オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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前書きに書くことがなくなってしまった!

おはこんばんにちわシフシフです。21話ですよ。

うーん、真面目にあらすじとかにしますか。


レベルが3に上がり、体慣らしを兼ねてアイズ、ベル、命、千草、桜花、リリルカと実戦形式の鍛錬を行う。

そしてギルドからの呼び出しに買い物ついでに出向くのだった。


オラリオ編:戦争遊戯
21話「これ下さい。お幾らですか?」


ここは天界からほんの少しズレた所にある色々とズレた神が住む特殊な領域―――――――そう、僕だよ。

 

やぁみんな。僕だよ☆ミキラッ!・・・HAHAHA、そんなに喜ばないでおくれよ・・・僕だよ☆。え?うざい?この僕が?完璧で最強で最かわっ☆な僕が?そんなバナナ、どうやら少し君の観点はズレているようだ、この僕がウザイだなんて・・・┐(´∀`)┌ヤレヤレ。

 

巷では僕の事を駄神なんて呼ぶ酷い奴がいるけど君達は違うと、ボクは知っているからね、・・・さて、何でこに呼んだかって事なんだけど・・・まぁ一言で言うなら・・・最近・・・僕の出番が少ない・・・!そしてボクは思った!なら呼べばいいじゃないかと!☆HA・HA・HA☆そんな目で見るのは止してくれよHoney、私の様なGENTLEMANにその様な視線は頂けないな、このgreatでperfectなGODであるこのあたすを崇める時は何というか静かで、救われてなきゃあいけないんだ。

 

まぁ本題に入るとそろそろ不味い事になって来ているんだよ。オラリオの神々が彼を狙っているんだ。

 

え?完璧なのに情報が遅いって?何を言っているだチミは、私は彼をこの世界に送る前からこうなる事を望んでi知っていたのさ!え?確信犯?いやいや確神犯ですぜデュフフww

まぁ狙わないわけないよねー、僕は狙わないよ?僕ならもっと・・・そうだなぁ・・・リヴェリア・リヨス・アールヴみたいな子がいいなぁ、うん。

 

そんな事より、僕は力が弱くてね、この世界だと彼以外に干渉する事が出来ないんだ。この前なんて魔道書に彼が吸い込まれていた時オイラが会いに行っただろ?魔道書の問答を終えて、僕が彼の能力について教えてあげようと思ったらそこに居なくてさー、ウチはあの本が焼かれて捨てられるまでずっと閉じ込められていたんだよね〜。彼が中に居たから入れたのにねー。

 

まぁ彼以外に干渉できない以上神々の突撃を止めることは僕には出来ない・・・俺っちがもう少し力が有れば出来たんだけどね、あと10年若ければのう。それで・・・多分神々は君たちに醜態を晒すはずだ・・・怒らないでやってくれないかな?一応神だし・・・俺もね?

 

さぁ、じゃあ見てみようか彼の記録を。

 

 

 

 

 

『こちら「(ブラボー)」・・・目的地に到着――どうぞ』

『了解だ。こちら「(アルファ)」、各員に告ぐ、・・・・・・死ぬなよ!』

『「(チャーリー)」了解!』

『「(デルタ)」了解!』

『「(ブラボー)」了解!』

 

神々が街をゆく人々の間を縫って、特殊部隊の様に進軍する。実は彼らは「魂魄妖夢を見守り隊」の中の精鋭部隊なのだ。そもそも魂魄妖夢を見守り隊とは妖夢を観察しニヤニヤするだけの会だったのだが・・・欲望とは満たされると次のステップへと移行するものである、そのため・・・もはや見守るなんて甘っちょろいこと出来るか!と行動を開始する者達があとを絶たない。しかしながら今の所全てが穏健派の武人オッタル(フレイヤに無理矢理会員にされた)と守護神タケミカヅチ(そもそもこの会を開いた張本人)によって防がれている。

 

