side:リーゼロッテ/麻帆良学園
ネギ先生と明日菜さんに状況を説明をした次の日、私は麻帆良学園女子中等部への初登校をしている。
余裕を持って早めに登校をしたにも関わらず、人・人・人が雪崩のように各々の校舎へ向かっている。
そんな中で、ふらふらしている私は結構目立つらしく、保健委員の腕章を付けた生徒に「大丈夫?」とか聞かれたり、バイクで朝食を売っている購買部のおばちゃんに「これでも食べて元気だしな!」とか言われて三角形のフレンチトーストとイチゴミルクジュースをもらったりした。
桃色の髪の毛だったり、瞳が青かったりして、日本では結構目立つ出で立ちをしているせいで、ジロジロ見られたりするのはいつものことだったけど、こんな風に自然に気を使われたのは初めてだった。
「人の優しさが五臓六腑にしみわたるでぇ~」
もきゅもきゅと三角形のフレンチトーストを食べながら歩く。
中には濃厚なチーズクリームが入っており、甘さ強めのパン部分とのハーモニーが癖になりそうだ。
これだけでもかなりのカロリーになるだろう。
無論、ダイエット的な意味ではなく、生存する為に必要なカロリー的な意味で。
さらに、イチゴミルクジュースも素晴らしい。
ただのイチゴミルクジュースと侮る無かれ。市販のものとは違い、フレッシュな牛乳に、酸味と甘みが絶妙なイチゴがクラッシュされて入っている。
程よく形の残ったイチゴの粒の食感も心地よく、口の中でさわやかな牛乳と混ざり合い、新しい味を生み出す。
深く独特な甘みに首をかしげて原材料名の部分を見てみると、砂糖や人工甘味料が使われておらず、代わりに蜂蜜が入っている事がわかった。
その上、とってもリーズナブルで、お値段たった百円。
パンも百円だから、合計二百円で気軽にこんな美味いものが食べられる麻帆良学園恐るべし。
ま、昨日までの私だったらとてもじゃないけど、手を出せなかったけどね。
なんせ、全財産が五十三円ぽっちだったから。
でも今日からの私は違うのですよ!
財布には、学園長先生から支給された五百円相当の食券が入っているのです!
ネギ先生の話によると、これさえあればあの夢にまで見たステーキ定食すら食べる事ができるんだとか。
ああ、魅惑のステーキ定食~。
「じゅるり」
おっと、公衆の面前でよだれを垂らす所だった。
などと妄想していると、あっという間に校舎に着いた。
昇降口から入り、案内板に従って数分歩くと職員室にあっさりとたどり着いた。
職員室でネギ先生を探し、朝のホームルームでの紹介の打ち合わせをしたいと申し入れるも、職員会議があるとの事で、職員室の外で待機するように言われた。
で、今現在、私はというと、なにやら妙な人に絡まれてしまった。
「どもー! 私、報道部の朝倉和美、よろしくね!」
「はぁ」
赤毛のパイナポー頭で、凄くフランクな感じの娘だ。
「さてさて、転校生さん。お名前聞いてもいいかな?」