけないからな。
「Zzzz・・・はっ・・・Zzzzzz」
原作ではエイナに心配されていたが、まぁサラマンダーウールを買わないと絶対にダメッ!って言うんだろう。いや、時間的に既に言われた後か。
「Zzz・・・ふぁ・・・zzz」
今日がベル達にとって初めての中層進出か。あんまり深い付き合いがある訳じゃないけど、それでも嬉しくもなるな。
「うへへ・・・zzzもうおうどんたべれらいぃ・・・zz」
・・・・・・・・・・・・。
「Zzzzz」
・・・・・・・・。いや、わかるよ?皆が何を言いたいのか。それはわかる。痛いほどわかるんだ。「お前なんでいるんだ」だろ?うん、大丈夫だよ、俺が一番思ってる。
はぁ・・・俺の隣に・・・と言うか俺にもたれ掛かってるのは『剣の館のリーダー』リーナ・ディーンだ。なんでよりにもよってこいつなのか?・・・・・・いや、語ると長い。俺の苦悩が滲み出るだけだ、止めようよ、ね?・・・簡単に言うなら「勝った奴がリーダー」となって、こいつが圧勝した、腐っても、いや。寝ていてもレベル3って事だな。ダリルが居ればダリルになったんだろうけど。
ちなみにこの人は別に俺達と同行するわけじゃない。ギルドにリーダーとして向かっているんだ。向かってるように見えないけどな。スキルとアビリティのせいで眠気に常に襲われるとか言ってたけど・・・ホントかなぁ。
「ほら、着きましたよ!もう、私の威厳とか何にもないじゃないですかぁ・・・!」
不満げな声が出てしまう。仕方ないなこれは。するとリーナは起きたようで目をゴシゴシと擦り、ん〜〜!と伸びをした後こちらに向き直る。
「ありがとうーございます〜。むにゃむにゃ」
絶対思ってないだろ。
「じゃー」
「え、あ、はい。」
・・・・・・悔しくなんかないし。この外見に威厳もクソも無いのはわかってるし。きっと妹とか娘とかそんな目で見られるんだろうなぁ!って!ずうっと!思ってたし!
ぷんスカと怒りながら俺はギルドに入っていく。外見について嘗められるのは好きじゃないんだ。アイツが俺を嘗めてるのかって言われるとNOなんだけど、態度がどうしてもそう見えちゃうよな。
中を進んで地下に降りる。地下は広間になっていて、そこにダンジョンの入口があるんだ。バベルはダンジョンの蓋の役割をしてるからね。おっ!ベル達だ!向こうも気がついたみたいだ。
「あ!妖夢さん!」
ベルの大きな声にその場の全員が振り向く。勿論ここにいるのはベル達だけじゃないので、周りの冒険者も振り向いた。確かに今までも人に興味深げに見られる事はあったけどさ・・・そんなにまじまじ見ないでもらいたいな。
「ははは、何だか随分と疲れてるな?ほら、みょんきちの剣だ」
ヴェルフが笑いながら俺の頭をポンポンと叩く。内心げんなりしながらも剣が貰えるのならばとやる気を出す。
「ありがとうございます」
ふむ・・・
「鞘から抜いても?」
「おう!」
鞘から抜き放つ、いや、抜こうとする。・・・・・・背伸びしないと全部抜けないかも・・・、押さえてくれるのは嬉しいんだけどヴェルフ?何故に縦に押さえた?俺の身長じゃ抜けない事わかってるよね?笑ってるもんな?
「ヴェルフ?」
「ん?どうしたみょんきち」
ニヤケながらどうしたみょんきちじゃねぇんだよこの野郎。武器を渡さないとはどういう了見・・・・・・あっ、お金渡してなかったか!
「すみません!お金渡してなかったです!」
焦りながらお財布を取り出して・・・いくらなのか知らないや。
「あの・・・おいくらですか?」
「いや、金はいい。デッドリーホーネットの素材を使ったのは初めてでな。すこし失敗しちまったんだ。」
ほえ?・・・・・・やっぱりただの虐めじゃねえか!
てか失敗って?なんだろう、抜いたら折れてるとか?
「毒針を利用した訳だ、つまりその刀も毒性をもっている・・・が、加工の際その毒性が落ちた。」
申し訳なさそうにヴェルフが頭を掻く。なーんだ、そんだけか。
「なんだ、それだけですか。良かったです、ヒビが入ってしまったとかじゃなくて」
「・・・いいのか?」
え?そりゃいいだろ。毒なんか廻る前に殺すし。
「毒が廻る前に殺すので大丈夫ですよ?」
「アッハイ」
なんで退いた、言え!。てかここ武器の名前はなんて言うんだろう?