しかし、度重なる突撃(チャージ)のすえ彼らは神業とも言えるチームワークを手に入れたのだ。

 

現在の配置はA、Cが地上正面。Bが屋根の上を。Dが遠い所から双眼鏡を覗きながら一定距離を保って屋根の上を着いてくる。

 

離れている彼らが会話をし、高いレベルでの連携を取れているのはひとえに彼らの持つ通信機のお陰だろう。なんとわざわざそれだけの為に【神秘】をもつ冒険者に大金を積んで作らせたのだ。

 

HQ(本部)HQ(本部)!』

『こちらHQ・・・どうしたA?』

 

彼らは特殊部隊、そう、バックが居るのだ。HQ・・・つまりは「魂魄妖夢を見守り隊」の過激派の連中だ。

 

目標を発見!(魂魄妖夢)繰り返す!目標を発見!』

『おお!デカした!行け!捕らえろ!』

 

Aが興奮した様子で声を荒げ、本部に発見の有無を伝える。Aの目線の先にはステイタスの更新が終わり、ダンジョンへ肩慣らしに向かおうとテクテク歩く妖夢の姿が。

 

しかし・・・。『アルファー!チャーリー!逃げろー!奴だ!奴が来tグワァァァア』

『畜生!Dが殺られた!・・・あぁ・・・見える・・・ここから・・・Dが・・・くそっ!逃げろ!逃げろおおぉおお!』

 

アブシッ!と変な声が聞こえた所で通信が途絶える、AとCは顔面蒼白となり駆け出す・・・しかし、さすが変態神(ロリコン)と言ったところか、逃げる方向は妖夢がいる方向だ、彼らは賭けに出たのだ、オッタルに捕まりボコボコにされるか、妖夢に触れてからボコボコにされるか。実に賢い選択だろう、オラリオ最強の恐怖に負けず、自分の欲望を優先したのだから。もちろん、結果など言う必要すらないだろう。

 

そしてHQでは、特殊部隊が殺られた瞬間から撤退の準備を始めていた。毎度毎度場所が変わるHQ・・・今回はダイダロス通りのボロ屋に場所が指定されていた。何故毎度毎度場所が変わるのか・・・それは・・・こういう事だ。

 

「・・・見つけたぞ・・・貴様ら・・・!」

 

背後にゴゴゴゴ!と文字が浮かんで見えるほどの圧倒的な殺気と怒気を携えて、ボロ屋の扉を蹴破ったのは・・・タケミカヅチだ。神々達は大混乱だ、タケミカヅチは基本的に優しい、そのせいで天然ジゴロとか言われてしまっているのだ、しかし、彼は自分のファミリアの団員に手を出そうとすると武神・・・いや、鬼神のような形相でボコボコにしようと迫ってくる。現在のオラリオでタケミカヅチに勝てる神は武神や軍神入れたとして居ない、つまり・・・虐殺だ。

 

「逃がさん!毎度毎度場所を変えやがって!ドンだけ執拗いだお前達は!」

 

そう言いながら神々達に正義の鉄拳を振りかざす。ドゴゥッ!ボゴォッ!と決して体から鳴ってはいけないような音を出しながら吹き飛ぶ変態神達。縮地や跳躍術を持つタケミカヅチからは決して逃げることは叶わない。タケミカヅチは優しい・・・決して気絶しない程度の威力で気絶するまで投げる蹴る殴るの暴行を加えてくるのだ。

 

「アブシッ!オブジェッ!フンドゥシッ!」

 

謎の奇声を上げて倒れる神々。その中央で仁王立ちし、満足げに頷くタケミカヅチ。

 

こうして妖夢の日々の平和が守られている事を妖夢はまだしっかりと認識していない、でも、二人からすれば別にそれでいいのだ。恩を着せる為にやっているのでは無いのだから、片やフレイヤの命、片や父親として。2人は今日も魂魄妖夢を付け狙う変態神をシバキ倒すのだった。

