オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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極東編
1話:プロローグ「みょん?」


やあ、俺は転生者だ、何を言ってるか分からないかもしれないが転生者なんだ。

 

これからは銀髪のイケメンとして異世界でヒャッハーしようと心に決めて、こうして目を覚ました。

 

だが、何かおかしい。俺は自分の姿を確かめる、まずは手、細く白く短い(・・)触れたら折れてしまいそうな綺麗な手だ。次は身体、麻布のボロっちい服を着ており、未発達ではあるが女だ・・・。・・・既にいろいろとおかしいが、顔を確認しなければ。俺は近くにあった森に囲まれた湖をのぞき込む・・・んで顔は・・・幼いながら非常に整った顔立ちだ。白い肌、銀の髪、青い瞳。・・・・・・・・・妖夢?

 

いや、おかしいだろおぉぉぉォォ!!あれ!なにこれ!おかしくね?!俺さ言ったよね神様!銀髪で刀を使うキャラクターって言ったよね?!俺のイメージ的には坂田銀時だったんだけどおおおぉぉ!?しかもなんで子供状態なんだあああああ!

 

「みょおおおおぉぉぉん!」

 

鈴のような綺麗な可愛らしい声で俺は叫ぶ。

 

声可愛いなおいっ!嬉しくねぇよ!普通あれだろ?こういう声の人をヒロインとしてよこすとかさぁするんじゃねぇの?・・・ダメじゃん、俺をこの声にしちゃダメじゃん。・・・ったくどうしてこうなったんだ・・・

 

 

どうしてこうなったかは少し前に遡ることになる。

 

 

 

 

 

俺は何も無い所にいた、何も無いってのはこう・・・説明しずらいんだが、周りの何かを知覚出来ないって感じだ。でも何故か心地よかった、このまま消えてしまうのだろうとなんとなしに思っていた。

 

しかし、そこに何かが現れた、俺以外の知覚出来る何かは俺に話しかけてきた。

 

「゚з゚)ノ チィーッス、どうよ元気?おれ?俺はマジチョーイケテルって言うか神様だぜ?マジ元気だぜ?」

 

――・・・・・・は?何?てか誰?。目の前に現れたのは何かチャラチャラした男の人だ。

 

「誰とかないわー!俺だよ俺!忘れちゃった?・・・・・・初対面だっわウケるwwwwww」

 

――・・・あ、うん、そうですね、ところでここは?どうして俺はここにいるんだ?

 

「あれ?説明してなかったっけ?あー、悪い!!!お前死んじゃったわ!いやーなんて言うか・・・書類ミス?ってやつだ、うん。・・・・・・(๑>؂•̀๑)テヘペロ」

――つまりお前は神様で、書類ミスで俺は死んでしまったと?

 

「そうそう!いやー話が早いねーっ!ホントは死ぬ筈じゃなかったんだぜ?俺のミス俺のミスwww」

 

――ぶっ飛ばしてやろうか?・・・・・・・・・なぁ、俺の家族は・・・。そう、俺は家族四人で車に乗っていたはずだ、家族どうなった!?やっぱり死んじまったのか?!アンタの書類ミスで!?

 

「あれ、もしかして怒ってる?やだなーもうっ!死んだのは君だけさ!・・・えーっとマニュアルにはなんて書いてあったかな?んー何処だろ・・・あ、あったわー『間違えて殺してしまった時の謝罪方法』なになに・・・ほう、転生ねぇ・・・面白そうじゃないかぁ・・・どう?やるかい?」

 

――俺だけなんかい!どうしてだよどうして後部座席に座ってた俺だけピンポイントで死んでんだよ!・・・え?転生ってあの転生?

 

「そうそうそれそれ!やる?やっちゃう?俺はぜひおすすめするね!あ、ちなみに死因はポテチの爆発な。っとちょっと待ってな・・・なるほど『容姿や能力などの要望を、可能な限り叶える事』か。何かかなりたい者とかあ

る?」

 

―ぽ、ポテチて・・・。

 

その時、俺の脳裏に浮かんだのは戦い、厨二病(男の子)である俺らしいと言えば俺らしい。戦いと言えば剣だ、これは個人的な意見だが戦いはやっぱり接近戦の熱いものほど燃える。そして剣と言えば刀だろう、日本人だからね仕方ないね。

 