「この刀の名は?」
俺が聞くとヴェルフはニヤリと口元を歪め、凄い自慢げに腕を組む。その表情からは有り余る自信の程を感じさせた。
「
「「えええええええええええええ!?」」
一応言っておくと叫んだんのは俺じゃなくてベルとリリルカだ。もっとマシな名前をつけられないんですかっ!とリリルカが抗議している。
でも、俺はこれで構わない。ヴェルフのさっきの顔は覚えてる。きっと長い時間をかけて悩んだ末に出した答えなんだろう。なら、否定しない。それに、割とこのネーミングセンスは好きなのだ。
「ありがとうございますヴェルフ。
「「え、えぇ・・・」」
さて、そろそろ引き留めるのも可哀想だな。別れの挨拶をしてその場を去ろうとするとヴェルフ達に止められる。
「なぁみょんきちは来ないのか?」
「ええ、用事があるので申し訳ないですが付いていけません。それに、私がいる事に慣れると地力がつきませんよ?」
それもそうですが・・・とリリルカは心配そうに呟く。
「大丈夫ですよ、ベルさんはレベル2ですし。それに、今日は桜花たちがダンジョンに潜るはずです。ダンジョン内で出会ったら助けてもらって下さい」
俺はニコリと笑って手を振りその場から離れた。
ロキにはエロスの事を教えてもらった借りがあるからな、早く返さないと。寿命が無限の神でも、忍耐強いとは限らない筈だ。
俺は来た道を戻り、ロキ・ファミリアへと向かおうと思ったのだが、1度弓と雷の館にも顔を出してから行こう。俺が1日いない程度で何かあるわけでもないと思うけど、念の為ね。
弓の館に着いた。ここは元ダイチャン・ファミリアのホームだ。長細い形状で、地上1階、地下に二階広がっている。色は緑を基調としていて、東のメインストリート方面に存在する。
ここは・・・・・・千草が担当してリーダー決めを行ったはずだが・・・大丈夫だろうか?とっても心配になってきたぞ。
と、思っていたんだけど・・・拍子抜けだ。門番の話だとどうやら団長と出かけたらしい。リーダー達も強さを見るためなのか連れていかれた。との事。なるほど、ダンジョンでモンスターとどれくらい戦えるか、とか状況判断とか見るんだろう。
あー、俺もリーナの実力をしっかり見ておくべきだったかなぁ。まぁいいか。取り敢えずこのままロキ・ファミリアに行こうか。
「妖夢たぁぁぁああん!!!!」
ロキ・ファミリアに着いた時、俺を出つ迎えたのはロキの熱い抱擁とほっぺにチューだった。酒臭いのを警戒して息を止めたけど、意外にも香ってきたのは花のような匂いだった。てか止めてくれロキ、キスなんてされた事無かったんだが?ほっぺでも初めてなんだが?
「顔赤くしとる・・・かわええ・・・もうウチの子にならへん!?」
きつく抱きしめないでくださいな。ティオナと違って筋力が無いから痛くないけど、やはり元男として困るものもあるのだ。
「今日1日はロキの子供でいいですよ」
元からそういう約束だしね。・・・・・・あれ?お触り禁止って言ったはずだったけど・・・抱擁とキスはお触りだよね?まぁ別に嫌じゃなかったしいいか。
「ほんまか!?いよっしゃあああ!我が世の春が来たぁああああ!」
そ、そんなに喜ぶ場所だったかな?取り敢えず俺が何をすれば良いのか聞いてみよう。
「ええ。それで私は何をすれば良いのですか?」
俺が問いかけるとロキがピタリと止まる。そして真顔になってこちらの目を正面から見つめる。・・・・・・え、なんだろう実は秘密裏にすごいミッションを!?
「何って・・・ナニやろ?」
と思っていた時期が私にもありました。半霊で軽くジャブを打ち込む。どれくらい軽いかと言うと軽く投げられたボールに当たるくらいの軽さだ。
「や、優しい・・・・・・ウチの薄汚れた心が洗い流されてゆく・・・」
お、おう・・・半霊って浄化効果なんて無いはずだけどな・・・?
「えっと、それで私は何をすれば?」
するとロキはニヤニヤ笑いながらそれはそれは嬉しそうにこう言った。
「勿論妖夢たんとハルプたんをウチ専属のメイドにした後はホーム内はもちろんオラリオ中を練り歩きウチとの仲の良さをアピールしつつ合意の上でラストはニャンニャンして(ry」
何言ってるかわからないが、要するに俺はロキの身の回りの世話をしつつ、ロキの傍に常に付いていれば良いらしい。
「1部承諾しかねますが、ロキが喜んでくれるなら私頑張りますね!」
「天使や・・・天使がおる・・・・・・悪かった、下賎な考えを巡らせ欲望に溺れようとしたウチが悪かったんや・・・・・・。」
「?なんだか今日のロキは面白いですね、何時もはクールビューティって感じでかっこいいのに」
「フェ!?・・・・・・・・・クールビューティでカッコいい・・・?ウチが・・・?」
「?」
「貴女が神か・・・」
「いえ?ロキのメイドですよ?」