 

 

 

 

 

『グ・・・・・・うぁー・・・生きてるか?アルファ・・・』

 

Dからの通信がAの元に届く。その他メンバーにも届いているだろう。

 

『あぁ・・・何とかな・・・、なかなか・・・やるじゃないかあのムキムキ野郎・・・』

 

気絶するまで首を絞められて尚ストーカーを止めないのだから彼らも凄い。そしてやられる回数を重ねる事に首を絞められて落ちるまでの時間も伸びているのだ。いつかはオッタルの手加減が出来なくなるかもしれない。

 

『なぁ・・・提案があるんだけどよ・・・』

『ん?誰だ?』

『Cだよ、いま真面目な場面だろうがふざけんなよ』

 

けして真面目な場面などではないのだが彼らの目は、声は真剣そのものだ。Cには何か作戦が有るのか無線の奥でニヤリと笑った。

 

『団員達を集めて襲わせよう!』

 

最早手遅れである。『それだ!』『その発想はなかった!』『なん・・・だと?』と一様に反応を示すバカ達。しかし、現実は甘くなかった。

 

『いや、でもさ、勝てなくね?誰かレベル4とか居る?』

『『『居ない』』』

 

そう、勝てると思われる団員が彼らの中には居なかったのだ。

 

『だよなー、だってレベル4のモンスターに勝ったんだろ?』

『え?レベル3じゃねぇの?』『はい?レベル5だろ?』『あれ、俺はモンスターの大群と戦って殲滅したって聞いたぞ?』

 

誰も彼もが別々の情報を提示する、しかしその殆どはヘルメス・ファミリアによって操作された物だ。

 

『おうふ、情報操作されてやがるのか・・・ヘルメスかウラノスだな?問い詰めても絶対吐かないと思うけど』

『これじゃ迂闊に攻めれないな、下手すれば団員は全滅、俺達はタケミカヅチ達によって駆逐される。』

『うーん、真正面からはキツイかもなー、・・・奇襲は?奇襲はどうだ、ダンジョンから帰ってきて疲れている所を集団で襲いかかるってのは!』

『天才か!』『勝った!第三部完!』『奇襲するのは構わないが・・・別にお触りしてしまってもいいのだろ?』

『いやいや、オッタルがいるだろ、どうするんだよ』

『神に祈れ』『俺が!俺達がガンダムだ!』『神じゃないのかよお前ら!?』『ゼロは何も教えてはくれない』

『さっさと準備するぞ?!』

 

 

 

ドモドモ、オレです。ダンジョンに行くつもりだった俺は天切が折れている事を思い出す、そしてそのままUターンしてホームに帰った後お金と千草、あとは命を連れてギルドに向かった。何だか酔っぱらい達がうんうん唸りながら道端で寝ていたが、まぁオラリオでは結構常識的だ。ホームに帰った時に桜花から「ギルドが妖夢を呼んでるぞ?・・・もし行きたくないなら俺に言ってくれ。」と心配そうに頭を撫でながら言われたので心配させない為にもさっさとギルドに向かおう。レベルアップの報告も済ませないと。あとはレベルアップの参考書的な奴も作るんだったか・・・まぁ先に武器だよね。

 

ギルドに着いてバレないようにコッソリエレベーターに近づき上に上がる。エレベーターが稼働した時点でバレたがニコニコと手を振ったら振り返してくれたのできっと問題ない。

 

 

さぁ!やって参りました、ヘファイストス・ファミリアの武具屋!いやー!どれもこれもいい品ばかりですねー!今回は6階にいますよー、ここは少々お高い防具が揃っておりますー、更になんと極東の出身者もいるとの事で武者鎧も作れるそうです!(千草調べ)

 