そして考える・・・どうせ生まれ変わるならかっこいい姿になってかっこよく戦って女の子にキャーキャー言われたいっ!と。思い浮かべるのはとあるギャグ漫画の主人公、銀髪で刀を持っていて目が死んでるけど戦うときはめっちゃ輝いてかっこいい。・・・おれ、転生したら絶対死んだ魚の目はしないように、しよう。

 

「決まった?一応言っとくけどさ、これ返却効かないからね?クーリングオフないよ?OK?」

 

――OK(ズドン)・・・えーっと、そうだな、金髪もいいけど、やっぱり銀髪かな、それで武器は刀を使ってる奴がいいかな。名前はg「OKOK!よくわかった!オレも実はそうじゃないかと思ってたんだよこれが!」・・・お、おう。

 

「よーっし!じゃあランダムで飛びますか!」・・・え?説明は?俺の容姿やら能力やら説明が必要だろうが!

 

「転生の旅へ1名様入りまーーーすっ!」ち、ちょま

 

光があふれる―世界は光に包まれ体が宙に浮くような感覚の後、・・・思いっきり地面に激突した。

 

 

 

そして冒頭に戻る。

 

なんで俺が妖夢になったんだ?絶対にあの駄神の趣味だろ・・・いや、嫌いじゃねえけどさー最後まで話聞けよ、だから書類ミスすんだよ

 

『魂魄妖夢』東方プロジェクトに登場するキャラクターで白玉楼の剣術指導者兼庭師。そして半人半霊という半分人間半分幽霊の幻想郷でも珍しい種族で、二刀流の使い手だったはずた。

 

そこまで思い出して俺は、ん?と疑問を浮かべる。

 

「・・・あれ?半霊が居ない・・・何処でしょうか」

 

キョロキョロと辺りを見渡してみると、視界に何かが映り込んだ。ふと考える、転生、世界の選択はランダム、・・・チュートリアル的な敵が出てきてもおかしくはない、むしろ何が現れるかでここがどこの世界かわかるかもしれない。

 

何が出てきやがるんだ?出来ればスライムとかわかりやすいのがいいけど。

 

視界に映り込んだ何かの方へゆっくりと振り向く、―そこには―俺がいた、そう、俺だ、俺としか思えない白いふわふわした何かだ。だがわかる、あれは俺の半身でもう一つの肉体なのだと。・・・って・・・。

 

「半霊じゃないですか!うわっ、触ってみたかったんですよね!何かひんやりしてるらしいですし!柔らかいのかな?」

 

俺は1人ではないと言う安心感と生で有名人を見たかの様に興奮しながら、やはり少し小さい半霊にしかし怖がらせないようにそ〜っと近づいていく。そして・・・ポム、ポムポムポムッ

 

「や、柔かいし弾力がある。・・・想像の斜め上を行きやがりました・・・なんだこれマシュマロみたいだ、しかもひんやりしてまする」

 

うわ〜、モフモフモフモフモフモフモフモフ

 

「・・・っは!・・・恐ろしいです、人を感触だけで魅了するなんて・・・。これを超える八雲藍の尻尾とは一体・・・。それにしてもここはどこの世界なんでしょう」

 

ここにいても埒があかない、少し動き回ってみるか・・・。と俺は歩き始める、目的地は無し。ぶらりと歩こう。旅のお供もいるしな(自分の半分)

 

「それにしても、なんで話し方がこうなんでしょうか?」

 

話してて違和感がすごわー。

 

 

 

 

 

 

「―ハァ・・・は、ハァ―――っ、ここは何処ですかあああああぁぁぁあ!」

 

3時間歩いても森は抜けねぇし!小鳥以外に生物すら見かけねぇ!体が小さいからか体力もねぇし・・・くっそ、このまま野垂れ死ぬのはゴメンだぞ・・・!

 

「うぅ・・・、あっ、そうだ!半霊!空を飛んで周囲を見てきて!」

 

どうやら迷ってしまったらしい俺は、なぜ今まで思いつかなかったんだ、と言いたくなるようなアイデアを実行する。

 

自分も飛ぼうとはしてみた、けどこの体じゃ飛べないらしい・・・。肉体年齢が低いのが悪いのか、実力が無くては飛べないのか・・・まだ不明だが、これでっ!・・・あれ?そう言えば半霊って話せないんじゃ・・・

 

しばらくすると半霊が降りてきた、・・・それだけだった。

 

