第1話 英雄の幻想入り
『ーーー』
ああ、またこの夢か
『ーーー』
あの時から、俺は必ずこの夢を見る
『ーーーヤ』
あの時、俺が決断した時から
『ーーイヤ』
あの時、“アイツ"が決断したように
『エイヤ』
あの時、何故俺は手放してしまったんだろう
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目を開けたらそこは竹林だった。
あの部屋から一瞬でこんな所まで来られるスピードは出せないし、まずあそこから竹林なんてものは無いはずだと考え、ここはまったく違う場所だと青年は思った。
(此処は何処なんだ……。あの“幻想郷゛とかいう場所なのか?)
ま、とりあえず此処から出るか。と呟いて歩きだした。
数十分後
歩いても歩いても一向に出れる気配を感じられないことにたいして
「……腹へった」
そう言いながらその場に倒れ込んだ。あたりは、風によって動く笹の音しか聞こえなくるほど静かになり、青年は何処か遠くを見るように空を見上げ、黙り込んだ。
暫くしたら、頭の方から落ち葉を踏む音が聞こえ始めてきて、青年は起き上がりその音のする方を見ると、人とは思えないおぞましい姿をした化け物が「ウウ~ッ!」と呻き声をあげながら、近付いて来た。
「
「ウボァ~ッ‼」
そう言いながら青年は、自分から妖怪の方に近付いていき、妖怪は口を三日月のように歪ませ、飛びかかってきた。
しかし、妖怪は青年に触れる瞬間、青年はそこには居らず妖怪の
「??」
「…オマエはあの一瞬に何が起こったのかも分からないまま死ぬだろう」
青年はそう言い放ちながら歩きだした……腹に風穴を開けられた妖怪が後ろでべちゃっと音をしながら倒れた。
「……弱いな。……そう思わない?」
ポツリと前方の竹に向かって言い放った。そこから、腰まで届くほどある白髪で、所々に赤白のリボンで束ねており、白のシャツで赤いもんぺを着ている美少女が現れた。
「へぇ~、何時から気付いてたの?……て、おーい」
少女が現れた時青年は、目を見開いて口をパクパクしながら少女を見ていた。少女は青年の様子に首を傾げながら、青年の顔の前に手を振り「おーい」と聞いてきた。その時青年はハッと我に返った。
「お、気が付いた。大丈夫か?」
「あ、ああ、大丈夫だ。問題ない。」
「物凄い不安になったけどいいか。なんでこんな所にいるんだ?」
「俺にも分からん、気付いたらこんな所にいた」
「ふ~ん、ここらじゃ見掛けない服装をしてるから外来人かな」
「?外来人?」
「そ、幻想郷の外から来る人のことを外来人って呼んでいる。…でも、なんか、 アンタの顔、何処かで見たことあるんだよな?」
そう言って、青年の顔をマジマジと見るが「ウ~ン」と呻いているだけで一向に思い出す気配がない。一方、青年は、少女の言葉に一瞬
「そうかもな、ところでアンタ名前は何て言うんだ?」
「そうだったな、俺は
「永夜か、私は
そう言って少女-妹紅は「人里まで案内するよ」と言って歩きだした。それを青年-永夜は目を細めて
「ああ、
と小さな声で呟いて、妹紅の後を着いていった。
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