そう・・・遂に僕も鎧を着る時が来たっ!俺もね常々思ってたのよ、防御力が足りねぇと。この前だってそうだろ?一撃受けただけで戦闘不能になっちゃったし・・・。極東の鎧にするのは皆とお揃いだからってのも有るけど、先手必勝を掲げる極東の戦士達は盾を持たない、だから頑丈な鎧を着て両手で武器を持って突撃する、つまりは相当に頑丈なものもある筈だ。確か紙や布で出来た物や、鉄や銅を使った物など種類も色々と会ったと記憶しているから・・・でもどうせなら鉄がいいよね・・・あ、そう言えば特別な鉱石ってダンジョンで掘れるんだっけ?いつか掘りにいこうか。

 

「妖夢ちゃん!こんなのはどう?」

 

千草が鎧の籠手を持ってくる、色は命や千草と同じ赤、おお、いいんじゃないかな?何で籠手だけ?って思ったけど普通に考えれば全部なんて持ってこないよな。

 

「おお!いいんじゃないですか?お揃いの色ですね」

 

流石千草だ、と賞賛し、受け取ろうと近づいた所で命が籠手を持って現れる。

 

「妖夢殿!これはいかがですか!」

 

目をキラキラさせながらグイッと近付けてくる命、きっとこれだ!って奴を見つけたんだと思う。色は白。

 

「半霊と同じ色ですね、これもいいかも知れません。」

「そうですか!じゃあ早速・・・」

「私のが先だよ命ちゃん!」

「な!なんと!先を越されていたとは・・・」

 

・・・眼福がんぷく・・・。どうしようか、まさか二人共いい物を見つけて来るなんて・・・、どちらも捨て難いけど・・・両方付けたら凄い事になりそうだしなぁ・・・代金と見た目が。

 

「はやくはやく!そこの試着室で着よ!」

 

千草に腕を引っ張られて試着室へ、鎧着るのとか子供の時以来だなぁ・・・あ、殆ど変わってなかった・・・。

 

 

 

こ、こんな感じか・・・?ちゃんと着れてるかな?うーむ、後ろの方とか解らないからなぁ、ま、千草がやってくれたし平気か。タケミカヅチ・ファミリアの伝統なのかなんなのか分からないが胴体を守らないのは何でだろうか、と思ったが正直鎧に身を包むより素早く動けた方が俺達タケミカヅチ・ファミリアは強い。なので鎧を付けるにしても肩や腕を守る袖、腰から太腿を守る草摺や、射向草摺などの攻撃の起点となる部分のみを守っている。なんていう脳筋集団なんだ・・・守ったら負けって言ってるよね。

 

赤い袖と射向草摺を普段の洋服の上から装着する。ちなみに選んだ鎧は大鎧と呼ばれる大型で重装甲な鎧だ、これは本来馬上で使う物で、徒歩戦闘には向いていない、けど胴などの、動きを制限する物を着けていないため、戦闘には支障もない。

 

「おお〜!似合ってるよっ!」

「む、むむむ、・・・で!ですがきっとこっちの方が!」

 

出てきた瞬間命に肩を押され試着室へ。そして数分後白い袖と射向草摺を着けて再登場。

 

「ほら!どうですか千草殿!」

どうして命が自慢げなんだ・・・。

「ぐぬぬ・・・」

何がぐぬぬだ千草。・・・ふぅ、まあいいか。いや〜平和って素晴らしい!防具選ぶ平和って何だとか言わない!

 

「では両方の色を使いましょう!白地に赤をアクセントとして加える感じで・・・」

 

俺はそう言って近くにあったテキトーな白主体の鎧を指さす。俺の提案に命は嬉しそうに、千草は渋々と言った感じで頷いた、きっと自分の選んだ色が主体の方が良かったんだろう。俺は袖と射向草摺と草摺とを持ってカウンターへ向かう。

 

「これ下さい。お幾らですか?」

 

そう言ってカウンターにそれらを乗せる。すると店員はニコニコとしながら鎧を手に取り少し眺めた後値段を教えてくれる。

 

「ふむふむ・・・製作者はアイツか、なるほど少しは腕も上がったなぁ。ああ悪かった、値段は8万ヴァリスだよ。」

 

高い、説明不要。・・・嘘だろ・・・これ一式買ったら幾らになるんだよ・・・。仕方ない、金は払ってやる!くそう、折角のお金が・・・。あと12万しか残ってねぇ・・・

 

「毎度あり〜。」

 

店を後にした俺達は2つ隣の店に入る、ここは猿師の奥さんの清美さんに教えてもらった所だ。素手で戦うのに何でこんな店を知っているのだろうか?