ガーン!と落ち込んだ俺はもう歩く気力すら失った、とりあえず今日は疲れたから休もう。俺は近くにある大きめの木に寄りかかり、目を閉じた。

 

 

『お?』

 

何故だろう、目の前に妖夢がいる、いや、正確には更に幼い妖夢(幼)だ。非常に疲れているようでぐっすり眠っている。

 

『動けるのか?』

 

どうやらこの状態でも動けるようだ。

 

『変な夢だな、まるでついさっきまでの俺じゃないか。・・・・・・・・・あれ?半霊は?』

 

ぐるりと辺りを見渡す。それらしき姿はない。

 

『つまりは・・・俺が半霊?寝ると半霊として行動できるのか?・・・そうか、この状態で飛べば辺りの地形を見渡せる筈だ。』

 

そしておれは遠くにちいさな村を見つける。

 

『おお!村だ!・・・待てよ、随分と文化レベルの低そうな村だな、ぜってぇ電気とか通ってないよなあれ』

 

体が休息をとっている間に色々とまとめておこう、まずは、俺は転生者で、少なくとも外見は幼い魂魄妖夢だ。半霊もいる。わかっていることといえばここは巨大な森であり、小鳥が住み着いていること、森を抜けた先に文化レベルの低い村がある事。武器はない。・・・半霊はポムポムしていて弾力があり、ひんやりしていた事位だろう。

 

『正直な話、この世界が何処の世界なのか全くわからん、ヒントがすくなすぎる。だがそれも明日でさよならだ、村人に接触すれば何らかの情報が絶対に得られるはず・・・言葉は通じるよな?』

 

俺は一抹の不安を胸に体の元に降りていく。・・・なんだかうなされているらしい、俺が近づくとギュッと抱きしめられる。そして俺の意識は暗転した。

 

 

 

 

「あ、あの!すみません!えーっとですね、その、教えて欲しいことがあるんです」

 

あの後きちんと体に戻った俺は村の方角に足を進めた。今は村人にこの世界のヒントとなり得る都市の名前等を聞こうとしている最中である。

 

「お嬢ちゃん、1人でここまで来たのかい?よく来たねぇ、辛かったろう?。ささ、アタシんちにおいで、お腹減ったろう?」

 

いかにもなお婆さんに話しかけたのだがどうやらご飯を食べさせてくれるらしい。

 

おおっ!やったぁ。と思い付いていく、周りを見た感じどことなく大昔の日本の様な所だ。しばらく歩いていくと、どうやらお婆さんの家についたらしい、なかなか大きな家だ。

 

「さぁ、あがりなさい」

 

お婆さんがこちらに手を差し伸べる、俺はその手をとって家に入った。

 

「お、おじゃまします・・・」

 

家の中には囲炉裏やら釜やら置いてあり、日本をますます思い起こさせる。

日本語も通じているし昔の日本に飛ばされてしまったのかもしれないな・・・、それにしてもこの体は話しにくい、声帯が完璧じゃないのか?勝手に翻訳されて俺の荒々しい言葉では無くなるしな・・・。

 

「いいのよいいのよ、さぁ今からご飯を作ってあげるから・・・、そうねぇ・・・折角上がってもらったけど村を探検してきたらいいんじゃないかい?しばらくしたら戻っておいで」

 

「は、はい!いってきます!」

 

ラッキーだ、ご飯ができるまで何してよう、と思っていた所だったんだ。いい人だな、と思いながら俺は外に出る、村の広さは空から見た感じだとそこまで広くはなかったはずだ。俺はトコトコと歩いていく。因みに変な警戒をされない様に半霊は山に置いてきた。この世界に妖怪が居るのかは知らないし、妖怪の立場も解らない以上目立ちたくはない。・・・いや、最終的には目立ちたいけどさ、いい意味で。女の子から・・・俺が女の子じゃねぇか・・・、こうなったらイケ妖夢になるしかないのか・・・?

 

 

〜少女探索中〜

 

―探索開始―

 

獣耳っ娘発見

 

「みょん!」初めて見たよ生で

 

ケモ耳(おっさん)発見

 

「みょみょみょ?!」は、初めて見たよ生で・・・見たくはなかったが

 

人間発見

 

「良かったケモ耳だけじゃなかった」

 

獣耳っ娘に話しかけられる

 

「どこから来たの?」

 

「え?ええと、そのですね・・・と、遠くから?でしょうか」死んだらここ来たとか言えねーよ。

 

「ふーん」

 

「で、でわこれで」

 

お店発見

 

「おお〜、見たことの無いものがありますね」

 

「買ってくかい?」

 

「みょん!?す、すみません!お金無いです!」

 

「おっ、おい!どこ行くんだ!・・・逃げちまった」

 

畑を発見

 

「何を育てているのでしょうか?」芋か?芋なのか?