 

「いらっしゃいー、まぁ見ていきな。ここではオラリオには余り出回らない武器が置いてある・・・値段も、安い。」

 

店主の言う通り何だか珍しい武器が沢山ある。極東の刀などはもちろんあるが・・・傘の先端に槍、いや、槍の先端に傘か?あれは・・・盾に斧がくっ付いてるのか、そこはスパイクにしとけよ。・・・とかよく分からん武器が沢山だ。

 

「え、えーっと・・・その、妖夢ちゃん?ほ、本当にここから探すの?」

 

千草が引いてる・・・俺は若干興奮してるぞ、だってロマンだろ?実用性なんて投げ捨てたロマンの武器たち・・・いいじゃないか・・・!

 

「もちろんです!さぁ!頑張りましょう二人共!」

 

 

 

 

しばらく店を探索し、剣の扇や魔石を動力にして回転するドリルみたいな槍や2本の剣の柄の部分を押し当てると合体する剣など、・・・俺は見ているだけで満足した。

 

「み、見つけたよ〜」

「見つけました〜」

 

2人が俺の元に目を回しながらやって来た。その手にはお互いに1振りの刀が握られている。2人の話によるとこれだ!と手に取った結果、同じ物を選んでしまったらしい。しかし、その商品は夫婦剣との事で2振りで1つらしい。そのせいで買う人が現れずお値段が下がっているらしい。何故夫婦剣が残るのか・・・オラリオの民達は分からんなぁ。もちろん欲しいです!

 

「12万3千ヴァリスです」

 

た、足りねぇ!どうしようこのままでは働かされるぞ!

 

「はいどうぞ!」

 

おーっとすかさず千草がヴァリスを出したー!命が目を見開いているー!そして千草は振り返りドヤ顔だー!命が崩れ落ちたー!・・・何やってんねん。でもありがとうな。

 

「ありがとうございます千草。命もですよ」ヨシヨシ

「えへへー」

「う、うぅ・・・妖夢どのぉ〜」

「あ、あはは」ヨシヨシ

 

おい、止めなよ、店主見てみろって、すげぇ困ってんから。刀を差し出した格好のままずっと待ってるから。眼帯に禿頭な顔で困ってるから!そして何より恥ずかしいからっ!てか外見的には俺が1番年下よ?!

 

「あー・・・この刀は黒い方が黒糖。白い方が砂糖だ。・・・本当だぞ?」

 

オラリオの住民達の考えってのは「実用性重視」だから中二病とか男のロマンとかそういった物はそこまで追い求めない筈なんだけど・・・ここはどうやら神々に毒された職人達が作ったロマンが置いてあるお店らしい。武器の名前は随分と甘そうだけど。

 

お店に対する知識がより集まった所でお礼を言って店を出ようとした所、店主から声が掛かる。

 

「ああ、そうだ、それにゃ特別な属性が付与されていてな、互いに引き合うんだ、離れたくねぇってな。」

 

は?えっ!?そんなっ、え、こんな値段でいいの?もっと高くなくていいの?驚きがハッキリと顔に出ていたのか店主は禿頭をかいて苦笑しながら教えてくれる。

 

「仕方ないだろ・・・セットで買わないと値段が上がる、しかもこんなイカレた店で売ってんだ、誰も買いやしねぇよ。嬢ちゃん以外にな」

 

さり気なくディスられたがまぁいいか、ラッキーラッキー、こんないい物が手に入るなんてなかなか無いぞ!