 

―探索終了―

 

〜少女帰還中〜

 

ふぅ、どうやらこの世界はケモ耳が普通に居るみたいだな、とは言え余り数は居なかった。村人40人中8人位だった、一家族らしい。

 

そして店に出ている商品や畑の作物も俺の住んでいた日本とは幾つか違うものがあった。しかしそれだけではどこの世界か解りかねるのでお婆さんからしっかりと情報を聞き出さなくてはダメだろう。

 

この体についていくつか分かったことがある、この体は非常に臆病だ、と言うか感情を隠さず表に出してしまう。そして感情に敏感だ、俺が少しでも怖いとか、嫌だと思うとすぐに声が出るし、足が震える。

 

う〜ん、困ったな。原作の妖夢はこんなんじゃなかった筈なんだが・・・俺のせいか?それとも剣を習う前はこんな感じだったのか?・・・そうだとしたらさっさと剣を習う必要があるな。

 

そんなこんなでお婆さんの家に到着。

 

「ただいま〜。って!人の家でした!すみません!おじゃまします!」

 

「ほほほっ。なに、自分の家だと思ってくつろぎなさいな」

 

「は、はい・・・」

 

めっちゃいい人やー、今晩のご飯はお米に川魚の塩焼き、漬物に味噌汁ととても和風だ。

 

「さぁ、お食べなさい」

 

「あ、ありがとうございます!・・・えと、頂きます。

 

パクッ・・・美味しい!」うまい!1日中歩き回った後の飯はうまい!

 

 

 

食事中だが聞きたいことは山ほどあるので聞いておこうと思う。

 

「あの、ここはなんていう国ですか?」

 

「ん?ここかい?ここはね、極東って呼ばれるかねぇ、お嬢ちゃんの国だと」

 

「私の国だと?ですか?(極東?俺の国?外見の事か?)」

 

「ああ、そうだよぉ。そう言えばアタシも聞きたいことがあったんだよ」

 

「みょん?なんですか?」

 

「お前さんはどうやってここまで来たんだい?」

 

「え?えーっと・・・」

 

やばい、俺は頭をフルスピードで回転させる。なんて言い訳すれば良いのか分からないのだ。このお婆さんは俺が外国から来たと思っている。正直に言うなら死んだらここにいました、だが・・・。あっ!ここはあれだ、両親がこう・・・な。

 

「お、お父さんとお母さんと妹と一緒に・・・今は・・・1人です」

 

別に嘘じゃない、俺は転生する直前まで父母妹俺の四人で車で移動していたのだから。正直な話会えるなら会いたい。死ぬ前に一言くらい言っておきたいものだってあるのだ。そう思うとどんどん悲しくなってくる。ああ、どうしよう、この体は自分の感情にすぐに反応してしまう、・・・ほら

 

「ウゥ・・・グスッ・・・ウ・・・ゥ」

 

「おやおや・・・悪かったねぇ、ごめんよぉ。アタシが面倒を見てあげられたら良かったんだけどねぇ・・・アタシも老い先短いのさ、この村から少し遠いんだけどね?『タケミカヅチ』って言う神様がいるんだよ、お前さんみたいな可哀想な子ども達を育ててくれるのさ、あのお方ならきっとお前を救って下さる筈だよ。さぁ、今はたっぷりお食べ。明日一緒に行こうねぇ」

 

「はぃ・・・ズーッ!・・・頂きます」

 

「強い娘だねぇお前さんは」

 

 

 

 

ご飯を食べ終えた俺はお婆さんと一緒に眠る事になった、誰得だよと思うかもしれないが今の俺に安心して一緒に眠れる人なんてこのお婆さんしか居ない。

 

「ーーースゥ―――スゥ」

 

「(眠ったかな?よしっじゃあ変わるか)」

 

山に置いてきた半霊を回収しようと思ったが念のためお婆さんが寝てからにすることにした。半霊が居ないとやっぱり心寂しいからな。

 

『・・・よし、山の中だ。』

 

俺は村の方へゆっくりとフワフワ飛びながら思考の海に浸かる。

 