 

「はいっ!ありがとうございましたっ!」

 

さぁ後はギルドでお話を聞くだけだ!

 

 

 

 

ギルド職員のジジ・ルーシャが自分の担当冒険者である魂魄妖夢を連れてロイマンの元へやって来た。ジジは綺麗な礼をして部屋を退出する。

 

「君が魂魄妖夢かね?」

 

ロイマン・マルディールはブクブクと太った身体を揺らし、目の前ソファーにちょこんと座る小さな少女に問いかける。妖夢は「はい!」と元気よく返事を返した。

 

「本来では私がやる事では無いのだがね・・・まず、何処で【血濡れのオーク】と出会したんだ?」

 

その問に対し、妖夢は以下のような説明をした。

曰く十一階層で不意に現れた。

曰く体は赤よりも紅く、目は光っていた。

曰くとてもはやく、残像を作り出す程だった。

曰く冒険者のものと思われる大剣を振り回してきた。

曰くベート・ローガが助けに来なければ絶対に死んでいた。

 

「・・・ふむ、ベート・ローガ所は初耳だな・・・。なるほど、君のような小さな子があれほどのモンスターから生き延びた理由は分かった。」

 

しかし、彼女も、ほかの者達も、果てはベート・ローガ本人さえ「妖夢が倒した」と言ってはばからない。レベル2がレベル4を倒す?何を言っている。ロイマンは鼻で笑う。そもそも耐久が違い過ぎて攻撃が通るはずが無いのだ。魔法を使ったのか?

 

「魔法は使えるのか?」

 

これはご法度、冒険者のステイタスを聞くのはあなたの弱点を教えて下さいと言っているようなものだ。これは取り敢えず聞いてみただけで本当に答えてくれるとは思っていない。そもそもこんなチビでもそれくらいはわかる筈。

 

「はいっ!楼観剣と白楼剣を召喚できます!」

 

コイツは馬鹿なのか、ロイマンは妖夢の評価を下げる。しかし、仕方ないだろう。彼女は権力に慣れていない。つまりは・・・

 

「(き、緊張する!!!)」

 

まともな思考が出来ていなかったりする。その後も妖夢は致命的な部分だけは隠し通すことに成功し、殆どを正直に話してその面会は終了した。

 

魂魄妖夢は正式にレベル3となり、1冒険者としての地位を僅かに高めた。年齢に似合わぬ実績、外見にそぐわぬ実力。・・・ロイマンはそういった情報が書いてある資料をしっかりと読み、机に置いた。彼から見れば妖夢は所詮子供だった。ロイマンは妖夢を追い出すように部屋から退出させた。

 

しかし、ギルドや一部の情報通な神や冒険者からはロイマンは「魂魄妖夢を部屋に連れ込んだデブ豚」や「ロリコンの恥」と悲惨な二つ名を増やす事になった。彼の名誉の為に言うと、彼は手を出したりしていないし、そもそもボンキュボンなお姉さんしか興味が無かったりする。

 

『おのれおのれおのれおのれおのれおのれ!ロイマンの豚やろう!』

『おおおおおおお落ち着けA!』

『まだあわわわわてる時間じゃななななない!』

『C!D!B!お前らも落ち着けよ!』

『Bはお前だろうが!?』

『ぶち殺すっ!』

『止めて!天界に送られたら地獄の様な仕事が待ってるぞ!』

『・・・やっぱり半分殺す!』

『そういう問題じゃないからっ!?』

 

 

 




挿絵、載せておきますね^^{IMG15948}

批判・・・待ってます(ガクブル)

【オリキャラ:ジジ・ルーシャ】

キャット・ピープルの女性、毛並みは茶色。
共通語が不自由で特徴的な訛りを持つ。次回、次次回と登場が確定しているキャラクター。


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