『タケミカヅチ・・・か。しかも孤児を育てているとなると・・・この世界は「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」の世界の可能性が非常に高くなったな。』

 

しかし、まだ懸念すべき事は多数ある。

 

『ダンまちの世界だとして、妖怪はどんな立場なんだ?俺は半人半霊と言う種族として迎え入れられるのだろうか・・・。・・・ぜってぇ神様達がヒャッハーするな、これは。誰とは言わんが「うおぉーーー!なんやなんや!半分魂浮いとるやん!どうなってるん?!おもろいなぁ!」ってなるなこれは。』

 

フワフワしていると森を抜け、村が見えてくる。

 

『ん、ついたな、体はしっかり眠れているだろうか?前みたいにうなされていたらお婆さんびっくりしちまうよ。あれ、これ半霊が行ったらもっとややこしくなるか?』

 

俺はスゥーと体の寝ているお婆さんの家に近づき耳を澄ます。何処に耳があるんだとか変なこと言わないで。

 

「うーん、うーん」

「大丈夫かい?少し待ってなさい、お水持ってくるからねぇ」

 

どうやらうなされているらしい。昨日の感じからしてきっと半霊を抱き枕にしないとよく眠れないのかもしれない。

 

お水を水瓶に汲みに行くお婆さん、俺はその隙に壁をすり抜け体に近付く。(因みに壁抜けした瞬間ぞわっとした。)俺の意識は暗転した。

 

 

 

「・・・な・・・きな・・・起きな、お嬢ちゃん」

 

「う・・・うん?ふぁあ・・・みょん?」

 

朝か・・・、俺は眠く動かない体を無理やり起こし布団から起き上がる。どうやらお婆さんが起こしてくれたらしい。

 

「お嬢ちゃん、お前さんは妖怪なのかい?」

 

真剣な表情でお婆さんが俺にそう問いかける。

・・・そうか、半霊を抱きながら寝たから・・・。お婆さんに嘘はつきたくないな。

俺は正直に告白する。

 

「はい・・・そうです。」

 

バレてしまっては仕方が無い、追い出されるのも覚悟しなくては。・・・しかしお婆さんの言葉は俺の懸念を吹き飛ばす。

 

「やっぱりねぇ…」

 

「わかっていたんですか?」

 

俺が妖怪だと分かるような行動は一切していなかった筈だが、どうしてわかったんだ?

 

「はっはっは、伊達に長生きしちゃいないよ。しいていうなら勘さね」

 

「か、勘ですか・・・」

 

はっはっはと快活に笑うお婆さんに俺は女の勘ってすげえなと素直に感心するのだった。

 

「さぁ、朝食をとったらタケミカヅチ様のところに行くよ。ああ、そうだお昼ご飯も持っていかなきゃねぇ」

 

「はい!私も手伝います。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、桜花、命、千草ー。昼の鍛錬を始めるぞ〜。・・・・・・どこに行ったんだ?」

 

タケミカヅチは朝昼晩に鍛錬を行っている、そこで保護した子供たちにも自衛のためにと武術を教えたり鍛錬を共に励んだりしている。しかし、いつもなら庭先に集合しているだろう時間になっても子供たちが居ないのだ。彼らはまだ幼い、そう遠くには行っていないはずだが。

 

「タケミカヅチさま〜!手伝って下さい!!」

 

すると正門の方から声が聞こえてくる。この声は。

 

「桜花か。少し待っていろ!今からそっちに行くから!」

 

桜花は子供たちのリーダー的な存在だ、身長も一番高いし男気があるからだ。何より彼の槍裁きは目を見張る所があり、タケミカヅチも一目置いている。まぁ、タケミカヅチは子供たち全員を可愛がっているので皆不満はない。

 

「どうしたんだ?いつもなら庭先にいる時間なのに・・・何か見つけたのか?」

 

歩きながら正門のに近付く、きっと子供達が面白い物を見つけたのだろう。ついこの間は毒キノコを見つけてはしゃいでいた筈だ、いい機会だからとキノコについてほかの神たちが教えていたな。とそんなことを考えていたからこそタケミカヅチの驚きはなかなか大きかった。目の前に見える光景は決して毒キノコ等ではなく・・・。

 

 

そこには銀髪の幼い少女が血を流して倒れている光景だった。




こんな感じでいいのだろうか?

―追記―

妖夢の妖怪扱いは伏線です。

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